JP3954517B2 - 発泡樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
発泡樹脂成形品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3954517B2 JP3954517B2 JP2003095342A JP2003095342A JP3954517B2 JP 3954517 B2 JP3954517 B2 JP 3954517B2 JP 2003095342 A JP2003095342 A JP 2003095342A JP 2003095342 A JP2003095342 A JP 2003095342A JP 3954517 B2 JP3954517 B2 JP 3954517B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- synthetic resin
- cavity
- male
- steam
- chamber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂層が表面に積層一体化されてなる発泡樹脂成形品を製造することができる発泡樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、発泡性スチレン系樹脂粒子を雌雄型間に形成されたキャビティ内に充填し、上記発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱、発泡させて所望形状を有する発泡樹脂成形品を製造することが行われている。
【0003】
そして、上記発泡樹脂成形品の表面に合成樹脂層を積層一体化して表面性を向上させることも行われている。このような表面に合成樹脂層を積層一体化してなる発泡樹脂成形品の製造方法としては、特許文献1に、成形品の表面化粧層となるブランクを用意し、このブランクを雌雄型のうちの何れか一方の型に装着し、次に、この雌雄型を型締めして得られたキャビティ内に発泡性合成樹脂粒子を充填し、この発泡性合成樹脂粒子を加熱、発泡させて、表面に合成樹脂層を積層一体化してなる合成樹脂発泡成形品を製造する製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記合成樹脂発泡成形品の製造方法では、キャビティ内に合成樹脂層となるブランクを雌雄型の何れか一方の型に装着していることから、ブランクを装着した型部分において、加熱蒸気のキャビティ内への流入及びキャビティ外への流出が規制され、発泡性合成樹脂粒子間に存在する空気の加熱蒸気への置換が円滑に行われず、その結果、加熱蒸気の流通が不充分となって発泡性合成樹脂粒子が充分に発泡せず、得られる発泡樹脂成形品の発泡倍率が部分的に異なってしまって発泡樹脂成形品が不均質となったり或いは発泡粒子間の融着が不均一となるといったことがあった。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−104338号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キャビティ内において雄型に沿って合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体を配設しているにもかかわらず、キャビティ内に加熱蒸気を均一に流通させてキャビティ内に充填した発泡性合成樹脂粒子を均一に且つ充分に発泡させることができ、均質で外観性に優れた発泡樹脂成形品を製造することができる発泡樹脂成形品の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発泡樹脂成形品の製造方法は、雌雄型間に形成されたキャビティ内における雄型に沿って合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体を配設した状態で上記キャビティ内に発泡性合成樹脂粒子を充填した後、上記キャビティ内に予備加熱蒸気を供給し、次に、上記キャビティ内を真空吸引した上で上記キャビティ内に加熱蒸気を供給して上記発泡性合成樹脂粒子を加熱、発泡させて発泡樹脂成形品を製造する発泡樹脂成形品の製造方法であって、上記雄型のチャンバー内に供給された予備加熱蒸気の冷却に伴う体積の減少によって上記雄型のチャンバー内を減圧し、この減圧力によって上記キャビティ内を減圧吸引すると共に、上記雌型のチャンバーを通じて上記キャビティ内に予備加熱蒸気を供給することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡樹脂成形品の製造方法の一例を図面を参照しつつ説明する。発泡樹脂成形品Aの製造に用いられる雌雄型1、2における雌型1は、図1に示したように、発泡樹脂成形品の形状に合致した形状を有する凹部11が凹設されており、この凹部11には、雌型1のチャンバー12と凹部11表面とを連結、連通する貫通孔11a が多数、貫設されている。
【0009】
そして、上記チャンバー12には、該チャンバー12内に連通させた状態に蒸気供給管13が連結されていると共にこの蒸気供給管13から供給された蒸気に起因する水分をチャンバー12外に排出するための水分排出管14をチャンバー12内に連通させ、更に、上記チャンバー12内を真空吸引して雌雄型1、2間に形成されるキャビティ3内を真空吸引するための真空吸引管15がチャンバー12内に連結、連通されている。
【0010】
更に、上記チャンバー12内には、チャンバー12内に冷却水を供給するための冷却水供給管16が配設されており、この冷却水供給管16から冷却水をチャンバー12内に散水するように構成されている。
