JP3951965B2 - 空調制御装置および空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動制御方式の空調装置における目標吹出温度および風量の算出を行う空調制御装置に関するもので、特に車両用空調装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空調装置の目標吹出温度および目標風量を、それぞれ別に設けられたニューラルネットワークにより、互いに独立に演算して決定するものが提案されている。この従来技術で用いられるニューラルネットワークは、周知のように、空調装置の種々の環境因子からなる使用条件について所望の特性が得られるよう設計段階で予め学習してパラメータ等を決定しておくものである。しかし、予め学習される使用条件は膨大な数であり、限られた設計期間ではすべての使用条件を網羅することが困難な場合がある。したがって、設計終了後に補正を行う必要が生ずる。
【0003】
さらに、空調装置の使用者によっては、設計された目標吹出温度および目標風量が自分の望みの特性となっておらず、目標吹出温度を変更したいという要求が生ずる。この場合にも、空調装置の製作後に個別に補正が必要になる。
【0004】
ところで、ニューラルネットワークは、設計終了後、量産のために書き替え不能なマスクROMに書き込まれる。マスクROMに書き込まれたニューラルネットワークの出力を、空調装置の使用条件によりよく適応させるために、たとえば、目標吹出温度を補正しようとすると、ニューラルネットワークの出力である目標吹出温度に所望の補正値を加減算することにより行うことができる。しかし、上記従来技術では、目標風量は目標吹出温度とは独立に決められるため、目標吹出温度の補正が目標風量の演算に影響を及ぼすことがなく、したがって目標風量と目標吹出温度との関係が補正前と補正後とでは、異なったものになってしまう。すなわち、空調装置として望ましい特性が得られなくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記点に鑑みて、ニューラルネットワークによって演算される空調装置の目標吹出温度および目標風量に対して、目標吹出温度の補正を行っても補正前後で目標吹出温度と目標風量との関係を維持できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、室内に目標吹出温度および目標風量に基づき形成される空調風を吹き出す空調装置(19)を制御する空調制御装置であって、使用者により設定される室内の設定温度、内気温センサにより検出される室内の温度、外気温センサにより検出される室外の温度および日射量センサにより検出される室内への日射量の各検出値を入力する環境因子入力部(31)と、所定の値として定められた温度補正値が記憶された温度補正値記憶手段(38)と、環境因子入力部からの各検出値を入力し、予め学習された第1ニューラルネットワーク(100、200)により吹出温度を演算して出力する吹出温度演算手段(32)と、環境因子入力部からの各検出値と温度補正値とを入力し、予め学習された第2ニューラルネットワーク(300)により目標風量を演算して出力する風量演算手段(33)と、吹出温度演算手段からの吹出温度と温度補正値とを加算して目標吹出温度を出力する補正手段(32a)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、吹出温度演算手段において第1ニューラルネットワークにより設定温度、内気温度、外気温度および日射量の各検出値を入力値として、吹出温度が出力され、風量演算手段において第2ニューラルネットワークにより設定温度、内気温度、外気温度および日射量の各検出値と温度補正値記憶手段からの温度補正値を入力値として、目標風量が出力される。そして、吹出温度演算手段で演算された吹出温度に温度補正値を加算することにより補正された目標吹出温度を得る。したがって、温度補正値を第2ニューラルネットワークの入力としない場合には、目標吹出温度と目標風量とがそれぞれ独立に決められ、互いに関係付けることができなかったが、本発明では温度補正値により補正された目標吹出温度と温度補正値に基づきニューラルネットワークで算出された目標風量とを、所定の関係に保つことが可能となる。また、請求項1に記載の発明は、第1ニューラルネットワークおよび第2ニューラルネットワークはともにマスクROM(37)内に形成されているとともに、補正値記憶手段は書き換え可能なROM内に形成されていることを特徴とする。これにより、第1および第2ニューラルネットワークを設計後、書き換えできないマスクROMに焼付けた後でも、書き換え可能なROMに温度補正値を記憶することにより、ニューラルネットワークの構成を変更することなく簡便に、温度補正値による目標吹出温度および目標風量の補正を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、温度補正値が0であるときの第1ニューラルネットワークの出力に対する第2ニューラルネットワークの出力の特性と、温度補正値が非零の有限値であるときの目標吹出温度に対する目標風量の特性とが同じであることを特徴とする。
