JP3952679B2 - 動力分配制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力機関より供給される車両の動力を各駆動可能輪に分配する際の制御変数である「動力配分比、カップリング装置等の締結係合係数、又はその関連値」rを、各駆動可能輪の回転速度に基づいて制御する動力分配制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
4輪駆動車等に搭載される差動制御クラッチや、或いはカップリング装置等の締結係合係数(係合度)を駆動可能輪の回転速度に基づいて制御する動力分配制御装置としては、例えば、特許公報「平5−61126:車両用4輪駆動制御装置」に記載されているもの等が一般に広く知られている。
特に、この従来装置は、脱輪等のスリップ状態からの脱出を試行する試行時間をタイマ等の時間計測手段を用いて制限又は制御するスリップ制御モードを有している。
【0003】
また、これらの従来技術においては、車両がスリップ状態に在るか否かを前輪両輪の回転速度の平均値と後輪両輪の回転速度の平均値との差である差動回転速度ΔNの絶対値に基づいて判定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スリップ状態からの脱出が成功しつつあるか否かの判定を行う際、これらの従来技術に見られる様に、差動回転速度ΔNの絶対値だけに基づいてその判定を行っていたのでは、その判定を誤る場合がある。
これは、例えば、スリップ状態からの脱出試行中に最遅輪(最も回転速度が小さい車輪)が動き出して、この最遅輪の回転速度がある程度の大きさにまで達しつつある場合でも、差動回転速度ΔNの絶対値が所定の基準値よりも大きければ画一的に試行失敗と判断されて、その後の試行が中断されてしまうことがあるためである。
【0005】
また、例えば、牽引車の導入等によりスリップ状態からの脱出が可能となる場合や、更に牽引車の追加等により牽引力が増加された場合等であっも、上記の特許公報等に記載されている従来技術においては、一旦、スリップ状態からの脱出が不可能だと判断されてしまうと、その後は被牽引車両側の4輪駆動車としての機能が失なわれてしまうことがあった。
このため、牽引車等による牽引力を後から追加した場合でも、脱輪等のスリップ状態からの脱出が困難となることが有った。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、カップリング装置や、或いは差動制御クラッチ等の係合部又は締結部を中心とする機械系の破損や過度の磨耗等を回避し、これらの機械系の耐久性を守りつつ、スリップ状態からの脱出の可能性をできるだけ大きく引き出すことができる動力分配制御装置の制御方式を提案することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、動力機関より供給される車両の動力を駆動可能輪に分配する際の制御変数である「動力配分比、締結係合係数、又はその関連値」rを駆動可能輪の回転速度に基づいて制御する動力分配制御装置において、脱輪等のスリップ状態からの脱出を試行する試行時間τをタイマ等の時間計測手段を用いて制限又は制御するスリップ制御モードを設け、このスリップ制御モードにおいて車両がスリップ状態にあるか否かを車両の車体速度に基づいて判定する滑留状態判定手段と、試行時間τがその上限値T以上に成った 時に、脱出の試行中(τ<T)とは相異なる判定基準を用いて、或いは、脱出の試行中(τ<T)とは相異なる判定データを用いて、脱出が成功したか否かを再判定する2次判定手段とを備えることである。
【0008】
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、前輪と後輪とで回転速度が小さい方の駆動可能輪の回転速度m1、或いは、各駆動可能輪中で最も回転速度が小さい1つの駆動可能輪の回転速度m2に基づいて車体速度を推定、又は測定する車体速度算定手段を設けることである。
【0009】
ただし、ここで、上記の前輪の回転速度は、前方右車輪の回転速度と前方左車輪の回転速度とをそれぞれ個々に計測し、それらの平均値として算出しても良いし、平均演算等の計算処理に頼らず、前輪車軸や、或いはフロント・デファレンシャル・ギヤ等の回転運動から直接測定する様にしても良い。上記の後輪の回転速度に付いても、略同様である。
これらの値(回転速度)は、公知、或いは任意の手段により求めた値を用いることができる。
【0010】
【0011】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、上記の試行時間τの上限値Tを動的に調整する試行時間調整手段を設けることである。
【0012】
また、第4の手段は、上記の第3の手段の試行時間調整手段において、上記の回転速度mj(j=1,2)、この回転速度の変化量δmj、又はこれらの関連値に基づいて、上限値Tを調整することである。
【0013】
また、第5の手段は、上記の第3又は第4の手段の試行時間調整手段において、差動回転速度ΔN、差動回転速度ΔNの変化量δΔN、又はこれらの関連値に基づいて、上限値Tを調整することである。
【0014】
また、第6の手段は、上記の第1乃至第5の何れか1つの手段において、上記の試行時間τがその上限値T以上に成った時に、脱出が成功していなければ、「牽引等による脱出支援、又は、進行方向転換」等による再試行を要請する警報手段を設けることである。
【0015】
