JP3963632B2 - 半導体光デバイス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体光デバイス装置に関し、特に、半導体レーザとして好適な半導体光デバイス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体光デバイス装置の代表的なものに半導体レーザがある。この半導体レーザの構造としては、リッジ導波路型ストライプ構造(以下「リッジ型」という)とセルフアライン導波路型ストライプ構造(以下「セルフアライン型」という)が広く知られている。
【0003】
図2(a)は、従来から知られている典型的なリッジ型半導体レーザの断面図を示す。図2(a)では、基板31上に第1導電型クラッド層32と活性層33が順に形成されており、活性層33上にはさらに第2導電型クラッド層34がリッジ状に形成されている。第2導電型クラッド層34のリッジ上面にはコンタクト層36、リッジ上面を除く表面には絶縁層35がそれぞれ形成されている。さらに化合物半導体層表面と基板表面には図示するように電極37,38が形成されている。このようなリッジ型半導体レーザでは、活性層33より上側にある絶縁層35によって電極間を流れる電流が絶縁層開口部に狭窄される。
【0004】
一方、図2(b)は、従来から知られている典型的なセルフアライン型の半導体レーザの断面図を示す。図2(b)では、基板41上に第1導電型クラッド層42、活性層43、及び酸化防止層44が順に形成されている。酸化防止層44の上には開口部を有する電流阻止層45が図示される形状で形成され、さらにその上に第2導電型クラッド層46およびコンタクト層47が順に形成されている。さらに化合物半導体表面と基板表面には図示するように電極48,49が形成されている。このようなリッジ型半導体レーザでは、活性層43より上側にある電流阻止層45によって電極間を流れる電流が絶縁層開口部に狭窄される。
このように、従来のリッジ型及びセルフアライン型の半導体レーザにおける電流狭窄は、いずれも活性層より上側の絶縁層や電流阻止層等を介して行われ、活性層より下側においては行われていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来型の電流狭窄構造では、活性層の上側に設けられた電流狭窄領域や該領域と電極との接触面の電気抵抗が大きい。このため半導体光デバイス装置の使用中に装置内で発熱が起こり、様々な問題が生じていた。例えば、発熱により活性層の温度が上昇するために、高出力動作時における信頼性が低下したり、出力飽和を起こすなどの弊害が生じている。また、熱抵抗の増加により、光出力や発振波長などの特性が変化したり、非可逆的破壊である光損傷(以下「COD」(Catastrophic Optical Damage)という)を生じるという問題も生じている。さらに、端面温度が上昇すると、エネルギーギャップが狭小化して端面での光吸収が増大し、これがさらなる端面の温度上昇を引き起こしてついには端面溶融による破壊に至ってしまうこともある。特にGaNやAlGaNなどのIII−V族の窒素含有半導体化合物で構成され、ドープされたp型層は、電気抵抗による発熱が起こると、該p型層の活性化が困難となるため、深刻な問題となっていた。
【0006】
このように半導体光デバイス装置内で発熱が起こると、出力飽和やCODによる光発振の停止、装置の劣化、特にIII−V族の窒素含有半導体化合物で構成されたp型層における活性の低下等の原因となり、半導体レーザの信頼性を低下させてしまうため、半導体光デバイス装置内における抵抗の低減化が求められていた。
かくして本発明は、上記の従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、電流狭窄時における通過電流の抵抗を低下させて発熱を防ぎ、かつ、横モードも制御することのできる半導体光デバイス装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、基板と活性層との間(例えば第1導電型クラッド層)に電流阻止層を形成すれば、電流狭窄時の電流抵抗を低下させ、発熱及び横モードの制御性を向上させ得ることを見い出し、本発明の半導体光デバイス装置を提供するに至った。
すなわち本発明は、基板上に活性層を含む化合物半導体層が形成されており;前記化合物半導体層には、前記活性層の下側に活性層より屈折率が小さいn型クラッド層が含まれ、かつ、前記活性層の上側に活性層より屈折率が小さいp型クラッド層が含まれており;前記n型クラッド層の内部には開口部を有する電流阻止層が形成されており;前記電流阻止層はストライプ状の開口部を有しており、前記電流阻止層は該開口部を除く基板上の全面にわたり形成されており;前記電流阻止層が、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、炭化珪素、スピネル、ガリウム酸リチウムのいずれかで構成されており;前記電流阻止層の下に酸化防止層が形成されている半導体光デバイス装置を提供する。
【0008】
本発明の半導体光デバイス装置の好ましい態様として、前記化合物半導体層が、活性層の上側及び下側にそれぞれ活性層よりも屈折率の小さい層を含む態様;前記活性層より屈折率の小さい層のうち、活性層の下側の層が第1導電型クラッド層であり、活性層の上側の層が第2導電型クラッド層である態様;前記電流阻止層が、前記第1導電型クラッド層の内部に形成されている態様;前記電流阻止層が、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、炭化珪素、スピネル(MgAl24)、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)のいずれかで構成されている態様;前記電流阻止層が、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素のいずれかで構成されている態様;前記第2導電型クラッド層がp型である態様;前記活性層が少なくともGa元素とN元素を含む態様;前記活性層がInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)で構成されている態様;前記活性層が、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のいずれかで構成されている態様;前記半導体光デバイス装置が半導体レーザである態様を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下において、本発明の半導体光デバイス装置について詳細に説明する。
