JP3952385B2 - 表面実装型アンテナ及びそれを搭載した通信機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックスや樹脂等の誘電体又は磁性体を基体とする小型アンテナに関し、特にインピーダンス整合機能を給電電極に付与した表面実装型アンテナ及びそれを搭載し通信機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
GHz帯を搬送波とするGPS(Global Positioning System)や無線LAN (Local Area Network)等には、表面実装型アンテナが使用されている。携帯端末機器の小型化は急激なスピードで進められており、表面実装型アンテナも同様に小形低背であると同時に放射効率が良くかつ指向性がなくて広帯域であることが要求されている。しかしながら従来の表面実装型アンテナは、小形低背化を進めると特性が劣化するので、十分な小型低背化を実現するには必ずしも満足でなかった。
【0003】
一般にこの種のアンテナの放射電極長は1/4波長に相当するように設定される。これは、1/4波長にするとアンテナの放射効率が最大になるためで、1回の充電により電池をできるだけ長時間使用し得ることが必要な携帯端末機器では特に重要である。誘電体の基体上に放射電極を配置すると、その実効長さは比誘電率εrの平方根に反比例することが知られており、これは波長短縮効果と呼ばれている。波長短縮効果を用いれば、アンテナの放射電極を短くでき、アンテナを小型低背化できる。
アンテナの伝搬周波数が低くなるほど、基体に比誘電率の大きな材料を用いることによりアンテナを小型化することができる。しかしながら、現実には高誘電率材料の使用には限度があり、実際には約4程度の比誘電率εrを有する誘電体基体が実用化されているに過ぎない。これは、比誘電率εrがこれより大きくなるとインピーダンス整合の問題が生じるためである。高比誘電率の表面実装型アンテナでは給電点における入力インピーダンスが大幅に変化し易いので、小型化とともにインピーダンス整合の問題を解決するのは困難であった。
【0004】
例えば、例えば図21に示すように、特開平9-219610号公報に記載の表面実装型アンテナは、ほぼ直方体状の基体90の上面91にほぼL字状又はほぼコ字状に屈曲し、一端が開放され他端が接地された放射電極92と、放射電極92を励振するためにギャップ96を介して基体90上面に形成された給電電極94とを有し、給電電極94の一端は給電線99に接続されている。図22に示すようにその等価回路は、放射電極92の放射抵抗R及びインダクタンスL、放射電極92と地導体との間で形成されるキャパシタンスC、及び放射電極92と給電電極94との間で形成されるキャパシタンスCi’からなる並列共振回路である。
このアンテナにおいては、送信回路(図示せず)からの高周波電力は、回路基板の給電線99を介して給電電極94に伝達され、放射電極92と地導体とで形成する共振回路に入力され、並列共振して放射電極92から電磁波として放射される。給電点98において電圧反射が生じないように、インピーダンス整合をとる必要がある。
【0005】
給電電極94の送信回路側からみた入力インピーダンス、すなわち給電点98における入力インピーダンスを、特性インピーダンス(50Ω)に一致させるインピーダンス整合手段として、種々のものが提案されている。例えば、図21に示すアンテナでは、放射電極92と給電電極94は容量結合されており、図22の等価回路に示す通り放射電極92のインダクタンスLをキャンセルするように、放射電極92と給電電極94間のキャパシタンスCi’が設定される。
しかしながら、図21に示す従来のアンテナでは、給電電極と放射電極とは直接接続せずにキャパシタンス結合だけしており、インピーダンス整合にインダクタンスは利用されていない。このためこのアンテナを小型低背化すると、インピーダンス整合が容易な高特性のアンテナとすることができない。またGPSや無線LAN等に利用するアンテナでは基本的に無指向性が必要であり、放射効率や利得の向上及び帯域幅の拡大も必要である。従来この点の配慮及び検討は十分でなかった。
【0006】
また、インピーダンスの不整合が生じた場合、新たな整合回路を送受信回路とアンテナとの間に挿入することがあるが、新たな整合回路の追加はアンテナ装置を大型化させるという問題がある。インピーダンス整合回路に関して、特開2000-286615号公報は、基体を積層構造とし、層間に整合回路を内蔵した小型アンテナを開示している。しかしながら、これではアンテナの構造が複雑化するだけでなく、製造コストの増加を招くと言う問題がある。
WO01/24316A1公報には、基体上面に第1の放射電極(給電側放射電極)と第2の放射電極(無給電側放射電極)を有し、2つの放射電極間が複共振状態にあり、さらに基体側面に整合回路用電極を有するアンテナを開示している。このアンテナでは、第1の放射電極(給電側放射電極)と整合電極とはインピーダンス整合位置で直接接続されているが、給電電極はキャパシタンスを有しておらず、もっぱらインダクタンスを操作してインピーダンス整合を図っている。このような整合回路を有する電極構成は従来の逆Fアンテナに相当し、元々インピーダンス整合が取り易いアンテナ構造である。
【0007】
特開平8-186431号及び特開平11-340726号公報では、基体上面に放射導体を形成し、基体底面全体に接地導体を形成した構造を有する単指向性アンテナにおけるインピーダンス整合技術を開示している。しかしながら、このようなアンテナはGPSや無線LAN等の無指向性を必要とする用途には不向きである。これは、例えば基体上面に設けられた給電導体を放射導体が取り囲む配置となっており、キャパシタンスの結合が強く大きくなる構成であることからも分かる。また小型化、放射効率、利得及び帯域幅も考慮されていないので、GPS等に使用するには問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のものでは、小型低背化とインピーダンス整合が容易で、且つアンテナ特性の高いものを得ることが出来ていなかった。また、GPSや無線LAN等に利用するアンテナでは基本的に無指向性が必要とされ、放射効率や利得の向上及び帯域幅の拡大も必要である。従来、この点での配慮や検討が十分ではなかった。本発明の目的は、比較的高い誘電率の材料を用いた場合でもインピーダンス整合が容易で小型化できるアンテナであって、特にGPSや無線LAN等に適しており、高利得、広帯域でかつ無指向性を有する表面実装型アンテナを提供することである。
