JP3948971B2 - Notch遺伝子の導入を用いて骨髄間質細胞を神経細胞及び骨格筋細胞に分化・誘導する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Notch遺伝子の導入を含む多段階から成る操作を加えることによって骨髄間質細胞を神経細胞又は骨格筋細胞にインビトロにおいて分化・誘導する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの、病状の進行した神経変性疾患を対象にする場合、細胞死によって失われた神経細胞そのものを補充しなくては神経機能再建が実現しない。神経細胞移植に対して動物実験レベルで試みられているとしては胎児及び成体由来の神経幹細胞、ES細胞又は胎児由来の神経細胞などである。しかしながら、いずれもヒトヘの応用において大きなハードルがある。胎児由来の幹細胞又は神経細胞の使用に対しては倫理的な問題があり、安定した供給性が得られるか不安がある。またES細胞はその多分化能という点において現在多くの注目を集めているが、やはり倫理問題を大きく含み、特定の細胞への分化・誘導に対して費用と労力がかかること、さらに移植後奇形腫を形成する危険性があることなども不安定要素として挙げられる。また成体由来の神経幹細胞を用いる場合、中枢神経系の極く限られた中心部分に存在するため開頭して採取しなくてはならず、再生治療と引き換えに受ける患者の危険と負担は多大なものである。
【0003】
インビトロで中枢神経系幹細胞が分離されてから約10年程たつが、今のところ一般に受け入れられたプロトコルでは、神経幹細胞を分化させ、機能しうるドーパミン作動性又はコリン作動性ニューロンを大量に得ることはできていない(Lorenz Studer,nature biotechnology 12月号P.1117(2001))。
【0004】
また、カルガリー大学(Calgary、カナダ)のワイス・サミュエル、新郷哲郎教授らの研究グループは、複数のチロシン水酸化酵素誘導因子の混合液(THカクテル)をマウス脳内に投与し、ドーパミン産生神経細胞を高効率で分化・誘導することに成功しているようであるが、本願発明におけるように骨髄間質細胞からドーパミン作動性ニューロン及びコリン作動性ニューロンを分化・誘導した例は全くない。
【0005】
運動性ニューロンは、アセチルコリン作動性であり、この細胞はALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病への適用が考えられる。ALSは何らかの理由で脊髄の運動性ニューロンが細胞死に陥り、筋肉を動かす神経が無くなるために呼吸筋にいたるまで全身の筋肉を動かすことができなくなり発病2〜3年で死亡に至る疾患である。現在有効な治療法は無いが、ラットにおいてALSモデル動物が作成されつつある。
筋ジストロフィーなどの変性性筋肉疾患の多くは進行性であり、やはり骨格筋細胞の移植が解決となりうる。正常人においては筋組織に存在する衛星細胞(satellite cell)が再生能力を持ち失われた骨格筋の補充に働くが、進行性の筋疾患の場合、細胞数も減少しており再生能力も低くなっている。したがって骨格筋又はその前駆細胞の移植が治療となり得るが現在有効な手段は存在しない。
【0006】
脳神経系の発生過程では、比較的均一な神経前駆細胞(神経幹細胞neural stem cell)から、ニューロンやグリア細胞が分化・誘導される。前駆細胞群の一部の細胞は分化シグナルに反応してさるサブタイプの細胞に分化するが、残りの細胞は未分化のままで留まる機構が存在している。つまり、先に分化した細胞が周りにあるシグナルを出して自分と同じ細胞に分化するのを防ぐメカニズムが存在する。これを側方制御(lateral inhibition)という。ショウジョウバエでは先に神経に分化した細胞がDeltaというリガンドを発現し、その周りの細胞がDeltaの受容体であるNotchを発現し、それらは神経細胞にならない(Notchシグナリング)。このDelta−Notch系は、脊椎細胞においても働いているようである(例えば、Chitnis, A., Henrique, D., Lewis, J., Ish-Horowicz, D., Kintner, C.: Nature, 375, 761-766 (1995)を参照のこと)。
【0007】
このように均一なものから多様なものを生み出す発生過程においては、膜タンパク質Notchを介した細胞間相互作用が重要な役割を担っていること、すなわち、Notchは隣接細胞からリガンド刺激を受けると、Mash1、Math1、ニューロゲニン(Neurogenin)に代表されるbHLH(basic helix−loop−helix)型神経分化因子を阻害するHES1やHES5の発現を誘導することにより隣接細胞と同じ種類の細胞への分化を抑制すると考えられている(例えば、影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。
【0008】
Notchの細胞内経路は以下のように考えられている。Notchは、まず隣接細胞の表面に存在するリガンド(Delta,Serrate,Jagged)によって活性化されるとその細胞内ドメインが切り出される(Artavanis-Tsakonas S, et al: Science (1999) 284: 770-776、及び影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。Notchの細胞内ドメインが切り出された後、核移行シグナル(NLS)によって細胞膜から核に移行して核内でRBP−JκというDNA結合タンパク質と複合体を形成する(Honjo T: Genes Cells (1996) 1: 1-9、及び影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。RBP−Jκそのものは、DNAに結合して転写を抑制するレプレッサーで、Notchが不活性のときには分化抑制因子であるHES1遺伝子のプロモーターに結合してその発現を制御しているが、RBP−JκとNotchの細胞内ドメインが複合体を形成すると、この複合体が逆にHES1遺伝子の転写を活性化する(jarriault S, et al: Nature (1995) 377: 355-358、Kageyama R, et al: Curr Opin Genet Dev (1997) 7: 659-665、及び影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。その結果、HES1の発現が誘導され、さらにHES1により分化が抑制される。すなわち、NotchはHES1を介して分化を抑制していると考えられている(影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。
【0009】