本発明の半導体光デバイス装置は、基板上に活性層を含む化合物半導体層が形成されており、該基板と該活性層との間に開口部を有する電流阻止層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明の半導体光デバイス装置の構造を、図1に示す態様を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書に添付する図面は、構造を把握しやすくするために、敢えて寸法を変えている部分があるが、実際の寸法は本明細書中に記載されるとおりである。
図1(a)及び(b)では、基板11の上に、電流阻止層12、第1導電型クラッド層14、下側光ガイド層15、及び活性層16が形成されている。図1(a)における電流阻止層12は、光導波路の直下にある基板上には形成されず、光導波路の直下から左右の基板の側面にわたり形成される。このため、光導波路の直下には電流阻止層12の存在しない電流狭窄領域、すなわち開口部13が形成されている。一方、図1(b)における電流阻止層12は、図1(a)の形成部分に加えてさらに端面近傍にも形成されており、電流は端面近傍を除く開口部13に狭窄される。図1(a)及び(b)では、さらに活性層16の上に、電子リーク防止層17、上側光ガイド層18、第2導電型クラッド層19、及びコンタクト層20が順に形成されている。また、コンタクト層と基板の表面にはそれぞれ電極21,22が形成されている。
【0011】
本発明では、基板11、活性層16、及び基板と活性層の間に形成された開口部を有する電流阻止層12が必須の構成要素とされる。その他の層の種類、材質、形状については請求項の記載に従いつつ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。図1(a)及び(b)に記載される構成層は一例に過ぎず、本発明の半導体光デバイス装置は、これらの層の他に半導体光デバイス装置に形成可能な層を適宜有していてもよい。
【0012】
なお、本明細書において「A層の上に形成されたB層」という表現は、A層の上面にB層の底面が接するようにB層が形成されている場合と、A層の上面に1以上の層が形成され、さらにその層の上にB層が形成されている場合の両方を含むものである。また、A層の上面とB層の底面が部分的に接していて、その他の部分ではA層とB層の間に1以上の層が存在している場合も、上記表現に含まれる。
また、「A層の下に形成されたB層」という表現も「A層の上に形成されたB層」と同様、A層の下面にB層の上面が接するようにB層が形成されている場合と、A層の下面に1以上の層が形成され、さらにその層の下にB層が形成されている場合の両方を含むものである。
具体的な態様については、以下の各層の説明と実施例の具体例から明らかである。
【0013】
本発明の半導体光デバイス装置を構成する基板11は、その上に化合物半導体結晶を成長することが可能なものであれば、その導電性や材料については特に限定されない。
好ましくは導電性のある基板であり、特に閃亜鉛鉱型構造を有する結晶基板を用いるのが好ましい。その場合、基板結晶成長面は低次な面またはそれと結晶学的に等価な面が好ましく、(100)面が最も好ましい。
なお、本明細書において(100)面という場合、必ずしも厳密に(100)丁度の面である必要はなく、最大30°程度のオフアングルを有する場合まで包含する。オフアングルの大きさの上限は30°以下が好ましく、16°以下がより好ましい。下限は0.5°以上が好ましく、2°以上がより好ましく、6°以上がさらに好ましく、10°以上が最も好ましい。
【0014】
また、基板11は六方晶型の基板でもよく、その場合はAl23、6H−SiC等の上にも形成されるものである。基板11上には、通常基板の欠陥をエピタキシャル成長層に持ち込まないために厚み0.2〜2μm程度のバッファ層を形成しておくことが好ましい。
【0015】
具体的には、基板11としてはInAlGaN系エピタキシャル層の成長が可能なものがよく、例えば、炭化珪素(SiC)、サファイア(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)、スピネル(MgAl24)、珪素(Si)、燐化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等である。
また、裏面側に電極を取れるようにするためには、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)、燐化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等を導電性基板として用いることがより好ましい。
さらに、その上に積層する層と格子整合し、かつ熱膨張係数が同じとなるGaNあるいはAlGaNバルク単結晶基板からなるホモ基板を用いることがさらに好ましい。
なお、基板上には、低温バッファ層、クラック防止層の挿入及び選択成長を利用した貫通転位を低減させる手法(ELOG、FIELOなど)を取り入れることにより、半導体レーザ等の発光素子に適した窒化物半導体を成長させることも可能である。
