JP3954557B2 - スライドファスナの引手 - Google Patents

Description

本発明はスライドファスナの開閉用引手に関する。特に、取り替えの可能なスライドファスナの引手に関する。

衣服、バッグ等のスライドファスナには開閉用の引手が予め取り付けられているが、さまざまな理由でこれを別のものに取り替えたいという要望がある。例えば、もとの引手が小さくてつかみにくいとき、元の引手のデザインに不満があるとき、もとの引手のデザインに飽きがきたとき、引手を衣服感覚で頻繁に取り替えたいと思ったとき、などである。このようなとき、簡単に引手を別のものに取り替えることができれば好都合である。

この目的で引手を取り替え可能とした発明に下記特許文献１〜３に記載するような発明・考案がある。特許文献１は、中間部（「本体」という用語が使用されている）と、把持部（「引手片」）と、スライダー接続部（「連結体」）からなる。中間部と把持部は、中間部内の挿入孔に把持部を挿入し、その上で縫着することにより結合する。特許文献２は、スライダー接続部（「操作片」）と、中間部（「保持体」）と、把持部（「引手片」）からなる。操作片と保持体は複雑なロック解除用組部を構成する。特許文献３は、スライダー接続部（「連結体」）と、中間部（「基体」）と、把持部（「引手主体」）からなる。中間部と把持部とは縫着などにより固定される。

特開平１０−１３７００９号 特開２０００−２２５００７ 実用新案登録第３０２７７８３号

特許文献１、３は、中間部（「本体」、「基体」）と把持部（「引手片」、「引手主体」）とが縫着などによるため、この部分での取り替えが困難であるという欠点がある。特許文献２では、この部分の構成は明らかではないが、図面を見る限り、把持部（「引手」）を二つ折りにして、折り目を中間部（「保持体」）のピンに当てて固定しているようである。二つ折りの引手片（「引手主体」）は縫着などにより一体化していると思われる。もしそうであれば、やはりこの部分での取り替えが困難である。このように従来技術では、中間部と把持部が一体となって交換されている。しかし、把持部のみの交換が容易にできれば、経済的であることはいうまでもない。

さらに、特許文献２は部品点数の多さという点で難がある。特許文献１と３は部品点数が２又は３点であるのでその点では問題はない。しかし、いずれもスライダーに対して動きが剛直でしなやかさに欠ける（その具体的な意味については発明の効果の欄に記載している）という欠点もある。

本発明は、部品点数が少なく、各部品の間での交換が容易で、かつ、しなやかな動きをするスライドファスナ用引手を提供することを目的とする。

本発明のスライドファスナ用引手は、スライダー接続部と、中間部と、把持部の３部品からなり、それぞれの間ではめ込み接合・解除による取り替えが可能であるスライドファスナ用引手において、前記スライダー接続部は、先端部と、その先端部両末端にそれぞれ接続された延長部からなり、前記延長部の末端には幅広になった抜け止め部が設けられており、前記中間部は、先端側に、前記延長部を受け入れる貫通口が形成され、後端側に、左右の切り欠き部と、中央のフック部が形成されていることを特徴とする。

前記特許文献１〜３に示したように、従来技術でもスライダー接続部と、中間部と、把持部の３部品からなるものはあるが、いずれも中間部と把持部とを縫製などにより固定してしまうため、これらの間で取り外しが容易ではなかった。それに対して、本発明では、前記３部品すべての間ではめ込み式に接合・解除されるため、交換が容易である。その結果、把持部のみの変更も非常に容易となり、様々なデザインを有するものと頻繁に交換することができるようになった。

本発明のスライドファスナ用引手は、図３及び図４に示すように、使用時、スライダー接続部１０と中間部２０の２カ所において屈曲可能である。従来技術欄で紹介した特許文献１と３は、中間部と把持部が直接固定されていたので、屈曲箇所はスライダー接続部１カ所であったのに比べると、本願発明の引手は柔らかくしなやかで手になじみやすいものとなった。

スライダー接続部は、例えば、先端部と、その先端部両末端にそれぞれ接続された延長部からなるものとすることができる。前記先端部は、例えば、一部を切り欠いたリング状、半円状、Ｄの字型、四角形その他の多角形状とすることができる。前記延長部の末端には幅広になった抜け止め部を設けることが好ましい。

