JP3948281B2 - バンドパスフィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2ポート(2端子)高周波回路より構成された、小型化が容易なバンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
2ポート高周波回路より構成された、比較的小型のバンドパスフィルタとしては、例えば、「MWE2000 Microwave Workshop Digest,pp.461-468(2000)『トリプレート・ストリップ線路フィルタ』」(以下、「文献1」と言う。)に記載されているものや、或いは「NEC技法 Vol.51 No.4/1998,pp.119-123『多層プリント基板を利用したマイクロ波衛星通信用フィルタ』」(以下、「文献2」と言う。)に記載されているもの等が一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記文献1などの従来技術については、以下の問題点を挙げることができる。
(問題点1)
例えば上記の文献1の様に、LTCC(低温焼成セラミック)から形成されている基板を用いてフィルタを製造した場合、通常このフィルタは、更にボード上に実装しなければ使用できない。或いは、表面実装するための実装面積を基板上、又はボード上に確保する必要がある。
【0004】
(問題点2)
従来、LTCC基板を用いて実現されていたフィルタ回路を新たに有機基板を用いて作成しようとすると、有機基板では誘電率が低いためカップリングを構成する際の容量が小さくなってしまい、共振器間の強い結合が実現できない。
(問題点3)
有機基板を用いて多層基板を形成する場合、1層当りの厚みに対して±8%程度のバラツキを見込む必要がある。このため、LTCC基板対して有用であった回路を有機基板を用いて多層化すると、各個体間の回路特性に大きなバラツキが生じるので、安定した品質が期待できない。
【0005】
また、例えば上記文献2などの従来技術については、以下の問題点を挙げることができる。
(問題点4)
インターディジタル型のストリップ線路を用いてフィルタ回路を作成する場合、伝送信号の1/4波長の線路が複数必要となるため、伝送信号の周波数が数GHz程度の場合、フィルタ回路が大きくなってしまう。即ち、部品を1/4波長程度よりも更に小型化することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、小型化が容易で、安定した品質を確保し易いバンドパスフィルタを実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、
入力ポート1と出力ポート1′を有する2ポート高周波回路であって、
入力ポート1には、線路AとキャパシタンスCaとがこの順に直列接続されており、当該キャパシタンスCaの他端は接地されており、
出力ポート1′には、線路A′とキャパシタンスCa′とがこの順に直列接続されており、当該キャパシタンスCa′の他端は接地されており、
キャパシタンスCb、線路B、線路B′及びキャパシタンスCb′がこの順に直列接続され、且つ当該キャパシタンスCb及びキャパシタンスCb′の他端は接地されており、
線路B及び線路B′の接続点に、インダクタンス成分である線路又はインダクタンスが接続され且つその接続されたインダクタンス成分である線路又はインダクタンスの他端が接地されており、
線路Aと線路B、並びに線路A′と線路B′は、各々、少なくとも各一部が互いに略平行に配線されることにより、結合線路(カップリング・ライン)を構成しており、
キャパシタンスCaとCa′の回路定数が等しく、キャパシタンスCbとCb′の回路定数が等しく、線路AとA′の回路定数が等しく、線路BとB′の回路定数が等しく、且つ線路A及び線路Bが構成する結合線路と、線路A′及び線路B′が構成する結合線路の回路定数が等しいことを特徴とするバンドパスフィルタである。
ここで、図面を参照する際に、入力ポート1と線路Aと、他端が接地されたキャパシタンスCaまでを左上回路A1と呼ぶことがあり、出力ポート1′と線路A′と、他端が接地されたキャパシタンスCa′(図ではCa)までを右上回路A2と呼ぶことがある。また、同様に、線路B及び線路B′の接続点に接続され、且つ他端が接地された、線路又はインダクタンスを接地回路B3と呼ぶことがあり、線路Bに接続され、他端が接地されたキャパシタンスCbを接地回路B1と呼ぶことがあり、線路B′に接続され、他端が接地されたキャパシタンスCb′(図ではCb)を接地回路B2と呼ぶことがあり、線路B及び線路B′並びに接地回路B1、B2及びB3から成る全体を下段回路B0と呼ぶことがある。
【0008】
ただし、上記の左右の方向には、任意性が有るものとする。即ち、本発明のバンドパスフィルタ(2ポート高周波回路)を製造又は使用する者は、任意の方向を上記の左右の方向として選択することができる。