本発明のもう一つの目的は、この表面実装型アンテナを搭載した携帯電話、ヘッドフォン、パソコン、ノートパソコン、デジタルカメラ等用の通信機器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、給電電極をキャパシタンスの他にインダクタンスを有する構造とすることによりインピーダンス整合機能を付与すると、比較的高い誘電率の材料を用いた場合でもインピーダンス整合が容易で無指向性を有する小型の表面実装型アンテナが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0010】
本発明の第一の表面実装型アンテナは、誘電体からなる基体と、前記基体の少なくとも上面に設けられ、他端が開放端となった放射電極と、前記放射電極の一端に直接接続するか容量結合するように前記基体に設けられた接地電極と、前記放射電極とギャップを介して面するように前記基体の少なくとも側面に設けられた給電電極とを具備する表面実装型アンテナであって、前記基体の比誘電率は8を超え50以下であり、前記給電電極は、一端に給電部を他端に接地部を有し、当該給電部と接地部との間を前記放射電極の開放端側とギャップを介して並ぶ並行部で接続した門型状となし、前記基体の底面における前記接地電極の面積率は30%以下であり、前記給電部と接地部の長さを調節してインダクタンスを調整すると共に、前記並行部のギャップ間隔及び/又は長さを調節してキャパシタンスを調整したことを特徴とする。
【0012】
本発明の第ニの表面実装型アンテナは、誘電体又は磁性体からなる基体と、前記基体の少なくとも上面に設けられた放射電極と、前記放射電極の一端に直接接続するか容量結合するように前記基体に設けられた接地電極と、前記放射電極とギャップを介して面するように前記基体の少なくとも側面に設けられた給電電極とを具備し、前記給電電極は、前記基体の対向する側面に設けられた2つのL字状電極と、前記基体の端面に設けられた1つのI字状電極とが連結してなり、一方のL字状電極は一端に給電部を有し、他方のL字状電極は一端に接地部を有し、前記I字状電極は並行部であり、もって前記給電電極は門型状であることを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記給電電極は、前記基体の対向する側面に設けられた第一及び第二の電極と、前記基体の端面に設けられた1つのI字状電極とが連結してなり、第一の電極は一端に給電部を有し、第二の電極は一端は接地部を有し、前記I字状電極は並行部であり、もって前記給電電極は門型状であり、さらに前記基体の端面又は端面及び対向する側面に形成された接地電極部が形成されているのが好ましい。
前記給電電極及び放射電極は、少なくとも一部にミアンダ状、コ字状、L字状、クランク軸状のいずれかの形状を有するのが好ましい。
前記給電電極は、前記放射電極の開放端側にギャップを介して前記基体の側面に設けるのが好ましい。このとき、前記放射電極の開放端付近に給電部を配置することが好ましい。
本発明の好ましい一実施例では、前記放射電極の少なくとも一部は、前記基体の一端から長手方向の他端に向かって連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延在する。本発明の好ましい別の実施例では、放射電極は前記基体の一端から長手方向の他端に向かって連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延在し、他端でほぼコ字状に屈曲している。
本発明の好ましい他の一実施例では、前記放射電極は、前記給電電極が形成された側面とは異なる側面を経由して上面に至るように形成されている。このとき、基体の上面に設けられた放射電極を基体の下面に投影したとき、重なり合う接地電極が無いことが好ましい。
本発明のアンテナは、放射電極及び/又は給電電極の角部に丸みを持たせるのが好ましい。
本発明のアンテナは、その基体に前記放射電極の他端とギャップを介して対向する第2の接地電極を設けても良い。
本発明のアンテナ用基体に比誘電率εrが6〜50の誘電体を使用することができる。
【0015】
本発明の通信機器は、上記表面実装型アンテナを回路基板の地導体の無い領域に搭載したアンテナ装置を具備し、前記放射電極が長手方向に延びる前記基体は、前記回路基板の地導体の縁部とギャップを介して並び、前記給電電極は前記地導体側に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい実施例では、表面実装型アンテナ上で回路基板の地導体と反対側に位置する接地電極部は回路基板の角部側に位置し、接地電極部と回路基板の導体とは線状導体により接続される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態と共に詳細に説明する。
まず、インピーダンス整合が困難になる理由について述べておく。基体に放射電極、接地電極及び給電電極等を配置すると、電極間にキャパシタンスが生成される。給電電極と放射電極との間のキャパシタンスの増大は入力インピーダンスを低下させ、インピーダンスの不整合を引き起こす。キャパシタンスは比誘電率εrに比例して増加するので、伝搬周波数を下げるために高誘電率材料を使用するとインピーダンスの不整合が顕著になる。そのため、従来から比誘電率εrが4程度の低い誘電体の基体が使用されている。本発明は、限定的ではないが、比誘電率εrが6以上、好ましくは20〜50又はそれ以上の誘電材の使用を可能とする。
【0017】