【0011】
又、雄型2は、図1に示したように、発泡樹脂成形品の形状に合致した形状を有する凸部21が突設されており、この凸部21には、雄型2のチャンバー22と凸部21表面とを連結、連通する貫通孔21a が多数、貫設されている。
【0012】
そして、上記チャンバー22には、該チャンバー22内に連通させた状態に蒸気供給管23が連結されていると共にこの蒸気供給管23から供給された蒸気に起因する水分をチャンバー22外に排出するための水分排出管24をチャンバー22内に連通させ、更に、上記チャンバー22内を真空吸引して雌雄型1、2間に形成されるキャビティ3内を真空吸引するための真空吸引管25がチャンバー22内に連結、連通されている。
【0013】
更に、上記チャンバー22内には、チャンバー22内に冷却水を供給するための冷却水供給管26が配設されており、この冷却水供給管26から冷却水をチャンバー22内に散水するように構成されている。
【0014】
このように構成された雌雄型1、2を用いて発泡樹脂成形品を製造する要領について説明する。先ず、図1のように、雌雄型1、2を型開きして、雄型2の凸部21を露出させた状態とし、この雄型2の凸部21表面に沿って合成樹脂シート4aを配設し或いは雄型2の凸部21に合成樹脂製袋体4bを被せた状態に配設する(図では、雄型2の凸部21に合成樹脂製袋体4bを被せた状態を示した)。
【0015】
上記合成樹脂シート4aとしては、雌雄型1、2間に形成されたキャビティ3内における雄型2に沿って配設することができれば、雄型2の凸部21形状に沿って成形されていてもいなくてもよいが、雄型2の凸部21形状に沿って予め成形された合成樹脂シート4aが好ましい。
【0016】
又、上記合成樹脂製袋体4bとしては、雄型2の凸部21形状に合致した形状に成形されておらず、後に続く工程によって、雄型2の凸部21形状に沿って完全に合致した形状に成形されて発泡樹脂成形品の内面に積層一体化させることができればよく、例えば、雄型2の凸部21における雌雄型1、2の型開き方向に直交する方向の断面を全て包囲し得る大きさの平面矩形状等の平面多角形状或いは平面円形状の底面部41b と、この底面部41b の四方外周縁から突設され且つ上記雄型2の凸部21の高さに合致し或いは僅かに高い一定高さを有する周壁部42b とから有底筒状に形成されてなるもの(図2参照)や、折曲線を形成して折畳可能に形成したガゼット袋体や、同形、同大の一対の正面矩形状の合成樹脂シート同士を重ね合わせると共にこれら合成樹脂シートの上端を除いた三方外周縁同士を熱融着してなる袋体等が挙げられる。
【0017】
又、合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂等が挙げられ、必要に応じて、帯電防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0018】
そして、上記雄型2の真空吸引管25を通じて雄型2のチャンバー22内を真空吸引して、上記雄型2の凸部21に沿って配設した合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bを凸部21表面に吸着させて、上記雄型2の凸部21に沿って合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bが確実に配設された状態を確実に保持する。
【0019】
なお、上記雄型2のチャンバー22内に連結、連通された蒸気供給管23、水分排出管24及び冷却水供給管26、並びに、上記雌型1のチャンバー12内に連結、連通された蒸気供給管13、水分排出管14、真空吸引管15及び冷却水供給管16は閉止されている。
【0020】
しかる後、上記雌雄型1、2をクラッキングを残した状態に型締めした上で上記雄型2のチャンバー22内の真空吸引を停止して真空吸引管25を閉止した後、上記雌型1に一体的に設けられた樹脂粒子供給管17を通じて、上記雌雄型1、2間に形成されたキャビティ3内に発泡性合成樹脂粒子5を充填する。なお、上記発泡性合成樹脂粒子5は、合成樹脂に物理発泡剤を含浸させてなり、加熱によって発泡するものであり、予備発泡させたものも含まれる。なお、本発明では、予備発泡させた、所謂、予備発泡粒子を主に使用する。
【0021】
上記発泡性合成樹脂粒子5を構成する合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0022】
又、上記物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロブタン等の脂肪族環化水素類;トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルクロライド、メチレンクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
【0023】
そして、図3に示したように、上記雌雄型1、2を完全に型締めして、上記雌雄型1、2間に形成されたキャビティ3内に充填した発泡性合成樹脂粒子5の充填圧力によって、合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bを雄型2の凸部21表面に概ね正確に沿った状態とする。
【0024】
ここで、キャビティ3内には合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bが配設されていることから、雌雄型1、2のチャンバー12、22から供給される後述の加熱蒸気のキャビティ3内での流通が、合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bによって阻害されてしまい、通常のキャビティ3内における通常の加熱蒸気の流通に比して円滑に行うことができない。
