JP3963026B2 - 記録液および画像記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録液および画像記録方法に関する。さらに詳細には、水、着色剤及び樹脂微粒子を含有する記録液およびそれを使用する画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューター等の情報機器の出力装置に関して、最近ランニングコストが安くかつカラー化が容易な方式として、記録液の液滴をヘッドから吐出させて記録体上に記録を行う画像記録方法であるインクジェット方式が注目されている。この方式において、インクジェットプリンタ用の記録液としては、従来、水と染料を主成分とする染料水溶液が使用されているが、ノズルから飛ばされた記録液が記録紙に付着したとき、記録液が記録紙で滲み、このため飛翔時に形成した記録液滴粒よりも著しく大きなドットになったり、記録された画像の濃度が低く、したがって画質が低いという問題があった。また記録された画像の耐水性が低いため、水により容易に画像が滲んだり、画像が流れるという問題があった。また耐光性が低く、太陽光等の光の照射により容易に画像が退色するという問題もあった。
【0003】
従来より、染料水溶液のこれらの問題を解決するために、造膜性の樹脂微粒子を記録液に添加する技術が開示されている。すなわち、樹脂微粒子としてラテックスの添加が特公昭60−32663号公報に、カルボキシル基とノニオン親水性基を有する水分散性樹脂の添加が特開平5−239392号公報に、非架橋構造のビニル系高分子の添加が特開平5−255628号公報に、イオン性基を有するポリエステル粒子の添加が特開平6−340835号公報に、および染色した樹脂微粒子の添加が特開平5−255567号公報に開示されている。またポリエステル等の樹脂微粒子と架橋剤とを別に配合し、記録体上で樹脂を架橋させる技術が特公平7−47355号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特公昭60−32663号公報、特開平5−239392号公報、特開平5−255628号公報、特開平6−340835号公報、特開平5−255567号公報および特公平7−47355号公報に開示されている記録液では、いずれも、記録ヘッドの吐出口部分において、空気との接触による記録液中の水分の蒸発に伴い、樹脂微粒子の造膜作用が開始されるため、吐出口での目詰まりが発生し、そのため記録液を安定して吐出することは不可能であった。また、初期に吐出できたとしても、記録紙繊維への毛細管現象による記録液の滲みを完全に防ぐことはできず、高画質画像を得ることは不可能であった。さらにまた、記録紙内部への記録液の浸透を完全に防ぐことができず、高画像濃度化と高画質化に限界があった。耐水性についても同様に限界があった。また、上記従来開示の記録液において、吐出口での目詰まり回避のため、記録液に対し水を加えて希釈することが考えられるが、それを実施した場合、相対的に記録液の同一体積の液滴中に含まれる樹脂微粒子の含有量、すなわち画像形成に寄与する樹脂固形分含有量が減少し、そのため画像濃度が著しく低下し、高画質な画像を得ることは不可能であった。すなわち、従来開示の上記記録液では、樹脂微粒子の高含有量化(樹脂固形分高含有化)による高画像濃度化およびそれによる高画質化の達成と吐出口での目詰まり回避の両立は不可能であった。
【0005】
これらの問題点を解決するために、特開平3−160068号公報には、記録液の最低造膜温度(MFT:Minimum Film forming Temperature)が40℃以上である材料を用いることにより、ノズルでの目詰まりを防止する方法が、さらに特開平3−160069号公報には、ポリマー微粒子を二重構造とし、その外層部をフッ素系のポリマーとすることにより、ノズル内部との親和性をなくして目詰まりを防止する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、常温における記録紙上での樹脂皮膜形成の時間が長いため、記録紙へのしみ込みを完全に防ぐことができず、十分に高い画像濃度を得ることができない。また、皮膜の強度が弱く、摩擦やボールペンによる上書きにより容易に膜がはがれ落ちるという定着強度上の欠点も有している。特開平4−370166号公報、特開平5−1254号公報には、これらの記録液で記録した後、樹脂の皮膜が十分な定着強度をもつように加熱して造膜させる方法が開示されているが、熱定着装置などの新たな付加手段を必要とし、電力消費が大きくなるという欠点を有している。
【0006】
