JP3954295B2 - 識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置に係り、特に、日常生活での環境変化に対応する能力を、個人別に高い精度で計測する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複雑化した社会において、人々は、様々な環境の変化に対応していくことを求められる場合がある。特に、現在のIT(Information Technology)化時代では、日常的な生活環境の変化を認識すると共に、この変化に対して反応し、適切な対応を行う能力は、順調な社会生活の維持には、欠かせない能力であると共に、人々が日常生活を営む上で、常に要求されていることでもある。
【0003】
また、個人が、この日常的な生活環境の変化に対して、どの位の速度で認識し、反応し、対応するかの能力(「認識・反応・対応」能力)を保持しているのか、又は、この「認識・反応・対応」能力が、多様な経験や加齢によってどのように変化していくのか等の情報は、日常生活の基本的な対応・判別能力として、例えば、運転免許証の取得、接客業等の職業能力、痴呆などの疾病(例えば、老人性痴呆であるいわゆるアルツハイマー病)の度合い及び治療方法の判定、介護保険の実施等に際して必要であると考えられている。
【0004】
さらに、近代社会は、物質的な豊かさの次に期待されている生活環境の要素が、個人別の好みやアメニティーと称されている快適性の追求に及んでいる。河川の改修、道路の補修、農村への諸補助金の交付、新商品の開発などに際しても、住民や関係する市民集団から見た満足度を、如何に充足するかその取り組みが始まっている。
【0005】
このため、認識・反応・対応・能力の判定では、その精度を高め、多様な個人の特性(例えば、年齢別、性別、職業別等)にきめ細かく対応させることが期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルツハイマー病(老人性痴呆)の判定については、現状では、懐中電灯等の光に対する瞳孔の追従速度による判定等、いわゆる臨床現場での計測方法に関しては一部存在していたが、この計測方法では、被験者に苦痛を伴う場合や、症状が相当進んだ段階でなければ、健常者との比較を行うことができず、測定精度が粗くなる場合等が想定される。また、日常生活に密着している各種の運転免許証を、ある個人に対して付与する場合では、ある個人の特性として、「認識・反応・対応」能力を定量的に測定することは困難であった。
【0007】
さらに、個人の主観が強く作用する個人別嗜好、いわゆる“アメニティー強度(負の方向も含めて)”を、或る集団に対して定量的に計測する具体的な手法が確立されておらず、現状では「総論賛成、各論・・・」の隘路にはまっている状態と言えよう。
【0008】
そこで、本発明者らは、例えば、一般に普及しているパーソナル・コンピュータ(PC)を用いて、この個人別の「認識・反応・対応」能力を、きわめて簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測する手法を模索した。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、日常生活での環境変化に対応する能力である、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を、簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を、定量的に計測、評価することにより、個人別の介護の必要度合いの判定、疾病等の治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査等の指標となる評価結果を提示する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、基準画像が無くて対象画像だけで、被験者の“主観”や“好み”(これらを、近年では個人の「アメニティーや快適性と称している」)を、定量的に測定することを目的としている。
【0011】
本発明は、従来は計測できなかった又は極めて困難であった「人の生理学的・知的反応速度」を、“定量的”に計測することを目的とする。本発明は、必要に応じて画像や簡単な音声(動物の鳴き声など)を用いるために、言語や習慣などに縛られず国際的に共通する計測を行うことを目的とする。本発明は、単純な手法により、同一の計測システムによって、極めて幅の広い計測目的や難易度などに対応することを目的とする。また、本発明は、試験結果をその目的や解析方法に応じて、極く短時間に得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴のいくつかを以下に例示する。
▲1▼コンピューターのディスプレー上に多くの小画像を(時には関連する音声も)同時に提示して、その小画像(音声)間を相互に比較(基準画像と対象画像)して被験者の客観的な識別・判定結果を、或いは、主観的な嗜好傾向(対象画像のみ)などを、それぞれに被験者の回答を(コンピューターのキーボード、タッチパネル、マイクロフォンへの入力など)得る過程を複数回繰り返すことによって、被験者の能力や嗜好内容を簡便に収集すること。
【0013】
▲2▼コンピューター内に小画像の基となる多くの画像・音声データベースを持ち、試験の目的や難易度、被験者の階層によって、該小画像群がランダムにかつ多様に構成できること。
【0014】
▲3▼健常者〜患者や階層別に広範な被験者を対象にして得られた回答状況のデータベースを基にして、知的な疾病(アルツハイマー病など)、職業技能・適性(知覚反応速度・接客特性)など、試験目的に応じて多様な該小画像群の構成を可能とすること。
【0015】
▲4▼試験目的に応じて必要ならば、検査結果を解析して直ちに被験者等に提示することを可能とすること。
【0016】
また、本発明の用途・利用分野としては、例えば、(1)高齢化に伴う知的障害者(例えば、アルツハイマー性疾患)の初期段階における検査・判定。(2)迅速な識別反応を求められる技能(ある種の運転能力など)や、高度な人の識別が望まれる接客業等への適応能力の判定。(3)知的・生理学的な対応能力を高める“訓練用機器”、等が挙げられる。
【0017】
本発明の第1の解決手段によると、
被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を検査条件ファイルに記憶する検査条件選択ステップと、
検査条件ファイルに記憶された検査条件による提示画像数に基づき、表示部に表示する際の画面枠取りを決定する画面枠取り決定ステップと、
検査条件ファイルに記憶された検査条件に基づき、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を、複数種類の画像データを記憶した画像データベースから選択して設問データファイルに記憶する利用範囲決定ステップと、
設問データファイルから基準画像を選択し、基準画像又はそれに関連する画像を含む複数の対象画像を選択して読み出し、画面枠取りに従い設問を作成し、表示部に表示する画面作成ステップと、
表示部に表示された設問に対する被験者からの回答を受けて、回答の正誤、回答までの時間及び設問の回数のいずれか又は複数を、回答記録として回答データファイルに記録する計測記録ステップと、
検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている基準データファイルを読み出し、読み出した基準データと前記回答データファイルに記憶された回答記録とを比較して、被験者の認識・反応・対応に関する能力を定量的に解析し、その検査結果を検査結果ファイルに記憶する判定ステップと、
判定された検査結果を検査結果ファイルから読み出し、表示部により被験者に対して提示する判定結果出力ステップと
を含む識別・反応計測方法及び識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0018】
本発明の第2の解決手段によると、
複数種類の画像データを記憶した画像データベースと、
被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を記憶する検査条件ファイルと、
利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を記憶するための設問データファイルと、
被験者からの回答記録を記憶する回答データファイルと、
検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている基準データファイルと、
検査結果を記憶する検査結果ファイルと、
設問及び判定結果を被験者に対して表示する表示部と、
前記検査条件ファイルに記憶された検査条件による提示画像数に基づき、前記表示部に表示する際の画面枠取りを決定し、また、前記検査条件ファイルに記憶された検査条件に基づき、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を前記画像データベースから選択して前記設問データファイルに記憶し、また、前記設問データファイルから基準画像を選択し、基準画像又はそれに関連する画像を含む複数の対象画像を選択して読み出し、画面枠取りに従い設問を作成して前記表示部に表示する、試験画像作成部と、
前記表示部に表示された設問に対する被験者からの回答を受けて、回答の正誤、回答までの時間及び設問の回数のいずれか又は複数を、回答記録として前記回答データファイルに記録する計測部と、
検査条件に対応した基準データを前記基準データファイルから読み出し、読み出した基準データと前記回答データファイルに記憶された回答記録とを比較して、被験者の認識・反応・対応に関する能力を定量的に解析し、その検査結果を前記検査結果ファイルに記憶し、前記表示部により被験者に対して提示する判定部と
を備えた識別・反応計測装置を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に関する識別・反応計測装置100の概略構成図である。