また、上記のポートは、線路で構成しても良い。したがって、例えば上記のポート1と、線路Aの結合線路を構成していない一部分とは必ずしも明確に区別が付く形態を採っていなくとも良い。即ち、上記のポートは論理的に存在していれば良く、必ずしも上記の線路Aと明確に区別し得る物理的な形態をしていなくとも良い。
【0009】
図1に、より具体的な例として、本発明のバンドパスフィルタの論理的な1構成例を示す。この高周波回路100は、左上回路A1と右上回路A2と下段回路B0の3つの回路から構成されている。また、下段回路B0は、左側に位置する接地回路B1と、右側に位置する接地回路B2と、中央に位置する接地回路B3と、「接地回路B1と接地回路B3とを接続する線路B」と、「接地回路B2と接地回路B3とを接続する線路B′」から構成されている。更に、左上回路A1は、左側に位置するポート1と、片側が接地されたキャパシタンスCaと、このポート1とキャパシタンスCaとを接続する線路Aから構成されている。また、本高周波回路100は、論理的に左右対称に構成されている。接地回路B3は、少なくとも論理的には本回路の左右を分ける対称面上に跨がるものである。
以上の高周波回路100(図1)は、あくまでも1構成例を示すものに他ならないが、例えばこの様に2ポートのバンドパスフィルタを構成することにより、本発明を具体的に実施することが可能である。
【0010】
以下、本発明の手段をより詳しく説明する
【0013】
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、上記のキャパシタンスCa及びCa′(図ではCa)並びにCb及びCb′(図ではCb)を基板上又は基板内に配線した線路で構成することである。
【0014】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、キャパシタンスCa及びCa′並びにCb及びCb′を可変とすることである。
【0016】
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、上層及び下層にグランドを有する3層構造のトリプレートストリップ線路の中層に上記の2ポート高周波回路を形成することである。
【0017】
また、第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、線路A及びキャパシタンスCaの接続点と、線路A′及びキャパシタンスCa′(図ではCa)の接続点とをキャパシタンスCcで接続することである。
【0018】
また、第6の手段は、上記の第5の手段において、キャパシタンスCcを可変とすることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0019】
【発明の作用】
1.対称2ポート回路理論による設計条件
図2は、本発明に係わる2ポート・バンドパスフィルタの理想的な位相条件を示すスミス・チャートである。ただし、ここで、[S]は高周波回路(2ポート・バンドパスフィルタ)のS行列で、[P]はこのS行列の固有ベクトルから成る行列である。また、λ1は偶励振での固有値を、λ2は奇励振での固有値をそれぞれ表している。
【0020】
S行列の第i行第k列の成分をSik(i=1,2;k=1,2)とすると、理想的には、次式(1)が成り立つことが望ましい。
【数1】
S11=S22=0,
S12=S21=1,−1,j,−j …(1)
この関係は、所望の周波数を有する信号が、目的のフィルタ回路において反射されずに、且つ損失無く伝送される条件を示すものである。
【0021】
したがって、式(1)を満たす理想的な条件として、次式(2)に示される4つの解を得る。
【数2】
Figure 0003948281
【0022】
〔4つの解の検討〕
〔1〕(λ1,λ2)=(1,−1)の場合
これは偶励振でオープン、奇励振でショートとなる場合である。即ち、この解は伝送線路を示すものであるので、フィルタ回路とはならない。
〔2〕(λ1,λ2)=(−1,1)の場合
これは偶励振でショート、奇励振でオープンとなる場合である。即ち、この解は1/2波長の線路に対応するものであるので、フィルタ回路とはならない。
【0023】
〔3〕(λ1,λ2)=(j,−j),(−j,j)の場合
この条件が、フィルタ回路として検討すべき設計条件である。実際の回路には損失が生じるため、実数成分が含まれる。従って、この条件は実際の回路では位相条件となる。以下、この位相条件を「位相条件1」と呼ぶ。
したがって、本発明の課題は「この位相条件1を満たす、従来よりコンパクトな構造の高周波回路を見つけ出すことにより、小型化が容易で、安定した品質を確保し易いバンドパスフィルタを実現すること」と言うことができる。
【0024】
2.本発明の着想
異なるインピーダンス間をリアクタンス成分を利用して所望の周波数でマッチングする場合、所望の周波数では効率良く伝送し、その他の周波数では比較的伝送し難くなると言ったフィルタ特性が得られる。従って、測定系のインピーダンス(50Ω)から異なるインピーダンスに変換し、更にこれを戻す(即ち、逆へ再度変換し直す)形の対称2ポート回路を構成すれば、フィルタ特性が得られると考えた。
【0025】