【0016】
基板11の上には、活性層を含む化合物半導体層が形成される。活性層を含む化合物半導体層は、通常、活性層16の上下に活性層より屈折率の小さい層を含んでおり、そのうち活性層の下側の層(基板側の層)は第1導電型クラッド層14、活性層の上側の層は第2導電型クラッド層19として機能することが好ましい。このとき、第2導電型クラッド層19の下にはさらに電流リークを防ぐために電流リーク防止層17を形成しておくことが好ましい。このほかレーザ光分布を垂直方向に拡大する目的で、下側光ガイド層15、上側光ガイド層18を含んでいてもよい。
【0017】
電流阻止層12の材料としては、電流を阻止する機能を有し、開口部13に電流を集中させることができるものであればその種類は特に限定されない。例えば、絶縁性のある誘電体(窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、炭化珪素、スピネル(MgAl24)、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)など)、第1導電型クラッド層14と逆の導電型を有する材料、あるいは高抵抗の半導体(例えば、GaN、AlGaN、AlN)などを挙げることができる。
【0018】
電流阻止層12の材料として絶縁性のある誘電体を使用すれば、比較的薄くても十分な電子阻止機能を示すため好ましい。また、反応性イオンエッチングや湿式エッチング等によりIII族窒化物に対する選択的なエッチングを容易に行うことができるので、製造プロセス上の利点も大きい。特に、電流阻止層12の材料として、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素等を使用した場合には、クラッド層との屈折率段差も容易に制御できるため、構造設計上特に好ましい。
【0019】
電流阻止層12の厚みは、薄すぎると電流の阻止機能が不十分となり、厚すぎると電流の通過抵抗が大きくなる。このため、電流阻止層12の厚みは、下限は10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。上限は2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
特に電流阻止層12が絶縁性のある誘導体である場合には、その厚みの上限は0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。また半導体である場合には、その厚みの下限は0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。
【0020】
電流阻止層12は、図1(b)に示すように端面およびその近傍(以下、端面近傍という)にも形成することができる。このように端面近傍に電流非注入領域を形成することにより、端面での電流再結合を低減することが可能となり、CODレベルを高めて、素子の信頼性を向上させることができる。
【0021】
電流非注入領域は、両方の端面近傍に形成されていることが好ましいが、片方の端面近傍にだけ形成されていてもよい。片方にだけ形成されている場合は、より高出力のレーザ光が出射される端面側に形成されていることが好ましい。
【0022】
端面近傍に形成される電流阻止層12は、端面からの幅が狭すぎると電流非注入の効果が低減したり、端面の温度上昇を招くことがある。一方、広すぎると電流非注入領域での損失が増加するために、しきい値電流の増大やスロープ効率の低減などレーザ特性の劣化を招くことがある。そこで、端面近傍に形成される電流非注入領域は、下限としては端面からの幅が5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。一方、該電流非注入領域の端面からの幅の上限としては、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
電流阻止層12を形成する場合、その下側に酸化防止層を設けても構わない。酸化防止層の材料は特に限定されず、通常の化合物半導体層形成に用いられる材料の中から適宜選択して用いることができる。特に好ましいのはGaNである。
【0024】
開口部13は、電流狭窄領域として機能する。開口部13の形状及び形成位置は特に限定されるものではなく、電流狭窄の態様に応じて適宜定められる(図1(a)及び(b)参照)。図1(a)及び(b)では、開口部13の断面の幅が開口部底部から頂部に至るまで一定であるが、幅は一定でなくても構わない。例えば、底部から頂部に向かい幅が広くなっていてもよいし、狭くなっていてもよい。また、幅が変化する場合は一定割合で連続的に変化していてもよいし、段階的に変化していてもよい。好ましいのは、幅が連続的に変化する態様である。
開口部13の幅は、広すぎると電流の狭窄機能が不十分となり、狭すぎると電流の通過抵抗が大きくなってしまう。このため、開口部13の幅の下限は0.5μm以上が好ましく、1μm以上であることが好ましい。また開口部13の幅の上限は1000μm以下が好ましく、500μm以下であることが好ましい。特に単一モードで動作させるためには、開口部13の幅は5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3.5μm以下がさらに好ましい。
【0025】
光出力が30mW以上の高出力動作を実現するためには、開口部底部における開口幅を広くすることが端面での光密度低減の観点から有効であるが、動作電流を低減するためには開口幅を狭くすることが、導波路ロス低減の観点から好ましい。このような場合、ゲイン領域となる中央付近の開口幅を比較的狭くし、端部付近の開口幅を比較的広くなるように設計することにより、低動作電流と高出力動作を同時に実現することができ、高い信頼性を確保することができる。
【0026】