哺乳動物においても、神経前駆細胞(神経幹細胞)の維持や多様性に富んだニューロンの分化過程に、Notchを介した遺伝子発現制御が重要であること、また、Notch経路は神経系以外の細胞分化にも必須であることがわかってきている(Tomita K, et al: Genes Dev (1999) 13: 1203-1210、及び影山ら、細胞工学Vol.18, No.9, 1301-1306 (1999)を参照のこと)。さらに、HESが関わらないNotch経路の存在、Notchシグナリングの転写レベルでの負の調節、タンパク質レベルでの負の相互作用の存在なども予想されている(郷 正博、細胞工学Vol.18, No.9, 1291-1300 (1999)を参照のこと)。しかしながら、上記いずれの文献も、Notchシグナリングは分化を抑制する方向に働くということを示唆・教示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
再建が不可能とされている中枢神経疾患は、外傷による脊髄損傷や脳血管障害、失明に至る緑内症からパーキンソン氏病などの変性疾患まで実に多種多様の疾患が含まれ、罹患人口は多いものと思われる。従ってこれらの疾患に対する神経再生法の研究は社会的急務であり、我々の研究結果は実際の人への応用の突破になるものと思われる。骨髄間質細胞であれば骨髄穿刺によって病院の外来レベルでの採取が容易であり、非常に旺盛な増殖能を持つので大量培養が比較的短い時間で可能である。さらに自分の骨髄間質細胞から神経が作成できれば自家移植が可能であり、これは大変大きな利点であると思われる。免疫拒絶反応が起きないので免疫抑制剤の投与が不必要であり、安全な治療を与えることが可能と思われる。また、骨髄バンクからも骨髄間質細胞を得ることが可能であるため、供給面からは現実的な対応が可能である。これらの細胞を用いて現在有効な手段のない神経細胞を誘導することができれば再生医学において大きな効果が期待される。
【0011】
また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)は何らかの理由で脊髄の運動ニューロンが細胞死に陥り、筋肉を動かす神経が無くなるために呼吸筋にいたるまで全身の筋肉を動かすことができなくなり発病2〜3年で死に至る疾患であるが、現在有効な治療法は無い。自分の骨髄間質細胞からアセチルコリン作動性ニューロンを作成することができれば自家移植が可能であり、これは大変大きな利点であり、ALSの治療法となるかもしれない。
【0012】
また、筋疾患、とくに骨格筋の変性疾患である筋ジストロフィーなどに対しては現時点では有効な治療手段が無い。自分の骨髄間質細胞から骨格筋細胞を作成することができれば自家移植が可能であり、これは大変大きな利点であると思われる。これらの細胞を用いて現在有効な手段のない骨格筋細胞を誘導することができれば再生医学において大きな効果が期待できる。
上記の臨床治療の面だけてはなく、今後開発が予想される人工臓器などの工学的な方面においても応用が考えられる。培養レベルで神経細胞や筋肉細胞が容易に作成できることから、ハイブリッド型の人工臓器などの作成において使用も考えられる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の現状を鑑み、比較的容易に採取できる細胞を用いて人為的操作を加え、神経細胞や骨格筋などを作成することが出来るかどうか検討した。
発明者らは骨髄間質細胞に対して形態形成の初期において中心的な役割を果たす遺伝子の導入が骨髄間質細胞をなんらかの形で刺激し、この刺激が骨髄間質細胞の分化・誘導に及ぼす影響について調べてみた。すなわち、特に神経系の発生分化において重要な役割を果たしており、前駆細胞が神経細胞とグリア細胞とに分かれる時点で運命決定に作用しているとされているNotch遺伝子及びNotchシグナリング遺伝子を導入することによって骨髄間質細胞をリセット(初期設定)することができるかもしれないと期待した。
【0014】
ここで、重要なことは、Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子が細胞の分化・誘導を抑制するということは示唆・教示されていたものの、以下に詳述するように、Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子の導入を他の分化・誘導のための刺激と組み合わせることにより、Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子が導入された細胞自体(Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子が導入された細胞に接触した細胞ではない)が分化・誘導されうるということは全く予想外の出来事であるということである。本願発明にかかる分化・誘導方法において、Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子の導入が骨髄間質細胞の発生・分化をリセットすることができたと断言することはできない。しかしながら、かかる遺伝子導入を他の分化・誘導ステップと組み合わせることにより、本願発明は、結果として、骨髄間質細胞を効率よく神経細胞又は骨格筋細胞に分化・誘導する方法を提供すること可能にしたといえる。
【0015】
今般、本願発明者らは、Notch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子の導入を含む複数ステップの組み合わせ実験を繰返した結果、骨髄間質細胞をインビトロにおいて神経細胞又は骨格筋細胞に、効率よく分化・誘導することに初めて成功した。さらに、かかる分化誘導方法により得られた神経細胞をパーキンソンモデルラットや、視神経損傷による網膜・視神経変性モデルラットに移植することにより実際に神経が生着・機能することを確認し、ここに本願発明を完成するに至った。
【0016】
驚くべきことに、骨髄間質細胞にNotch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子を導入し、さらに分化開始における一般的なトリガーと考えられている細胞内cAMPの上昇及び神経分化に作用すると考えられている種々の因子・サイトカインを投与することによってインビトロ培養条件において骨髄間質細胞を神経細胞に分化・誘導することに成功した。神経細胞に特異的なMAP−2、神経細線維(Neurofilament)のみならず、神経伝達物質、及びその合成酵素であるチロシン・ヒドロキシラーゼ(Tyrosine−hydroxylase)、アセチルコリン(Acetylcholine)、ニューロペプチドY(Neuropeptide Y)、サブスタンスP(Substance P)などの発現も確認した。
【0017】
一方、1個又はごく少数の遺伝子が5−アザシチジン(5−AZC)処理によって脱メチル化され、活性化されることによって筋芽細胞への転換が起こることが示唆されている(Taylar SM, Jones PA: ell 17: 771-779, 1979、及び鍋島陽一、生体の科学 47(3): 184-189, 1996を参照のこと)。そこで、我々は、上記の神経細胞におけるNotch遺伝子及びNotchシグナリング関連遺伝子の導入を、上記5−アザシチジン(5−AZC)処理による脱メチル化と組み合わせてみた。具体的には、上記脱メチル化剤を用いて遺伝子のメチル化による発現抑制を解除することによって骨髄間質細胞をリセットし、次にNotch及びNotchシグナリング関連遺伝子を導入し、次に上記遺伝子が導入された細胞を上記遺伝子を導入していない骨髄間質細胞とともに共培養し(co−culture)、そして最後に分化開始における一般的なトリガーと考えられている細胞内cAMPの上昇作用物質で処理することによって、Notch及びNotchシグナリング関連遺伝子が導入された細胞を、インビトロにおける培養により骨格筋細胞に分化・誘導することに成功した。得られた細胞は、特徴的な多核を有する筋管の形成と横紋を認め、筋肉に特異的なミオゲニン(myogenin),Myf5の発現もmRNAレベルで確認した。