また、第7の手段は、上記の第1乃至第6の何れか1つの手段において、上記の試行時間τがその上限値T以上に成った時に、脱出が成功していなければ、一時的又は継続的に、上記の制御変数rを0又は所定の固定値にすることにより、一部の駆動可能輪への動力分配を中止する締結解放手段を設けることである。
【0016】
【0017】
【0018】
また、第8の手段は、上記の第1乃至第7の何れか1つの手段において、試行時間τがその上限値T以上に成った時に、車体速度を改めて再度検出し、この再度検出された車体速度に基づいて脱出が成功したか否かを再判定することである。
【0019】
【0020】
また、第9の手段は、上記の第1乃至第8の何れか1つの手段において、車両の脱出条件好転時に、スリップ制御モードにおける制御変数rを好適値、最適値、又は最大値にすることにより、脱出の再試行を許容するか、或いは、脱出の試行を継続することである。
【0021】
また、第10の手段は、上記の第9の手段において、牽引センサ、牽引スイッチ、又は牽引力計により、車両の被牽引状態を検知し、車両の被牽引時、又は、車両の被牽引条件好転時に、車両の脱出条件が好転したと判定することである。
【0022】
また、第11の手段は、上記の第9又は第10の手段において、オートマチック・トランスミッション、又はマニュアル・トランスミッションの変速ギヤの状態を検知し、この変速ギヤの変更時に、車両の脱出条件が好転したと判定することである。
以上の手段により、前記の課題を解決することができる。
【0023】
【作用及び発明の効果】
本発明によれば、上記の回転速度mj(j=1又は2)を用いた上記の滑留状態判定手段により、従来よりも正確に車両のスリップ状態を判定することができるので、車両がスリップ状態から殆ど脱出しつつある場合等には、カップリング装置の締結(クラッチの係合)が強く維持される。
このため、車両がスリップ状態から殆ど脱出しつつある場合等には、誤って全駆動可能輪による脱出の試行が中断されることが無くなり、脱出に成功する可能性が大きくなる。
スリップ状態や脱出の成否の判定を2段階で行う際に、相異なる判定基準、或いは相異なる判定データを用いてそれらの判定処理を行うことにより、例えば2段階の判定の間にスリップ状態に一定の改善傾向が見られる場合に、脱出成功と判断することもできる。
【0024】
また、上記の試行時間調整手段(例:第2実施例)を用いれば、脱出できる可能性が全く或いは殆ど見込めない場合には早めに試行を断念したり、逆に脱出できる可能性が大きい場合には、全駆動可能輪による脱出の試行時間τを若干延長したりすることができる。
【0025】
また、上記の試行時間調整手段(例:第3実施例)を用いれば、係合部又は締結部を中心とする機械系の磨耗度や、単位時間当たりの磨耗量等に応じて、全駆動可能輪による脱出の試行時間τの上限値Tを決定することも可能である。
【0026】
これらの作用により、スリップ状態から脱出できる可能性を最大限に引き出すことが可能になると同時に、上記の機械系の耐久性を確保することがより確実となる。
【0027】
また、本発明の警報手段によれば、脱出条件の改善等によりスリップ状態から脱出できる可能性がまだ残っている場合に、運転者に最適又は好適な処置を促すことができる。これにより、4輪駆動システムが全駆動可能輪による脱出の再試行を許容する場合等に、運転者がこの再試行を断念する可能性が無くなるか、或いは、この可能性を最小に抑制することができる。
【0028】
また、本発明の締結解放手段によれば、一時的又は継続的にカップリング装置の締結(又は、クラッチ機構の係合)が中止されるので、カップリング装置や、或いは差動制御クラッチ等の係合部又は締結部を中心とする機械系の破損や過度の磨耗等を回避することができる。このため、これらの機械系の耐久性を守ることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
図1は、4輪駆動車に搭載された、本実施例に係わる動力分配制御装置100の模式的なシステム構成図である。
本4輪駆動車は、FFベースの所謂オン・デマンド4WD機構を有しており、この機構により、主駆動輪(駆動可能輪)である前輪と従動輪(駆動可能輪)である後輪へのトルク配分比が好適に制御される。
【0030】
トランスアクスル40は、トランスミッションとトランスファを一体に備えており、エンジン30から供給される駆動力(トルク)は、トランスアクスル40によりギヤ比が選択されて、フロント・ディファレンシャル・ギヤ(差動装置)25に出力される。その後、フロント・ディファレンシャル・ギヤ(差動装置)25に伝達されたトルクは、前輪車軸27、及び、プロペラシャフト20に配分され、前輪1,2が駆動される。
また、プロペラシャフト20の後方の一端にはカップリング(クラッチ機構)50が接続されている。
【0031】
そして、プロペラシャフト20を介してカップリング50に伝達されたトルクは、後輪駆動シャフト24、リア・ディファレンシャル・ギヤ26、後輪車軸28に順次伝達されて、後輪3,4を駆動する。ただし、カップリング50のクラッチ機構の締結係合係数r(以下、単に「係合度r」と言う)が0に制御された場合には、カップリング50のクラッチ機構は、解放状態(非結合状態)に制御されるため、後輪3,4は駆動されない。このカップリング50のクラッチ機構は、従来と同様に、電磁的な動作による機構(電磁式クラッチ)であっても、油圧による機構(油圧式クラッチ)であっても良い。このクラッチ機構により、係合度rが所定の範囲内(0≦r≦1)で実現され、後輪3,4へのトルク配分が所望の値に調整される。これにより、例えば、後述の「通常制御」実行時に係合度rを最大値(r=1)にまで制御した際には、プロペラシャフト20と後輪駆動シャフト24とが略直結状態とされ、前輪1、2と後輪3、4に略半分ずつのトルクを配分することが可能となる。