さらに、別の解決方法として、特開平8−113740号公報には、記録液に塩化物や水酸化物などの無機塩を添加し、空気中の水分を吸収してノズルの乾燥固化を防ぐ方法が開示されているが、インク流路における金属の腐食や、湿度に対する皮膜の安定性、皮膜の透明性が低くなり、二次色の発色性が落ちる等の欠点を有している。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、記録紙上での記録液の滲みや浸透を無くし、画像濃度が高く、定着性、耐水性に優れ、かつ目詰まりのない吐出安定性に優れたインクジェットプリンタ用の記録液およびそれを用いる画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成可能な本発明の記録液は、水、着色剤、常温で造膜性の樹脂微粒子(但し、ポリエステル系樹脂微粒子を除く)および非水溶性で、常温で非造膜性の固体微粒子を含み、該固体微粒子が合成高分子微粒子であることを特徴とする。また、本発明の画像記録方法は、記録液液滴をヘッドから吐出させて記録体上に記録を行うものであって、上記の記録液を使用することを特徴とする。
【0009】
本発明の上記記録液において、固体微粒子は非着色固体微粒子であって、略球状であることが好ましく、また、固体微粒子の平均粒径は0.05〜5μmであることが好ましい。また、着色剤は、顔料または染料であって、顔料の含有量が1ないし50重量%または染料の含有量が0.2ないし40重量%であることが好ましい。さらに樹脂微粒子は、自己架橋性の樹脂微粒子であることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、着色剤と常温で造膜性のある樹脂微粒子とを水に分散させた記録液について、常温で非水溶性で非造膜性の固体微粒子を含ませることにより、定着性を犠牲にせずに、高画像濃度で記録ヘッドの吐出口での目詰まりのないものとすることができる。したがって高画質で目詰まりのない吐出安定に優れたインクジェットプリンタ用の記録液を得ることが可能になる。
【0011】
なお、本発明における「常温」の範囲は、一般に人間が日常生活をしている温度範囲のことを指し、より具体的には−10℃〜40℃の範囲を意味する。また、「常温で造膜性の」とは、−10℃〜40℃の範囲のいずれかで造膜することを意味し、そのためには最低造膜温度(MFT)が40℃以下である必要がある。
【0012】
また、本発明における「非水溶性」とは、純水に対して溶解せずに固体状態のまま安定に存在することを意味し、具体的には純水に対する溶解度が常温で0.1wt%以下であることを意味する。また、本発明における「非造膜性」とは、常温の範囲、具体的には−10℃〜40℃の範囲で融着や溶融により固体粒子同士が融着しないことを意味する。この場合、固体微粒子の材料としては、最低造膜温度(MFT)が40℃以上であることが必要である。さらに、本発明における固体微粒子に関し、「非着色固体微粒子」とは、いわゆる顔料、染料により着色されていない固体微粒子のことを意味し、また、非着色固体微粒子自身が顔料であることもない。より具体的には、固体微粒子の材料としては透明か白色であることを表している。粉末あるいは液相中に分散されている状態では、光の散乱や屈折率の関係で外見が白色であっても構わない。
【0013】
本発明において、「略球形」とは、粒子の形状が真球に近いことを意味する。微粒子の球形の度合いを測定する方法の中で最も一般的な方法は、粒子が分散された状態(液相あるいは気相中で個々の粒子が離れて存在している状態)において、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡などで拡大観察して2次元の粒子プロファイルを測定する方法である。詳細には、拡大画像を2次元画像処理して、個々の粒子の面積Sと周囲長Lを測定し、その比によって定義される形状係数(=L/2(πS)1/2 ×100)を算出することにより、粒子の真球に近い度合いを知ることができる。この形状係数(L/2(πS)1/2 ×100)は、真円で100、正六角形で約105、正方形で約113となり、形状が真円から遠くなるほど大きくなる。分散された粒子はそれぞれ偏りなく2次元に投影されていると見なせるので、この値の平均値(およそ100個以上の粒子の平均値)が100に近いほど粒子形状が真球に近いと判断できる。本発明において固体微粒子が略球形とは、具体的には上記形状係数に換算して200以下の値であることを指している。
【0014】
本発明において、上記のような優れた記録液特性が得られる理由として、次のような作用によるものと考えられる。第一の作用は、記録液中の樹脂微粒子同士の接近が、非造膜性の固体微粒子の存在により妨げられることである。これにより樹脂微粒子同士の接近および衝突確率が減少する効果が生じる。第二の作用は、樹脂微粒子と固体微粒子との間では融着が生じないため、この固体微粒子の存在により記録液の流動性を安定的に確保できることである。以上のような作用の総合作用により、記録液中での樹脂微粒子の接近から、衝突、融着、そして膜化(造膜)までに至る記録ヘッド吐出口での目詰まり発生原因の一連のプロセスが阻害されるものと考察されている。
