JP3969101B2 - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信頼性に優れた封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品封止の分野ではエポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等のバランスがとれているためである。
特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂硬化剤の組合せはこれらのバランスに優れており、封止用エポキシ樹脂成形材料のベース樹脂の主流になっている。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、実装の高密度化が進み、電子部品装置は従来のピン挿入型から、表面実装型のパッケージがなされるようになってきている。半導体装置を配線板に取り付ける場合、従来のピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板裏面から半田付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは半導体装置全体が半田バスやリフロー装置などで処理されるため、直接半田付け温度にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、半田付け時に吸湿水分が急激に膨張し、接着界面の剥離やパッケージクラックが発生し、実装時のパッケージの信頼性を低下させるという問題があった。
そこで、封止用エポキシ樹脂成形材料とリードフレームとの接着性を高め、耐半田リフロー性を向上させるために、従来から種々の方法が検討されている。たとえば、シランカップリング剤としてアミノシラン系カップリング剤を添加する方法が提案されているが、この方法では得られる硬化物の機械的強度は向上するものの、耐半田リフロー性及び接着性の改善には充分な効果が得られていない。また、アミノシラン系カップリング剤を添加する方法では、耐湿信頼性や流動性の低下を引き起こしてしまう問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、流動性、接着性、耐半田リフロー性、耐湿性等の信頼性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、封止用エポキシ樹脂成形材料に特定のシランカップリング剤を配合することにより、上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤及び(D)無機充填剤を必須成分とする封止用エポキシ樹脂成形材料、
(2)(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤が下記一般式(I)で示される化合物を含有する上記(1)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
【化4】
Figure 0003969101
(ここで、R、Rは水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数6〜18のアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。ただし、全てが水素原子の場合を除く。Rは炭素数1〜10の2価の有機基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、Rは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
(3)一般式(I)中のRが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又は炭素数7〜10のアラルキル基で、Rが炭素数3〜6のアルキレン基で、R、Rが炭素数1〜4のアルキル基であり、nが2又は3である上記(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(4)(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤が下記構造式(II)及び/又は(III)で示される化合物を含有する上記(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
【化5】
Figure 0003969101
【化6】
Figure 0003969101
(5)(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、及び
(6)(B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、並びに
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノ−ル類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、耐半田リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0007】
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、スチルベン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化7】
Figure 0003969101
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化8】
Figure 0003969101
(ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化9】
Figure 0003969101
(ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(IV)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4’−ビフェノール又は4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。
上記一般式(V)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
上記一般式(VI)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R1〜R8が水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれるエポキシ樹脂が好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2、R3、R6及びR7がアルキル基であるエポキシ樹脂がより好ましく、R1、R4、R5及びR8が水素原子で、R2及びR7がメチル基で、R3及びR6がt−ブチル基であるエポキシ樹脂がさらに好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日鐵化学社製)等が市販品として入手可能である。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0008】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化10】
Figure 0003969101
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(VII)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0009】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化11】
Figure 0003969101
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記式(VIII)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0010】
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
下記一般式(IX)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、下記一般式(X)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
【化12】
Figure 0003969101
(ここで、R1〜R3は水素原子及び置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
【化13】
Figure 0003969101
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0011】
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量はエポキシ樹脂全量に対して合わせて50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