一方、高い信頼性を維持しつつ、ビームがアスペクト比2以下の円形に近いレーザを達成するためには、開口幅を狭くすることが有効である。一方、開口幅を狭くし過ぎると注入電流密度がバルク劣化を抑制するため好ましくない。このような場合、ゲイン領域となる中央部幅を比較的広くし、端部付近を比較的狭くなるようにすることにより、ビームスポット低減と低動作電流を同時に実現することができ、高い信頼性を確保することができる。
【0027】
第1導電型クラッド層14は、基板11と活性層16との間に好ましく形成される。第1導電型クラッド層14は、活性層よりも屈折率の小さい材料で形成される。
第1導電型クラッド層14は、例えば、第1導電型のInP、GaInP、AlGaInP、AlInP、AlGaAs、AlGaAsP、AlGaInAs、GaInAsP、GaN、AlGaN、AlGaInN、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnSeTe、ZnO、MgZnO、MgO等の一般的なIII−V族、II−VI族半導体で構成することができる。
【0028】
各クラッド層の屈折率の大小関係は、各クラッド層の材料組成を当業者に公知の方法にしたがって適宜選択することにより調節することができる。例えば、AlxGa1-xAs、(AlxGa1-x0.5In0.5P、AlxGa1-xNなどのAl組成を変化させることにより屈折率を調節することができる。
第1導電型クラッド層14のキャリア濃度は、電流狭窄時の電流通過抵抗を少なくし、発熱による出力飽和やCODを防止するために高めに設定することが好ましい。第1導電型クラッド層14のキャリア濃度の下限としては、1×1017cm-3以上が好ましく、3×1017cm-3以上がより好ましく、5×1017cm-3以上が最も好ましい。また該キャリア濃度の上限は2×1019cm-3以下が好ましく、5×1018cm-3以下がより好ましく、3×1018cm-3以下が最も好ましい。
【0029】
第1導電型クラッド層14は、図1に示すように単層からなるものであっても、2層以上の層からなるものであってもよい。単層からなるときは、厚みの下限は0.5μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましく、0.7μm以上がさらに好ましい。また厚みの上限は3μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
第1導電型クラッド層が2層以上形成されている例として、活性層16の側にGaInP、AlGaN、AlGaInP又はAlInPからなる第1導電型第2クラッド層と、その層よりも基板11側に第1導電型のAlGaN、AlGaAs又はAlGaAsPからなる第1導電型第1クラッド層が形成されている態様を例示することができる。このとき、活性層16側の第1導電型第2クラッド層の厚みは、屈折率等の点から薄くすることが好ましく、厚みの下限としては0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましい。上限としては、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。
また、基板11側の第1導電型第1クラッド層のキャリア濃度は、下限は3×1017cm-3以上が好ましく、5×1017cm-3以上がより好ましい。上限は2×1018cm-3以下が好ましく、5×1018cm-3以下がより好ましい。
第1導電型第2クラッド層のキャリア濃度は、第1導電型第1クラッド層のキャリア濃度よりも低くすることが好ましい。
【0030】
下側光ガイド層15は、活性層の光ガイドとして作用するものである。例えば、第1導電型のInP、GaInP、AlGaInP、AlInP、AlGaAs、AlGaAsP、AlGaInAs、GaInAsP、GaN、AlGaN、AlGaInN、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnSeTe、ZnO、MgZnO、MgO等の一般的なIII−V族、II−VI族半導体で構成することができる。
活性層がInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)で構成されている場合、下側ガイド層15はGaN、InGaNで成長させることが望ましい。通常、下側ガイド層15は、10nm〜3μm、より好ましくは20nm〜0.5μmの膜厚で成長させることが望ましい。またこの下側光ガイド層15には第1導電型の不純物をドープしてもよい。
【0031】
本発明の半導体光デバイス装置を構成する活性層16の構造は、特に制限されず、図1の(a)及び(b)の態様においては、三重量子井戸構造(TQW)を有している。この三重量子井戸構造(TQW)は具体的には光閉じ込め層(ノンドープ)23、量子井戸層(ノンドープ)24、バリア層(ノンドープ)25、量子井戸層(ノンドープ)26、バリア層(ノンドープ)27、量子井戸層(ノンドープ)28及び閉じ込め層(ノンドープ)29を順次積層した構造を有する。
この三重量子井戸構造以外にも、例えば、量子井戸層及び前記量子井戸層を上下から挟む光閉じ込め層からなる単一量子井戸構造(SQW)や、複数の量子井戸層及びそれらに挟まれたバリア層ならびに最上の量子井戸層の上及び最下の量子井戸層の下に積層された光閉じ込め層からなる二重量子井戸構造(DQW)や4層以上の量子井戸層を有する多重量子井戸構造(MQW)であってもよい。
活性層16を量子井戸構造とすることにより、単層のバルク活性層と比較して、短波長化かつ低しきい値化を達成することができる。
【0032】