【0015】
また、記録液が記録体上に付着した場合は、記録体中への水の浸透により記録液の粘度が急速に上昇するとともに、樹脂微粒子の融着が生じ、記録液の固形分は記録体の表面近くに留まったまま造膜し定着される。この時、着色剤と固体微粒子は樹脂微粒子に吸着され、あるいは造膜作用により膜中に取り込まれて記録体表面上に残留することになる。そのため、記録液の滲みや浸透が無く、高濃度の着色剤を含む膜が記録体表面に形成され、光学濃度の高い画像を記録することが可能になる。また、樹脂微粒子と固体微粒子はすべて固形分として含有されるため、記録体表面上に着色剤を含んだ高固形分の強固な膜を形成することができる。このため、記録液の膜の高画像濃度化と良好な定着性が、上記目詰まり防止達成と同時に両立して可能になる。
【0016】
さらに、樹脂微粒子として自己架橋性の樹脂微粒子を用いることによって、自己架橋性の樹脂微粒子の高速造膜性により記録体の上に一層速やかに画像が形成される。すなわち、記録ヘッドから飛翔した記録液の液滴が記録体に付着した直後から、記録液中の水分の蒸発と紙への浸透に伴い、自己架橋性の樹脂微粒子の架橋反応が高速に進行し、着色剤を樹脂の中に閉じ込めた強固な画像膜が急速に形成される。さらに共存する他の自己架橋性の樹脂微粒子や非架橋性樹脂微粒子の膜化も合わせて進行し、これらにより、記録液の滲みや浸透が防止され、樹脂とその中に分散し閉じ込められた着色剤とからなる高画像濃度で、かつ高い耐水性のある画像を、紙などの記録体上に形成することが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その実施の形態によって詳細に説明する。
本発明に用いる常温で造膜性の樹脂微粒子(以下、水に分散させる常温で造膜性の樹脂微粒子を単に「樹脂微粒子」と記述する。)は、例として、アクリルシリコーン系樹脂微粒子、フッ素系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、酢酸ビニル系樹脂微粒子、塩化ビニル系樹脂微粒子、スチレン−ブタジエン重合体系樹脂微粒子、ポリウレタン系樹脂系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、酢酸ビニル−アクリル共重合体系樹脂微粒子、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体系樹脂微粒子、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂系樹脂微粒子、ポリアミド樹脂系樹脂微粒子、およびシリコーン系樹脂微粒子などの樹脂微粒子をあげることができる。
【0018】
また、本発明に用いる自己架橋性の樹脂微粒子の例として、上記のうち、アクリルシリコーン系樹脂微粒子、アクリルアミド系樹脂微粒子などを用いることができる。特にアクリルシリコーン系樹脂微粒子のうちのアルコキシシリル基含有アクリルシリコーン系樹脂微粒子は、最も優れた高速造膜性を有しているため、急速画像形成に最適である。すなわち、記録体上に記録液が付着した直後から、水が蒸発あるいは記録紙内部に浸透し、それに伴なってアクリルシリコーン樹脂微粒子の融着が生ずる。それにより粒子に含まれるアルコキシシリル基は、残存する水の作用をうけて極めて速く縮合し、着色剤を閉じ込めた強固なシロキサン架橋膜を形成する。その結果、高速造膜性が発揮される。このアルコキシシリル基を有する自己架橋性のアクリルシリコーン樹脂微粒子のアルコキシシリル基のアルキルは、炭素数が1個〜3個のアルキルであり、特に炭素数が1個〜2個のアルキルであることが好ましい。アクリル骨格を形成するモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル等が例示できる。これらのモノマーを単独、あるいは複数を併用することができる。
【0019】