例えば、片側か接地された1つのキャパシタンス(Cb)の他端が1つのポート(Port2)に直接接続されている場合、その接地点から見たそのポート(Port2)の反射波の周波数特性はスミス・チャートの最外周をオープン(R=∞)からショート(R= 0)に向かって下側から移動する。キャパシタ(Ca)に伝送線路を接続した場合、周波数特性はスミス・チャート上の最外周をオープンから移動する。しかし、信号を入力することはできない。
【0026】
そこで、図3の様に、カップリングライン(線路A)を加えると、ポート1から信号を入力することができる。また同時に、ポート2からの信号はポート1に僅かに伝送されるため、ポート2から見たインピーダンスはスミス・チャートの内側に入る様になる(図4)。
図4は、図3の回路の反射特性(即ち、ポート2における反射係数Sa)に関するシミュレーション結果を例示するスミス・チャートである。グラフは、入力信号が4GHz〜8GHzの場合を示している。また、その曲線上の略中央に位置しているマーカーm1(黒塗りの逆三角形の印)は、5.8GHzの信号に対する反射特性を示している。
以上の様にして、低インピーダンスを実現することができた。
【0027】
一方、対称回路が効率よく信号を伝送するのは、その対称面でコンジュゲート・マッチ(インピーダンス整合)した場合である。本発明において検討対象としている高周波回路は左右対称であるので、この条件は反射係数Saが実数であることを意味する。即ち、反射係数Saは、純抵抗のインピーダンスを示すべきである。
そこで、図5(a)に示す様に、フィルタ回路の対称面の近傍にインダクタンス成分を加えた。
【0028】
図6は、図5(a)の回路(フィルタ回路の左半分)における、反射特性(Sa)に対する効果を示すスミス・チャートである。この様に、インダクタンス成分の作用を利用して、反射係数Saをスミス・チャートの横軸(実数軸)上に移動させることにより、左右対称のフィルタ回路の対称面でコンジュゲート・マッチさせることができる。即ち、この様な手段により、伝送効率の高いバンドパスフィルタを構成することができる。
【0029】
尚、上述の図5、図6では、誘導性の反射の状態を示しているが、後述する様に容量性の反射(図13、図14)の場合にも、略同様の作用効果を得ることができる。即ち、図1の接地回路B3のインダクタンスをキャパシタンスに置き換た構成とすることも可能である。
【0030】
3.シミュレーションによる有効性の検証
図7は、前述の図5(a)の対称2ポート回路に、前述の「位相条件1」を課した回路(論理的な1構成例)を例示する回路図である。また、図9は、この図7の回路(高周波回路10)の偶励振に対応する回路(図8(a))に関するシミュレーション結果と、奇励振に対応する回路(図8(b))に関するシミュレーション結果をそれぞれ例示するスミス・チャートである。
【0031】
図9におけるマーカーm3(下方)は、偶励振時における回路(図8(a))の反射係数(λ1)を、マーカーm5(上方)は、奇励振時における回路(図8(b))の反射係数(λ2)をそれぞれ示している。ただし、シミュレーションした入力信号の周波数はそれぞれ5.8GHzとした。
この様に、偶励振時、奇励振時の反射係数の虚数成分は、それぞれ−j,jとなり、図7の対称2ポート回路が、位相条件1を満たすことが判った。
【0032】
以上の理論から、図7の対称2ポート回路(高周波回路10)によって、上記の条件を満足する左右対称なフィルタ回路(バンドパスフィルタ)が構成できることが判る。
【0033】
図7の諸変数D,Zm2,Zm3,Zm4等は、任意の手順で決定して良い。例えば、図中のインピーダンスZm2,Zm3を先に適当に与えてから、上記のインピーダンスZm4と結合長Dを求める場合、対称2ポート回路の固有値理論に従って、奇励振時の境界条件(Im(λ1)=−j)からDを解析的に求めることができる。そして、更にこの長さDと偶励振時の境界条件(Im(λ2)=j)からZm4を解析的に求めることができる。例えば、図1の高周波回路100では、Zm2=Ca,Zm3=Cbを先に適当に与えてから、その他の値を決定(最適化)することが可能である。ただし、先に与えたZm2,Zm3の値の組に対して、好適解又は実用的な解が存在しない場合も有り得るため注意を要する。
また、これらの諸定数D,Zm2,Zm3,Zm4等は、適当に調整しながら実験的に決定したり、或いはシミュレーションで決定したりしても良い。
【0034】
図10は、上記の高周波回路10に係わるシミュレーション結果を具体的に例示するグラフである。
例えば、図10に例示される以上のシミュレーション結果等からも、左右対称の2ポート高周波回路10(図7)は、バンドパスフィルタとしての良好な特性を示すことが判る。
【0035】
4.応用理論
(応用理論1)
図11はキャパシタンスCbを可変にした際の高周波回路(左半分)の構成例を示す回路図であり、図12はこの高周波回路の作用を示すスミス・チャートである。
【0036】
