JP3947918B2 - 金属焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属焼結体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、磁歪合金、磁石合金などの機能材料、超硬合金、サーメットなどの工具材料、粒子分散型複合材料、繊維強化型複合材料などの複合材料等、金属を含む各種の材料からなる金属焼結体、及びこれらの材料からなる長尺の金属焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結法は、粉末を圧縮し、これを高温に加熱して焼き固めることにより焼結体を得る方法である。金属の焼結方法としては、例えば、金属粉末に圧力を加えて成形体を得て、さらに焼結炉で焼結をする常圧焼結法、ダイに充填された金属粉末をパンチで加圧しながらパンチ間に電流を流し、ジュール熱によって金属粉末自身を発熱させる通電焼結法などが知られている。
【0003】
これらの中でも、通電焼結法は、他の方法に比して焼結時間を短縮することができ、しかも加圧によって緻密化が促進されるという利点がある。そのため、通電焼結法は、高度な組織制御が要求される磁歪合金、磁石合金等の機能材料、従来の方法では焼結が困難であった粒子分散型複合材料、繊維強化型複合材料等の複合材料などの焼結方法として注目されている。
【0004】
また、この方法は、従来の方法では接合が困難であった材料の接合方法にも応用されている。例えば、特開2002−35955号公報には、接合面の表面粗さを30μm〜200μmの粗面とし、この接合面同士を接触させ、接合面と直交方向に通電加圧することを特徴とするアルミニウム合金複合部材の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
常圧焼結法は、焼結時に加圧が不要であるので、生産効率が高いという利点がある。しかしながら、例えば、金属粉末を用いて柱状の成形体をプレス成形する場合において、幅方向の寸法に対する高さの比率(アスペクト比)が大きくなると、成形体内部の密度勾配が大きくなる。このような成形体を加熱すると、成形体密度の高い両端部分より成形体密度の低い中央部分の方が大きく収縮する。そのため、この方法では、寸法精度の高い焼結体は得られない。
【0006】
また、常圧焼結法を用いて高密度の焼結体を製造する場合において、出発原料として用いる金属粉末の表面に酸化被膜が形成されているときには、成形前に金属粉末の表面から酸化被膜を除去する工程が必要となる。さらに、金属粉末の表面に強固な酸化被膜が形成される合金系や、異種材料を添加した複合材料等については、常圧焼結法により高密度の焼結体を得るのは困難である。
【0007】
これに対し、通電焼結法は、通電と同時に金属粉末が加圧されるので、焼結時に金属粉末の表面に形成された酸化被膜が破れ、清浄な面が露出しやすい。また、異種材料を含む場合であっても、加圧によって焼結が促進される。そのため、金属粉末の表面に形成された酸化被膜の除去が困難な合金系や複合材料等であっても、高密度の焼結体を得ることができる。
【0008】
しかしながら、通電焼結法は、パンチを介して金属粉末への通電が行われるので、温度分布が不均一になりやすい。すなわち、パンチ近傍の部分は、相対的に高温に加熱されるが、パンチから離れた中央部分は、電流がダイに分散して流れるために、温度が上がりにくい。そのため、焼結体のアスペクト比が大きくなるほど、各部の加熱履歴が不均一となり、焼結体の密度及び/又は組織が不均一となる。
【0009】
また、通電焼結法においては、金属粉末に対して一軸加圧が行われるので、ダイと金属粉末との間に摩擦が発生する。この摩擦の大きさは、パンチ近傍では大きく、パンチから離れるほど小さくなる傾向がある。また、摩擦が大きくなるほど、パンチによる加圧力が金属粉末に伝達されにくくなる。そのため、成形体のアスペクト比が大きくなると、中央部に焼結不良が発生し、健全な焼結体は得られない。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、高い焼結体密度と高い寸法精度を有する金属焼結体、及び、その材質によらずこのような焼結体を製造可能な金属焼結体の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、アスペクト比が大きく、かつ密度及び/又は組織が均一な金属焼結体、及び、その材質によらずこのような焼結体を製造可能な金属焼結体の製造方法を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、アスペクト比が大きく、かつ焼結不良のない健全な金属焼結体、及び、その材質によらずこのような焼結体を製造可能な金属焼結体の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る金属焼結体は、第1金属を含む第1層と、該第1層より高い比抵抗を有し、かつ前記第1金属と同一又は異なる組成を有する第2金属を含む第2層とが隣接するように、前記第1層と前記第2層とを積層して積層体とし、該積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体に電流を通電することにより得られるものからなる。