【0025】
しかも、キャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5間には空気が存在しているが、この空気は熱伝導率が低いと共に後述する加熱蒸気の円滑な流通を阻害する要因にもなることから、キャビティ3内に加熱蒸気を流通させる前に空気をできるだけ除去しておく必要がある。
【0026】
しかるに、種々検討した結果、キャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5、5間に存在する空気は、単独で真空吸引して除去するよりも、予備加熱蒸気の存在下で真空吸引する方がより確実に吸引除去できることが鋭意研究の結果、判明した。
【0027】
そこで、上記現象を有効利用すべく、先ず、キャビティ3内に予備加熱蒸気を流入させてキャビティ3内の空気を概ね予備加熱蒸気と置換させた上でキャビティ3内を真空吸引することによって、キャビティ3内の空気を略完全に除去することが可能となり、その結果、発泡性合成樹脂粒子5の発泡のためにキャビティ3内に供給される加熱蒸気を空気の邪魔を受けることなくキャビティ3内に円滑に且つ均一に流通させて、全ての発泡性合成樹脂粒子5を略同一倍率に発泡させると共に発泡性合成樹脂粒子5を発泡させて得られる発泡粒子同士の融着ムラを防止することができる。
【0028】
上記要領を具体的に説明すると、先ず、上記雄型2の蒸気供給管23及び水分排出管24及び上記雌型1の水分排出管14を開放した後、上記雄型の蒸気供給管23からチャンバー22内に予備加熱蒸気を供給する。なお、この雄型2のチャンバー22内に供給される予備加熱蒸気の温度は、雌雄型1、2が、キャビティ3内に充填した発泡性合成樹脂粒子5の発泡温度以上に加熱されないように調整されている。
【0029】
そして、上記雄型2のチャンバー22内の空気が予備加熱蒸気と完全に入れ代わり、雄型2が予備加熱蒸気によって充分に加熱されていない時点で、上記雄型2の蒸気供給管23を閉止して雄型2のチャンバー22内への予備加熱蒸気の供給を停止すると同時に上記雄型2の水分排出管24を閉止して、雄型2のチャンバー22内をキャビティ3内に連通させている以外は完全に外部から気密的に遮断した状態とする一方、上記雌型1の蒸気供給管13を開放して雌型1のチャンバー12内に予備加熱蒸気を供給する。この雌型1のチャンバー12内に供給される予備加熱蒸気の温度は、雌雄型1、2が、キャビティ3内に充填した発泡性合成樹脂粒子5の発泡温度以上に加熱されないように調整されている。
【0030】
なお、上記では、上記雄型2のチャンバー22内への予備加熱蒸気の供給の停止と同時に、上記雌型1の蒸気供給管13を開放して雌型1のチャンバー12内に予備加熱蒸気を供給しているが、上記雄型2のチャンバー22内への予備加熱蒸気の供給と同時に、上記雌型1の蒸気供給管13を開放して雌型1のチャンバー12内に予備加熱蒸気を供給してもよい。
【0031】
すると、雄型2のチャンバー22内に供給された予備加熱蒸気は、雄型2が充分に予備加熱されていないことから雄型2によって直ちに冷却されて体積が減少し、この予備加熱蒸気の体積の減少に伴って雄型2のチャンバー12内が減圧状態となる。
【0032】
そして、上記雄型2のチャンバー22内の減圧力によって、このチャンバー22内に唯一、連通した状態となっている貫通孔21a を通じてキャビティ3内が減圧吸引され、更に、上記キャビティ3内の減圧吸引によって、上記雌型1のチャンバー12内の予備加熱蒸気がキャビティ3内に貫通孔11a を通じて吸引、供給される。
【0033】
即ち、上記雄型2のチャンバー22からの減圧吸引によって、上記雌型1のチャンバー12内の予備加熱蒸気が、雌型1の貫通孔11a を通じてキャビティ3内に流入し、上記キャビティ3内に充填された発泡性合成樹脂粒子5間に存在する空気を雄型2のチャンバー12側に追い出しながら上記キャビティ3内に置換、充満される。
【0034】
この時、上記雄型2の凸部21が部分的に或いは全面的に合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bによって被覆されており、雄型2におけるチャンバー22とキャビティ3内とを連通させている貫通孔21a の一部或いは大部分が閉塞された状態となっていることから、雄型2のチャンバー22からキャビティ3に対する減圧吸引は、限定された貫通孔21a から集中的に且つ効果的に行われ、キャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5間に存在する空気は、雌型1のチャンバー12から流入する予備加熱蒸気によって略全面的に且つ円滑に置換される。
【0035】
しかも、キャビティ3内の減圧吸引は、雌型1側から雄型2側に向かって行われることから、このキャビティ3内の減圧吸引によって該キャビティ3内における雄型2の凸部21表面に沿って配設された合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bは、キャビティ3内に供給された予備加熱蒸気によって加熱されつつ雄型2の凸部21に向かって吸引され、雄型2の凸部21形状に更に正確に沿った状態となり、合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bと、これに対向する雄型2の凸部21との間には殆ど隙間が生じていない状態となっている。
【0036】
