JP3966230B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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    • F02N19/005Aiding engine start by starting from a predetermined position, e.g. pre-positioning or reverse rotation
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの始動装置に関し、特にアイドリング時等に自動的にエンジンを一旦停止させ、その後に自動的に再始動させる場合に好適なエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費低減およびCO排出量抑制等のため、アイドル時に自動的にエンジンを一旦停止させ、その後、発進操作等の再始動条件が成立したときに自動的にエンジンを再始動させる、所謂アイドルストップの技術が開発されてきている。
【0003】
アイドルストップにおける再始動は、発進操作等に応じて即座に始動させる迅速性が要求されるため、スタータモータによりエンジン出力軸(クランクシャフト)を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような、始動完了までにかなりの時間を要する従来の一般的な始動の方法は好ましくない。
【0004】
そこで、アイドルストップの再始動に好適な始動装置として、停止状態のエンジンの特定気筒(膨張行程にある気筒)に燃料を供給して着火、燃焼を行わせ、そのエネルギーでエンジンを即時的に始動させるようにしたものが開発されてきている。一般的に、膨張行程にある気筒に単に燃料を供給して着火、燃焼させても、エンジン始動のための充分なトルクが得られるとは限らない。円滑に再始動を行うためには一定以上の発生トルクの大きさが必要であり、上記始動装置にはこれを満足するための技術が求められる。
【0005】
そのような技術として、IG OFF(点火停止)後、排気弁の閉時期を制御してピストンが適正位置(一般的には上死点と下死点の中間付近)にある状態でエンジンを停止させ易くしたもの(例えば特許文献1参照。)が知られている。ピストンを適正位置で停止させると、再始動時に適度な空気量が得られ、燃焼によって一定以上のトルクが発生するので再始動性を高めることができる。
【0006】
このように再始動性を向上させる一方、ピストンが適正位置に停止しなかった場合や、その他の要因で再始動性の低い状態にある場合でも、確実に再始動させるような技術も開発されてきている。例えば、エンジンの始動が不完全であった場合にスタータモータによって始動をアシスト(補助的に駆動力を付与)する始動装置が知られている(例えば特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】
WO 01/44636 A2号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−004985号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に示された始動装置は、始動後の所定時間経過後のエンジン回転数を検出して、それが所定回転数以下であったときに電動機(スタータモータ)によってアシストするようにしているため、アシストを開始するまでに少なくとも上記所定時間以上の遅れが避けられない。このため、再始動のフェイルを回避することができるものの、始動の迅速性に関しては課題を残すものであった。
【0010】
また、アイドルストップによる再始動においては、その静粛性の要求が高い。運転者の操作(イグニションキーON)によらない始動であるため、比較的小さなノイズでも運転者に違和感を与え易いからである。一方、スタータモータによって駆動されるピニオンがスタータリングギヤ(クランクシャフトと直結されている)を回転させるという一般的な始動機構によってアシストがなされる場合、エンジン回転数が高い程、ピニオンとスタータリングギヤとの間に発生するノイズ(所謂クランキングノイズ)が大きくなる傾向がある。特許文献2に示された始動装置は、ある程度エンジン回転数が上昇してからアシストを開始するため、必然的に比較的高回転までアシストを継続することになる。このため、クランキングノイズが大きくなり易く、始動時の静粛性が低いという問題もあった。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑み、必要に応じてスタータモータによる始動のアシストを行いながらも、その際の始動の迅速性を高め、更に静粛性を向上させることができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、エンジンを始動させる際、始動前のエンジン停止時に実質的に圧縮行程にある気筒と実質的に膨張行程にある気筒とに対して燃料を供給し、上記実質的に圧縮行程にある気筒で点火、燃焼を行って圧縮下死点付近までエンジンを一旦逆転させ、その後上記実質的に膨張行程にある気筒で点火、燃焼を行わせ、エンジンを正転方向に始動させるエンジンの始動装置において、上記実質的に膨張行程にある気筒が、エンジンの逆転によって圧縮状態となっているときの圧縮レベルを判別する圧縮レベル判別手段と、エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータとを備え、上記圧縮レベル判別手段によって、圧縮レベルが所定レベル以下であると判別されたとき、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する時点乃至はその付近で、上記スタータモータによって正転方向の始動をアシストすることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、始動前のエンジン停止時に実質的に圧縮行程にある気筒と実質的に膨張行程にある気筒とに対して燃料を供給し、上記実質的に圧縮行程にある気筒で点火、燃焼を行って圧縮下死点付近までエンジンを一旦逆転させ、その後上記実質的に膨張行程にある気筒(この気筒は、上記逆転によってピストンが逆向きに動いて圧縮がなされ、筒内圧が上昇している)で点火、燃焼を行わせるので、エンジンを正転方向に始動させるに充分なトルクを発生することができ、外部からの駆動力を付与することなく始動させ易くすることができる。即ち始動性を向上させることができる。
【0014】
なお、上記実質的に圧縮行程にある気筒とは、密閉された筒内の容積を減じて筒内ガスを圧縮する状態にある気筒を言い、本来の圧縮行程にある気筒以外にも、例えば本来排気行程(ピストンの動作方向は圧縮行程と同じ)にある気筒であるが、電磁弁等を用いて排気弁を閉じたもの等を含む。同様に実質的に膨張行程にある気筒とは、密閉された筒内のガス体積を膨張させて筒内容積を増大させる状態にある気筒を言い、本来の膨張行程にある気筒以外にも、例えば本来吸気行程(ピストンの動作方向は膨張行程と同じ)にある気筒であるが、電磁弁等を用いて吸気弁を閉じた状態で燃焼させるもの等を含む。以下、特に記す場合を除き、圧縮行程にある気筒(圧縮行程気筒ともいう)や膨張行程にある気筒(膨張行程気筒ともいう)には、上記実質的に圧縮行程(ないし膨張行程)にある気筒を含むものとする。
【0015】