【0018】
本願発明の1の態様においては、骨髄間質細胞をインビトロにおいて神経細胞又は骨格筋細胞に分化・誘導する方法であって、上記細胞内にNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子を導入することを含み、ここで、最終的に得られた分化・誘導された細胞が、上記のNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記分化・誘導方法が提供される。
【0019】
本願発明の他の態様においては、骨髄間質細胞をインビトロにおいて神経細胞に分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)骨髄から骨髄間質細胞を採取し、そして標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で上記細胞を培養し;
(2)上記細胞内にNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;及び
(3)サイクリックAMP上昇作用性薬剤又はサイクリックAMPアナログ、及び/又は細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養して神経細胞を得る;
を含む、前記分化・誘導方法が提供される。
【0020】
前記標準的な基礎培地はイーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地であり、そして前記血清はウシ胎児血清であることができる。前記Notch遺伝子及び/又はNotchシグナリング遺伝子の導入は、哺乳動物発現ベクターを用いたリポフェクションによることができる。好ましくは、前記ステップ(2)と(3)の間に、前記遺伝子が導入された細胞の選択を所定期間行うステップをさらに含むことができる。この選択は、硫酸G418の添加によるネオマイシン耐性に基づく選択(selection)であることができる。ここで、重要なことは、この選択が、最終的に得られた分化・誘導された神経細胞が、上記のNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものであることを保証しているということである。
【0021】
前記サイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログは好ましくはフォルスコリン(Forskolin)である。また、前記サイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログの濃度は、0.001nM〜100μMであることができる。好ましくは、この濃度は、0.5μM〜50μMであることができる。前記細胞分化生存作用性因子は、塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophicfactor(CNTF))、及びそれらの混合物から成る群から選ぶことができる。好ましくは、前記細胞分化生存作用性因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlである。この濃度は、好ましくは、1ng/ml〜500ng/mlであることができる。
前記のように分化誘導した神経細胞を、さらに以下のように処理することにより、ドーパミン作動性ニューロンの割合を高めることができる。
本発明の他の態様においては、前記神経細胞が、ドーパミン作動性ニューロンであり、かつ、前記ステップ(3)の後に、以下のステップ:
(4)ステップ(3)において得られた神経細胞を、標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で培養し;及び
(5)グリア由来神経栄養因子(Glial derived neurotrophic factor(GDNF))、及びサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログ、及び/又は上記グリア由来神経栄養因子以外の細胞分化生存作用性因子を、上記培養液に添加し、そしてさらに培養して、ドーパミン作動性ニューロンを得る;
をさらに含む、前記分化・誘導方法が提供される。
前記ステップ(4)における標準的な基礎培地は、イーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地であり、そして前記ステップ(4)における血清はウシ胎児血清であることができる。前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログは、フォルスコリン(Forskolin)である。前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログの濃度は、0.001nM〜100μMであることができ、そして好ましくは、500nM〜50μMであることができる。
前記ステップ(5)における、グリア由来神経栄養因子以外の細胞分化生存作用性因子は、塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ぶことができる。好ましくは、前記ステップ(5)におけるグリア由来神経栄養因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlであり、好ましくは、1ng/ml〜500ng/ml、より好ましくは、1ng/ml〜100ng/mlであることができる。前記ステップ(5)における、グリア由来神経栄養因子以外の細胞分化生存作用性因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlであり、好ましくは、1ng/ml〜500ng/mlであることができる。
あるいは、前記のように分化誘導した神経細胞を、さらに以下のように処理することにより、アセチルコリン作動性ニューロンの割合を高めることができる。
本発明の他の態様においては、前記神経細胞が、アセチルコリン作動性ニューロンであり、かつ、前記ステップ(3)の後に、以下のステップ:
(4)ステップ(3)において得られた神経細胞を、標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で培養し;及び
(5)神経成長因子(Nerve growth factor)(NGF)、及びサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログ、及び/又は上記神経成長因子以外の細胞分化生存作用性因子を、上記培養液に添加し、そしてさらに培養して、アセチルコリン作動性ニューロンを得る;
をさらに含む、前記分化・誘導方法が提供される。