識別・反応計測装置100は、例えば、被験者の個人特性である「認識・反応・対応」能力を計測する装置であって、画像データ管理部10と、試験画像作成部20と、表示(出力)部30と、回答入力部40と、計測(記録)部50と、判定部60と、記憶部170を備え、各部がそれぞれバス65を介して接続されている。
【0020】
画像データ管理部10は、撮影又は入力された複数の素材となる画像データを、所望の種類、分類毎に分けて画像データベースを作成し、記憶部170(後述の画像データベース177)に記憶する。
【0021】
試験画像作成部20は、例えば、上述の検査目的に応じて、記憶部170(後述の画像データベース177)に蓄積、記録されている画像データを組合せて、試験画像(設問画像)をそれぞれ作成する(詳細は、後述)。また、試験画像は、例えば、表示(出力)部30に提示される設問であって、被験者により判別される少なくとも1つの基準画像と、この基準画像と対比される他の複数の対象画像とを含む。なお、この対象画像には、検査目的に応じて、例えば、“紛らわしさ”、“不明瞭さ”等が盛り込まれており、被験者の類推・判別特性を浮き彫りにできるように加工されている。
【0022】
回答入力部40は、例えば、表示(出力)部30に提示される試験画像(設問)に対する回答を入力するためのものであって、具体的には、キーボード、タッチボード(パネル)型ディスプレイ、マイクロフォン等の適宜な入力手段を適用できる。なお、被験者が正解と判断した対象画面の番号を音声で読み上げる場合では、回答入力部40としては、例えば、マイク等の音声入力手段が適用できる。
【0023】
計測(記録)部50は、例えば、被験者に提示された試験画像と、被験者が設問に回答するまでに要した時間、回答の正解又は不正解、設問の回数等の所望のデータを計測し、記録する(後述)。なお、被験者が設問に回答するまでに要した時間とは、例えば、表示(出力)部30に提示される試験画像(設問)に対して、被験者が対象画面に含まれる未知の部分、又は、不明瞭な部分を類推し、キーボード、タッチパネル型ディスプレイを用いて回答を入力するか、あるいは、音声で識別・判定結果を伝達するまでの速度を示しており、上述の「認識・反応・対応」能力に相当する。
【0024】
判定部60は、例えば、本発明に関する識別・反応計測を繰り返し行うことにより得られる計測記録、及び/又は、計測(記録)部50に蓄積、記録された計測結果に基づいて、ある被験者の回答に対する評価を行い、所望の検査目的に応じた判定を行う。
【0025】
表示(出力)部30は、例えば、CRT、LCD、スピーカーであって、上述のように、画像データベース77に蓄積されている画像データ、試験画像作成部20により作成される試験画像、計測(記録)部50での計測結果、判定部60により判定された判定結果等を、被験者に対して提示する。なお、ディスプレーの大きさは、単に卓上のせいぜい20数インチの大きさにこだわる物でもなく、景観なら縦横が数mクラス、冷蔵庫などの大型家電製品ならば実物大の、さらには、住宅やインテリアー装飾などでも数m〜数十mクラスのディスプレーとしてもよい。さらに、ディスプレーの大きさの点以外でも、表示を3次元化画像にするなどの、目的に応じた展開も可能である。
【0026】
記憶部170は、検査条件ファイル171、設問データファイル172、回答データファイル173、基準データファイル174、検査結果ファイル175、検査条件対応ファイル176、画像データベース177等の各種データファイルを有する。
【0027】
検査条件ファイル171は、被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を記憶する。設問データファイル172は、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を記憶する。回答データファイル173は、被験者からの回答記録を記憶する。基準データファイル174には、検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている。検査結果ファイル175は、検査結果を記憶する。検査条件対応ファイル176は、検査条件に対応する基準画像及び対象画像を記憶する。
【0028】
画像データベース177は、複数種類の画像データを記憶する。画像データベース177は、例えば、被験者に提示するための試験画像の素材となる各種画像データ(例えば、顔、花、動物、鳴き声、乱数表)を予め定められた分類・種類に対応して蓄積、記録する。なお、画像データとしては、人の顔、花、動物、乱数表等だけでなく、所望の検査目的(例えば、運転免許証の取得、アルツハイマー病などの疾病の度合い、治療方法の判定、介護保険の必要の度合い等)に対応させるための適宜の動画又は静止画データである。さらに、音声付きのデータ(例えば、動物の鳴き声)も含むようにしてもよい。画像データは、顔、花、動物等の種類毎に複数パターンのデータを含むことができる。
【0029】
図2は、本発明に関する識別・反応計測装置100のフローチャートである。なお、説明の便宜上、ここでのフローチャートの説明は、概略的なものとし、具体的な説明は後述する。
この識別・反応計測方法の原理としては、上述したように、表示(出力)部30の画面を複数に分割すると共に、この分割された小画面上に、基準画像と比較して類似・同一判断のための対象画面(その判断が紛らわしい及び/又は不明瞭なものを含む)をそれぞれ提示し、被験者がこれらの対象画像から、基準画像と一致する又は関連すると判断した画像を選択することが挙げられる。
【0030】
まず、試験画像作成部20は、例えば、被験者並びに検査目的に合わせた難易度又は検査目的、提示画面数、設問回数等の検査条件の選定を行い、検査条件ファイル171にその条件を記憶する(S101)。つぎに試験画像作成部20は、検査条件ファイル171の提示画面数のデータを読み出し、それに基づき表示(出力)部30上の画面の枠取り(レイアウト)を行う(S103)。試験画像作成部20は、さらに、ステップS101で選定された検査条件ファイル171中の難易度等の検査条件を読み出し、検査条件対応ファイル176に記憶された検査条件と基準画像・対象画像等との対応関係に基づき、画像データベース177から設問のための画像の利用範囲を決定し、設問データファイル172に記憶する(S105)。さらに、試験画像作成部20は、設問データファイル172から基準画像と、その基準画像に対応して表示される対象画像を選択しステップS103で定めたレイアウトに組込み、画面作成を行う。作成された画面が、試験画像(設問)として表示(出力)部30により被験者に提示される。
【0031】
つぎに、被験者は、例えば、回答入力部40を用いて、ステップS107で作成され、表示(出力)部30上に提示される設問に対する回答を行う(S109)。計測(記録)部50は、被験者の回答が正しいか否かを判断し(S111)、正解であれば、可視及び/又は可聴表示による正解の合図(例えば、音では「ピンポン」、又は青ランプ等)を出力し(S113)、不正解であれば、不正解の合図(例えば、音では「ブーン」、又は赤ランプ等)を出力する(S115)。また、計測(記録)部50は、例えば、ステップS107で作成された試験画像(画像の組合せ)と、ステップS109での被験者による回答までの時間、ステップS111での回答の正解又は不正解等の「認識・反応・対応」能力に関する各種データを回答データファイル173に記録する(S117)。つぎに、計測(記録)部50は、回答データファイル173と基準データファイル174に基づき、難易度等の検査条件に応じた設問の回数は十分か否かを判定する(S119)。なお、一例として、ここでは、設問の適切な回数を5〜30回程度とすることができる。但し、設問は、検査目的及び被験者に対して必要とされる回答記録を得るまで、適宜の回数作成することができる。
【0032】
つぎに、判定部60は、ステップS117で計測(記録)部50により回答データファイル173に記録された被験者の回答記録を、設問の難易度やこれまでの実施経験に基づいて判定基準が記憶された基準データファイル174内のデータを比較し、定量的に解析して、計測結果の判定を行い(S121、詳細は後述)計測結果は、検査結果ファイル175に被験者毎に記憶され、表示(出力)部30により所望の状況(画面上に表示、印刷、適切な治療を行うための配慮等)に応じて出力される。
以下、上述のフローチャートの各ステップの処理について詳細に説明する。
【0033】
(ステップS101について)
検査条件としては、例えば、難易度、目的、提示画面数、設問回数等がある。さらに、検査条件としては、画像データベース177の種類、分類(男女、年齢層)を含むことができる。被験者に合わせた難易度の選定としては、例えば、アルツハイマー病等の度合いを考慮すると、健常者から重症患者に対して、適宜の段階を設定することができる(例えば、5〜10段階程)。提示画面数が多い程、難易度が高くなり、情報処理能力が高くなる。また、基準画面として正面の顔とした場合、やや横向き、真横向き等の顔を対象画面とすると、角度の大きい方向から撮影した正面の方が難易度が高いものとなる。また、ぼやけた顔を対象画面とすると、ぼやけの程度が大きい方が難易度が高くなる。さらに、回転した顔を対象画面をする場合も回転角が大きい
方が難易度が高くなる。
このように、設問の種類と量に対応して所望の検索条件に記録したテーブルが検査条件ファイル171に記憶される。
【0034】
(ステップS103について)
画面の枠取りの決定に用いられる提示画面数としては、例えば、画面中央に1個の基準画像と、この基準画面の周囲にN個(例えば、8〜15個)の対象画像を配列することができる(対象画面を8つ配列する場合について、後述する)。この提示画面数は、検査条件ファイル171で設定されることができる。
【0035】
(ステップS105について)
図7に、画像データベース177の説明図の一例を示す。
