JP3968949B2 - 印刷制御装置、印刷装置、印刷制御方法、印刷方法、記録媒体、および画像処理装置 - Google Patents

印刷制御装置、印刷装置、印刷制御方法、印刷方法、記録媒体、および画像処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷媒体上に各色インクドットを形成して高画質のカラー画像を印刷する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ、カラースキャナ、カラーモニタ、カラープリンタなど、カラー画像を扱うことの可能な種々の画像機器が広く使用されている。これら画像機器では、カラー画像を、いわゆる光の三原色に対応するR画像、G画像、B画像の3つの画像に分けて取り扱う。すなわち、デジタルカメラ、カラースキャナなどの撮像機器は、カラー画像のデータとして、R画像,G画像,B画像に対応するRGBの各階調値を出力する。出力されたRGB階調値に基づいて、例えばカラーモニタは画面上にR画像,G画像,B画像の各画像を映し出し、これら3つの画像を画面上で合成することによってカラー画像を映し出す。また、カラープリンタは、受け取ったRGBの各階調値を、プリンタで取り扱うことのできるシアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y)の各階調値に変換した後、得られたCMYの各階調値に応じて、印刷媒体上にシアン色,マゼンタ色,イエロ色の塗料を種々の方法により付着させることによってカラー画像を印刷している。
【0003】
デジタルカメラやカラースキャナなどの撮像機器の出力するRGB画像データは、機種によって少しずつ異なっている場合がある。これは、カラー画像から光の三原色に対応する3つの色成分、すなわちR画像成分,G画像成分,B画像成分を分離する検出器の感度が機種によって異なっているからである。また、全く同じRGB画像データを供給したとしても、カラーモニタやカラープリンタの機種によって、モニタ上あるいは印刷媒体上に表現される色が微妙に異なる場合がある。この一つの原因として、カラーモニタの場合は、RGB画像データに基づいて画面上に映し出されるRGBの各画像の感度が機種によって微妙に異なっていることがあり、カラープリンタの場合は、シアン,マゼンタ,イエロの各色の発色の仕方が機種によって微妙に異なっていることがある。従って、撮影したそのままの色をカラーモニタあるいはカラープリンタで表現するためには、デジタルカメラやカラースキャナなどのRGB画像データを出力する側の特性と、カラーモニタやカラープリンタなどのRGB画像データを受け取る側の特性とを、一致させておかなければならない。
【0004】
これら画像機器の組み合わせが変わる度に、RGB画像データを出力する側の特性と受け取る側の特性とを、調整し直さなければならないのでは煩雑であるので、次のような方法が広く使用されている。すなわち、所定の感度を有する仮想的な基準の検出器を想定しておき、この検出器が出力するRGB画像データを標準の画像データと定めておく。このような標準の画像データとして、sRGB画像データと呼ばれる規格の画像データが広く使用されている。デジタルカメラやカラースキャナなどの撮像機器は、RGB画像データを標準の画像データ(sRGB画像データ)に変換してから出力する。また、カラーモニタやカラープリンタなどは標準のRGB画像データ(sRGB画像データ)の色を正確に再現できるように、それぞれの特性を調整しておく。こうすれば、如何なる撮像機器から出力された画像データであっても、あるいは画像データを受け取る機器の特性が如何なるものであっても、本来の色を正確に再現することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる方法では、カラープリンタ側で標準のRGB画像データを如何に正確に再現しても、必ずしも満足のいく画質が得られない場合があった。特に、近年ではカラープリンタの印刷画質が改良されて銀塩写真と対比し得る高画質の画像を印刷することが可能となっているにもかかわらず、カラープリンタで印刷される画像の鮮やかさが銀塩写真に対して見劣りして、満足できる画質が得られない場合があった。
【0006】
この発明は、従来技術における上述のような問題を解決するためになされたものであり、標準のRGB画像データを受け取って、より高画質の画像を印刷することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の印刷制御装置は、次の構成を採用した。すなわち、
各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間でカラー画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御装置であって、
前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶している色相記憶手段と、
前記受け取ったカラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する彩度強調手段と、
前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断するドット形成判断手段と、
前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力する制御信号出力手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
また、上記の印刷制御装置に対応する本発明の印刷制御方法は、
各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間でカラー画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御方法であって、
前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶しておき、
前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取って、該カラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調し、
前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断し、
前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力することによって、該印刷を制御することを要旨とする。
【0009】
かかる印刷制御装置および印刷制御方法においては、彩度を強調する特定の色相を予め記憶しておき、カラー画像データの前記所定の色相の彩度を強調して、強調後の画像データに基づいて各色のインクドットの形成有無を判断する。こうして生成したインクドットの形成有無の判断結果を、該インクドットの形成を制御する制御信号として前記印刷部に供給する。
【0010】
上記の印刷制御装置および印刷制御方法についての本発明は、カラーポジティブフィルムで表現可能な色の範囲すなわち色域と、インクドットを形成してカラー画像を印刷する印刷装置(以下では、カラープリンタと呼ぶ)が表現可能な色域と、標準のRGB画像データのデータ形式として使用されているsRGB色空間の色域とが、以下に示すような関係にあることを見い出すことによって完成された。そこで、本発明の作用および効果を説明するために、先ず、新たに見いだされた関係について説明する。尚、以下では、RGB画像データがsRGB色空間で表現された画像データである場合、sRGB表色系の画像データと記述する。
【0011】
図16は、カラーポジティブフィルムの色域と、カラープリンタの色域と、sRGB表色系の色域との関係を示す説明図である。図16中の×印は、カラーポジティブフィルムに表現されている色を測色して、xy色度座標にプロットした測色結果である。測色に際しては、カラーポジティブフィルムの色域をできるだけ正確に表現するように、複数の写真の中から種々の色の部分を選び出して測色した。また、図16中の○印は、カラープリンタの色域を測色してxy色度座標にプロットした結果である。カラープリンタの色域の測色に際しては、プリンタで表現可能な全範囲の色彩をパッチ画像に印刷し、パッチ画像を測色することによって行った。尚、実線で示しているのは、光の波長を徐々に変化させたときに、光が呈する色彩をxy色度座標にプロットして得られた軌跡である。この軌跡は表現可能な色彩の限界を示しており、輝線スペクトルと呼ばれる。xy色度座標上で輝線スペクトルに近づくほど色彩の彩度が高くなることを示している。また、図16の中の輝線スペクトルの近傍に示した「赤色」,「緑色」,「青色」の表示は、その近傍の領域がそれぞれの赤色,緑色,青色の色相に対応することを示している。
【0012】