【0032】
回転センサ5〜8から各々出力される車輪速信号n1,n2,n3,n4は、各駆動可能輪1,2,3,4の回転速度に一致又は比例したデータである。ただし、以下の実施例では、車輪速信号ni(i=1,2,3,4)は各車輪1〜4の回転速度に一致するものとする。
また、スロットル開度センサ10からは、スロットル開度aが出力され、牽引力計60からは、牽引車等による牽引力Sが出力される。そして、これらの出力データは、図略の入出力インターフェイスを有して電子制御装置(コンピュータ)等より構成された動力分配制御装置100に入力される。
【0033】
図2は、本第1実施例における、動力分配制御装置100により実行されるプログラム、即ち、係合度rを制御する制御プログラムPG1のフローチャートである。本プログラムPG1は、例えば10ms周期等の固定周期毎に定期的に呼び出されて実行されるプログラムである。
本プログラムPG1では、まず最初に、ステップ200において、異常状態フラグFABの値が判定される。本異常状態フラグFABの意味は、次式(1)により定義される。
【0034】
【数1】
AB=on :カップリング50は、そのクラッチ機構の係合(締結)
を継続することがあまり望ましくない状態にある。
AB=off:カップリング50は、正常状態にある。 …(1)
そして、本フラグFABの判定の結果、FAB=onならばステップ270へ、そうでなければステップ205へ処理を移す。
【0035】
ただし、本プログラムPG1を最初に呼び出して実行する際の初期条件は、次式(2)の通りである。尚、T1には適当な固定値を用いる。また、T2の値は必要に応じて途中で動的に変更しても良い(第2実施例参照)。
【数2】
AB=off,
MX=off,
t1=0,
t2=0,
T2=初期暫定値(所定の値) …(2)
【0036】
ステップ205では、後述(図4)の「1次判定ルーチンR1」を呼び出して実行する。本ルーチンR1は、車両のスリップ状態を判定するものである。ステップ210では、この「1次判定ルーチンR1」が設定したリターンコードRCの値を判定し、RC=1(スリップ状態)ならばステップ230へ、RC=0(正常状態)ならばステップ215へ処理を移す。
【0037】
ステップ215では、タイムカウンタt1,t2をそれぞれ0クリアし、最大トルク出力指定フラグFMXをoff状態に設定する。これらの設定により、ステップ220で呼び出され実行される「r算定ルーチンR0」(図3)においては、「通常制御」が実行される。
【0038】
ただし、ここで言う「通常制御」とは、例えば、検出した車輪速度ni(i=1,2,3,4)やスロットル開度a等に応じて、カップリング50の係合度r(締結力)を制御する様にし、スロットル開度a、或いは、後述の式(10),(11),(12)等で定義される前後輪間の差動回転数ΔNが大きくなる程、係合度rを大きくしてスリップを防止又は抑制する制御のことである。本制御は、公知或いは任意の手法により、例えば後述の関数f(ni,a)等を用いて実現することができる。
【0039】
ステップ225では、「r算定ルーチンR0」(図3)で決定された係合度rの値を、カップリング50に対して出力する。
カップリング50は周知の手段によりこの係合度(締結力)を具現し、これにより所望のトルク(動力)配分が実現される。
【0040】
一方、ステップ210で、スリップ状態(RC=1)が検出された場合には、ステップ230以下の処理(スリップ制御モード)が実行される。
即ち、ステップ230では、最大トルク出力指定フラグFMXの状態を判定し、on状態ならばステップ244へ、off状態ならばステップ234へ処理を移す。ステップ234では、タイムカウンタt1の値を1増加する。本制御プログラムPG1は、例えば10ms周期等の固定周期毎に実行されるので、ここでカウントされる時間は、この1制御周期を1単位としたものとなる。
【0041】
次に、ステップ235では、ステップ205、210で判定されたスリップ状態の継続時間t1が、所定の時間T1以上に達したか否かを調べる。そして、タイムカウンタt1の値がT1以上に達していればステップ236へ、T1未満であればステップ220へ処理を移す。
この時間T1は、スリップ状態からの脱出が比較的容易であるか否かを判定するために設けられたパラメータであり、スリップ状態の継続時間t1がこの所定時間T1に達した時点で、前記のカップリング50の係合度rは最大値(=1)にすることが望ましいと判断される。
【0042】
ステップ236では、タイムカウンタt1を0クリアし、最大トルク出力指定フラグFMXをon状態に設定する。
ステップ240では、前記の牽引力計60から牽引車等による牽引力Sが入力され、退避領域S0に格納(保存)される。このS0の値(牽引力)は、後述の「3次判定ルーチンR3」(図6)で利用されるものである。
【0043】
その後、ステップ244では、タイムカウンタt2を用いて、最大トルク出力指定フラグFMXがon状態と成っている時間を前記の1制御周期を1単位としてカウントする。ステップ245では、このフラグFMXがon状態と成っている継続時間t2が、所定の時間T2以上に達したか否かを調べる。そして、タイムカウンタt2の値がT2以上に達していればステップ246へ、T2未満であればステップ220へ処理を移す。
【0044】