なかでも、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂の1種以上を用いることが好ましく、これらを併用する場合は、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の総量/ノボラック型エポキシ樹脂の重量比が9/1〜1/9であることが好ましく、9/1〜5/5がより好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の割合が多くなり過ぎると成形性が低下する傾向にあり、ノボラック型エポキシ樹脂の割合が多くなり過ぎると耐半田リフロー性が低下する傾向にある。
【0012】
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のジクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、難燃性の観点からはビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐半田リフロー性及び硬化性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0013】
ビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化14】
Figure 0003969101
上記式(XI)中のR1〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、なかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(XI)で示されるビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえばR1〜Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50重量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
ビフェニル型フェノール樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0014】
アラルキル型フェノール樹脂としては、たとえばフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等が挙げられ、下記一般式(XII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、一般式(XII)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【化15】
Figure 0003969101
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
【0015】
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XIII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化16】
Figure 0003969101
(ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0016】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。下記一般式(XIV)で示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂としては特に制限はないが、たとえば、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、o−ヒドロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂、m−ヒドロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。なかでもサリチルアルデヒド型フェノール樹脂が好ましい。
【化17】
Figure 0003969101
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0017】
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂等のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。
フェノールノボラック樹脂としては、たとえば、下記一般式(XV)で示されるフェノールノボラック樹脂等が挙げられ、一般式(XV)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノールノボラック樹脂が好ましい。また、たとえば下記一般式(XVI)で示される芳香族炭化水素変性フェノールノボラック樹脂も用いることができる。
【化18】
Figure 0003969101
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
【化19】
Figure 0003969101
(ここで、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R2はメチル基置換芳香族炭化水素基、iは0〜3の整数、mは1〜10の整数、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(XVI)で示されるフェノールノボラック樹脂としては、m個の構成単位(x)及びn個の構成単位(y)をランダムに含むもの、交互に含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むもののいずれか1種又は2種以上の混合物が挙げられるが、両末端又は片末端がフェノール骨格以外の芳香族炭化水素のものを含んでいてもよい。なかでも、構成単位(x)のブロック重合体と構成単位(y)のブロック重合体をランダムに含むものを主成分とするフェノールノボラック樹脂が好ましい。
【化20】
Figure 0003969101
上記一般式(XVI)中のR1は、水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、なかでも水素原子及びメチル基が好ましい。また、R2はメチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、メチルエチルフェニレン基、ジメチルエチルフェニレン基、メチルジエチルフェニレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、メチルエチルナフチレン基、メチルジエチルナフチレン基、ジメチルエチルナフチレン基等のメチル基置換芳香族炭化水素基から選ばれ、なかでもメチル基置換フェニレン基がより好ましく、ジメチルフェニレン基がさらに好ましい。
また、上記一般式(XVI)中のmは1〜10の整数を示し、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。nは0〜10の整数を示し、0〜8が好ましく、0〜5がより好ましい。
上記一般式(XVI)で示されるフェノールノボラック樹脂のなかでも、平均核体数、すなわちm+n+2の平均値が2〜10のものが好ましく、2〜6のものがより好ましい。上記一般式(XVI)で示されるフェノールノボラック樹脂は、構成単位(x)と構成単位(y)との共重合物であるが、その共重合モル比m/(n+2)は特に制限はないが、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性や強度向上観点から、平均値が10/1〜1/10が好ましく、4/1〜1/4がより好ましく、3/1〜1/3がさらに好ましい。また、硬化性及び流動性の観点からは、iが0であるフェノール変性キシレン樹脂が好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0018】
上記のビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は硬化剤全量に対して合わせて60重量%以上とすることが好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0019】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0020】
本発明で用いられる(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤としては、ケチミノ基を有していれば特に制限はないが、下記一般式(I)で示される化合物を含有することが好ましい。
【化21】
Figure 0003969101