活性層16の材料組成は、活性領域として機能するものであれば特に限定されない。例えば、GaAs、GaInAs、GaInP、GaInAsP、GaN、GaInN、GaNAs、GaNP、ZnSSe、CdZnSeTe、CdZnO、ZnO等の一般的なIII−V族、III−VI族半導体を用いることができる。好ましくは、少なくともGa元素とN元素を含むもの、あるいはInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)であり、より好ましくは、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のいずれかで構成されている活性層である。さらにV族にヒ素又はリンを加えて、例えばGaNAs、GaInNAs、GaNP、GaNAsPなどで構成された活性層であってもよい。
【0033】
電子リーク防止層17は、リーク電流を防止するために好ましく形成される。電子リーク防止層17は、リーク電流を防止する機能を有するものであれば、特に材質や形状は限定されないが、AlGaN、AlN、AlGaInN、AlInNなどで構成されることが好ましく、AlGaNで構成されることがより好ましい。
電子リーク防止層17のキャリア濃度は、下限は、1×1016cm-3以上が好ましく、5×1016cm-3以上がより好ましく、1×1017cm-3以上が最も好ましい。上限は、1×1019cm-3以下が好ましく、5×1018cm-3以下がより好ましく、3×1018cm-3以下が最も好ましい。
電子リーク防止層17の厚みは、光デバイス素子の出力向上の観点から、0.1μm以下にすることが好ましく、下限は特に限定されないが、5nm以上であることが望ましい。
【0034】
電子リーク防止層17の上には上側光ガイド層18が形成されていてもよい。該上側光ガイド層18は、活性層の光ガイド層として機能し、バンドギャップエネルギーが電子リーク防止層17よりも小さければ、その材料は特に限定されない。例えば、第2導電型のZnP、AlGaInP、AlInP、AlGaAs、AlGaN、AlGaAsP、AlGaInAs、GaInAsP、AlGaInN、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnSeTe等の一般的なIII−V族、II−VI族元素の半導体を用いることができる。
活性層16がInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)である場合の電子リーク防止層17は、好ましくは下側光ガイド層15と同じくGaN、InGaNで構成され、アンドープGaNで構成されていることがさらに好ましい。
【0035】
第2導電型クラッド層19は、活性層16より上側に形成される。第2導電型クラッド層19は、活性層16よりも屈折率の小さい材料で形成されることが好ましく、第2導電型クラッド層19がp型となるような半導体化合物で形成されることがより好ましい。第2導電型クラッド層19の材料としては、例えば第2導電型のZnP、AlGaInP、AlInP、AlGaAs、AlGaN、AlGaAsP、AlGaInAs、GaInAsP、AlGaInN、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnSeTe等の一般的なIII−V族、II−VI族元素の半導体を用いることができる。
活性層16がInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)で形成されている場合、第2導電型クラッド層19は、第2導電型のGaN、AlGaNで構成されていることが好ましい。
【0036】
第2導電型クラッド層19のキャリア濃度は、下限は2×1017cm-3以上が好ましく、5×1017cm-3以上がより好ましく、7×1017cm-3以上が最も好ましい。上限は2×1019cm-3以下が好ましく、5×1018cm-3以下がより好ましく、3×1018cm-3以下が最も好ましい。
第2導電型クラッド層19は、図1に示すように単層で形成されるものであっても、2層以上で形成されるものであってもよい。単層からなるときの厚みの下限としては、0.5μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましく、0.7μm以上が最も好ましい。厚みの上限としては、3μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2μm以下が最も好ましい。
第2導電型クラッド層19が2層以上形成されている例として、活性層16側にGaInP、AlGaN、AlGaInP又はAlInPからなる第2導電型第1クラッド層と、その層よりも上側に第2導電型のAlGaN、AlGaAs又はAlGaAsPからなる第2導電型第2クラッド層が形成されている態様を例示することができる。このとき、活性層16側の第2導電型第1クラッド層の厚みは、屈折率等の点から薄くすることが好ましく、厚みの下限としては0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましい。上限としては、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。
【0037】
本発明の好ましい実施様態では、第2導電型クラッド層19の屈折率は、第1導電型クラッド層14の屈折率よりも小さい。このような態様を採用することにより、活性層から光ガイド層側へ有効に光がしみ出すように光分布(近視野像)を制御することができ、高出力動作におけるレーザ特性や信頼性の向上を達成することができる。
【0038】
電極を形成するに先立ち、電極材料との接触抵抗を低減するために、低抵抗(高キャリア濃度)のコンタクト層20を形成することが好ましい。特に電極を形成しようとする最上層表面の全体にコンタクト層を20形成したうえで電極を形成することがより好ましい。
【0039】
このとき、コンタクト層20の材料は、通常はクラッド層よりバンドギャップが小さい材料の中から選択し、金属電極とのオーミック性を得るため低抵抗で適当なキャリア密度を有するものが好ましい。例えば、GaAs、GaInAs、GaInP、GaInAsP、GaN、GaInN、GaNAs、GaNP、GaInAsN、ZnSSe、CdZnSeTe等の一般的なIII−V族、III−VI族半導体を用いることができる。