ところで、この始動方法によって安定した始動を行うには、膨張行程気筒において、確実に着火させるとともに、良好な燃焼がなされる程度に筒内ガス(空気又は混合気)が充分に圧縮される必要がある(当明細書において、このような圧縮状態を圧縮レベルが高いという)。しかし、エンジン停止時のピストン位置やエンジン停止期間の長さ等、始動時の条件にバラツキ要因が多く、条件によっては圧縮レベルが低くなる可能性もあり得る。そのような場合でも、請求項1の構成によると、圧縮レベル判別手段によって、膨張行程気筒がエンジンの逆転によって圧縮状態となっているときの圧縮レベルを判別し、それが所定レベル以下であると判別されたときに、スタータモータによって正転方向の始動をアシストするので、安定した始動性を確保することができる。
【0016】
しかも、圧縮レベルの判別がエンジン逆転中の状態によってなされ、必要に応じてエンジンが逆転から正転に移行する時点乃至はその付近で、スタータモータによって正転方向の始動をアシストするので、アシスト開始の早期化が図られ、始動の迅速性を高めることができる。
【0017】
また、ある程度エンジン回転数が上昇してからアシストを開始する従来技術に比べ、アシスト時のエンジン回転数を低くすることができるので、ピニオンとスタータリングギヤとを用いてアシストを行う機構を採用した場合のクランキングノイズを低減させ、始動の静粛性を向上することができる。
【0018】
圧縮レベル判別のために、エンジンの逆転時に、その回転速度レベルを判別する回転速度レベル判別手段を備え、上記圧縮レベル判別手段は、上記回転速度レベル判別手段による回転速度レベルが高い程、圧縮レベルが高いと判別する(請求項2)ように構成することができる。
【0019】
ここで回転速度レベルとは、一般的に回転速度の絶対値が大なる程、大きくなるような指標であって、例えば、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、回転速度レベル判別手段は、エンジン逆転時の最高回転速度の絶対値が高い程、回転速度レベルが高いと判別する(請求項3)ようにすることができる。この最高回転速度を平均回転速度に置き換え(請求項4)ても良い。
【0020】
回転速度レベルが高いということは、逆転時のピストンの動きが速いことを意味し、圧縮速度が大であることを示している。圧縮速度が大であると、圧縮による筒内圧上昇が大となるので、燃焼時の発生トルクを大とすることができる。即ち他の条件が同一であれば、回転速度レベルが高い程、圧縮レベルが高くなる。
【0021】
エンジンの逆転時に、上記実質的に膨張行程にある気筒の筒内圧レベルを判定する筒内圧判別手段を備え、上記圧縮レベル判別手段は、上記筒内圧レベル判別手段による筒内圧レベルが高い程、圧縮レベルが高いと判別する(請求項5)ように構成しても良い。
【0022】
ここで筒内圧レベルとは、一般的に筒内圧が大なる程、大きくなるような指標であって、例えば、指圧センサ等によって直接筒内圧を測定すれば、筒内圧が高い程、筒内圧レベルが高いようにすることができる。
【0023】
筒内圧レベルが高いということは、逆転時の実質的な圧縮率が大であることを示している。圧縮率が大であると燃焼時の発生トルクを大とすることができる。即ち他の条件が同一であれば、筒内圧レベルが高い程、圧縮レベルが高くなる。
【0024】
なお、ここで実質的な圧縮率とは、ガス漏れも考慮に入れた筒内ガスの体積変化率を指す。通常、燃焼室のガス漏れば極めて僅かであるので、筒内容積の変化によって求めた圧縮率(見かけの圧縮率)を実質的な圧縮率とすることができる。しかし始動時には、停止時間の長さにもよるが、ピストンリングからのガス漏れが比較的多くなる。このようなときは、見かけの圧縮率ほどは内部のガスが圧縮されていない。つまり実質的な圧縮率は低く(筒内圧レベルも低く)なる。筒内圧レベルの判別結果を圧縮レベルの判別に反映させることによって、実質的な圧縮率に基づく、より正確な圧縮レベルの判別を行うことができる。
【0025】
また、エンジン逆転時における、ピストンの移動量を検出するピストン移動量検出手段を備え、上記圧縮レベル判別手段は、上記ピストン移動量検出手段によるエンジン逆転時のピストン移動量が大なる程、圧縮レベルが高いと判別する(請求項6)ように構成しても良い。
【0026】
ピストン移動量が大であるということは、元の停止位置が同じであれば見かけの圧縮率が大であることを示す。上記のように、ガス漏れによって見かけの圧縮率と実質的な圧縮率とが一致しない場合があるものの、他の条件が同じであればピストンの移動量が大(見かけの圧縮率が大)なる程、圧縮レベルが高いと判別して良い。ピストン移動量は、一般的に筒内圧レベルよりも安価かつ容易に測定できるので、低コスト化のために筒内圧レベルの代用としてピストン移動量を用いることも有効である。
【0027】
更に、エンジンを運転状態から停止させ、その後エンジンを始動させる場合の、始動前のエンジン停止時間を計測する停止時間計測手段を備え、上記圧縮レベル判別手段は、上記停止時間計測手段によるエンジン停止時間が短い程、圧縮レベルが高いと判別する(請求項7)ように構成しても良い。
【0028】
エンジンを運転状態から停止させると、圧縮行程気筒内のガスがピストンリングから漏れ出し、時間の経過に伴って筒内圧が低下する(ある程度時間が経過すると大気圧と等しくなる)。従って、再始動の初期にエンジンを逆回転させるためのトルクは停止時間が長いほど低下する。逆回転トルクが低下すると、ピストンの移動速度、即ち回転速度レベルも低下し、結果的に圧縮レベルの低下につながる。
【0029】
また、停止時間の経過に伴いピストンリングの油膜切れも増大し、再始動時のガス漏れ量が増大する。つまり実質的な圧縮率が低下するので、圧縮レベルが低下する。
【0030】
何れの場合も、停止時間の経過に伴って圧縮レベルが低下してゆくので、この停止時間が短いほど、圧縮レベルが高いと判別することができる。
【0031】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、クランクシャフトと一体回転するスタータリングギヤと、上記スタータリングギヤに対し噛合状態と非噛合状態とに切換可能に構成されるとともに、その噛合状態において上記スタータモータの駆動力を上記スタータリングギヤに伝達するピニオンとを備え、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する回転速度ゼロ付近で、上記スタータモータを非駆動状態としつつ上記ピニオンを噛合状態に切換えるとともに、上記圧縮レベル判別手段による圧縮レベルが所定レベル以下であると判別されたときのみ、その後上記スタータモータを駆動することを特徴とする。
【0032】
このようにすると、圧縮レベルを判別するための演算処理による動作遅れを削減することができる。圧縮レベルを判別するパラメータには、エンジンの逆転期間が終了しないと確定しないもの(例えば平均回転速度など)を含む場合がある。このようなとき、本構成によると、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する回転速度ゼロ付近で、圧縮レベルの判別結果を待つことなく、ピニオンとスタータリングギヤとを噛合させる。こうすると、その後演算処理時間を経て得られる判別結果がアシスト要であった場合には、既に噛合状態にあるピニオンを回転させるだけでスタータリングギヤにトルクを付与することができるので、より迅速性と静粛性の高い始動アシストを行うことができる。
【0033】
この場合、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行した後、エンジン停止時に吸気行程にある気筒(以下吸気行程気筒という)が燃焼を開始した時点付近で上記ピニオンを非噛合状態に切換える(請求項9)ようにしても良い。
【0034】
