JP3957531B2 - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとラジエータとの間で冷却媒体を循環させてエンジンを冷却するエンジンの冷却装置に関し、特に電気的に加熱可能なサーモスタットバルブを備えて上記冷却媒体の循環量を電子制御するエンジンの冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンとラジエータとの間の冷却媒体(冷却水)の循環量をサーモスタットバルブを用いて制御するエンジンの冷却装置が周知である。このエンジンの冷却装置においては、熱によって膨張可能な部材を用いて構成されるサーモスタットバルブを備え、エンジンの冷却水の温度(冷却水温)に応じて開閉態様が変化する該サーモスタットバルブの開閉動作を通じて、エンジンとラジエータとの間の冷却水の循環量が制御される。
【0003】
また従来は、こうしたエンジンの冷却装置として、例えば特許第2662187号公報に見られるように、上記サーモスタットバルブをヒータによって電気的に加熱することで、冷却水温に応じた開弁量よりも大きな開弁量となるようサーモスタットバルブを電子制御する装置も提案されている。
【0004】
このような冷却装置では、上記冷却水温を目標温度に制御すべく、水温センサにより検出される冷却水温が上記目標温度を超えることに基づいて上記サーモスタットバルブのヒータに対する通電を行うようにしている。これにより、サーモスタットバルブの開弁量が増大され、ひいてはラジエータを通過する冷却水の流量が増加して、目標温度を超えて上昇した冷却水温の速やかな低下が図られるようになる。そして、同冷却装置では、こうして冷却水温が目標水温を下回ったことの検知に基づいて、上記ヒータへの通電が遮断される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記冷却装置の場合、冷却水温が目標水温を超えたとき、サーモスタットバルブのヒータに通電を行うことで、目標温度を超えて上昇した冷却水温を速やかに低下させることは確かにできる。しかし、同装置ではその後、冷却水温が目標水温を下回ったことの検知に基づいてヒータへの通電を遮断するようにしていることから、冷却水温の低下の度合いが激しい場合、その温度が目標水温を過度に下回ることもある。そして、このようにエンジンの冷却水温が過度に低下するようなことがあると、フリクションの増大や燃費の悪化を招くようにもなる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気的に加熱可能なサーモスタットバルブを備えて冷却媒体の循環量を電子制御するに際して、冷却媒体の温度の過度の低下を好適に回避することのできるエンジンの冷却装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、前記加熱制御手段は、前記サーモスタットバルブに対する加熱の開始後、少なくとも前記ラジエータからの冷却媒体の温度に基づいて前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを推定し、この推定される温度の低下度合いに応じて前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止することをその要旨とする。
【0008】
サーモスタットバルブの開弁に際し、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が過度に低いと、エンジンを冷却する冷却媒体の温度が過度に低下するおそれがある。
【0009】
この点、上記構成では、少なくともラジエータからの冷却媒体の温度に基づいてエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを推定し、この推定される温度の低下度合いに応じてサーモスタットバルブに対する加熱を停止する。このため、サーモスタットバルブに対する加熱制御に際し、ラジエータからの冷却媒体の温度が低いことに起因してエンジンを冷却する冷却媒体の温度が過度に低下することを回避することができ、ひいては、目標温度領域への好適な制御を行うことができるようになる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度と前記ラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいて推定することをその要旨とする。
【0011】
サーモスタットバルブの開弁に際し、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど、エンジンを冷却する冷却媒体の温度が過度に低下しやすい。
【0012】
この点、上記構成によれば、エンジンを冷却する冷却媒体の温度とラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいてエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを推定することで、同低下度合いを的確に推定することができるようになる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを、前記目標温度領域内で予め設定された温度と前記ラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいて推定することをその要旨とする。
【0014】
サーモスタットバルブの開弁に際し、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど、エンジンを冷却する冷却媒体の温度が過度に低下しやすい。ここで、サーモスタットバルブの開弁時のエンジンを冷却する冷却媒体の温度は、上記加熱制御手段によって制御される目標温度領域内にあるものと考えることができる。
【0015】