【0009】
これにより、温度補正値を種々に変更しても、目標吹出温度に対する目標風量の関係を常に一定に保つことができる。
【0012】
本発明の空調制御装置を用いた空調装置として、請求項に記載の発明とすることができる。すなわち、空気と熱交換を行う熱交換器(4、5)を有する空気通路(2)と、この空気通路の下流側に設けられ、室内の異なる方向へ空気を吹き出す複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)と、この複数の吹出口の開閉を切り替える吹出口切替手段(11、12、13)と、吹出口から室内へ吹き出す空気の温度を調節する温度調節手段(6)と、室内の温度を設定するための温度設定手段(21)と、室内の温度および室外の温度を検出する温度情報検出手段(22、23)と、所定の値として定められた温度補正値が記憶されている温度補正値記憶手段(38)と、温度設定手段による設定温度、および温度情報検出手段により検出された温度情報を入力として、予め学習された第1ニューラルネットワーク(100、200)により吹出温度を算出する吹出温度演算手段と、温度設定手段による設定温度、温度情報検出手段により検出された温度情報、および温度補正値を入力として、予め学習された第2ニューラルネットワーク(300)により目標風量を算出する風量演算手段(33)と、吹出温度演算手段からの吹出温度と温度補正値とを加算して目標吹出温度を算出する補正手段(32a)と、目標吹出温度と温度情報検出手段により検出された温度情報を入力として吹出口モード信号を算出する吹出口モード算出部とを備え、吹出口からの吹出温度が目標吹出温度となるように温度調節手段を調節するとともに、吹出口モード信号により吹出口切替手段を駆動制御するように構成することができる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の空調制御装置30を用いた実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による車両用空調装置の全体システム構成の概略を示す図である。車両用空調装置は、空調用機器19と空調制御装置30および環境因子検出手段20とを備えている。
【0015】
空調用機器19の空気流れの最上流側に内外気切替ドア1が配置されており、この内外気切替ドア1により外気と内気とがエアダクト2内に切替導入される。エアダクト2は空調装置の空気通路を構成するもので、その内部には、上流側から下流側にかけて送風機3、エバポレータ4およびヒータコア5が配設されている。エバポレータ4は冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸熱して空気を冷却する冷房用熱交換器である。ヒータコア5は車両エンジン(図示せず)からの温水(エンジン冷却水)を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器である。
【0016】
ヒータコア5の上流側部位には温度調節手段としてエアミックスドア6が設けられており、ヒータコア5を通過する温風の風量とヒータコア5のバイパス通路7を流れる冷風の風量との割合をエアミックスドア6により調整する。この冷温風の風量割合の調整により車室内への吹出空気温度を調節することができる。エアダクト2の最下流側には、空調風を車両乗員の足元に向けて吹き出すためのフット吹出口8a、8b、空調風を車両乗員の上半身に向けて吹き出すためのセンタ・サイドの各フェイス吹出口9a〜9d、および空調風をフロントガラスに向けて吹き出すためのデフロスタ吹出口10が設けられている。
【0017】
また、エアダクト2の最下流側には、上記各吹出口8a、8b、9a〜9dおよび10を選択的に開閉するための吹出口切替ドア(吹出口切替手段)11〜13が設けられている。これらの吹出口切替ドア11〜13の開閉状態を切り替えることによって、フットモード、バイレベルモード、フェイスモード、デフモードなどの所定の吹出口モードを設定し得るようになっている。
【0018】
次に、上記した空調用機器19を制御するための制御系を説明すると、内外気切替ドア1、エアミックスドア6、および吹出口切替ドア11〜13は、それぞれ、サーボモータ14〜18により駆動され、これらのサーボモータ14〜18の作動は空調制御装置(以下、ECUという)30の出力により制御される。また、送風機3のモータ3aも、ECU30の出力によりモータ制御回路(モータ印加電圧制御回路)3bを介して制御される。