前記ステップ(4)における標準的な基礎培地が、イーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地であり、そして前記ステップ(4)における血清がウシ胎児血清であることができる。前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログは、フォルスコリン(Forskolin)である。前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログの濃度は、0.001nM〜100μMであることができ、そして好ましくは、500nM〜50μMであることができる。
前記ステップ(5)における、神経成長因子以外の細胞分化生存作用性因子が、塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ぶことができる。
好ましくは、前記ステップ(5)における神経成長因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlであり、好ましくは、1ng/ml〜500ng/ml、より好ましくは、1ng/ml〜100ng/mlであることができる。前記ステップ(5)における、神経成長因子以外の細胞分化生存作用性因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlであり、好ましくは、1ng/ml〜500ng/mlであることができる。
【0022】
また、本願発明の他の態様においては、骨髄間質細胞をインビトロにおいて骨格筋細胞に分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)骨髄から骨髄間質細胞を採取し、そして標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で上記細胞を培養し;
(2)上記培養液に脱メチル化剤を添加し、そしてさらに培養し;
(3)サイクリックAMP上昇作用性薬剤又はサイクリックAMPアナログ、及び/又は細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養し;
(4)上記細胞内にNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;
(5)上記の遺伝子導入された細胞を、遺伝子導入のされていない無処理の上記骨髄間質細胞と接触させながら、これとともに共培養し;及び
(6)サイクリックAMP上昇作用性薬剤又はサイクリックAMPアナログを上記培養液に添加し、そしてさらに培養して骨格筋細胞を得る;
を含む、前記分化・誘導方法が提供される。
【0023】
前記標準的な基礎培地はイーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地であり、そして前記血清はウシ胎児血清であることができる。前記脱メチル化剤は好ましくは5−アザシチジン(5−azacytidine)である。前記5−アザシチジンの濃度は30nmol/l〜300μmol/lであることができ、好ましくは、300nmol/l〜30μmol/lであることができる。前記ステップ(3)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログはフォルスコリン(Forskolin)であることができる。前記ステップ(3)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログの濃度は、0.001nM〜100μMであることができ、そして好ましくは、500nM〜50μMであることができる。前記細胞分化生存作用性因子が、塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、ヘレグリン(Heregulin商標)、及びそれらの混合物から成る群から選ぶことができる。前記細胞分化生存作用性因子の濃度は、0.001ng/ml〜100μg/mlであることができ、そして好ましくは、0.5ng/ml〜2μg/mlであることができる。
【0024】
前記Notch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子の導入は哺乳動物発現ベクターを用いたリポフェクションによるものであることができる。好ましくは、前記ステップ(4)と(5)の間に、前記遺伝子が導入された細胞の選択を所定期間行うステップをさらに含むことがきる。この選択は、硫酸G418の添加によるネオマイシン耐性に基づく選択(selection)であることができる。ここで、重要なことは、この選択が、最終的に得られた分化・誘導された骨格筋細胞が、上記のNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものであることを保証しているということである。
【0025】
前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログはフォルスコリン(Forskolin)であることができる。前記ステップ(5)におけるサイクリックAMP上昇作用性剤又はサイクリックAMPアナログの濃度は、0.001nM〜100μMであることができ、そして好ましくは500nM〜5μMであることができる。
本発明のさらに他の態様においては、前記分化・誘導方法を用いて製造されたドーパミン作動性ニューロンが提供される。
本発明のさらに他の態様においては、前記ドーパミン作動性ニューロンを含む、パーキンソン病治療用医薬組成物が提供される。
本願明細書中、用語「骨髄間質細胞」とは、骨髄中に存在する造血系以外の細胞をいい、骨、軟骨、脂肪細胞等の細胞に分化できると考えられている。骨髄間質細胞は、Thy1,2が+、β1−インテグリンが+、及びCD34が−により識別しうる。
【0026】
本願明細書中に使用するとき、分化誘導において用語「効率よく」とは、本願発明に係る分化・誘導方法により、前記選択後の骨髄間質細胞が、最終に神経細胞又は骨格筋細胞に変換される割合が高いことをいう。本願発明に係る分化・誘導方法においては、この効率は、50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上、そして最も好ましくは95%以上である。
【0027】
本願明細書中、用語「神経細胞」とは、ニューロン(neuron)のことをいい、形態学的には、細胞体と2種類の突起(樹状突起と軸索)を特徴とし、そして生化学的にはMAP−2(Chemicon AB151)、neurofilament(Boehringer Mannheim,814342)、及びnestin(Bioproducts,BMS4353)に対する抗体と反応するものをいう。また、神経伝達物質、及びその合成酵素である、例えば、チロシン・ヒドロキシラーゼ(Tyrosine−hydroxylase),小胞アセチルコリン・トランスポーター(Vesicular acetylcholine transporter),ニューロペプチドY(Neuropeptide Y),サブスタンスP(Substance P)等を分泌することを特徴とする。
ここで、上記チロシン・ヒドロキシラーゼは、ドーパミン作動性ニューロンの指標であり、そして小胞アセチルコリン・トランスポーターは、運動性ニューロンに代表されるアセチルコリン作動性ニューロンの指標である。
