JP3960882B2 - チタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法 - Google Patents

チタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、チタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、チタニアナノ微結晶分散薄膜が、基体の任意の部位に、サブミクロンオーダーの任意のパターンとして分散されているチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、チタニアのもつ光触媒活性および超親水性等といった特性が注目されており、チタニア薄膜をはじめとし、シリカとチタニアを主成分とするチタニア分散薄膜(SiO2−TiO2系薄膜)等といった、チタニアを含有する薄膜を用いた、浄化、抗菌、防汚等の幅広い機能を有する物品の開発が進められ、実用化されている。
【0003】
そして、このチタニア分散薄膜(SiO2−TiO2系薄膜)については、この出願の発明者らにより、チタニウムアルコキシドとシリコンアルコキシドをからなるゾルを塗布してゲル膜を作製し、これを温水という温和な条件で処理することにより、アナターゼ型チタニア微結晶が析出されたチタニア微結晶分散薄膜を製造する方法(PCT/JP99/00477)や、SiO2−TiO2ゲルの組成を厳密に制御して温水処理することにより、超親水性や優れた光触媒活性を示す、0.7nm近傍の層間距離を有するチタニア微結晶が表面に析出されたチタニア微結晶分散透明薄膜を製造する方法(特願2000−289528)、さらには、振動を伴った温水処理を施すことにより、高い光触媒活性を示すとともに、優れた超親水性および防曇性を長時間維持することができる、チタニアナノシートが配向析出された新規なチタニアナノシート配向薄膜の製造方法(特願2002−053480)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法で得られるチタニア分散薄膜は、高い光触媒活性を示すものの、光触媒反応の反応選択性がなく、接触しているほとんど全ての有機物を分解してしまうという欠点があった。すなわち、たとえば、このチタニア分散薄膜においては、超撥水性を示すフルオロアルキルシランを塗布し、フォトマスクを介して紫外線照射することで、任意の超親水−超撥水パターンを形成することができるのであるが、この超親水−超撥水パターンの超撥水部は、長期の使用における紫外線の照射により分解されてしまう。このように、従来のチタニア分散薄膜は、意匠や他の機能性を付与する目的で基体上に配設した有機物等をも分解してしまっていたのである。
【0005】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、チタニアナノ微結晶分散薄膜が、基体の任意の部位に、サブミクロンオーダーの任意のパターンとして分散されているチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供する。
【0007】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、シリコンアルコキシド、加水分解性を有するチタニウム化合物およびβ−ジケトンを含む溶液から、β−ジケトンで修飾されたシリコンアルコキシドとチタニウム化合物の複合金属酸化物あるいは水酸化物を含む膜を形成し、この膜を所望のパターンでマスクして紫外線を照射し、紫外線照射部を硬化させた後、非照射部をエッチングし、次いで、水または温水と接触させて、紫外線照射部の表面にチタニア微結晶を析出させることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を提供する。
【0008】
そしてこの出願の発明は、上記の発明において、第2には、β−ジケトンが、アセチルアセトン、エチルアセトアセテート、ベンゾイルアセトンのいずれか1種または2種以上の混合物であることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第3には、シリコンアルコキシドとチタニウム化合物の配合が、モル比で、SiO2:TiO2=5:1〜1:3となる範囲であることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第4には、そのシリコンアルコキシドとチタニウム化合物の配合が、モル比で、SiO2:TiO2=3:1であることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第5には、β−ジケトンを、チタニウム化合物に対して、モル比で、1:0.5〜10の割合で添加することを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第6には、そのβ−ジケトンを、チタニウム化合物に対して、モル比で、1:2の割合で添加することを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第7には、酸、アルカリ、酸性塩あるいはアルカリ性塩溶液をエッチング溶液としてエッチングすることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を、第8には、そのエッチング溶液が、NaOH溶液、KOH溶液あるいはNH3溶液のいずれであることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0011】