【0019】
送風機3の送風量は、モータ制御回路3bによりモータ印加電圧を調節してモータ回転数を変化することにより調節される。ECU30は周知のマイクロコンピュータとその周辺回路との組み合わせからなるものである。ECU30の入力として、環境因子検出手段20としての温度設定器(温度設定手段)21が設けられている。この温度設定器21は空調操作パネルに設けられ、車両の乗員により手動操作される設定温度Tsetを検出しECU30に出力する。
【0020】
また、環境因子検出手段20として、車室内の内気温Trを検出する内気センサ22と車室外の外気温Tamを検出する外気センサ23が設けられ、さらに、車室内への日射量Tsを検出する日射センサ24、エバポレータ4の冷却温度(吹出空気温度)Teを検出するエバポレータ温度センサ25、およびヒータコア5に流入する温水の温度Twを検出する水温センサ26が設けられている。
【0021】
図2は、ECU30内のマイクロコンピュータにより実行される制御機能を機能ブロックで表した図である。ECU30は、環境因子である各センサ類からの検出値(Tset、Tr、Tam、Ts、Te、Tw)を入力する環境因子入力部31、吹出温度TAOを算出する吹出温度演算手段としての第1ニューラルネットワーク(以下、TAO−NNという)32、吹出温度TAOと温度補正値ΔTとを加算する加算器32a、風量を決定する送風機電圧レベルTBLOを算出する風量演算手段としての第2ニューラルネットワーク(以下、TLBO−NNという)33、エアミックスドア開度SWを算出するエアミックスドア開度算出部34、吹出口モード信号TMODEを算出する吹出口モード算出部(以下、TMODE−NNという)35、空調用機器19の駆動制御量を出力する駆動制御部36、および、温度補正値ΔTを記憶する補正手段としての温度補正値記憶部38とを備えている。
【0022】
このECU30の各機能ブロックは、書き換え可能なEEPROM(電気的に消去および書き込み可能なROM)上に形成された温度補正値記憶部38以外は、すべて書き換え不能のマスクROM37上に形成されている。すなわち、ECU30は、量産のためにマスクROM37に焼き付けられて書き換え不能状態にされるとともに、温度補正値ΔTは所望の値を記憶、または書き換えできるようEEPROMに記憶される。
【0023】
TAO−NN32は、図3に示す仮目標温度算出部321、日射量補正量算出部322および吹出温度算出部323により構成される。仮目標温度算出部321は、ニューラルネットワーク100により構成されるもので、環境因子入力部31からの温度設定信号Tset、内気温センサ信号Tr、および外気温センサ信号Tamを入力とし、ニューラルネットワーク100により仮の目標吹出温度TAOBを算出する。
【0024】
また、日射補正量TAOSを算出する日射補正量算出部322は、ニューラルネットワーク200により構成されるもので、環境因子入力部31からの温度設定信号Tset、内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、および日射センサ信号Tsを入力とし、ニューラルネットワーク200により日射補正量TAOSを算出する。そして、吹出温度算出部323は、仮目標温度算出部321および日射補正量算出部322の出力に基づいて、数式1により吹出温度TAOを算出するものである。
【0025】
【数1】
TAO=TAOB−TAOS
なお、この吹出温度TAOは、周知のように、各パラメータTset、Tr、Tam、Tsとの間に数式2で示される関係がある。
【0026】
【数2】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
但し、Kset、Kr、Kam、Ksはそれぞれ温度設定ゲイン、内気温ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲインであり、Cは補正定数である。これらのゲインは非線形であるので、上述のように、ニューラルネットワーク100、200および吹出温度算出部323により、補正前の目標吹出温度としての吹出温度TAOを算出するのである。
【0027】
加算器32aは、TAO−NN32の出力である吹出温度TAOと、温度補正値記憶部38に記憶されている温度補正値ΔTとを加算することにより補正演算を行い、最終的な目標吹出温度TAO*を出力する。
【0028】
【数3】
TAO*=TAO+ΔT
なお、補正前はΔT=0とみなすことができ、この場合はTAO*=TAOである。
【0029】