【0014】
また、本発明に係る金属焼結体の製造方法は、第1金属を含む第1層と、該第1層より高い比抵抗を有し、かつ前記第1金属と同一又は異なる組成を有する第2金属を含む第2層とが隣接するように、前記第1層と前記第2層とを積層する積層工程と、該積層工程で得られた積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体に電流を通電する焼結工程とを備えていることを要旨とする。
【0015】
この場合、前記第1層は、前記第1金属を含む第1焼結体又は、前記第1金属を含むバルク体が好ましい。また、前記第2層は、前記第2金属を含む金属粉末、前記第2金属を含む成形体、又は前記第2金属を含み、かつ前記第1層より高い比抵抗を有する第2焼結体が好ましい。
【0016】
比抵抗の異なる第1層及び第2層を隣接させた積層体に対し、圧力を加えながら電流を通電すると、比抵抗の高い第2層において相対的に高いジュール熱が発生する。そのため、積層体のアスペクト比が大きい場合であっても、加熱履歴を均一化することができる。また、比抵抗の低い第1層は、第2層より相対密度が高いので、第1層とダイとの間に発生する摩擦力は小さい。そのため、積層体のアスペクト比が大きい場合であっても、焼結時に第2層に対して加圧力が確実に伝達され、焼結不良の発生を抑制することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る金属焼結体は、後述する本発明に係る製造方法により得ることができる。本発明において、金属焼結体の材質は、特に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る製造方法は、焼結が容易な易焼結性材料に限らず、従来の方法では焼結が困難な難焼結性材料に対しても適用可能である。また、単一材料に限らず、異種材料を含む複合材料に対しても適用可能である。
【0018】
本発明に係る金属焼結体の材質の具体例としては、Ni、Ni−Co合金、Ni−Fe合金、Tb−Fe合金、Dy−Fe合金、Er−Fe合金、Tm−Fe合金、Sm−Fe合金、Tb−Dy−Fe合金、Tb−Dy−Fe−Cr合金などの磁歪合金、Sm−Co合金、Nd−Fe−B合金、Sm−Fe−N合金、Mn−Al−C合金、Fe−Cr−Co合金などの磁石合金、超硬合金、サーメットなどの工具材料等を例示することができる。
【0019】
また、金属焼結体の材質の他の具体例としては、上述した磁歪合金、磁石合金等に微粒子を分散させた粒子分散型複合材料、磁歪合金、磁石合金等に短繊維又は長繊維を分散させた繊維強化型複合材料などの複合材料を例示することができる。
【0020】
粒子分散型複合材料において、金属焼結体中に分散させる微粒子の材質は、金属焼結体の材質、要求される特性等に応じて最適なものを選択する。例えば、金属焼結体の主相が磁歪合金からなる場合、微粒子としては、具体的には、セラミックス材料、W、Mo等を例示することができる。また、セラミックス材料としては、具体的には、アルミナ、ムライト、コーディエライト、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等を例示することができる。これらの微粒子は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0021】
この場合、微粒子の添加量は、金属焼結体の材質、用途に応じて最適な量を選択する。例えば、金属焼結体の主相が磁歪合金からなる場合、微粒子の添加量は、30vol%以下が好ましい。微粒子の添加量が30vol%を越えると、金属焼結体が本来有する特性(例えば、磁歪特性、磁気特性等。)が低下するので好ましくない。また、微粒子の添加によって金属焼結体の機械的特性を向上させるためには、微粒子の添加量は、5vol%以上が好ましい。
【0022】
繊維強化型複合材料において、金属焼結体中に分散させる繊維の材質は、金属焼結体の材質、要求される特性等に応じて最適なものを選択する。例えば、金属焼結体の主相が磁歪合金からなる場合、繊維としては、具体的には、ガラス繊維、カーボンフィラー、鉄線等を例示することができる。これらの繊維は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0023】
この場合、分散させる繊維のアスペクト比は、2以上が好ましい。アスペクト比が2未満であると、大きな補強効果は得られない。繊維のアスペクト比は、さらに好ましくは、5以上である。
【0024】
また、繊維の添加量は、金属焼結体の材質、用途に応じて最適な量を選択する。例えば、金属焼結体の主相が磁歪合金からなる場合、繊維の添加量は、30vol%以下が好ましい。繊維の添加量が30vol%を越えると、金属焼結体が本来有する特性(例えば、磁歪特性、磁気特性等。)が低下するので好ましくない。また、繊維の添加によって金属焼結体の機械的特性を向上させるためには、繊維の添加量は、5vol%以上が好ましい。