【0040】
コンタクト層20のキャリア濃度の下限は、1×1018cm-3以上が好ましく、3×1018cm-3以上がより好ましく、5×1018cm-3以上が最も好ましい。また上限は、2×1020cm-3以下が好ましく、5×1019cm-3以下がより好ましく、3×1019cm-3以下が最も好ましい。
コンタクト層20の厚みは、下限は0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。上限は10μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、4μm以下がさらに好ましい。
【0041】
コンタクト層20が形成された上面の一部は、さらに酸化防止等の目的で保護膜で覆うことも可能である。
特に、第2導電型クラッド層19がAlを含むIII−V族元素の化合物半導体で構成されている場合は、AlGaInP系やAlGaInN系など比抵抗の高い材料(とりわけp型において)で保護膜を形成すれば、装置全体の抵抗低減に有効である。
【0042】
なお本発明は、上述のとおり活性層より下側で電流狭窄する構造、すなわち活性層と基板との間に電流阻止層を形成したことを特徴とする。したがって、活性層と基板との間に電流阻止層が形成されているものであれば、活性層よりも上側の層構造は図1の(c)及び(d)に示すように従来のセルフアライン型及びリッジ型半導体レーザと同様であっても構わない。ただし、このように活性層の上下で電流狭窄を行う場合は、電流狭窄領域の構造やクラッド層の材質を適宜選択して、電流抵抗が高くならないような条件を選択することが好ましい。
【0043】
図1における本発明の態様では、電流阻止層および第1導電型クラッド層を除く化合物半導体層が、全面にわたり略均一な厚みを有する平面層として積層されているが、必ずしもこれらの層は全面にわたって均一な厚みを有し、かつ平面になるように積層されている必要はない。特に、電流阻止層により狭窄された電流によって目的とする機能が発揮される限り、電流が流れない領域や流れても機能に影響が及ばない領域の構成は特に制限されない。このため、化合物半導体層の断面は、リッジ状乃至は凸状になっていてもよく、例えば狭窄電流が主として流れる領域においては十分な層厚を有し、電流が流れない領域や流れても機能に影響が及ばない領域については層厚が薄くなっていたり、層そのものが形成されていなくてもよい。
【0044】
具体的には、図4に示す本発明の態様を好ましい例として挙げることができる。図4における半導体光デバイス装置は、図1と同様に、電極210、基板201、第1導電型第1クラッド層202、酸化防止層203及び電流阻止層204は基板201と同幅で層状に積層されている。しかし、第1導電型第2クラッド層205、活性層206、第2導電型クラッド層207、コンタクト層208及び電極209は、基板201の幅よりも小さい幅で凸状に積層されている。
【0045】
図4の態様では、凸状に形成された化合物半導体層の左右の少なくとも一方に、いわゆるダミー領域(図示せず)を設けてもよい。例えば、電流阻止層以外の第1導電型クラッド層上又は酸化防止層上にダミー領域を形成することが可能である。本明細書における「ダミー領域」とは、電極に印加した場合に電流が流れないか電流が流れても発光などの主目的とする機能を果たさない領域をいう。例えば、第1導電型第2クラッド層205の形成に先立ち、酸化防止層203上に、中央に開口部を有するストライプ状の電流阻止層204を形成し、該ストライプ状の電流阻止層204の左右には酸化防止層203が剥き出しになっている領域を設けておくことにより、ダミー領域を形成してもよい。すなわち、開口部内とともに、ストライプ状の電流阻止層の左右にも第1導電型第2クラッド層205、活性層206、第2導電型クラッド層207、コンタクト層208が形成されるため、ストライプ状の電流阻止層の左右にダミー領域が形成される。ダミー領域の化合物半導体層表面には電極を形成せずにSiNx絶縁膜等で覆うことが好ましい。
このようにしてダミー領域を形成すれば、開口部に制御性良く化合物半導体層を形成することができるとともに、製造後にウエハをダミー領域で劈開することができるため、製造プロセス上の利点が大きい。
【0046】
本発明の半導体光デバイス装置を製造する方法は特に制限されない。いかなる方法により製造されたものであっても、上記請求項1の要件を満たすものであれば本発明の範囲に含まれる。
本発明の半導体光デバイス装置を製造する際には、従来から用いられている方法を適宜選択して使用することができる。結晶の成長方法は特に限定されるものではなく、ダブルヘテロ構造の結晶成長や電流ブロック層等の選択成長には、有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線エピタキシー法(MBE法)、ハイドライドあるいはハライド気相成長法(VPE法)、液相成長法(LPE法)等の公知の成長方法を適宜選択して用いることができる。該成長方法としてMOCVD法やMBE法を用いることが好ましく、MOCVD法を用いるとより好ましい。
【0047】
各層の具体的な成長条件等は、層の組成、成長方法、装置の形状等に応じて異なるが、MOCVD法を用いてIII−V族化合物半導体層を成長する場合、又はAlGaAsの場合には、成長温度600〜800℃程度、V/III比10〜100程度である。またInGaNとAlGaNの場合には、成長温度700〜1100℃、V/III比100〜10000程度で行うのが好ましい。
【0048】