本発明は、高誘電率の材料を基体に使用することにより放射電極と給電電極との間のキャパシタンスが増加しても、給電電極を長くすることによりそのインダクタンスを増大させてキャパシタンスの増分をキャンセルし、インピーダンス整合を図るものである。従来のこの種のアンテナの給電電極は、等価回路上キャパシタンスのみを与える構成であったが、本発明によりキャパシタンスに加えインダクタンスが獲得できる形状とした。具体的には、給電電極を帯状に形成してインダクタンスを得やすくするとともに、給電電極の一部をギャップを介して放射電極に並ばせることにより、キャパシタンスの調整を可能とした。また帯状の給電電極の一端を給電部とし、他端を接地部とすることにより、図2に示すように並列成分L2と直列成分L1、Ciとを設け、インピーダンス整合の設計を容易にして、開発期間を短縮化できた。
【0018】
表面実装型アンテナには用途に応じて種々の形態があるので、インピーダンス整合条件は、それらの広汎な要件を満足する必要がある。上記したように、本発明の給電電極は並列成分L2と直列成分L1、Ciとの組合わせと見なせる。この給電電極をミアンダ状、コ字状、L字状、クランク軸状、又はこれらの組合せにすることにより、インピーダンス整合条件に限定されることなくインダクタンスとキャパシタンスを任意に設定できる。例えば、キャパシタンスとインダクタンスとをほぼ同じにしたり、どちらか一方を大としたりできる。インダクタンスは給電電極の長さに比例し、キャパシタンスは給電電極と放射電極との対向長さの関数である。従って、本発明の給電電極を用いてインピーダンス整合を行う場合、まず等価回路中のL1、L2、Ciのうちどれをどの程度増減すべきかを決める。次にL1、L2は給電電極の長さに比例し、Ciは給電電極と放射電極との対向長さの関数であることを利用すると、インピーダンス整合のために望ましいパラメータを満足する給電電極の形状を容易に設定することができる。
【0019】
本発明の一実施例によるアンテナ構成では、放射電極は基体の少なくとも上面に設けられ、その一端は接地されて他端は開放端になっている。このアンテナ構造は、放射電極の接地端の近傍に給電電極が接続された逆F型アンテナに近いように見えるが、本発明では放射電極と給電電極は離隔して容量結合している点で基本的に逆F型構造と相違する。なお、給電電極は基体の側面の一面に形成する方が電極を印刷形成する際に印刷ずれ等がなく製造容易で特性上も安定する。
本発明では放射電極と給電電極との間の距離や並行長さ及び/又は給電電極の脚長さや形状を適宜設定することにより、インピーダンス整合を容易にしている。これにより帯域幅BWを任意に選択できる。BW∝1/Q及びQ = R√(C/L)の関係があるので、容量結合度合いや電極長さに基づきC又はC/Lを制御すれば、帯域幅BWを広げることができる。例えば、放射電極の開放端付近に給電電極の給電部側を配置すれば、放射端はインダクターと見なされインダクタンス分(L)を大きくとることができる。同じ共振周波数での設計であればその分キャパシタンス分(C)を小さくしてQ値を高めることができる。よって、帯域幅を広げることができる。
【0020】
本発明の表面実装型アンテナは、優れた無指向性を有するために、底面に半田付け用の接地電極をほとんど有さないことを特徴とする。裏面全体に接地電極が形成されていると、上面の放射電極とのキャパシタンス結合により、アンテナの無指向性が失われる。具体的には、底面における接地電極の総面積/底面の全面積の比は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。また底面の。うち上面に設けられた放射電極の下の領域には実質的に接地電極がないのが好ましい
また、放射電極の開放端にギャップを介して第2の接地電極を対向させて配置することもできる。この場合、対向する接地電極との容量結合が強いため、近傍に給電電極を配置しても比較的影響が少ない。従って、大幅に伝搬周波数を調整する場合、放射電極と第2の接地電極との結合度を調整することにより周波数の主調整を行い、また放射電極と給電電極との結合度を調整することにより周波数の微調整を行う。
【0021】
本発明において基体の比誘電率εrは6〜50の範囲が好ましい。この比誘電率εrは、誘電体の温度係数、基体の加工精度等を考慮して決めたものであるが、材質、加工精度等が向上すれば、当然その上限値も引き上げられる。このような比誘電率εrを有する基体は、例えば22.22重量%のMgO、5.13重量%のCaCO3、48.14重量%のTiO2 及び24.51重量%のZnOの各原料からなる素体を焼成し、焼成基体として36.6モル%のMgO、3.4モル%のCaO、40モル%のTiO2 及び20モル%のZnOからなる誘電セラミック(比誘電率εr:21)により形成することができる。
高誘電体の基体を使用すると、放射電極の放射効率が低下する。放射効率の低下を抑制するために、自由空間への放射を高めるように放射電極及び接地電極を構成したり、高誘電体と低誘電体を複合化した基体を使用したりする。
【0022】
次に、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施例による表面実装型アンテナを示す斜視図である。このアンテナ1Aは、直方体状の基体1の上面に配設された放射電極2と、放射電極2の一端に接続された接地電極3と、側面に放射電極2と所定間隔G1を介して形成された給電電極4とを有する。放射電極2の他端は開放端20となっている。アンテナ1Aは逆Fアンテナと似た構成を有するが、給電電極4がギャップG1を介している点で逆Fアンテナと異なる。基体1の底面1aには半田付け用電極以外の電極は配置されておらず、またアンテナも回路基板上の地導体のない領域に実装されるので、いかなる方向にもほぼ均一な放射電界パターンを示す無指向性が得られる。
給電電極4は、帯状の電極を2ヵ所で屈曲した門型(コ字型)の形状を有し、放射電極2の縁部23にほぼ並行して対向する並行部41を有する。給電電極4は一端の給電部43に送受信回路(図示せず)の給電線に接続される給電点40を有するとともに、他端の接地部44に地導体に接続される接地端42を有する。給電電極4の給電部43及び接地部44は主としてインダクタンスを生成し、放射電極2と並行部41とは主としてキャパシタンスを生成する。従って、本発明による表面実装型アンテナは図2に示す等価回路を有する。