【0025】
さらに、粒子分散型複合材料には、上述した短繊維又は長繊維がさらに含まれていても良い。同様に、繊維強化型複合材料には、上述した微粒子がさらに含まれていても良い。
【0026】
また、金属焼結体は、そのアスペクト比が1以下の短尺品として使用される場合と、そのアスペクト比が1を越える長尺品として使用される場合がある。例えば、磁歪合金は、一般に棒状に加工されて使用されるが、用途によっては、アスペクト比が2以上の状態で使用される場合がある。本発明に係る製造方法によれば、このような高いアスペクト比を有し、かつ焼結不良のない健全な金属焼結体であっても製造することができる。
【0027】
また、金属焼結体は、一般に、その密度及び/又は材質が均一である方が望ましい。例えば、棒状に加工された磁歪合金の場合、棒材の上下端の密度と中央部の密度の差の絶対値を棒材の平均密度で除した値(以下、これを「密度分布」という。)は、50%以下が好ましく、さらに好ましくは、30%以下である。本発明に係る製造方法によれば、同一材質からなり、かつこのような均一な密度分布を有する金属焼結体であっても製造することができる。
【0028】
一方、金属焼結体は、その用途によっては、密度及び/又は材質が変化している方が望ましい場合がある。例えば、金属焼結体を他の部材と物理的又は化学的に接合して使用するときには、接合部に異種材料を介在させるか、あるいは接合部近傍の密度及び/又は材質を段階的又は連続的に変化させた方が好ましい場合がある。本発明に係る金属焼結体の製造方法によれば、このような密度及び/又は材質が離散的に変化しているもの、あるいは密度及び/又は材質が一端から他端に向かって段階的又は連続的に変化しているもの、のいずれであっても製造することができる。
【0029】
さらに、本発明に係る金属焼結体は、そのままの状態で使用することもできるが、その表面を被覆する被覆層をさらに備えていても良い。例えば、磁歪合金の焼結体は、その組成によっては極めて酸化しやすく、しかも表面酸化が進行すると特性が劣化する場合がある。このような場合には、金属焼結体の表面を被覆層で被覆することが望ましい。
【0030】
被覆層の材質は、金属焼結体の材質、用途等に応じて最適なものを選択する。例えば、金属焼結体の主相が磁歪合金からなる場合、被覆層としては、具体的には、樹脂層、金属メッキ(Ni、Au、Ag等)、塗装、ゴム等を例示することができる。また、被覆層は、金属焼結体の全体を被覆するものであっても良く、あるいは、一部のみを被覆するものであっても良い。さらに、被覆層の厚さは、金属焼結体の用途、要求される特性等に応じて、最適な厚さを選択すればよい。
【0031】
次に、本発明に係る金属焼結体の製造方法について説明する。本発明の第1の実施の形態に係る製造方法は、積層工程と、焼結工程と、2次工程と、被覆工程とを備えている。
【0032】
初めに、積層工程について説明する。積層工程は、第1層と、第1層より高い比抵抗を有する第2層とが隣接するように、第1層と第2層とを積層する工程である。
【0033】
第1層には、少なくとも第1金属を含むものが用いられる。「第1金属」とは、作製しようとする金属焼結体の主要部分を構成する金属層と同一組成を有するものをいう。また、第1層には、金属焼結体の組成に応じて、第1金属以外の材料(以下、これを「第1異種材料」という。)が含まれていても良い。
【0034】
例えば、金属焼結体が、上述した磁歪合金、磁性合金等の単一材料からなる場合、第1層には、作製しようとする金属焼結体と同一組成を有する第1金属のみを含むものが用いられる。また、金属焼結体が、磁歪合金、磁性合金等からなる金属マトリックスと、微粒子、長繊維、短繊維等との複合体からなる場合、第1層には、金属マトリックスと同一組成を有する第1金属と、金属焼結体に含まれる微粒子等と同一組成を有する第1異種材料とを含むものが用いられる。
【0035】
また、作製しようとする金属焼結体の組成が均一である場合、第1層もまた、均一組成を有するものが用いられる。一方、金属焼結体の組成が、離散的又は段階的若しくは連続的に変化する場合、これに応じて、第1層には、第1金属の組成、第1異種材料の組成、及び/又は第1金属と第1異種材料の比率が離散的又は段階的若しくは連続的に変化しているものを用いることができる。
【0036】
また、第1層には、第2層より相対的に低い比抵抗を有しているものが用いられる。具体的には、第1層として、第1金属を含む第1焼結体、又は第1金属を含むバルク体を用いるのが好ましい。「バルク体」とは、焼結法以外の方法(例えば、溶解、鋳造、塑性加工等。)により作製された塊状の物体をいう。
【0037】
第1層として、第1焼結体を用いる場合、その相対密度は、70%以上が好ましい。第1焼結体の相対密度が70%未満であると、比抵抗が高いために、発熱が生じるので好ましくない。また、第1焼結体の相対密度が70%未満になると、焼結時にダイとの間で発生する摩擦が大きくなり、第2層への圧力伝達が不十分となるおそれがある。第1焼結体の相対密度は、さらに好ましくは、80%以上である。なお、第1焼結体の相対密度は、第1焼結体を作製する際の焼結温度、焼結時間、加圧力等を最適化することにより制御することができる。