この点、上記構成によれば、目標温度領域内で予め設定された温度とラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいてエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを推定することで、同低下度合いを的確に推定することができるようになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられる前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が、前記サーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度であることをその要旨とする。
【0017】
サーモスタットバルブの開弁に伴いエンジンを冷却する冷却媒体の温度がどれだけ低下するかは、サーモスタットバルブの開弁時においてエンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度がどれだけ低いかに依存する。
【0018】
ここで、上記構成では、エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられるエンジンを冷却する冷却媒体の温度を、サーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度とする。このため、上記構成によれば、この加熱開始時の温度によって、サーモスタットバルブの開弁に伴うエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを的確に把握することができるようになる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられる前記ラジエータからの冷却媒体の温度が、前記サーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度であることをその要旨とする。
【0020】
サーモスタットバルブの開弁に伴いエンジンを冷却する冷却媒体の温度がどれだけ低下するかは、サーモスタットバルブの開弁時においてエンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度がどれだけ低いかに依存する。
【0021】
ここで、上記構成では、エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられるラジエータからの冷却媒体の温度をサーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度とする。このため、上記構成によれば、この加熱開始時の温度によって、サーモスタットバルブの開弁に伴うエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを的確に把握することができるようになる。
【0022】
なお、上記各請求項1〜5のいずれかに記載の発明は、請求項6記載の発明によるように、前記加熱制御手段は、前記推定される前記冷却媒体の温度の低下度合いに対応して所定の判定値を設定し、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度がこの設定した判定値を下回るとき、前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止するようにしてもよい。
【0023】
これにより、推定されるエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いに応じた加熱の停止にかかる制御を簡易に行うことができるようになる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記加熱制御手段は、前記推定される前記冷却媒体の温度の低下度合いが大きいほど前記判定値を高い値に設定することをその要旨とする。
【0024】
上記構成では、推定される冷却媒体の温度の低下度合いが大きいほど上記加熱の停止に用いる判定値が高い値に設定される。このため、エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いが大きく加熱制御の停止後のエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いが大きい場合であれ、同エンジンを冷却する冷却媒体の温度の過度の低下を好適に回避することができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が所定の判定値を下回るときに前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止するとともに、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対して前記ラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど前記所定の判定値を高い値に設定することをその要旨とする。
【0026】
エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど、サーモスタットバルブの開弁に伴うエンジンを冷却する冷却媒体の温度は低下しやすい。
【0027】
ここで、上記構成では、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど上記加熱の停止に用いる判定値が高い値に設定される。このため、加熱開始後のエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いが大きい場合であれ、同温度の過度の低下を好適に回避することができ、ひいては、目標温度領域への好適な制御を行うことができるようになる。
【0028】
請求項9記載の発明は、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が所定の判定値を下回るときに前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止するとともに、前記目標温度領域内で予め設定された温度に対して前記ラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど前記所定の判定値を高い値に設定することをその要旨とする。