図16に示した測色結果から、近年のカラープリンタの色域は、カラーポジティブフィルムとほぼ同等の色域を有していることが見い出された。更に、図16中に破線で示すように、sRGB表色系の色域をxy色度座標中に重ねて表示したところ、sRGB表色系の色域は、カラープリンタの色域あるいはカラーポジティブフィルムの色域よりも、狭い部分が存在し、特に色相が緑色から青色にかけての彩度の高い領域で、色域が狭くなっていることが見い出された。図16に示した測色結果は、印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成する、いわゆるインクジェットカラープリンタについてのものであるが、このような現象は、印刷媒体上にインクドットを形成する方式の違いによらず、種々のカラープリンタにおいても同様に生じていると考えることができる。
【0013】
本願の発明者は、このような知見に基づき、カラープリンタがカラー画像データを如何に正確に再現しても必ずしもカラーポジティブフィルムのような高画質の画像を得られない場合がある理由が、次のようなものであることを見い出すことによって本発明を完成させた。すなわち、カラー画像データの一般的なデータ形式として広く使用されているsRGB表色系は、色相が緑色から青色にかけての彩度の高い色彩を扱うことができないので、カラープリンタはこのような色彩を本来は表現可能であるにもかかわらず、sRGB表色系の画像データを再現している限り、彩度の高い緑色や青色を印刷することはできない。このため、カラープリンタで画像データを如何に正確に再現しても、十分に高画質の画像を得られない場合が生じていたものと考えられる。
【0014】
カラープリンタが、sRGB表色系と異なって彩度方向に色域の制約がないL*** 表色系で表現された画像データを受け取る場合もあるが、このような場合にも同様なことが生じ得る。なぜなら、カラー画像データのデータ形式としてsRGB表色系は現在の標準的な形式として広く使用されているために、一旦sRGB表色系で表現された画像データをL*** 表色系に変換している場合があるからである。色域の狭いsRGB表色系で表現することによって、彩度の高い緑色や青色のデータが一旦失われてしまうと、その後、画像データを、L*** 表色系に変換しても、失われたデータが戻ることはない。このような場合は、例えL*** 表色系で表現された画像データを受け取っていても、カラープリンタで画像データを正確に再現するだけでは、十分に満足できる画質を印刷することができない場合がある。尚、こうした問題は、sRGB表色系で表現されたカラー画像データに限らず、取り扱う色域の狭い他の表色系で表現されたカラー画像データや、あるいは何らかの理由によって、色域の狭いカラー画像データに変換された場合にも、同様に生じ得る。
【0015】
本発明の印刷制御装置および印刷制御方法においては、彩度を強調する特定の色相を予め記憶しておき、カラー画像データの前記所定の色相の彩度を強調して、強調後の画像データに基づいて各色のインクドットの形成有無を判断する。例えば、彩度の高い緑色から青色にかけての色彩のように、カラープリンタが本来は印刷可能であるにもかかわらずカラー画像データが扱うことのできない色域の色相を予め記憶しておき、この色相において画像データの彩度を強調すれば、失われていた高彩度の画像データを復元することができる。こうして画像データを復元しておけば、復元した画像データの色彩をカラープリンタで正確に再現することによって、十分に高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0016】
かかる印刷制御装置においては、彩度を強調すべき色相として、青色から緑色までの色相を記憶しておき、色相がかかる範囲にある画像データの彩度を強調するようにしても良い。
【0017】
図16に示したように、色相が青色から緑色までの領域において、カラープリンタは画像データの色域よりも高い彩度の色彩を表現することができるので、彩度を強調すべき色相としてかかる範囲を記憶しておくことで、充分に高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0018】
かかる印刷制御装置においては、受け取ったカラー画像データを、彩度と色相と明度とを用いた表現形式に一旦、変換した後、前記表現形式が変換されたカラー画像データに対して、前記特定の色相での彩度強調を行ってもよい。
【0019】
カラー画像データを、彩度と色相と明度とを用いた表現形式に変換しておけば、特定の色相だけ彩度を強調するといった処理を、簡便に行うことができるので好適である。
【0020】
かかる印刷制御装置においては、彩度を強調する特定の色相でカラー画像データの彩度が高くなるほど、該カラー画像データの彩度を強く強調するようにしてもよい。高い彩度の色彩を含んだカラー画像データを、色域の狭いカラー画像データに変換する場合には、彩度が高いデータほど彩度を低下させるような変換を行う場合がある。このような場合には、彩度の高い画像データほど強く彩度を強調することによって、色域の狭いカラー画像データに変換する前の画像に近い画像を印刷することが可能となるので好ましい。
【0021】
また、前述の印刷制御装置および印刷制御方法においては、前記特定の色相の彩度を強調するに際して、カラー画像データを、より高い彩度の色彩を表現可能なデータ形式による広域カラー画像データに一旦変換した後に、該広域カラー画像データの彩度を強調するようにしてもよい。
【0022】
カラー画像データを、前記広域カラー画像データに変換してから彩度を強調すれば、変換前のカラー画像では扱うことのできなかった高い彩度の画像データを扱うことが可能となるので好適である。
【0023】
前述の印刷制御装置においては、カラー画像データの彩度を強調する程度を予め複数種類記憶しておき、該記憶している複数の強調程度の中から予め選択された1の強調程度に従って、該カラー画像データの彩度を強調するようにしてもよい。
【0024】
こうすれば、印刷しようとする画像に応じて、複数の強調程度の中から適切な強調程度を選択することができるので、より好ましい画像を印刷することが可能となって好適である。
【0025】
かかる印刷制御装置においては、次のようにして、カラー画像データの彩度の強調を禁止可能としても良い。すなわち、カラー画像データの彩度を強調するか否かを予め設定しておき、強調を行わない旨が設定されている場合には、前記彩度強調手段における彩度の強調を禁止するとともに、前記画像データ受取手段が受け取ったカラー画像データを前記ドット形成判断手段に供給する。該ドット形成判断手段は、該供給されたカラー画像データに基づいて、各色のインクドットの形成有無を判断する。
【0026】
カラー画像データの中には、色域の狭いカラー画像データでも十分扱える彩度の色彩しか含まれていない画像データも存在する。また、ある程度の高い彩度の色彩を含んでいるが、それでも色域の狭いカラー画像データで扱える範囲の色彩しか含まれていない場合もある。このようなカラー画像データの彩度を強調すると、不自然な印刷画像となってしまうことが考えられる。上述の印刷制御装置では必要に応じて彩度の強調を禁止することができるので、このような場合でも自然な印刷画像を得ることが可能となって好適である。
【0027】
前述のいずれかの印刷制御装置と、印刷媒体上に各色のインクドットを形成する印刷部とを用いて印刷装置を構成してもよい。かかる印刷装置は、所定の色相の彩度が強調された高画質のカラー画像を印刷することができるので好適である。
【0028】
また、本発明は、上述した印刷制御装置の動作を実現するプログラムをコンピュータに組み込むことで、コンピュータを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のような記録媒体としての構成を取ることも可能である。すなわち、
各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間で画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御方法を実現するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶しておく機能と、
前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取って、該カラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する機能と、
前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断する機能と、
前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力する機能と
を実現するプログラムを記録した記録媒体としての態様である。
【0029】
かかる記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータで読み取り、該コンピュータを用いて上述の各機能を実現すれば、前記特定の色相の彩度を強調して高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0030】
前述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の画像処理装置は、次の構成を採用した。すなわち、