【0028】
本願明細書中、用語「グリア細胞」とは、中枢神経において、ニューロンとその突起の間を埋めているアストロサイト、オリゴデンドロサイト、マイクログリアと上皮細胞をいう。
ここで、グリアル・フィブリラー酸性タンパク質(Glial fibrillar acidic protein(GFAP))は、アストロサイトの指標であり、そして、O4は、オリゴデンドロサイトの指標である。
【0029】
本願明細書中、用語「骨格筋細胞」とは、筋線維又は筋肉線維のことをいい、骨格筋の単一筋細胞である。形態学的には、細長い巨大な多核であり、筋管の形成と横紋があり、そして生化学的にはミオゲニン(myogenin)Myf5などの転子制御因子の発現を特徴とする。
【0030】
本願発明に係る骨髄間質細胞をインビトロにおいて神経細胞又は骨格筋細胞に分化・誘導する方法は、上記細胞内にNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子を導入するステップを含む点で新規である。さらに、新規のステップを従来技術の他の分化・誘導ステップと一定の順序で組み合わせる点においても新規である。本願発明における上記ステップの選択及び最適な組み合わせは、本願発明者らにより初めて発見された意義はひじょうに高いといえる。なぜなら、骨髄間質細胞が、骨芽細胞、血管内皮細胞、骨格筋細胞、脂肪細胞、平滑筋細胞等に分化誘導される可能性がある間葉系の幹細胞又は前駆細胞であることは判っていたとしても、骨髄間質細胞を、実際に、神経胞又は骨格筋細胞に分化させることができるかどうかについては知られておらず、かつ、切望されていたにも拘らず未だかつて誰も実際にこれに成功した者はいなかったからである。いずれの理論に拘束されることを望まないが、本願発明者らは、上記細胞内にNotch遺伝子及び/又はNotchシグナリング関連遺伝子を導入することが、細胞の発生・分化をリセットするように機能し、そして他の分化・誘導処理の働きを助けると推定する。
【0031】
以下の実施例により、本願発明をさらに詳細に説明する。但し、本願発明の範囲を何ら限定するものと解してはならない。
【0032】
【実施例】
実施例1:神経誘導
成体ラット(Wister種)の骨髄より間質細胞を採取し培養する。培地はMinimum Essential Medium Alpha EagleModification(Sigma社、M4526)に20%のウシ胎児血清(Biowhittaker社、14−501F,Lot#61−1012)を加えたものを用いた。
4代まで継代培養し、80−90%の集密(confluence)に達した時点でNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入した。これはPromega社、pCI−neo哺乳動物発現ベクター(#E1841)のEcoRI−XbaIマルチクローニング部位に、3.1kbのNotch細胞内ドメインのEcoRI−XbaI断片を挿入し組み換えたものであった。導入には、LipofectAMINE2000(GibcoBRL,11668−027)のシステムを用いた。
【0033】
導入の翌日にG418sulfate(GibcoBRL,83−5027)を200ng/mlの濃度で添加し導入細胞の選択(selection)を10日間行った。
細胞数が90%集密を回復した後、Forskoline 5μM(Calbiochem,344273)、basic−Fibroblast growth factor 10ng/ml(Peprotech EC,LTD,100−18B)、ciliary neurotrophic factor 50ng/ml(R&D Systems,557−NT)を添加した。
【0034】
10日程たって細胞を解析した結果、図1に示すように、神経細胞に特徴的な形態が観察された。誘導された細胞は、図2に示すように、以下の抗体、MAP−2(Chemicon MAB364)、neurofilament(Boehringer Mannheim,814342)、nestin(Bioproducts,BMS4353)に対して陽性反応を示した。MAP−2とneurofilamentは神経細胞の、nestinは神経前駆細胞のマーカーであるため、誘導された細胞は神経細胞としての性質を持つものと判断できる。
【0035】
また、図3に示すように、神経伝達物質、及びその合成酵素であるTyrosine−hydroxylase(Chemicon AB151)、Vesicular acetylcholine transporter(Chemicon AB1578)、Neuropeptide Y(Peninsula Lab INC,RIN7172)、Substance P(Amersham INC,RPN1572)等の抗体を用いて検索したところ、それぞれ2〜4%前後の陽性細胞を認めたため、神経伝達物質を持つ神経細胞も存在することが分かった。
【0036】
上記操作によって神経細胞が誘導されるが、この段階では、図5のグラフの左側に示すように、ドーパミン作動性ニューロンの指標であるチロシン・ヒドロキシラーゼに対して反応する分化誘導された神経細胞は、全神経細胞の2.9±0.5%であった。また、図7のグラフの左側に示すように、運動ニューロンに代表されるアセチルコリン作動性ニューロンの指標であるVesicular acetylcholine transporterに対して反応する分化誘導された神経細胞は、全神経細胞の1.78±0.75%であった。
【0037】
実施例2:ドーパミン作動性ニューロンの誘導
上記の分化・誘導された神経細胞を、以下の培地中でさらに培養する。培地は、Minimum Essential Medium Eagle Alpha Modification(Sigma社、M4526)に10%のウシ胎児血清(Biowhittaker社、14−501F,Lot#61−1012)を加えたものであり、さらに、グリア由来神経栄養因子(Glial derived neurotrophic factor(GDNF;Peprotech EC LTD,human recombinant GDNF,#450−10)50ng/ml,Forskolin 5μM(Calbiochem,344273),basic−Fibroblast growth factor 10ng/ml(Peprotech EC,LTD,100−18B),Platelet−derived growth factor−AA 5ng/ml(Peprotech EC LTD,396−HB)を添加したものであった。
かかる操作により、チロシン・ヒドロキシラーゼに対して反応するドーパミン作動性ニューロンは、全神経細胞に対して、17.2±5.1%まで劇的に上昇した(図5のグラフの右側参照)。図4の写真に示すように、GDNF投与後に、FITC(Fluorescein isothiocianate)で緑に染色されるタンパク質チロシン・ヒドロキシラーゼの割合が劇的に上昇した。
【0038】
実施例3:アセチルコリン作動性ニューロンの誘導