【0023】
インダクタンスL1、L2は給電電極の脚部43、44で形成され、キャパシタンスCiは放射電極2と給電電極4の並行部41との間で形成される。従って、脚部43、44や並行部41の長さ及び形状を適宜設定してL1、L2及びCiを変化させることにより、給電点40から放射電極2をみた入力インピーダンスZinを50 Ωに一致させることができる。このように放射電極2と給電電極4との間のキャパシタンスに加えて、給電電極4のインダクタンスを操作して入力インピーダンスの整合を独自に行えることは、本発明の重要な特徴である。なお以下の実施例でも同様であるが、給電点40と接地点42の位置は左右逆になっていても良い。また並行部41は放射電極2との間でギャップを介して並んでいれば良く、平行である必要はない。
【0024】
図3は第2の実施例による表面実装型アンテナを示す斜視図であり、図4はその放射電極の展開図であり、図5はこのアンテナの等価回路を示す図である。
本実施例の表面実装型アンテナ1BはGPS用であり、直方体状の基体1と、その上面1c及び隣接する側面1dに形成した放射電極2と、放射電極2の一端に接続された接地電極3と、基体1の長手方向側面1bから上面1cにかけて門型に形成された給電電極4とを有する。給電電極4は側面1b側面のみに設けても良い。門型の給電電極4の配置及び形状はインピーダンス整合と広帯域化のバランスをとって決める。本実施例の放射電極2は、基体1の一端から長手方向に連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延びる形状を有する。図4の展開図に示すように、放射電極2は、基体1の上面1cに設けられた放射電極部21と、隣接する側面1dに連続的に形成した放射電極部22とからなり、放射電極部22も若干先端に向かって幅を狭めている。このように基体1の上面1cだけでなく隣接する側面1dにも徐々に幅が狭まる放射電極2を形成することにより、多重共振を誘起し、小型化とともに、より無指向性にすることができる。
接地電極3と放射電極2とは非接触の容量結合により接続されていても良い。接地電極3は基体1の一端面1eの周りを取り囲む四面に設けても良い。底面1aに形成された接地電極3は半田付け用電極も兼ねており、回路基板の地導体に接続される。給電電極4も基体1の底面1aに接地電極部50を有し、接地電極部50は回路基板との半田付け用電極として作用する。
【0025】
本実施例では、給電電極4は、幅1 mmで等価長さが10 mmの門型(コ字状)である。図6(a) 〜(c) は給電電極4の種々の形状を示す。図6(a)はコ字状の給電電極4の例を示し、左右の脚部に生じるインダクタンスL1, L2はほぼ等しい。図6(b)及び(c)に示す形状はそれぞれ左右の脚部の長さが異なるもので、導体の長さによりインダクタンスを調整する例である。図6(b)は、右側の脚部をミアンダ状として、L1<L2としたものである。また図6(c)は、左側の脚部をクランク状に、右側の脚部をミアンダ状として、L1>L2としたものである。インダクタンスを用いて調整する場合、入力インピーダンスを増加させたい場合にはL1を増加させ、逆に入力インピーダンスを減少させたい場合にはL2を増加させる。
【0026】
また、給電電極4の中央並行部41は本発明の特徴の一つである。中央並行部41によりC及びCiを任意に設定することができる。すなわち、キャパシタンスCiはおおむね並行部41の長さWに比例し、並行部41と放射電極2との距離G1に反比例する。従って、Ciを増加させる場合、並行部41を長くするか、並行部41と放射電極2との距離G1を縮める。またCiを減少させる場合、その逆とする。このように並行部41の長さWや並行部41と放射電極2との距離G1を変えることにより、Ciを調整できる。
【0027】
本実施例は放射電極2にも特徴がある。放射電極2の基本形状は、高周波電流の流れ(基体1の長手方向)に対して垂直方向の電極長さ、すなわち幅を一定とせずに、開放端20側に接近するに従い徐々に減少させた形状としている。給電電源から給電電極4を介して供給された高周波電流は、放射電極2のインダクタンスと大地との間で形成されるキャパシタンスで決まる周波数で共振を起こし、空間に電磁エネルギとして放射される。この時、接地電極3と開放端20を節と腹とする電流分布モードになる。放射電極2の幅が一定ならば、この電流分布モードは1つしか存在しないが、放射電極2の幅が一定でないと、アンテナには図5に示すように複数のインダクタンスLr1, Lr2, Lr3, …とキャパシタンスCr1, Cr2, Cr3, …による共振回路が等価的に形成される。各共振回路の共振周波数はかなり接近しているため、共振が連続して複数存在するような状態になり、結果的に広帯域の共振特性が得られる。
【0028】
図7は本発明の第3の実施例による表面実装型アンテナを示す。上記実施例と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。上記実施例と同様に放射電極24は基体1の一端から長手方向他端に向かって連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延びるほぼ台形状を有し、給電電極4は基体1の側面1b及び上面1cに渡って設けられている。この実施例では給電電極4はU字状であるので、並行部41と放射電極24との間隔は一定ではなく、キャパシタンスは少なめである。このように放射電極24と給電電極4とは平行でなくても良く、一部が並んでいれば良い。これを略並行と呼んでいる。また、放射電極の段階的に狭まるとは、例えば階段状に段差を持って狭まる形状がある。
【0029】
図8は本発明の第4の実施例による表面実装型アンテナを示す。上記実施例と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。放射電極25はマイクロストリップ状であり、その一端は接地され、他端20は開放されている。上記実施例ではいずれも誘電体基体1の上面1cの全長にわたって放射電極2が設けられているが、放射電極の長さは所望周波数の1/4波長に選べば良く、必ずしも基体1の全長に設ける必要はない。本実施例では、基体1よりも放射電極25が短い。これにより、伝搬中心周波数を下げるための調整代をとることができる。また基体1の端部に寸法不良や欠け等の欠陥があっても、放射電極25の形成に問題がない。