また本発明において、記録液中に含まれる樹脂微粒子として、特に、フッ素系樹脂微粒子の使用は、この樹脂が造膜性すなわち画像形成性に優れ、かつフッ素樹脂本来の高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えているため、高撥水かつ高耐水性で高画像濃度の画像形成に有用である。フッ素系樹脂微粒子として、特に、フルオロオレフィン単位を有するフッ素系樹脂微粒子などの使用が有用である。より具体的には、フルオロオレフィン単位およびビニルエーテル単位から構成される含フッ素ビニルエーテル系樹脂微粒子が効果的に使用できる。ここでフルオロオレフィン単位を形成する化合物の例は、CF2 CF2 、CF2 CFCF3 、CF2 CFClから選ばれた化合物である。またビニルエーテル単位を形成する化合物の例は、CH2 CHOCH3 、CH2 CHOC2 5 、CH2 CHOC3 7 、CH2 CHOC4 9 、CH2 CHOC5 11、CH2 CHOCH2 OH、CH2 CHOC2 4 OH、CH2 CHOC3 6 OH、CH2 CHOC4 8 OH、CH2 CHOC5 10OH、CH2 CHOCH2 COOH、CH2 CHOC2 4 COOH、CH2 CHOC3 6 COOH、CH2 CHOC4 8 COOH、CH2 CHOC5 10COOH、CHCH3 CHOCH3 、CHCH3 CHOC2 5 、CHCH3 CHOC3 7 、CHCH3 CHOC4 9 、CHCH3 CHOC5 11、CHCH3 CHOCH2 OH、CHCH3 CHOC2 4 OH、CHCH3 CHOC3 6 OH、CHCH3 CHOC4 8 OH、CHCH3 CHOC5 10OH、CHCH3 CHOCH2 COOH、CHCH3 CHOC2 4 COOH、CHCH3 CHOC3 6 COOH、CHCH3 CHOC4 8 COOH、CHCH3 CHOC5 10COOH等である。またこれらの組合せの仕方としてフルオロオレフィン単位とビニルエーテル単位が完全に交互に組合せられた交互共重合体となるような組合せが好ましい。
【0020】
本発明に用いるそれぞれの樹脂微粒子の平均粒子径は、0.01μm〜5μmであることが好ましいが、0.05μm〜3μmであることがより好ましい。樹脂微粒子の平均粒子径が0.05μm未満の場合には造膜性が悪く、また5μmを超えると光学濃度(画像濃度)が低下する。
【0021】
本発明に用いることのできる常温で非造膜性の固体微粒子(以下、単に「固体微粒子」という。)は、合成高分子微粒子など、常温で非造膜性で、かつ顔料、染料などを含まないものであればその組成は如何なるものであってもよい。
【0022】
固体微粒子の平均粒径は、0.05〜5μmであることが望ましい。平均粒径が0.05μm未満になると、樹脂微粒子との配位効果が小さくなり、また樹脂微粒子との吸着などの相互作用が大きくなるので、目詰まりに対する効果が薄くなる。逆に平均粒径が5μmより大きくなると、記録紙上の皮膜の膜厚が薄い場合(5μm以下)、固体微粒子が膜に取り込まれきれず摩擦などで脱落し易くなるなど、定着不良の問題が顕著になってくる。これらの不具合を発生させず、さらに良好な目詰まり防止の効果を得ようとする場合は、固体微粒子の平均粒径を0.1〜2μmとすることが望ましい。なお、その粒度分布(粒径の標準偏差σ)は狭い方が目詰まりに対する効果が大きく、平均粒径φとの比σ/φが5以下であることが望ましい。σ/φが5より大きくなると、次第に固体微粒子の分散安定性が悪くなるほか、定着性の悪化や濃度ムラなどの問題が発生することがある。したがって、より安定した効果を発揮させるにはσ/φが3以下であることがさらに望ましい。
【0023】
さらに、本発明においては固体微粒子の形状が複雑な突起などを持っている場合、周囲の着色剤と凝集して発色性を損なったり濃度ムラを生じることがある。したがって、固体微粒子の形状は球形に近いことが望ましい。具体的には、粒子を拡大観察して測定した形状係数(=L/2(πS)1/2 ×100、S:面積、L:周囲長)の値が、200以下であることが望ましい。より好ましくは150以下の値であるものが使用される。また、固体微粒子の形状が球形に近く、その粒度分布が狭いほど、記録液中での分散安定性が優れたものになる。
【0025】
また、固体微粒子として用いることのできる合成高分子微粒子の材料としては、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系樹脂、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアセタール、エポキシ樹脂などの高分子材料があげられる。これらの樹脂は、乳化重合、懸濁重合、シード重合などの高分子重合法や、懸濁凝集法、粉砕樹脂を熱風にて溶融する方法を用いれば粒子化することができる。このうち、乳化重合あるいは懸濁重合などの重合による方法を用いることが好ましく、粒度分布が狭く球形に近い樹脂粒子を得ることができる。
【0026】
また、これらの合成高分子微粒子の重合度を調整することによって、常温での造膜性を制御することができる。具体的には、重合度を高くすると、最低造膜温度(MFT)が上昇する。その他、共重合体の場合は共重合させるモノマーの比率を調整する方法によっても、最低造膜温度(MFT)を制御することが可能である。固体微粒子として用いることのできる合成高分子微粒子の材料は、前述した常温で造膜性を有する樹脂微粒子と同じ材料で構成されていてもよいが、以上のような方法により最低造膜温度(MFT)を高くして常温での造膜性をなくして非造膜性にすることが必要である。