【0038】
また、第1層の端面の内、第2層に隣接する面は、粗面であっても良いが、平滑面である方が好ましい。第2層に隣接する面を平滑面とすると、界面における局部的な発熱を抑制することができ、密度及び組織が均一な金属焼結体を得ることができる。
【0039】
さらに、第1層の高さは、特に限定されるものではなく、作製しようとする金属焼結体に要求される特性、用途等に応じて任意に選択することができる。すなわち、金属焼結体とした後の第1層のアスペクト比(以下、これを「第1層アスペクト比」という。)は、1以下であっても良く、あるいは、第1層アスペクト比は、1を越えるものであっても良い。
【0040】
第2層には、少なくとも第2金属を含むものが用いられる。「第2金属」とは、第1金属と同一又は異なる組成を有するものをいう。第2金属の組成は、金属焼結体の組成及び第1層の組成に応じて定まる。また、第2層には、金属焼結体の組成に応じて、第2金属以外の材料(以下、これを「第2異種材料」という。)が含まれていても良い。
【0041】
例えば、金属焼結体が、磁歪合金、磁性合金等の単一材料からなる場合、第2層には、第1金属と同一組成を有する第2金属のみを含むものが用いられる。また、金属焼結体が、磁歪合金、磁性合金等からなる金属マトリックスと、微粒子、長繊維、短繊維等との複合体からなる場合、第2層には、第1金属と同一組成を有する第2金属と、第1異種材料と同一組成を有する第2異種材料とを含むものが用いられる。
【0042】
また、作製しようとする金属焼結体の組成が均一である場合、第2層もまた、均一組成を有するものが用いられる。一方、金属焼結体の組成が、離散的又は段階的若しくは連続的に変化する場合、これに応じて、第2層には、第2金属の組成、第2異種材料の組成、及び/又は第2金属と第2異種材料の比率が離散的又は段階的若しくは連続的に変化しているものを用いることができる。
【0043】
また、第2層には、第1層より相対的に高い比抵抗を有しているものが用いられる。この場合、第1層の比抵抗ρに対する第2層の比抵抗ρの比率ρ/ρ(以下、これを「比抵抗倍率」という。)は、1.1倍以上が好ましい。比抵抗倍率が、1.1倍未満であると、第2層を優先的に加熱するのが困難となり、全体の焼結温度を上げる必要が生ずるので好ましくない。比抵抗倍率は、好ましくは、1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上である。
【0044】
第2層には、具体的には、第2金属を含む粉末、第2金属を含む成形体、又は第2金属を含み、かつ第1層より高い比抵抗を有する第2焼結体を用いるのが好ましい。
【0045】
第2層として、第2金属を含む粉末を用いる場合、金属焼結体とした後の第2層のアスペクト比(以下、これを「第2層アスペクト比」という。)が0.005以上1.0以下となるように、粉末の充填量を定めるのが好ましい。第2層アスペクト比が0.005未満であると、長尺の金属焼結体を効率よく作製できないので好ましくない。一方、第2層アスペクト比が1.0を越えると、焼結時に第2層内部の圧力分布が不均一となり、焼結不良が発生するおそれがある。第2層として第2金属を含む粉末を用いる場合、第2層アスペクト比は、好ましくは、0.1以上1.0以下、さらに好ましくは、0.2以上1.0以下である。
【0046】
また、第2層として、第2金属を含む成形体を用いる場合、成形体密度は、所定の比抵抗倍率が得られるように、第1層の比抵抗、第1層及び第2層の組成、金属焼結体の形状等に応じて選択する。一般に、成形体密度が低くなるほど、比抵抗の大きな第2層が得られる。また、成形体密度は、成形に用いる粉末の平均粒径、成形圧力等を最適化することにより制御することができる。
【0047】
さらに、第2層として、第2金属を含む第2焼結体を用いる場合、第2焼結体の相対密度は、第1層の相対密度より低く、かつ所定の比抵抗倍率が得られるように、第1層の比抵抗、第1層及び第2層の組成、金属焼結体の形状等に応じて選択する。一般に、その相対密度が低くなるほど、比抵抗の大きな第2層が得られる。また、第2焼結体の相対密度は、第2焼結体を作製する際の焼結温度、焼結時間、加圧力等を最適化することにより制御することができる。
【0048】
なお、第2層として、第2金属を含む粉末又はその成形体を用いる場合、粉末は、金属焼結体の主要部を構成する金属層と同一組成を有する合金であっても良く、あるいは、そのような合金の前駆体であっても良い。さらに、粉末は、熱処理されていても良い。「前駆体」とは、完全に合金化していないが、現実的な熱処理によって所望の組成を有する合金となり得るものをいう。このような前駆体としては、具体的には、機械的合金化処理された粉末、混合された粉末、超急冷粉末、アモルファス粉末等を例示することができる。
【0049】
また、第2層として、第2金属を含む成形体又は第2焼結体を用いる場合、第2層アスペクト比は、1を越えるものであっても良い。これは、成形体又は第2焼結体は、粉末に比して、相対密度が高く、焼結時にダイとの間で発生する摩擦も小さいので、第2層アスペクト比が大きくても、圧力を第2層に確実に伝達することができるためである。