特に選択成長する部分がAlGaAs、AlGaInPのようにAlを含む場合、成長中に微量のHClガスを導入することにより、マスク上へのポリの堆積を防止することができるため非常に好ましい。Alの組成が高いほど、あるいはマスク幅あるいはマスク面積比が大きいほど、他の成長条件を一定とした場合、ポリの堆積を防止し、かつ半導体表面露出部のみに選択成長を行う(セレクティブモード)のに必要なHCl導入量は増加する。
【0049】
一方、HClガスの導入量が多すぎるとAlGaAs層の成長が起こらず、逆に半導体層がエッチングされてしまうが(エッチングモード)が、Al組成が高くなるほど他の成長条件を一定とした場合、エッチングモードになるのに必要なHCl導入量は増加する。
このため、最適なHCl導入量はトリメチルアルミニウム等のAlを含んだIII族原料供給モル数に大きく依存する。具体的には、HClの供給モル数とAlを含んだIII族原料供給モル数の比(HCl/III族)は、下限は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が最も好ましい。上限は、50以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下が最も好ましい。
【0050】
本発明では、開口部の幅及び活性層と保護膜との距離を適切な範囲内に設定すること、光の垂直広がり角が特定範囲となる様な構成とすること等を採用することにより、自励発振型の半導体光デバイス装置を提供することも可能である。
【0051】
本発明の半導体光デバイス装置を利用した半導体レーザ装置として、情報処理用光源(通常AlGaAs系(波長780nm近傍)、AlGaInP系(波長600nm帯)、InGaN系(波長400nm近傍))、通信用信号光源(通常InGaAsPあるいはInGaAsを活性層とする1.3μm帯、1.5μm帯)レーザ、ファイバー励起用光源(InGaAs歪み量子井戸活性層/GaAs基板を用いる980nm近傍、InGaAsP歪み量井戸活性層/InP基板を用いる1480nm近傍など)レーザなどの通信用半導体レーザ装置などの特に高出力動作が求められる多用な装置を挙げることができる。
【0052】
また、通信用レーザでも、円形に近いレーザはファイバーとの結合効率を高める点で有効である。また、遠視野像が単一ピークであるものは、情報処理や光通信などの幅広い用途に好適なレーザとして供することができる。
さらに、本発明の半導体光デバイス装置は、半導体レーザ以外に半導体光増幅器、光検出器、光変調器、光スイッチなどの光素子及びこれらの集積装置についても応用が可能である。
さらに、本発明は半導体レーザ以外に端面発光型などの発光ダイオード(LED)としても応用可能である。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0054】
(実施例1)
本実施例において、図3に示す順に各層を形成することにより半導体光デバイス装置を製造した。
また、本実施例においては、結晶成長はMOCVD法で行い、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH3)を用い、ドーパントにCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)及びシラン(SiH4)を用いた。
【0055】
まず、厚み100μmで表面が(0001)Si面を有する4H−SiCまたは6H−SiCの基板101上に、厚み1μmのn型Al0.1Ga0.9N第1クラッド層(Siドープ:n=1×1018cm-3〜5×1018cm-3)102、厚み20nmのn型GaNからなる酸化防止層103(n=1×1018cm-3〜5×1018cm-3)の順に1000℃で積層した。
次に、酸化防止層103の全面に、厚み200μmの窒化珪素(SiNx)膜を形成し、フォトリソグラフィーにより、幅3μmのストライプ状開口部を有するSiNxからなる電流阻止層104を300μm間隔で(1−100)方向に多数形成した(図3(a))。
【0056】
次いで、1050℃で厚み0.4μmのn型Al0.1Ga0.9Nn型第2クラッド層(Siドープ:n=1X1018〜1×1019cm-3)105を成長させた(図3(b))。このときn型第2クラッド層105は、SiNx電流阻止層104上に直接形成させずに、まず開口部内の酸化防止層103上に上方向に成長させてから、左右のSiNx電流阻止層104上に横方向に成長させた。横方向への成長の際には、成長速度が最適になるようにIII族原料の供給量及び成長圧力を調節した。
次いで、厚み0.1μmのアンドープGaNからなるn型下側光ガイド層106を1050℃で成長させ、次に、800℃で厚み4nmのアンドープIn0.15Ga0.85N井戸層、及び厚み10nmのアンドープIn0.02Ga0.98N障壁層を交互に形成して総厚み46nmの多重量子井戸構造(MQW)の活性層107を成長した。
【0057】
次いで、温度を1050℃に上げ、厚み25nmのp型Al0.2Ga0.8N電子リーク防止層(Mgドープ:p=1X1019〜1×1020cm-3)108、バンドギャップエネルギーがp側電子リーク防止層よりも小さい厚み0.1μmのアンドープGaNp型上側光ガイド層109の順に積層した。
続いて、厚み1.2μmのp型Al0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層(Mgドープ:p=1X1018〜1×1019cm-3)110、厚み1μmのGaNp型コンタクト層(Mgドープ:p=5X1019〜1×1020cm-3)111をそれぞれ1050℃で順次成長させて化合物半導体層の成長を終了した(図3(c))。
【0058】
次に、n型SiC基板101を研磨して厚みを100μmまで薄くした後、p型コンタクト層111のリッジ最表面のほぼ全面に電極112を形成し、一方、n型SiC基板11の表面に電極113を形成した(図3(d))。
この電極を形成したウエハを電極に垂直な方向にバー状に劈開して、劈開面(1−100)面に共振器を作製した。このときの共振器長は600μm、端面における共振器幅は300μmとし、共振器面に誘電体多層膜を形成した。