このように、画像データベース177に記載されるデータベースとしては、例えば、性別・年齢(年齢層)別にA氏〜Z氏までの膨大な人数の顔を、正面(角度=0°)、適宜の角度=α、β、γ、・・・、λ等、λ+1段階に撮影した、人名、撮影角度別のデータベースがある。図中、A氏の正面画像をA0、角度α度からの画像をAα、角度β度からの画像をAβ、等と示している。
【0036】
被験者の難易度に合わせた基準画像及び対象画像利用範囲の決定としては、画像データベース177に含まれる複数の画像データから、検査条件ファイル171内の被験者の難易度、検査目的等の検査条件に合わせて、検査条件対応ファイル176を参照して、適切な基準画面及び対象画面の利用範囲を決定することができる。
【0037】
図8に、検査条件対応ファイル176の説明図の一例を示す。
検査条件対応ファイル176は、検査条件に対応した基準画像・対象画像の関係が記憶される。この例では、難易度等の検査条件に対応して、画像の種類を記憶しているが、これに限らず複数パラメータ(難易度、検査目的、画像種類、画像データベース177の分類、提示画面数、等)により対応する基準画像・対象画像を選択するようにしても良い。ここでは、検査条件ファイル171に記憶された難易度に応じて適宜の角度の基準画像及び対象画像が求まる。なお、各画像は、複数種類、即ち複数角度α、β等の画像がランダムに混在して選択されるようにしてもよい。
【0038】
また、図9に、設問データファイル172の説明図を示す。ここでは、基準画像として正面の画像A0、B0、・・・、Y0、対象画像として角度βからの画像Aβ、Bβ、・・・、Yβが選択された例を示す。
【0039】
(ステップS107について)
つぎに、試験画像作成部20は、この基準画面及び対象画面を、決定された画面の枠にそれぞれ当てはめることにより、被験者に提示する画面(試験画像:設問)を作成する。具体的には、試験画像作成部20は、設問データファイル172を参照し、例えば、基準画面としては、画面中央に角度=0°のC氏の画像C0を、対象画面としては、基準画面の周囲に角度βのC氏画像Cβを含む8人の画像(Aβ,Bβ,…Xβ等)をランダム又は所定の順で適宜選択し、それぞれ適宜の位置に配置する。
【0040】
ここで、作成された画面の具体例を説明する。
図3は、試験画像70を用いた測定例を示す説明図である。なお、ここでは、試験画像として、人の顔を用いる。人の顔は、幼児から高齢者まで極めて幅の広い年令層に対して、日常的に繰り返して判別を要求される基本動作であって、順調な社会生活の維持には欠かせない能力といえる。
【0041】
試験画像70は、例えば、画面の枠組みを3段×3列とし、9枚の小画像を組み合わせたものであって、画面の中央に配置された基準画像71と、この基準画像71の周囲にランダムに配置された対象画像72〜79とを含む。基準画像71は、例えば、A氏の正面向きの顔である。対象画像72は、B氏の横顔であり、対象画像73、78は、C氏の横顔であり、対象画像74、76は、D氏の横顔であり、対象画像75、79は、E氏の横顔であり、対象画像77は、設問の正解となるA氏の横顔である。なお、基準画像71を、被験者に対して明確に印象付けるために、例えば、周囲の枠や背景の色を変更してもよい。また、画像データとしては、人の顔以外にも、花、身近に存在する植物や、犬、牛等の身近なペット、家畜など、それぞれの検査目的に応じた画像を用いることができる。
【0042】
また、試験画像70の変形例としては、この画面中央に位置する基準画像71をA氏の正面向きの顔とし、さらに、基準画像71の周囲にランダムに配置される8つの対象画像72〜79を、A〜H氏までの8人の横顔としてもよい。また、基準画像71をA氏の横顔とし、対象画面72〜79を全て正面向きの顔にしてもよい。さらに、基準画像、対象画像は、全体又は一部分に対応する画像(例えば、目、鼻、口等)とすることもできる。
【0043】
このように、上述の計測(記録)部50及び判定部60での処理の際、試験画像に対して、一部に簡単な画像の比較だけでなく、未知の部分、すなわち“類推を要する”識別反応・判断の部分を盛り込み、さらに、この試験画像を、所望の検査目的に応じて、識別が容易な組み合わせから困難な組み合わせまで、数組〜数十組を繰り返して被験者に提示することにより、信頼性の高い計測結果を収集することができる。なお、被験者は、画像データベース177に蓄積、記録されている膨大な画像データからランダムに選択されたA〜H氏を直接知らない場合が多いため、被験者は、初めて見る顔の未知の部分を、自分自身で類推し、回答を導くことになる。
【0044】
また、基準画像と対象画像の組み合わせは、顔の撮影角度などを考慮すると、検査目的、被験者の加齢特性などによって、さらに多くの表示例を作成することができる。
【0045】
ここで、試験画像(設問画像)のさらに他の表示例について説明する。
図4は、基準画像80を用いた表示例を示す説明図である。
基準画像80は、上述の試験画像70に含まれる基準画像71の代わりとなる、適宜の角度で回転させた画像であって、約180度回転させた上下逆の画像(おでこが下、顎が上)81、約135度回転させた画像82、約90度回転させた画像83を含む。
【0046】
図5は、基準画像90を用いた表示例を示す説明図である。
基準画像90は、例えば、上述の試験画像70に含まれる基準画像71の代わりとなる、明瞭度を変更とした画像であって、単位長さ当たりのピクセル数が、極めて小さくて個人の識別が困難なであるぼやけた基準画像91と、この基準画像91に比べてある程度明瞭な基準画像92とを含む。、このように、基準画像90を用いることにより、基準画像91から基準画像92への変化、すなわち、徐々に正常・明瞭な画像に変化する動的な過程の中で、どれだけ迅速に正解を類推するか等、視覚から得た情報を判別するまでの多様な「認識・反応・対応」能力を、高い精度で明確に計測することもできる。なお、この他にも基準画像に絵(例、犬)、対象画像にそれを類推しうる文字(例、dog、犬)、又は、絵(例、犬小屋、首輪)としてもよい。
これら各種画像も、難易度等の検査条件に対応して所定の画像のタイプ(種類)が記憶された検査条件対応ファイル176を予め用意することで難易度等の検査条件により適宜選択可能となる。
【0047】
(ステップS109について)
被験者は、表示(出力)部30に提示される上述の試験画像(基準画面として、画面中央に角度=0°のC氏を、対象画面として、基準画面の周囲に角度βのC氏を含むN人を、それぞれ配置したもの)を見て、基準画像と同一人物と判断した対象画像(ここでは、撮影角度βのC氏)を周囲から選択する。この際、この表示(出力)部30上の画面が、タッチボード型ディスプレイであれば、画面上に提示されている対象画像を直接指で触れるようにする。なお、表示(出力)部30の種類によっては、対象画面の画像番号をキーボードで入力したり、被験者が正解の画像番号を声で読み上げるようにしてもよい。なお、対象画像を上述の基準画像80、90のように、適宜の角度で回転、又は、明瞭度を変化させてもよい。
【0048】
図10に、回答データファイル173の説明図を示す。このように、回答データファイル173は、その被験者の各設問についての正否、反応時間及び平均等が記憶される。
【0049】
(ステップS121について)
ここで、判定部60での処理について説明する。
図6は、基準データファイルに記憶されるデータの説明図である。このように、各障害度に対する「標準的な反応速度」を示すグラフ95についてのデータが記憶される。
このグラフ95は、例えば、従来からの医師の判定によって、健常者から重度の疾病を患っている患者まで、10段階程度の障害度に分類し、それぞれ区分で予め得られた「標準的な反応速度」(基準となる反応速度)を示したものであって、各障害度を示す横軸と、反応速度(例えば、秒)を示す縦軸と、基準画像、対象画像ともに正面向きである場合での曲線96と、基準(又は対象)画像が正面向き、対象(又は基準)画像が斜め向き(例えば、撮影角度45度)である場合での曲線97と、基準(又は対象)画像が正面向き、対象(又は基準)画像が横向き(例えば、撮影角度90度)である場合での曲線98とを含む。
【0050】
また、判定部60は、計測(記録)部50より回答データファイル173に記録された被験者の回答記録を、設問の難易度やこれまでの実施経験(蓄積された信頼性の高い「標準的な反応速度」)に基づいて作成された基準データファイル74と比較し、定量的に解析して、計測結果の判定を行い、計測結果を、所望の状況に応じて出力できるように加工する。ここで、被験者の回答記録に含まれるデータとして、設問の回答までに要する時間、設問の難易度がある。なお、この設問の難易度は、曲線96が最も容易で、曲線98が最も難しいことになる。
【0051】
ここで、判定部60は、検査条件ファイル171に記憶された難易度等の検査条件が曲線96上に対応する場合、点99で示すように、例えば、判定部60は、被験者の平均の反応速度を求め、それが5秒であるならば、従来からの標準値に照らしてその障害度は「3」であると判定され、これが検査結果ファイル175に記憶される。このように、障害度が定量的に解析されることになる。
【0052】
また、一般に、疾病を患っている被験者のは、検査日、周辺の環境(家族が側で見ているか否か等)、障害の程度、病状等に依存してしまい、安定した反応を示さないことも想定される。このため、ここでの判定結果を、例えば、実際は前回の検査と同じ判定が出ているにも関わらず、終了直後の判定結果では、1段軽い(回復した)方向の判定結果を表示するといった、被験者の病状を考慮した心理的な治療効果も期待できる。
【0053】
ここで、本発明に関する識別・反応計測方法及び識別・反応計測装置の他の特徴について説明する。
判定部60は、被験者の「眼→脳→手(声)に至る速度」を計測するには、表示(出力)部30上に1組の試験画像(設問)が提示されてから、キーボード、タッチパネル、マイクロフォン等の適宜の回答入力部40に、回答が与えられるまでの時間を計測すると共に、回答の正解又は不正解、設問の難易度、他の被験者が同じ設問に対する回答速度等を比較することにより、被験者の能力を分類・評価することができる。