【0027】
本発明において、固体微粒子としては、上記の材料による微粒子を1種類あるいは、2種類以上混ぜて使うこともできる。また、これらの固体微粒子は、気相中に粉末状態で得られたものでも、あるいは水性の連続相中に分散された状態で得られたものでもよい。
【0028】
さらに本発明において、造膜性を有する樹脂微粒子と非造膜性の固体微粒子の合計含有量(樹脂微粒子と固体微粒子の固形分の合計含有量)は、記録液の全量に対して10〜95wt%であることが好ましく、15〜90wt%の範囲であることがより好ましく、20〜80wt%の範囲であることがさらに好ましい。含有量が10wt%未満になると、画像の光学濃度が低くなり、また95wt%を超えると吐出安定性が低下する。
【0029】
また、本発明においては、固体微粒子の含有量(固体微粒子の固形分重量)は、樹脂微粒子の固形分に対して0.5〜80wt%であることが望ましい。非着色固体微粒子の比率が0.5wt%より少ないと目詰まり防止の効果が小さくなり、また80wt%を越えると記録液中での分散安定性が次第に悪くなる。したがって、より好ましくは、非着色固体微粒子の含有量(非着色固体微粒子の固形分重量)は、造膜性を有する樹脂微粒子の固形分に対して1〜50wt%であることが望ましい。
【0030】
本発明における着色剤としては、顔料、水溶性染料、分散染料等が用いられ、主溶媒である水との親和性がよいもの、均一分散性が良好なものであれば使用することができる。
【0031】
本発明に用いることのできる顔料としては、有機顔料、無機顔料等があげられ、例えば、白黒用としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。更にカラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138および153、C.I.ピグメントバイオレット1、3、5:1、16、19、23および38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16等の顔料があげられる。記録液全量に対する顔料の添加量は、1〜50wt%が好ましいが、さらには、1.5〜40wt%が好ましい。これらの顔料をより均一に分散するためには、場合によってボールミル等で分散処理してもよい。
【0032】
本発明に用いることのできる水溶性染料としては、直接染料、酸性染料等があげられ、例えば、C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173および199、C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100および101、C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、144、161および163、C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、201、202、244、251および280、C.I.アシッドブラック7、24、29および48、C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90および103、C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、44、49、50、61、110、174および218、C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、80、106、112、120、205、230、271および280等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの染料の添加量は、染料の種類、溶媒成分の種類、記録液に対して要求されている特性等に依存して決定されるが、一般には、記録液全量に対して0.2〜40wt%、好ましくは0.5〜30wt%の範囲である。
【0033】
さらに、本発明の記録液には、必要に応じて、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH調節剤、防カビ、防腐、防錆等の目的で安息香酸、ジクロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビタン酸等を添加することができる。さらに必要に応じて、エチレングリコール、グリセリンなどの各種一般添加剤を記録液に加えてもよい。
【0034】