一方、TBLO−NN33は、図4に示すニューラルネットワーク300により構成されるもので、温度設定信号Tset、内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、日射センサ信号Ts、および温度補正値ΔTを入力とし、ニューラルネットワーク300により目標風量Vに比例する送風機電圧レベルTBLOを算出するものである。
【0030】
ここで決定される目標風量Vは、内気温センサ信号Trあるいは目標吹出温度TAOに対して、高温側および低温側で風量を増大させる、いわゆるバスタブ特性として知られる特性を示すものである。このバスタブ特性は、大きな冷暖房能力が必要なときには大風量で送風し、室内温が低下または上昇して設定温度に近づき能力が要らなくなってきたら、送風量を少なくするように設定するものであり、車両の乗員にとっては快適な空調空間を得る上で必要な特性である。
【0031】
なお、このTBLO−NN33のニューラルネットワーク300では、温度補正値ΔT=0、すなわち、補正前の出力値は、従来より用いられている目標風量に相当する。そして、温度補正値ΔTが非零(ΔT≠0)の種々の有限値を教師データとして、後述の学習により所望の目標風量が得られるよう、ニューラルネットワーク300の各結合係数が設定される。
【0032】
さらに、エアミックスドア開度算出部34は、加算器32aの出力TAO*、エバポレータ4の冷却温度Te、ヒータコア5の温水温度Twに基づいて、数式4により、エアミックスドア開度SWを算出するものである。
【0033】
【数4】
SW(%)=(TAO*−Te)/(Tw−Te)*100
また、吹出口モード信号TMODEを算出する吹出口モード算出部35は、上記ニューラルネットワーク100〜300と同様のニューラルネットワーク(図示せず)により構成されるもので、目標温度算出部29からの目標吹出温度TAOと、車室内乗員の温熱感に影響を及ぼす環境因子の検出情報としての、日射センサ信号Ts、外気温センサ信号Tam、および水温センサ信号Twを入力とし、ニューラルネットワークにより吹出口モード信号TMODEを算出するものである。
【0034】
駆動制御部36は、公知の構成により空調用機器19の各部の制御量を決定するものであり、エアミックスドア開度SWに基づきエアミックスドア6を駆動するサーボモータ15の駆動量を算出する。また、駆動制御部36は、吹出口モード信号TMODEに基づきフェイスモード、バイレベルモード、フットモードの各モードを決定するとともに、各モードにおいて、送風機電圧レベルTBLOに基づき送風機3のモータ制御回路3bの指令値を算出する。この駆動制御部36による指令値により空調用機器19が駆動され、所望の空調風が各吹出口より車室内に吹き出される。
【0035】
次に、ニューラルネットワークの概要について説明すると、ニューラルネットワーク100〜300は基本的には同一構成であるので、図3のニューラルネットワーク100、200を例にとって、簡単に説明する。ニューラルネットワークは、ある入力信号(図3の例では、Tset、Tr、Tam、および、Tset、Tr、Tam、Ts)を与えたときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師データ)になるように、ニューラルネットワーク100および200内にそれぞれ設けられた入力層101、第1、第2の中間層102、103、出力層104内部の各ニューロン105間の結合係数(シナプス荷重)106を修正するという誤差逆伝播(バックプロパゲーション)アルゴリズムによる学習機能(逆誤差伝播学習機能)を備えた階層構造のネットワークである。
【0036】
そして、教師データを変更した場合は、再び、ある入力信号に対する出力が変更後の教師データとなるように、繰り返し「学習」させることにより、結合係数(シナプス荷重)106を修正する。つまり、多量のデータ(教師データ)からその相関関数(結合係数106)を自動生成する特徴を持っている。教師データは、実験等により求めた所望の値(入力信号に対する所望の出力値)を設定する。
【0037】
なお、入出力値はセンサ信号等をそれぞれ0〜1に規格化(正規化)されたものであり、実際に出力された値は、0〜1から逆変換する作業が必要である。例えば、内気センサ22により検出される内気温Trの実際の検出範囲は、通常、0°C〜50°Cであり、この検出値を規格化部107で0〜1に割り当て、ニューラルネットワークの入力層101に入力する。出力層104からの出力結果も0〜1の値が出力されるので、ニューラルネットワーク100〜300では出力変換部108において予め設定された変換マップによってセンサ信号等に対応する実際の値に逆変換される。但し、TMODE−NN35のニューラルネットワーク(図示せず)では、出力が吹出口モード信号TMODEであるため、出力層104からの出力結果を逆変換する必要がなく、そのため、出力変換部108を設けていない。
【0038】