この時間T2は、前記のカップリング50のクラッチ機構の係合部(或いは、締結部)が磨耗等に更に尚十分耐え得るか否かを判定するために設けられたパラメータであり、スリップ状態の継続時間t2がこの所定時間T2に達した時点で、カップリング50はできるだけ解放状態(非係合状態)にすることが望ましいと判断される。
【0045】
以上の処理により、スリップ状態からの脱出を試行する試行時間τとその上限値Tは、以下の式(3)、式(4)、式(5)で表すことができる。
【数3】
τ=t1+t2 …(3)
【数4】
T=T1+T2 …(4)
【数5】
τ≦T …(5)
【0046】
ステップ246では、タイムカウンタt2を0クリアし、最大トルク出力指定フラグFMXをoff状態に設定する。
ステップ250では、後述(図5)の「2次判定ルーチンR2」を呼び出して実行する。本ルーチンR2は、車両がスリップ状態から脱出できたか否かを判定するものである。
ステップ255では、この「2次判定ルーチンR2」が設定したリターンコードRCの値を判定し、RC=1(脱出失敗)ならばステップ260へ、RC=0(脱出成功)ならばステップ220へ処理を移す。
【0047】
ステップ260では、前記の異常状態フラグFABをon状態に設定する。この設定により、前記の「締結解放手段」が起動され、係合度rがその下限値0に設定されて(図3)、クラッチ機構の耐久性が保持されることになる。
ステップ265では、本発明の「警報手段」を起動する。例えば、所定のメッセージ・コード等を指定して、メッセージ出力タスクに対して、POST処理(メッセージの出力を行う様指令する処理)を行う。ここでは、例えば、「牽引等による脱出支援、又は、進行方向転換」等による再試行を要請する所定の警報のメッセージ・コードを選択・指定すれば良い。
本ステップ265実行後は、前記のステップ220に処理を移す。
【0048】
また、上記のステップ260で、上記の異常状態フラグFABがon状態に設定された場合には、次回の制御周期(1制御周期後)において、前述の様に、ステップ270が実行される。
ステップ270では、後述(図6)の「3次判定ルーチンR3」を呼び出して実行する。本ルーチンR3は、例えば牽引車の導入等による脱出条件の改善があったか否かを判定するものである。
ステップ275では、この「3次判定ルーチンR3」が設定したリターンコードRCの値を判定し、RC=1(脱出条件不変)ならばステップ220へ、RC=0(脱出条件好転)ならばステップ280へ処理を移す。
【0049】
ステップ280では、前記の異常状態フラグFABをoff状態に設定し、最大トルク出力指定フラグFMXをon状態に設定する。この設定により、前記の「締結解放手段」が抑止され、係合度rがその最大値1に設定されて(図3)、スリップ状態からの脱出に対する再試行が許容されることになる。即ち、脱出条件が改善され、新たな再試行により脱出できる可能性が見込める場合には、カップリング50の係合度rを最大値(=1)にして、この再試行をサポートする。
本ステップ280実行後は、前記のステップ220に処理を移す。
【0050】
図3は、係合度rを算定する前記の算定ルーチンR0のフローチャートである。本算定ルーチンR0では、まず最初に、ステップ310により、異常状態フラグFABの値を判定し、FAB=onならばステップ315へ、そうでなければステップ320へ処理を移す。
ステップ315では、係合度rを0に設定する。
即ち、ステップ310、ステップ315等により本発明の1つの選択的な構成要素である締結解放手段が実現される。
【0051】
本実施例においては、この係合度rの値がその後も0に継続的に維持されるか、或いはr=0成る設定が一時的なものとなるかは、「3次判定ルーチンR3」の判定による。
例えば、この係合度rの値がその後も0に継続的に維持される場合には、クラッチ機構の係合部の磨耗又は損傷が、その後拡大する恐れが無くなる。
また、その後、係合度rの値がr>0(或いは最大値)になる場合が有れば、そのときには、スリップ状態からの脱出を再試行することも可能となる。
【0052】
ステップ320では、スロットル開度センサ10から、スロットル開度aを入力する。
ステップ330では、次の式(6)、式(7)、式(8)に例示される関数f(ni,a)により、係合度rの値を決定する。
【数6】
ΔN = |(n1+n2−n3−n4)/2| …(6)
【数7】
K=γa+β (γ,βは正の定数) …(7)
【数8】
r=f(ni,a)=MIN(1,KΔN) …(8)
【0053】
ステップ340では、スロットル開度aにより、運転者の加速操作意思が能動的な最小レベルを越えているか否かを判定する。本ステップで「a>a0」が確認されればステップ350へ、そうでなければ本ルーチンR0の呼出元へ処理を移す。ただし、ここで、a0は運転者の加速操作意思が能動的な最小レベルにあることを意味する閾値である。
【0054】
ステップ350では、フラグFMXの値を判定し、FMX=onならばステップ355へ、そうでなければステップ360へ処理を移す。
ステップ355では、係合度rを1(最大値)に設定する。
ステップ360では、タイムカウンタt1の値を判定し、t1>0ならばステップ370へ、そうでなければ本ルーチンR0の呼出元へ処理を移す。
【0055】
ステップ370では、係合度rの下限値r1を求める。この値は、スリップ制御モードにおいて、脱出の試行時間τが「0<τ<T1」成る時に、係合度rが取るべき値の下限を規定するものであり、スリップ状態の改善のために最低限必要と思われる値を設定すれば良い。この様な下限値r1は、例えば、次式(9)の様にして求めることができる。