【0050】
積層体は、少なくとも第1層と第2層とが隣接していれば良く、その積層順序は、特に限定されるものではない。例えば、積層体は、1個の第1層と、1個の第2層とを積層した二層構造を有するものであっても良い。また、積層体は、第1層を中心に配置し、その両側を第2層で挟んだ三層構造を有するものであっても良く、逆に、第2層を中心に配置し、その両側を第1層で挟んだ三層構造を有するものであっても良い。
【0051】
また、積層体は、第1層と第2層とを交互に積層した多層構造を有するものであっても良い。さらに、積層体は、中央部の比抵抗が最も高く、かつ両端に行くほど比抵抗が小さくなるように、比抵抗が段階的に異なる複数の層を積層した多層構造を有するものであっても良い。
【0052】
さらに、積層体は、同一かつ均一組成を有する第1層及び第2層を所定の順序で積層した多層構造を有するものであっても良い。また、積層体は、均一な組成を有する第1層と、均一な組成を有し、かつ第1層とは異なる組成を有する第2層とを所定の順序で積層した多層構造を有するものであっても良い。あるいは、積層体は、離散的又は段階的若しくは連続的に組成が変化する第1層と、離散的又は段階的若しくは連続的に組成が変化する第2層とを所定の順序で積層した多層構造を有するものであっても良い。
【0053】
図1に、積層体の第1の具体例を示す。図1において、積層体10は、上下端に配置された第1層12、12と、その中心に配置された第2層14とを備えている。積層体10の全長は、ダイ20の全長より短くなっており、積層体10の全体が、ダイ20の中央部に形成された貫通孔内に挿入されている。また、積層体10の上下端には、パンチ22、22が配置され、パンチ22、22を介して積層体10を加圧通電するようになっている。
【0054】
図2に、積層体の第2の具体例を示す。図2において、積層体30は、上下端に配置された第1層32、32と、その中心に配置された第2層34とを備えている。積層体30の全長は、ダイ20の全長より長くなっており、積層体30は、その両端を除き、ダイ20の貫通孔内に挿入されている。また、図2の例においては、第1層32、32がパンチとしても用いられており、第1層32、32を介して積層体30を加圧通電するようになっている。
【0055】
次に、焼結工程について説明する。焼結工程は、積層工程で得られた積層体を積層方向に加圧しながら、積層体に電流を通電する工程である。積層体に加える圧力の大きさ、積層体に通電する電流量等の焼結条件は、特に限定されるものではなく、第1層及び第2層の組成、金属焼結体に要求される特性等に応じて、最適なものを選択すれば良い。
【0056】
一般に、積層体に加える圧力が大きくなるほど、金属焼結体の緻密化が促進される傾向がある。また、積層体に流す電流量が多くなるほど、昇温速度が速くなり、到達温度も高くなる傾向がある。また、電流は、連続電流であっても良く、あるいは、パルス電流であっても良い。特に、パルス電流を用いて焼結を行うと、強固な酸化被膜が形成される材料や異種材料を含む複合材料等の難焼結性材料であっても容易に緻密化することができる。
【0057】
次に、2次工程について説明する。2次工程は、焼結工程で得られた金属焼結体に対し、2次処理を行う工程である。このような2次処理としては、具体的には、歪取りあるいは安定化処理のための熱処理、形状を整えるための加工及び研磨、ショットブラスとなどの表面改質等を例示することができる。なお、焼結工程で得られた金属焼結体がそのまま使用される場合には、これらの2次処理を省略しても良い。
【0058】
次に、被覆工程について説明する。被覆工程は、必要に応じて2次処理が行われた金属焼結体の表面を被覆層で被覆する工程である。被覆層としては、上述したように、樹脂層、金属メッキ、塗装、ゴム等が好適である。また、被覆層の形成方法は、特に限定されるものではなく、塗布、浸漬、吹付け、メッキ処理、スパッタ、蒸着等、被覆層の材質に応じた最適な手段を用いればよい。なお、被覆層は、得られた金属焼結体の表面を保護する必要がある場合に有効であるが、表面を保護する必要がない場合には、被覆工程を省略しても良い。
【0059】
次に、本実施の形態に係る製造方法の作用について説明する。まず、図1に示すように、第1層12、第2層14及び第1層12をこの順でダイ20の貫通孔内に挿入して積層体10とし、その上下端をパンチ22、22で支持する。次いで、パンチ22、22を用いて積層体10を加圧しながら、パンチ22、22間に電流を通電すると、第1層12、12及び第2層14がジュール熱によって発熱する。
【0060】
あるいは、図2に示すように、第1層32、第2層34及び第1層32をこの順でダイ20の貫通孔内に挿入して、積層体30とする。次いで、第1層32、32をパンチとして用いて、積層体30を加圧しながら、第1層32、32間に電流を流すと、第1層32、32及び第2層34がジュール熱によって加熱する。
【0061】