【0029】
サーモスタットバルブの開弁に際し、エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど、エンジンを冷却する冷却媒体の温度が過度に低下しやすい。ここで、サーモスタットバルブの開弁時のエンジンを冷却する冷却媒体の温度は、上記加熱制御手段によって制御される目標温度領域内にあるものと考えることができる。
【0030】
この点、上記構成では、目標温度領域内で予め設定された温度に対してラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど上記加熱の停止に用いる判定値を高い値に設定する。このため、加熱開始後のエンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いが大きい場合であれ、同温度の過度の低下を好適に回避することができ、ひいては、目標温度領域への好適な制御を行うことができるようになる。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の発明において、前記冷却媒体は、前記エンジンの出力軸から供給される動力に基づいて循環されるものであり、前記加熱制御手段は、前記エンジンの回転速度が速いほど前記判定値を高い値に設定することをその要旨とする。
【0032】
エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いは、ラジエータとエンジンとの間を循環する冷却媒体の流速に依存する。そして、冷却媒体がエンジンの出力軸から供給される動力に基づいて循環される場合には、上記冷却媒体の流速は、エンジンの回転速度に略比例する。
【0033】
この点、上記構成によれば、エンジンの回転速度が速いほど上記判定値を高く設定することで、エンジンを冷却する冷却媒体の温度の過度の低下を好適に回避することができるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるエンジンの冷却装置をガソリンエンジンの冷却装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図1に、本実施形態にかかるエンジンの冷却装置の全体構成を示す。このエンジンの冷却装置は、エンジン2のシリンダブロックやシリンダヘッドに形成された冷却水配管に冷却水を流通させることで、エンジン2の冷却等を行うものである。
【0036】
同図1に示すように、このエンジンの冷却装置においては、エンジン2から流出される冷却水は、出口通路4を介して冷却通路10、バイパス通路(メインバイパス通路20、サブバイパス通路22)に流出する。ここで、冷却通路10には、冷却水を冷却するラジエータ12が設けられている。
【0037】
また、上記ラジエータ12を介した冷却通路10内の冷却水とバイパス通路20、22内の冷却水とは、電子制御式の電子サーモスタット30に流入する。そして、この電子サーモスタット30から流出する冷却水は入口通路40を介してエンジン2に供給される。上記入口通路40には、冷却水を強制的に流動させるウォータポンプ42が備えられている。このウォータポンプ42は、エンジン2の動力によって、すなわち、エンジン2の出力軸を介して駆動される。
【0038】
ここで、電子サーモスタット30は、ラジエータ12を通過して流入する冷却通路10内の冷却水とバイパス通路20内の冷却水とが上記入口通路40へ流出する流量を制御するものである。図2に、この電子サーモスタット30の構成を示す。
【0039】
この電子サーモスタット30は、上記ラジエータ12を通過して流入する冷却通路10内の冷却水と、メインバイパス通路20を介して流入する冷却水とが上記入口通路40へ流出する流量を制御するワックス式の制御弁(サーモスタットバルブ)を備えている。この制御弁は、温度に応じて圧縮及び膨張するワックスを利用することで、エンジン2の上記シリンダブロック等を循環した冷却水の水温に応じてその弁体が機械的に開閉するものである。更に、この電子サーモスタットは、この制御弁のワックスを電気的に加熱することでその開弁量を電子制御するものである。
【0040】
同図2に示すように、この電子サーモスタット30は、上記冷却通路10と連結する第1入力ポート30a、上記メインバイパス通路20と連結する第2入力ポート30b、上記サブバイパス通路22と連結する第3入力ポート30c、及び、上記入口通路40と連結する出力ポート30dを備えている。そして、上記制御弁の弁体として、第1入力ポート30a及び出力ポート30d間の流路面積を制御する弁体31と、第2入力ポート30b及び出力ポート30d間の流路面積を制御する弁体32を備えている。これら弁体31及び弁体32は、弁軸33に連結されており、これにより、弁体31及び弁体32は一体的に動作する。
【0041】
また、上記制御弁は、上記ワックスの充填された感温部34を備えており、この感温部34内のワックスが膨張することで、上記弁軸33を付勢するようになっている。すなわち、感温部34内のワックスが膨張すると、弁体31が開弁方向に、また弁体32が閉弁方向に付勢される。換言すれば、感温部34内のワックスが膨張することで、冷却通路10及び入口通路40間の流路面積が拡大され、またメインバイパス通路20及び入口通路40間の流路面積が縮小される。そして、弁体31が全開となることで冷却通路10及び入口通路40間の流路面積が最大となったときに、弁体32が閉弁してメインバイパス通路20及び入口通路40間の流路面積が「0」となる。なお、上記弁体31及び弁体32は、スプリング35によって弁体31の閉弁方向へ付勢されている。
【0042】