【数9】
r1=F(t1)≡1/2+2t1/5T1 …(9)
例えば、この様な関数F(t1)を用いて係合度rの下限値を規定すれば、スリップの継続時間t1などに応じた係合度rの最低レベルを保証することが可能となる。
【0056】
ステップ380では、MAX関数を用いて、ステップ330で求めた係合度rとステップ370で求めた下限値r1とを比較して、小さくない方を選択し、その値をステップ225(図2)で出力すべき係合度rとして再設定する。
【0057】
図4は、スリップ状態を判定する前記の1次判定ルーチンR1のフローチャートである。本1次判定ルーチンR1では、まず最初に、ステップ410により、車輪速信号ni(i=1,2,3,4)を入力する。
ステップ420では、次式(10)に従って前輪の回転速度M1を求める。
【数10】
M1=(n1+n2)/2 …(10)
【0058】
ステップ430では、次式(11)に従って後輪の回転速度m1を求める。この後輪の回転速度m1は、車体速度に略比例した値を有する数値としても利用することができる。これは、従動輪(後輪)側は路面に対する滑りが少ないためである。
【数11】
m1=(n3+n4)/2 …(11)
ステップ440では、次式(12)に従って差動回転速度ΔNを求める。
【数12】
ΔN=|M1−m1| …(12)
【0059】
ステップ450では、ΔNの値を判定し、この値が所定値ΔN1以上であればステップ460へ、そうでなければステップ480へ処理を移す。
ステップ460では、m1の値を判定し、この値が所定値v1以下であればステップ470へ、そうでなければステップ480へ処理を移す。
【0060】
ステップ470では、リターンコードRCの値を1(スリップ状態)に設定する。また、ステップ480では、リターンコードRCの値を0(正常状態)に設定する。
【0061】
図5は、スリップ状態(脱出の成功/失敗)を判定する前記の2次判定ルーチンR2のフローチャートである。本2次判定ルーチンR2では、まず最初に、ステップ510により、車輪速信号ni(i=1,2,3,4)を入力する。
ステップ520では、車体速度に略比例する数値として、例えばMIN関数等を用いて、入力した車輪速信号niより最遅輪の回転速度m2を求める。
【0062】
ステップ530では、最遅輪の回転速度m2の値を判定し、この値が所定値v2以下であればステップ540へ、そうでなければステップ550へ処理を移す。ステップ540では、リターンコードRCの値を1(脱出失敗)に設定する。また、ステップ550では、リターンコードRCの値を0(脱出成功)に設定する。
例えば、以上の処理により、スリップ状態からの脱出の成功/失敗を判定することができる。
【0063】
例えば、以上の処理によれば、ステップ450で差動回転速度ΔNが所定値ΔN1以上であり、かつ、ステップ235でタイムカウンタt1の値が所定値T1以上であっても、ステップ530で最遅輪の回転速度m2が所定値v2よりも大きければ、車両はスリップ状態から脱出しつつ在る(脱出成功)と判定されることになる。
【0064】
ただし、上記のステップ510は必ずしも必要ではなく、省略しても良い。即ち、例えば、ステップ410で入力した測定値を所定の記憶領域に退避しておき、その値を再使用する様にしてもよい。ただし、ステップ510でni(i=1,2,3,4)を再入力すれば、最新データに基づいた判定をステップ530で実行することができるため、ステップ530における判定処理の信頼性が向上する。この様な手法は、特にスリップ状態が急速に改善されつつ在る場合に、効果を奏する。
【0065】
また、上記のステップ520とステップ530の間に、所定の閾値ΔN2と差動回転速度ΔNとの大小関係を判定する処理、即ち、図4のステップ420〜ステップ450と同様の判定処理を追加しても良い。
【0066】
図6は、好転事象の有無を判定する前記の3次判定ルーチンR3のフローチャートである。本3次判定ルーチンR3では、まず最初に、ステップ610により、牽引力計60から本車両を牽引する別の車両(牽引車)の牽引力Sを入力する。ステップ620では、次式(13)が成り立つか否かを判定し、成り立つ場合にはステップ630へ、そうでなければステップ650へ処理を移す。
【数13】
S≧S0+ΔS …(13)
ただし、ここで、ΔSは力を表す所定の定数で、例えば100kg重程度で良い。このΔSの値は、本動力分配制御装置100を搭載する車両の仕様等により、好適又は最適な値を選定すれば良い。
【0067】
ステップ630では、今回の牽引力Sを退避領域S0に格納(保存)する。
ステップ640では、リターンコードRCの値を1(脱出条件不変)に設定する。また、ステップ650では、リターンコードRCの値を0(脱出条件好転)に設定する。
【0068】
以上の処理により、今回の牽引力Sが前回の牽引力の値S0よりもΔS以上増強された場合にだけ、脱出条件が好転したと判定される。これにより、牽引車の導入や牽引車の更なる追加等が行われた場合等の、脱出条件好転時には、図2のステップ270、ステップ280の作用によりスリップ状態からの脱出に対する再試行が許容されるので、係合度rを再度最大値にして脱出を自ら再試行することが可能となる。
【0069】
例えば、以上の様な本第1実施例の構成によれば、回転速度m2を用いた上記の滑留状態判定手段(ステップ520、ステップ530)により、従来よりも正確に車両のスリップ状態(脱出の成否)を判定することができるので、車両がスリップ状態から殆ど脱出しつつある場合等には、カップリング装置の締結(クラッチの係合)が強く維持される。
