JP3961622B2 - 吸液剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸液剤およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、使い捨ておむつや生理ナプキン、失禁パット等の衛生材料を始め、土木、農園芸等の各種産業分野にも好ましく用いられる吸液剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等の分野では、体液を吸収させることを目的として吸水性樹脂に代表される吸液性樹脂を用いた吸液剤が幅広く利用されている。
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体などが知られている。
【0003】
上記の吸液剤が備えるべき特性としては、体液等の水性液体に接した際の優れた吸収倍率や吸収速度、通液性などの諸特性が挙げられる。しかしながら、これらの諸特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、吸収倍率の高いものほど通液性や吸収速度等の物性は低下してしまう。
このような吸液剤の吸液諸特性をバランス良く改良する方法として、吸水性樹脂の表面近傍を多価アルコール等の架橋剤により表面架橋する技術が提案されている。また前記架橋反応時に、架橋剤を吸水性樹脂表面により均一に分布させ、均一な表面架橋を行う試みとして架橋剤の添加時に、不活性無機粉末を存在させる方法、二価アルコールを存在させる方法、エーテル化合物を存在させる方法、水溶性ポリマーを存在させる方法、1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、有機酸塩、ラクタム等を存在させる方法等も知られている。
【0004】
しかしながら、これらの方法によっても上記諸特性を全て同時に高いレベルで満足する吸液剤は得られていない。特に、吸収速度と吸収倍率の両立は比較的容易であるが、さらに通液性にも優れた吸液剤は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、通液性に優れ、吸収速度が速く吸収倍率の高い吸液剤およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成をとる。
(1)ポリアクリル酸部分中和物架橋体(吸液性樹脂のこと、以下、単に「吸液性樹脂」ということがある)と、二酸化珪素の微粉末(以下、単に、「微粉末」ということがある)とを含む吸液剤であって、微粉末保持率が50%以上であり、微粉末の表面存在化率が50%以上である、吸液剤。
(2)表面架橋されたポリアクリル酸部分中和物架橋体の少なくとも表面に、二酸化珪素の微粉末を付着させてなる吸液剤であって、微粉末保持率が50%以上であり、微粉末の表面存在化率が50%以上である、吸液剤。
(3)前記微粉末保持率と微粉末の表面存在化率との和が110%以上である、前記(1)または(2)に記載の吸液剤。
(4)前記(1)から(3)までのいずれかに記載の吸液剤を用いた衛生材料。
(5)吸液性樹脂と微粉末とを含む吸液剤の製造方法において、機内の供給側に、排出側へ向かって推力を発生する第一領域が設けられ、該第一領域の排出側に、排出側へ向かう推力が第一領域よりも小さい第二領域が設けられた連続押出式混合機を用いて、吸液性樹脂、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う、ことを特徴とする、吸液剤の製造方法。
(6)吸液性樹脂と微粉末とを含む吸液剤の製造方法において、内部に回転軸を有する固定円筒を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の攪拌部材が、上記固定円筒内に供給された吸液性樹脂を分散させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けられている連続押出式混合機を用いて、吸液性樹脂、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う、ことを特徴とする、吸液剤の製造方法。
(7)前記(5)または(6)において、吸液性樹脂の表面架橋処理を行う工程を含み、前記微粉末の混合処理を前記表面架橋処理と同時に行う、吸液剤の製造方法。
(8)前記(1)から(7)までのいずれかにおいて、吸液性樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部の微粉末を用いる、吸液剤、衛生材料または吸液剤の製造方法。
(9)前記(5)から(8)までのいずれかにおいて、吸液性樹脂100重量部に対して1〜100重量部の水を用いる、吸液剤の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
従来、一般的には150μm以下の粒径を有する粉末(微粉末)は、紙おむつ等の吸収物品中で目詰まりし、通液性の低下の要因となると考えられていた。本発明者らは、吸液性樹脂と単に混ざり合っているだけの微粉末は液によって吸収物品中を流れやすく、通液を妨げる原因となるが、微粉末を吸液剤表面と比較的強い力で結合させれば液によって流れることもなく、吸液剤表面に適度な凹凸を施すことになってむしろ通液性の向上が図れるのではないかと考え、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、通液性および吸液性能への影響という点から微粉末をタイプ分け