カラー画像データを受け取って所定の画像処理を施し、該画像処理後のカラー画像データをsRGB色空間よりも広い色空間で印刷するために外部に出力する画像処理装置であって、
前記sRGB色空間で表された前記カラー画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶している色相記憶手段と、
前記受け取ったカラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する彩度強調手段と、
前記彩度の強調されたカラー画像データを出力する画像データ出力手段と
を備えることを要旨とする。
【0031】
かかる画像処理装置においては、彩度を強調する特定の色相を予め記憶しておく。カラー画像データを受け取ると、該カラー画像データが表現し得る彩度と、該カラー画像を印刷するカラープリンタが印刷し得る彩度との、該特定の色相における差に基づいて、該記憶している色相の彩度を強調した後、彩度を強調したカラー画像データを外部に出力する。
【0032】
こうすれば、カラープリンタには特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データが供給されることになるので、カラープリンタで供給された画像データを正確に再現することで、本来の色彩に近い高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0033】
【発明の他の態様】
また、本発明は、前述した印刷制御装置内で行われる機能を実現するためのプログラムコードをコンピュータに記憶させ、該プログラムコードに記述された各種機能をコンピュータを用いて実現することで、実施することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラムコードとしての構成を採ることもできる。すなわち、
各色のインクドットを形成して画像を印刷する印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する方法を実現するプログラムを記述したプログラムコードであって、
カラー画像の彩度を強調する特定の色相を予め記憶しておく機能と、
カラー画像データを受け取って該画像データを変換することにより、前記特定の色相の彩度を強調する機能と、
前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断する機能と、
前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力する機能と
を実現するプログラムを記述したプログラムコードとしての態様である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の作用・効果をより明確に説明するために、本発明の実施の形態を、次の順序に従って説明する。
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
A−2.彩度強調処理:
B.第2実施例:
B−1.彩度強調処理:
B−2.変形例:
【0035】
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
図1は、本発明に関わる印刷制御装置および印刷装置からなる印刷システムの構成を示す説明図である。図示するように、この印刷システムは、コンピュータ80にカラープリンタ20が接続された構成となっており、コンピュータ80に所定のプログラムがロードされて実行されると、コンピュータ80とカラープリンタ20とが全体として一体の印刷システムとして機能する。印刷しようとするカラー原稿は、コンピュータ80上で各種のアプリケーションプログラム91によって作成された画像等が使用される。また、コンピュータ80に接続されたスキャナ21を用いて取り込んだカラー画像や、あるいはデジタルカメラ(DSC)28で撮影した画像をメモリカード27を経由して取り込んで使用することも可能である。これらの画像のデータORGは、コンピュータ80内のCPU81によって、カラープリンタ20が印刷可能な画像データに変換され、画像データFNLとしてカラープリンタ20に出力される。カラープリンタ20が、この画像データFNLに従って、印刷媒体上に各色のインクドットの形成を制御すると、最終的に、印刷用紙上にカラー原稿に対応したカラー画像が印刷されることになる。
【0036】
コンピュータ80は、各種の演算処理を実行するCPU81や、データを一時的に記憶するRAM83、各種のプログラムを記憶しておくROM82,ハードディスク26等から構成されている。また、SIO88をモデム24を経由して公衆電話回線PNTに接続すれば、外部のネットワーク上にあるサーバSVから必要なデータやプログラムをハードディスク26にダウンロードすることが可能となる。
【0037】
カラープリンタ20はカラー画像の印刷が可能なプリンタであり、本実施例では、印刷用紙上にシアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y),ブラック(K)の4色インクのドットを形成可能なインクジェットプリンタを使用している。もちろん、これら各色インクに加えて、淡シアンインク,淡マゼンタインクのドットを形成可能なインクジェットプリンタであっても構わない。尚、以下では場合によって、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインクのそれぞれを、Cインク,Mインク,Yインク,Kインクと略称するものとする。
【0038】
また、カラープリンタ20は、ピエゾ素子を用いてインクを吐出することによって印刷用紙上にインクドットを形成する方式を採用している。尚、本実施例で使用したカラープリンタ20では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出する方式を採用しているが、他の方式によりインクを吐出するノズルユニットを備えたプリンタを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によってインクを吐出する方式のプリンタに適用するものとしてもよい。また、インクを吐出する代わりに、熱転写などの現象を利用して、印刷用紙上にインクドットを形成する方式のプリンタであっても構わない。
【0039】
図2は、本実施例の印刷制御装置の機能を実現するための、コンピュータ80のソフトウェアの構成を概念的に示すブロック図である。コンピュータ80においては、すべてのアプリケーションプログラム91はオペレーティングシステムの下で動作する。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ90やプリンタドライバ92が組み込まれていて、各アプリケーションプログラム91から出力される画像データは、これらのドライバを介してカラープリンタ20に出力される。
【0040】
アプリケーションプログラム91が印刷命令を発すると、コンピュータ80のプリンタドライバ92は、アプリケーションプログラム91から画像データを受け取って所定の画像処理を行い、プリンタが印刷可能な画像データFNLに変換した後、変換した画像データFNLをカラープリンタ20に出力する。
【0041】
図2に概念的に示すように、プリンタドライバ92が行う画像処理は、解像度変換モジュール93と、彩度強調モジュール94と、色変換モジュール95と、階調数変換モジュール96と,インターレースモジュール97の大きく5つのモジュールから構成されている。以下、各モジュールが行う画像処理の内容について簡単に説明する。
【0042】
解像度変換モジュール93は、各種のアプリケーションプログラム91から受け取った画像データの解像度を、カラープリンタ20が印刷するための解像度に変換する。画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、線形補間を行って隣接画像データ間に新たなデータを生成し、逆に印刷解像度よりも高い場合は、一定の割合でデータを間引くことによって、画像データの解像度を印刷解像度に変換する。
【0043】
彩度強調モジュール94は、解像度変換モジュール93から印刷解像度に変換された画像データを受け取って、予め記憶されている色相の彩度を強調する処理を行う。詳細な処理内容は後述するが、彩度を強調する色相および強調する程度に関する情報が、マップなどの形態で予めプリンタドライバ92内に記憶されており、この情報を参照して彩度強調処理を行うことにより、カラー画像が本来有する色彩を再現した高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0044】
色変換モジュール95は、彩度が強調された画像データを彩度強調モジュール94から受け取って色変換処理を行う。色変換処理とは、R・G・Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ20で使用するC・M・Y・Kの各色の階調値のデータに変換する処理である。この処理は、色変換テーブルLUTを用いて行われており、LUTにはR・G・Bのそれぞれの組合せからなる色を、C・M・Y・K各色で表現するときの、各色階調値の組合せが記憶されている。