(ここで、R、Rは水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数6〜18のアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。ただし、全てが水素原子の場合を除く。Rは炭素数1〜10の2価の有機基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、Rは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(I)において、R、Rとしては水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基、及びこれらにアルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が置換したベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などの置換アルキル基、置換アリール基などが挙げられ、なかでも、Rが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又は炭素数7〜10のアラルキル基であることが好ましい。Rとしてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等のアリーレン基やアルキレンアリーレン基、窒素原子を介して結合されたアルキレン基等の炭素数1〜10の2価の有機基が挙げられ、成形性又は流動性の観点からは炭素数3〜6のアルキレン基が好ましい。R、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基などの炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられ、なかでも炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、成形性又は接着性の観点からはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、nは1〜3の整数を示すが、接着性の観点からは2又は3が好ましく、3がより好ましい。
【0021】
上記一般式(I)で示される化合物としては、たとえば、下記構造式(II)、(III)、(XVII)〜(XXXXXXXIV)で示される化合物等が挙げられる。接着性又は流動性の観点からは下記構造式(II)及び/又は(III)で示される化合物をシランカップリング剤に含有していることが好ましい。
【化22】
Figure 0003969101
【0022】
【化23】
Figure 0003969101
【0023】
【化24】
Figure 0003969101
【0024】
【化25】
Figure 0003969101
【0025】
【化26】
Figure 0003969101
【0026】
【化27】
Figure 0003969101
【0027】
上記一般式(I)で示されるシランカップリング剤の製造方法としては特に制限はないが、たとえば、下記一般式(a)で示される化合物と下記一般式(b)で示されるヒドロシランとを遷移金属化合物を触媒としてヒドロシリル化反応させる方法、下記一般式(c)で示される化合物に下記一般式(d)で示される化合物を80〜170℃の加熱下で導入して反応させた後、未反応化合物と水を共沸留去する方法等が挙げられる。また、市販品を用いてもよい。
【化28】
Figure 0003969101
(ここで、式(a)〜(d)中のR、Rは水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数6〜18のアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。ただし、全てが水素原子の場合を除く。Rは炭素数1〜10の2価の有機基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、Rは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0028】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、上記(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤以外に従来公知のカップリング剤を併用してもよい。たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組合わせて用いることできる。
これらのカップリング剤を併用する場合、(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤の配合量は、カップリング剤全量に対して60重量%以上とすることが好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0029】
(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤を含む全カップリング剤の配合量は特に制限はないが、(D)無機充填剤に対して0.01〜2.0重量%が好ましく、0.1〜1.6重量%がより好ましい。0.01重量%未満では発明の効果が小さくなる傾向があり、2.0重量%を超えると成形性が低下する傾向がある。
【0030】
本発明に用いられる(D)無機充填剤としては、特に限定はないが、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタンさんカリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。なかでも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填剤の形状は、成形時の流動性又は金型磨耗性の観点からは球形又は球状に近い形が好ましい。
(D)無機充填剤の配合量は、成形性、吸湿性、線膨張係数の低減及び強度向上の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して60重量%以上が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、75〜92重量%がさらに好ましい。60重量%未満では耐半田リフロー性が低下する傾向があり、95重量%を超えると流動性が不十分となる傾向がある。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に限定はないが、たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2―フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
なかでも、硬化性及び流動性の観点からは第三ホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましく、保存安定性の観点からはシクロアミジン化合物とフェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロウンデセンのフェノールノボラック樹脂塩がより好ましい。これらの硬化促進剤の配合量は硬化促進剤全量に対して合わせて60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられる第三ホスフィンとしては特に制限はないが、たとえば、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアリール基を有する第三ホスフィンが挙げられ、成形性の点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられるキノン化合物としては特に制限はないが、たとえば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられ、耐湿性又は保存安定性の観点からはp−ベンゾキノンが好ましい。
【0032】
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。0.1重量部未満では短時間で硬化させることが困難となり、10重量部を超えると硬化速度が早すぎて良好な成形品が得られない傾向がある。
【0033】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性を向上させる観点から、必要に応じて陰イオン交換体をさらに配合することができる。ここで問題とする耐湿性とはICパッケージ等の電子部品装置の耐湿信頼性であり、特にバイアス型高温高湿試験、HAST(Highly Accelerated Humidity and Stress Test)などの電圧印加下での耐湿性試験が対象である。これらの耐湿性試験で発生する不良モードは殆どがICの素子上に形成されているアルミ配線の腐食による断線であるが、本発明の(A)成分のエポキシ樹脂、(B)成分の硬化剤、(C)成分のシランカップリング剤、(D)成分の無機充填剤の組合せからなるエポキシ樹脂成形材料を使用することで良好な耐湿信頼性を得ることができる。しかし、更に優れた電圧印加型の耐湿性を得るためには陰イオン交換体の添加が有効である。電圧印加型耐湿試験の場合は陽極側のアルミ配線が特に腐食しやすく、この原因としては以下の現象が考えられる。陽極側の配線またはボンディングパッドは水分が存在する場合、水の電気分解により発生する酸素により陽極酸化を受け、表面に安定な酸化アルミの皮膜が形成されるためアルミ腐食は進行しないはずである。しかし、微量でも塩素などのハロゲンイオンが存在すると酸化アルミ膜を可溶化するため、下地のアルミが溶解する孔食腐食となる。この陽極側の孔食腐食は陰極側の粒界腐食と比較し進行が速いため、電圧印加型耐湿試験では陽極側のアルミ配線腐食が先に進行し不良となる。そこで、陽極側の腐食を防止するためには微量のハロゲンイオンを捕捉できる陰イオン交換体の添加が有効になる。
【0034】
陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。なかでも、下記組成式(XXXXXXXV)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【化29】
Mg1-XAlX(OH)2(CO3X/2・mH2O ……(XXXXXXXV)
(0<x≦0.5、mは正の数)
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂100重量部対して、0.1〜30重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
【0035】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、接着性をより向上させるために、必要に応じて接着促進剤を用いることができる。接着促進剤としては、たとえば、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて離型剤を用いてもよい。離型剤としては、酸化型又は非酸化型のポリオレフィンを(A)エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部用いることが好ましく、0.1〜5重量部用いることがより好ましい。0.01重量部未満では離型性が不十分となる傾向があり、10重量部を超えると接着性が低下する傾向がある。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンとしては、ヘキスト株式会社製H4やPE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、これ以外の離型剤としては、たとえばカルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸、ステアリン酸等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組合わせて用いてもよい。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンに加えてこれら他の離型剤を併用する場合、その配合量は(A)エポキシ樹脂100重量部に対して0.l〜10重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
【0037】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、リン酸エステル、赤リン等の燐化合物、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミン変性フェノール樹脂、グアナミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の含窒素化合物、シクロホスファゼン等の燐/窒素含有化合物などの従来公知の難燃剤を必要に応じて添加することができる。これらの難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、酸化亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄、フェロセン、下記組成式(XXXXXXXVII)で示される化合物等の複合金属水酸化物などの金属化合物も、難燃剤として用いることができる。
【化30】
m(M1 ab)・n(M2 cd)・h(H2O) (XXXXXXXVII)
(ここで、M1及びM2は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、m、n及びhは正の数を示す。)
上記組成式(XXXXXXXVII)中のM1及びM2は互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1とM2が同一とならないようにM1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれるのが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれるのがより好ましい。流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルであるのが好ましく、M1がマグネシウムでM2が亜鉛であるのがより好ましい。M1 ab及びM2 cdのモル比m/nは、特に制限はないが、m/nが99/1〜50/50であることが好ましい。なお、金属元素とは、半金属元素といわれるものも含めるものとし、非金属元素を除く全ての元素をさす。金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいた。複合金属水酸化物の形状は特に制限はないが、流動性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。複合金属水酸化物は、金属水酸化物と比較して多面体状の結晶が得られやすい。
金属化合物を難燃剤として用いる場合、その配合量は特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.5〜20重量%が好ましく、0.7〜15重量%がより好ましく、1.4〜12重量%がさらに好ましい。0.5重量%未満では難燃性が不十分となる傾向があり、20重量%を超えると流動性及び耐リフロー性が低下する傾向がある。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤を用いても良い。
さらに、その他の添加剤として、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
【0038】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダーなどで混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
【0039】
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
【0040】
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
【0041】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
合成例:芳香族炭化水素変性フェノールノボラック樹脂の合成
キシレン及びホルムアルデヒドを原料に、硫酸を触媒に合成したキシレンホルムアルデヒド樹脂(粘度5.4Pa・s/25℃)1500gに、フェノール2216g、p−トルエンスルホン酸0.6gを加え、110℃で1時間反応させた。その後80℃に冷却し、ホルマリン400g、蓚酸12gを加えて105℃で2時間反応させた。次いで、160℃で減圧濃縮して、ICIコーンプレート粘度法による150℃における溶融粘度0.22Pa・s、軟化点85℃、水酸基当量164、GPCから求めた数平均分子量420の下記一般式(XXXXXXXVI)で示されるキシレン変性フェノールノボラック樹脂(GPCから求めた平均核体数m+n+2=3.92、共重合比m/(n+2)=0.53)を得た。
【化31】
Figure 0003969101
【0043】
実施例1〜31、比較例1〜32
エポキシ樹脂としてエポキシ当量200、軟化点67℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、エポキシ当量210、融点120℃のスチルベン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、住友化学工業株式会社製商品名ESLV−210)、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、油化シェルエポキシ株式会社製商品名YX−4000H)、エポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含有量48重量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4)、エポキシ当量242、融点118℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、新日本製鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE)、エポキシ当量264、軟化点64℃のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂6、大日本インキ化学工業株式会社製商品名HP−7200)、エポキシ当量217、軟化点72℃のナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂7、日本化薬株式会社製商品名NC−7300)、エポキシ当量170、軟化点65℃のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂8、日本化薬株式会社製商品名EPPN−502H)、硬化剤として水酸基当量176、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤1、三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、水酸基当