した場合、(A)吸液性樹脂と単に混ざり合っているだけの微粉末(吸液性樹脂から離れているものと吸液剤表面に弱く結合しているものとがあると考えられる)、(B)吸液剤表面に比較的強い力で結合している微粉末、(C)吸液剤の内部に存在する微粉末、の三つのタイプに分けることができ、Aタイプの微粉末は通液性を妨げ、吸液速度も低下させる、Bタイプの微粉末は通液性および吸液速度の向上に寄与する、Cタイプの微粉末は通液性へは直接影響しないが、吸液倍率等の吸液性樹脂本来の吸液性能を低下させる要因となると考えた。
【0009】
そこで、微粉末をこれらの三つのタイプに区別するためのパラメータとして「微粉末保持率」と「微粉末の表面存在化率」なる二つのパラメータを導入した。「微粉末保持率」とは、吸液剤を少しだけ膨潤させる弱い処理(処理▲1▼)を施した後に残った微粉末の割合を示すものである。処理▲1▼によってAタイプの微粉末はほとんど流れるが、Bタイプの微粉末はほとんど流れず、もちろんCタイプの微粉末はさらに流れにくい。したがって、微粉末保持率の高い吸液剤とは、BおよびCタイプの微粉末を多く含むものである。一方、「微粉末の表面存在化率」とは、吸液剤を完全に膨潤させる強い処理(処理▲2▼)を施すことによって流れた微粉末の割合を示すものである。処理▲2▼によってCタイプの微粉末はほとんど流れないが、Bタイプの微粉末はほとんど流れ、もちろんAタイプの微粉末はさらに流れやすい。したがって、表面存在化率の高い吸液剤とは、AおよびBタイプの微粉末を多く含むものである。したがって、微粉末保持率および表面存在化率の両方ともが高い吸液剤は、Bタイプの微粉末を多く含むものであると考えられる。なお、処理▲1▼および処理▲2▼は後述の実施例において定義されているものである。
【0010】
本発明の吸液剤の微粉末保持率は50%以上であることが必要であり、50%を越えていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることがより好ましい。微粉末保持率が低い場合には、通液性が低下する。
また、微粉末の表面存在化率は50%以上であることが必要であり、50%を越えていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることがより好ましい。微粉末保持率が低い場合には、通液性が向上しないだけでなく、吸液倍率等の吸液性能が低下する。
【0011】
また、微粉末保持率と微粉末の表面存在化率の和は110%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上である。110%未満の場合は、吸液剤の多い系(高秤量)での通液性が低下する場合がある。
本発明における吸液性樹脂としては、吸水性樹脂がもっとも一般的であり、吸水性樹脂としてはカルボキシル基を有するものが通常用いられる。例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体などが挙げられる。これらの中でポリアクリル酸部分中和物架橋体が最も好ましい。
【0012】
ポリアクリル酸部分中和物架橋体を得るには、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする親水性単量体を重合すればよく、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は単量体成分中30モル%以下とすることが好ましい。中和率としては、酸基の50〜95モル%が中和されていることが好ましく、60〜90モル%が中和されていることがより好ましい。塩としてはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを例示することができる。重合方法としては、水溶液重合又は逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
【0013】
重合により得られたポリアクリル酸部分中和物を架橋体とするには、架橋剤を使用しない自己架橋型のものを用いてもよいが、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合または反応させることが好ましい。
内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの内部架橋剤は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0014】
内部架橋剤の使用量としては前記単量体成分に対して0.005〜3モル%、より好ましくは0.01〜1.5モル%である。内部架橋剤が少なすぎると、通液性、吸収速度が低下する傾向があり、逆に内部架橋剤が多すぎると、吸収倍率が低下する傾向がある。
上記重合により得られた重合体がゲル状である場合には、該ゲル状重合体を乾燥し、必要により粉砕することで、平均粒径が10〜1000μm程度の吸水性樹脂粉末とすることができる。
【0015】
吸液性樹脂から本発明の微粉末を含む吸液剤を製造する方法としては、次の方法を挙げることができるが、もちろんこれらには限定されない。