【0045】
階調数変換モジュール96は、色変換モジュール95から色変換済みの画像データを受け取って、階調数変換処理を行う。本実施例においては、色変換後の画像データは各色毎に256階調幅を持つデータとして表現されている。これに対し、本実施例のカラープリンタ20では、「ドットを形成する」,「ドットを形成しない」のいずれかの状態しか採り得ない。すなわち、本実施例のカラープリンタ20は局所的には2階調しか表現し得ない。そこで、256階調を有する画像データを、カラープリンタ20が表現可能な2階調で表現された画像データに変換する必要がある。このような階調数の変換を行うことにより、色変換モジュール95から受け取った画像データを、ドットの形成有無を表すドットデータに変換する処理が階調数変換処理である。
【0046】
インターレースモジュール97は、階調数変換モジュール96から各色インクドットについてのドットデータを受け取って、インターレース処理を行う。インターレース処理は、ドットの形成有無を表す形式に変換された画像データを、ドットの形成順序を考慮しながらカラープリンタ20に転送すべき順序に並べ替える処理である。インターレースモジュール97は、処理を終了すると、画像データFNLとしてカラープリンタ20に出力する。
【0047】
カラープリンタ20は、画像データFNLに従って各色のインクドットを形成する。その結果、印刷用紙上に画像データORGに対応する画像を得ることができる。
【0048】
図3は、本実施例のカラープリンタ20の概略構成を示す説明図である。このカラープリンタ20は、図示するように、キャリッジ40に搭載された印字ヘッド41を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、このキャリッジ40をキャリッジモータ30によってプラテン36の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ35によって印刷用紙Pを搬送する機構と、制御回路60とから構成されている。
【0049】
キャリッジ40をプラテン36の軸方向に往復動させる機構は、プラテン36の軸と並行に架設されたキャリッジ40を摺動可能に保持する摺動軸33と、キャリッジモータ30との間に無端の駆動ベルト31を張設するプーリ32と、キャリッジ40の原点位置を検出する位置検出センサ34等から構成されている。
【0050】
印刷用紙Pを搬送する機構は、プラテン36と、プラテン36を回転させる紙送りモータ35と、図示しない給紙補助ローラと、紙送りモータ35の回転をプラテン36および給紙補助ローラに伝えるギヤトレイン(図示省略)とから構成されている。印刷用紙Pは、プラテン36と給紙補助ローラの間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン36の回転角度に応じて所定量だけ送られる。
【0051】
制御回路60は、CPU61とROM62とRAM63等から構成されており、カラープリンタ20の各種機構を制御する。すなわち、制御回路60は、キャリッジモータ30と紙送りモータ35の動作を制御することによってキャリッジ40の主走査と副走査とを制御するとともに、コンピュータ80から供給される画像データFNLに基づいて、各ノズルでのインク滴の吐出を制御している。この結果、印刷用紙上の適切な位置にインクドットが形成される。
【0052】
キャリッジ40にはブラック(K)インクを収納するインクカートリッジ42と、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロ(Y)のインクを収納するインクカートリッジ43とが装着されている。もちろん、Kインクと他のインクとを同じインクカートリッジに収納してもよい。複数のインクを1つのカートリッジに収納可能とすれば、インクカートリッジをコンパクトに構成することができる。
【0053】
キャリッジ40にインクカートリッジ42,43を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色毎のインク吐出用ヘッド44ないし47に供給される。各ヘッドに供給されたインクは、制御回路60の制御の下でインク吐出用ヘッド44ないし47から吐出される。
【0054】
図4は、インク吐出用ヘッド44ないし47におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。図示するように、インク吐出用ヘッドの底面には、K・C・M・Yの順番で各色のインクを吐出する4組のノズル列が形成されており、1組のノズル列あたり48個のノズルNzが、一定のノズルピッチkで配列されている。
【0055】
以上のようなハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、キャリッジモータ30を駆動することによって、各色のインク吐出用ヘッド44ないし47を印刷用紙Pに対して主走査方向に移動させる。また、紙送りモータ35を駆動することによって、印刷用紙Pを副走査方向に移動させる。制御回路60の制御の下、キャリッジ40の主走査および副走査を繰り返しながら、適切なタイミングでノズルを駆動してインク滴を吐出することによって、カラープリンタ20は印刷用紙上にカラー画像を印刷している。
【0056】
A−2.彩度強調処理:
図2を用いて説明したように本実施例の印刷システムでは、予め記憶されている色相の彩度を、彩度強調モジュール94において強調することによって、カラー画像が本来有する色彩を再現した高画質の画像を印刷している。以下、彩度強調モジュール94が行う処理、すなわち彩度強調処理について説明する。
【0057】
図5は、第1実施例における彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、コンピュータ80のCPU81が実行する処理である。以下、図5のフローチャートに従って説明する。
【0058】
彩度強調処理を開始すると、先ず初めに、CPU81は解像度変換モジュール93からRGB画像データを読み込む(ステップS100)。解像度変換モジュール93は、画像データをsRGB表色系の画像データとして受け取っている。従って、ステップS100においてCPU81が受け取るRGB画像データも、カラープリンタにとっては色域の狭いsRGB表色系で表現された画像データである。
【0059】
RGB画像データを読み込むと、sRGB表色系の画像データを広域RGB表色系の画像データに変換する(ステップS102)。広域RGB表色系とは、sRGB表色系よりも広い色域を扱うことができるように、本実施例で新たに設けられた、画像データのデータ形式である。図6は、sRGB表色系の扱うことのできる色域と、広域RGB表色系の扱うことのできる色域とを比較して示したxy色度図である。sRGB表色系で表現された画像データは、画像データのRGB各階調値Rs ,Gs ,Bs を0から255まで変化させることによって、図6の破線で囲った領域内の色彩を表現することができる。これに対して、広域RGB表色系で表現された画像データは、画像データのRGB各階調値Rw ,Gw ,Bw を0から255まで変化させると、図6の実線で囲った領域内の色彩を表現することが可能となる。広域RGB表色系の画像データは、カラープリンタ20が再現可能なすべての色域を扱うことができるように設定されている。色域の狭いsRGB表色系で表現されている画像データの彩度を強調しようとしても、sRGB表色系で扱える色域を越えて強調することはできないが、sRGB表色系の画像データを広域RGB表色系の画像データに一旦変換しておき、広域RGB表色系で表現された画像データを強調することによって初めて、sRGB表色系では扱うことのできなかった高い彩度まで強調することが可能となる。
【0060】
sRGB表色系の画像データRs ,Gs ,Bs から広域RGB表色系の画像データRw ,Gw ,Bw への変換は、線形写像を行うことによって容易に変換することができる。図7は、sRGB表色系の画像データを、広域RGB表色系の画像データに変換するための線形写像を概念的に示した説明図である。図7(a)に示すように、sRGB表色系の画像データRs ,Gs ,Bs にマトリックスB-1Aを作用させることによって、sRGB表色系の画像データを広域RGB表色系の画像データRw ,Gw ,Bw に変換することができる。ここで、マトリックスAは、図7(b)に示すように、画像データRs ,Gs ,Bs をX−Y−Z表色系による三刺激値X,Y,Zに変換するための3行3列のマトリックスである。図6に示したxy色度図は、三刺激値X,Y,Zのそれぞれの値をX+Y+Z=1の条件で正規化し、正規化した三刺激値X(すなわちx座標)と正規化した三刺激値Y(すなわちy座標)のみを表示したものである。また、マトリックスBは、図7(c)に示すように、画像データRw ,Gw ,Bw をXYZ表色系による三刺激値X,Y,Zに変換するための3行3列のマトリックスである。尚、B-1は、マトリックスBの逆行列を意味している。sRGB表色系は既存の表色系であり、マトリックスAの値はそのR,G,B各色並びに白色点の色度座標によって自ずから決定される。これに対して、広域RGB表色系は、sRGB表色系よりも大きな色域を扱うことができるように、またカラープリンタが再現可能な色域をすべて扱うことができるように、カラープリンタの色域に合わせて設定される表色系である。従って、マトリックスBの値は、広域RGB表色系の設定の仕方によって種々の値を採ることが可能である。