この時、本発明においては、第2層14、34の比抵抗は、第1層12、32の比抵抗より高いので、第2層14、34においてより多くのジュール熱が発生し、優先的に加熱される。そのため、第2層14、34の焼結及び/又は緻密化が優先的に進行する。また、第1層12、32は、第2層14、34に比して相対密度が高いので、加圧時に第1層12、32とダイ20との間に発生する摩擦は小さい。そのため、加圧力が第2層14、34に確実に伝達される。
【0062】
本実施の形態に係る製造方法によれば、通電と同時に加圧が行われるので、易焼結性材料に限らず、従来の方法では焼結が困難であった難焼結性材料であっても、容易に緻密化することができる。また、本実施の形態に係る製造方法によれば、組成が均一な単一材料に限らず、複合材料や、あるいは組成が離散的又は段階的若しくは連続的に変化する材料であっても製造することができる。
【0063】
また、焼結を容易化させるための前処理(例えば、出発原料の周囲に形成された酸化膜の除去)が不要となるので、製造工程が簡略化される。また、ダイで周囲を拘束しながら焼結するので、常圧焼結法に比して、寸法精度の高い金属焼結体が得られる。
【0064】
また、積層体に対して通電を行うと、相対的に比抵抗の低い第1層よりも、比抵抗の高い第2層が優先的に加熱される。そのため、パンチ近傍に第1層を配置し、かつ中央部に第2層を配置すれば、積層体の加熱履歴が均一化され、従来の方法に比して密度及び/又は組織が均一な金属焼結体が得られる。
【0065】
さらに、本実施の形態に係る製造方法において、積層体には、相対密度の高い第1層が含まれているので、粉末のみを用いる従来の方法に比して、ダイとの間の摩擦を軽減することができる。そのため、アスペクト比が1以下である短尺品に限らず、アスペクト比が2以上である長尺品であっても、焼結不良を発生させることなく緻密化することができる。また、金属間化合物は、脆いために、押出、引抜き等の塑性加工によって長尺化するのは困難であるが、本発明によれば、このような金属間化合物であっても、長尺かつ健全な焼結体を製造することができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る金属焼結体の製造方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、直列に配置した複数個のダイの貫通孔内に積層体を挿入し、積層体を加圧しながら焼結することを特徴とする。
【0067】
図3(a)〜図3(c)に、本実施の形態に係る製造方法の概略構成図を示す。図3(a)〜図3(c)において、積層体40は、直列に配置されたn個のダイ50、50、…50の貫通孔に挿入されている。各ダイは、図示しない支持装置により支持されている。
【0068】
また、各ダイ50、50、…の間には、図3(a)に示すように、所定間隔の隙間を設けて、ダイ間を空気絶縁することが好ましい。また、図3(b)に示すように、k番目のダイ50と(k+1)番目のダイ50k+1の間に、積層体40の外径にほぼ等しい内径を有する貫通孔を備えたドーナツ型の絶縁体52を介挿しても良い。あるいは、図3(c)に示すように、k番目のダイ50と(k+1)番目のダイ50k+1の間に、積層体40の外径より大きい内径を有する貫通孔を備えたドーナツ型の絶縁体54を介挿しても良い。この場合、絶縁体52、54には、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等の酸化物セラミックスを用いるのが好ましい。
【0069】
積層体40は、(n+1)個の第1層42、42、…42n+1と、n個の第2層44、44、…44が交互に積層されたものからなる。これらの内、k番目の第2層44は、それぞれ、k番目のダイ50のほぼ中央に配置されている。
【0070】
一方、k番目の第2層44と(k+1)番目の第2層44k+1の間には、これらに加圧力を伝達可能な長さを有する(k+1)番目の第1層42k+1が配置されている。また、積層体40の最上端及び最下端には、それぞれ、第1層42及び42n+1が配置されている。積層体40の全長は、直列に配置されたダイ50、50…の全長より長くなっており、第1層42、42、…を介して、第2層44、44、…に加圧力及び電流を伝達するようになっている。
【0071】
なお、その他の点については、第1の実施の形態に係る製造方法と同一であるので、説明を省略する。
【0072】
次に、本実施の形態に係る製造法の作用について説明する。互いに絶縁され、かつ直列に配置された複数個のダイ50、50…の貫通孔の中に積層体40を挿入し、積層体40を加圧通電すると、積層体40に流れる電流密度は、各ダイ50の端部近傍が高く、中心部が低くなる傾向がある。そのため、各ダイ50の端部近傍に比抵抗の小さい第1層42、42k+1、を配置し、各ダイ50の中心部に比抵抗の大きい第2層44を配置すれば、積層体40の加熱履歴が比較的均一となり、密度及び/又は組織の均一な長尺の金属焼結体が得られる。
【0073】
また、各ダイ50の端部に配置された第1層42、42k+1は、相対密度が大きいので、ダイ50との間に発生する摩擦力が小さくなる。そのため、各ダイ50の中央部に保持された第2層44に対して、加圧力が確実に伝達される。また、これによって、寸法精度が高く、焼結不良のない長尺の金属焼結体を製造できる。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