膨張行程気筒、圧縮行程気筒に続き、吸気行程気筒での燃焼が開始すると、もはやスタータモータによるアシストがなくても以降の気筒での正常な燃焼が行われ、円滑な始動がなされる。そして、吸気行程気筒での燃焼が開始した時点では、一般的にエンジン回転数は未だ完爆回転数(アイドル回転数よりやや低めの回転数)より低回転である。このような低回転でピニオンを非噛合状態に切換えるようにすれば、完爆回転数に達した後にピニオンを非噛合状態に切換える場合に比べて、より早期に噛合を解除するので、一層静粛性の向上が図られる。なお、吸気行程気筒での燃焼が開始したことを、エンジン回転数が完爆回転数よりやや低めの所定の回転数以上となったことによって検知するようにしても良い。
【0035】
一方、圧縮レベルの判別結果がアシスト不要であった場合には、ピニオンを回転させることなく速やかに非噛合状態に切換えれば良い。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1及び図2は本発明の実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン1の本体はシリンダヘッド2a及びシリンダブロック2で構成される。当実施形態ではエンジン1は4気筒4サイクルエンジンであり、4つの気筒3(詳しくは、図2に示す状態で左から順に1番気筒3A、2番気筒3B、3番気筒3C、4番気筒3D)を有している。各気筒3にはピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0038】
各気筒3の燃焼室5の頂部には点火プラグ7と、燃焼室5内の圧力(筒内圧)を検出する指圧センサ26とが装備され、それぞれその先端が燃焼室5内に臨んでいる。
【0039】
更に、燃焼室5の側方部には、燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ7付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁8の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁8には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0040】
また、各気筒3の燃焼室5に対して吸気ポート9及び排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11及び排気弁12が装備されている。これら吸気弁11及び排気弁12は、カムシャフト27(シリンダヘッド2aに1対設けられている。図では一方を示す。)等からなる動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒3が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁の開閉タイミングが設定されている。
【0041】
吸気ポート9及び排気ポート10には吸気通路15及び排気通路16が接続されている。吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17はスロットル弁アクチュエータ18により駆動されるようになっている。
【0042】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流の共通吸気通路15cには、吸気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらにカムシャフト27に対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ23が設けられている。
【0043】
クランクシャフト6の一端には、クランクシャフト6と一体回転するスタータリングギヤ41が設けられており、その外周部には多数の歯形が形成されている。一方、このスタータリングギヤ41を回転させてエンジン1を始動させるためのスタータモータ28とピニオン29が設けられている。ピニオン29は、スタータモータ28に対して軸方向の移動可能に設けられ、その外周部にはスタータリングギヤ41と噛合する歯形が形成されている。スタータモータ28は、その駆動によってピニオン29を回転させると共に、ピニオン29がスタータリングギヤ41と噛合する位置まで移動させる。スタータモータ28の駆動を停止すると、ピニオン29の回転を停止すると共に、ピニオン29を非噛合状態となる位置まで移動させる。
【0044】
なお、この他にもエンジン1の制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25(図3参照)等が装備されている。
【0045】
図3は、エンジン1の制御ブロック図であり、ECU(エンジンコントロールユニット)30を中心に、信号を入力するスイッチやセンサと、出力する装置やアクチュエータ等を示す。なお、このブロック図は、本発明の構成に関する部分を中心に記載したものであり、その他の制御に関する部分については省略している。
【0046】
ECU30の入力側には、上記エアフローセンサ20、クランク角センサ21,22、カム角センサ23、水温センサ24、アクセル開度センサ25及び指圧センサ26が接続され、各検出信号が入力される。
【0047】
またECU30の出力側には、上記点火プラグ7、燃料噴射弁8、スロットル弁アクチュエータ18及びスタータモータ28が接続され、各装置類への駆動信号を出力する。
【0048】
ECU30は、内部にスロットル弁制御手段31、燃料噴射弁制御手段32、点火制御手段33、アイドルストップ制御手段34及び圧縮レベル判別手段35を含む。
【0049】
スロットル弁制御手段31は、アクセル開度センサ25からのアクセル開度情報や、クランク角センサ21,22からのクランク角速度情報に基づくエンジン回転速度等から、必要なスロットル弁17の開度を演算し、スロットル弁アクチュエータ18を制御する。
【0050】
燃料噴射弁制御手段32及び点火制御手段33は、上記アクセル開度情報やエンジン回転数情報に加え、エアフローセンサ20による吸気量情報や水温センサ24による冷却水温度情報等から、必要な燃料噴射量とその噴射時期及び適正な点火時期を演算し、燃料噴射弁8及び点火プラグ7に制御信号を出力する。
【0051】
また、スロットル弁制御手段31、燃料噴射弁制御手段32、点火制御手段33は、アイドルストップ(以下I/Sとも記す)を行う場合には上記制御に加えて、次に述べるアイドルストップ制御手段34によっても制御される。
【0052】
アイドルストップ制御手段34は、I/S実行条件やI/Sによるエンジン停止後の再始動条件を判定したり、ECU30内の各手段にI/Sを実行するために必要な情報を提供したりする。
【0053】
I/S実行条件としては、例えば車速がゼロ、かつフットブレーキON、かつパーキングブレーキがON、かつエンジン水温が所定値以上、等々の所定の条件が設定される。また、再始動条件としては、アクセル踏み込み量が所定値以上、又はフットブレーキOFF、又はパーキングブレーキOFF、等々の所定の条件が設定される。
【0054】
所定のI/S実行条件が成立すると、エンジンの自動停止が行われる。即ち燃料噴射弁8からの燃料噴射を停止させるとともに、点火プラグ7の点火を停止させる。
【0055】
エンジン停止の際の制御としては、エンジン停止時に圧縮行程となる気筒(説明の都合上、これを3番気筒3Cであると想定し、以下圧縮行程気筒3Cと記す。)及び膨張行程となる気筒(同様に1番気筒3Aであると想定し、以下膨張行程気筒3Aと記す。)においてピストン上死点方向の移動に対する抵抗を大きくすべく少なくともこれらの気筒に対する吸気量を増大させ、特に膨張行程気筒3Aにより多く吸気を供給するように、上記スロットル弁17をエンジン停止動作期間中の所定期間だけ所定の開弁状態とする。
【0056】
こうしてエンジン1が自動停止した後、所定の再始動条件が成立すると、エンジンの再始動がなされる。即ち燃料噴射弁8からの燃料噴射と点火プラグ7の点火を復帰させる。
【0057】