【0030】
図9は本発明の第5の実施例による表面実装型アンテナを示す。上記実施例と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。放射電極26の開放端20にギャップG2を介して対向するように第2の接地電極5が形成されている。これにより、放射電極26の開放端20と地導体との間に大きく安定したキャパシタンスが形成され、周波数の大幅な調整ができる。微調整は給電電極4のインダクタンス及びキャパシタンスで行えば良い。
放射電極26の開放端20と第2の接地電極5とのギャップG2によりキャパシタンスがある分、放射電極26が短くても(インダクタンスが小さくても)、所望の周波数が得られる。そのため、このような構造の表面実装型アンテナは小型化に適している。
給電電極4は基体1の側面1bから上面1cにかけて形成しているが、条件に応じて側面1bのみに設けても良い。これは前記実施例に共通して言える。給電電極4を側面1bのみに設ける場合、スクリーン印刷等で形成する際に繋ぎ目の精度等に注意を払わなくて良く、工程数が減るので、製造面でも好ましい。
【0031】
図10〜12は本発明の第6〜8の実施例による表面実装型アンテナを示す。図の左側に斜視図、右側に展開図を示し、上記実施例と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。これらの実施例では、帯状の放射電極2は基体1の側面1dから上面1cまで形成されている。
図10に示す第6実施例では、基体1の上面1cの端部にはL字状電極部27が設けられており、隣接する側面1dにL字状電極28が連続的に形成されている。給電電極4はそれぞれ給電端及び接地端となる脚部43,44と中央並行部41を有する門型(コ字)状であり、基体1の側面1bのL字状電極部27の開放端側に並んで形成されている。
図11に示す第7実施例では、基体1の上面1cの端部にはL字状電極部27が設けられており、隣接する側面1dにL字状電極29が連続的に形成されている。
また図12に示す第8実施例では、基体1の上面1cの端部にはL字状電極部27が設けられており、隣接する側面1dにI字状電極30が連続的に形成されている。なお給電電極4の形状については、第7及び第8の実施例は第6実施例と実質的に同じである。
電極51はアンテナを回路基板に固定するための半田付け用電極であるが、図11及び12の例では回路基板との接合強度を上げるために半田付け用電極52が追加されている。電極51,52は回路基板の地導体に接続されない。図10〜12の例では、インダクタンスを大きくするために放射電極はL字状である。図11の例ではL字状放射電極部29と門型の給電電極4の屈曲部は丸められている。曲率Rを持たせるのは放射電極だけでも良い。基体1を低背化した場合、図12に示すように、半田付け用電極52を接続電極31を介して放射電極30に直接連続させると、アンテナ特性に大きな変化がなく安定する。
【0032】
図11に示すようにL字状電極部29の屈曲部に丸みRを持たせると、放射利得が向上する。ほぼL字状、コ字状、ミアンダ状又はクランク状の屈曲部分を有する従来の放射電極では、直線部分と屈曲部分とが不等幅であり、角張ったままで連結している。これはインピーダンスが不連続に変化することを意味し、その不連続性により進行波の一部が反射される。このため、入力した高周波の反射ロスが大きく、利得の低下が見られた。この問題を解消するために、屈曲部分に丸みを持たせると線路はほぼ等幅となり、インピーダンスの不連続性を回避できることが分かった。あるいは角部を切り落とした角面取りを施すことでも効果があることが分かった。屈曲部分での反射ロスの発生が抑制されると、アンテナの放射電極を流れる共振電流の伝送損失が低減され、利得が向上する。
【0033】
図13及び14は本発明の第9及び10の実施例による表面実装型アンテナを示す。上記実施例と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。これらの実施例では、放射電極33と給電電極4に特徴がある。放射電極33は主として基体1の上面1cに設けられており、図3に示す例と同様に接地電極3と接続する一端から長手方向の他端に向かって連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延びる放射電極部33aと、左端部分でコ字状又はUターン状に屈曲した放射電極部33bとからなる。このような放射電極33により、台形状の放射電極部33aで広帯域の共振特性が得られ、屈曲した放射電極部33bでインダクタンスを補充できる。電極51はアンテナを回路基板に固定するための半田付け用電極であって、必要最小限に設ける。
本実施例では放射電極33の外周と基体1の稜線との間に0.2〜0.5 mm程度の隙間が設けられている。この隙間により、電極印刷が容易になり、印刷ずれが生じ難くなる。また基体1の縁部の変形や欠け等による電極剥離を防止できる。印刷ずれや電極剥離を防ぐことにより、伝搬周波数のばらつきを抑制することができる。放射電極33を基体1の上面1cのみに設ける構成は、側面にも放射電極を設ける構成に比べて回路基板の地導体とのキャパシタンス結合が減るので、高利得が得られる。
【0034】
図13に示すように、側面1bに設けられた門型の給電電極4は放射電極部33bの開放端20と対向する。図14に示す給電電極4は、一端に給電端43を有し側面1bに設けられたL字状電極部41と、端面1fに設けられたI字状電極部42と、一端に接地端44を有し側面1dに設けられたL字状電極部45とからなる。門型の給電電極4は、2側面1b, 1dと端面1fに渡って設けられた電極部41, 42, 45からなるコ字状並行部41を有し、並行部41はコ字状放射電極33bに対向している。このような給電電極4により、放射電極33のコ字状部のほぼ全体に渡ってキャパシタンス結合することができるので、アンテナの小型化に有利である。また同一のキャパシタンス値に対しては、放射電極33との間隔を広くとれ、印刷ずれ等に起因するキャパシタンス値のばらつき、及び伝搬周波数のばらつきを低減できる。