前述の追加されたインダクタンス成分の作用によりスミス・チャートの横軸(実数軸)上に移動(変換)される点の周波数、即ち、この変換の対象となる点の周波数は、キャパシタンスCbの値に大きく依存する。例えば、図12ではマーカーm1(5.8GHz)が、前述のインダクタンスの作用によりスミス・チャートの横軸(実数軸)上に移動(変換)されるが、この位置に対応する周波数は、Cbの値を適当に変化させることにより変化する。
即ち、 この様な作用により、キャパシタンスCbを可変にすることで、スミス・チャートの横軸(実数軸)上に移動(変換)される点の周波数を選択的に変更することが可能となる。
【0037】
例えば上記の様に、Caの値を固定した状態でCbの値を変化させた場合、シミュレーションによる検証の結果、1.5GHz〜2.7GHzの周波数帯域を対象(選択範囲)としたチューニングが、反射−18dB以下で実施できることが確認された。即ち、上記の様なリアクタンス成分に対する調整手段の導入により、フィルタ回路の透過周波数を広い周波数範囲内でチューニングすることが容易となる。
【0038】
(応用理論2)
図13は、接地回路B3をキャパシタで構成した際の高周波回路(左半分)の構成例を示す回路図であり、図14は、この高周波回路の作用を示すスミス・チャートである。
例えばこの様に、左右を分ける対象面近傍に配置する接地回路B3(図1)のリアクタンス成分をキャパシタで実現しても良い。図13の反射係数Sa′が誘導性になる場合に、接地回路B3を容量にすることで、反射係数Saを純抵抗にすることができる。この様な構成は、例えば、カップリング・ラインの結合長Dが長い場合等に有効である。
【0039】
より一般には、図1の下段回路B0のリアクタンス成分を以下の〔方式1〕や〔方式2〕の様に具現することが可能であり、これらのパラメータを用いて回路特性を好適或いは最適に調整した場合においても、上記と略同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
〔方式1〕
接地回路B1及びB2に、キャパシタンスを持たせ、且つ、接地回路B3にインダクタンスを持たせる方式。この方式2は、前述の式(2)の(λ1,λ2)=(−j,j)成る解に対応する方式である。
〔方式2〕
接地回路B1、B2、及びB3に、キャパシタンスを持たせる方式。この方式2は、前述の式(2)の(λ1,λ2)=(j,−j)成る解に対応する方式である。
【0041】
(応用理論3)
本応用理論3では、フィルタの伝送特性を狭帯域化する応用理論について説明する。この技術は、前述の本発明の第5及び第6の手段(請求項5、6)に基づいたものである。伝送特性を狭帯域化することの目的は、勿論一般には、ノイズ等の不要な電波の除去であるが、例えばDSRC等の分野では、現在多数の種類のアプリケーションが検討・研究されており、使用する周波数帯域に対して非常に接近する別の周波数帯が他のアプリケーションによって使用されるケースが十分に考えられるため、今後この技術は、例えばこれらの通信処理の分野等で、非常に有用な手段になるものと期待できる。
【0042】
例えば上記の様な場合に、狭帯域化したい周波数帯の中心周波数をfn とし、その前後に接近する別の周波数帯の略中心の周波数をfn-1 、fn+1 (fn-1 <fn <fn+1 )とする。
この時、伝送したい(狭帯域化したい)所望の周波数fn では、理想的にはフィルタにより損失なく伝送され、反射されないことが望まれる。この理想的な条件は、前述の式(1)よりもより一般には、次式(3)にて表現することができる。
【0043】
【数3】
S11=S22=0,
|S12|=|S21|=1 …(3)
更に、図2の表現に従えば、上記の条件は、次式(4)によっても表現することができる。
【数4】
(λ1 +λ2 )/2=0,
(λ1 −λ2 )/2=exp(jθ2 ) …(4)
【0044】
しかし、実際の回路では、反射や損失が存在する。そこで、反射率をα(0<α<1)、透過率をβ(0<β<1)とすると、実際の回路における上記の理想的な条件は、次式(5)に書き換えられる。
【数5】
(λ1 +λ2 )/2=α・exp(jθ1 ),
(λ1 −λ2 )/2=β・exp(jθ2 ) …(5)
ただし、ここで、「β≒1≫α≒0」である。
【0045】
したがって、式(5)より次式(6)を得る。
【数6】
λ1 ≒β・exp(jθ2 ),
λ2 ≒−β・exp(jθ2 )=β・exp{j(θ2 ±π)} …(6)
即ち、偶励振での固有値λ1 と奇励振での固有値λ2 とは、互いに大きさが略同じ(β)で、位相が略180°ズレている必要がある。
即ち、この条件は、前述の「位相条件1」に一致する。
【0046】
一方、伝送したくない(抑圧したい)周波数fn-1 ,fn+1 では、次式(7)が成り立つことが望まれる。
【数7】
S11=S22=γ・exp(jθ3 ),
S12=S21=η・exp(jθ4 ) …(7)
ただし、ここで、「γ≒1,η≒0」である。
【0047】
偶励振での固有値λ1 と奇励振での固有値λ2 を用いて、式(7)を書き直せば、次式(8)を得る。
【数8】
(λ1 +λ2 )/2=γ・exp(jθ3 ),
(λ1 −λ2 )/2=η・exp(jθ4 ) …(8)