【0054】
また、上述のように視覚に頼った計測は、適用範囲の広いものであるが、検査目的、被験者の加齢特性等に応じて、画像だけでなく、音声を含んだ設問を作成し、聴覚にも頼った計測を行うことができる。具体的には、例えば、上述の9つの小画像に対して、それぞれ牛、馬、豚、山羊、鶏、犬、ネコ、カラス、小鳥、をランダムに配列し、どれかの動物の鳴き声(例えば、コケコッコー)を、スピーカー等から聞かせて、被験者にその動物を当てさせるようにしてもよい。なお、人の顔、花、動物、建物など文字を含まない画像を用いて、計測することで、あらゆる言語圏で暮らす人々に対して適用することもできる。
【0055】
また、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を定量的に計測・評価することにより、介護の必要度合いの判定、疾病などの治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査など、従来はきわめて評価の困難であった個人別の特性に対して、定量的なアプローチを行うことができる。この場合、上述の識別・反応計測装置100で用いられる試験画像としては、顔以外にも花や動物、建物など身近に見かける画像を用いてもよい。
【0056】
また、試験画像作成部20により作成された試験画像として、数十〜数百枚の小画像の組み合わせを、判別の難易度に合わせて縦横に配列することにより、この小画像を駆使して被験者の反応を測定・解析できる適正な識別・反応計測プログラムを適用すれば、きわめて簡便に「認識・反応・対応」に関する能力の評価・判定を行うことができる。
【0057】
また、被験者に関するデータとして、年齢別、性別、職業別、など多様な階層別に対する認識・反応・対応」に関する能力を収集し、これらのデータに基づいたデータベースを作成することにより、特定の被験者に対する評価・判定の結果を、簡便かつ迅速(例えば、検査直後)に提示することができる。
【0058】
また、識別・反応計測装置100で用いられる各種画像データ、上述の多様な階層別のデータベースに含まれる既存データ等を、適宜の通信手段、通信網を用いて、双方向で送受信可能とすることにより、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力の判定を、国内の遠隔地だけでなく、国外からも行うことができ、さらに、被験者の疾病の程度に応じて、適切な治療をスムーズに行うことができる。
【0059】
また、表示(出力部)30に提示される1組の画像に対応する時間は、例えば、1〜10秒と短いため、これを20〜30組繰り返したとしても、数分間で一連の計測は終了する。さらに、この数分間に、ほぼ類似した(難易度の同じ)組み合わせを複数回提示することにより、被験者の緊張度(集中力)がどの程度持続するか、又は、その緊張感に対する疲労がどの程度の速度で被験者に蓄積するか(具体的には、集中力の低下に伴って、能力に関する評価、判定が下がる)等、従来、定量的には計測の困難であった識別型反応特性を計測することができるようになる。
【0060】
また、識別・反応計測装置100では、例えば、膨大な画像データベースの中から同じ小画像を、何度も使用することなく、短時間かつ簡単に、計測・評価を行うことができるので、被験者の提示される画像に対する“慣れ・習熟”を考慮する必要がない。これにより、被験者個人の日常的なコンディション(例えば、疲労、睡眠不足等)、バイオリズムの日間変動、週間変動等を、簡便に測定することができる。また、この識別・反応計測計測方法を繰り返し行うことにより、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を訓練することも期待できる。具体的には、被験者の眼(あるいは、耳)から脳へ、脳から手(キーボード、タッチパネルの画面)又は声までへの反応速度を、高めることもできる。
【0061】
被験者が最も「好む」、「共鳴する」、「望ましい」、・・・などの画面を1っ選んで貰う。逆に、反対の「嫌い」、「判らない」、「遠ざけたい」などの画面を1っ選ぶこともある。こららを個人別のアメニティー強度と呼ぶ。こうした操作を何回(10〜40回ほど)と繰り返し、中には被験者の好み(負[嫌う]の場合も)の強さや、画像を認識する過程での疲労の程度などを検査する目的で、同じ/似た画像を繰り返し目前に提供して、好みの強度を定量的に評価することができる。
【0062】
上述の場合と比較して、正解は存在しないものの、分割された小画像の集団から1っを選択する事、小画面の選択までに要する時間を測定する事、同じ/似た画像を繰り返して表示することで被験者の意識の強さを測定する事、などの計測・評価手法、また、個人別の結果を多人数で行った集団の結果と比較して相対的な評価を行う事と行うことができる。
【0063】
本発明は、単に“景観”など自然環境の是非を対象にする物ではなく、新たに開発された家電機器デザインの“受容性”など、新商品に対する消費者感覚を収集する際にも、有力な手法として利用できる。
【0064】
なお、本発明の識別・反応計測方法は、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、識別・反応計測プログラムを含みコンピュータの内部メモリにロード可能なプログラム製品、識別・反応計測プログラムを含みコンピュータが使用可能な記録媒体にストアされたプログラム製品等により提供されることができる。さらに、本発明に関する識別・反応計測方法によれば、インターネット等のネットワークを用いて、被験者のPC等による入力に基づいて、ホスト側で遠隔的に、「認識・対応・反応」に関する能力を定量的に解析し、判定することができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によると、以上説明した通り、日常生活での環境変化に対応する能力である、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を、簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測することができる。また、本発明よると、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を、定量的に計測、評価することにより、個人別の介護の必要度合いの判定、疾病等の治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査等の指標となる評価結果を提示することができる。さらに本発明によると、基準画像が無くて対象画像だけで、被験者の“主観”や“好み”(これらを、近年では個人の「アメニティーや快適性と称している」)を、定量的に測定することができる。
【0066】
本発明によると、従来は計測できなかった又は極めて困難であった「人の生理学的・知的反応速度」を、“定量的”に計測することができる。本発明によると、画像や必要に応じて簡単な音声(動物の鳴き声など)を用いるために、言語や習慣などに縛られず国際的に共通する計測を行うことができる。本発明によると、単純な手法により、同一の計測システムによって、極めて幅の広い計測目的や難易度などに対応することができる。また、本発明によると、試験結果をその目的や解析方法に応じて、極く短時間に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する識別・反応計測装置100の概略構成図。
【図2】本発明に関する識別・反応計測装置100のフローチャート。
【図3】試験画像70を用いた表示例を示す説明図。
【図4】基準画像80を用いた表示例を示す説明図。
【図5】基準画像90を用いた表示例を示す説明図。
【図6】各障害度に対する「標準的な反応速度」を示すグラフ95の説明図。
【図7】画像データベース177の説明図。
【図8】検査条件対応ファイル176の説明図。
【図9】設問データファイル172の説明図。
【図10】回答データファイル173の説明図。
【符号の説明】
10 画像データ管理部
20 試験画像作成部
30 表示(出力)部
40 回答入力部
50 計測(記録)部
60 判定部
70 試験画像
80、90 基準画像
171 記憶部
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置に係り、特に、日常生活での環境変化に対応する能力を、個人別に高い精度で計測する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複雑化した社会において、人々は、様々な環境の変化に対応していくことを求められる場合がある。特に、現在のIT(Information Technology)化時代では、日常的な生活環境の変化を認識すると共に、この変化に対して反応し、適切な対応を行う能力は、順調な社会生活の維持には、欠かせない能力であると共に、人々が日常生活を営む上で、常に要求されていることでもある。
【0003】
また、個人が、この日常的な生活環境の変化に対して、どの位の速度で認識し、反応し、対応するかの能力(「認識・反応・対応」能力)を保持しているのか、又は、この「認識・反応・対応」能力が、多様な経験や加齢によってどのように変化していくのか等の情報は、日常生活の基本的な対応・判別能力として、例えば、運転免許証の取得、接客業等の職業能力、痴呆などの疾病(例えば、老人性痴呆であるいわゆるアルツハイマー病)の度合い及び治療方法の判定、介護保険の実施等に際して必要であると考えられている。
【0004】
さらに、近代社会は、物質的な豊かさの次に期待されている生活環境の要素が、個人別の好みやアメニティーと称されている快適性の追求に及んでいる。河川の改修、道路の補修、農村への諸補助金の交付、新商品の開発などに際しても、住民や関係する市民集団から見た満足度を、如何に充足するかその取り組みが始まっている。
【0005】