記録液の製造は、以下に示す手順で行うことができるが、それに限定されるものではない。
着色剤の水分散液をボールミルで分散し、着色剤粒子が単分散状態になったことを顕微鏡観察により確認し、その分散液に、水に分散させた樹脂微粒子を添加し、撹拌して均一に混合させる。その後、粉末状の固体微粒子を加え、ホモジナイザーによって3000rpmで10分間撹拌して固体粒子を分散させる。さらに、防腐剤等の添加物を加え完全溶解を確認した後、得られた分散液を孔径10μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミおよび粗大粒子を除去し、記録液を得ることができる。
固体微粒子の分散方法は上記の方法によるものの他に、予め水を主体とする分散媒に固体微粒子の粉末を分散したものを添加して混合してもよい。この場合、分散剤としてイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子分散剤などを添加して分散してもよい。
【0035】
本発明の記録液は、その液滴をヘッドから吐出させて紙などの記録体上に記録を行なう画像記録方法に使用することができるほか、筆記具、印刷、スタンプ用インクとして用いることもできる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
実施例1
樹脂微粒子として、自己架橋性の樹脂微粒子として水に分散させた加水分解性メトキシシリル基を有するアクリルシリコーン樹脂微粒子と、非着色固体微粒子としてポリメチルメタクリレートの微粒子および着色剤として銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物とを、次の配合割合になるように混合して記録液を作製した。
アクリルシリコーン樹脂微粒子分散液 66重量部
(三洋化成工業製SW−135、固形分=35wt%)
非着色固体微粒子 2重量部
(綜研化学製MP−2200、平均粒径0.4μm)
銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物
(大日精化工業製EP−700、固形分=34.7wt%) 32重量部
樹脂・固体微粒子比率
=固体微粒子÷(樹脂固形分+固体微粒子)×100=10wt%
固形分中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷(樹脂固形分+固体微粒子+顔料固形分)×100
=30wt%
記録液中全固形分濃度
=(樹脂固形分+固体微粒子+顔料固形分)÷記録液全量
×100=36.4wt%
記録液中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷記録液全量×100=10.9wt%
【0037】
上記のようにして作製した記録液を、バーコーターを用いて複写機用普通紙(富士ゼロックス社製L紙、WR紙、J紙)上に塗布し、室温(25℃)で乾燥させることにより、普通紙上に塗布乾燥膜からなるベタ画像を得た。そして得られた画像の光学濃度(Optical Density)を測定した。画像面積1cm2 あたり0.9mgという少量の記録液量で塗布したベタ画像の光学濃度を、反射濃度計X−Rite404にて5点平均で測定した結果、いずれの紙においても光学濃度1.6以上の値を示し、高い光学濃度が得られることが分かった。また、これらの普通紙上のベタ画像の縦断面を光学顕微鏡により観察したところ、ベタ画像は普通紙の上に主として形成されていて、記録液の普通紙中への浸透は殆ど認められなかった。
【0038】
この記録液の定着性を試験するために、3種類の普通紙に対し、前述した条件で作製したベタ画像の塗布面の上に、普通紙(富士ゼロックス社製L紙)を重ね、ペンオフセット試験を行った。重ねた普通紙の上から、筆圧300gに設定したエリクセン社製318テストバーにて長さ5cmの直線を引き、重ねた普通紙の塗布面と密着していた部分を拡大観察した。その結果、記録液を塗布してから室温(25℃)に30秒以上放置したベタ画像では、重ねた紙への記録液の付着は全く観察されず、塗布面の膜の剥がれもなかった。さらに、同条件で3種類の普通紙に作製したベタ画像に対し、指で摩擦して記録液の剥がれを試験した結果、いずれのサンプルでも記録液の剥がれ、指への記録液の付着などは全く発生せず、定着性に優れていることが確認された。
【0039】