(1)機内の供給側に、排出側へ向かって推力を発生する第一領域が設けられ、該第一領域の排出側に、排出側へ向かう推力が第一領域よりも小さい第二領域が設けられた連続押出式混合機を用いて、吸液性樹脂、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う方法。
(2)内部に回転軸を有する固定円筒を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の撹拌部材が、上記固定円筒内に供給された吸液性樹脂を分散させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けられている連続押出式混合機を用いて、吸液性樹脂、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う方法。
これら本発明の製造方法で用いることのできる連続押出式混合機としては、図4に示されるタイプのものが挙げられる。連続押出式混合機は、上記(1)の「機内の供給側に、排出側へ向かって推力を発生する第一領域が設けられ、該第一領域の排出側に、排出側へ向かう推力が第一領域よりも小さい第二領域が設けられた連続押出式混合機」であり、上記(2)の「内部に回転軸を有する固定円筒を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の撹拌部材が、上記固定円筒内に供給された吸液性樹脂を分散させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けられている連続押出式混合機」である。
【0016】
図1に示される連続押出式混合機について説明する。
連続押出式混合機1は、例えば水平に固定された固定円筒としてのケーシング2を備えている。ケーシング2には、吸液性樹脂を供給するための材料供給口(第一供給口)3が形成されており、この材料供給口3よりも排出側の位置には微粉末等を投入する液供給口(第二供給口)4が設けられている。また、排出口5が形成されている。
【0017】
ケーシング2の内部には、駆動モータ8によって回転駆動する回転軸6が設けられており、この回転軸の周りには攪拌部材として、複数の攪拌翼7…が設けられている。
上記ケーシング2内に供給された吸液性樹脂を分散させる分散領域としての第一領域Aと、該第一領域よりも排出口5側に設けられており、上記第一領域において分散された吸水性樹脂と液供給口4から投入された微粉末等を混合する混合領域としての第二領域であって、上記複数の攪拌翼7…によって、上記第一領域における押し出し推力よりも第二領域における押し出し推力が小さくなるようになっている。
【0018】
図1においては、ケーシング2内に存在する回転軸6の全長を100%とした場合、回転軸6における上記材料供給口3の端から約35%の長さの領域が第一領域Aであり、排出口5側の端から約65%の領域が第二領域Bとなっている。本発明において、上記複数の攪拌翼7…は、それぞれが順次、回転軸6の周りに螺旋状に並び配されていると共に、形状の異なる第一の攪拌翼7a…と第二の攪拌翼7b…とからなっている。第一領域Aには第一の攪拌翼7a…が配され、第二領域Bには第二の攪拌翼7b…が配されると共に、部分的に第一の攪拌翼7a…が配されている。
【0019】
第一の攪拌翼7a…の形状は、例えば長方形等の板状となっており、これによって排出側へ向かって押し出し推力を発生するようになっている。第一の攪拌翼7a…は、回転軸6に対して垂直、かつ、吸液性樹脂押出面7a1が回転軸6に垂直な平面に対して傾斜するように回転軸6の周りに配されている。
一方、第二の攪拌翼7b…の形状は、例えば円柱状となっており、第二の攪拌翼7b…は、回転軸6に対して垂直となるように固定されている。この場合、第二領域Bでは、第二の攪拌翼7b…によって押し出し推力は生じず、第一の攪拌翼7a…によってのみ押し出し推力が生じるようになっている。したがって、第二領域Bでは、第一領域Aよりも押し出し推力が小さくなり、吸液性樹脂の平均速度が低下する。
【0020】
第二領域では、第一領域から伝えられた押し出し推力と、第二領域に配設された第一の攪拌翼7a…によって生じる押し出し推力により、吸液性樹脂は、排出口5側へと押し出される。
図1において、吸液性樹脂を投入するための材料供給口3は、第一領域Aの第一の攪拌翼7a…の配設領域に形成され、架橋剤等を投入する液供給口4は、第二領域Bの第二の攪拌翼7b…の配設領域における、第一領域Aとの境界付近に形成されている。
【0021】
連続押出式混合機1に、材料供給口3から吸液性樹脂粉末を投入すると、第一領域Aにおいて第一の攪拌翼7a…の押し出し推力にて吸液性樹脂が連続押出式混合機の内部へと送り込まれる。また、第一の攪拌翼7a…にて、吸液性樹脂粉末はいわばほぐされて一つ一つの粒子が独立した状態となり、ケーシング2内にほぼ均一に分散した状態となる。
【0022】
液供給口4から微粉末等を投入すると、第二領域において瞬時に吸液性樹脂と微粉末等が高速攪拌混合され、やがて排出口5から混合物が自動的に排出される。ついで、この混合物を図示しない加熱装置により加熱処理することで本発明の吸液剤が得られる。