しかる後、上記雌型1の蒸気供給管13及び水分排出管14を閉止すると共に、上記雌雄型1、2の真空吸引管15、25を開放し、この真空吸引管15、25から雌雄型1、2のチャンバー12、22内を真空吸引することによって、該チャンバー12、22内に貫通孔11a 、21a を通じて連通しているキャビティ3内を真空吸引し、キャビティ3内に充満された予備加熱蒸気を発泡性合成樹脂粒子5、5間に残存した僅かな空気と共にキャビティ3外に円滑に且つ確実に除去する。
【0037】
この状態のキャビティ3内は、加熱蒸気の流通及び合成樹脂粒子5の加熱の妨げとなる空気が殆ど残存していない状態となっており、この後にキャビティ3内に供給される加熱蒸気を発泡性合成樹脂粒子5、5間に確実に供給することができると共に、発泡性合成樹脂粒子5の表面を予備加熱蒸気にて覆った状態として加熱蒸気との馴染み性を向上させて、発泡性合成樹脂粒子5、5間における加熱蒸気の流通を全体的に円滑なものとし、各発泡性合成樹脂粒子5を確実に発泡させることができる。
【0038】
次に、上記雌雄型1、2の真空吸引管15、25を閉止すると共に、上記雌雄型1、2の蒸気供給管13、23を開放し、雌雄型1、2のチャンバー12、22内に、発泡性合成樹脂粒子5を発泡させるのに充分な温度に加熱された加熱蒸気を供給する。
【0039】
すると、雌雄型1、2のチャンバー12、22内に供給した加熱蒸気によって雌雄型1、2が加熱されると共に、雌雄型1、2のチャンバー12、22内に供給した加熱蒸気は、空気が殆ど存在しない真空状態に近いキャビティ3内に直ちに流入して該キャビティ3内に充填された発泡性合成樹脂粒子5、5間にくまなく充満し、この加熱蒸気によって残存空気の阻害を受けることなく全ての発泡性合成樹脂粒子5が充分に加熱されて略均一な発泡倍率に発泡して発泡粒子となると共に、これら発泡粒子同士が互いに隙間なく融着一体化して発泡樹脂成形品となる。
【0040】
これと同時に、キャビティ3内に配設した合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bは加熱蒸気によって加熱、溶融(軟化)し、発泡性合成樹脂粒子5の発泡圧力によって雄型2の凸部21の表面形状に沿って成形されると共に、発泡性合成樹脂粒子5の発泡圧力によって発泡樹脂成形品表面に押圧一体化されて、内面に合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bからなる合成樹脂層A1が積層一体化された発泡樹脂成形品Aを製造することができる(図4参照)。
【0041】
なお、上記では、上記雌雄型1、2のチャンバー12、22内に同時に加熱蒸気を供給してキャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5を雌雄型1、2の双方側から加熱した場合を説明したが、先ず、上記雌型1の蒸気供給管13を開放して雌型1のチャンバー12内に加熱蒸気を供給してキャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5を雌型1側からのみ加熱、発泡させ、発泡した発泡性合成樹脂粒子5を雄型2側に押圧させることによって、雄型2の凸部21に沿って配設させた合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bを雄型2の凸部21の表面に押圧させ、合成樹脂シート4a又は合成樹脂製袋体4bと雄型2の凸部21との間の隙間を減少させ、しかる後、上述の要領で雌雄型1、2のチャンバー12、22内に加熱蒸気を同時に供給して雌雄型1、2の双方側からキャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5を加熱、発泡させるようにしてもよい。
【0042】
更に、上記加熱要領では、キャビティ3内の発泡性合成樹脂粒子5の発泡が不充分である場合には、下記の要領でキャビティ3内の加熱を継続する。即ち、上記加熱工程に続いて、上記雄型2の蒸気供給管23からの雄型2のチャンバー22への加熱蒸気の供給を継続して行いつつ、上記雌型1の蒸気供給管13を閉止して、キャビティ3内を雄型2側から所定時間に亘って加熱する。
【0043】
次に、上記雄型2の蒸気供給管23を閉止する一方、上記雌型1の蒸気供給管13を開放して、雌型1のチャンバー12内に、発泡性合成樹脂粒子5が発泡に充分な温度に加熱された加熱蒸気を供給して、キャビティ3内を雌型1側から所定時間に亘って加熱する。
【0044】
このように、雌雄型1、2の何れか一方側から順次、別々にキャビティ3内を加熱することによって、キャビティ3内に充填された発泡性合成樹脂粒子5を略完全に発泡させることができる。なお、雌雄型1、2の何れか一方側からの加熱にあたっては、必要に応じて、雌雄型1、2の水分排出管14、24を開放させてもよい。
【0045】
しかる後、図5に示したように、上記雌雄型1、2の蒸気供給管13、23を閉止してチャンバー12、22内への加熱蒸気の供給を停止した上で、雌雄型1、2の水分排出管14、24及び冷却水供給管16、26を開放し、この冷却水供給管16、26から雌雄型1、2のチャンバー12、22内に冷却水を供給してキャビティ3内を冷却する。そして、上記雌雄型1、2を型開きしてキャビティ3内にて所望形状に成形された、合成樹脂層が積層一体化された発泡樹脂成形品Aを得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の発泡樹脂成形品の製造方法は、雌雄型間に形成されたキャビティ内における雄型に沿って合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体を配設した状態で上記キャビティ内に発泡性合成樹脂粒子を充填した後、上記キャビティ内に予備加熱蒸気を供給し、次に、上記キャビティ内を真空吸引した上で上記キャビティ内に加熱蒸気を供給して上記発泡性合成樹脂粒子を加熱、発泡させて発泡樹脂成形品を製造し、雌雄型間に形成されたキャビティ内に、先ず、予備加熱蒸気を供給して発泡性合成樹脂粒子間に存在する空気を予備加熱蒸気で概ね置換した後、この予備加熱蒸気が充満したキャビティ内を真空吸引することによって、キャビティ内の発泡性合成樹脂粒子間に残存する空気を予備加熱蒸気と共にキャビティ内から効率良く略完全に除去している。