粒径500μm以下のTb粉末、Dy粉末、Fe粉末及びCr粉末を、(Tb0.5Dy0.5)(Fe0.95Cr0.05)1.8組成になるように配合し、遊星ボールミルを用いて100時間の機械的合金化処理を施した。なお、機械的合金化処理の雰囲気は、真空中とし、ボールに対する粉末の重量比は、約0.04とした。
【0075】
次に、この粉末(以下、「MA粉末」という。)7.5gをそのままダイに充填し、パルス通電焼結法を用いて予備焼結体を作製した。予備焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:40℃/min、加圧力:41.2MPa、保持温度:1200℃、保持時間:5分の条件下で行った。得られた予備焼結体は、直径:10mm、高さ:10mm、相対密度:90%、比抵抗:70μΩcmであった。
【0076】
次に、図1に示すように、黒鉛製のダイ20の貫通孔内に、予備焼結体(第1層12)、MA粉末(第2層14)及び予備焼結体(第1層12)をこの順で挿入し、その上下端を黒鉛製のパンチ22、22で支持した。なお、予備焼結体は、片面のみを研磨し、研磨面の間に、5.0gのMA粉末を挟み込んだ。
【0077】
次いで、パルス通電焼結法を用いて、予備焼結体−MA粉末−予備焼結体からなる積層体の本焼結を行った。本焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:40℃/min、加圧力:41.2MPa、保持温度:1000℃、保持時間:20分の条件下で行った。得られた金属焼結体は、直径:10mm、高さ:21mm、相対密度:95%であった。
【0078】
(比較例1)
実施例1で得られたMA粉末(7.5g)をそのままダイに充填し、パルス通電焼結法を用いて、焼結体を作製した。焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:40℃/min、加圧力:41.2MPa、保持温度:1200℃、保持時間:20分の条件下で行った。得られた焼結体は、直径:10mm、高さ:9mm、相対密度:95%であった。
【0079】
実施例1及び比較例2で得られた焼結体について、最大112kA/mの磁界を印加した際の伸びをレーザ変位計で測定した。図4に、磁界の大きさと磁歪の関係を示す。図4より、実施例1で得られた長尺品は、比較例1で得られた短尺品と同等の磁歪特性を有していることがわかる。
【0080】
(比較例2)
ダイへのMA粉末の充填量を20g(焼結後の予定寸法:直径10mm×高さ21mm)とした以外は、比較例1と同一の手順に従い、焼結を行った。得られた焼結体は、その中央部に焼結不良が発生しており、ダイから取り出す際に崩壊した。
【0081】
(実施例2)
原子比でNd:13.7%、Fe:73.5%、Co:6.7%、B:5.5%、Ga:0.6%からなる組成の合金を高周波加熱し、1500℃の溶湯とした。次いで、これを周速24m/sで回転している銅製単ロール上に注ぎ、急冷リボンとした。さらに、このリボンを粒径300μm以下に粉砕した。
【0082】
次に、得られた粉砕粉を黒鉛製のダイ及びパンチに充填し、パルス通電焼結法を用いて、予備焼結を行った。予備焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:100℃/min、加圧力:29.4MPa、保持温度:700℃、保持時間:3分の条件下で行った。得られた予備焼結体は、直径:10mm、高さ:10mm、相対密度:80%、比抵抗:150μΩcmであった。
【0083】
次に、図1に示すように、黒鉛製のダイ20の貫通孔内に、予備焼結体(第1層12)、粉砕粉(第2層14)及び予備焼結体(第1層12)をこの順で挿入し、その上下端を黒鉛製のパンチ22で支持した。なお、予備焼結体は、片面のみを研磨し、研磨面の間に、4.0gの粉砕粉を挟み込んだ。
【0084】
次いで、パルス通電焼結法を用いて、予備焼結体−粉砕粉−予備焼結体からなる積層体の本焼結を行った。本焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:100℃/min、加圧力:29.4MPa、保持温度:800℃、保持時間:5分の条件下で行った。得られた焼結体は、直径:10mm、高さ:23mm、相対密度:85%であった。
【0085】
(比較例3)
実施例2で得られた粉砕粉(7.0g)をそのままダイに充填し、パルス通電焼結法を用いて、焼結体を作製した。焼結は、10Paの減圧雰囲気下において、昇温速度:100℃/min、加圧力:300MPa、保持温度:800℃、保持時間:5分の条件下で行った。得られた焼結体は、直径:10mm、高さ:10mm、相対密度:85%であった。
【0086】
実施例2及び比較例3で得られた焼結体について、残留磁化B、保持力iH及び最大エネルギー積BHmaxを測定した。表1に、その結果を示す。表1より、実施例2で得られた長尺品は、比較例3で得られた短尺品と同等の磁気特性を有していることがわかる。