再始動の際の制御としては、先ず圧縮行程気筒3Cに対して初回の燃焼を実行してエンジンを少し逆転させることにより、膨張行程気筒3Aのピストン上昇によって筒内圧力を高めるようにしてから、当該膨張行程気筒3Aで燃焼を行わせるようにする。
【0058】
当実施形態では、上述のように圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼、膨張行程気筒3Aでの燃焼を行わせるとともに、初回燃焼後の圧縮行程気筒3Cの筒内に燃焼用空気を残存させて圧縮行程気筒3Cのピストン4が上昇に転じてから上死点付近に達したときに再燃焼を行わせる第1再始動制御モードと、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼及び膨張行程気筒3Aでの燃焼は行わせるが圧縮行程気筒3Cでの再燃焼を行わせない第2再始動制御モードと、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼を行わずにスタータモータ28でアシストしつつ膨張行程気筒3Aでの燃焼及びその次の圧縮行程気筒3Cでの燃焼により始動を行う第3再始動制御モードとを、ピストン4の停止位置に応じて選択的に実行するようになっている。
【0059】
また、第1再始動制御モード及び第2再始動制御モードにおいて、再始動初期のエンジン逆転中の膨張行程気筒3A(この気筒では、エンジン逆転によって内部ガスの圧縮がなされる)の圧縮レベル(詳細は後述する)が所定値以下であるときには、スタータモータ28による始動のアシストがなされる。
【0060】
圧縮レベル判別手段35は、エンジン逆転中の膨張行程気筒3Aの圧縮レベル(以下、単に圧縮レベルというときにはこれを指す)の判別を行う。当実施形態において圧縮レベルとは、筒内の圧縮状態の、着火性や燃焼良好性に対する有利さの度合を示す指標である。即ち、確実に着火させるとともに、良好な燃焼がなされるような圧縮状態を圧縮レベルが高いという。
【0061】
圧縮レベルを求める方法は、圧縮レベルに寄与するパラメータと圧縮レベルとの関係や各パラメータの寄与度等を理論的或いは実験的に求めて得られる演算式による。当実施形態では、パラメータとして、回転速度レベル、筒内圧レベル、ピストン移動量及び停止時間(エンジンが自動停止してから再始動を開始するまでの時間)を用いている。
【0062】
回転速度レベルは、圧縮レベル判別手段35に含まれる回転速度レベル判別手段36によって求められる。当実施形態では、エンジン逆転中の最高回転速度の絶対値(図14に示すR1)を回転速度レベルとしている。なお、回転速度レベルを求めるための回転速度検出手段としてはクランク角センサ21,22が用いられる。
【0063】
回転速度レベルが高いということは、逆転時のピストン4の動きが速いことを意味し、圧縮速度が大であることを示している。圧縮速度が大であると、圧縮による筒内圧上昇が大となるので、燃焼時の発生トルクを大とすることができる。即ち他の条件が同一であれば、図4(a)の特性M4に示すように回転速度レベルが高い程、圧縮レベルが高くなる。
【0064】
筒内圧レベルは、圧縮レベル判別手段35に含まれる筒内圧レベル判別手段37によって求められる。当実施形態では、エンジン逆転中の膨張行程気筒3Aの最大筒内圧(指圧センサ26によって検出される。図14に示すP1)を筒内圧レベルとしている。
【0065】
筒内圧レベルが高いということは、逆転時の実質的な圧縮率(燃焼室のガス漏れを考慮した圧縮率)が大であることを示している。圧縮率が大であると燃焼時の発生トルクを大とすることができる。即ち他の条件が同一であれば、図4(b)の特性M5に示すように筒内圧レベルが高い程、圧縮レベルが高くなる。
【0066】
ピストン移動量は、圧縮レベル判別手段35に含まれるピストン移動量検出手段38によって求められる。ピストン移動量検出手段38は、クランク角センサ21,22によって検出されるクランク角の変化量からピストン4の移動量を算出する。
【0067】
ピストン移動量が大であるということは、元の停止位置が同じであれば見かけの圧縮率(燃焼室の容積変化によって求められる圧縮率)が大であることを示す。即ち他の条件が同一であれば、図4(c)の特性M6に示すようにピストン移動量が大きい程、圧縮レベルが高くなる。
【0068】
停止時間は、圧縮レベル判別手段35に含まれる停止時間計測手段39によって求められる。停止時間計測手段39は、ECU30内のタイマーによって、エンジンが自動停止してから再始動を開始するまでの停止時間を計測する。
【0069】
停止時間が長いと、筒内ガスの漏出量が増大し、再始動開始時点の筒内圧が低下する(ある程度時間が経過すると大気圧と等しくなる)。また、ピストンリングの油膜切れも増大し、再始動時のガス漏れ量が増大する。何れの作用も、時間の経過に伴って圧縮レベルを低下させる。従って、他の条件が同一であれば、図4(d)の特性M7に示すように停止時間が短い程、圧縮レベルが高くなる。
【0070】
以上のような当実施形態の装置の作用を次に説明する。
【0071】
4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1では、各気筒3が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、図5に示すように、上記サイクルが1番気筒3A、3番気筒3C、4番気筒3D、2番気筒3Bの順にクランク角で180°(180°CA)づつの位相差をもって行われるようになっている。
【0072】
エンジン1が運転されている状態においてエンジン1の出力を要しない所定のアイドリング状態となった場合には、エンジン停止条件の成否判定に基づき、アイドルストップが実行される。
【0073】
エンジン停止条件が成立するとアイドルストップによるエンジン停止のための一連の制御が行われる。エンジンを停止させるため、まず燃料供給が停止される(燃料カット時点t1)。このときのエンジン回転数はアイドル回転数(当実施形態では約650rpm)である。
【0074】
そして、ピストン4を再始動のための好ましい範囲内(図6の範囲A)で停止させるために、燃料カット時点t1で燃料カットするとともに、スロットル弁17を所定開度に開き、その後、エンジン回転数が予め設定された所定回転数N1(当実施形態では約500rpm)まで低下した時点t2でスロットル弁17を閉じるように制御する。
【0075】
このようにすると、上記時点t1からt2の間、スロットル弁17が所定開度に開かれることにより、多少の時間的遅れをもって一時的に吸気負圧が減少(吸気量が増大)し、その後に吸気圧負圧が増大(吸気量が減少)するが、一時的に吸気負圧が減少する期間が、膨張行程気筒3Aの吸気行程の期間に概ね対応するように予め上記所定回転数等が設定されている。これにより、スロットル弁17が開かれない場合と比べ、エンジン停止前に各気筒3に吸入される空気量が増加し、そのうちでも特に膨張行程気筒3Aに流入する吸気量が多くなる。
【0076】
そして、エンジン停止に至るときには、圧縮行程気筒3Cではピストン4が上死点に近づくにつれて当該気筒3C内の空気が圧縮されてピストン4を押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジン1が逆転して圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点側に押し返されると、膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点側に移動し、それに伴い当該気筒3A内の空気が圧縮され、その圧力で膨張行程気筒3Aのピストン4が下死点側に押し返される。このようにしてピストン4がある程度振動してから停止し、この際、圧縮行程及び膨張行程においてそれぞれピストン4が上死点に近いほどこれを押し戻す力が大きいため、ピストン4の停止位置は行程中間部に近い位置(図6の範囲A)となる場合が多い。