第二領域では、第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が小さいため、吸水性樹脂の平均速度が遅くなり、混合攪拌時間を充分に確保することができる。この結果、第二領域において吸水性樹脂が滞留し、吸水性樹脂と微粉末等とが均一に混合される。
【0023】
かかる連続押出式混合機を用いることにより、第二領域において吸液性樹脂と微粉末等が瞬時に混合されるため「ダマ」が生じず、均一な混合が可能となる。これにより微粉末は吸液性樹脂と単に混ざり合うのでなく、吸液剤表面と比較的強い力で結合しやすくなるので、上記Bタイプの微粉末を多く含む吸液剤が得られる。また、第一領域において吸液性樹脂粉末を充分に分散しているため、吸液性樹脂粉末の二次粒子化によって吸液剤内部に入り込んでしまう微粉末(Cタイプ)の割合も少なくなる。例えば特開昭60−163956号公報で開示されているような通常の攪拌機を用いて混合を行ったのでは、均一な混合ができずに微粉末と吸液性樹脂とが単に混ざり合うだけか、吸液剤が二次粒子化することにより吸液剤内部に微粉末が入り込んでしまう割合が高くなる。
【0024】
図4に示されるタイプの連続押出式混合機について説明する。
図4に示される連続押出式混合機100は、例えば水平に固定された固定円筒としてのケーシング101を備えている。ケーシング101には、吸液性樹脂を供給するための材料供給口(第一供給口)104が形成されており、この材料供給口104よりも排出側の位置には微粉末等を投入する液供給口(第二供給口)105が設けられている。また、排出口106が設けられている。
【0025】
ケーシング101の内部には、駆動モータによって回転駆動する回転軸102が設けられており、この回転軸102の周りには攪拌部材として複数の攪拌翼103…が設けられている。該攪拌翼103…によりケーシング101内では排出側へ向かって推力が発生する。
ケーシング101内で吸液性樹脂と微粉末等が高速攪拌混合され、やがて排出口106から混合物が自動的に排出される。ついで、この混合物を図示しない加熱装置により加熱処理することで本発明の吸液剤が得られる。
【0026】
吸液性樹脂に対しては、表面架橋処理を施すことが好ましい。表面架橋処理は、図1の連続押出式混合機を用いた場合には、前述の微粉末と混合する処理と同時に行ってもよいし、その前または後に行ってもよいが、同時に行うのが最も好ましい。表面架橋処理を行った後に微粉末を後添加したのでは、微粉末は吸液性樹脂と単に混ざり合うことはできても吸液剤表面と結合しにくいため、目的とするBタイプの微粉末の多い吸液剤が得られにくい。また、微粉末と混合した後に表面架橋処理を行うのでは、微粉末が吸液剤内部に入りやすくなるため、目的とするBタイプの微粉末の多い吸液剤が得られにくい。表面架橋処理と微粉末の添加を同時に行う場合は、架橋剤を水に溶解して水性液とし、微粉末とともに液供給口(第二供給口)4から投入することができる。あるいは、さらに別の供給口を設けて、微粉末、水および架橋剤を異なった供給口から投入してもよい。この場合の微粉末、水および架橋剤の添加順序、組み合わせ方は特に限定されない。
【0029】
水とともに水と混和可能な親水性有機溶媒を用いると、より均一な表面処理が行え、微粉末の表面存在化率の向上や微粉末保持率の向上につながることがある。この場合の親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができ、中でもエタノール、イソプロパノールが好ましい。親水性有機溶媒を用いる場合の使用量は使用する水の量や微粉末の量にもよるが、通常、吸液性樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。0.1重量部以下では有機溶媒を用いた効果が現れにくく、50重量部をこえると経済的に不利となるばかりでなく微粉末保持率の低下につながることがある。
【0030】
本発明において微粉末とは、粒径約150μm以下、好ましくは10μm以下の粉末をいう。微粉末の種類としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、燐酸バリウム、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロサルタイト、活性白土等の無機質の微粒子状粉体、セルロース粉末、パルプ粉末、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、変性デンプン、キチン、レーヨン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン樹脂、活性炭、茶の葉等の有機質の微粒子状粉体等が例示でき、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。また、これらの微粒子状粉体の中でも無機質の微粒子状粉体が好ましく、その中でも、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、ゼオライト、カオリン、ハイドロサルタイトが好ましい。
【0031】
微粉末の量としては、吸液性樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部用いるのが好ましく、0.1〜5重量部用いるのがより好ましい。