図15は実施例11の表面実装型アンテナを示す。この例では給電電極4の構成が他の例のものと異なる。すなわち給電電極4は、基体1の側面1bに設けられた給電端43及び接地端44を有するF字状電極部41と、端面1f及び側面1dに形成された直線状電極部42, 45とからなる。この実施例の給電電極は、インピーダンス整合と同時に複共振を用いた広帯域化が可能である。
なお、上記した各実施例のアンテナ構成を組み合わせることも可能であり、本発明の範囲内で他の実施例を種々構成することが出来る。
【0035】
図16は実施例12の表面実装型アンテナを示す。帯状の放射電極133は、側面1dに長手方向に形成されたクランク軸状の電極部133dと、上面1cに形成されたL字状電極部133cとからなり、全体的にはコの字状である。このように放射電極133は基体1の上面1cから側面1dまで屈曲状に延在するので、全長を長くすることができる。その結果、同じ帯域幅ではアンテナ基体1のサイズを小さくすることができる。
給電電極104の給電部143及び接地部144の位置関係は上記実施例と逆であり、給電点140が基体のほぼ中央部に位置し、放射電極133の開放端の近傍に給電部143が位置するようにしている。また上面1cに形成されたL字状電極部133cを下面1aに投影したとき接地電極32と重ならないようにしている。これらにより、帯域幅の向上と無指向性が良好でGPS用アンテナとしてバランスのとれたものとなる。また放射電極133の開放端と給電電極104の並行部141とは接近している。幅広の並行部141とすることにより、インピーダンス整合が容易であり、利得も若干向上する。
本実施例では並行部141は幅が広くて長方形に近い形状を有するが、給電電極104の形状は、回路基板側の実装位置や導体パターンの配置及び放射電極構造等により種々変更することができる。また回路基板や放射電極133の仕様が変更されても、給電点140と接地点142との間で給電電極104の配置、形状、大きさ等を適宜設定することにより、インダクタンスとキャパシタンスを適当に調整してインピーダンス整合を容易に取ることができる。
【0036】
図17は、図1の表面実装型アンテナ(本発明)及び図21の表面実装型アンテナ(従来例)について、シミュレーションにより求めた入力インピーダンスZinと基体の比誘電率εrとの関係を示す。本発明では高誘電率の基体を使用することに伴うキャパシタンスの増加をインダクタンスにより適宜キャンセルでき、比誘電率εrが50程度までの高誘電体を使用することができる。従来の比誘電率εrが4程度の場合に比べると、5倍以上のεrを有する誘電材を使用でき、アンテナの小型化に大きな効果がある。なお高温域で安定な誘電材が開発されたり、加工技術が改善されると、入力インピーダンスZinの上限値は更に上昇する。また高誘電材と低誘電材の複合材が開発されたときにも、上限値が引き上げられると予想される。
【0037】
次に、上記した表面実装型アンテナを回路基板に実装する構成について説明する。
図18は図3に示すアンテナ1Bを回路基板6上に実装した状態を示す。なお図18ではアンテナ以外の部品は省略されている。アンテナ1Bは、回路基板6の地導体がない露出部65上で地導体62の縁部63と若干のギャップを介して長手方向に並ぶように配置されている。その際、給電電極4は地導体62側に位置し、放射電極2の開放端20は地導体62から遠い位置にある。門型の給電電極4の一端は給電線61に接続され、他端は地導体62に接続される。これにより、給電電源60から供給された高周波信号は、給電線61を経て給電電極4に供給され、給電端40から並行部41を介して放射電極2側に向かう電流と接地端42を介して地導体62に向かう電流とに分かれ、インピーダンスの整合を図るとともに放射電極2を励振させる。その結果、放射電極2の開放端20から電磁波が空間に放射される。
【0038】
従来はアンテナを地導体62の縁部に垂直に配置することが多かった。この場合デッドスペースが大きくなり、設計の自由度が小さいことは言うまでもない。ところが本発明では、アンテナを地導体62の縁部から僅かに離隔して、それに平行に配置することにより、アンテナにより実質的に占有される面積(デッドスペースを含む)は格段に減少し、実装レイアウトの自由度及び密度が上がるので、アンテナ装置の省スペース化を図ることができる。
給電電極4の給電部43及び接地部44の左右配置は基板6の給電線61と地導体62の配置に応じて変更しても良いが、少なくとも給電電極4を給電線61側に配置し、地導体62とアンテナ基体1の長手方向を並行にすることは、小さい占有面積で本発明の効果を得るために必要である。無指向性とするために、本発明のアンテナは地導体62の無い露出部65に実装するのが望ましい。
このようにアンテナを実装した回路基板6を図19に模式的に示す携帯電話やパソコン等の内部に搭載することにより、GPSや無線LAN機能を備えた通信機器として利用できる。
【0039】
図20は図16に示すアンテナを図18と異なる回路基板6上に実装した例を示す。図18と同一な部分には同一符号を付してある。アンテナ1Lは、回路基板6上の地導体62が形成されていない露出部65上で、地導体62の縁部63とアンテナ基体1が若干のギャップを介して並ぶように配置されている。
給電電極4は地導体62側の基体1の側面1bに形成されており、給電電極104の給電端140は給電線61に接続され、接地端142は地導体62に接続されている。放射電極133と接続する接地電極32のうち回路基板6の角部側に位置する部分は、回路基板6の地導体62と線状電極66により接続されている。線状電極66はインダクタンスの作用をし、アンテナ基体1の小型化を容易にする。また同じ基体1ではより低誘電率の材料を用いて帯域幅を拡大できる。金属領域51’, 53’はアンテナ基体1を回路基板6に半田により固定するために設けられている。
【0040】