【0077】
上記のようにエンジン停止前に吸気量が増加されることにより、上死点に近づいたときにピストン4を押し戻す力が増大するので、ピストン4が上記範囲A内に停止する確率が高くなる。さらに、上記のようなスロットル弁17の制御により膨張行程気筒3Aの吸気量が圧縮行程気筒3Cと比べて多くなるようにすれば、膨張行程気筒3Aにおいてピストン4が行程中間部に近い範囲のうちでも多少下死点寄り(図6の範囲A2)に停止することが多くなる。
【0078】
なお、燃料カットからエンジン1が完全に停止するまでに慣性でエンジン1が数回転するため、既燃ガスは排出され、膨張行程といえども筒内は殆ど新気となる。また、エンジン1が停止すると圧縮行程気筒3Cでも圧力は時間の経過に伴い低下する。
【0079】
また、スロットル弁17をエンジン停止まで閉弁しないようにしても良いが、そうするとエンジン停止までずっと吸気量が多い状態が続くので、吸気の圧縮によるピストン4の押し下げ力が減衰し難く、ピストン4の振動回数が増加してエンジン停止時に揺れ戻しが大きくなる場合がある。従って、当実施形態に示すように好適な時点t2でスロットル弁17を閉弁するのが望ましい。
【0080】
ピストン4の停止位置は、クランク角センサ21,22からの信号によって以下のように検出される。図7はクランクシャフト6が回転することによって得られるパルス信号であり、クランク角センサ21からの第1クランク角信号CA1と、クランク角センサ22からの第2クランク角信号CA2とを示す。図7(a)は正転時(図1の状態で右回り)のもの、図7(b)は逆転時のものを示す。エンジンの正転時には、図7(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図7(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。ECU30は、この差異を検出して、クランクシャフト6が正転中か逆転中かを判定しつつパルス信号をカウントする。カウントした値はCAカウンタ値として記憶され、エンジン1が作動中は常時更新される。そして、CAカウンタ値の増減がなくなった状態がエンジン1の停止であり、そのときのCAカウンタ値によってピストン4の停止位置が検出される。
【0081】
図8は、CAカウンタ値の積算フローチャートである。スタート後、ステップS51で、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなっているか、或いは第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなっているかの判定がなされ、YESであればエンジン1は正転していることを示すので、ステップS52に移行して計測したパルス数をCAカウンタ値に加算する(CAカウンタup)。ステップS51でNOであれば、エンジン1が逆転していることを示すので、ステップS53に移行して計測したパルス数をCAカウンタ値から減算する(CAカウンタdown)。
【0082】
図9は、アイドルストップにおけるエンジン停止までのECU30の概略制御フローチャートを示す。スタート後、各種センサ類(図3参照)からの信号を読み取る(ステップS1)。次にその信号に基づき、エンジン停止条件が成立したか否かの判定を行い(ステップS2)、NOであればリターンするが、YESであれば続いてエンジン自動停止のための一連の制御を行う。
【0083】
まず燃料噴射弁8からの燃料供給を停止(燃料カット)する(ステップS7)。続くステップS11でスロットル弁17を開弁し、吸気負圧を減少させる。その後、エンジン回転数が所定回転数N1(約500rpm)よりも低くなった時点でスロットル弁17を閉弁する(ステップS13、S15)。次に、常時カウント中のCAカウンタ値(図8参照)を読み取る(ステップS16)。次のステップS17で、CAカウンタ値の変化度合いからエンジン1が完全に停止したか否かの判定がなされ、YESであればCAカウンタ値から決定されるピストン4の停止位置を記憶(ステップS19)してリターンする。
【0084】
次にエンジンの再始動について説明する。エンジン停止後に再始動条件が成立すると、自動的にエンジン1を再始動する制御が行われる。再始動に当たって、当実施形態では第1再始動モード、第2再始動モード及び第3再始動モードのうち何れかが選択され、その始動モードを経て通常の燃焼制御に移行する。各モードの詳細は後述するが、第1再始動モードでは、圧縮行程気筒3Cで燃焼を行って一旦エンジンを逆転させた後、膨張行程気筒3Aで燃焼を行ってエンジンを正転させる。その後、圧縮行程気筒3Cでの最初の燃焼ガスを排気することなく、残留ガス(未燃空気を含む)に燃料を噴射して再燃焼させる。第2再始動モードは、一旦エンジンを逆転させる点は第1再始動モードと同様であるが、圧縮行程気筒3Cでの再燃焼を行わない。第3再始動モードは、エンジンの逆転を行わず、スタータモータ28による始動アシストがなされる。
【0085】
図10は、その再始動モード選択のためのフローチャートである。エンジンの自動停止中に所定の再始動条件が成立する(ステップS101でYES)と、ステップS103及びステップS105において膨張行程気筒3Aのピストン停止位置(図9のステップS19で記憶された位置)の判定が行われ、その位置が図6の範囲A1にあればステップS107に移行し、第1再始動モードでの再始動を行う。同じく範囲A2にあればステップS109に移行し、第2再始動モードでの再始動を行う。そして同じく範囲A以外にあればステップS111に移行し、第3再始動モードでの再始動を行う。何れのモードが選択された場合も、その後ステップS113で通常の燃焼制御に移行し、リターンする。
【0086】
図11、図12は第1再始動制御モードの概略フローチャートである。また図13はそれに対応するエンジンの各気筒の行程と始動制御開始時点からの各気筒における燃焼(図中に燃焼の順序に従って丸印「1」,「2」,「3」・・・で示す)との関係を示すとともに、各燃焼によるエンジンの動作方向を矢印で示す図である。そして図14は、上記第1再始動制御モードによる場合のエンジン回転速度、クランク角、角気筒の筒内圧、図示トルク及び始動アシストを行う場合のスタータモータ28の駆動信号の時間的変化を示している。
【0087】
図11のフローチャートにおいて、第1再始動モードによる始動が開始すると、ステップS151で、ピストン4の停止位置に基づいて圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの筒内空気量を算出する。次にステップS153で、圧縮行程気筒3Cに対して算出した空気量に対し、所定のリーン空燃比(ピストン4の停止位置の関数として予め定められた特性M1のマップから読み取り。)となるように燃料が噴射される。続いてステップS155で膨張行程気筒3Aに対して算出した空気量に対し、所定の空燃比(理論空燃比付近。ピストン4の停止位置の関数として予め定められた特性M2のマップから読み取り。)となるように燃料が噴射される。次にステップS157で、所定の気化時間を考慮した設定時間経過後、圧縮行程気筒3Cにおいて点火(図14中の点火F1)がなされ、初回燃焼が行われる(図13中の「1」)。但し、点火を行っても着火しない、つまり燃焼が行われない虞があるので、次のステップS159で、クランク角センサ21,22のエッジ(図7に示す波形)が検出されたか否かの判定が行われる。YESであれば、クランクシャフト6が回転を始めた、即ち燃焼が行われたことを示す。NOであれば燃焼が行われなかったことを示すので、ステップS161に移行して再点火を行う。
【0088】