表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等の多価エポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アジチニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、および、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン:登録商標);亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物及び塩化物等の多価金属化合物等が挙げられる。これらの中でも多価アルコール化合物、多価エポキシ化合物、多価アミン化合物やそれらの塩、アルキレンカーボネート化合物が好ましい。これらの表面架橋剤は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0032】
表面架橋剤の量としては、吸液性樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部用いるのが好ましく、0.5〜5重量部用いるのがより好ましい。表面架橋剤の量が0.01重量部未満の場合には、微粉末保持率が低下し、通液性が低下する場合がある。10重量部を越えて使用すると、吸収倍率が極端に低下する場合がある。
【0033】
加熱処理には通常の乾燥機や加熱炉を用いることができる。例えば、薄型攪拌乾燥機、回転乾燥機、円盤乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機等である。その場合、加熱処理温度は好ましくは40〜250℃、より好ましくは90〜230℃、さらに好ましくは120〜220℃である。加熱処理温度が40℃未満の場合には微粉末保持率が低下することがあり、一方加熱処理温度が250℃を越える場合には、使用される吸液性樹脂の種類によっては熱劣化を起こす危険性がある。加熱処理時間としては、通常1〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
【0034】
本発明の吸液剤の粒径は、特に制限されないが、用途が衛生材料の場合には0.1〜1.0mm程度が好ましく、0.3〜0.8mm程度のものがより好ましい。吸液剤の粒径が0.1mm未満の場合、通液性が低下するおそれがある。一方、1.0mmより大きい場合には、衛生材料用途に使用するときに解砕または粉砕が必要となる場合があり好ましくない。
【0035】
本発明の吸液剤は、水、体液、生理食塩水、尿、血液、セメント水、肥料含有水などの各種液体を吸収するものであり、使い捨ておむつや生理ナプキン、失禁パット等の衛生材料を始め、土木、農園芸等の各種産業分野においても好適に用いられる。さらに、本発明により得られた吸液剤に消臭剤、香料、薬剤、植物生育助剤、殺菌剤、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料等を介在させることにより、得られる吸液剤に新たな機能を付与することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例中で「部」とは特にことわりがない限り「重量部」を表すものとする。
吸液剤の諸性能は以下の方法で測定した。
(a)吸収倍率
吸液剤0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(40mm×150mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬する。60分後にティーバッグ式袋を引き上げ、5秒間空中に放置、10秒間ティッシュで水切りを行った後、ティーバッグ式袋の重量W1(g)を測定する。同様の操作を吸液剤を用いないで行い、そのときのブランク重量W0(g)を求め、これらW1、W0から、次式に従って、吸収倍率(g/g)を算出する。
【0037】
【数1】
【0038】
(b)通液性
図2に示すようなコック付きガラスカラム11(「バイオカラムCF−30K」(株)井内盛栄堂カタログコード22−635−07、下部フィルター#G2、内径1インチ、長さ400mm)に、吸液剤0.5gを充填し、過剰の生理食塩水を用い、吸液剤を平衡膨潤させる(約1時間)。次いで、膨潤した吸液剤12が充分沈降したのち、液面を液高200mlのところに合わせてコックを開き、生理食塩水13が2本の標準線C(液高150mlの液面)とD(液高100mlの液面)との間(実測により液量50ml)を通過する時間を測定し、3回の平均値をとって通液性(秒)とする。
【0039】
なお、本装置を使用して、吸液剤のない状態で測定した値は10秒であった。(c)吸収速度
100ml容のビーカーに生理食塩水50ml(30℃に調温)を入れ、スターラー上に置き、600rpmで攪拌する。吸液剤2gを天秤で計り取り、ビーカー内へ瞬時に投入し、ストップウォッチをスタートさせる。水流の中心部で露出しているスターラーチップが吸液剤で隠れた時点でストップウォッチを止め秒数を読みとる。
(d)微粉末保持率
微粉末としてシリカ(SiO2)を用いた場合について説明する。
【0040】
まず、処理前の吸液剤中の微粉末を定量する。