この記録液の耐水性の性能を調べるため、前述した方法で作製した塗布面を蒸留水のついた指で擦ってみたところ、記録液の指への付着、記録液の紙内部へのしみ込み、非塗布部分との境界での滲みは一切発生しなかった。さらに、上記条件で3種類の普通紙上に作製したベタ画像を一辺2cmの正方形に切取り、これらをシャーレ内の蒸留水50mlに浸して室温(25℃)で24時間放置した。その後、これらのサンプルを取り出し、室温で8時間乾燥後、塗布面に対して前述したペンオフセットの試験を行ったところ、重ねた普通紙の塗布面と密着してしていた部分への記録液の付着は全く認められなかった。また、これら24時間放置した3種類の普通紙のサンプルの光学濃度は、前述した反射濃度計X−Rite404の測定で、光学濃度1.6を示し、耐水性に対して全く問題がないことが確認された。
【0040】
次に、記録ヘッド吐出口での記録液の目詰まり性を次に述べる方法で評価した。内径15mmの注射器の先に内径180μmの標準注射針(岩下エンジニアリング社製)をセットし、この注射器の中に記録液を一定量10ml(ミリリットル)吸入した。この注射器の上部を開放あるいは密閉することにより、注射針からの記録液の滴下あるいは非滴下(停止)を制御した。この実験方式による目詰まり性の具体的評価法は次の通りである。まず、注射器の上部を密閉し注射針からの記録液の滴下を停止させた状態にする。次いである時間放置経過後、上部を開放し、記録液が継続して注射針から滴下可能か否かを測定評価した。そして注射針から滴下可能な記録液の最大休止時間(最大放置時間)を目詰まり発生までの余裕時間とした。以上のようにして測定した記録液の目詰まり発生までの余裕時間は25秒と長いものであった。
【0041】
さらに次に、市販のインクジェットプリンタを用いて、この記録液の普通紙上への印字テストを実施した。その結果、水で希釈しない原液状態で、安定吐出可能であった。以上のようにして印字されたサンプルの印字ドットを拡大ルーペおよび光学顕微鏡により観察したところ、ドット周辺部への記録液の滲みのない、また画像濃度の高い鮮明なドットが形成されていることが確認された。
【0046】
実施例
樹脂微粒子として、水に分散させたフルオロオレフィンとビニルエーテルの共重合体の乳化重合により作製された含フッ素ビニルエーテル系樹脂からなるフッ素樹脂微粒子と、非着色固体微粒子としてポリメタクリル酸メチルの微粒子と、さらに着色剤として銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物とを次の配合割合になるように混合して記録液を作製した。
フッ樹脂微粒子分散液
(旭硝子製FE−3000、固形分=50wt%) 58重量部
非着色固体微粒子
(綜研化学製MP−2200、平均粒径0.4μm): 3重量部
銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物
(大日精化工業製EP−700、固形分=34.7wt%) 39重量部
樹脂・固体微粒子比率
=固体微粒子÷(樹脂固形分+固体微粒子)×100=10wt%
固形分中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷(樹脂固形分+固体微粒子+顔料固形分)×100
=30wt%
記録液中全固形分濃度
=(樹脂固形分+固体微粒子+顔料固形分)÷記録液全量×
100=45.4wt%
記録液中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷記録液全量×100=13.6wt%
【0047】
上記のようにして作製した記録液を、バーコーターを用いて複写機用普通紙(富士ゼロックス社製L紙、WR紙、J紙)上に、画像面積1cm2 あたり0.9mgの記録液塗布量で塗布し、室温(25℃)で乾燥させることにより、普通紙上に塗布乾燥膜からなるベタ画像を得た。そして得られた画像の光学濃度を実施例1と同様の方法で測定した結果、いずれの紙においても光学濃度1.5以上の値を示し、高い光学濃度が得られた。また、これらの普通紙上のベタ画像の縦断面を光学顕微鏡により観察した結果、記録液の普通紙中への浸透は殆ど認められなかった。
【0048】
この記録液の定着性を実施例1と同様の方法で試験(ペンオフセット試験、指での摩擦試験)した結果、3種類の普通紙に対し、いずれのサンプルでも記録液の剥がれ、指への記録液の付着などの問題は全く発生せず、定着性に優れていることが確認された。
この記録液の耐水性の性能を実施例1と同様の方法で試験した結果、水のついた指での塗布面の摩擦試験、24時間水浸し試験のいずれにおいても、耐水性に対して全く問題がないことが確認された。
【0049】
次に、記録ヘッド吐出口での記録液の目詰まり性を実施例1と同様の方法で試験した結果、上記記録液の目詰まり発生までの余裕時間は20秒以上と長いものであった。
さらに、市販のインクジェットプリンタを用いて、上記記録液の普通紙上への印字テストを実施した結果、実機でも安定した吐出が可能であった。印字されたサンプルの印字ドットを拡大ルーペおよび光学顕微鏡により観察したところ、ドット周辺部への記録液の滲みのない、また画像濃度の高い鮮明なドットが形成されていることが確認された。