尚、本実施例の様なFFベースの4輪駆動車の場合、最遅輪の回転速度m2の代わりに、後輪の回転速度m1を用いて、スリップ状態を判定することも可能である。
【0070】
以上の作用により、車両がスリップ状態から殆ど脱出しつつある場合等には、誤って全駆動可能輪による脱出の試行が中断されることが無くなり、脱出に成功する可能性が大きくなる。
【0071】
以上の様な構成により、スリップ状態から脱出できる可能性を最大限に引き出すことが可能になると同時に、上記の機械系の耐久性を確保することがより確実となる。
【0072】
(第2実施例:ステップ244の拡張変形例)
本第2実施例では、上記の第1実施例の図2のステップ244の拡張変形例を例示する。
図7は、ステップ244の拡張変形例を例示する代替ルーチンyyのフローチャートである。本代替ルーチンyyは、図2のステップ244を実行する代わりに実行するべき処理を纏めたものである。したがって、図2のステップ244を本ルーチンyyを呼び出すステップに変更すれば、本第2実施例を実施することができる。
【0073】
本代替ルーチンyyでは、まず最初に、ステップ710により、第1実施例のステップ244と同様に、タイムカウンタt2を更新する。
ステップ720では、T2修正フラグFT2の値を判定し、FT2=offならばステップ730へ、そうでなければ呼出元へ処理を移す。
【0074】
ステップ730では、次式(14)が成り立つか否かを判定し、成り立つ場合にはステップ740へ、そうでなければ呼出元へ処理を移す。
【数14】
t2≧p・T2 (0<p<1) …(14)
ただし、ここで、pは所定の定数であり、0.6〜0.9程度で良い。
【0075】
ステップ740では、T2修正フラグFT2の値をon状態に設定する。
ステップ750では、前述のステップ520(図5)と同様に、最遅輪の回転速度m2を求める。
ステップ760では、次式(15)が成り立つか否かを判定し、成り立つ場合にはステップ770へ、そうでなければ呼出元へ処理を移す。
【数15】
m2≧α・v2 (0<α<1) …(15)
ただし、ここで、v2は前述のステップ530(図5)の閾値v2と同じものである。また、αは所定の定数であり、0.5〜0.9程度で良い。
【0076】
ステップ770では、前回の制御周期で求めたm2の値と今回求めたm2の値との差分であるδm2の値(=(今回のm2の値)−(前回のm2の値))が、所定の閾値δm以上であるか否かを判定し、δm2≧δmならばステップ780へ、そうでなければ呼出元へ処理を移す。
ステップ780では、次式(16)に従って、今後脱出できるまでに必要と推定される時間幅ΔTの値を求める。
【数16】
ΔT=(v2−m2)/δm …(16)
【0077】
ステップ790では、周知のMAX関数を用いて、「t2+ΔT」とT2(初期暫定値)とで小さくない方を選択し、その値を改めてT2に格納する。このT2の更新(修正)処理を行うことにより、脱出の可能性が一定以上に見込める場合には、その状況に応じてT2の値が適正範囲内で増加され、本処理が実行された後は、図2のステップ245において、修正済みのT2の値が使用されることになる。
【0078】
尚、FT2の初期値は、FT2=offとする。また、本ルーチンyy使用時には、図2のステップ246において、「FT2=off,T2=初期暫定値」成る処理をステップ246の既存の処理「t2=0,FMX=off」と同時に毎回設定するものとする。
【0079】
例えば、上記の様なサブルーチンyy(試行時間調整手段)を用いれば、最初にT2の初期暫定値を若干小さめに設定しておくことにより、脱出できる可能性が全くない場合や、或いは殆ど見込めない場合には、早めに脱出の試行を断念することができ、逆に脱出できる可能性が大きい場合には「t2+ΔT>T2(=初期暫定値)」となるため、ステップ790の作用により全駆動可能輪による脱出の試行時間τの上限値T(=T1+T2)を適正な範囲内で延長することができる様になる。
【0080】
この様な構成によっても、カップリング装置や、或いは差動制御クラッチ等の係合部又は締結部を中心とする機械系の破損や過度の磨耗等を回避し、これらの機械系の耐久性を守りつつ、スリップ状態からの脱出の可能性をできるだけ大きく引き出すことができる様になる。
【0081】
(第3実施例:ステップ245の拡張変形例)
本第3実施例では、前記の第1実施例の図2のステップ245の拡張変形例を例示する。ただし、本第3実施例は上記の第2実施例と同時に組み合わせて実施するものではない。
【0082】
前記の第1実施例では、タイムカウンタt2の上限値T2を規定することにより、試行時間τが適正範囲を越えない様に制御したが、本第3実施例では、タイムカウンタt2の上限値T2を設定する代わりに次式(17)〜(19)を用いて、試行時間τが適正範囲を越えない様に制御する。
即ち、本第3実施例では、第1実施例の図2のステップ245を実行する代わりに、このタイミングで、前後輪間の差動回転速度の累積(時間積分)に関する次式(19)が成立するか否かを判定し、式(19)が成立した時点で、ステップ246以下の処理に移行する。
【0083】
【数17】
B1 = t1=1ΣT1{(ΔN)t1J …(17)
【数18】
B(t2) = k=1Σt2{(ΔN)k J …(18)
【数19】
∫{(ΔN)t J dt≒B1+B(t2)≧B0 …(19)
【0084】