したがって、「γ≒1,η≒0」より、周波数fn-1 ,fn+1 に対してそれぞれ次式(9)が成り立てば、フィルタを透過させたい所望の周波数帯域(中心周波数fn )の前後に接近する別の周波数帯の伝送を抑制することができる。
【数9】
λ1 ≒γ・exp(jθ3 ),
λ2 ≒γ・exp(jθ3 ) …(9)
【0048】
ここで、θ3 は任意で良い。したがって、偶励振での固有値λ1 と奇励振での固有値λ2 とは、互いに大きさも位相も略一致していれば良い。即ち、接近する別の(前後の)周波数帯の伝送を抑制するための条件は、それらの周波数fn-1 ,fn+1 に対して、それぞれ次式(10)で与えられる。
【数10】
λ1 ≒λ2 …(10)
【0049】
我々は、所望の周波数fn に対して前述の「位相条件1」を成立させると同時に抑圧したい周波数fn-1 ,fn+1 に対して、それぞれ式(10)を満たすことが、前述の本発明の第5の手段により可能となることを発見した。即ち、本発明の第5の手段によれば、伝送すべき所望の周波数帯(中心周波数=fn )の前後に接近する別の周波数帯の略中心の周波数fn-1 、fn+1 (fn-1 <fn <fn+1 )の伝送を十分に抑圧することにより、伝送すべき所望の周波数帯の狭帯域化を効果的に実施することができることが判明した。
【0050】
図20は、本発明の第5の手段を用いたバンドパスフィルタ(後述の第3実施例の高周波回路300)の論理的な構成を示す回路図である。本バンドパスフィルタ(高周波回路300)は、前述の図1の高周波回路100と殆ど同じものであり、高周波回路100との唯一の差異は、左上回路A1と右上回路A2とをキャパシタンスCcで接続した点にある。
【0051】
図21は、高周波回路300の(a)偶励振時に対応する論理的な回路構成を示す回路図と、(b)奇励振時に対応する論理的な回路構成を示す回路図である。本図21(a)の偶励振時の回路は、図8(a)の偶励振時と全く等価な回路となるが、本図21(b)の奇励振時の回路は、図8(b)の奇励振時の回路に対して、キャパシタンス2CcがキャパシタンスCaに並列に追加・接続された形になる。
【0052】
例えば、図20のカップリング線路A,Bの各線路幅を50μm、カップリング長を2420μm、両線路間の隙間の幅(ギャップ)を50μmとし、回路中央のキャパシタンスCcを0.03pFとし,接地回路B3のインダクタンスをL=0.094nHとし、かつ、その他のキャパシタンスをCa=Cb=0.5pFと設定した場合、この高周波回路300に関するシミュレーションの結果、透過させたい所望の周波数fn =5.9GHzに対しては、図9と略同等の反射特性(反射係数)を示すことが判った。即ち、この条件下では、前述の式(6)が満たされ、前述の「位相条件1」が成立する。
【0053】
また、抑圧したい周波数fn-1 =5.1GHzと、fn+1 =7.3GHzに対しては、この高周波回路300に関する同様のシミュレーションの結果、図9の反射係数の位相(電気角)が概ね150°〜175°となる位置で、上記の式(10)が略満たされることが判った。即ち、この高周波回路300においては、これらの周波数fn-1 、fn+1 の信号の透過が効果的に抑制される。
【0054】
【発明の効果】
以上の本発明の作用(上記の理論とシミュレーション結果)から、前記の本発明の手段を用いれば、上記の作用原理に基づいた以下の効果が得られることが判る。
(効果1)
前述のスミス・チャート(図4)等からも分かる様に、本発明は、2ポート高周波回路(目的のバンドパスフィルタ)の特性を低インピーダンスに移行させる働きと、反射係数をスミス・チャートの内側に入れる働きとを実現するものであるので、従来から多用されてきた1/4波長線路よりも短い線路から構成することができる。このため、本発明の手段によれば、バンドパスフィルタの小型化が容易となる。
【0055】
(効果2)
例えば図1に例示されるバンドパスフィルタ100の様に、本発明の手段によれば、線路(金属パターンなど)のみでフィルタ回路を形成することができる。これにより、バンドパスフィルタを多層基板中に内装することも容易となる。また、本発明のバンドパスフィルタは、実装基板そのものの中に内装できるので、ボード上に実装面積を確保する必要がなく、更に、本発明のバンドパスフィルタが内装された実装基板の上に他の部品を実装することも可能である。
したがって、本発明のバンドパスフィルタを利用すれば、製品の省スペース化や低価格化が容易となる。
【0056】
(効果3)
例えば図1に例示されるバンドパスフィルタ100の様に、本発明の手段によれば、単一層の1平面上にフィルタ回路を形成することができる。したがって、有機基板を用いてフィルタ回路を形成する場合でも、基板の厚みに対するバラツキを設計時に考慮する必要がなくなる。また、基板の厚みに対するバラツキが回路特性に影響しないので、各個体間の回路特性に大きなバラツキが生じることもなく、よって、量産した場合でも安定した品質が期待できる。
【0057】
(効果4)