この初回燃焼による燃焼圧(図14中のa部分)で圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点側に押し下げられてエンジン1が逆転方向に駆動され、それに伴い、膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点に近づくことにより当該気筒3A内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇する(図14中のb部分。最大圧縮圧はP1)。
【0089】
次にフローチャートのステップS163で、所定のディレイ時間(膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点に充分に近づくまでの時間。ピストン4の停止位置の関数として予め定められた特性M3のマップから読み取り。)経過後に膨張行程気筒3Aに対する点火(図14中の点火F2)が行われて、予め当該気筒3Aに噴射されている燃料が燃焼し(図13中の「2」)、その燃焼圧(図14中のc部分)でエンジン1が正転方向に駆動される。
【0090】
膨張行程気筒3Aでの燃焼「2」が行われると、それまで逆転(エンジン回転数が負値)していたエンジン1が正転方向に切り換わる。その切り換わりポイントはエンジン回転数がゼロのとき(図14中の時点t3)である。図14に示す、エンジン逆転中の最小回転数R1(絶対値では最大)や膨張行程気筒3Aでの最大圧縮圧P1は、圧縮レベルを算出するためにECU30の回転速度判別手段36や筒内圧判別手段37によって記憶される。
【0091】
フローチャートのステップS165でYES(エンジン正転)と判定されると、次のステップS167で膨張行程気筒3Aの圧縮レベルが算出される。圧縮レベルは、図4(a)〜(d)に示す特性M4、M5、M6及びM7の各マップに基づき、所定の演算式によって算出される。そして次のステップS169(以降図12)で、圧縮レベルが所定の値を超えているかが判定され、YESであればステップS173に移行するが、NOであれば、その前にステップS171に移行し、スタータモータ28の駆動を開始する。即ち、圧縮レベルが所定値以下のときは始動不良が発生する可能性が高いと判断し、それを未然に防止するためにスタータモータ28によって始動アシストを行う(図14に示すように、エンジン回転数がゼロとなる時点t3付近でスタータモータ駆動信号ON)。
【0092】
エンジンが正転に転ずると、圧縮行程気筒3Cの筒内ガス(再始動を開始してからまだ排気弁12が開いていないので、初回燃焼「1」による既燃ガスは筒内に残存している)は再び圧縮される。そして次のステップS173で燃料の噴射と点火(図14中の点火F3)がなされ、2回目の燃焼(図13中の「3」)が行われ、その燃焼圧(図14中のd部分)でエンジン駆動力が高められる。この際の空燃比(理論空燃比相当とする)と点火時期は、ピストン4の停止位置の関数として予め定められた特性M8及びM9のマップから読み取る。
【0093】
そしてステップS175で、順次他の気筒に燃料の噴射と点火(図14中の点火F4、F5)がなされ、燃焼(図13中の「4」、「5」)が行われる。次のステップS177で、エンジン回転数が所定回転数N2(約500rpm)以上となったか否かを判定し、YESであれば、ステップS179及びS181へ移行し、スタータモータ28が駆動中の場合にその駆動を停止する(図14の時点t4)。図14に示すように、所定回転数N2は、4番気筒3D(図13に示すように、この気筒はエンジン停止時に吸気行程にある。以下吸気行程気筒3Dともいう)での燃焼「4」によって達する回転数であるように設定されている。即ち、エンジン回転数が所定回転数N2に達したことによって、吸気行程気筒3Dでの燃焼が開始したことを検知している。吸気行程気筒3Dでの燃焼が行われると、もはやスタータモータによるアシストがなくても以降の気筒での正常な燃焼が行われ、円滑な始動がなされる。また、所定回転数N2は、完爆回転数(クランキングによる通常の始動において、各気筒での燃焼が1回以上行われた状態を示す回転数であり、アイドル回転数よりもやや低めの回転数、例えば550〜600rpmである。)より低回転であるようにも設定されている。このように低回転でスタータモータ28の駆動を停止するので、クランキングノイズが抑制されて静粛性が高くなっている。
【0094】
次に、第2再始動モードによる始動について説明する。第2再始動モードも、第1再始動モードのフローチャートに準じた制御がなされる。但し、ステップS153でなされる圧縮行程気筒3Cへの燃料噴射が、理論空燃比もしくはそれよりややリッチな空燃比となるようになされる点と、ステップS173での2回目の燃焼「3」がなされない点とが異なる。なお、エンジン1が逆転から正転に切り換わる時点で、圧縮レベルが所定値以下のときにスタータモータ28による始動アシストを行う点も第1始動モードと同様である。
【0095】
上述のように第1再始動制御モードと第2再始動制御モードとがピストン4の停止位置によって使い分けられることにより、エンジン1の再始動が効果的に行われる。この点を図15も参照しつつ説明する。
【0096】
図15はエンジン停止時のピストン位置と圧縮行程気筒3Cの初回燃焼(逆転用)における要求空燃比、圧縮行程気筒3Cの空気量、膨張行程気筒3Aの空気量及び発生頻度との関係を示しており、この図のように、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点寄り)となるほど膨張行程気筒3Aの空気量が少なくて圧縮行程気筒3Cの空気量が多くなり、逆に膨張行程気筒3Aのピストン4が下死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン4が上死点寄り)となるほど膨張行程気筒3Aの空気量が多くて圧縮行程気筒3Cの空気量が少なくなる。
【0097】
また、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼では、圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点より少し手前(膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点より少し手前)となる所定位置までエンジンを逆転させるだけのトルクを生じさせることが要求されるが、圧縮行程気筒3Cのピストン4が上死点寄りにあれば、圧縮行程気筒3C内の空気量が少なく、かつ、上記所定位置までの逆転に要求されるトルクが比較的大きいので、要求空燃比がリッチとなり、一方、圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点寄りにあれば圧縮行程気筒内3Cの空気量が多く、かつ、上記所定位置までの逆転に要求されるトルクが比較的小さいので、要求空燃比がリーンとなる。
【0098】
膨張行程気筒3Aにおいては、ピストン4が下死点寄りにある程空気量が多いため燃料を多く燃焼させることができる。
【0099】
従って、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン位置が中間部より下死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン位置が上死点寄り)の所定範囲A2にある場合、圧縮行程気筒3Cでは初回燃焼時の空燃比が上記要求に適合するようにリッチとされ、初回燃焼後に燃焼用空気が残存しないため圧縮上死点付近での2回目の燃焼は行われないが、膨張行程気筒3Aでは空気量が比較的多くて、それに応じた燃料が噴射された上で、圧縮されてから着火、燃焼が行われるため、比較的大きなトルクが得られ、上記圧縮行程気筒3Cの圧縮上死点を過ぎてさらに次の気筒の圧縮上死点を越えるまでエンジンを回転させることができ、再始動を達成することができる。
【0100】