特に好ましいのは、スライダー接続部を金属板で製作し、先端部と延長部の間でひねりを加えることである。その結果、平面状の延長部に対して、先端部はほぼ垂直に立ち上がる。

中間部先端側には、前記延長部を受け入れる貫通部を形成するのが好ましい。中間部後端側には、左右の切り欠き部と、中央のフック部を形成するのが好ましい。

把持部は、本体と、本体から突出して設けられた係合部を有するものが好ましい。係合部としては、例えば、２本のアームと、これらのアームの間をつなぐピンからなるものや、「コ」又は「Ｃ」の字型の突出部を使用することができる。

前記中間部と把持部の間は、前記フック部と前記ピンとの組み合わせとすることができる。中間部と把持部を結合させたとき、フック先端開口を前記抜け止め部が封鎖するように構成することが好ましい。

以下、添付の図面に基づき本発明の実施例を説明する。

図１は、第１実施例に係る本発明のスライドファスナ用引手の斜視図である。図２はその分解斜視図である。

これらの図面から明らかなように、この引手は、スライダー接続部１０と、中間部２０と、把持部３０の３部品からなる。

図２に示すように、スライダー接続部１０は、一部を切り欠いたリング状先端部１１と、その切り欠き部両端にそれぞれ接続された延長部１２からなる。延長部の末端には幅広になった抜け止め部１３が設けられている。抜け止め部１３は例えば三角形状の突起である。２本の延長部１２はバネ作用を有するので、抜け止め部１３の存在にもかかわらず、リング状先端部１１をスライダーの孔２（図１参照）に差し込んで一体化することができる。

中間部２０は、１枚の金属板を曲げ加工したもので、表面側が図１及び２に、裏面側が図３に現れている。先端側には、前記延長部１２を受け入れる貫通口２１が形成されている。後端側には、左右の切り欠き部２２と、中央のフック部２３が形成されている。スライダー接続部１０と中間部２０を接合したとき、切り欠き部２２に前記抜け止め部１３が着座して、位置が安定し、ロック状態となる（図１参照）。

把持部３０は、本体３１と、本体から突出する２本のアーム３２と、これらのアームの間をつなぐピン３３からなる。本体３１は、この第１実施例では多角形円板であるが、単に指で摘むためのものであるのでどのような形状・デザインでもよい。図１及び２に示すように、フック部２３をピン３３に引っかけることにより、中間部２０と把持部３０が接合される。図３に示すように、接合時には、フック先端２３ａの開口を抜け止め部１３が封鎖するため、スライダー接続部１０、中間部２０、把持部３０の連結が確かなものとなる。

本発明のスライドファスナ用引手は、図３及び図４に示すように、使用時、スライダー接続部１０と中間部２０の２カ所において屈曲可能である。

前記３部品の組み立て方法及びスライダー１への一般的な装着方法は次のとおりである。

（１）スライダー接続部１０、中間部２０、把持部３０からなる組立て状態の引手を用意する。通常、この状態が工場出荷及び販売状態である。
（２）市販状態で予め取り付けられているスライダー１の引手（図示せず）を取り除く。場合によれば、カッターによる切断作業が必要となる。そうすることにより、引手が取り付けられていた部分に取付孔２が露出する。
（３）スライダー接続部１０と中間部２０を引き離す。
（４）スライダー接続部のリング状先端部１１をスライダーの取付孔２に取り付ける。単に片方の延長部１２を取付孔２に潜らせるだけである。
（５）スライダー接続部１０の延長部１２を中間部２０の貫通口２１に差し込む。差し込みが終わると、延長部１２のバネが復元し、抜け止め部１３が中間部の切り欠き部２２に着座する。

上記の状態から今度は把持部３０のみを別のものに交換したいと思ったときは次の手順による。
（６）スライダー接続部１０と中間部２０を引き離す。これにより、スライダー接続部の抜け止め部１３も中間部２０から離脱し、把持部３０のフック先端２３ａの開口を封鎖していたものがなくなる。
（７）中間部２０と把持部３０を引き離す。把持部３０のピン３３をフック先端２３ａの開口から外せばよい。
（８）新しい把持部３０を中間部２０に取り付ける。（７）と逆の操作による。
（９）中間部２０とスライダー接続部とを接合させる。（４）（５）と同じ操作である。