上記感温部34は、サブバイパス通路22から流入した冷却水の温度に応じて圧縮及び膨張するように配置されている。すなわち、サブバイパス通路22から流入した冷却水がウォータポンプ42へと流出する際に通過する流通通路に接して配置されている。これにより、エンジン2を冷却する冷却水の温度が高いときには、感温部34がサブバイパス通路22からの冷却水によって温められるために、弁体31が開弁し弁体32が閉弁する。一方、エンジン2を冷却する循環した冷却水の温度が低いときには、感温部34がサブバイパス通路22からの冷却水によって冷やされるために、弁体31が閉弁し弁体32が開弁する。
【0043】
この電子サーモスタット30は、更に上記感温部34を電気的に加熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ36を備えている。そして、このPTCヒータ36への通電制御によって、サブバイパス通路22からの冷却水の温度に応じた弁体31、32の機械的な開閉制御とは別に、弁体31、32の開閉を電子制御する。
【0044】
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、冷却通路10及び入口通路40間の流路面積にかかる弁体31の開閉状態を電子サーモスタット30の開閉状態と定義する。
【0045】
更に、本実施形態にかかるエンジンの冷却装置は、先の図1に示すように、上記エンジン2や、電子サーモスタット30を制御する電子制御装置50を備えている。この電子制御装置50は、中央処理装置51と、同中央処理装置51で行われる演算プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)52、更に、外部から取り込まれるデータを記憶するRAM(Random Access Memory)53とを備えている。
【0046】
この電子制御装置50においては、各種センサの検出結果が取り込まれ、上記中央処理装置51内で所定の演算が施された後、制御信号が出力される。特に電子制御装置50では、エンジン2の運転状態に基づいて電子サーモスタット30を制御する。詳しくは、本実施形態では、同図1に示すように、エンジン2の出力軸の回転速度を検出する回転速度センサ61とエンジン2に吸入される空気量を検出するエアフローメータ62とを備えている。そして、図3に示すように、エアフローメータ62の検出値である吸入空気量(エンジン負荷Q)とエンジン2の出力軸の回転速度NEとに基づいて電子サーモスタット30の通電制御を行う。すなわち、本実施形態では、エンジン負荷Q及びエンジン回転速度NEによって定まる所定の運転条件下においては電子サーモスタット30を機械的に制御し、それ以外の運転条件下においては電子サーモスタット30への通電、より具体的にはPTCヒータ36への通電を行うよう設定がなされている。
【0047】
これは、エンジン2のフリクションの低下及び燃費の向上とエンジン2の動力性能の向上との両立を図るべく行われる。すなわち、制御目標とする冷却水の水温領域である目標温度領域を、上記所定の運転条件下においては高めに設定することでエンジン2のフリクションを低減し、ひいては燃費の向上を図る。また、それ以外の運転領域においては電子サーモスタット30への通電を行うことで上記目標温度領域を上記所定の条件下におけるものよりも低めに設定し、エンジン2の動力性能の向上を図る。ここで、通電を行う領域は、エンジン2の負荷Qが所定値以上となる領域とする。そして、この通電を行う所定値は、エンジン回転速度NEによって可変設定する。
【0048】
このように、電子サーモスタット30の通電を行うことで、図4に示すように電子サーモスタット30が開弁するエンジン冷却水温が低温側にシフトする。ちなみに、上記感温部34内のワックスの膨張に基づく電子サーモスタット30の機械的な開弁は、この開弁量が全開及び全閉の間の所定の開度領域Δθとなる冷却水温領域が、上記エンジン2の所定の運転条件下における目標温度領域1となるように設定されている。そして、通電制御を行うことで、所定の開度領域Δθとなる冷却水温領域が低温側に、すなわち、目標温度領域2にシフトする。
【0049】
ところで、図3に示した電子サーモスタット30の通電領域にあっても、エンジン冷却水温を上記目標温度領域2に制御すべく、エンジン冷却水温が所定以下となるときには通電を停止する。しかしこのように、エンジン冷却水温が所定以下となるときに通電を停止するようにしたとしても、エンジン冷却水温が上記目標温度領域2を過度に下回るおそれがある。
【0050】
そこで、本実施形態では、エンジン2を冷却する冷却水温とラジエータ12からの冷却水温とに基づいて電子サーモスタット30の通電に伴う上記エンジン2を冷却する冷却水温の低下度合いを推定する。そして、この推定される冷却水温の低下度合いに応じて電子サーモスタット30に対する通電を停止する。これにより、エンジン2を冷却する冷却水温が目標温度領域2を過度に下回ることを回避することができるようになる。ちなみに、エンジン2を冷却する冷却水温に対してラジエータ12からの冷却水温が低いほど、エンジン2を冷却する冷却水温が過度に低下しやすい。そこで本実施形態では、エンジン2を冷却する冷却水温とラジエータ12からの冷却水温とに基づいて通電に伴うエンジン2を冷却する冷却水温の低下度合いを推定して通電を停止することで、通電停止を的確に行う。
【0051】
詳しくは、電子サーモスタット30の通電時において、エンジン2を冷却する冷却水温が所定の判定値を下回ったときに通電を停止するとともに、この判定値を、上記推定されるエンジン2を冷却する冷却水温の低下度合いが大きいほど高い値に設定する。換言すれば、エンジンを冷却する冷却水温に対してラジエータ12からの冷却水温が低いほど上記低下度合いが大きいと推定されることから、エンジン2を冷却する冷却水温に対してラジエータからの冷却水温が低いほどを判定値を高い値に設定する。
【0052】
更に、電子サーモスタット30の通電時において、エンジン2の回転速度が高いほど上記所定の判定値を高い値に設定する。これにより、エンジン2を冷却する冷却水温の過度の低下のいっそうの回避を図る。ちなみに、エンジン2を冷却する冷却水温の低下度合いは、ラジエータ12とエンジン2との間を循環する冷却水の流速に依存する。そして、この流速は、エンジン2の出力軸から供給される動力によって駆動されるウォータポンプ42の動力に依存するため、エンジンの回転速度に略比例することとなる。
【0053】