一方、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン位置が中間部より上死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン位置が下死点寄り)の所定範囲A1にある場合、範囲A2にある場合と比べると、膨張行程気筒内3Aの空気量が少ないため膨張行程での燃焼により得られるトルクが小さくなるが、圧縮行程気筒3Cでは初回燃焼時の空燃比が上記要求に対応してリーンとされ、それにより初回燃焼後も残存する余剰空気が利用されて圧縮上死点付近での2回目の燃焼が行われるため、エンジン正転方向の駆動のためのトルクが補われ、膨張行程気筒3Aでの燃焼と圧縮行程気筒3Cにおける2回目の燃焼の両方により、再始動を達成するに足るトルクが得られる。
【0101】
ところで、当実施形態では、前述のようにエンジン停止の際、燃料供給停止後に所定期間だけスロットル弁17を所定の開弁状態として吸気量を増加させることにより、圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aにおいてピストン4の上死点方向への移動に対する抵抗を大きくし、かつ、膨張行程気筒3Aの吸気量をより多くしているため、図15中にも示すように、エンジン停止時の膨張行程気筒3Aにおけるピストン位置は行程中間部付近の所定範囲A内となることが殆どであり、そのうちでも多少下死点寄りの範囲A2内となることが多く、このように停止位置が調整されることで効果的に再始動が行われる。
【0102】
すなわち、ピストン停止位置が上記範囲Aよりも膨張行程気筒3Aの上死点側(圧縮行程気筒3Cの下死点側)に近づきすぎた場合には、エンジン逆転方向の移動量を充分にとることができなくなるとともに、膨張行程気筒3Aの空気量が少なくなるので膨張行程気筒3Aでの燃焼により得られるトルクが少なくなり、また、上記範囲よりも膨張行程気筒3Aの下死点側(圧縮行程気筒3Cの上死点側)に近づきすぎた場合には、圧縮行程気筒3Cの空気量が少なくなるのでエンジン逆転のためのトルクが充分に得られなくなる。これに対し、ピストン停止位置が上記範囲A内にあれば、圧縮行程気筒3Cでの初期燃焼による逆転駆動が可能で、かつ、膨張行程気筒3Aでの燃焼が良好に行われてその燃焼エネルギーを充分にピストンに作用させることができ、とくにピストン停止位置が膨張行程気筒3Aの下死点寄りの範囲A2にあれば膨張行程気筒3Aの空気量を充分に多く確保でき、膨張行程気筒3Aでの燃焼エネルギーを増大させ、始動性を高めることができる。
【0103】
次に、エンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れた場合に選択され、再始動初期から始動アシストがなされる第3再始動モードについて説明する。図16は、第3再始動モード(モーターアシスト)のフローチャートである。所定の再始動条件が成立(ステップS201でYES)すると、ステップS202でスタータモータ28の駆動を開始する。次のステップS203でピストン4の停止位置に基づいて圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの空気量を算出し、ステップS204で圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの各空燃比が理論空燃比付近となるように燃料を噴射する。そして、ステップS205で、膨張行程気筒3Aの燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。従って、エンジン1は最初から正転方向に回転を始める。
【0104】
次に、ステップS206で所定クランク角となったとき圧縮行程気筒3Cに対して点火を行って燃焼させる。その後ステップS207で順次他の気筒に対しても燃料噴射と点火を行って燃焼させる。次のステップS208で、エンジン回転数が所定回転数N2(約500rpm)以上となったか否かを判定し、YESであれば、ステップS209へ移行し、スタータモータ28の駆動を停止する。この場合も、第1及び第2始動モードにおける始動アシストと同様、完爆回転数以下の低回転でスタータモータ28の駆動を停止するので、クランキングノイズが抑制されて静粛性が高くなっている。
【0105】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の装置の具体的構成は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で種々変更可能である。
【0106】
例えば、スタータモータ28からクランクシャフト6に駆動力を付与する手段として、必ずしもピニオン29とスタータリングギヤ41との噛合によるものでなくても良く、駆動ベルトとクラッチを組み合わせた機構等、何らかの動力伝達手段や切換え手段を備えた機構であれば良い。
【0107】
上記実施形態のスタータモータ28は、その駆動によってピニオン29を回転させると共にスタータリングギヤ41に噛合させるように構成されているが、これらの作動を独立させた機構、即ち、別途噛合手段によってピニオン29をスタータリングギヤ41に噛合させ、スタータモータ28の駆動によってピニオン29を回転させるような機構としても良い。そのようにすると、エンジン回転速度がゼロ付近の時に、始動アシストを行うか否かの判別が未定であってもピニオン29をスタータリングギヤ41に噛合させ、その後、アシスト要との判別が決定した場合にのみピニオン29を回転させて駆動力を付与し、そうでない場合にはピニオン29を回転させることなく非噛合状態に戻すような始動装置とすることができる。
【0108】
このようにすることにより、よりピニオン29とスタータリングギヤ41との噛合タイミングをよりエンジン回転数ゼロ時点に近づけることができるので、迅速性と静粛性を一層向上させることができる。
【0109】
この場合のエンジンは、必ずしも一旦逆転するものに限定されず、最初から正転させるものに適用しても良い。即ち、再始動開始と同時にピニオン29とスタータリングギヤ41とを噛合させ、必要に応じてスタータモータ28を駆動するようにしても良い。
【0110】
上記実施形態では、回転速度レベルとしてエンジン逆転中の最大回転速度の絶対値R1としたが、これに代えて平均回転速度の絶対値を回転速度レベルとしても良い。
【0111】
圧縮レベル判別手段は、上記実施形態に挙げたもの以外のパラメータを用いるものであっても、逆に上記のパラメータの一部を用いるものであっても良い。
【0112】
上記実施形態において、再始動直後の膨張行程気筒3Aへの燃料噴射は、圧縮行程気筒3Cへの噴射と略同時であっても、それより遅めの設定としても良い。例えば、図11に示すフローチャートで、ステップS155は、ステップS153と同時であっても良く、逆にステップS163の直前であっても良い。ステップS155をステップS153に近づけたものは、膨張行程気筒3Aにおける気化時間を長くすることができるので均一燃焼に適し、ステップS163に近づけたものは点火時に燃料を偏在させ易いので成層燃焼に適する。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明のエンジンの始動装置によると、エンジンを始動させる際、始動前のエンジン停止時に実質的に圧縮行程にある気筒と実質的に膨張行程にある気筒とに対して燃料を供給し、上記実質的に圧縮行程にある気筒で点火、燃焼を行って圧縮下死点付近までエンジンを一旦逆転させ、その後上記実質的に膨張行程にある気筒で点火、燃焼を行わせ、エンジンを正転方向に始動させるエンジンの始動装置において、上記実質的に膨張行程にある気筒が、エンジンの逆転によって圧縮状態となっているときの圧縮レベルを判別する圧縮レベル判別手段と、エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータとを備え、上記圧縮レベル判別手段によって、圧縮レベルが所定レベル以下であると判別されたとき、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する時点乃至はその付近で、上記スタータモータによって正転方向の始動をアシストすることを特徴とするので、必要に応じてスタータモータによる始動のアシストを行いながらも、その際の始動の迅速性を高めることができる。