このため、認識・反応・対応・能力の判定では、その精度を高め、多様な個人の特性(例えば、年齢別、性別、職業別等)にきめ細かく対応させることが期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルツハイマー病(老人性痴呆)の判定については、現状では、懐中電灯等の光に対する瞳孔の追従速度による判定等、いわゆる臨床現場での計測方法に関しては一部存在していたが、この計測方法では、被験者に苦痛を伴う場合や、症状が相当進んだ段階でなければ、健常者との比較を行うことができず、測定精度が粗くなる場合等が想定される。また、日常生活に密着している各種の運転免許証を、ある個人に対して付与する場合では、ある個人の特性として、「認識・反応・対応」能力を定量的に測定することは困難であった。
【0007】
さらに、個人の主観が強く作用する個人別嗜好、いわゆる“アメニティー強度(負の方向も含めて)”を、或る集団に対して定量的に計測する具体的な手法が確立されておらず、現状では「総論賛成、各論・・・」の隘路にはまっている状態と言えよう。
【0008】
そこで、本発明者らは、例えば、一般に普及しているパーソナル・コンピュータ(PC)を用いて、この個人別の「認識・反応・対応」能力を、きわめて簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測する手法を模索した。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、日常生活での環境変化に対応する能力である、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を、簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を、定量的に計測、評価することにより、個人別の介護の必要度合いの判定、疾病等の治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査等の指標となる評価結果を提示する識別・反応計測方法、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び識別・反応計測装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、基準画像が無くて対象画像だけで、被験者の“主観”や“好み”(これらを、近年では個人の「アメニティーや快適性と称している」)を、定量的に測定することを目的としている。
【0011】
本発明は、従来は計測できなかった又は極めて困難であった「人の生理学的・知的反応速度」を、“定量的”に計測することを目的とする。本発明は、必要に応じて画像や簡単な音声(動物の鳴き声など)を用いるために、言語や習慣などに縛られず国際的に共通する計測を行うことを目的とする。本発明は、単純な手法により、同一の計測システムによって、極めて幅の広い計測目的や難易度などに対応することを目的とする。また、本発明は、試験結果をその目的や解析方法に応じて、極く短時間に得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴のいくつかを以下に例示する。
▲1▼コンピューターのディスプレー上に多くの小画像を(時には関連する音声も)同時に提示して、その小画像(音声)間を相互に比較(基準画像と対象画像)して被験者の客観的な識別・判定結果を、或いは、主観的な嗜好傾向(対象画像のみ)などを、それぞれに被験者の回答を(コンピューターのキーボード、タッチパネル、マイクロフォンへの入力など)得る過程を複数回繰り返すことによって、被験者の能力や嗜好内容を簡便に収集すること。
【0013】
▲2▼コンピューター内に小画像の基となる多くの画像・音声データベースを持ち、試験の目的や難易度、被験者の階層によって、該小画像群がランダムにかつ多様に構成できること。
【0014】
▲3▼健常者〜患者や階層別に広範な被験者を対象にして得られた回答状況のデータベースを基にして、知的な疾病(アルツハイマー病など)、職業技能・適性(知覚反応速度・接客特性)など、試験目的に応じて多様な該小画像群の構成を可能とすること。
【0015】
▲4▼試験目的に応じて必要ならば、検査結果を解析して直ちに被験者等に提示することを可能とすること。
【0016】
また、本発明の用途・利用分野としては、例えば、(1)高齢化に伴う知的障害者(例えば、アルツハイマー性疾患)の初期段階における検査・判定。(2)迅速な識別反応を求められる技能(ある種の運転能力など)や、高度な人の識別が望まれる接客業等への適応能力の判定。(3)知的・生理学的な対応能力を高める“訓練用機器”、等が挙げられる。
【0017】
本発明の第1の解決手段によると、
被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を検査条件ファイルに記憶する検査条件選択ステップと、
検査条件ファイルに記憶された検査条件による提示画像数に基づき、表示部に表示する際の画面枠取りを決定する画面枠取り決定ステップと、
検査条件ファイルに記憶された検査条件に基づき、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を、複数種類の画像データを記憶した画像データベースから選択して設問データファイルに記憶する利用範囲決定ステップと、
設問データファイルから基準画像を選択し、基準画像又はそれに関連する画像を含む複数の対象画像を選択して読み出し、画面枠取りに従い設問を作成し、表示部に表示する画面作成ステップと、
表示部に表示された設問に対する被験者からの回答を受けて、回答の正誤、回答までの時間及び設問の回数のいずれか又は複数を、回答記録として回答データファイルに記録する計測記録ステップと、
検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている基準データファイルを読み出し、読み出した基準データと前記回答データファイルに記憶された回答記録とを比較して、被験者の認識・反応・対応に関する能力を定量的に解析し、その検査結果を検査結果ファイルに記憶する判定ステップと、
判定された検査結果を検査結果ファイルから読み出し、表示部により被験者に対して提示する判定結果出力ステップと
を含む識別・反応計測方法及び識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0018】
本発明の第2の解決手段によると、
複数種類の画像データを記憶した画像データベースと、
被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を記憶する検査条件ファイルと、
利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を記憶するための設問データファイルと、
被験者からの回答記録を記憶する回答データファイルと、
検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている基準データファイルと、
検査結果を記憶する検査結果ファイルと、
設問及び判定結果を被験者に対して表示する表示部と、
前記検査条件ファイルに記憶された検査条件による提示画像数に基づき、前記表示部に表示する際の画面枠取りを決定し、また、前記検査条件ファイルに記憶された検査条件に基づき、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を前記画像データベースから選択して前記設問データファイルに記憶し、また、前記設問データファイルから基準画像を選択し、基準画像又はそれに関連する画像を含む複数の対象画像を選択して読み出し、画面枠取りに従い設問を作成して前記表示部に表示する、試験画像作成部と、
前記表示部に表示された設問に対する被験者からの回答を受けて、回答の正誤、回答までの時間及び設問の回数のいずれか又は複数を、回答記録として前記回答データファイルに記録する計測部と、
検査条件に対応した基準データを前記基準データファイルから読み出し、読み出した基準データと前記回答データファイルに記憶された回答記録とを比較して、被験者の認識・反応・対応に関する能力を定量的に解析し、その検査結果を前記検査結果ファイルに記憶し、前記表示部により被験者に対して提示する判定部と
を備えた識別・反応計測装置を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に関する識別・反応計測装置100の概略構成図である。
識別・反応計測装置100は、例えば、被験者の個人特性である「認識・反応・対応」能力を計測する装置であって、画像データ管理部10と、試験画像作成部20と、表示(出力)部30と、回答入力部40と、計測(記録)部50と、判定部60と、記憶部170を備え、各部がそれぞれバス65を介して接続されている。
【0020】
画像データ管理部10は、撮影又は入力された複数の素材となる画像データを、所望の種類、分類毎に分けて画像データベースを作成し、記憶部170(後述の画像データベース177)に記憶する。
【0021】
試験画像作成部20は、例えば、上述の検査目的に応じて、記憶部170(後述の画像データベース177)に蓄積、記録されている画像データを組合せて、試験画像(設問画像)をそれぞれ作成する(詳細は、後述)。また、試験画像は、例えば、表示(出力)部30に提示される設問であって、被験者により判別される少なくとも1つの基準画像と、この基準画像と対比される他の複数の対象画像とを含む。なお、この対象画像には、検査目的に応じて、例えば、“紛らわしさ”、“不明瞭さ”等が盛り込まれており、被験者の類推・判別特性を浮き彫りにできるように加工されている。
【0022】
回答入力部40は、例えば、表示(出力)部30に提示される試験画像(設問)に対する回答を入力するためのものであって、具体的には、キーボード、タッチボード(パネル)型ディスプレイ、マイクロフォン等の適宜な入力手段を適用できる。なお、被験者が正解と判断した対象画面の番号を音声で読み上げる場合では、回答入力部40としては、例えば、マイク等の音声入力手段が適用できる。