【0047】
従って、その後のキャビティ内への加熱蒸気の流通、充満を空気によって阻害されることなく円滑に且つ均一に行って発泡性合成樹脂粒子の加熱、発泡を全体的に略均一な状態に行うことができ、得られる発泡樹脂成形品は、全体的に略均一な発泡倍率を有し均質なものとなっていると共に発泡性合成樹脂粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士が融着ムラなく一体化した良好なものとなっている。
【0048】
しかも、雌雄型間に形成されたキャビティ内の発泡性合成樹脂粒子を充分に発泡させることができるので、発泡性合成樹脂粒子による発泡圧力を充分に得ることができ、発泡性合成樹脂粒子を発泡、融着一体化させて得られる発泡体を合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体に充分に押圧させて、合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体を雄型の形状に沿って正確に且つ確実に成形させることができると共に、発泡体の表面に合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体からなる合成樹脂層を強固に積層一体化させることができ、得られる発泡樹脂成形品は外観性に優れている。
【0049】
又、本発明の発泡樹脂成形品の製造方法は、雄型のチャンバー内に供給された予備加熱蒸気の冷却に伴う体積の減少によって雄型のチャンバー内を減圧し、この減圧力によってキャビティ内を減圧吸引すると共に、雌型のチャンバーを通じてキャビティ内に予備加熱蒸気を供給するので、雄型からキャビティ内を減圧吸引しつつ雌型のチャンバンーを通じて予備加熱蒸気を円滑にキャビティ内に供給することができ、よって、キャビティ内に充填された発泡性合成樹脂粒子間に存在する空気を予備加熱蒸気に更に効果的に置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法によって発泡樹脂成形品を製造する際の要領の一部を示した断面図である。
【図2】 合成樹脂製袋体を示した模式斜視図である。
【図3】 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法によって発泡樹脂成形品を製造する際の要領の一部を示した断面図である。
【図4】 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法によって発泡樹脂成形品を製造する際の要領の一部を示した断面図である。
【図5】 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法によって発泡樹脂成形品を製造する際の要領の一部を示した断面図である。
【符号の説明】
1 雌型
11 凹部
11a 貫通孔
12 チャンバー
13 蒸気供給管
14 水分排出管
15 真空吸引管
16 冷却水供給管
2 雌型
21 凸部
21a 貫通孔
22 チャンバー
23 蒸気供給管
24 水分排出管
25 真空吸引管
26 冷却水供給管
3 キャビティ
4a 合成樹脂シート
4b 合成樹脂製袋体
5 発泡性合成樹脂粒子
A 発泡樹脂成形品
A1 合成樹脂層
Claims (1)
- 雌雄型間に形成されたキャビティ内における雄型に沿って合成樹脂シート又は合成樹脂製袋体を配設した状態で上記キャビティ内に発泡性合成樹脂粒子を充填した後、上記キャビティ内に予備加熱蒸気を供給し、次に、上記キャビティ内を真空吸引した上で上記キャビティ内に加熱蒸気を供給して上記発泡性合成樹脂粒子を加熱、発泡させて発泡樹脂成形品を製造する発泡樹脂成形品の製造方法であって、上記雄型のチャンバー内に供給された予備加熱蒸気の冷却に伴う体積の減少によって上記雄型のチャンバー内を減圧し、この減圧力によって上記キャビティ内を減圧吸引すると共に、上記雌型のチャンバーを通じて上記キャビティ内に予備加熱蒸気を供給することを特徴とする発泡樹脂成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003095342A JP3954517B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 発泡樹脂成形品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003095342A JP3954517B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 発泡樹脂成形品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004299262A JP2004299262A (ja) | 2004-10-28 |
JP3954517B2 true JP3954517B2 (ja) | 2007-08-08 |
Family