キャパシタンスCbを変化させれば、例えば図12に図示したインダクタンス成分の作用で横軸(実数軸)上に変換される周波数を変化させることができる。この時、結合線路(線路Aと線路Bによるカップリング)の結合度が弱いと、キャパシタンスCbを変化させてもフィルタ回路の反射係数のS11成分はあまり変化しない。したがって、伝播信号の周波数を幅広い周波数範囲内でチューニングすることができる。このため、本発明のバンドパスフィルタは、ソフトウェア無線機やマルチモード機のフロントエンド部分に有用である。
【0058】
また、Cbを変化させることによって、反射係数(S11)が影響を受けて、反射量が低下する場合にも、Caを変化させることで、この反射量の低下を抑止することかできる。したがって、更にこのような調整手段を備えれば、上記のチューニング範囲を更に拡大することが可能または容易となる。
【0059】
(効果5)
また、上層及び下層にグランドを有する3層構造のトリプレートストリップ線路の中層に上記の2ポート高周波回路を形成すれば、このバンドパスフィルタはグランドに挟まれているため放射しないと言う利点を得ることができる。即ち、本発明は、この様な利点を有するバンドパスフィルタの設計を極めて容易にする回路構造を与えるものである。
【0060】
(効果6)
また、左上回路A1と右上回路A2とをキャパシタンスCcで接続することにより、伝送すべき所望の周波数帯(中心周波数=fn )の前後に接近する別の周波数帯の略中心の周波数fn-1 、fn+1 (fn-1 <fn <fn+1 )の伝送を十分に抑圧することができ、これにより、伝送すべき所望の周波数帯の狭帯域化を効果的に実施することができる。
【0061】
したがって、この様な狭帯域化技術によれば、ノイズ等の不要な電波の除去が容易に実施できる。また、接近する別の周波数帯が他のアプリケーションによって使用されるケースが十分に考えられるため、今後この技術は、例えばこれらの通信の分野等で、非常に有用な手段になるものと期待できる。
また、左上回路A1と右上回路A2との間に設ける上記のキャパシタンスCcを可変とすることにより、透過させるべき所望の周波数帯の帯域幅等を運用時に動的に調整(最適化)することも可能となる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
図15は、本発明の第1実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路100)の論理的な構成を示す回路図である。即ち、本図15の高周波回路100は、図1のものと論理的な構成としては、同等のものである。
【0063】
図16は、このバンドパスフィルタ(高周波回路100)の物理的な構成を示す平面図である。図16(a)は有機基板の表面上に形成された金属パターンを示しており、入出力線路に連結されたポート1の表側が現れている。
また、図16(b)は有機基板の内部に形成された高周波回路100の本体部分であり、線路(金属パターン)のみから形成されている。Hはこの有機基板に内装された高周波回路100自身の高さ、Wはその左右の幅を示しており、本第1実施例の高周波回路100では、凡そH=3.4mm,W=12mmと成っている。
【0064】
図17は、高周波回路100に係わる実験結果を具体的に例示するグラフであり、(a)は伝送特性を示しており、横軸(実数軸)は周波数(4.0〜8.0GHz)、縦軸はdB(S21)である。また、(b)は反射特性を示しており、横軸(実数軸)は周波数(4.0〜8.0GHz)、縦軸はdB(S11)である。
これらの測定結果からも、本発明の有効性(前記の効果)が確認できる。
【0065】
(第2実施例)
図18は本第2実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路200)の物理的な構成を示す平面図である。本高周波回路200は、図1のものと論理的な構成としては、同等のものであり、キャパシタンスCa,Cbを実現する素子としてチップコンデンサーを用いている点が特徴である。
図19は高周波回路200に係わる実験結果を具体的に例示するグラフである。これらの測定結果からも、本発明の有効性(前記の効果)が確認できる。
【0066】
(第3実施例)
図22、図23は、本第3実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路300′)の物理的な構成をそれぞれ示す平面図及び断面図である。この高周波回路300′は、第1実施例の高周波回路100(図16)と酷似の構造を有するものであり、高周波回路100との主な差異は、左上回路A1と右上回路A2とをキャパシタンスCcで接続した点にある。図22では横長の楕円で囲んで図示する様に、そのキャパシタンスCcがカップリング線路で構成されている。
【0067】
尚、図22で示される平面回路は、図23の中段の層(上層及び下層にグランドを有する3層構造のトリプレートストリップ線路の中層)として形成したものである。
また、使用するメタルの種類としては、金(Au)が伝導率等の面で優れているが、銅、アルミニウム、またはこれらの合金、或いは、これらを多層構造化したメタル等を使用することができる。