具体的には、本実施形態では、先の図1に示すように、上記出口通路4にエンジン2通過後のエンジン水温THW1を検出する水温センサ70を、また、冷却通路10のうちラジエータ12の下流側にラジエータ12通過後のラジエータ水温THW2を検出する水温センサ71をそれぞれ備える。また、これらエンジン水温THW1からラジエータ水温THW2を引いた値である水温差DLTHW、及び、エンジン回転速度NEと上記所定の判定値Aとの関係を定義する図5に例示するマップを備える。
【0054】
ここで、水温差DLTHWがエンジン水温THW1の低下度合いを推定するためのパラメータである。また、所定の判定値Aは、そのときの水温差DLTHWから判断して、通電開始に伴いエンジン水温THW1がこの値を下回ったなら通電を停止しなければ同エンジン水温THW1の過度の低下が避けられないと想定される値に設定される。なお、このマップは、先の図1に示したROM52に格納される。
【0055】
ここで、本実施形態にかかる通電制御にかかる処理手順について図6に基づいて更に説明する。
図6は、上記処理手順を示すフローチャートである。この処理は、上記電子制御装置50のROM52に格納されたプログラムが中央処理装置51によって実行されることで行われる。また、この処理は、例えば所定の処理周期で繰り返し実行される。
【0056】
この一連の処理においては、まず、ステップ100において、上記水温センサ70によるエンジン水温THW1と、水温センサ71によるラジエータ水温THW2と、回転速度センサ61によるエンジン回転速度NEと、エアフローメータ62による吸入空気量(エンジン負荷Q)とを読み込む。そして、ステップ110において、上記ステップ100にて読み込まれたエンジン水温THW1からラジエータ水温THW2を引いた水温差DLTHWを算出する。そして、水温差DLTHWが算出されると、ステップ120において、先の図5に示すマップから、この水温差DLTHWとエンジン回転速度NEとに対応した上記判定値Aを演算する。
【0057】
一方、ステップ130においては、上記ステップ100において読み込まれたエンジン回転速度NEとエンジン負荷Qとに基づいて電子サーモスタット30の通電条件が成立しているか否か、換言すれば、先の図3に示した電子サーモスタット30の通電領域にあるか否かを判断する。そして、通電条件が成立していないと判断されると、ステップ150において、上記PTCヒータ36を非通電状態とする。
【0058】
これに対し、ステップ130において通電条件が成立していると判断されると、ステップ140においてエンジン水温THW1が上記所定の判定値Aを下回ったか否かを判断する。そして、エンジン水温THW1が所定の判定値A以上であると判断されると、ステップ160に移行し、上記PTCヒータ36の通電がなされる。これに対し、ステップ140においてエンジン水温THWが所定の判定値Aを下回ったと判断されると、ステップ150に移行する。なお、これらステップ150、160の後、このフローチャートに示す一連の処理を一旦終了する。
【0059】
このようにエンジン水温THW1からラジエータ水温THW2を引いた水温差DLTHWに基づいて可変設定される判定値Aを下回ったときに電子サーモスタット30の通電を停止するために、図7に示すように、エンジン水温THW1の過度の低下を回避することができる。これに対し、例えばエンジン水温THW1が目標温度領域2の最小値を下回ったときに通電を停止すると、同図7に2点鎖線で示すようにエンジン水温THW1が過度に低下することがある。
【0060】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)エンジン水温THW1に対してラジエータ水温THW2が低いほど通電制御を停止する際の所定の判定値Aを高い値に設定した。このため、エンジン水温THW1に対してラジエータ水温THW2が低いことに起因してエンジン水温THW1が過度に低下することを回避することができるようになる。
【0061】
(2)電子サーモスタット30の通電時において、エンジン2の回転速度が高いほど上記所定の判定値Aを高い値に設定した。これにより、エンジン水温THW1の過度の低下をいっそう好適に回避することができる。
【0062】
(3)エンジン負荷Qの大きいときには、同エンジン負荷Qの小さい所定の運転条件下におけるよりもエンジン水温THW1の目標温度領域を低く設定した。これにより、エンジン負荷Qが大きいときのエンジン2の動力性能を好適に高めることができるとともに、エンジン負荷Qの小さな所定の運転条件下においてはエンジン2のフリクションの低減や燃費の向上を図ることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかるエンジンの冷却装置をガソリンエンジンの冷却装置に適用した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0064】
上記第1の実施形態では、逐次変化するエンジン水温THW1から同じく逐次変化するラジエータ水温THW2を引いた水温差DLTHWに基づいて通電の停止にかかる判定値Aを可変設定した。これに対し、本実施形態では、電子サーモスタット30の通電開始時のエンジン水温THW1に対して同通電開始時のラジエータ水温THW2が低いほどこの通電の停止にかかる判定値Aを高い値に設定する。
【0065】
ちなみに、サーモスタット30の通電開始に伴いエンジン水温THW1がどれだけ低下するかは、通電開始時のエンジン水温THW1に対してラジエータ水温THW2がどれだけ低いかに依存する。すなわち、通電開始時のエンジン水温THW1に対してラジエータ水温THW2が低いほど、通電開始に伴いエンジン水温THW1は低下しやすい。このため、本実施形態では、通電開始時のエンジン水温THW1に対してラジエータ水温THW2が低いほど、通電開始に伴うエンジン水温THW1の低下度合いが大きいと推定する。そして、この推定される低下度合いが大きいほど判定値Aを高い値に設定することで、エンジン水温THW1の過度の低下の回避を図る。
【0066】