この出願の発明者らは、チタニアナノ微結晶分散薄膜の製造において、▲1▼シリコンアルコキシドおよび加水分解性を有するチタニウム化合物はβ−ジケトンとキレート化合物を作り、▲2▼このキレート化したシリコンアルコキシドおよびチタニウム化合物は、加水分解しにくいためにゲル化しにくく、さらに、▲3▼このキレート化合物におけるキレート結合は、紫外線照射で開裂する、という特性を巧みに利用して、チタニアナノ微結晶が析出した薄膜を基体の所望の位置に、任意のパターンで形成することに成功し、この出願の発明に至ったものである。
【0012】
すなわち、この出願の発明が提供するチタニアナノ微結晶分散薄膜の製造方法は、シリコンアルコキシド、加水分解性を有するチタニウム化合物およびβ−ジケトンを含む溶液から、β−ジケトンで修飾されたシリコンアルコキシドとチタニウム化合物の複合金属酸化物あるいは水酸化物を含む膜を形成し、この膜を所望のパターンでマスクして紫外線を照射し、紫外線照射部を硬化させた後、非照射部をエッチングし、次いで、水または温水と接触させて、紫外線照射部の表面にチタニア微結晶を析出させることを特徴としている。
【0013】
この出願の発明において、シリコンアルコキシドは、たとえば一般式Si(OR)4で表される各種のものを使用することができる。ここで、アルコキシル基ORを構成する有機基Rとしては、たとえば、炭素数1〜6の、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基を挙げることができる。より具体的には、たとえば、シリコンテトラエトキシドを用いることが、好適な例として示される。
【0014】
また、加水分解性を有するチタニウム化合物としては、一例として、金属有機化合物であるチタニウムアルコキシド、しゅう酸チタン、金属無機化合物として硝酸チタン、四塩化チタン等を用いることができ、より好ましくは、チタニウムアルコキシドを用いることが例示される。このチタニウムアルコキシドとしては、具体的には、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等を例示することができる。
【0015】
β−ジケトンとしては、一般式R1COCH2COR2で示される各種のものを使用することができる。ここで、式中のR1,R2は有機基を示し、たとえば、メチル基、エチル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基等のエーテル基等から、同一または異種のものを選択することができる。この出願の発明においては、β−ジケトンとして、アセチルアセトン、エチルアセトアセテートあるいはベンゾイルアセトンのいずれか1種または2種以上の混合物を用いることが好ましい例として示される。
【0016】
これらの出発材料を有機溶媒に溶解させて溶液を調整する。溶液の調製に際しては、たとえば、シリコンアルコキシドを有機溶媒に溶解させたシリコンアルコキシド溶液と、チタニウム化合物およびβ−ジケトンを有機溶媒に溶解させたチタニウム溶液とを混合するようにすると簡便である。もちろん、これに限定されることなく、シリコンアルコキシド溶液にβ−ジケトンを加えたり、全てを同一に混合するなどしてもよい。
【0017】
ここで、有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール等を使用することができる。また、これらの溶液には、必要に応じて、アルコキシル基の加水分解を促進したり脱水縮合反応を促進するための触媒や水を添加してもよい。この触媒としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等を用いることが例示される。
【0018】
これらの溶液の配合は、シリコンアルコキシドに加える有機溶媒および水については、モル比で、それぞれ1〜8,1〜6程度、チタニウム化合物に加える有機溶媒については、モル比で20程度とすることが適当である。また、β−ジケトンは、たとえばチタニウム化合物に対して、モル比で、0.5〜10程度、より好ましくは2程度となるように添加することが例示される。
【0019】
また、シリコンアルコキシド溶液とチタニウム溶液は、シリコンアルコキシドとチタニウム化合物が、モル比で、SiO2:TiO2=5:1〜1:3の範囲、より好ましくは、3:1付近となるように調整することができる。チタニウム化合物とシリコンアルコキシドのモル比を3:1付近とすることで、得られるチタニア微結晶分散薄膜部分の光触媒活性をより高めることができる。
【0020】
このようにして調製されたシリコンアルコキシド、チタニウム化合物およびβ−ジケトンを含む溶液を、基体上に塗布するなどして、β−ジケトンで修飾されたシリコンアルコキシドとチタニウム化合物の複合金属酸化物あるいは水酸化物を含む膜を形成する。
【0021】
この膜形成は、ディップコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法等の各種の方法を利用して、任意の基体に対して行なうことができる。基体は、その材質および形状等に特に制限されず、たとえば、ガラス材料、金属材料、無機質材料、プラスチック材料、紙、木質材料等の各種の材料を対象とすることができる。そしてこの出願の発明は100℃以下の温和な条件によりチタニア微結晶分散薄膜パターンを製造するようにしているため、たとえば、有機高分子や生体組織等を基材として用いることも可能とされる。
【0022】
シリコンアルコキシドおよびチタニウム化合物は、前記のとおり、β−ジケトンと反応してキレート化合物を形成する。そして、このキレート化したシリコンアルコキシドおよびチタニウム化合物は、加水分解しにくくゲル化しにくい状態となっている。そしてさらに、このキレート化合物におけるキレート結合は、紫外線照射で開裂するという特性がある。