【0061】
sRGB表色系,広域RGB表色系,XYZ表色系のそれぞれの画像データと、マトリックスA,Bとの関係は、次のように考えることもできる。すなわち、sRGB表色系の画像データが与えられると、この画像データにマトリックスAを作用させればXYZ表色系による画像データに変換することができる。得られたXYZ表色系の画像データに、マトリックスB-1を作用させれば広域RGB表色系の画像データに変換することができる。このことから、sRGB表色系の画像データにマトリックスB-1Aを作用させることによって、sRGB表色系の画像データを広域RGB表色系の画像データに変換することができる。図5のステップS102では、以上のように、sRGB表色系の画像データRs ,Gs ,Bs にマトリックスB-1Aを作用させる演算を行うことによって、広域RGB表色系による画像データRw ,Gw ,Bw を算出する処理を行う。
【0062】
図5のステップS102において、画像データを高彩度の色彩を扱うことのできる広域RGB表色系の画像データに変換すると、次のステップS104では、広域RGB表色系の画像データを「六角錐カラーモデル」と呼ばれる表現形式に変換する。六角錐カラーモデルとは、RGBの各階調値で表現された画像データを、色相,彩度,明度を用いた表現形式に変換するモデルである。RGB画像データを、六角錐カラーモデルで扱う色相(H),彩度(S),明度(I)へ変換することは、L*** 表色系で用いられるL* ,a* ,b* へ変換することよりも容易であることから、六角錐カラーモデルを用いる手法は、画像の色相,彩度,明度を簡便に扱うことができる手法として広く使用されている。
【0063】
以下では、図8ないし図10を用いて、六角錐カラーモデルの概要について説明する。図8は、R軸,G軸,B軸を直交軸に採ってRGB画像データの座標を直交座標上に表示した様子を示している。RGB画像データは、一辺の長さ255の立方体(色立体)の中にある点として表現することができる。例えば、黒色(K)の画像データは、R,G,B階調値がすべて0であるから、黒色は座標値(0,0,0)の点として表現できる。白色(W)の画像データはR,G,B階調値がすべて255であるから、白色は座標値(255,255,255)の点として表現できる。同様にして、赤色(R)は座標値(255,0,0)に対応し、緑色(G)は座標値(0,255,0)に、青色(B)は座標値(0,0,255)に対応する。また、赤色(R)と補色の関係にあるシアン色(C)は、Rの頂点と向かい合う位置関係にある座標値(0,255,255)に対応し、緑色(G)と補色の関係にあるマゼンタ色(M)は、Gの頂点と向かい合う位置関係にある座標値(255,0,255)に対応し、青色(B)と補色の関係にあるイエロ色(Y)は、Bの頂点と向かい合う位置関係にある座標値(255,255,0)に対応している。
【0064】
六角錐カラーモデルでは、色立体のK−W軸をI軸にとって、I軸に直交する平面に色立体の各座標を投影し、投影した平面上で画像データの彩度Sと色相Hとを算出する。明度Iは色立体の座標から直ちに算出することができる。例えば、画像データ(R,G,B)が与えられると、明度Iは、次式(1)によって算出することができる。
I = max(R,G,B) … (1)
ここで、max(R,G,B)はR,G,Bの中の最大値を与える関数である。また、画像データ(R,G,B)が色立体のP点として与えられると、図9に示すように、P点をI軸に直交する平面上に投影してえられるP’点の座標から、次のようにして彩度Sと色相Hとを算出する。
【0065】
図10は、六角錐カラーモデルによって彩度Sと色相Hとを算出する様子を示す説明図である。色立体のR,Y,G,C,M,Bの各頂点は、I軸に直交する平面に投射すると、図10に示すような正六角形の各頂点に投影される。色立体のKあるいはWの各頂点は、正六角形の中心の座標Oに投影される。このことから明らかなように、六角錐カラーモデルによる表現では、正六角形の中心(O点)は無彩色を表現し、O点から離れるに従って彩度が高くなり、正六角形の外周に達した時点で彩度最大となる。すなわち、図10に示すように、P’点とO点とを結ぶ直線が正六角形の外周と交わる点をE点とすると、彩度Sは(直線OP’の長さ)/(直線OEの長さ)によって表現することができる。具体的には、P点のRGB画像データが与えられると、彩度Sは次式(2)によって求めることができる。
S = 255*(I−i)/I … (2)
ここで、i=min(R,G,B)である。ただし、min(R,G,B)はR,G,Bの中の最小値を与える関数である。また、Iは、式(1)で求められた明度Iである。式(2)からも明らかなように、明度I=0の場合は彩度Sは不定となる。
【0066】
また、色立体でR,Y,G,C,B,Mを表現する各頂点が、図10ではR,Y,G,C,B,Mと示した正六角形の各頂点に投影されることからも明らかなように、六角錐カラーモデルによる表現では、色相Hは、直線ORと直線OP’との角度によって表現することができる。具体的には、P点のRGB画像データが与えられると、色相Hは次式(3)ないし(5)のいずれかによって求めることができる。
R=Iのときは、
H = 255(b−g)/6 … (3)
G=Iのときは、
H = 255(2+r−b)/6 … (4)
B=Iのときは、
H = 255(4+g−r)/6 … (5)
ここで、
r = (I−R)/(I−i)
g = (I−G)/(I−i)
b = (I−B)/(I−i)
である。また、H<0の場合は、Hの値に255を加えるものとする。
【0067】
図5のステップS104の処理では、広域RGB画像データに変換されたRGB階調データRw ,Gw ,Bw に対して、上述の式(1)ないし式(5)を適用して、六角錐カラーモデルによる明度I,彩度S,色相Hを算出している。その結果、0〜255の値を採りうるRGB階調データRw ,Gw ,Bw が、0〜255の値を採りうる明度I,彩度S,色相Hに変換される。
【0068】
次いで、コンピュータ80のCPU81は、画像データの彩度を強調する処理を行う(ステップS106)。ステップS104において、画像データは明度I,彩度S,色相Hによる表現形式に変換されているので、色相に影響を与えることなく、彩度のみを容易に強調することができる。
【0069】
彩度の強調は、彩度Sに、色相Hの関数として予め記憶しておいた強調係数Kh (0≦Kh )を乗算することによって行う。すなわち、強調後の彩度Se は、
Se = (1+Kh )S … (6)
によって算出する。式(6)から明らかなように、強調係数Kh =0の場合には彩度は強調されず、強調係数Kh の値が0より大きな値をとる場合に彩度が強調されることになる。
【0070】
図11は、色相Hの関数として記憶されている強調係数Kh の一例を示す説明図である。ここでは、色相がG(緑色)からB(青色)にかけての領域の彩度を強調することから、強調係数Kh は、色相Gに相当するH=107から色相Bに相当するH=149の範囲で0よりも大きな値をとるよう設定されている。それ以外のHの値に対しては、強調係数Kh の値は0が設定されている。このように設定されている強調係数Kh を用いて彩度を強調するので、他の色相の彩度に影響を与えることなく、所定範囲の色相のみ彩度を強調することができる。
【0071】
また、図11に示すように、強調係数Kh の値は色相Hに対して連続した値をとるように設定されているので、ある特定の色相が唐突に強調されるようなことが無く、自然な感じを損なわずに画像の彩度を強調することができる。尚、図11に示した例では、色相Hに対して強調係数Kh の値が直線的に変化するように設定されているが、三角関数や多項式などを用いることによって、強調係数Khの値を色相Hに対して滑らかに変化するように設定してもよい。強調係数Kh が色相Hに対して滑らかに変化するように設定しておけば、画像をより自然な感じに強調することができる。
【0072】
更に、図11に示した例では、強調係数Kh は色相Hのみの関数として設定されているが、強調係数Kh を色相Hに加えて、彩度Sや明度Iの関数として設定しておいてもよい。あるいは、修正係数Ks を彩度Sの値に対応付けて記憶しておき、強調係数Kh を用いて彩度Sを強調した後、これを修正係数Ks (1≦Ks )を用いて修正してもよい。すなわち、
Se = Ks (1+Kh )S … (7)
を用いて、強調された彩度Se を算出するようにしてもよい。
【0073】