【0059】
このようにして作製した半導体レーザ素子のSiC基板の裏面側をヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、室温において連続発振を示し、良好なレーザ特性が歩留まりよく得られた。
【0060】
比較例として、活性層の下側に電流阻止層104を形成せずに、これと同じサイズの電流阻止層をp型クラッド層110内に形成した従来型のリッジ型半導体レーザ素子を作製して電流抵抗を測定した。活性層より上側のp側領域で電流狭窄を行う比較例の半導体レーザ素子に比べて、活性層より下側のn側領域で電流狭窄を行う実施例の半導体レーザ素子の抵抗は約1/2であった。これより実施例の半導体レーザ素子では、電流通過による抵抗熱を大幅に減少することができたため、従来型の半導体レーザ素子に比べて素子の寿命を大幅に向上させ、かつ、出力を高めることができた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の半導体光デバイス装置によれば、基板と活性層との間(例えば第1導電型クラッド層)に電流阻止層が形成されているため、電流狭窄時の電流通過による抵抗を大幅に低減することができる。また、抵抗の低下により発熱を抑制できるので、光出力や発信波長などの特性変化を防ぐことが可能になるとともに、素子の寿命も長くすることができる。さらに、非可逆的光損傷(COD)レベルを高めたり、製造プロセスを簡素化することが可能であり、また、従来以上に横モードの制御が容易となるため、これまで困難であった高出力かつ高信頼性のあるGaN系半導体レーザの製造も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体光デバイス装置の具体的態様を示す図である。
【図2】 従来型のリッジ導波路型ストライプ構造半導体レーザ及びセルフアライン型ストライプ構造半導体レーザの断面構造を示す図である。
【図3】 実施例における本発明の半導体光デバイス装置の製造工程を説明する工程図である。
【図4】 本発明の半導体光デバイス装置に関する一態様の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
11 基板
12 電流阻止層
13 開口部
14 第1導電型クラッド層
15 下側光ガイド層
16 活性層
17 電子リーク防止層
18 上側光ガイド層
19 第2導電型クラッド層
20 コンタクト層
21,22 電極
23 光閉じ込め層
24 量子井戸層
25 バリア層
26 量子井戸層
27 バリア層
28 量子井戸層
29 光閉じ込め層
31 基板
32 第1導電型クラッド層
33 活性層
34 第2導電型クラッド層
35 絶縁層
36 コンタクト層
37,38 電極
41 基板
42 第1導電型クラッド層
43 活性層
44 酸化防止層
45 電流阻止層
46 第2導電型クラッド層
47 コンタクト層
48,49 電極
101 基板
102 n型第1クラッド層
103 酸化防止層
104 電流阻止層
105 n型第2クラッド層
106 n型下側光ガイド層
107 活性層
108 電子リーク防止層
109 p型上側光ガイド層
110 p型クラッド層
111 p型コンタクト層
112,113 電極
201 基板
202 第1導電型第1クラッド層
203 酸化防止層
204 電流阻止層
205 第1導電型第2クラッド層
206 活性層
207 第2導電型クラッド層
208 コンタクト層
209,210 電極

Claims (9)

  1. 基板上に活性層を含む化合物半導体層が形成されており、
    前記化合物半導体層には、前記活性層の下側に活性層より屈折率が小さいn型クラッド層が含まれ、かつ、前記活性層の上側に活性層より屈折率が小さいp型クラッド層が含まれており、
    前記n型クラッド層の内部には、開口部を有する電流阻止層が形成されており、
    前記電流阻止層はストライプ状の開口部を有しており、前記電流阻止層は該開口部を除く基板上の全面にわたり形成されており、
    前記電流阻止層が、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、炭化珪素、スピネル、ガリウム酸リチウムのいずれかで構成されており、
    前記電流阻止層の下に酸化防止層が形成されている半導体光デバイス装置。
  2. 前記電流阻止層が、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素のいずれかで構成されている請求項1の半導体光デバイス装置。
  3. 前記電流阻止層の厚みが0.5μm以下である請求項1または2の半導体光デバイス装置。
  4. 前記活性層が少なくともGa元素とN元素を含む請求項1〜3のいずれか一項の半導体光デバイス装置。
  5. 前記活性層がInxGayAlzN(x+y+z=1,0≦x,y,z≦1)で構成されている請求項1〜4のいずれか一項の半導体光デバイス装置。
  6. 前記活性層が、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムガリウムのいずれかで構成されている請求項5の半導体光デバイス装置。
  7. 前記化合物半導体層には、前記電流阻止層の下側にn型第1クラッド層が含まれ、前記電流阻止層の上側にn型第2クラッド層が含まれている請求項1〜6のいずれか一項の半導体光デバイス装置。
  8. 前記半導体光デバイス装置が半導体レーザである請求項1〜7のいずれか一項の半導体光デバイス装置。
  9. 前記化合物半導体層には、前記基板の幅よりも小さい幅の凸状部が含まれている請求項1〜8のいずれか一項の半導体光デバイス装置。
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