【0023】
そこで、キレート化されたこの膜に対して、所望のパターンのマスクを介して、紫外線を照射する。これにより、膜の紫外線が照射された部分のみキレート結合が開列され、ゲル化が進行されることになる。一方の、紫外線が照射されていない部分においては、膜のゲル化が進行していないため、たとえば、各種の酸溶液、アルカリ溶液、酸性塩溶液あるいはアルカリ性塩溶液等をエッチング溶液として、容易にエッチングすることができる。このエッチング溶液は、より好適には、アルカリ溶液であって、NaOH溶液、KOH溶液あるいはNH3溶液のいずれかを用いることが簡便であるために好ましい。なお、紫外線照射部において、膜はゲル化するとともに緻密化され、エッチング溶液に侵されることはない。これにより、所望のパターンを備えた膜を得ることができる。
【0024】
次いで、パターン化されたこの膜を、水または温水と接触させる。この場合の温水の温度は、100℃以下とすることができ、さらには室温程度から100℃以下の、より限定的には50〜100℃程度の範囲とすることが好ましい。より効率的には、90℃程度の温水とすることができる。処理時間については、ゲル膜の組成や用いる温水の温度等によって異なるために一概には言えないが、チタニア微結晶の析出状態が所望のものとなるように任意に決定することができる。一般的には、数10分〜数時間程度を目安とすることができる。なお、この温水による処理と同時に、振動を加えることなども考慮することができる。
【0025】
これによって、紫外線照射パターンに応じて選択的にチタニア微結晶を分散させた膜を基体上に形成することができ、所望のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンを得ることができる。
【0026】
このようにして得られるこの出願の発明のチタニア微結晶分散薄膜パターンは、基体に任意の配列でチタニア微結晶分散薄膜が形成されており、このチタニア微結晶が析出された部分は光触媒活性が高く、超親水性、防曇性等の機能を備えている。またこのチタニア微結晶の析出パターンは、紫外線照射技術により、サブミクロンオーダーの任意の形状で制御することができる。
【0027】
さらに、この出願の発明のチタニア微結晶分散薄膜パターンにおいては、チタニア微結晶の析出部以外に、少なくとも1種の有機機能性膜を形成することができる。この有機機能性膜は、チタニアには接触しないため、長期の使用に際しても分解されることがなく、その機能を保つことができる。このような有機能性膜としては、意匠のための塗膜であったり、超撥水性膜、導電性膜や、その他の各種の機能を有する膜を考慮することができる。これらの有機機能性膜は、たとえば、上記のパターン状にチタニア微結晶が析出されたチタニア微結晶分散薄膜パターンの表面に一様に形成した後、紫外線を照射することでチタニア析出部上の有機能性膜を分解するなどして製造することができる。
【0028】
加えてこの出願の発明が提供する物品は、上記いずれかのチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンを備えていることを特徴としている。このチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンは、基体の材質やその部位等に制限されることなく、サブミクロンオーダーの任意のパターンで製造することができるため、他の様々な機能性膜と組み合わせることで、多様な機能を備えた物品を実現することができる。
【0029】
以下に実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0030】
【実施例】
図1に示した工程図に沿って、この出願の発明のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンを製造した。
【0031】
出発物質には、シリコンアルコキシドとしてテトラエトキシシラン(Si(OEt)4:和光純薬工業(株)製、試薬特級、以下TEOSと示す)を、加水分解性を有するチタニウム化合物として、チタニウムテトラノルマルブトキシド(Ti(O−n−Bu)4:和光純薬工業(株)製、試薬1級、以下TBOTと示す)を、β−ジケトンとしてアセチルアセトン(以下、AcAcと示す)を用い、エタノール(以下、TtOHと示す)を溶媒としてゾル溶液を調製した。また、加水分解触媒として、36wt%塩酸(和光純薬工業(株)製、試薬特級)を10倍に希釈したものを用いた。
【0032】
ゾル溶液の調製は、まず、TEOS、水、EtOHを混合した溶液に3.6wt%塩酸を加えて30分間攪拌し、ここにAcAcで化学修飾したTBOTのEtOH溶液を滴下し、加水分解を促すために30分間攪拌してゾル液とした。それぞれの配合は、順にモル比で、TEOS:水:EtOH:TBOT:EtOH=83.5:16.5:334.0:417.5:330,TBOT:AcAc=1:2とした。
【0033】
このゾル溶液を、片面をメンディングテープで覆った無アルカリガラス基板に、引上げ速度を1.11mm/secとしたディップコーティング法により塗布し、基板のテープを剥がした後、90℃で1時間乾燥させて、膜(a)を得た。この膜(a)の膜厚は210nmであった。
【0034】
この膜(a)に対し、図1(1)に示したように、フォトマスクを介して紫外線を1時間照射し、次いで図1(3)に示したように、0.1MのNaOHaqに浸してエッチングして膜(b)とした。さらにこの膜(b)を基板ごと沸騰水に1時間浸漬させて、図1(4)に示したように、膜(c)を得た。なお、フォトマスクには、一辺40μmの正方形の開口部が100μm間隔で設けられたものを用いた。