実施例1において分化・誘導された神経細胞を、以下の培地中でさらに培養する。培地は、Minimum Essential Medium AlphaModification(Sigma社、M4526)に10%のウシ胎児血清(Biowhittaker社、14−501F,Lot#61−1012)を加えたものであり、さらに、神経成長因子(Nerve growth factor)(2.5S NGF,Takara,# T002A)50ng/ml,Forskolin 5μM(Calbiochem,344273),basic−Fibroblast growth factor 10ng/ml(Peprotech EC,LTD,100−18B),Platelet−derived growth factor−AA 5ng/ml(Peprotech EC LTD,396−HB)を添加したものであった。
かかる操作により、Vesicular acetylcholine transporterに対して反応するアセチルコリン作動性ニューロンは、全神経細胞に対して、20.5±0.05%まで劇的に上昇した(図7のグラフの右側参照)。図6の写真に示すように、NGF(Neurotrophin(NTs))投与後に、FIPCで緑に染色されるタンパク質Vesicular acetylcholine transporterの割合が劇的に上昇した。
【0039】
実施例4:骨格筋誘導
成体ラット(Wister種)の骨髄より間質細胞を採取し培養する。培地はMinimum Essential Medium Eagle Modification(Sigma社、M4526)に20%のウシ胎児血清(Biowhittaker社、14−501F,Lot#61−1012)を加えたものを用いた。
4代まで継代培養し、80−90%の集密に達した時点で5−アザシチジン(5−Azacytidine)を3μmol/lを添加し、24時間培養した。
その後、Forskoline 5μM(Calbiochem,344273)、basic−Fibroblast growth factor 10ng/ml(Peprotech EC,LTD,100−18B)、Platelet−derived growth factor−AA 5ng/ml(Peprotech EC LTD,396−HB)、Heregulin 200ng/ml(R&D Systems,396−HB)を培地に添加したものに切り替えて7日間培養した。
その後、Notch細胞内ドメインの遺伝子を実施例1におけるのと同様に導入した。
【0040】
導入の翌日にG418 sulfate(GibcoBRL,83−5027)を200ng/mlの濃度で添加し導入細胞の選択(selection)を10日間行った。
細胞数がほぼ100%の集密を回復した後、上記遺伝子の導入されていない無処理の骨髄間質細胞を培地に加えてこれとともに共培養(co−culture)した。
3日後、Forskolin(Calbiochem,344273)5μMを添加した。数日後に、細胞が融合し多核の骨格筋細胞が局所的に出現し(図8参照)、そして経時的に増加した(図9参照)。図10に見られるように、多核の骨格筋細胞が共焦点レーザー顕微鏡において観察された。これらの細胞ではmyogenin及びMyf5のmRNAの発現がRT−PCRにおいて確認された。また電子顕微鏡観察により、骨格筋に特徴的な筋線維が認められた。
【0041】
実施例5:ラットのパーキンソン病モデルを用いた、本願発明に係る分化・誘導方法により得られたドーパミン作動性ニューロンの、線状体への移植による治療効果
本願発明に係る分化・誘導方法により得られたドーパミン作動性ニューロンを、ラットのパーキンソンモデルに適用して移植の効果を検討した。ラットの脳の黒質に6−OHDA(6−hydroxydopamine)を注入することによってパーキンソンモデルを作成する方法はすでに確立されており、今回もそのモデルを用いた(例えば、Svendsenら、Exp.Neurol.137:376−388(1996);Svensenら、Exp.Neurol.148,135−146(1997))。このモデルにおいてはアポモルフィンを投与することによってラットが回転運動することが判っており、この回転数が増加すれば症状の悪化を、減少すれば改善を示唆する。
図11の上段に示すように、9週間の観察期間では、神経細胞に誘導しただけのものを線状体に移植した場合、回転数は移植直後とほぼ横ばいであった。何も処置を施さない場合、回転数はどんどん増加する傾向にあるため(図示せず)、横ばいということは少なくとも悪化を防いでいる、と言える。
図11の下段に示すように、ドーパミン作動性の誘導をかけたものを線状体に移植した場合、移植1週目より回転数が減少しはじめ、約半数の動物で、9週後に回転数がゼロ、又は1〜2回という非常に顕著な改善を認めるに至った。(尚、図11の下段に示す9週後に8回転数/分を超える2つのケースは、移植操作に失敗したものと考えられるので評価から除外した。)
線状体に注入(移植)された本願発明に係るドーパミン作動性ニューロンが、どのような細胞に分化したかを調べるために、10週後に、上記線状体組織を採取し、その切片を作成して免疫組織化学的検査を実施した。
骨髄間質細胞は、レトロウイルスにより、緑色蛍光を発するグリーン・フルオレッセント・プロテイン(GFP)を産生する遺伝子をその染色体内に組込んである。したがって、図12中の免疫蛍光写真において、骨髄間質細胞から分化誘導された神経細胞、それ故、線状体に移植されたドーパミン作動性ニューロンは、緑色の蛍光を発している。
一方、神経細胞をNeurofilamentを指標として、ドーパミン作動性ニューロンをチロシン・ヒドロキシラーゼを指標として、グリア細胞であるアストロサイトをGFAPを指標として、そして同じくグリア細胞であるオリゴデンドロサイトをO4を指標として、それぞれ、赤色で発色させた。
したがって、上記GFPによる緑色と、上記赤色による発色が重なれば、黄色に発色することになり、これは、移植されたドーパミン作動性ニューロンが、移植から10週後にどの細胞になっていたかを表すことになる。
図12に見られるように、移植から10週後の線状体においては、移植された細胞はほぼ全てが神経細胞になっており、グリア細胞にはなっていなかった。また、チロシン・ヒドロキシラーゼ陽性の神経細胞(すなわち、ドーパミン作動性ニューロン)が相当数にのぼっていることから、インビトロにおける本願発明に係る分化・誘導方法によってドーパミン作動性ニューロンの全神経細胞に対する割合を、17.2±5.1%まで高めることができたけれども、上記移植によって、この割合をさらに高めることができたことが分かる。
図13に、チロシン・ヒドロキシラーゼを発色させた免疫蛍光写真を拡大したものを示す。図13中、細胞の核を、細胞種を問わず、青色で染色した(Counter stain)。青色で表される核の位置が、細胞の位置を示す。
以上により、ラットのパーキンソン病モデルにおいて、本願発明に係る分化・誘導方法によって得られたドーパミン作動性ニューロンを、線状体に移植することにより、パーキンソン病の症状を劇的に改善することが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、図面に代わる顕微鏡写真(位相差顕微鏡像)である。
【図2】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、MAP−2抗体、neurofilament抗体、及びnestin抗体に対する陽性反応を示す、図面に代わる免疫蛍光写真である。