【0068】
図22中のHは、比誘電率が3.4の有機基板に内装された上記の中層から成る高周波回路300′自身の幅、Wはその長さを示しており、本第3実施例の高周波回路300′では、凡そH=4.54mm,W=11.6mmと成っている。また、上記のカップリングにより生成されるキャパシタンスCcの値は、0.02pF〜0.03pFである。この値Ccはカップリング長等により、適当に調整することができる。
【0069】
図22では、キャパシタンスCcを構成するカップリング線路の各線路幅を100μm、両線路間の隙間の幅(ギャップ)を50μmとし、a2=2.50mm,a3=1.79mmと設定することによりショートスタブを利用した接地回路B3のインダクタンスを生成し、かつ、その他のキャパシタンスをCa=Cb=0.5pFに設定したプロトタイプの模式的な回路図を図示している。図中のカップリング長a1は、例えば410μm程度で良い。
また、カップリング線路A,B(図20)に対応する部位のカップリングの各線路幅を110μm、カップリング長を3490μm、両線路間の隙間の幅(ギャップ)を50μmとした。また、キャパシタンスCa,Cb(合計4箇所)の各カップリングのカップリング長は1300μmm、線路幅は300μmであり、ギャップは50μmとした。
【0070】
図24は、この高周波回路300′の電磁界シミュレーションの結果を具体的に例示する伝送特性のグラフである。3つのグラフは、上記のキャパシタンスCcの値が、それぞれ以下の場合のものである。
i)Cc=0.00pF(カップリング無し)
ii)Cc=0.02pF
iii)Cc=0.03pF
これらのキャパシタンスCcの値は、図中のカップリング長a1などにより所望の値に調整することができる。
【0071】
この電磁界シミュレーションの結果より、次のことが判る。
(1)キャパシタンスCcを設けることにより、伝送特性が急峻になる。
(2)キャパシタンスCcの値をパラメータとして、最も抑圧したい周波数(fn-1 またはfn+1 )をチューニングすることができる。
(3)キャパシタンスCcの値を変えても、伝送周波数fn の値は殆ど変化しない。
【0072】
また、例えば上記の高周波回路300′の様に、キャパシタンスCcの値を0.02pF〜0.03pFとした場合、4.9GHz付近に減衰極(抑圧したい周波数帯の略中心fn-1 )が設置されるため、例えば5.8GHz帯を使用するETC等のDSRCアプリケーションを実現する上で非常に有用となる。接近する4.9GHzは、現在屋外LAN等のアプリケーション等が現在研究・開発されている周波数帯域であり、例えば、これらの屋外LANアプリケーションと、上記の所望のETCシステムとの混信を回避するために、図23の設定(Cc=0.02pF〜0.03pF)は都合がよい。
【0073】
(その他の変形例)
図25は、上記の高周波回路300′において、以下の設定条件下で電磁界シミュレーションを行った際の伝送特性のグラフである。
(a)
Ca=0.5pF
Cb=0.5pF
Cc=0.03pF
(b)
Ca=0.5pF
Cb=0.6pF
Cc=0.03pF
【0074】
例えば、この様に、上記の高周波回路300′においても、キャパシタンスCbの値を変えることにより、伝送したい所望の周波数帯域(中心周波数fn )を調整することが可能である。
即ち、本発明の第5或いは第6の手段によれば、所望の周波数帯を効率よく伝送すると共に、その伝送特性が急峻なバンドパスフィルタを容易かつ低コストで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるバンドパスフィルタの論理的な1構成例(高周波回路100)を示す回路図。
【図2】本発明に係わる2ポート・バンドパスフィルタの理想的な位相条件を示すスミス・チャート。
【図3】本発明の着想を説明する回路図。
【図4】図3の回路の反射特性(Sa)に関するシミュレーション結果を例示するスミス・チャート。
【図5】本発明の着想を説明する回路図。
【図6】図5の回路におけるインダクタンス成分の反射特性(Sa)に対する効果を示すスミス・チャート。
【図7】本発明に係わるバンドパスフィルタの論理的な1構成例(高周波回路10)を示す回路図。
【図8】図5の回路(a)に、「位相条件1」を課した回路図。
【図9】図8の回路(a),(b)に対するスミス・チャート。
【図10】高周波回路10に係わるシミュレーション結果を具体的に例示するグラフ。
【図11】キャパシタンスCbを可変にした際の高周波回路(左半分)の構成例を示す回路図。
【図12】キャパシタンスCbを可変にした際の高周波回路(左半分)の作用を示すスミス・チャート。
【図13】接地回路B3をキャパシタで構成した際の高周波回路(左半分)の構成例を示す回路図。
【図14】接地回路B3をキャパシタで構成した際の高周波回路(左半分)の作用を示すスミス・チャート。
【図15】本発明の第1実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路100)の論理的な構成を示す回路図。