【0087】
【表1】
Figure 0003947918
【0088】
(比較例4)
ダイへの粉砕粉の充填量を18g(焼結後の予定寸法:直径10mm×高さ23mm)とした以外は、比較例3と同一の手順に従い、焼結を行った。得られた焼結体は、その中央部に焼結不良が発生しており、ダイから取り出す際に崩壊した。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0090】
例えば、上記実施例においては、円柱状の焼結体に対して本発明を適用しているが、焼結体の形状はこれに限定されるものではなく、角柱状、板状、筒状等、他の形状を有する焼結体に対しても本発明を適用することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、比抵抗の異なる第1層及び第2層を所定の順序で積層して積層体とし、この積層体に対して加圧通電を行っているので、長尺品を焼結する場合であっても、加熱履歴が均一化され、密度及び/又は組織が均一な金属焼結体が得られるという効果がある。
【0092】
また、比抵抗の異なる第1層及び第2層を積層することによって、焼結時にダイとの間に発生する摩擦力が小さくなるという効果がある。また、これによって、長尺品を焼結する場合であっても、焼結不良のない健全な金属焼結体が得られるという効果がある。
【0093】
また、加圧によって焼結が促進されるので、材質によらず、焼結体密度及び寸法精度の高い金属焼結体が得られるという効果がある。さらに、第1層として、所定の相対密度を有する焼結体又はバルク体を用いた場合には、焼結時にダイとの間に発生する摩擦力を小さくすることができ、第2層に確実に圧力を伝達できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造方法の第1の具体例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明に係る製造方法の第2の具体例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明に係る製造方法の第3の具体例を示す概略構成図である。
【図4】 実施例1及び比較例1で得られた焼結体の磁界と磁歪との関係を示す図である。
【符号の説明】
10、30 積層体
12、32 第1層
14、34 第2層
40 積層体
42、…42n+1 第1層
44、…44 第2層

Claims (11)

  1. 相対密度が70%以上である予備焼結体より形成された、第1金属を含む第1層と、該第1層が有する比抵抗の1.1倍以上の比抵抗を有し、かつ前記第1金属と同一又は異なる組成を有する第2金属を含む第2層と、前記第1層とをこの順に積層して積層体とし、
    該積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体に電流を通電することにより本焼結して得られる金属焼結体。
  2. 前記第2層は、前記第2金属を含む粉末、前記第2金属を含む成形体、又は前記第2金属を含む第2焼結体である請求項1に記載の金属焼結体。
  3. そのアスペクト比が1を越えるものである請求項1または2に記載の金属焼結体。
  4. 前記第1層及び/又は前記第2層は、セラミック材料、W及び/又はMoからなる微粒子をさらに含む請求項1から3までのいずれかに記載の金属焼結体。
  5. 前記第1層及び/又は前記第2層は、アスペクト比が2以上である繊維をさらに含む請求項1から4までのいずれかに記載の金属焼結体。
  6. その表面を被覆する被覆層をさらに備えた請求項1から5までのいずれかに記載の金属焼結体。
  7. 相対密度が70%以上である予備焼結体より形成された、第1金属を含む第1層と、該第1層が有する比抵抗の1.1倍以上の比抵抗を有し、かつ前記第1金属と同一又は異なる組成を有する第2金属を含む第2層と、前記第1層とをこの順に積層する積層工程と、
    該積層工程で得られた積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体に電流を通電し、本焼結する焼結工程とを備えた金属焼結体の製造方法。
  8. 前記第2層は、前記第2金属を含む粉末、前記第2金属を含む成形体、又は前記第2金属を含む第2焼結体である請求項7に記載の金属焼結体の製造方法。
  9. 前記第1層及び/又は前記第2層は、セラミック材料、W及び/又はMoからなる微粒子をさらに含む請求項7または8に記載の金属焼結体の製造方法。
  10. 前記第1層及び/又は前記第2層は、アスペクト比が2以上である繊維をさらに含む請求項7から9までのいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  11. 前記金属焼結体の表面を被覆層で被覆する被覆工程をさらに備えた請求項7から10までのいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
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