【0023】
計測(記録)部50は、例えば、被験者に提示された試験画像と、被験者が設問に回答するまでに要した時間、回答の正解又は不正解、設問の回数等の所望のデータを計測し、記録する(後述)。なお、被験者が設問に回答するまでに要した時間とは、例えば、表示(出力)部30に提示される試験画像(設問)に対して、被験者が対象画面に含まれる未知の部分、又は、不明瞭な部分を類推し、キーボード、タッチパネル型ディスプレイを用いて回答を入力するか、あるいは、音声で識別・判定結果を伝達するまでの速度を示しており、上述の「認識・反応・対応」能力に相当する。
【0024】
判定部60は、例えば、本発明に関する識別・反応計測を繰り返し行うことにより得られる計測記録、及び/又は、計測(記録)部50に蓄積、記録された計測結果に基づいて、ある被験者の回答に対する評価を行い、所望の検査目的に応じた判定を行う。
【0025】
表示(出力)部30は、例えば、CRT、LCD、スピーカーであって、上述のように、画像データベース77に蓄積されている画像データ、試験画像作成部20により作成される試験画像、計測(記録)部50での計測結果、判定部60により判定された判定結果等を、被験者に対して提示する。なお、ディスプレーの大きさは、単に卓上のせいぜい20数インチの大きさにこだわる物でもなく、景観なら縦横が数mクラス、冷蔵庫などの大型家電製品ならば実物大の、さらには、住宅やインテリアー装飾などでも数m〜数十mクラスのディスプレーとしてもよい。さらに、ディスプレーの大きさの点以外でも、表示を3次元化画像にするなどの、目的に応じた展開も可能である。
【0026】
記憶部170は、検査条件ファイル171、設問データファイル172、回答データファイル173、基準データファイル174、検査結果ファイル175、検査条件対応ファイル176、画像データベース177等の各種データファイルを有する。
【0027】
検査条件ファイル171は、被験者に提示する設問に含まれる難易度又は検査目的又は提示画像数に関する検査条件を記憶する。設問データファイル172は、利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を記憶する。回答データファイル173は、被験者からの回答記録を記憶する。基準データファイル174には、検査条件に対応した反応速度及び/又は正解率に関する基準データが記憶されている。検査結果ファイル175は、検査結果を記憶する。検査条件対応ファイル176は、検査条件に対応する基準画像及び対象画像を記憶する。
【0028】
画像データベース177は、複数種類の画像データを記憶する。画像データベース177は、例えば、被験者に提示するための試験画像の素材となる各種画像データ(例えば、顔、花、動物、鳴き声、乱数表)を予め定められた分類・種類に対応して蓄積、記録する。なお、画像データとしては、人の顔、花、動物、乱数表等だけでなく、所望の検査目的(例えば、運転免許証の取得、アルツハイマー病などの疾病の度合い、治療方法の判定、介護保険の必要の度合い等)に対応させるための適宜の動画又は静止画データである。さらに、音声付きのデータ(例えば、動物の鳴き声)も含むようにしてもよい。画像データは、顔、花、動物等の種類毎に複数パターンのデータを含むことができる。
【0029】
図2は、本発明に関する識別・反応計測装置100のフローチャートである。なお、説明の便宜上、ここでのフローチャートの説明は、概略的なものとし、具体的な説明は後述する。
この識別・反応計測方法の原理としては、上述したように、表示(出力)部30の画面を複数に分割すると共に、この分割された小画面上に、基準画像と比較して類似・同一判断のための対象画面(その判断が紛らわしい及び/又は不明瞭なものを含む)をそれぞれ提示し、被験者がこれらの対象画像から、基準画像と一致する又は関連すると判断した画像を選択することが挙げられる。
【0030】
まず、試験画像作成部20は、例えば、被験者並びに検査目的に合わせた難易度又は検査目的、提示画面数、設問回数等の検査条件の選定を行い、検査条件ファイル171にその条件を記憶する(S101)。つぎに試験画像作成部20は、検査条件ファイル171の提示画面数のデータを読み出し、それに基づき表示(出力)部30上の画面の枠取り(レイアウト)を行う(S103)。試験画像作成部20は、さらに、ステップS101で選定された検査条件ファイル171中の難易度等の検査条件を読み出し、検査条件対応ファイル176に記憶された検査条件と基準画像・対象画像等との対応関係に基づき、画像データベース177から設問のための画像の利用範囲を決定し、設問データファイル172に記憶する(S105)。さらに、試験画像作成部20は、設問データファイル172から基準画像と、その基準画像に対応して表示される対象画像を選択しステップS103で定めたレイアウトに組込み、画面作成を行う。作成された画面が、試験画像(設問)として表示(出力)部30により被験者に提示される。
【0031】
つぎに、被験者は、例えば、回答入力部40を用いて、ステップS107で作成され、表示(出力)部30上に提示される設問に対する回答を行う(S109)。計測(記録)部50は、被験者の回答が正しいか否かを判断し(S111)、正解であれば、可視及び/又は可聴表示による正解の合図(例えば、音では「ピンポン」、又は青ランプ等)を出力し(S113)、不正解であれば、不正解の合図(例えば、音では「ブーン」、又は赤ランプ等)を出力する(S115)。また、計測(記録)部50は、例えば、ステップS107で作成された試験画像(画像の組合せ)と、ステップS109での被験者による回答までの時間、ステップS111での回答の正解又は不正解等の「認識・反応・対応」能力に関する各種データを回答データファイル173に記録する(S117)。つぎに、計測(記録)部50は、回答データファイル173と基準データファイル174に基づき、難易度等の検査条件に応じた設問の回数は十分か否かを判定する(S119)。なお、一例として、ここでは、設問の適切な回数を5〜30回程度とすることができる。但し、設問は、検査目的及び被験者に対して必要とされる回答記録を得るまで、適宜の回数作成することができる。
【0032】
つぎに、判定部60は、ステップS117で計測(記録)部50により回答データファイル173に記録された被験者の回答記録を、設問の難易度やこれまでの実施経験に基づいて判定基準が記憶された基準データファイル174内のデータを比較し、定量的に解析して、計測結果の判定を行い(S121、詳細は後述)計測結果は、検査結果ファイル175に被験者毎に記憶され、表示(出力)部30により所望の状況(画面上に表示、印刷、適切な治療を行うための配慮等)に応じて出力される。
以下、上述のフローチャートの各ステップの処理について詳細に説明する。
【0033】
(ステップS101について)
検査条件としては、例えば、難易度、目的、提示画面数、設問回数等がある。さらに、検査条件としては、画像データベース177の種類、分類(男女、年齢層)を含むことができる。被験者に合わせた難易度の選定としては、例えば、アルツハイマー病等の度合いを考慮すると、健常者から重症患者に対して、適宜の段階を設定することができる(例えば、5〜10段階程)。提示画面数が多い程、難易度が高くなり、情報処理能力が高くなる。また、基準画面として正面の顔とした場合、やや横向き、真横向き等の顔を対象画面とすると、角度の大きい方向から撮影した正面の方が難易度が高いものとなる。また、ぼやけた顔を対象画面とすると、ぼやけの程度が大きい方が難易度が高くなる。さらに、回転した顔を対象画面をする場合も回転角が大きい
方が難易度が高くなる。
このように、設問の種類と量に対応して所望の検索条件に記録したテーブルが検査条件ファイル171に記憶される。
【0034】
(ステップS103について)
画面の枠取りの決定に用いられる提示画面数としては、例えば、画面中央に1個の基準画像と、この基準画面の周囲にN個(例えば、8〜15個)の対象画像を配列することができる(対象画面を8つ配列する場合について、後述する)。この提示画面数は、検査条件ファイル171で設定されることができる。
【0035】
(ステップS105について)
図7に、画像データベース177の説明図の一例を示す。
このように、画像データベース177に記載されるデータベースとしては、例えば、性別・年齢(年齢層)別にA氏〜Z氏までの膨大な人数の顔を、正面(角度=0°)、適宜の角度=α、β、γ、・・・、λ等、λ+1段階に撮影した、人名、撮影角度別のデータベースがある。図中、A氏の正面画像をA0、角度α度からの画像をAα、角度β度からの画像をAβ、等と示している。
【0036】
被験者の難易度に合わせた基準画像及び対象画像利用範囲の決定としては、画像データベース177に含まれる複数の画像データから、検査条件ファイル171内の被験者の難易度、検査目的等の検査条件に合わせて、検査条件対応ファイル176を参照して、適切な基準画面及び対象画面の利用範囲を決定することができる。
【0037】
図8に、検査条件対応ファイル176の説明図の一例を示す。
検査条件対応ファイル176は、検査条件に対応した基準画像・対象画像の関係が記憶される。この例では、難易度等の検査条件に対応して、画像の種類を記憶しているが、これに限らず複数パラメータ(難易度、検査目的、画像種類、画像データベース177の分類、提示画面数、等)により対応する基準画像・対象画像を選択するようにしても良い。ここでは、検査条件ファイル171に記憶された難易度に応じて適宜の角度の基準画像及び対象画像が求まる。なお、各画像は、複数種類、即ち複数角度α、β等の画像がランダムに混在して選択されるようにしてもよい。
【0038】
また、図9に、設問データファイル172の説明図を示す。ここでは、基準画像として正面の画像A0、B0、・・・、Y0、対象画像として角度βからの画像Aβ、Bβ、・・・、Yβが選択された例を示す。
【0039】
(ステップS107について)