具体的には、本実施形態においても、エンジン水温THW1からラジエータ水温THW2を引いた値である水温差DLTHW、及び、エンジン回転速度NEと上記所定の判定値Aとの関係を定義する先の図5と同様のマップを用いる。ここでも、判定値Aは、通電開始に伴いエンジン水温THW1がこの値を下回ったなら通電を停止しなければ同エンジン水温THW1の過度の低下が避けられないと推定される値に設定される。ただし、ここでは、上記推定は、通電開始時のエンジン水温THW1から通電開始時のラジエータ水温THW2を引いた値である水温差DLTHWに基づいて行われるものであるため、水温差DLTHWに対する判定値Aの値は、先の図5に示すものとは異なったものとすることが望ましい。なお、このマップも先の図1に示したROM52に格納される。
【0067】
ここで、本実施形態にかかる通電制御にかかる処理手順について図8に基づいて更に説明する。
図8は、上記処理手順を示すフローチャートである。この処理は、上記電子制御装置50のROM52に格納されたプログラムが中央処理装置51によって実行されることで行われる。また、この処理は、例えば所定の処理周期で繰り返し実行される。
【0068】
この一連の処理においては、まず、ステップ200において、先の図6に示したステップ100と同様の処理を行う。そして、ステップ210において、先の図6に示したステップ130同様、上記ステップ200にて読み込まれたエンジン回転速度NEとエンジン負荷Qとに基づいて電子サーモスタットの通電条件が成立しているか否かを判断する。そして、通電条件が成立していないと判断されると、ステップ260において、先の図6のステップ150同様、PTCヒータ36を非通電状態とする。
【0069】
一方、ステップ210にて電子サーモスタット30の通電条件が成立していると判断されると、ステップ220において、電子サーモスタット30の非通電(オフ)状態から通電(オン)状態へと切り替わったときであるか否かを判断する。すなわち、ここでは、電子サーモスタット30の通電開始時であるか否かを判断する。そして、ステップ200において、電子サーモスタット30の通電開始時であると判断されると、ステップ230に移行する。
【0070】
このステップ230においては、通電開始時のエンジン水温THW1から同通電開始時のラジエータ水温THW2を引くことで水温差DLTHWを算出する。そして、ステップ240において、先の図6のステップ120と同様、この水温差DLTHWと上記ステップ200において読み込んだエンジン回転速度とから、判定値Aをマップ演算する。なお、この判定値Aは、先の図1に示したRAM53に記憶しておく。
【0071】
そして、ステップ220において電子サーモスタット30の通電開始時ではないと判断されたときや、ステップ240において判定値Aをマップ演算したときには、ステップ250に以降する。ステップ250では、先の図6のステップ140同様、エンジン水温THW1が上記所定の判定値Aを下回ったか否かを判断する。そして、エンジン水温THW1が所定の判定値A以上であると判断されると、ステップ270に移行し、先の図6のステップ160同様、上記PTCヒータ36の通電がなされる。これに対し、ステップ250においてエンジン水温THWが所定の判定値Aを下回ったと判断されると、ステップ260に移行する。なお、これらステップ260、270の後、このフローチャートに示す一連の処理を一旦終了する。
【0072】
図9に、上記通電制御に際してのエンジン水温THW1の推移の一例を示す。この場合であれ、電子サーモスタット30の通電開始時のエンジン水温THW1とラジエータ水温THW2との差に基づいて設定される判定値Aを下回ったときに通電を停止することで、エンジン水温THW1の過度の低下が回避される。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(4)通電開始時のエンジン水温THW1及びラジエータ水温THW2に基づいて所定の判定値Aを設定した。このため、通電開始時から通電停止時までの間、エンジン水温THW1及びラジエータ水温THW2に基づき判定値Aを逐次演算する場合と比較して、演算負荷を低減させることができる。
【0074】
なお、本実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記各実施形態における通電制御にかかる処理手順については、先の図6や図8に例示したものに限らない。例えば図8において、所定の判定値Aを算出した後は、ステップ200によるようなラジエータ水温THW2の読み込みを停止してもよい。
【0075】
・ラジエータからの冷却水温を検出する水温センサ71の配置箇所は、ラジエータ12によって冷却された(又は冷却されている)冷却水温を検出することのできる範囲で変更してよい。
【0076】
・エンジンを冷却する冷却水温を検出する水温センサ70の配置箇所は、エンジン2内のシリンダブロックやシリンダヘッドを循環することで熱の供給された冷却水温(又は熱の供給されている冷却水温)を検出することのできる範囲で変更してよい。また、この水温センサ70の配置箇所として、先の図1に示した入口通路40内の冷却水温等、エンジン2内のシリンダブロックやシリンダヘッドを循環することで熱の供給された冷却水とラジエータ12からの冷却水との混合された冷却水の温度を検出することのできる範囲としてもよい。
【0077】
ただし、本明細書において、それに応じてサーモスタットの開弁量が変化する「エンジンを冷却する冷却媒体の温度」については、上記混合された冷却水の温度を含まないこととする。
【0078】
・エンジンを冷却する冷却水温とラジエータからの冷却水温とから構成される上記エンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定するためのパラメータとしては、エンジンを冷却する冷却水温からラジエータからの冷却水温を引いた値(DLTHW)に限らない。たとえば、エンジンを冷却する冷却水温とラジエータからの冷却水温との比を算出してもよい。
【0079】
・エンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定するために用いるエンジンを冷却する冷却水温とラジエータからの冷却水温とについては、これらの一方を通電開始時の温度とし、また他方を逐次変化する検出値としてもよい。この際、これらを用いて推定された低下度合いに基づく所定の判定値の設定に用いるマップの値もそれに応じて適宜変更することが望ましい。
【0080】
・エンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定するために用いるエンジン水温については、必ずしも検出値を用いるものに限らない。例えば、電子サーモスタットの通電時には目標温度領域2への制御がなされていることからエンジンを冷却する冷却水温がこの目標温度領域内にあるとみなし、同目標温度領域内で予め設定された温度と検出されるラジエータからの冷却水温とを用いてもよい。
【0081】
・また、エンジンを冷却する冷却水温を用いなくともラジエータからの冷却水温に基づいてエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定することはできる。
【0082】
・所定の判定値の設定は、必ずしもマップ演算によるものに限らない。
・所定の判定値の設定に用いるパラメータとしては、例えばウォータポンプ42がエンジン2から動力が供給されるものでなく電動式のものである場合などには、エンジン回転速度を含まなくてもよい。
【0083】
・エンジンを冷却する冷却水温の低下度合いの推定に基づく通電の停止は、必ずしも同推定されるエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いに応じて設定される判定値を用いるものに限らない。例えば、ラジエータからの冷却水温及びエンジンを冷却する冷却水温と通電の継続又は停止に対応した2値化された値との関係を定めたマップを用いてラジエータからの冷却水温とエンジンを冷却する冷却水温との時間変化に基づいて通電の継続又は停止にかかる制御を行ってもよい。なお、ここで停止に対応するマップ値は、少なくともラジエータからの冷却水温に基づいて推定されるエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いに基づいて設定する。このように、要は、少なくともラジエータからの冷却水温に基づいてエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定し、この推定される温度の低下度合いに応じて通電の停止をすればよい。
【0084】
・通電条件としては、先の図3に示したものに限らない。例えば図3の機械的制御領域(目標温度領域1)であってもエンジン水温が所定の温度を超えたときには通電制御をしてよい。そして、この際、上記各実施形態やその変形例で示すように、少なくともラジエータからの冷却水温に基づいてエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定して通電を停止するようにしてもよい。なお、この際、通電の停止を判断するための所定の判定値を用いる場合は、先の図3に示した通電領域と機械的制御領域とでそれぞれの各目標温度領域に対応して判定値を各別に設定することが望ましい。
【0085】
・本発明の適用可能なエンジンの冷却装置の行う目標温度領域への制御としては、上記各実施形態に例示したものに限られない。例えば特許第266187号公報のように、エンジンの運転状態や運転環境に応じて目標温度が可変設定されるようなエンジンの冷却装置に本発明を適用することもできる。すなわち、この場合、例えばエンジンの運転状態や運転環境に応じて設定される目標温度毎に、通電停止の判定にかかる判定値を設定するとともに、この判定値を少なくともラジエータからの冷却水温に基づいて可変設定するようにしてもよい。これにより、冷却水温が目標温度に対して過度に低下することを回避することが、換言すれば、冷却水温を目標温度領域に制御することができるようになる。
【0086】
・エンジンの冷却装置としては、電子サーモスタットの通電制御を、上記エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づいて行うものに限らない。エンジンの運転状態やエンジンの運転環境に基づいて通電制御を行うものであればよい。
【0087】
・電子制御装置の構成としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えば、上記各実施形態で例示した処理をソフトウェア処理する代わりに、この処理を行うためのハードウェアを備えるものであってもよい。
【0088】
・電子サーモスタットにおいて、温度に応じて圧縮及び膨張する部材は、ワックスに限らない。換言すれば、機械的な制御弁(サーモスタットバルブ)としては、ワックス式に限らず、ベローズ式等でもよい。
【0089】
・電子サーモスタットは、メインバイパス通路20及びサブバイパス通路22の2つのバイパス通路から冷却水の供給される構成に限らない。
・電子サーモスタットにおいて、温度に応じて圧縮及び膨張する部材を加熱する加熱手段としては、上記PTCヒータに限らない。
【0090】
・少なくともラジエータからの冷却水温に基づいてエンジンを冷却する冷却水温の低下度合いを推定し、この推定される温度の低下度合いに応じて通電を停止する加熱制御手段については、上記電子制御装置を備えるものに限らない。例えば、加熱制御に特化した専用の装置と上記加熱手段とからなるものであってもよい。
【0091】
・上記各実施形態では、ガソリンエンジンの冷却装置に本発明を適用したが、ディーゼルエンジンの冷却装置に適用してもよい。この際、エンジンの負荷を示すパラメータとして吸入空気量に代えてアクセルペダルの踏み込み量等を用いる。
【0092】
・エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体としては、冷却水に限らず、エンジンを冷却することのできる適宜の流体であればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエンジンの冷却装置の第1の実施形態についてその全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における電子サーモスタットの構成を示す断面図。