【図3】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、神経伝達物質及びその合成酵素であるTyrosine−hydroxylase(TH)、Vesicular acetylcholine transporter(VAChT)、Neuropeptide Y(NPY)、Substance P(SP)、Glutamine(Glu)、Calcitonin Gene Related Peptide(CGRP)、Vasoactive intestinal peptide(VIP)の抗体に対する反応を示す、図面に代わる免疫蛍光写真である。
【図4】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、GDNF添加処理前後の、チロシン・ヒドロキシラーゼ陽性率(ドーパミン作動性ニューロン分化・誘導率)の変化を示す図面に代わる免疫蛍光写真である。
【図5】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、GDNF添加処理前後の、チロシン・ヒドロキシラーゼ陽性率(ドーパミン作動性ニューロン分化・誘導率)の変化を示すグラフである。
【図6】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、Neurotrophin(NTs;2.5S NGF)添加処理前後の、Vesicular Acetylcholine Transporter陽性率(アセチルコリン作動性ニューロン分化・誘導率)の変化を示す図面に代わる免疫蛍光写真である。
【図7】本願発明に従って分化・誘導された神経細胞の、Neurotrophin(NTs;2.5S NGF)添加処理前後の、Vesicular Acetylcholine Transporter陽性率(アセチルコリン作動性ニューロン分化・誘導率)の変化を示すグラフである。
【図8】本願発明に従って分化・誘導された骨格筋細胞の、図面に代わる顕微鏡写真(位相差顕微鏡像)である。
【図9】本願発明に従って分化・誘導された骨格筋細胞の、図面に代わる顕微鏡写真(位相差顕微鏡像)である。図8に示す骨格筋が経時的に増加したことを示す。
【図10】本願発明に従って分化・誘導された骨格筋細胞が多核であることを示す、図面に代わる共焦点レーザー顕微鏡写真顕写真を示す。核は緑色で示され、そしてアクチン線維は赤色で示される。
【図11】ラットのパーキンソン病モデルを用いた、本願発明に係る分化・誘導方法により得られたドーパミン作動性ニューロンの、線状体への移植による治療効果を示すグラフである。
【図12】線状体に移植された細胞が、グリア細胞ではなく、神経細胞、及びドーパミン作動性ニューロンであることを示す、図面に代わる免疫蛍光写真である。
【図13】線状体に移植された細胞が、神経細胞、及びドーパミン作動性ニューロンであることを示す、図面に代わる拡大された免疫蛍光写真である。
Claims (45)
- 骨髄間質細胞をインビトロにおいて神経細胞に分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で骨髄から単離された骨髄間質細胞を培養し;
(2)上記細胞内にNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;及び
(3)フォルスコリン(Forskolin)、及び/又は塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor(CNTF))、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養して神経細胞を得る;
を含み、ここで、最終的に得られた分化・誘導された細胞が、上記のNotch細胞内ドメイン遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記分化・誘導方法。 - 前記標準的な基礎培地がイーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地である、請求項1に記載の方法。
- 前記血清がウシ胎児血清である、請求項1に記載の方法。
- 前記Notch細胞内ドメインの遺伝子の導入が、哺乳動物発現ベクターを用いたリポフェクションによる、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(2)と(3)の間に、前記遺伝子が導入された細胞の選択を所定期間行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記フォルスコリンの濃度が、0.001nM〜100μMである、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞分化生存作用性因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項1に記載の方法。
- 前記の単離された骨髄間質細胞がヒト細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造された神経細胞。
- 請求項8に記載の方法により製造された神経細胞。
- 骨髄間質細胞をインビトロにおいてドーパミン作動性ニューロンに分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で骨髄から単離された骨髄間質細胞を培養し;
(2)上記細胞内にNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;
(3)フォルスコリン(Forskolin)、及び/又は塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養して神経細胞を得;
(4)ステップ(3)において得られた神経細胞を、標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で培養し;及び
(5)グリア由来神経栄養因子(Glial derived neurotrophic factor(GDNF))、及びフォルスコリン(Forskolin)、及び/又は上記グリア由来神経栄養因子以外の塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を、上記培養液に添加し、そしてさらに培養して、ドーパミン作動性ニューロンを得る;
を含み、ここで、最終的に得られた分化・誘導されたドーパミン作動性ニューロンが、上記のNotch細胞内ドメインの遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記分化・誘導方法。 - 前記ステップ(4)における標準的な基礎培地が、イーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地である、請求項11に記載の分化・誘導方法。
- 前記ステップ(4)における血清はウシ胎児血清である、請求項11に記載の方法。
- 前記ステップ(5)におけるフォルスコリンの濃度が、0.001nM〜100μMである、請求項11に記載の方法。