つぎに、試験画像作成部20は、この基準画面及び対象画面を、決定された画面の枠にそれぞれ当てはめることにより、被験者に提示する画面(試験画像:設問)を作成する。具体的には、試験画像作成部20は、設問データファイル172を参照し、例えば、基準画面としては、画面中央に角度=0°のC氏の画像C0を、対象画面としては、基準画面の周囲に角度βのC氏画像Cβを含む8人の画像(Aβ,Bβ,…Xβ等)をランダム又は所定の順で適宜選択し、それぞれ適宜の位置に配置する。
【0040】
ここで、作成された画面の具体例を説明する。
図3は、試験画像70を用いた測定例を示す説明図である。なお、ここでは、試験画像として、人の顔を用いる。人の顔は、幼児から高齢者まで極めて幅の広い年令層に対して、日常的に繰り返して判別を要求される基本動作であって、順調な社会生活の維持には欠かせない能力といえる。
【0041】
試験画像70は、例えば、画面の枠組みを3段×3列とし、9枚の小画像を組み合わせたものであって、画面の中央に配置された基準画像71と、この基準画像71の周囲にランダムに配置された対象画像72〜79とを含む。基準画像71は、例えば、A氏の正面向きの顔である。対象画像72は、B氏の横顔であり、対象画像73、78は、C氏の横顔であり、対象画像74、76は、D氏の横顔であり、対象画像75、79は、E氏の横顔であり、対象画像77は、設問の正解となるA氏の横顔である。なお、基準画像71を、被験者に対して明確に印象付けるために、例えば、周囲の枠や背景の色を変更してもよい。また、画像データとしては、人の顔以外にも、花、身近に存在する植物や、犬、牛等の身近なペット、家畜など、それぞれの検査目的に応じた画像を用いることができる。
【0042】
また、試験画像70の変形例としては、この画面中央に位置する基準画像71をA氏の正面向きの顔とし、さらに、基準画像71の周囲にランダムに配置される8つの対象画像72〜79を、A〜H氏までの8人の横顔としてもよい。また、基準画像71をA氏の横顔とし、対象画面72〜79を全て正面向きの顔にしてもよい。さらに、基準画像、対象画像は、全体又は一部分に対応する画像(例えば、目、鼻、口等)とすることもできる。
【0043】
このように、上述の計測(記録)部50及び判定部60での処理の際、試験画像に対して、一部に簡単な画像の比較だけでなく、未知の部分、すなわち“類推を要する”識別反応・判断の部分を盛り込み、さらに、この試験画像を、所望の検査目的に応じて、識別が容易な組み合わせから困難な組み合わせまで、数組〜数十組を繰り返して被験者に提示することにより、信頼性の高い計測結果を収集することができる。なお、被験者は、画像データベース177に蓄積、記録されている膨大な画像データからランダムに選択されたA〜H氏を直接知らない場合が多いため、被験者は、初めて見る顔の未知の部分を、自分自身で類推し、回答を導くことになる。
【0044】
また、基準画像と対象画像の組み合わせは、顔の撮影角度などを考慮すると、検査目的、被験者の加齢特性などによって、さらに多くの表示例を作成することができる。
【0045】
ここで、試験画像(設問画像)のさらに他の表示例について説明する。
図4は、基準画像80を用いた表示例を示す説明図である。
基準画像80は、上述の試験画像70に含まれる基準画像71の代わりとなる、適宜の角度で回転させた画像であって、約180度回転させた上下逆の画像(おでこが下、顎が上)81、約135度回転させた画像82、約90度回転させた画像83を含む。
【0046】
図5は、基準画像90を用いた表示例を示す説明図である。
基準画像90は、例えば、上述の試験画像70に含まれる基準画像71の代わりとなる、明瞭度を変更とした画像であって、単位長さ当たりのピクセル数が、極めて小さくて個人の識別が困難なであるぼやけた基準画像91と、この基準画像91に比べてある程度明瞭な基準画像92とを含む。、このように、基準画像90を用いることにより、基準画像91から基準画像92への変化、すなわち、徐々に正常・明瞭な画像に変化する動的な過程の中で、どれだけ迅速に正解を類推するか等、視覚から得た情報を判別するまでの多様な「認識・反応・対応」能力を、高い精度で明確に計測することもできる。なお、この他にも基準画像に絵(例、犬)、対象画像にそれを類推しうる文字(例、dog、犬)、又は、絵(例、犬小屋、首輪)としてもよい。
これら各種画像も、難易度等の検査条件に対応して所定の画像のタイプ(種類)が記憶された検査条件対応ファイル176を予め用意することで難易度等の検査条件により適宜選択可能となる。
【0047】
(ステップS109について)
被験者は、表示(出力)部30に提示される上述の試験画像(基準画面として、画面中央に角度=0°のC氏を、対象画面として、基準画面の周囲に角度βのC氏を含むN人を、それぞれ配置したもの)を見て、基準画像と同一人物と判断した対象画像(ここでは、撮影角度βのC氏)を周囲から選択する。この際、この表示(出力)部30上の画面が、タッチボード型ディスプレイであれば、画面上に提示されている対象画像を直接指で触れるようにする。なお、表示(出力)部30の種類によっては、対象画面の画像番号をキーボードで入力したり、被験者が正解の画像番号を声で読み上げるようにしてもよい。なお、対象画像を上述の基準画像80、90のように、適宜の角度で回転、又は、明瞭度を変化させてもよい。
【0048】
図10に、回答データファイル173の説明図を示す。このように、回答データファイル173は、その被験者の各設問についての正否、反応時間及び平均等が記憶される。
【0049】
(ステップS121について)
ここで、判定部60での処理について説明する。
図6は、基準データファイルに記憶されるデータの説明図である。このように、各障害度に対する「標準的な反応速度」を示すグラフ95についてのデータが記憶される。
このグラフ95は、例えば、従来からの医師の判定によって、健常者から重度の疾病を患っている患者まで、10段階程度の障害度に分類し、それぞれ区分で予め得られた「標準的な反応速度」(基準となる反応速度)を示したものであって、各障害度を示す横軸と、反応速度(例えば、秒)を示す縦軸と、基準画像、対象画像ともに正面向きである場合での曲線96と、基準(又は対象)画像が正面向き、対象(又は基準)画像が斜め向き(例えば、撮影角度45度)である場合での曲線97と、基準(又は対象)画像が正面向き、対象(又は基準)画像が横向き(例えば、撮影角度90度)である場合での曲線98とを含む。
【0050】
また、判定部60は、計測(記録)部50より回答データファイル173に記録された被験者の回答記録を、設問の難易度やこれまでの実施経験(蓄積された信頼性の高い「標準的な反応速度」)に基づいて作成された基準データファイル74と比較し、定量的に解析して、計測結果の判定を行い、計測結果を、所望の状況に応じて出力できるように加工する。ここで、被験者の回答記録に含まれるデータとして、設問の回答までに要する時間、設問の難易度がある。なお、この設問の難易度は、曲線96が最も容易で、曲線98が最も難しいことになる。
【0051】
ここで、判定部60は、検査条件ファイル171に記憶された難易度等の検査条件が曲線96上に対応する場合、点99で示すように、例えば、判定部60は、被験者の平均の反応速度を求め、それが5秒であるならば、従来からの標準値に照らしてその障害度は「3」であると判定され、これが検査結果ファイル175に記憶される。このように、障害度が定量的に解析されることになる。
【0052】
また、一般に、疾病を患っている被験者のは、検査日、周辺の環境(家族が側で見ているか否か等)、障害の程度、病状等に依存してしまい、安定した反応を示さないことも想定される。このため、ここでの判定結果を、例えば、実際は前回の検査と同じ判定が出ているにも関わらず、終了直後の判定結果では、1段軽い(回復した)方向の判定結果を表示するといった、被験者の病状を考慮した心理的な治療効果も期待できる。
【0053】
ここで、本発明に関する識別・反応計測方法及び識別・反応計測装置の他の特徴について説明する。
判定部60は、被験者の「眼→脳→手(声)に至る速度」を計測するには、表示(出力)部30上に1組の試験画像(設問)が提示されてから、キーボード、タッチパネル、マイクロフォン等の適宜の回答入力部40に、回答が与えられるまでの時間を計測すると共に、回答の正解又は不正解、設問の難易度、他の被験者が同じ設問に対する回答速度等を比較することにより、被験者の能力を分類・評価することができる。
【0054】
また、上述のように視覚に頼った計測は、適用範囲の広いものであるが、検査目的、被験者の加齢特性等に応じて、画像だけでなく、音声を含んだ設問を作成し、聴覚にも頼った計測を行うことができる。具体的には、例えば、上述の9つの小画像に対して、それぞれ牛、馬、豚、山羊、鶏、犬、ネコ、カラス、小鳥、をランダムに配列し、どれかの動物の鳴き声(例えば、コケコッコー)を、スピーカー等から聞かせて、被験者にその動物を当てさせるようにしてもよい。なお、人の顔、花、動物、建物など文字を含まない画像を用いて、計測することで、あらゆる言語圏で暮らす人々に対して適用することもできる。
【0055】
また、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を定量的に計測・評価することにより、介護の必要度合いの判定、疾病などの治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査など、従来はきわめて評価の困難であった個人別の特性に対して、定量的なアプローチを行うことができる。この場合、上述の識別・反応計測装置100で用いられる試験画像としては、顔以外にも花や動物、建物など身近に見かける画像を用いてもよい。
【0056】
また、試験画像作成部20により作成された試験画像として、数十〜数百枚の小画像の組み合わせを、判別の難易度に合わせて縦横に配列することにより、この小画像を駆使して被験者の反応を測定・解析できる適正な識別・反応計測プログラムを適用すれば、きわめて簡便に「認識・反応・対応」に関する能力の評価・判定を行うことができる。
【0057】