量106、軟化点64℃のフェノールノボラック樹脂(硬化剤2、明和化成株式会社製商品名H−4)、上記合成例で得られたキシレン変性フェノールノボラック樹脂(硬化剤3)、水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニル型フェノール樹脂(硬化剤4、明和化成株式会社製商品名MEH−7851)、水酸基当量170、軟化点93℃のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(硬化剤5、日本石油化学株式会社製商品名DPP)、水酸基当量104、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤6、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、カップリング剤として下記構造式(II)で表されるシランカップリング剤(シランカップリング剤1)、下記構造式(III)で表されるシランカップリング剤(シランカップリング剤2)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤3、日本ユニカー株式会社製商品名A−1100)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤4、日本ユニカー株式会社製商品名A−187)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物、無機充填剤として平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカ、その他の添加成分としてカルナバワックス、三酸化アンチモン、縮合型の燐酸エステル(難燃剤1、大八化学株式会社製商品名PX−200)、水酸化マグネシウム(難燃剤2、協和化学工業株式会社製商品名キスマ5A)、カーボンブラックを、表1〜6に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行い、実施例1〜31及び比較例1〜32の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
【化32】
Figure 0003969101
【0044】
【表1】
Figure 0003969101
【0045】
【表2】
Figure 0003969101
【0046】
【表3】
Figure 0003969101
【0047】
【表4】
Figure 0003969101
【0048】
【表5】
Figure 0003969101
【0049】
【表6】
Figure 0003969101
【0050】
実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の(1)〜(9)の各種特性試験により評価した。評価結果を7〜12に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファー成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)吸湿時熱時硬度
25℃/50%RHの条件で72時間放置後の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記(2)と同様にして熱時硬度を測定した。
(4)接着保持率
上記条件で30μmのアルミ箔上に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、PCT処理(121℃、0.2MPa、100時間)前後で試験片の90度方向のピール強度(N/m)を測定し、接着保持率(%)=PCT処理後アルミピール強度/PCT処理前アルミピール強度×100で評価した。
(5)耐半田リフロー性
42アロイリードフレーム上に8×10mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20×14×2mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃/85%RHで、48〜96hの所定時間吸湿させ、ベーパーフェーズリフロー装置により215℃、90秒の条件でリフロー処理を行って、クラックの発生の有無を観察し、試験パッケージ数(10)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(6)耐湿性
線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6×6×0.4mmのテスト用シリコーンチップを搭載した外形寸法19×14×2.7mmのSOP28ピンパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、前処理を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(10)に対する不良パッケージ数で評価した。なお、前処理は85℃、85%RH、72時間の条件で加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は121℃、0.2MPaの条件で行った。
(7)吸水率
上記(2)で成形した円板を上記条件で後硬化し、85℃、85%RHの条件下で72時間放置し、放置前後の重量変化を測定して吸水率を評価した。
(8)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形して後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
(9)ガラス転移温度(Tg)
上記条件で19mm×3mm×3mmの形状に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、理学電気株式会社製の熱機械分析装置(TMA−8140、TAS−100)により、昇温速度5℃/minの条件で測定を行い、線膨張曲線の屈曲点からガラス転移温度(Tg、単位:℃)を求めた。
【0051】
【表7】
Figure 0003969101
【0052】
【表8】
Figure 0003969101
【0053】
【表9】
Figure 0003969101
【0054】
【表10】
Figure 0003969101
【0055】
【表11】
Figure 0003969101
【0056】
【表12】
Figure 0003969101
【0057】
表7〜12に見られるように、実施例1〜31は、同一樹脂組成の比較例と比べて、接着保持率が著しく高く接着性に優れ、流動性、熱時硬度、吸湿硬度等の成形性、耐半田リフロー性、耐湿性等の信頼性にも優れる。特に、シランカップリング剤2を使用した実施例9〜11及び24〜31では流動性に著しく優れる。一方、本発明の(C)シランカップリング剤を含まない比較例では本発明の目的を満足しない。すなわち、比較例1〜8、13〜24及び26〜32では流動性が著しく低く、耐半田リフロー性に劣り、比較例9〜12及び25では吸湿硬度に劣る。
【0058】
【発明の効果】
本発明になる封止用エポキシ樹脂成形材料は、流動性、熱時硬度、吸湿硬度又は接着性において良好な特性を示し、実施例に示したように優れた耐半田リフロー性、耐湿性が得られたことから、信頼性の高い電子部品装置を得ることができ、その工業的価値は大である。

Claims (5)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤及び(D)無機充填剤を必須成分とし、(C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤が下記一般式(I)で示される化合物を含有する半導体素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
    Figure 0003969101
    (ここで、 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基で、R はフェニル基で、R は炭素数3〜6のアルキレン基で、R 、R は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは2又は3である
  2. (C)ケチミノ基を有するシランカップリング剤が下記構造式 III )で示される化合物を含有する請求項記載の半導体素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
    Figure 0003969101
  3. (A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1または請求項2に記載の半導体素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  4. (B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜のいずれかに記載の半導体素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の半導体素子封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置。
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