【0035】
上記の膜(a)〜(c)のパターン形状を、光学顕微鏡(オリンパス光学工業(株)製、BX50)により観察し、表面形状を表面粗さ測定器(小阪研究所製、サーフコーダSE−30C)を用いて測定するとともに三次元表面粗さ形状解析ソフト(TDA−22)を用いて解析した。表面形状の測定条件は、触針の送り速さを0.5mm/s、送りピッチを10μm、ライン数101、Z倍率を50000倍とした。
【0036】
膜(a)〜(c)の、光学顕微鏡観察の結果を図2に、三次元表面粗さ形状解析の結果を図3にそれぞれ示した。図中の9つの四角い部分が紫外線照射部である。(a)では、紫外線照射部において厚さが10nm程薄く、紫外線照射により膜が緻密化されたことがわかった。(b)では、紫外線未照射部において厚さが減って基板が露出しており、紫外線未照射部はエッチングされやすく、紫外線照射によりエッチング液への溶解性が減少することがわかった。(c)では、膜が厚さ方向にのみ10〜20nm程収縮しているものの、パターン形状を保っていることが確認された。
【0037】
さらに、膜(c)については、電解放射型走査顕微鏡((株)日立製作所製、S4500型、以下FE−SEMと示す)により組織を観察した。試料は、薄膜を基板ごとダイヤモンドガラスカッターで切断して、銀ペーストで試料台に固定し、真空デシゲーター内で約30分間真空乾燥した後、クイックコーター((株)ULVAC製 VPS−020)を用いて白金スパッタして用意した。FE−SEM観察の条件は、加速電圧5〜15kV、走査距離5mmとした。
【0038】
膜(c)の、紫外線照射部(A)と紫外線未照射部(B)のFE−SEM観察の結果を図4に示した。(A)紫外線照射部には、粒状の析出物が観察されるが、(B)紫外線未照射部には観察されなかった。この粒状の析出物における電子線回折像を図5に示した。この回折パターンは、計算によって求めたアナターゼ型チタニアのパターンと極めてよく一致していることが確認された。このことから、β−ジケトン修飾し、紫外線照射とエッチングによってパターニングした膜にも、温水処理によりアナターゼ型チタニアが析出されることが示された。
【0039】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、チタニアナノ微結晶分散薄膜が、基体の任意の部位に、サブミクロンオーダーの任意のパターンとして分散されているチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明のチタニアナノ微結晶分散薄膜の製造方法を例示した工程図である。
【図2】実施例において得られた膜(a)〜(c)の光学顕微鏡観察の結果を例示した図である。
【図3】実施例において得られた膜(a)〜(c)の三次元表面粗さ形状解析の結果を例示した図である。
【図4】実施例において得られた膜(c)の紫外線照射部(A)と紫外線未照射部(B)をFE−SEM観察した結果を例示した図である。
【図5】実施例において得られた膜(c)の紫外線照射部(A)における電子線回折パターンを例示した図である。

Claims (8)

  1. シリコンアルコキシド、加水分解性を有するチタニウム化合物およびβ−ジケトンを含む溶液から、β−ジケトンで修飾されたシリコンアルコキシドとチタニウム化合物の複合金属酸化物あるいは水酸化物を含む膜を形成し、この膜を所望のパターンでマスクして紫外線を照射し、紫外線照射部を硬化させた後、非照射部をエッチングし、次いで、水または温水と接触させて、紫外線照射部の表面にチタニア微結晶を析出させることを特徴とするチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  2. β−ジケトンが、アセチルアセトン、エチルアセトアセテート、ベンゾイルアセトンのいずれか1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  3. シリコンアルコキシドとチタニウム化合物の配合が、モル比で、SiO2:TiO2=5:1〜1:3となる範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  4. シリコンアルコキシドとチタニウム化合物の配合が、モル比で、SiO2:TiO2=3:1であることを特徴とする請求項3記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  5. β−ジケトンを、チタニウム化合物に対して、モル比で、1:0.5〜10の割合で添加することを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  6. β−ジケトンを、チタニウム化合物に対して、モル比で、1:2の割合で添加することを特徴とする請求項5記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  7. 酸、アルカリ、酸性塩あるいはアルカリ性塩溶液をエッチング溶液としてエッチングすることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
  8. エッチング溶液が、NaOH溶液、KOH溶液あるいはNH3溶液のいずれであることを特徴とする請求項7記載のチタニアナノ微結晶分散薄膜パターンの製造方法。
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