また、被験者に関するデータとして、年齢別、性別、職業別、など多様な階層別に対する認識・反応・対応」に関する能力を収集し、これらのデータに基づいたデータベースを作成することにより、特定の被験者に対する評価・判定の結果を、簡便かつ迅速(例えば、検査直後)に提示することができる。
【0058】
また、識別・反応計測装置100で用いられる各種画像データ、上述の多様な階層別のデータベースに含まれる既存データ等を、適宜の通信手段、通信網を用いて、双方向で送受信可能とすることにより、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力の判定を、国内の遠隔地だけでなく、国外からも行うことができ、さらに、被験者の疾病の程度に応じて、適切な治療をスムーズに行うことができる。
【0059】
また、表示(出力部)30に提示される1組の画像に対応する時間は、例えば、1〜10秒と短いため、これを20〜30組繰り返したとしても、数分間で一連の計測は終了する。さらに、この数分間に、ほぼ類似した(難易度の同じ)組み合わせを複数回提示することにより、被験者の緊張度(集中力)がどの程度持続するか、又は、その緊張感に対する疲労がどの程度の速度で被験者に蓄積するか(具体的には、集中力の低下に伴って、能力に関する評価、判定が下がる)等、従来、定量的には計測の困難であった識別型反応特性を計測することができるようになる。
【0060】
また、識別・反応計測装置100では、例えば、膨大な画像データベースの中から同じ小画像を、何度も使用することなく、短時間かつ簡単に、計測・評価を行うことができるので、被験者の提示される画像に対する“慣れ・習熟”を考慮する必要がない。これにより、被験者個人の日常的なコンディション(例えば、疲労、睡眠不足等)、バイオリズムの日間変動、週間変動等を、簡便に測定することができる。また、この識別・反応計測計測方法を繰り返し行うことにより、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を訓練することも期待できる。具体的には、被験者の眼(あるいは、耳)から脳へ、脳から手(キーボード、タッチパネルの画面)又は声までへの反応速度を、高めることもできる。
【0061】
被験者が最も「好む」、「共鳴する」、「望ましい」、・・・などの画面を1っ選んで貰う。逆に、反対の「嫌い」、「判らない」、「遠ざけたい」などの画面を1っ選ぶこともある。こららを個人別のアメニティー強度と呼ぶ。こうした操作を何回(10〜40回ほど)と繰り返し、中には被験者の好み(負[嫌う]の場合も)の強さや、画像を認識する過程での疲労の程度などを検査する目的で、同じ/似た画像を繰り返し目前に提供して、好みの強度を定量的に評価することができる。
【0062】
上述の場合と比較して、正解は存在しないものの、分割された小画像の集団から1っを選択する事、小画面の選択までに要する時間を測定する事、同じ/似た画像を繰り返して表示することで被験者の意識の強さを測定する事、などの計測・評価手法、また、個人別の結果を多人数で行った集団の結果と比較して相対的な評価を行う事と行うことができる。
【0063】
本発明は、単に“景観”など自然環境の是非を対象にする物ではなく、新たに開発された家電機器デザインの“受容性”など、新商品に対する消費者感覚を収集する際にも、有力な手法として利用できる。
【0064】
なお、本発明の識別・反応計測方法は、識別・反応計測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、識別・反応計測プログラムを含みコンピュータの内部メモリにロード可能なプログラム製品、識別・反応計測プログラムを含みコンピュータが使用可能な記録媒体にストアされたプログラム製品等により提供されることができる。さらに、本発明に関する識別・反応計測方法によれば、インターネット等のネットワークを用いて、被験者のPC等による入力に基づいて、ホスト側で遠隔的に、「認識・対応・反応」に関する能力を定量的に解析し、判定することができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によると、以上説明した通り、日常生活での環境変化に対応する能力である、個人別の「認識・反応・対応」に関する能力を、簡便かつ迅速に、高い精度で定量的に計測することができる。また、本発明よると、日常生活上のあらゆる場面に影響する「認識・反応・対応」に関する能力を、定量的に計測、評価することにより、個人別の介護の必要度合いの判定、疾病等の治療方法、運転などの技能付与条件、職業の適性検査等の指標となる評価結果を提示することができる。さらに本発明によると、基準画像が無くて対象画像だけで、被験者の“主観”や“好み”(これらを、近年では個人の「アメニティーや快適性と称している」)を、定量的に測定することができる。
【0066】
本発明によると、従来は計測できなかった又は極めて困難であった「人の生理学的・知的反応速度」を、“定量的”に計測することができる。本発明によると、画像や必要に応じて簡単な音声(動物の鳴き声など)を用いるために、言語や習慣などに縛られず国際的に共通する計測を行うことができる。本発明によると、単純な手法により、同一の計測システムによって、極めて幅の広い計測目的や難易度などに対応することができる。また、本発明によると、試験結果をその目的や解析方法に応じて、極く短時間に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する識別・反応計測装置100の概略構成図。
【図2】本発明に関する識別・反応計測装置100のフローチャート。
【図3】試験画像70を用いた表示例を示す説明図。
【図4】基準画像80を用いた表示例を示す説明図。
【図5】基準画像90を用いた表示例を示す説明図。
【図6】各障害度に対する「標準的な反応速度」を示すグラフ95の説明図。
【図7】画像データベース177の説明図。
【図8】検査条件対応ファイル176の説明図。
【図9】設問データファイル172の説明図。
【図10】回答データファイル173の説明図。
【符号の説明】
10 画像データ管理部
20 試験画像作成部
30 表示(出力)部
40 回答入力部
50 計測(記録)部
60 判定部
70 試験画像
80、90 基準画像
171 記憶部
Claims (8)
- 複数種類の撮影角度別の画像データを記憶した画像データベースと、
被験者に提示する設問の難易度及び提示画像数に関する検査条件を記憶する検査条件ファイルと、
難易度に対応して、基準画像の第1の撮影角度及び対象画像の第2の撮影角度を記憶した検査条件対応ファイルと、
利用する基準画像及びそれと比較される対象画像を記憶するための設問データファイルと、
被験者からの回答記録を記憶する回答データファイルと、
難易度毎に、複数の障害度に対応した反応速度に関する基準データが記憶されている基準データファイルと、
検査結果を記憶する検査結果ファイルと、
設問及び判定結果を被験者に対して表示する表示部と、
前記表示部に提示された設問に対する回答を入力するための回答入力部と、
前記検査条件ファイルに記憶された検査条件による提示画像数に基づき、前記表示部に表示する際の画面枠取りを決定し、また、前記検査条件ファイルに記憶された検査条件による難易度に基づき前記検査条件対応ファイルを参照して、難易度に応じた第1の撮影角度の複数種類の画像データ及び第2の撮影角度の複数種類の画像データを前記画像データベースから選択して前記設問データファイルに記憶し、また、前記設問データファイルから第1の撮影角度の特定種類の画像データを基準画像として選択し、第2の撮影角度の特定種類を含む複数種類の画像データを対象画像として選択して読み出し、画面枠取りに従い該基準画像と複数の該対象画像とを含み、該基準画像に関連する対象画像を選択させるための設問を作成して前記表示部に表示する、試験画像作成部と、
前記回答入力部により前記表示部に表示された設問に対する被験者からの回答を受けて、回答までの反応時間を、回答記録として前記回答データファイルに記録する計測部と、
難易度に対応した基準データを前記基準データファイルから読み出し、読み出した基準データの反応速度と、前記回答データファイルに記憶された反応速度とを比較して障害度を判定し、その結果を前記検査結果ファイルに記憶し、前記表示部により被験者に対して提示する判定部と
を備えた識別・反応計測装置。 - 前記試験画像作成部は、前記設問データファイル中の画像から任意に基準画像を選択し、その基準画像に関連する画像をひとつとそれに関連しない画像とを任意に枠取りされた数選択することを特徴とする請求項1に記載の識別・反応計測装置。
- 前記試験画像作成部は、被験者に対する検査条件に応じて、作成する設問の回数又は画面枠取り数を変更するようにした請求項1又は2に記載の識別・反応計測装置。
- 前記画像データベースに記憶された画像データは、音声情報をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の識別・反応計測装置。
- 前記試験画像作成部で作成される設問は、中央に配置される基準画像と、該基準画像の周囲に配置される複数の対象画像との組合せであるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の識別・反応計測装置。
- 前記試験画像作成部で作成される設問は、輪郭のぼやけた画像と、輪郭の明瞭な画像との組合せであるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の識別・反応計測装置。
- 被験者に対し、ネットワークを介して設問が提示され、被験者からネットワークを介して回答が入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の識別・反応計測装置。
- 前記画像データベースを作成するためのデータ管理部をさらに備えた請求項1乃至7のいずれかに記載の識別・反応計測装置。
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