ところで、現状の車両用空調装置が直面する環境条件は様々であるため、この様々な環境条件に対応した所望の出力値(例えば、吹出口モード信号)である教師データは、数万点から数十万点以上にもおよび膨大な数となる。そこで、ECU30の設計に際しては、車両搭載の前段階の処理として、専用の高速演算装置を用い、この高速演算装置により上述した誤差逆伝播学習を行って、広範な入力信号の変化に対して出力が所望の教師データとなる結合係数106を算出する。そして、このように算出した結合係数106を、図2におけるECU30内の各算出部のニューラルネットワーク100、200、300に対応する記憶部(マスクROM)に記憶させておく。
【0039】
以上のように設計段階で学習が行われた、TAO−NN32のニューラルネットワーク100、200、TBLO−NN33のニューラルネットワーク300およびTMODE−NN35のニューラルネットワークにより、車両搭載状態において、それぞれ、吹出温度TAO、送風機電圧レベルTBLO、および吹出口モード信号TMODEを算出する。
【0040】
すなわち、TAO−NN32においては、入力信号(Tset、Tr、Tam、Ts)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を仮の目標吹出温度TAOB、日射補正量TAOSとして算出し、最終的にTAOを算出して出力する。また、TBLO−NN33においては、入力信号(Tset、Tr、Tam、Ts、ΔT)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を目標風量に対応した送風機電圧レベルTBLOとして算出し、出力する。さらに、TMODE−NN35においては、入力信号(TAO*、Tr、Tam、Ts、Tw)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を吹出口モード信号TMODE(=0〜1)として算出し、出力する。
【0041】
次に、温度補正値ΔTによる吹出温度TAOの補正、および温度補正値ΔTのTBLO−NN33への入力設定により、空調制御特性がどのようになるかを説明する。図5(a)は、TBLO−NN33の出力特性の一例で、内気温Trに対する目標風量Vの関係を示している。また、図5(b)は、TAO−NN32の出力特性の一例で、内気温Trに対する吹出温度TAO(または目標吹出温度TAO*)の関係を示している。また、補正前、すなわち温度補正値ΔT=0での初期特性を、それぞれ破線で示している。すなわち内気温Trに対して、目標風量Vはバスタブ特性を示し、吹出温度TAOは右下がりの一次関数特性を示している。
【0042】
吹出温度TAOに対して、非零の有限値であるΔT(たとえば10℃)減少させる補正を行う(ΔT=−10℃)ことは、内気温Trに対してはΔt(たとえば3℃)減少させることに相当する(図5(b)参照)。一方、TBLO−NN33では、入力信号として同じ温度補正値ΔT(=−10℃)を入力すると、すでに学習された各ニューロン間の結合係数に基づき、内気温Trに対して目標風量VをΔt(=3℃)減少させる方向に平行移動させた目標風量Vを出力する(図5(a)参照)。したがって、温度補正値ΔTによる目標吹出温度TAO*の補正を行っても、この目標吹出温度に対する目標風量の関係を、常に初期特性と同じに保つことができる。
【0043】
このように、補正前(温度補正値ΔT=0)では、目標吹出温度TAO*および目標風量Vは、それぞれTAO−NN32およびTBLO−NN33において独立に演算されて決められているが、TAO−NN32への出力に温度補正値ΔTを加算する補正を行い、同時に、TBLO−NN33への入力にこの温度補正値ΔTを与える補正を行うことにより、目標吹出温度TAO*を変更し、かつ、目標吹出温度TAO*に対する目標風量Vの関係を変更せず一定に保つことができる。そして、このような補正を、TAO−NN32およびTBLO−NN33が備える各ニューラルネットワークを変更することなく行うことができる。
【0044】
したがって、ECU30を書き換え不能のマスクROM37上に形成した後でも、空調特性の更なる適正化、あるいは、使用者の好みへの適合化のために、書き換え可能なEEPROMに形成された温度補正値記憶部38に温度補正値ΔTを適宜与えて記憶させることにより、上記補正を簡便に行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態では、温度補正値記憶手段38をEEPROM上に形成した例を示したが、これに限らず、フラッシュメモリなど他の書き換え可能なROM(PROM)上に形成可能である。
【0046】