図3に示す実施例2、図11に示す実施例7及び図16に示す実施例12について、アンテナの特性試験を行った。また放射電極2の一部を図23に示すようにミアンダ状にした以外図3に示すものと同じアンテナを比較例1として、アンテナの特性試験を行った。アンテナ基体は、比誘電率εrが21のセラミックス誘電体により形成し、その基体寸法は実施例2及び比較例1では長さ15 mm×幅3 mm×厚さ3 mmとし、実施例7、12では長さ10 mm×幅3 mm×厚さ2 mmとした。伝搬周波数の中心周波数を1.575 GHz±1 MHzとし、電圧定在波比2 (VSWR = 2)での帯域幅BW(MHz)、平均利得(dBi)及び指向性を測定した。VSWRの測定は、アンテナ実装基板の一端に設けた給電端子と、ネットワークアナライザの入力端子とを、同軸ケーブル(特性インピーダンス50Ω)を介して接続し、前記給電端子においてネットワークアナライザ側からみた、アンテナの散乱パラメータ(Scattering Parameter)を測定することにより、この値に基いてVSWRを算出した。また、利得の測定に際しては、電波無響暗室内で被試験アンテナ(送信側)の給電端子に信号発生器を接続し、前記アンテナから放射された電力を受信用基準アンテナで受信することにより測定した。被試験アンテナからくる受信電力をPaとし、既知の利得Grを有する送信用基準アンテナにより測定した受信電力をPrとすると、被試験アンテナの利得Gaは、Ga=Gr×Pa/Prで表される。指向性については、被試験アンテナ素子を回転テーブルに搭載し、被試験アンテナを回転させながら上記の利得測定を行うことにより、図18に示すように、X、YおよびZ軸を中心として回転させたときの回転角度に対する利得をそれぞれ測定した。また図19のように携帯電話等の通信機器に搭載することを想定して、特性の金属依存性を調べた。測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
以上の結果より、実施例2、7、12のアンテナは、比較的高い比誘電率の基体を有しながら、インピーダンス整合が容易に取れることが分かった。また実施例2、7、12のアンテナは比較例1のものに比べ実施例2、7が帯域幅はやや狭いものの、高い放射利得が得られ、金属接近による利得低下も少なく、安定したアンテナ特性が得られた。実施例7では基体寸法を約2/3と小さくしたにもかかわらず、帯域幅及び利得ともに良好であった。無指向性については、三者とも3軸共に利得がほぼ円に近く指向性のない無指向特性が得られた。以上より実施例2、7、12、特に実施例12のアンテナについて帯域幅、放射利得、指向性及び金属依存性の全てにおいてバランスのとれた良好な結果が得られた。尚、比較例1の放射利得が低い原因は、インピーダンス整合が容易ではなく、整合用のインダクタンスを稼ぐために放射電極をミアンダ状にしたことであると考える。
また、以上により図10〜図16に示したような放射電極を採用することにより、基体の大きさを、長さ10mm×幅3mm×厚さ2mm程度あるいはそれ以下の小型化ができることが分かった。
【0043】
本発明の他の実施例としては、基体は直方体に限るものでなく適宜の形状がある。材料は磁性体、樹脂体、またこれらの積層基板としても良い。また、帯域幅を広げたり周波数調整のために放射電極側辺の開放端に形成した並行部23aあるいは基体をトリミングすることが有効である。
放射電極は、台形状、階段状、曲線状、ミアンダ状、一部ミアンダ状、クランク状等種々の形状が考えられるが、長手方向に連続的および/または段階的に実質的に幅を狭めながら延びる形状を有していることが望ましい。また、放射電極の一端側は必ずしも連続的に接地電極を形成する必要はなく、非連続とした容量結合となし最終的に接地できていれば良い。また、第1あるいは第2の接地電極は、最小限その端面が覆われ接地面に連接して接地できていれば良いが、基体端面からの電界の放射を抑制する効果を得るためには基体端部において端面とその廻りの四面を覆うように形成しておくと良い。
本発明のアンテナは回路基板の地導体がない領域に実装すれば最大の特性が期待できるが、設計によってはある程度特性を犠牲にしてでも地導体上に実装する場合もある。上記各実施例のアンテナ構成は組み合わせても良く、本発明の範囲内で種々の変更を加えることもできる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来問題となっていた高誘電体を基体に使用した場合のインピーダンスの整合が容易となり、小型軽量であり高利得、広帯域で且つ無指向性をもった表面実装型アンテナを得ることができる。また、GPSや無線LAN等に用いた場合にアンテナの特性を充分引き出した通信機器となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図である。
【図2】第1実施例のアンテナの等価回路図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図である。
【図4】図3の放射電極の展開図である。
【図5】第2実施例のアンテナの等価回路図である。
【図6】本発明における給電電極の他の実施例である。
【図7】本発明の第3の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図11】本発明の第7の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図12】本発明の第8の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図13】本発明の第9の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図14】本発明の第10の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図15】本発明の第11の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図16】本発明の第12の実施例を示す表面実装型アンテナの斜視図と展開図である。