図12は、設定されている修正係数Ks の一例を示す説明図である。図示されているように、彩度Sの低い領域ではほとんど強調されないが、彩度Sの高い領域ではより強く強調されるように、修正係数Ks を設定しておく。図16を用いて前述したように、画像データを色域の狭いsRGB画像データとして表現するために、画像データの中の高彩度のデータは彩度の低いデータに変換されるが、比較的彩度の低いデータは、そのままでもsRGB表色系で扱うことができるため、彩度の低いデータに変換する必要はない。このことから、画像データの彩度を強調するに際しては、高彩度のデータは強く彩度を強調し、低彩度のデータはほとんど強調しないような設定にしておけば、本来の画像データに、より近い画像データを得ることができる。従って、修正係数Ks を、図12に示すように設定しておけば、適切に彩度を強調して、より高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0074】
図5のステップS106において、強調された彩度Se を算出したら、六角錐カラーモデルによる明度I,彩度Se ,色相Hの組として表現されている画像データを、再び広域RGB表色系の画像データに逆変換する(ステップS108)。具体的には、次式を用いて、六角錐カラーモデルによる画像データから、広域RGB表色系の画像データRwe,Gwe,Bweを算出する。
【0075】
強調された彩度Se =0の場合は、
Rwe = Gwe = Bwe = I … (8)
によって、広域RGB表色系におけるR,G,Bの各階調値を求めることができる。
【0076】
強調された彩度Se ≠0の場合は、先ず、次式によってh,P,Q,Tを求める。
h = int(6H/255)
P = I・(1−Se )
Q = I・{1−Se ・(H−h)}
T = I・{1−Se ・(1−H+h)}
ここで、int(X)は、X以下の最大の整数を与える関数である。hの値に応じて、次式(9)ないし(14)の中の適した計算式を適用して、広域RGB表色系におけるR,G,Bの各階調値Rw ,Gw ,Bw を求めることができる。すなわち、
h=0のときは、
Rwe=I, Gwe=T, Bwe=P … (9)
h=1のときは、
Rwe=Q, Gwe=I, Bwe=P … (10)
h=2のときは、
Rwe=P, Gwe=I, Bwe=T … (11)
h=3のときは、
Rwe=P, Gwe=Q, Bwe=I … (12)
h=4のときは、
Rwe=T, Gwe=P, Bwe=I … (13)
h=5のときは、
Rwe=I, Gwe=P, Bwe=Q … (14)
【0077】
図5のステップS108の処理では、明度I,彩度Se ,色相Hの組として表現されている画像データに、上述の式(8)ないし式(14)を適用して、広域RGB表色系の画像データRwe,Gwe,Bweを算出している。
【0078】
以上のような方法で、ステップS100で読み込んだすべての画像データの彩度を強調したら、彩度を強調した広域RGB表色系の画像データRwe,Gwe,Bweを、図2に示した色変換モジュール95に出力し(ステップS110)、すべての画像データの出力を完了すると彩度強調処理を終了する。
【0079】
色変換モジュール95は、彩度を強調した広域RGB表色系の画像データRwe,Gwe,Bweを受け取り、色変換テーブルLUTを参照しながら、画像データをCMYK各色の階調データに変換する。参照するLUTは、広域RGB表色系のRGB階調データを、CMYK各色の階調データに変換するために特別に設定されて、プリンタドライバ92に予め記憶されている(図2参照)。こうして求められたCMYK各色の階調データに基づいて、階調数変換処理およびインターレース処理を行い、カラープリンタ20に画像データFNLを供給することによって、緑色から青色にかけての色相で高彩度の色彩を含んだ高画質の画像を印刷することが可能となる。その結果、従来は銀塩写真でなければ表現し得なかったような、例えば渓流の澄んだ青緑色のような、彩度の高い色彩を、カラープリンタによって印刷することが可能となる。
【0080】
以上に説明した第1実施例においては、RGB画像データを六角錐カラーモデルによる表現形式に変換して画像の彩度を強調した後、再びRGB画像データに逆変換する。こうして所定の色相の彩度を強調して印刷することにより、色域の狭いsRGB表色系の画像データを受け取っているにもかかわらず、本来の色彩に近い高画質の画像を印刷することが可能となる。また、RGB画像データから六角錐カラーモデルによる表現形式への変換、あるいは六角錐カラーモデルからRGB画像データへの変換は、比較的簡便に行うことができるので、彩度強調処理を迅速に行うことができ、延いては高画質の画像を迅速に印刷することが可能となる。
【0081】
B.第2実施例:
以上に説明した第1実施例においては、RGB画像データを六角錐カラーモデルによる表現形式に変換した後に彩度強調処理を行った。カラー画像を、明度,彩度,色相に分けて取り扱う方法として、画像データをL*** 表色系によって表現する方法も広く使用されている。以下に説明する第2実施例においては、sRGB表色系の画像データをL*** 表色系による画像データに変換した後、彩度強調処理を行う。
【0082】
B−1.彩度強調処理:
図13は、第2実施例における彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、コンピュータ80のCPU81が実行する処理である。以下、図13のフローチャートに従って説明する。
【0083】
彩度強調処理を開始すると、先ず初めに、CPU81は解像度変換モジュール93からRGB画像データを読み込む(ステップS200)。解像度変換モジュール93は、画像データをsRGB表色系の画像データとして受け取っているので、ステップS200においてCPU81が受け取るRGB画像データは、カラープリンタにとっては色域の狭いsRGB表色系で表現された画像データである。
【0084】
RGB画像データの読み込みを終了すると、CPU81は、sRGB表色系の画像データをL*** 表色系の画像データに変換する(ステップS202)。L*** 表色系は、前述したXYZ表色系の欠点を改良するために設定された表色系であり、L* ,a* ,b* の互いに直交する3軸の座標値によって色彩を表現する。L* ,a* ,b* 各軸が張る空間は、L* ,a* ,b* 色空間と呼ばれる。
【0085】
*** 表色系を用いて画像データを表現すると、人間の知覚に近い形で画像データを扱うことができるという利点がある。例えば、L*** 色空間上で色彩を表す座標の距離と、それら色彩の知覚的な距離とが良く対応していて、色空間上での座標が近ければ知覚的にも近い色彩、すなわち、よく似た色彩を表している。このため、画像データをL*** 表色系に変換すれば、人間の知覚と良く一致した、より適切な画像処理を行うことが可能となる。
【0086】
* ,a* ,b* 色空間での座標値は、RGB画像データが与えられると、XYZ表色系の画像データを経由して、次式(15)ないし(17)を用いて算出することができる。すなわち、
* =116・(Y/Y0 )1/3 −16 … (15)
* =500・{(X/X0 )1/3 −(Y/Y0 )1/3 } … (16)
* =200・{(Y/Y0 )1/3 −(Z/Z0 )1/3 } … (17)
ここで、X,Y,Zは、それぞれXYZ表色系における三刺激値であり、RGB画像データの各階調値に、図7に示したマトリックスAを作用させて算出することができる。また、X0 ,Y0 ,Z0 は、標準白色の三刺激値である。ステップS202においては、以上のようにして、sRGB表色系の画像データを、L* ,a* ,b* 表色系の画像データに変換する。
【0087】
次いで、コンピュータ80のCPU81は、予め記憶しておいた色相について、L* ,a* ,b* 表色系で表現された画像データの彩度を強調する処理を行う(ステップS204)。L* ,a* ,b* 表色系では、色相θおよび彩度Cは次式(18)および(19)によって表される。
θ = atan(b* /a* ) … (18)
C = √{(b*2 +(a*2 } … (19)
また、L* の値は明度を表している。このように、第2実施例においても、色相θと彩度Cとを別々に扱うことができるので、色相に影響を与えることなく彩度のみを強調することが可能である。
【0088】
第2実施例において彩度を強調する処理は、第1実施例で説明した処理内容とほぼ同様であり、次の点のみが異なっている。すなわち、第1実施例では、六角錐カラーモデルに基づく彩度S,色相H,明度Iを扱っていたのに対して、第2実施例では、L*** 表色系に基づく彩度C,色相θ,明度L* を扱う。従って、第1実施例の彩度を強調する処理(図5のステップS106)に対して、彩度Sを彩度Cに置き換え、色相Hを色相θに置き換えれば、ほぼそのまま第2実施例に適用することができる。以下では、前述した第1実施例において彩度を強調する処理の説明を準用しながら、第2実施例において彩度を強調する処理について説明する。
【0089】
第2実施例において彩度を強調する処理も、予め記憶しておいた強調係数Kθを用いて彩度の強調を行う。次式(6a)は、第2実施例において強調された彩度を算出する式であり、第1実施例で用いた式(6)に対して、彩度Sが彩度Cに置き換わり、強調係数Ks が強調係数Kθ(0≦Kθ)に置き換わった式となっている。