吸液剤0.5gを250mlのポリプロピレン製容器に入れて、混合炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム:炭酸水素ナトリウム=1:1の混合品)0.5gを加える。純水を沸騰させた熱水を100mlを加えて25分間攪拌する。この溶液を定量濾紙で濾過し、濾液を100mlのポリ製メスフラスコに受け、ロート上の液が殆どなくなった時点で6N塩酸を2ml加えて、できるだけゲルを収縮させる。得られた濾液に6N塩酸2mlとモリブデン酸アンモニウム5%溶液4mlを2回加え、振騰攪拌して二酸化炭素を抜く。この液を分光光度計により波長410nmにて、発色後5〜20分以内に吸光度を測定し、検量線からシリカ(SiO2)濃度を求める。
【0041】
次に、図3に示す1Lのポリプロピレン容器(内径8.5cm)に、50重量%のイソプロピルアルコール水溶液を900g入れ、その上から吸液剤2gを添加し、30分間放置する。その後、シリコンゴム栓を抜きイソプロピルアルコール水溶液を全て流す。その後吸液剤を90℃*60分間乾燥する。以上の処理を処理▲1▼とする。処理▲1▼後の吸液剤中に含まれる微粉末量を定量する。
【0042】
これら、処理前の吸液剤中の微粉末濃度と処理▲1▼後の吸液剤中の微粉末濃度から微粉末保持率を次式に従って求める。
【0043】
【数2】
【0044】
(e)表面存在化率
1Lのポリプロピレン容器(内径9cm)に純水1Lを入れ、その上から吸液剤1gを添加し、30分間600rpmで攪拌する。その後、その液を200メッシュ(目開き75μm)金網で濾過し、残った吸液剤を160℃*60分間乾燥する。以上の処理を処理▲2▼とする。処理▲2▼後の吸液剤中に含まれる微粉末量を定量する。前記(d)の微粉末保持率のところで求めた処理前の吸液剤中の微粉末濃度と処理▲2▼後の吸液剤中の微粉末濃度から微粉末の表面存在化率を次式に従って求める。
【0045】
【数3】
【0046】
[実施例1]
カルボキシル基を有する吸液性樹脂の製造に際して、単量体成分としてのアクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の37重量%水溶液4400部に、内部架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート2.72部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。
【0047】
次いで、シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けた反応器に上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら上記反応器内を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム1.1部、および重合開始剤の分解を促進する還元剤としての亜硫酸ナトリウム1.1部を添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃で重合を行い、重合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0048】
得られた含水ゲル状重合体を金網上に広げ、150℃で2時間熱風乾燥した。次いで、乾燥物をハンマーミルを用いて粉砕し、さらに30メッシュの金網(目開き600μm)で分級することにより平均粒径が220μmの不定型破砕状の吸液性樹脂(1)を得た。
次いで、図1に示す連続押出式混合機を用い、材料供給口3から上記吸液性樹脂(1)100部を投入し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)0.5部および、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部、水4部と、イソプロピルアルコール1部とからなる表面架橋剤を液供給口4から投入し、連続的に混合させた。
【0049】
その後、上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸液剤(1)を得た。
[実施例2]
実施例1において、含水ゲル状重合体の乾燥物を分級する金網のメッシュを20メッシュの金網(目開き850μm)に代えた他は同様にして、平均粒径が350μmの不定型破砕状の吸液性樹脂(2)を得た。
【0050】
次いで、上記吸液性樹脂(2)100部に対し、実施例1と同様の操作を行い、吸液剤(2)を得た。
[実施例3]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200の量を5部に代えた他は実施例1と同様の操作を行い、吸液剤(3)を得た。
[実施例4]
実施例1において、内部架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレートの量を4.08部とした他は同様にして、不定型破砕状の吸液性樹脂(4)を得た。
【0051】
次いで、上記吸液性樹脂(4)100部に対し、実施例1と同様の操作を行い、吸液剤(4)を得た。
[比較例1]
実施例1において、吸液性樹脂(1)に対し、アエロジル200を用いなかった他は実施例1と同様の操作を行い、比較用吸液剤(1)を得た。
[比較例2]
比較例1の比較用吸液剤(1)にアエロジル200を0.5部添加し、ビニール袋に入れ振り混ぜることによって混合し、比較用吸液剤(2)を得た。