【図17】比誘電率と入力インピーダンスの関係である。
【図18】本発明のアンテナを回路基板に実装した状態を示す実装図である。
【図19】本発明のアンテナを通信機器に搭載する概念図である。
【図20】本発明の他のアンテナを他の回路基板に実装した状態を示す実装図である。
【図21】従来の表面実装型アンテナの一例を示す斜視図である。
【図22】従来の上記アンテナの等価回路図である。
【図23】比較例1の表面実装型アンテナの放射電極を示す展開図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L:表面実装型アンテナ
1、90:誘電体基体
2、21、24、25、26、27、33、92:放射電極
22、28、29、30:側面放射電極、31:接続電極
20、97:放射電極の開放端
23:放射電極の側辺
23a:放射電極側辺に形成した並行部
32、51、52、53:固定用電極
38,39:延長電極
3、32、93:接地電極
4、94:給電電極、95:給電端子電極
40、98:給電点
41、141:給電電極の並行部分(並行部)
42:接地点
43、143:給電端となる脚部(給電部)
44、144:接地端となる脚部(接地部)
5:第2の接地電極
6:回路基板、10:基体の稜線
60:給電電源、61、99:給電線、62:接地導体
63:接地導体の境界線、64:接地導体の延長部、65:回路基板の露出部
66:線状導体
Claims (13)
- 誘電体からなる基体と、前記基体の少なくとも上面に設けられ、他端が開放端となった放射電極と、前記放射電極の一端に直接接続するか容量結合するように前記基体に設けられた接地電極と、前記放射電極とギャップを介して面するように前記基体の少なくとも側面に設けられた給電電極とを具備する表面実装型アンテナであって、前記基体の比誘電率は8を超え50以下であり、前記給電電極は、一端に給電部を他端に接地部を有し、当該給電部と接地部との間を前記放射電極の開放端側とギャップを介して並ぶ並行部で接続した門型状となし、前記基体の底面における前記接地電極の面積率は30%以下であり、前記給電部と接地部の長さを調節してインダクタンスを調整すると共に、前記並行部のギャップ間隔及び/又は長さを調節してキャパシタンスを調整したことを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 誘電体又は磁性体からなる基体と、前記基体の少なくとも上面に設けられた放射電極と、前記放射電極の一端に直接接続するか容量結合するように前記基体に設けられた接地電極と、前記放射電極とギャップを介して面するように前記基体の少なくとも側面に設けられた給電電極とを具備する表面実装型アンテナであって、前記給電電極は、前記基体の対向する側面に設けられた2つのL字状電極と、前記基体の端面に設けられた1つのI字状電極とが連結してなり、一方のL字状電極は一端に給電部を有し、他方のL字状電極は一端に接地部を有し、前記I字状電極は並行部であり、もって前記給電電極は門型状であることを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1または2に記載の表面実装型アンテナにおいて、前記給電電極は、前記基体の対向する側面に設けられた第一及び第二の電極と、前記基体の端面に設けられた1つのI字状電極とが連結してなり、第一の電極は一端に給電部を有し、第二の電極は一端は接地部を有し、前記I字状電極は並行部であり、もって前記給電電極は門型状であり、さらに前記基体の端面又は端面及び対向する側面に形成された接地電極部を有することを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記給電電極は、少なくとも一部にミアンダ状、コ字状、L字状、クランク軸状のいずれかの形状を有することを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記給電電極は、前記放射電極の開放端付近に給電部を配置したことを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極の少なくとも一部は、前記基体の一端から長手方向の他端に向かって連続的及び/又は段階的に実質的に幅を狭めながら延在することを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極は、前記給電電極が形成された側面とは異なる側面を経由して上面に至ることを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記基体の上面に設けられた放射電極の少なくとも開放端の下の領域には実質的に接地電極がないことを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極は、ミアンダ状、コ字状、L字状又はクランク軸状の屈曲部分を有することを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極及び/又は給電電極の角部に丸みを持たせたことを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極の他端とギャップを介して対向する第2の接地電極が設けられていることを特徴とする表面実装型アンテナ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載する表面実装型アンテナを回路基板の地導体の無い領域に搭載したアンテナ装置を具備する通信機器であって、前記放射電極が長手方向に延びる前記基体は、前記回路基板の地導体の縁部とギャップを介して並び、前記給電電極は前記地導体側に配置されていることを特徴とする通信機器。
- 請求項12に記載の通信機器において、前記表面実装型アンテナ上で前記回路基板の地導体と反対側に位置する前記接地電極は前記回路基板の角部側に配置されており、前記接地電極と前記回路基板の導体とは線状導体により接続されていることを特徴とする通信機器。
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