Ce = (1+Kθ)C … (6a)
ここで、強調係数Kθは、色相θの関数として予め記憶しておく。これを、第1実施例で使用した図11を準用しながら簡単に説明する。L*** 表色系では、色相θは、0〜2πの値を取り得る。また、緑色はθ=5π/6にほぼ対応し、シアン色はθ=7π/6に、青色はθ=4π/3にほぼ対応する。従って、強調係数Kθは、θの値が0〜5π/6の範囲ではKθ=0であり、θが5π/6から7π/6の範囲で徐々に増加し、7π/6〜4π/3の範囲でKθ=0まで徐々に減少し、θが7π/6〜2πの範囲ではKθ=0の値となるように設定しておけばよい。このように、色相θに対して設定された強調係数Kθを用いて彩度を強調するので、他の色相の彩度に影響を与えることなく、所定範囲の色相のみ彩度を強調することができる。
【0090】
第2実施例においても、強調係数Kθの値を、色相θに対して連続した値となるように設定しておけば、ある特定の色相が唐突に強調されるようなことが無く、自然な感じを損なわずに画像の彩度を強調することができる。また、色相θに対して強調係数Kθの値が直線的に変化するように設定してもよく、曲線的に変化するように設定してもよい。更には、第1実施例の場合と同様に、色相θだけでなく、彩度Cや明度L* の値によっても強調係数Kθの値が変化するように設定しておいてもよい。
【0091】
図13のステップS204において、以上のようにして、強調された彩度Ce を算出したら、コンピュータ80のCPU81は、明度L* ,彩度Ce ,色相θで表現された画像データを、色変換モジュール95(図2参照)に出力し、すべての画像データを出力したら、彩度強調処理を終了する。
【0092】
第2実施例の色変換モジュール95は、彩度が強調された画像データを受け取り、色変換テーブルLUTを参照しながら、画像データをCMYK各色の階調データに変換する。参照するLUTは、明度L* ,彩度Ce ,色相θで表現された画像データを、CMYK各色の階調データに変換するために特別に設定されて、プリンタドライバ92に予め記憶されている。こうして求められたCMYK各色の階調データに基づいて、階調数変換処理およびインターレース処理を行い、カラープリンタ20に画像データFNLを供給することによって、緑色から青色にかけての色相において高彩度の色彩を含んだ高画質の画像を印刷することが可能となる。その結果、従来は銀塩写真でなければ表現し得なかったような、例えば渓流の澄んだ青緑色のような、彩度の高い色彩をカラープリンタによって印刷することが可能となる。
【0093】
以上に説明した第2実施例においては、RGB画像データをL*** 表色系による画像データに変換した後に画像の彩度を強調する。従って、人間の知覚に即して、より適切に彩度を強調することができる。また、L*** 表色系を用いると広い色域の画像データを扱うことができるので、sRGB表色系で表現可能な範囲を超えて、画像の彩度を強調することができる。
【0094】
B−2.変形例:
上述した第2実施例では、彩度の強調程度は適切な値が予め設定されているが、印刷画像を確認しながら彩度の強調程度を切り換えるようにしてもよい。もともとのカラー画像にどの程度の高い彩度の色彩が含まれていたかは、カラー画像毎に異なっているので、最適な彩度の強調程度はカラー画像データによって異なる場合があると考えられる。場合によっては、それほど高い彩度の色相が含まれていないため、彩度を強調することによって、不自然な印刷画像となる場合も生じ得る。以下に説明する変形例では、彩度の強調程度を切り換え、場合によっては彩度の強調を禁止することによって、更に高画質の画像を印刷することが可能である。
【0095】
図14は、第2実施例の変形例としての彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。以下、図14のフローチャートに従って説明する。
【0096】
変形例の彩度強調処理においても、先ず初めに、解像度変換モジュール93から、sRGB表色系で表現されているRGB画像データを読み込む(ステップS300)。次に、画像データをL*** 表色系の画像データに変換する(ステップS302)。画像データの変換方法は、前述した第2実施例で用いた方法と同様にして行う。
【0097】
次に、CPU81は、彩度強調レベルの設定を判断する(ステップS304)。すなわち、彩度強調レベル「強」,「弱」,「強調せず」のいずれかをプリンタドライバ92に予め設定しておき、設定されている強調レベルを検出する。
【0098】
彩度強調レベルの設定を判断したら、設定内容に応じたそれぞれの強調レベル係数KL を設定する。すなわち、彩度強調レベル「強」が設定されている場合は、強調レベル係数KL に定数KL2を代入し(ステップS306)、彩度強調レベル「弱」が設定されている場合は定数KL1を代入し(ステップS308)、彩度強調レベルとして「強調せず」が設定されている場合は定数KL0を代入する(ステップS310)。それぞれの定数KL2,KL1,KL0の値は、プリンタドライバ92に予め記憶されている。
【0099】
図15は、プリンタドライバ92に設定されている定数KL2,KL1,KL0の値の一例を示す説明図である。図示した例では、定数KL2には「1.5」の値が、定数KL1には「1」が、定数KL0には「0」の値が記憶されている。これら各定数の設定値は、コンピュータの画面上で変更することが可能となっている。
【0100】
強調レベル係数KL の値を設定したら、彩度の強調を行う(ステップS312)。彩度を強調する方法は、前述した第2実施例とほぼ同様であり、第2実施例では式(6a)を用いて彩度を強調したのに対して、変形例では、次式(6b)を用いるところのみが異なっている。
Ce = (1+KL ・Kθ)C … (6b)
ここで、Ce は強調された彩度の値であり、Kθは強調係数であり、KL は前述の強調レベル係数である。第2実施例と同様に、Kθは色相θの関数として予め記憶されている。式(6b)から明らかなように、例えば、彩度の強調レベル「弱」がプリンタドライバ92に設定されている場合は、KL には値「1」が代入されているから、強調係数Kθの設定そのままに彩度が強調される。彩度強調レベル「強」が設定されている場合は、KL には値「1.5」が代入されているから、強調係数Kθの設定よりは強めに彩度が強調され、彩度強調レベルとして「強調せず」が設定されている場合は、KL には値「0」が代入されているから、彩度の強調は行われない。図14のステップS312においては、以上のようにして強調された彩度Ce を算出する。
【0101】
以上のようにして、強調された彩度Ce を算出したら、コンピュータ80のCPU81は、明度L* ,彩度Ce ,色相θで表現された画像データを、色変換モジュール95(図2参照)に出力し(ステップS314)、すべての画像データを出力したら、彩度強調処理を終了する。
【0102】
以上に説明した変形例においては、彩度を強調する程度を、複数の設定されている中から選択することができる。カラー画像の彩度を強調する適切な強調程度は、印刷しようとする画像の内容に応じて異なる場合が考えられるので、複数の強調程度の中から適した設定を選択することで、彩度の強調程度を最適化して、より高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0103】
以上、各種の実施例について説明してきたが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0104】
例えば、カラー画像データの彩度を強調するための上述の処理を、カラープリンタを制御するプリンタドライバの機能として実現しても良いし、あるいは、プリンタドライバにカラー画像データを供給するための各種アプリケーションプログラムに組み込まれ、カラープリンタに応じて彩度強調を行うプラグインソフトとして実現するものであってもよい。
【0105】
また、上述の機能を実現するソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)を、通信回線を介してコンピュータシステムのメインメモリまたは外部記憶装置に供給して実行する態様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の印刷システムの概略構成図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示す説明図である。
【図3】本実施例のプリンタの概略構成図である。
【図4】本実施例のカラープリンタのインク吐出用ヘッドにノズルが配置されている様子を示す説明図である。
【図5】第1実施例の印刷制御装置で採用されている彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】sRGB表色系で扱うことのできる画像データと広域RGB表色系で扱うことのできる画像データとを比較して示す説明図である。
【図7】sRGB表色系の画像データを広域RGB表色系の画像データに変換するための線形写像を概念的に示す説明図である。
【図8】RGB各軸を直交軸とする色立体を概念的に示す説明図である。