[比較例3]
実施例2において、吸液性樹脂(2)に対し、アエロジル200を用いなかった他は実施例2と同様の操作を行い、比較用吸液剤(3)を得た。上記比較用吸液剤(3)にアエロジル200を0.5部添加し、ビニール袋に入れ振り混ぜることによって混合し、比較用吸液剤(4)を得た。
[比較例4]
比較用吸液剤(1)にアエロジル200を5部添加し、ビニール袋に入れ振り混ぜることによって混合し、比較用吸液剤(5)を得た。
[比較例5]
実施例4において、吸液性樹脂(4)に対し、アエロジル200を用いなかった他は実施例4と同様の操作を行い、比較用吸液剤(6)を得た。上記比較用吸液剤(6)にアエロジル200を0.5部添加し、ビニール袋に入れ振り混ぜることによって混合し、比較用吸液剤(7)を得た。
[実施例5]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)3部および、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.20部、水25部とからなる表面架橋剤を、図1に示す連続押出式混合機1に投入し、連続的に混合反応させた。
【0052】
その後、上記の混合物を120℃で1時間加熱し、減圧下(約30mmHg)にて約10分間残存する水を留去させ、吸液剤(5)を得た。
[比較例6]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)3部を300mlの3つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌機(ヤマト科学(株)製ラボスターラー)で充分攪拌したのち、攪拌をつづけながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.20部、水25部とからなる溶液を徐々に加え、均一な分散状態にした。そののち加熱し、約120℃で水を留去させながら1時間架橋させた。ついで減圧下(約30mmHg)にて約10分間残存する水を留去させ、比較用吸液剤(8)を得た。
[実施例6]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)8部および、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.10部、水84部とからなる表面架橋剤を、図1に示す連続押出式混合機1に投入し、連続的に混合反応させた。
【0053】
その後、上記の混合物を80℃で1時間加熱し、ついで120℃で水を留去させ、最後に減圧下(約30mmHg)にて10分間残存する水を留去させ、吸液剤(6)を得た。
[比較例7]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)8部を300mlの3つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌機(ヤマト科学(株)製ラボスターラー)で充分攪拌したのち、攪拌をつづけながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.10部、水84部とからなる溶液を徐々に加え、均一な分散状態にした。そののち加熱し、80℃で1時間加熱し、120℃で水を留去させ、最後に減圧下(約30mmHg)にて約10分間残存する水を留去させ、比較用吸液剤(9)を得た。
[比較例8]
実施例1で得られた吸液性樹脂(1)100部に対し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)1部を300mlの3つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌機(ヤマト科学(株)製ラボスターラー)で充分攪拌したのち、エタノール120部を添加した。攪拌しながら、さらにエチレングリコールジグリシジルエーテル0.45部、グリセリン10部およびエタノール30部からなる混合溶液を加えスラリー状態とした。その後180℃で30分間加熱し、減圧下(約30mmHg)で1時間、残存するグリセリンを留去させ、比較用吸液剤(10)を得た。
[比較例9]
実施例1において、水を用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用吸液剤(11)を得た。
[比較例10]
図1に示す連続押出式混合機を用い、材料供給口3から比較用吸液剤(1)100重量部を投入し、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)0.5部を供給口4から投入し、連続的に混合させ比較用吸液剤(12)を得た。
【0054】
上記実施例1〜6で得られた吸液剤(1)〜(6)、比較例1〜10で得られた比較用吸液剤(1)、(2)、(4)、(5)、(7)〜(12)の吸収倍率、通液性、吸収速度、微粉末保持率、表面存在化率を測定した結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、実施例の吸液剤(1)〜(6)はいずれも、微粉末保持率および表面存在化率のいずれも高い値を示しており、優れた吸収倍率、通液性、吸収速度を示している。