- 前記ステップ(5)におけるグリア由来神経栄養因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項11に記載の方法。
- 前記ステップ(5)におけるグリア由来神経栄養因子の濃度が、1ng/ml〜100ng/mlである、請求項15に記載の方法。
- 前記ステップ(5)における、グリア由来神経栄養因子以外の細胞分化生存作用性因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項11に記載の方法。
- 前記の単離された骨髄間質細胞がヒト細胞である、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法により製造されたドーパミン作動性ニューロン。
- 請求項18に記載の方法により製造されたドーパミン作動性ニューロン。
- 骨髄間質細胞をインビトロにおいてアセチルコリン作動性ニューロンに分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で骨髄から単離された骨髄間質細胞を培養し;
(2)上記細胞内にNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;
(3)フォルスコリン(Forskolin)、及び/又は塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養して神経細胞を得;
(4)ステップ(3)において得られた神経細胞を、標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で培養し;及び
(5)神経成長因子(Nerve growth factor)(NGF)、及びフォルスコリン(Forskolin)、及び/又は上記神経成長因子以外の塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を、上記培養液に添加し、そしてさらに培養して、アセチルコリン作動性ニューロンを得る;
を含み、ここで、最終的に得られた分化・誘導されたアセチルコリン作動性ニューロンが、上記のNotch細胞内ドメインの遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記分化・誘導方法。 - 前記ステップ(4)における標準的な基礎培地が、イーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地である、請求項21に記載の方法。
- 前記ステップ(4)における血清がウシ胎児血清である、請求項21に記載の方法。
- 前記ステップ(5)におけるフォルスコリンの濃度が、0.001nM〜100μMである、請求項21に記載の方法。
- 前記ステップ(5)における神経成長因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項21に記載の方法。
- 前記ステップ(5)における神経成長因子の濃度が、1ng/ml〜100ng/mlである、請求項25に記載の方法。
- 前記ステップ(5)における、神経成長因子以外の細胞分化生存作用性因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項21に記載の方法。
- 前記の単離された骨髄間質細胞がヒト細胞である、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法により製造されたアセチルコリン作動性ニューロン。
- 請求項28に記載の方法により製造されたアセチルコリン作動性ニューロン。
- 骨髄間質細胞をインビトロにおいて骨格筋細胞に分化・誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で骨髄から単離された骨髄間質細胞を培養し;
(2)上記培養液に5−アザシチジン(5−azacytidine)を添加し、そしてさらに培養し;
(3)フォルスコリン(Forskolin)、及び/又は塩基性線維芽細胞成長因子(basic−Fibroblast growth factor(bFGF))、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor−AA(PDGF−AA))、ヘレグリン(Heregulin)、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる細胞分化生存作用性因子を上記培養液に添加し、そしてさらに培養し;
(4)上記細胞内にNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入し、そしてさらに培養し;
(5)上記の遺伝子導入された細胞と、遺伝子導入のされていない無処理の上記骨髄間質細胞とを共培養し;及び
(6)フォルスコリン(Forskolin)を上記培養液に添加し、そしてさらに培養して骨格筋細胞を得る;
を含み、ここで、最終的に得られた分化・誘導された細胞が、上記のNotch細胞内ドメインの遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記分化・誘導方法。 - 前記標準的な基礎培地がイーグルス(Eagle’s)アルファ修飾最小必須培地である、請求項31に記載の方法。
- 前記血清がウシ胎児血清である、請求項31に記載の方法。
- 前記5−アザシチジンの濃度が30nmol/l〜300μmol/lである、請求項31に記載の方法。
- 前記ステップ(3)におけるフォルスコリンの濃度が、0.001nM〜100μMである、請求項31に記載方法。
- 前記細胞分化生存作用性因子の濃度が、0.001ng/ml〜100μg/mlである、請求項31に記載の方法。
- 前記Notch細胞内ドメインの遺伝子の導入が、哺乳動物発現ベクターを用いたリポフェクションによる、請求項31に記載の方法。
- 前記ステップ(4)と(5)の間に、前記遺伝子が導入された細胞の選択を所定期間行うステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
- 前記ステップ(5)におけるフォルスコリンの濃度が、0.001nM〜100μMである、請求項31に記載の方法。
- 前記の単離された骨髄間質細胞がヒト細胞である、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法により製造された骨格筋細胞。
- 請求項40に記載の方法により製造された骨格筋細胞。
- 骨髄間質細胞からインビトロにおいて神経前駆細胞を誘導する方法であって、以下のステップ:
(1)標準的な基礎培地に血清を加えた培地中で骨髄から単離された骨髄間質細胞を培養し;及び
(2)上記細胞内にNotch細胞内ドメインの遺伝子を導入し、そしてさらに培養して、神経前駆細胞を得る;
を含み、ここで、得られた神経前駆細胞が、上記のNotch細胞内ドメイン遺伝子が導入された骨髄間質細胞が細胞***した結果として得られたものである、前記方法。 - 前記の単離された骨髄間質細胞がヒト細胞である、請求項43に記載の方法。
- 請求項43又は44に記載の方法により得られた神経前駆細胞。
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