【図3】同実施形態における電子サーモスタットの制御態様を示す図。
【図4】同実施形態における電子サーモスタットの制御態様を示す図。
【図5】同実施形態で用いるマップを示す図。
【図6】同実施形態における電子サーモスタットの通電制御にかかる手順を示すフローチャート。
【図7】上記通電制御にかかるエンジン水温の推移例を示すタイムチャート。
【図8】本発明にかかるエンジンの冷却装置の第2の実施形態において、電子サーモスタットの通電制御にかかる手順を示すフローチャート。
【図9】上記通電制御にかかるエンジン水温の推移例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
2…エンジン、4…出口通路、10…冷却通路、12…ラジエータ、20…メインバイパス通路、22…サブバイパス通路、30…電子サーモスタット、30a…第1入力ポート、30b…第2入力ポート、30c…第3入力ポート、30d…出力ポート、31、32…弁体、33…弁軸、34…感温部、35…スプリング、36…PTCヒータ、40…入口通路、42…ウォータポンプ、50…電子制御装置、51…中央処理装置、52…ROM、53…RAM、61…回転速度センサ、62…エアフローメータ、70、71…水温センサ。

Claims (10)

  1. エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、
    前記加熱制御手段は、前記サーモスタットバルブに対する加熱の開始後、少なくとも前記ラジエータからの冷却媒体の温度に基づいて前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを推定し、この推定される温度の低下度合いに応じて前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止する
    ことを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度と前記ラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいて推定する
    請求項1記載のエンジンの冷却装置。
  3. 前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いを、前記目標温度領域内で予め設定された温度と前記ラジエータからの冷却媒体の温度とに基づいて推定する
    請求項1記載のエンジンの冷却装置。
  4. 前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられる前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が、前記サーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度である
    請求項2記載のエンジンの冷却装置。
  5. 前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度の低下度合いの推定に用いられる前記ラジエータからの冷却媒体の温度が、前記サーモスタットバルブに対する加熱開始時における温度である
    請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの冷却装置。
  6. 前記加熱制御手段は、前記推定される前記冷却媒体の温度の低下度合いに対応して所定の判定値を設定し、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度がこの設定した判定値を下回るとき、前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止する
    請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンの冷却装置。
  7. 前記加熱制御手段は、前記推定される前記冷却媒体の温度の低下度合いが大きいほど前記判定値を高い値に設定する
    請求項6記載のエンジンの冷却装置。
  8. エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、
    前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が所定の判定値を下回るときに前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止するとともに、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度に対して前記ラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど前記所定の判定値を高い値に設定する
    ことを特徴とするエンジンの冷却装置。
  9. エンジンを冷却する冷却媒体の温度に応じて開弁量が変化し、前記エンジンとラジエータとの間を循環する冷却媒体の循環量を制御するサーモスタットバルブと、該サーモスタットバルブを加熱してその開弁量を更に強制制御することによって前記冷却媒体の温度を目標温度領域に制御する加熱制御手段とを備えるエンジンの冷却装置において、
    前記加熱制御手段は、前記エンジンを冷却する冷却媒体の温度が所定の判定値を下回るときに前記サーモスタットバルブに対する加熱を停止するとともに、前記目標温度領域内で予め設定された温度に対して前記ラジエータからの冷却媒体の温度が低いほど前記所定の判定値を高い値に設定する
    ことを特徴とするエンジンの冷却装置。
  10. 前記冷却媒体は、前記エンジンの出力軸から供給される動力に基づいて循環されるものであり、前記加熱制御手段は、前記エンジンの回転速度が速いほど前記判定値を高い値に設定する
    請求項8又は9記載のエンジンの冷却装置。
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