【図9】六角錐カラーモデルの考え方を概念的に示す説明図である。
【図10】六角錐カラーモデルにおいて彩度および色相を扱う方法を概念的に示す説明図である。
【図11】本実施例において、強調計数が色相の関数として記憶されている様子を例示する説明図である。
【図12】本実施例において修正計数が設定されている様子を例示する説明図である。
【図13】第2実施例の印刷制御装置で採用されている彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第2実施例の変形例の印刷制御装置で採用されている彩度強調処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】第2実施例の印刷システムにおける強調レベル係数の設定例を示す説明図である。
【図16】カラープリンタの色域とポジティブカラーフィルムの色域とsRGB表色系で扱うことのできる色域との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
20…カラープリンタ
21…スキャナ
24…モデム
26…ハードディスク
27…メモリカード
30…キャリッジモータ
31…駆動ベルト
32…プーリ
33…摺動軸
34…位置検出センサ
35…紙送りモータ
36…プラテン
40…キャリッジ
41…印字ヘッド
42…インクカートリッジ
43…インクカートリッジ
44…インク吐出用ヘッド
60…制御回路
61…CPU
62…ROM
63…RAM
80…コンピュータ
81…CPU
82…ROM
83…RAM
88…SIO
90…ビデオドライバ
91…アプリケーションプログラム
92…プリンタドライバ
93…解像度変換モジュール
94…彩度強調モジュール
95…色変換モジュール
96…階調数変換モジュール
97…インターレースモジュール

Claims (11)

  1. 各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間でカラー画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御装置であって、
    前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取る画像データ受取手段と、
    前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶している色相記憶手段と、
    前記受け取ったカラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する彩度強調手段と、
    前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断するドット形成判断手段と、
    前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力する制御信号出力手段と
    を備える印刷制御装置。
  2. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記カラー画像データを、彩度と色相と明度とを用いた表現形式に変換する表現形式変換手段を備え、
    前記彩度強調手段は、前記表現形式が変換されたカラー画像データを受け取って、前記特定の色相の彩度を強調する手段である印刷制御装置。
  3. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記彩度強調手段は、前記特定の色相での前記カラー画像データの彩度が高くなるほど、強く彩度を強調する手段である印刷制御装置。
  4. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記彩度強調手段は、
    前記カラー画像データを、該カラー画像データが表現可能な彩度よりも高い彩度を表現可能なデータ形式による広域カラー画像データに変換する画像データ変換手段を備え、
    前記受け取ったカラー画像データを前記広域カラー画像データに変換した後に、彩度を強調する手段である印刷制御装置。
  5. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記彩度強調手段は、
    前記カラー画像データの彩度を強調する程度を、予め複数種類記憶しておく強調程度記憶手段と、
    前記記憶されている複数の強調程度の中から、1の強調程度を予め選択しておく強調程度選択手段と
    を備え、
    前記選択されている強調程度に従って、前記カラー画像データの彩度を強調する手段である印刷制御装置。
  6. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記カラー画像データの彩度を強調するか否かを予め設定しておく強調有無設定手段と、
    前記カラー画像データの強調を行わない旨が設定されている場合に、前記彩度強調手段における彩度の強調を禁止するとともに、前記画像データ受取手段が受け取ったカラー画像データを前記ドット形成判断手段に供給する彩度強調禁止手段と
    を備え、
    前記ドット形成判断手段は、前記彩度強調禁止手段から供給されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断する手段である印刷制御装置。
  7. 印刷媒体上に、各色のインクドットを形成してカラー画像を印刷する印刷装置であって、
    前記印刷媒体上に、前記各色のインクドットを形成する印刷部と、
    請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置と
    を備える印刷装置。
  8. 各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間でカラー画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御方法であって、
    前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶しておき、
    前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取って、該カラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調し、
    前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断し、
    前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力することによって、該印刷を制御する印刷制御方法。
  9. 請求項8記載の印刷制御方法であって、
    前記特定の色相の彩度を強調するに際しては、前記受け取ったカラー画像データが表現可能な彩度よりも高い彩度を表現可能なデータ形式に、該受け取ったカラー画像データを変換した後に、彩度の強調を行う印刷制御方法。
  10. 各色のインクドットを形成してsRGB色空間よりも広い色空間で画像を印刷可能な印刷部に、該各色のインクドットの形成を制御するための制御信号を出力して、該印刷部を制御する印刷制御方法を実現するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
    前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶しておく機能と、
    前記sRGB色空間で表されたカラー画像データを受け取って、該カラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する機能と、
    前記特定の色相の彩度が強調されたカラー画像データに基づいて、前記各色のインクドットの形成有無を判断する機能と、
    前記判断結果を、前記制御信号として前記印刷部に出力する機能と
    を実現するプログラムを記録した記録媒体。
  11. カラー画像データを受け取って所定の画像処理を施し、該画像処理後のカラー画像データをsRGB色空間よりも広い色空間で印刷するために外部に出力する画像処理装置であって、
    前記sRGB色空間で表された前記カラー画像データを受け取る画像データ受取手段と、
    前記印刷部が表現可能な色域であって、前記sRGB色空間によって表現不能な色域を有する特定の色相として、六角錐カラーモデルにおける色相角で略150度ないし略210度の範囲に相当する青色から緑色までの色相を予め記憶している色相記憶手段と、
    前記受け取ったカラー画像データの前記特定の色相の彩度を、前記範囲内において前記色相角で略180度に相当する色の強調の度合いが最も高くなるように連続して、前記sRGB色空間を超えることを許容しつつ強調する彩度強調手段と、
    前記彩度の強調されたカラー画像データを出力する画像データ出力手段と
    を備える画像処理装置。
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