ただし、ここで、式(19)の左辺の積分範囲は[0,τ]であり、指数Jは例えば、1、3/2、2、5/2、3等の適当な有理数(定数)である。定数B0や指数Jの値としては、カップリング50のクラッチ機構の材質や構造等に応じて好適値又は最適値を設定すれば良い。
また、式(17),(18)の各値は、図2の各タイムカウンタt1,t2の更新時に、それぞれ同じタイミング(ステップ234又はステップ244の直後)で各累積処理を実行することにより求めることができる。
【0085】
この様な試行時間調整手段を用いれば、係合部又は締結部を中心とする機械系の磨耗度、損傷度、或いは単位時間当たりの磨耗量等に応じて、全駆動可能輪による脱出の試行時間τの適正範囲(上限)を決定することができる。
【0086】
尚、上記の各実施例において、牽引力計60(図1)、及び制御プログラムPG1(図2)のステップ270〜280,ステップ240は、必ずしも設けなくとも良い。例えば、これらの構成要素を省略した動力分配制御装置を構成した場合にも、回転速度m1又はm2等から求められる車体速度を用いた上記の滑留状態判定手段(ステップ520、ステップ530)によれば、従来よりも正確に車両のスリップ状態(脱出の成否)を判定することができる。
したがって、この様な構成下においても、誤って全駆動可能輪による脱出の試行が中断されることが無くなり、脱出に成功する可能性が大きくなると言う本発明の作用・効果を得ることができる。
【0087】
また、r算定ルーチンR0のステップ360〜380(図3)は、必ずしも設けなくとも良い。関数f(ni,a)の好適な構成によっては、これらのステップ360〜380が無くとも、0<τ(=t1)<T1成る時(スリップの初期段階以降)に、係合度rをある程度の好適値に設定することが可能である。
【0088】
また、ステップ370のF(t1)は、各車輪の回転速度niやスロットル開度a等も独立変数(引数)として持つ関数であっても良い。また、例えば、ステップ370を無くして、ステップ380のMAX関数を「r=F(ni,t1,a)」なる適当な関数Fに代えても良い。
これらの手法により、0<τ(=t1)<T1成る時に、係合度rを好適値又は最適値に設定することが可能である。
【0089】
また、図4、図5のステップ460の閾値v1とステップ530の閾値v2とは、同じ値でも良いし、相異なる値でも良い。例えば、v2よりもv1の値を若干大きくしておくことで、「v1=v2」成る場合よりも、ステップ230以降のスリップ制御モードが実行される頻度が高くなる。これにより、ステップ370,ステップ380が実行される頻度が高くなるため、比較的軽度のスリップ状態の場合でも、比較的早めに(スリップの初期段階より)係合度rが上昇し、未然若しくは早めにスリップ状態からの脱出が自動的に計れる様になる。即ち、この様な設定によれば、スリップ状態に対する早期対策が可能となる。このことは、上記の様に例えば「r=F(ni,t1,a)」なる適当な関数F等を用いた場合にも同様である。
【0090】
また、1次判定ルーチンR1におけるステップ460(図4)は、省略しても良い。これは、類似或いは同等の判定処理を2次判定ルーチンR2におけるステップ530(図5)で行っているためである。
【0091】
また、前述の様に、図5のステップ520とステップ530の間に、差動回転速度ΔNと所定の閾値ΔN2との大小関係を判定する処理(図4のステップ420〜ステップ450と同様の判定処理)を追加する場合、ΔN1とΔN2の各閾値の大きさの設定基準は任意であるが、例えば、ΔN1>ΔN2となる様に設定すれば、スリップ状態に一定の改善傾向が見られる場合にだけ、図2のステップ255で脱出成功(RC=0)と判断することができる。
【0092】
即ち、図2の1次判定(ステップ205)や2次判定(ステップ250)で、スリップ状態や脱出の成否の判定をする際に、相異なる判定基準、或いは相異なる判定データを用いてそれらの判定処理を行うことにより、上記の様な作用・効果が得られることがある。
【0093】
尚、上記の各実施例におけるスロットル開度aは、アクセルペダルの踏み込み角度θや、アクセルペダルの押圧p等でも良い。これらの変数からも運転者の加速操作意思を推し量ることが可能である。
【0094】
また、牽引力計60(牽引力S)に限らず、ギヤボックス(トランスミッション)等からでも脱出条件の改善や好転を検出することが可能である。これにより運転者が、変速ギヤを後退ギヤをも含めた最適なギヤに変更して脱出を再試行することも可能となる。即ち、変速ギヤの識別信号を入力する手段の導入や図6の3次判定ルーチンR3の適当な変更等により、この様な再試行をも、ステップ270〜ステップ280の処理で許容される様に構成することが可能である。
従って、図1の牽引力計60は、車両の後方に付けても良い。或いは、もう一つの更なる別の牽引力計を車両の後方にも追加して設けても良い。
また、これらの牽引力計は、牽引力を正確に測るものでなくても良く、例えば、牽引スイッチ等の牽引センサでも良い。
【0095】
また、上記の各実施例では、車体速度に略比例する数値として、後輪の回転速度m1や、或いは、最遅輪の回転速度m2を用いたが、車体速度やこれに略比例する数値としては、公知或いは任意の手段により求めた数値(車体速度等)を使用することができる。
【0096】
これらの構成によっても、上記の各実施例と略同様に、本発明の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4輪駆動車に搭載された、本発明の実施例に係わる動力分配制御装置100の模式的なシステム構成図。
【図2】 係合度rを制御する制御プログラムPG1のフローチャート。