【0054】
比較例
本発明の効果を比較する目的で、実施例1および2の記録液から非着色固体微粒子を除いた記録液を、固形分中顔料濃度が実施例1の場合と等しくなるように作製し、評価を行った。記録液の配合を以下に示す。
【0055】
比較例1
アクリルシリコーン樹脂微粒子分散液
(三洋化成工業製SW−135、固形分=35wt%) 70重量部
銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物
(大日精化工業製EP−700、固形分=34.7wt%) 30重量部
固形分中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷(顔料固形分+樹脂微粒子固形分)×100
=30wt%
記録液中全固形分濃度
=(顔料固形分+樹脂微粒子固形分)÷記録液全量×100
=34.9wt%
記録液中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷記録液全量×100=10.5wt%
【0057】
比較例
フッ樹脂微粒子分散液
(旭硝子製FE−3000、固形分=50wt%) 62重量部
銅フタロシアニン系顔料(ピグメントブルー15:3)水性分散物
(大日精化工業製EP−700、固形分=34.7wt%) 38重量部
固形分中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷(顔料固形分+樹脂微粒子固形分)×100
=30wt%
記録液中全固形分濃度
=(顔料固形分+樹脂微粒子固形分)÷記録液全量×100
=44.2wt%
記録液中顔料(着色剤)濃度
=顔料固形分÷記録液全量×100=13.2wt%
【0058】
上記のようにして作製した記録液を、実施例1と同様にバーコーターを用いて複写機用普通紙(富士ゼロックス社製L紙、WR紙、J紙)上に、画像面積1cm2 あたり0.9mgの記録液塗布量で塗布し、室温(25℃)で乾燥させることにより、普通紙上に塗布乾燥膜からなるベタ画像を得た。そして得られた画像の光学濃度を実施例1と同様の方法で測定した結果、比較例1およびのいずれの場合も、すべての紙で光学濃度1.5以上の値を示した。また、これらの普通紙上のベタ画像の縦断面を光学顕微鏡により観察した結果、記録液の普通紙中への浸透は殆ど認められなかった。
【0059】
次に、記録ヘッド吐出口での記録液の目詰まり性を実施例1と同様の方法で試験した。各比較例の記録液の目詰まり発生までの余裕時間は、比較例1が8秒、比較例2が5秒であり、いずれも実施例の場合に比較して極めて短いものであった。
【0060】
また、実施例1と同様に市販のインクジェットプリンタを用いて、これら各比較例による記録液を用いて、普通紙上への印字テストを実施した。その結果、目詰まりによる印字不能までの時間は、比較例1で10秒、比較例2が5秒であり、それぞれ実施例の場合に比較して極めて短いものであった。いずれの場合もクリーニングを行ったが、初期状態には復帰しなかった。このヘッドのノズル部分を顕微鏡で拡大観察したところ、すべてのノズル出口で、記録液が乾燥し固着していることが判明した。
【0061】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の記録液においては、固体樹脂微粒子の作用により、記録液中での樹脂微粒子の接近から、衝突、融着によるヘッド吐出口での目詰まり発生原因を阻害することが可能である。したがって、目詰まりのない吐出安定性に優れたインクジェットプリンタ用の記録液として使用することができる。さらに本発明の記録液を用いれば、滲みや浸透が無く、高濃度の着色剤を含む膜が記録体表面に形成され、画像濃度(光学濃度)の高い画像を記録することが可能になる。また、記録体表面上に着色剤を含んだ高固形分の膜は、定着性、耐水性にも優れている。その結果、記録液の膜の高画像濃度化およびそれによる高画質化と、目詰まりの防止の実現が、同時に両立して達成することができる。

Claims (3)

  1. 水、着色剤、常温で造膜性の樹脂微粒子(但し、ポリエステル系樹脂微粒子を除く)および非水溶性で、常温で非造膜性の固体微粒子を含み、該固体微粒子が合成高分子微粒子であることを特徴とする記録液。
  2. 常温で造膜性の樹脂微粒子が、アルコキシシリル基含有アクリルシリコーン系樹脂微粒子またはフルオロオレフィン単位を有するフッ素系樹脂微粒子である請求項1記載の記録液。
  3. 記録液液滴をヘッドから吐出させて記録体上に記録を行う画像記録方法において、記録液として請求項1記載の記録液を用いることを特徴とする画像記録方法。
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