【0114】
更に、その駆動力伝達手段がスタータモータとスタータリングギヤとを用いる場合には、クランキングノイズを低減し、静粛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】 上記エンジンの概略平面図である。
【図3】 上記エンジンの概略制御ブロック図である。
【図4】 各パラメータと圧縮レベルとの関係を示す特性図であり、(a)は回転速度レベルを、(b)は筒内圧レベルを、(c)はピストン移動量を、(d)は停止時間を、それぞれパラメータとするものである。
【図5】 エンジン停止時のエンジン回転数、スロットル開度及び吸気管負圧の変化並びに各気筒のサイクルを示す説明図である。
【図6】 エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動制御モード選択のための範囲の設定を示す説明図である。
【図7】 2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図8】 エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図9】 エンジン停止時の制御フローを示すフローチャートである。
【図10】 エンジン再始動時の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】 図10に示すフローチャートにおける、第1再始動モードのサブルーチンを示すフローチャート(前半)である。
【図12】 図10に示すフローチャートにおける、第1再始動モードのサブルーチンを示すフローチャート(後半)である。
【図13】 エンジン再始動時の各気筒のサイクル及び燃焼動作を示す説明図である。
【図14】 エンジン再始動時のエンジン回転数、クランク角、各気筒の筒内圧、図示トルク及び始動アシストを行う場合のスタータモータ駆動信号の、それぞれの変化を示す説明図である。
【図15】 エンジン停止時のピストン位置と圧縮行程気筒の要求空燃比、圧縮行程気筒の空気量、膨張行程気筒の空気量及び発生頻度との関係を示す説明図である。
【図16】 図10に示すフローチャートにおける、第3再始動モードのサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,1a エンジン
3 気筒
3A 1番気筒、膨張行程気筒(実質的に膨張行程にある気筒)
3C 3番気筒、圧縮行程気筒(実質的に圧縮行程にある気筒)
4 ピストン
6 クランクシャフト
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
21,22 クランク角センサ(回転速度検出手段)
26 指圧センサ
28 スタータモータ
29 ピニオン
30 ECU
35 圧縮レベル判別手段
36 回転速度判別手段
37 筒内圧判別手段
38 ピストン移動量検出手段
39 停止時間計測手段
41 スタータリングギヤ

Claims (9)

  1. エンジンを始動させる際、始動前のエンジン停止時に実質的に圧縮行程にある気筒と実質的に膨張行程にある気筒とに対して燃料を供給し、上記実質的に圧縮行程にある気筒で点火、燃焼を行って圧縮下死点付近までエンジンを一旦逆転させ、その後上記実質的に膨張行程にある気筒で点火、燃焼を行わせ、エンジンを正転方向に始動させるエンジンの始動装置において、
    上記実質的に膨張行程にある気筒が、エンジンの逆転によって圧縮状態となっているときの圧縮レベルを判別する圧縮レベル判別手段と、
    エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータとを備え、
    上記圧縮レベル判別手段によって、圧縮レベルが所定レベル以下であると判別されたとき、エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する時点乃至はその付近で、上記スタータモータによって正転方向の始動をアシストする
    ことを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. エンジンの逆転時に、その回転速度レベルを判別する回転速度レベル判別手段を備え、
    上記圧縮レベル判別手段は、上記回転速度レベル判別手段による回転速度レベルが高い程、圧縮レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    上記回転速度レベル判別手段は、エンジン逆転時の最高回転速度の絶対値が高い程、回転速度レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項2記載のエンジンの始動装置。
  4. エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    上記回転速度レベル判別手段は、エンジン逆転時の平均回転速度の絶対値が高い程、回転速度レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項2記載のエンジンの始動装置。
  5. エンジンの逆転時に、上記実質的に膨張行程にある気筒の筒内圧レベルを判定する筒内圧判別手段を備え、
    上記圧縮レベル判別手段は、上記筒内圧レベル判別手段による筒内圧レベルが高い程、圧縮レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  6. エンジン逆転時における、ピストンの移動量を検出するピストン移動量検出手段を備え、
    上記圧縮レベル判別手段は、上記ピストン移動量検出手段によるエンジン逆転時のピストン移動量が大なる程、圧縮レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  7. エンジンを運転状態から停止させ、その後エンジンを始動させる場合の、始動前のエンジン停止時間を計測する停止時間計測手段を備え、
    上記圧縮レベル判別手段は、上記停止時間計測手段によるエンジン停止時間が短い程、圧縮レベルが高いと判別する
    ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  8. クランクシャフトと一体回転するスタータリングギヤと、
    上記スタータリングギヤに対し噛合状態と非噛合状態とに切換可能に構成されるとともに、その噛合状態において上記スタータモータの駆動力を上記スタータリングギヤに伝達するピニオンとを備え、
    エンジンの回転方向が逆転から正転に移行する回転速度ゼロ付近で、上記スタータモータを非駆動状態としつつ上記ピニオンを噛合状態に切換えるとともに、上記圧縮レベル判別手段による圧縮レベルが所定レベル以下であると判別されたときのみ、その後上記スタータモータを駆動する
    ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  9. エンジンの回転方向が逆転から正転に移行した後、エンジン停止時に吸気行程にある気筒が燃焼を開始した時点付近で上記ピニオンを非噛合状態に切換える
    ことを特徴とする請求項8記載のエンジンの始動装置。
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