【図3】 係合度rを算定する算定ルーチンR0のフローチャート。
【図4】 スリップ状態を判定する1次判定ルーチンR1のフローチャート。
【図5】 スリップ状態(脱出の成功/失敗)を判定する2次判定ルーチンR2のフローチャート。
【図6】 好転事象の有無を判定する3次判定ルーチンR3のフローチャート。
【図7】 ステップ244の拡張変形例(第2実施例)を例示する代替ルーチンyyのフローチャート。
【符号の説明】
1,2 … 主駆動輪(前輪:駆動可能輪)
3,4 … 従動輪(後輪:駆動可能輪)
5〜8 … 回転数センサ
10 … スロットル開度センサ
20 … プロペラシャフト
24 … 後輪駆動シャフト
25 … フロント・ディファレンシャル・ギヤ(差動装置)
26 … リア・ディファレンシャル・ギヤ(差動装置)
27 … 前輪車軸
28 … 後輪車軸
30 … エンジン
40 … トランスアクスル
50 … カップリング(クラッチ機構)
60 … 牽引力計
100 … 動力分配制御装置
r … カップリング装置の締結係合係数(係合度)
τ … 脱出を試行する試行時間
T … τの上限値
S,S0 … 牽引力
a … スロットル開度
n1,n2,
n3,n4… 車輪速信号(∝車輪回転数)
ΔN … 差動回転数(前後差)
m1 … 前後輪で回転速度が小さい方の駆動可能輪の回転速度
m2 … 最も回転速度が小さい1つの駆動可能輪の回転速度
AB … 異常状態フラグ
MX … 最大トルク出力指定フラグ

Claims (11)

  1. 動力機関より供給される車両の動力を駆動可能輪に分配する際の制御変数である「動力配分比、締結係合係数、又はその関連値」rを、駆動可能輪の回転速度に基づいて制御する動力分配制御装置において、
    脱輪等のスリップ状態からの脱出を試行する試行時間τを、タイマ等の時間計測手段を用いて、制限又は制御するスリップ制御モードを有し、
    前記車両が前記スリップ制御モードにおいて前記スリップ状態にあるか否かを、前記車両の車体速度に基づいて判定する滑留状態判定手段と、
    前記試行時間τがその上限値T以上に成った時に、前記脱出の試行中(τ<T)とは相異なる判定基準を用いて、或いは、前記脱出の試行中(τ<T)とは相異なる判定データを用いて、前記脱出が成功したか否かを再判定する2次判定手段とを有することを特徴とする動力分配制御装置。
  2. 前記車体速度を、前輪と後輪とで回転速度が小さい方の駆動可能輪の回転速度m1、或いは、前記各駆動可能輪中で最も回転速度が小さい1つの駆動可能輪の回転速度m2に基づいて推定、又は測定する車体速度算定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の動力分配制御装置。
  3. 前記試行時間τの上限値Tを動的に調整する試行時間調整手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動力分配制御装置。
  4. 前記試行時間調整手段は、前記回転速度mj(j=1,2)、この回転速度の変化量δmj、又はこれらの関連値に基づいて、前記上限値Tを調整することを特徴とする請求項3に記載の動力分配制御装置。
  5. 前記試行時間調整手段は、差動回転速度ΔN、前記差動回転速度ΔNの変化量δΔN、又はこれらの関連値に基づいて、前記上限値Tを調整することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の動力分配制御装置。
  6. 前記試行時間τがその上限値T以上に成った時に、前記脱出が成功していなければ、「牽引等による脱出支援、又は、進行方向転換」等による再試行を要請する警報手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の動力分配制御装置。
  7. 前記試行時間τがその上限値T以上に成った時に、前記脱出が成功していなければ、一時的又は継続的に、前記制御変数rを0又は所定の固定値にすることにより、一部の駆動可能輪への動力分配を中止する締結解放手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の動力分配制御装置。
  8. 前記試行時間τがその上限値T以上に成った時に、前記車体速度を改めて再度検出し、この再度検出された車体速度に基づいて、前記脱出が成功したか否かを再判定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の動力分配制御装置。
  9. 前記車両の脱出条件好転時に、前記スリップ制御モードにおける前記制御変数rを好適値、最適値、又は最大値にすることにより、前記脱出の再試行を許容するか、或いは、前記脱出の試行を継続することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の動力分配制御装置。
  10. 牽引センサ、牽引スイッチ、又は牽引力計により、前記車両の被牽引状態を検知し、
    前記車両の被牽引時、又は、前記車両の被牽引条件好転時に、前記車両の脱出条件が好転したと判定することを特徴とする請求項9に記載の動力分配制御装置。
  11. オートマチック・トランスミッション、又はマニュアル・トランスミッションの変速ギヤの状態を検知し、
    前記変速ギヤの変更時に、前記車両の脱出条件が好転したと判定することを特徴とする請求項9乃至請求項10に記載の動力分配制御装置。
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