図５は、本発明の第２実施例に係る本発明のスライドファスナ用引手の分解斜視図である。第１実施例と同様の部品には、第１実施例の符号に「Ａ」を付して区別する。

図２と比較して異なる部分は、引手把持部３０Ａの形状と、スライダー接続部１０Ａの形状である。そのうち、引手把持部３０Ａの形状は、第１実施例に関連して、「どのような形状・デザインでもよい」と記載したように、単にデザインの変更であり、本発明にとって非本質的な部分である。

第２実施例の特徴は、スライダー接続部１０Ａの形状にある。スライダー接続部１０Ａは、好ましくは金属板からなり、第１実施例と同様、一部を切り欠いたリング状先端部１１Ａと、その切り欠き部両端にそれぞれ接続された延長部１２Ａからなる。延長部１２Ａには外方に向いた切り欠き１４が２カ所設けられており、それにより、接続部末端に幅広になった抜け止め部１３Ａが形成されている。抜け止め部１３Ａは４分割した楕円の１個分のような形状の突起である。

第２実施例が第１実施例と大きく異なるのは、リング状先端部１１Ａと延長部１２Ａの間でひねりが加えられていることである。その結果、平面状の延長部１２Ａに対して、リング状先端部１１Ａはほぼ垂直に立ち上がっている。

第２実施例のような構成を採用することにより、スライダー接続部１０Ａの強度とバネ弾力性が向上する。また、三角形状の抜け止め部１３（第１実施例）と比較し、切り欠き１４を有する抜け止め部１３Ａ（第２実施例）は切り欠き１４のために抜け止めの効果が高い。その結果、第２実施例ではスライダー接続部１０Ａと中間部２０の結合力が高められる。また、リング状先端部１１Ａはほぼ垂直に立ち上がっているので、引手の取付孔２内での移動の自由度が高まり、しなやかさがさらに高められる。

第１実施例にかかる本発明のスライドファスナ用引手の斜視図である。 図１の引手の分解斜視図である。 中間部と把持部の結合状態を示す斜視図である。 使用時のスライドファスナ用引手の側面図である。 第２実施例にかかる本発明のスライドファスナ用引手の分解斜視図である。

符号の説明

１ スライダー
２ 取付孔
１０，１０Ａ スライダー接続部
１１，１１Ａ リング状先端部
１２，１２Ａ 延長部
１３，１３Ａ 抜け止め部
２０，２０Ａ 中間部
２１，２１Ａ 貫通口
２２，２２Ａ 切り欠き部
２３，２３Ａ フック部
３０，３０Ａ 把持部
３１，３１Ａ 本体
３２，３２Ａ アーム
３３，３３Ａ ピン

Claims (4)

1. スライダー接続部（１０；１０Ａ）と、中間部（２０；２０Ａ）と、把持部（３０；３０Ａ）の３部品からなり、それぞれの間ではめ込み接合・解除による取り替えが可能であるスライドファスナ用引手において、
   前記スライダー接続部（１０；１０Ａ）は、先端部（１１；１１Ａ）と、その先端部両末端にそれぞれ接続された延長部（１２；１２Ａ）からなり、前記延長部の末端には幅広になった抜け止め部（１３；１３Ａ）が設けられており、
   前記中間部（２０；２０Ａ）は、先端側に、前記延長部を受け入れる貫通口（２１；２１Ａ）が形成され、後端側に、左右の切り欠き部（２２；２２Ａ）と、中央のフック部（２３；２３Ａ）が形成されていることを特徴とするスライドファスナ用引手。
2. スライダー接続部（１０Ａ）の先端部（１１Ａ）と延長部（１２Ａ）の間でひねりを加え、平面状の延長部（１２Ａ）に対して、先端部（１１Ａ）をほぼ垂直とした請求項１記載の引手。
3. 前記把持部（３０；３０Ａ）は、本体（３１；３１Ａ）と、本体から突出して設けられた係合部からなる請求項１又は２に記載の引手。
4. 結合時、前記抜け止め部（１３；１３Ａ）が前記左右の切り欠き部（２２；２２Ａ）に着座してロックするとともに、前記抜け止め部（１３；１３Ａ）が前記フック部（２３；２３Ａ）の先端開口を封鎖する請求項１ないし３項のいずれかに記載の引手。