【図16】本発明の第1実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路100)の物理的な構成を示す平面図。
【図17】高周波回路100に係わる実験結果を具体的に例示するグラフ。
【図18】本発明の第2実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路200)の物理的な構成を示す平面図。
【図19】高周波回路200に係わる実験結果を具体的に例示するグラフ。
【図20】本発明の第3実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路300)の論理的な構成を示す回路図。
【図21】高周波回路300の(a)偶励振時に対応する論理的な回路構成を示す回路図、及び、(b)奇励振時に対応する論理的な回路構成を示す回路図。
【図22】本発明の第3実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路300′)の物理的な構成を示す平面図。
【図23】本発明の第3実施例のバンドパスフィルタ(高周波回路300′)の物理的な構成を示す断面図。
【図24】高周波回路300′に係わる電磁界シミュレーションの結果を具体的に例示するグラフ。
【図25】その他の変形例に係わる電磁界シミュレーションの結果を具体的に例示するグラフ。
【符号の説明】
100,200,300,300′,10 … バンドパスフィルタ(2ポート高周波回路)
1 … ポート(Port1)
2 … ポート(Port2)
[S],S … S行列(散乱行列、特性行列等とも呼ばれる)
[P],P … S行列の固有ベクトルから成る行列
Sik… S行列の第i行第k列の成分(i=1,2;k=1,2)
λn … S行列の固有値(n=1,2)
j … 虚数単位
A … ポート1とキャパシタンスCaとを接続する線路
A1 … 左上回路
A2 … 右上回路
B0 … 下段回路
B1 … 左側に位置する接地回路
B2 … 右側に位置する接地回路
B3 … 中央に位置する接地回路
B … 接地回路B1と接地回路B3とを接続する線路
B′ … 接地回路B2と接地回路B3とを接続する線路
Ca … キャパシタンス
Cb … キャパシタンス
Cc … キャパシタンス(本発明の第5の手段)
Sa … ポート2の反射係数
Sa* … Saの複素共役

Claims (6)

  1. 入力ポート1と出力ポート1′を有する2ポート高周波回路であって、
    入力ポート1には、線路AとキャパシタンスCaとがこの順に直列接続されており、当該キャパシタンスCaの他端は接地されており、
    出力ポート1′には、線路A′とキャパシタンスCa′とがこの順に直列接続されており、当該キャパシタンスCa′の他端は接地されており、
    キャパシタンスCb、線路B、線路B′及びキャパシタンスCb′がこの順に直列接続され、且つ当該キャパシタンスCb及びキャパシタンスCb′の他端は接地されており、
    前記線路B及び前記線路B′の接続点に、インダクタンス成分である線路又はインダクタンスが接続され且つその接続されたインダクタンス成分である線路又はインダクタンスの他端が接地されており、
    前記線路Aと前記線路B、並びに前記線路A′と前記線路B′は、各々、少なくとも各一部が互いに略平行に配線されることにより、結合線路を構成しており、
    前記キャパシタンスCaとCa′の回路定数が等しく、前記キャパシタンスCbとCb′の回路定数が等しく、前記線路AとA′の回路定数が等しく、前記線路BとB′の回路定数が等しく、且つ前記線路A及び前記線路Bが構成する結合線路と、前記線路A′及び前記線路B′が構成する結合線路の回路定数が等しいことを特徴とするバンドパスフィルタ。
  2. 前記キャパシタンスCa及びCa′並びにCb及びCb′を基板上又は基板内に配線した線路で構成したことを特徴とする請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
  3. 前記キャパシタンスCa及びCa′並びにCb及びCb′を可変としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンドパスフィルタ。
  4. 上層及び下層にグランドを有する3層構造のトリプレートストリップ線路の中層に前記2ポート高周波回路を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  5. 前記線路A及びキャパシタンスCaの接続点と、前記線路A′及びキャパシタンスCa′の接続点とをキャパシタンスCcで接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のバンドパスフィルタ。
  6. 前記キャパシタンスCcを可変としたことを特徴とする請求項5に記載のバンドパスフィルタ。
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