また、本実施形態では、温度補正値記憶手段38は1つの例を示したが、複数の温度補正値記憶手段を備えてもよい。すなわち、温度補正値を複数(ΔT1、ΔT2、・・・)記憶するようにし、この温度補正値記憶手段より所望の補正値を適宜切り替えて読み出すようにすれば、より所望の特性に適合した補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による車両用空調装置の全体システム構成の概略図である。
【図2】本実施形態のECU内のマイクロコンピュータにより実行される制御機能を機能ブロックで表した図である。
【図3】吹出温度演算手段としての第1ニューラルネットワークの概略構成図である。
【図4】風量演算手段としての第2ニューラルネットワークの概略構成図である。
【図5】(a)は、TBLO−NN33の出力特性の一例であり、(b)は、TAO−NN32の出力特性の一例である。
【符号の説明】
30…空調制御装置(ECU)、
32…吹出温度演算手段(第1ニューラルネットワーク)、
33…風量演算手段(第2ニューラルネットワーク)、
34…エアミックスドア開度算出部、35…吹出口モード算出部、
36…駆動制御部、37…マスクROM、38…温度補正値記憶部。

Claims (3)

  1. 室内に目標吹出温度および目標風量に基づき形成される空調風を吹き出す空調装置(19)を制御する空調制御装置であって、
    使用者により設定される室内の設定温度、内気温センサにより検出される室内の温度、外気温センサにより検出される室外の温度および日射量センサにより検出される室内への日射量の各検出値を入力する環境因子入力部(31)と、
    所定の値として定められた温度補正値が記憶された温度補正値記憶手段(38)と、
    前記環境因子入力部からの前記各検出値を入力し、予め学習された第1ニューラルネットワーク(100、200)により吹出温度を演算して出力する吹出温度演算手段(32)と、
    前記環境因子入力部からの前記各検出値と前記温度補正値とを入力し、予め学習された第2ニューラルネットワーク(300)により前記目標風量を演算して出力する風量演算手段(33)と、
    前記吹出温度演算手段からの吹出温度と前記温度補正値とを加算して前記目標吹出温度を出力する補正手段(32a)と、を備え
    前記第1ニューラルネットワークおよび前記第2ニューラルネットワークはともにマスクROM(37)内に形成されているとともに、前記補正値記憶手段は書き換え可能なROM内に形成されていることを特徴とする空調制御装置。
  2. 前記温度補正値が0であるときの前記第1ニューラルネットワークの出力に対する前記第2ニューラルネットワークの出力の特性と、前記温度補正値が非零の有限値であるときの前記目標吹出温度に対する前記目標風量の特性とが同じであることを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
  3. 空気と熱交換を行う熱交換器(4、5)を有する空気通路(2)と、
    この空気通路の下流側に設けられ、室内の異なる方向へ空気を吹き出す複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)と、
    この複数の吹出口の開閉を切り替える吹出口切替手段(11、12、13)と、
    前記吹出口から室内へ吹き出す空気の温度を調節する温度調節手段(6)と、
    室内の温度を設定するための温度設定手段(21)と、
    室内の温度および室外の温度を検出する温度情報検出手段(22、23)と、
    所定の値として定められた温度補正値が記憶されている温度補正値記憶手段(38)と、
    前記温度設定手段による設定温度、および前記温度情報検出手段により検出された温度情報を入力として、予め学習された第1ニューラルネットワーク(100、200)により吹出温度を算出する吹出温度演算手段と、
    前記温度設定手段による設定温度、前記温度情報検出手段により検出された温度情報、および前記温度補正値を入力として、予め学習された第2ニューラルネットワーク(300)により目標風量を算出する風量演算手段(33)と、
    前記吹出温度演算手段からの吹出温度と前記温度補正値とを加算して目標吹出温度を算出する補正手段(32a)と、
    前記目標吹出温度と前記温度情報検出手段により検出された温度情報を入力として吹出口モード信号を算出する吹出口モード算出部とを備え、
    前記第1ニューラルネットワークおよび前記第2ニューラルネットワークはともにマスクROM(37)内に形成されているとともに、前記補正値記憶手段は書き換え可能なROM内に形成されており、
    前記吹出口からの吹出温度が前記目標吹出温度となるように前記温度調節手段を調節するとともに、前記吹出口モード信号により前記吹出口切替手段を駆動制御することを特徴とする空調装置。
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