実施例のうちで、内部架橋剤の量の多い吸液剤(4)では、吸収倍率は低下するが、通液性が向上している。水の量の多い吸液剤(5)(6)では、吸収倍率は低下するが、通液性、吸収速度ともに向上している。シリカの量の多い吸液剤(3)でも、吸収倍率は低下するが、通液性、吸収速度ともに向上している。また、吸液剤(1)と(2)を比較することにより、粒径を粗くすると吸収速度が低下し、粒径を細かくすると通液性が低下している。
【0057】
一方、比較用吸液剤(1)は、微粉末を全く含んでいないため、通液性が非常に悪い。比較用吸液剤(2)(4)(5)(7)(12)は、表面架橋処理後にシリカのみを後添加したものであり、比較用吸液剤(12)ではシリカの混合の際に図1の混合機を用いたものである。いずれもシリカの添加の際に水を用いていないので、吸液性樹脂と単に混ざり合っているシリカの割合が高く、微粉末保持率が低い。そのため、通液性と吸収速度が悪い。比較用吸液剤(8)(9)(10)は、吸液性樹脂とシリカの混合を通常の攪拌機を用いて行った後に架橋剤と水を添加したものである。いずれも混合が不均一となるため、二次粒子化して吸液剤内部に入っているシリカの割合が高く、表面存在化率が低い。そのため、吸収倍率、通液性、吸収速度ともに悪い。比較用吸液剤(11)は、微粉末を用いた処理と表面架橋処理を同時に行っているが、その際に水を用いていないものである。そのため吸液性樹脂と単に混ざり合っているシリカの割合が高く、微粉末保持率が低くなっており、通液性、吸収速度ともに悪い。
【0058】
【発明の効果】
本発明の吸液剤は、吸液剤表面に比較的強い力で結合している微粉末を多く含むので、通液性に優れ、かつ吸収速度が速く、吸収倍率が高い。
本発明の吸液剤の製造方法によると、吸液性樹脂と微粉末が瞬時に混合されるため「ダマ」が生じず、均一な混合が可能となる。また微粉末は吸液性樹脂と単に混ざり合うだけでなく、吸液剤表面と比較的強い力で結合することができるため、吸液剤表面に比較的強い力で結合している微粉末を多く含む吸液剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる連続押出式混合機の一例を示す概略断面図である。
【図2】実施例における通液性の測定方法の説明のための図である。
【図3】実施例における微粉末保持率の測定方法の説明のための図である。
【図4】本発明で用いられる連続押出式混合機の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,100 連続押出式混合機
2,101 ケーシング
3,104 材料供給口(第一供給口)
4,105 液供給口(第二供給口)
5,106 排出口
6,102 回転軸
7,103 攪拌翼
7a 第一の攪拌翼
7a1 吸液性樹脂押出面
7b 第二の攪拌翼
8 駆動モータ
Claims (10)
- ポリアクリル酸部分中和物架橋体と、二酸化珪素の微粉末とを含む吸液剤であって、微粉末保持率が50%以上であり、微粉末の表面存在化率が50%以上である、吸液剤。
- 表面架橋されたポリアクリル酸部分中和物架橋体の少なくとも表面に、二酸化珪素の微粉末を付着させてなる吸液剤であって、微粉末保持率が50%以上であり、微粉末の表面存在化率が50%以上である、吸液剤。
- 前記微粉末保持率と微粉末の表面存在化率との和が110%以上である、請求項1または2に記載の吸液剤。
- ポリアクリル酸部分中和物架橋体100重量部に対して二酸化珪素の微粉末が0.01〜10重量部用いられている、請求項1から3までのいずれかに記載の吸液剤。
- 請求項1から4までのいずれかに記載の吸液剤を用いた衛生材料。
- ポリアクリル酸部分中和物架橋体と、二酸化珪素の微粉末とを含む吸液剤の製造方法において、
機内の供給側に、排出側へ向かって推力を発生する第一領域が設けられ、該第一領域の排出側に、排出側へ向かう推力が第一領域よりも小さい第二領域が設けられた連続押出式混合機を用いて、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う、
ことを特徴とする、吸液剤の製造方法。 - ポリアクリル酸部分中和物架橋体と、二酸化珪素の微粉末とを含む吸液剤の製造方法において、
内部に回転軸を有する固定円筒を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の攪拌部材が、上記固定円筒内に供給された吸液性樹脂を分散させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けられている連続押出式混合機を用いて、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、水および微粉末の混合を行った後、加熱処理を行う、
ことを特徴とする、吸液剤の製造方法。 - ポリアクリル酸部分中和物架橋体の表面架橋処理を行う工程を含み、前記微粉末の混合処理を前記表面架橋処理と同時に行う、請求項6または7に記載の吸液剤の製造方法。
- ポリアクリル酸部分中和物架橋体100重量部に対して0.01〜10重量部の微粉末を用いる、請求項6から8までのいずれかに記載の吸液剤の製造方法。
- ポリアクリル酸部分中和物架橋体100重量部に対して1〜100重量部の水を用いる、請求項6から9までのいずれかに記載の吸液剤の製造方法。
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