ID=33407695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003095342A Expired - Lifetime JP3954517B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 発泡樹脂成形品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3954517B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102103605B1 (ko) * | 2019-06-12 | 2020-05-29 | 송영탁 | 보양재 및 보양재 제조장치 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007099314A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Sekisui Plastics Co Ltd | 発泡樹脂成形容器及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003095342A patent/JP3954517B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102103605B1 (ko) * | 2019-06-12 | 2020-05-29 | 송영탁 | 보양재 및 보양재 제조장치 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004299262A (ja) | 2004-10-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20050285294A1 (en) | Resin molded articles and method of manufacturing the same | |
JP4456722B2 (ja) | 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 | |
JP3954517B2 (ja) | 発泡樹脂成形品の製造方法 | |
JP2006205376A (ja) | 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 | |
JPS5855897B2 (ja) | 異種原料による同時成形方法 | |
JP3524575B2 (ja) | ヘッドレスト及びその製造方法 | |
JP2004230590A (ja) | 発泡樹脂成形型および成形品 | |
JP2006068930A (ja) | 複合成形品の製造方法 | |
JP2006264206A (ja) | 剥離フィルム付き高光沢発泡成形品とその製造方法及び高光沢発泡成形品 | |
JP3189377B2 (ja) | 発泡合成樹脂成形品の成形方法 | |
JP3810336B2 (ja) | 発泡樹脂成形品の製造方法 | |
JP2001138385A (ja) | 表皮付き複合発泡樹脂成形体の製造方法 | |
JP3837348B2 (ja) | 発泡樹脂成形型および発泡樹脂成形品の製造方法 | |
JP2002292669A (ja) | 表皮付き発泡樹脂成形品の製造方法 | |
JP2549074B2 (ja) | 表皮付スチレン系樹脂発泡成形物の製造方法 | |
JPH09123291A (ja) | 容器の製造方法 | |
JP3698660B2 (ja) | 発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体、その製造方法および発泡樹脂成形用金型 | |
JP2019098607A (ja) | 型内発泡成形体用金型及びその利用 | |
JP2000210968A (ja) | 表皮付き型内発泡成形体及びその製造方法 | |
JP4024671B2 (ja) | 発泡体内装中空成形品の製造方法 | |
JP2005271501A (ja) | 複合多層発泡成形品 | |
JP2008183791A (ja) | 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 | |
JPH08155997A (ja) | 表皮一体発泡成形品の製造方法およびそのための成形型 | |
JP2007331271A (ja) | 熱可塑性樹脂発泡板の熱成形方法 | |
JPH0535672B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050809 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070123 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070307 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070403 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070426 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3954517 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140511 Year of fee payment: 7 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |