JP5958685B2 - 粉末成形体の製造方法、回転機用部品の製造方法、及び回転機用部品 - Google Patents

粉末成形体の製造方法、回転機用部品の製造方法、及び回転機用部品 Download PDF

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Description

本発明は、モータや発電機といった回転機の永久磁石に利用される回転機用磁石、永久磁石を具える回転機用部品、及び回転機に関する。特に、トルクの向上や励磁電圧の向上に寄与することができる回転機用磁石、回転機用部品、及び回転機に関するものである。
モータの永久磁石として、希土類磁石が広く利用されている(例えば、特許文献1の明細書0027)。希土類磁石は、Nd(ネオジム)-Fe(鉄)-B(ホウ素)といったR-Fe-B系合金(R:希土類元素)やSm(サマリウム)-Fe-N(窒素)系合金といったR-Fe-N系合金の粉末と結合樹脂との混合物を成形したボンド磁石が挙げられる。ボンド磁石は、焼結磁石に比較して、形状の自由度が高く、所望の形状に容易に成形することができる。
一方、特許文献2は、成形性に優れる上に、磁石特性に優れる希土類磁石が得られる磁石用粉末として、希土類元素とFeとを含む合金(例えば、Sm2Fe17)を水素化して、Fe含有相中に希土類元素の水素化物の相(例えば、SmH2)が離散して存在する組織を有する多相粉末を提案している。この磁石用粉末を利用することで、相対密度が高い粉末成形体が得られ、この緻密な粉末成形体に脱水素処理、適宜窒化処理を順に施すことで、磁性相の割合が高く、磁石特性に優れる希土類磁石が得られる。
特開2008-301666号公報 特開2011-137218号公報
モータや発電機といった回転機において、特性の向上が望まれている。例えば、モータではトルクの向上、発電機では、励磁電圧の向上が望まれる。
上記回転機の特性を向上する手法として、ロータとステータとの間に形成されるエアギャップ、代表的には、永久磁石の一面とコイルが配置されるティース(磁極)の端面とがつくるエアギャップを大きくすることが考えられる。
特許文献1では、モータの回転軸を法線とする円板状の面内にエアギャップが存在するアキシャルギャップ型モータを開示している。このモータは、ロータ本体を傘状とし、モータの回転軸に対してロータ本体の表面が傾斜して配置され、この傾いたロータ本体の表面に断面長方形状の永久磁石が固定されたロータと、ステータ本体を断面台形状とし、モータの回転軸に対してステータ本体の表面が傾斜して配置され、この傾いた表面に断面長方形状のティースが設けられたステータとを具える。上記構成により、永久磁石におけるエアギャップを形成する一面と、ティースにおけるエアギャップを形成する端面とがいずれもモータの回転軸に対して傾斜して配置され、結果として、エアギャップも傾斜して配置される。従って、このモータと同じ外径(=ロータ本体の外径=ステータ本体の外径)を有するモータであって、上述の永久磁石の一面とこの一面に対向配置されたティースの端面とがモータの回転軸に直交して配置された形態(以下、従来形態1と呼ぶ)と比較して、両面間に設けられるエアギャップが大きく、トルクを向上できる。しかし、ロータ本体を傘状とし、その外周縁寄りに永久磁石が配置されることで、ロータの重量バランスに偏りが生じ、この偏りによって、永久磁石が設けられたロータの外周側領域が回転軸方向に揺れて、上記エアギャップを所望の大きさに維持できない恐れがある。エアギャップを所望の大きさに維持できないことで、トルクを十分に向上できない。
一方、モータの回転軸を母線とする円筒状の外周面内にエアギャップが設けられるラジアルギャップ型モータでは、エアギャップがモータの回転軸に平行するように設けられた形態(以下、従来形態2と呼ぶ)が代表的である。この形態では、インナーロータタイプを例にすると、ロータの外径とロータにおけるモータの回転軸方向に沿った長さ(軸長)によって、エアギャップの大きさが一義に決められる。従って、エアギャップを大きくするには、ロータの外径を大きくすること、及び軸長を長くすることの少なくとも一方を行えばよいが、いずれにしても、モータの大型化を招く。従って、この形態では、モータのサイズによってトルクが制限され、トルクを向上することが難しい。
また、上述したボンド磁石は、結合樹脂が存在するため、磁性相が少なく、磁気特性に劣ることから、トルクや励磁電圧の更なる向上が難しい。
そこで、本発明の目的の一つは、トルクの向上や励磁電圧の向上に寄与することができる回転機用磁石、及び回転機用部品を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高いトルクや高い励磁電圧が得られる回転機を提供することにある。
上述の多相粉末は、成形性に優れることから、種々の形状に成形可能である。そこで、上述の多相粉末を用いて特定の形状に成形した磁石(圧粉磁石)とすることで、上記目的を達成する。
本発明の磁石は、ロータとステータとの間にエアギャップを有する回転機に用いられるものであり、希土類元素とFeとを含有する合金粉末から構成され、かつ、上記合金粉末の充填率が80体積%以上である。そして、本発明回転機用磁石は、上記エアギャップを形成する面が、回転機の回転軸に対して、非平行かつ非直交に配置される傾斜面を有する。
本発明の回転機用部品は、永久磁石を具える回転機に用いられるものであり、上記永久磁石として上記本発明回転機用磁石を具える。また、この回転機用部品は、軟磁性材料から構成され、上記回転機用磁石を支持する軟磁性部材を具える。
本発明の回転機は、上記本発明回転機用磁石を具える。或いは、本発明の回転機は、上記本発明回転機用部品を具える。
本発明回転機用磁石及び本発明回転機用部品は、回転機に組み付けられたとき、回転機を構成する別の構成部材(代表的には、コイルを具えるティース)との間に形成されるエアギャップの少なくとも一部が、回転機の回転軸に対して傾斜するように配置される。このエアギャップは、回転機の外径を一定とする場合、上述の従来形態1及び従来形態2のエアギャップのいずれよりも大きい。従って、本発明回転機用磁石を具える本発明回転機や本発明回転機用部品を具える本発明回転機(以下、本発明回転機等と呼ぶ)は、上記従来形態1や従来形態2と比較して、モータの場合、トルクを向上することができ、発電機の場合、励磁電圧を向上することができる。
また、本発明回転機用磁石自体が傾斜面を具えることで、ロータ本体やステータ本体を平板状(代表的には、いわゆるアキシャルギャップ型回転機の場合)や円筒状(代表的には、いわゆるラジアルギャップ型回転機の場合)などの簡易な形状とすることができる。そのため、本発明の磁石を利用すると、ロータ本体やステータ本体をモータの回転軸に対して傾斜するような形状にしたり、傾斜するように配置したりする必要が無い。従って、本発明回転機等は、ロータを安定して回転でき、この点からも特性に優れる。
更に、本発明回転機用磁石は、上述の特定の合金粉末の充填率が十分に高く、ボンド磁石に比較して磁気特性に優れる(例えば、磁束密度が十分に大きい)ことからも、本発明回転機等は、トルクや励磁電圧を向上することができる。
本発明の一形態として、上記合金粉末は、RE=Y,La,Pr,Nd,Sm,Dy及びCeから選択される1種以上の元素、Me=Fe又はFeとCo,Ni,Mn及びTiから選択される1種以上の元素、x=1.5〜3.5とするとき、RE2Me14B,RE2Me14C,RE2Me17Nx,RE1Me12Nx及びRE1Me12から選択される1種以上の合金から構成される形態が挙げられる。
RE2Me14B,RE2Me14C,RE2Me17Nx,RE1Me12Nx,RE1Me12(x=1.5〜3.5)はいずれも、磁気特性に優れることから、上記形態の回転機用磁石や回転機用部品は、トルクや励磁電圧の更なる向上に寄与することができ、上記形態の回転機は、トルクや励磁電圧を更に向上することができる。
本発明回転機用部品の一形態として、磁性粉末を加圧成形した成形体から構成された形態が挙げられる。この形態は、上記回転機用磁石が上記多相粉末を加圧成形した成形体(圧粉成形体)から構成され、上記軟磁性部材が軟磁性金属粉末を加圧成形した成形体から構成される。そして、この回転機用部品は、上記回転機用磁石と、上記軟磁性部材との間に、上記軟磁性部材を構成する軟磁性金属粉末と上記合金粉末とが混合して存在する混合領域を具える。
本発明者は、成形性に優れる上述の多相粉末と、圧粉成形体に用いられる純鉄粉や鉄合金粉などの軟磁性金属粉末とを同時に成形して脱水素処理、更に適宜窒化処理などの熱処理を施したところ、多相粉末に脱水素処理が施されて生成された再結合合金粉末(或いは更に窒化処理を施された合金粉末)から構成され、上述の傾斜面を有する磁石領域と、軟磁性金属粉末から構成される軟磁性領域とを有する部材が得られた。得られた部材は、上述の合金粉末から構成される磁石領域(磁石)と、軟磁性金属粉末から構成される領域(軟磁性部材)とに明瞭な境界が無く、各領域を構成する粉末が交じり合った領域:混合領域が形成されて、両領域が結合されていた。
混合領域を具える上記形態は、上述の多相粉末と軟磁性金属粉末とを同時成形した後熱処理を施すことで得られたものといえる。この製造方法により得られた上記形態は、永久磁石と軟磁性粉末からなる圧粉成形体とをそれぞれ別に作製して一体化する場合と比較して、工程数が少なく、回転機用部品の生産性に優れる。また、成形後に得られた粉末成形体に施す脱水素処理や窒化処理といった熱処理は、軟磁性部材に対しては歪み取りのための熱処理として利用でき、この点からも、上記形態は、生産性に優れる。
更に、上述のように別々に製造した独立した部材(永久磁石と圧粉成形体)同士を組み合せて一体化する場合、設計上の尤度によって両者間に微小な隙間が生じ得る。一方、上記形態は、上述のように同時成形及び熱処理を経て得られることで、上記微小な隙間が生じ得ない。かつ、成形工程において上述の多相粉末と軟磁性金属粉末との双方が変形して、多相粉末を構成する多相粒子同士、軟磁性金属粉末を構成する金属粒子同士が粒子表面の凹凸によって噛み合うことができる上に、多相粒子と金属粒子同士も噛み合うことができる。従って、多相粒子間、金属粒子間、及び多相粒子と金属粒子間にそれぞれ、所謂ネッキング強度を発現して、粒子同士の結合性に優れる粉末成形体が得られる。この粉末成形体は、上記ネッキング強度の発現及び上記微小な隙間が無いことによって強度に優れ、製造中に崩壊し難い。このような強度に優れる粉末成形体に上述の熱処理を施して得られた上記形態は、強度にも優れる。また、回転機用磁石と軟磁性部材との間に上記微細な隙間が無い上記形態は、磁石の発生磁場のエネルギーロス(漏れ磁場)が実質的に生じないことから、磁気特性にも優れる。更に、多相粉末と軟磁性金属粉末との双方がFe成分を具える場合には、密着性により優れ、回転機用磁石と軟磁性部材間に割れが生じ難いと期待される。
本発明回転機用磁石及び回転機用部品は、トルクや励磁電圧の向上に寄与することができる。本発明回転機は、トルクや励磁電圧を向上することができる。
(A)は、実施形態1の回転機用部品を示す概略斜視図、(B)は、その分解斜視図である。 試験例1で作製した回転機を説明する説明図である。 (A)は、試験例1で作製した形態Aの磁石の形状を説明する説明図、(B)は、試験例1で作製した形態Bの磁石の形状を説明する説明図である。 実施形態1,2の回転機用部品の製造に用いる成形用金型を説明する説明図である。 (A)は、実施形態3の回転機用部品の平面図、(B)は、この回転機用部材を回転軸に沿った(B)-(B)平面で切断した概略断面図である。 実施形態3,4の回転機用部品の製造に用いる成形用金型を説明する説明図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[回転機用磁石]
本発明回転機用磁石は、代表的には、特許文献2に記載されるような磁石用粉末、つまり特定の多相粉末を所望の形状に加圧成形後、脱水素処理、適宜窒化処理を経て生成された再結合合金からなる合金粉末や更に窒化された合金からなる合金粉末から構成されたものが挙げられる。具体的な合金組成は、RE=Y,La,Pr,Nd,Sm,Dy及びCeから選択される1種以上の元素、Me=Feのみ、又はCo,Ni,Mn及びTiから選択される1種以上の元素とFeとし、x=1.5〜3.5とするとき、RE2Me14B,RE2Me14C,RE2Me17Nx,RE1Me12Nx及びRE1Me12から選択される1種以上が挙げられる。より具体的には、RE2Me14Bは、Nd2Fe14B、Nd2(Co1Fe13)B、RE2Me14Cは、Nd2Fe14C、RE2Me17Nxは、Sm2Fe17N3、Y2Fe17N3、RE1Me12Nxは、Sm1(Ti1Fe11)N2、Sm1(Mn1Fe11)N2、Y1(Ti1Fe11)N2、Y1(Mn1Fe11)N2、RE1Me12は、Sm1(Ti1Fe11)、Sm1(Mn1Fe11)、Y1(Ti1Fe11)、Y1(Mn1Fe11)などが挙げられる。特に、REがNd又はSmである合金、より具体的にはNd-Fe-B系合金、Sm-Fe-N系合金が磁気特性に優れて好ましい。合金には、製造時に種々の目的(例えば、結晶の成長を制御する、など)で添加した元素:Cu,Al,Cr,Si,Ga,Nbなどを含むことを許容する。
本発明回転機用磁石は、当該磁石を構成する合金粉末の充填率が高く、80体積%以上である。充填率は、例えば、後述する粉末成形体の成形工程における相対密度を高めるほど大きくなり易い。充填率が高いほど磁石特性に優れることから、充填率は、85体積%以上がより好ましい。
本発明回転機用磁石を構成する合金粒子の平均粒径は、10μm〜500μm、更に30μm以上、特に100μm以上350μmが挙げられる。磁石における合金粒子の平均粒径は、原料に用いた多相粉末の平均粒径に依存することから、上記合金粒子が所望の大きさとなるように原料粉末の大きさを調整するとよい。多相粉末を用いて製造された磁石は、焼結体と異なり、粉末の粒界(合金粒子の輪郭)が確認できる。
本発明回転機用磁石の代表的な形状は、円環状体、円環を所定の内角に分割した扇状の柱状体や扇状に類する角柱状体が挙げられる。そして、本発明回転機用磁石では、回転機に組み付けられたときにエアギャップを形成する面(以下、磁石ギャップ面と呼ぶ)が、回転機の回転軸に対して、非平行かつ非直交に配置される傾斜面を有する。この傾斜面は、上記回転軸に直交する平面(=回転軸を法線とする平面)をとり、この平面と傾斜面とがつくる角度(以下、傾斜角と呼ぶ)が0°超90°未満を満たす面である。
例えば、アキシャルギャップ型回転機では、傾斜角が0°である形態、つまり、磁石ギャップ面が回転軸に直交するように配置される形態と比較して、傾斜角が大きいほど、磁石ギャップ面が大きくなり、エアギャップを増大できる。但し、傾斜角が大きいほど、磁石の長さ(回転軸方向に沿った長さ)が大きくなり、回転機の大型化を招く。いわゆるアキシャルギャップ型回転機に利用される場合、本発明回転機用磁石の傾斜面の傾斜角は、3°以上30°以下、特に10°以上30°以下が好ましい。
一方、ラジアルギャップ型回転機では、傾斜角が90°である形態、つまり、磁石ギャップ面が回転軸に平行するように配置される形態と比較して、傾斜角が小さいほど、磁石ギャップ面が大きくなり、エアギャップを増大できる。但し、傾斜角が小さいほど、磁石の最大幅(回転軸方向に直交する方向に沿った長さ)が大きくなり、回転機の大型化を招く。いわゆるラジアルギャップ型回転機に利用される場合、本発明回転機用磁石の傾斜面の傾斜角は、60°以上87°以下、特に60°以上80°以下が好ましい。
磁石ギャップ面に、傾斜角が異なる複数の傾斜面を具えた形態とすることができる。この形態は、磁石ギャップ面を更に大きくし易い。一方、磁石ギャップ面に具える傾斜面が一つである形態は、磁石の形状が簡素であり、成形性、生産性に優れる。磁石ギャップ面は、傾斜面のみで構成された形態、その他、いわゆるアキシャルギャップ型回転機に利用される磁石では、傾斜面と、傾斜角が0°の面(以下、直交面と呼ぶ)とを具える形態、いわゆるラジアルギャップ型回転機に利用される磁石では、傾斜面と、傾斜角が90°の面(以下、平行面と呼ぶ)とを具える形態とすることができる。少なくとも一つの直交面や平行面を具える形態では、直交面や平行面を成形時の受圧面(パンチが押圧する面)とすることができ、成形性に優れる。磁石ギャップ面における傾斜面の面積割合が、60%以上、特に70%以上であると、磁石ギャップ面の面積を十分に大きくすることができる。
本発明回転機用磁石が後述する軟磁性部材と独立しており、回転機本体に取り付けられる形態では、上述の傾斜面と対向位置にある面が、回転機本体との接触面となる。この接触面は、いわゆるアキシャルギャップ型回転機に利用される磁石では、回転機の回転軸に直交する(上述の直交面に平行する)ように設けられ、いわゆるラジアルギャップ型回転機に利用される磁石では、回転機の回転軸や上述の平行面に平行するように設けられる。
[回転機用部品]
(軟磁性部材)
本発明回転機用部品は、上述の回転機用磁石と、軟磁性部材とを具える。軟磁性部材は、主として、本発明回転機用磁石の機械的な支持部材として、かつ磁気回路を構成するための磁気的な連結部材(ヨーク部材)として機能する。軟磁性部材を構成する軟磁性材料は、Fe,Co,Niなどの強磁性遷移金属や強磁性遷移金属元素を含む合金、酸化鉄などからなるスピネル型フェライトといったセラミックス材料が挙げられる。特に、Fe及び不可避的不純物からなる純鉄、Feを主成分とする鉄合金(例えばFe-Si系合金,Fe-Ni系合金,Fe-Al系合金,Fe-Co系合金,Fe-Cr系合金,Fe-Si-Al系合金,ケイ素鋼などの種々の鋼など)といった鉄基材料は、上記のフェライトよりも飽和磁束密度が高い軟磁性部材を得易い。公知の軟磁性材料が利用できる。
軟磁性部材は、上述の軟磁性材料からなる粉末を加圧成形した粉末成形体に熱処理(主として歪み取りを目的とするもの)を施した圧粉成形体、上記粉末成形体を焼結した焼結体、上述の軟磁性材料からなる板材を積層した積層体などから構成されるものが挙げられる。圧粉成形体では、その外周に補強材を配置する(例えば、帯状の環状体を嵌めるなど)と、強度を高められる。
本発明回転機用磁石と軟磁性部材とが独立した部材である場合、接着剤やボルト・ナット、ネジなどの締結部材といった固定材を利用して一体化することができる。その他、軟磁性部材が上述の圧粉成形体である場合には、磁石の製造に利用する多相粉末と、圧粉成形体の製造に利用する軟磁性粉末(特に、金属粉末)とを同時に成形した粉末成形体(以下、複合粉末成形体と呼ぶ)を作製し、この複合粉末成形体に脱水素処理などの熱処理を施すことで、上述の固定材を用いること無く、本発明回転機用磁石と軟磁性部材とが一体化された回転機用部品(本発明回転機用部材の一形態)が得られる。この回転機用部品は、上述の特定の合金粉末から構成され、傾斜面を有する領域(回転機用磁石)と、軟磁性金属粉末から構成される領域(軟磁性部材)と、両領域の間に合金粉末と軟磁性金属粉末とが混合して存在する混合領域とを具え、回転機用磁石と軟磁性部材との境界が不明瞭であり、明確な境界が存在しない。この回転機用部品は、(1)工程数が少なく生産性に優れる、(2)上述のネッキング強度の発現及び微小な隙間が無いことにより高強度である、(3)上述の微細な隙間が無いことで磁気特性に優れる、という特有の効果を奏する。
軟磁性部材を構成する金属粒子は、原料に用いた軟磁性金属粉末の組成を維持することから、上述した純鉄や鉄合金などから構成される。
軟磁性部材が圧粉成形体である場合、当該圧粉成形体を構成する軟磁性粒子の平均粒径は、適宜選択することができる。軟磁性部材の組成や平均粒径は、原料に用いた軟磁性粉末に依存することから、軟磁性粒子が所望の組成、大きさとなるように原料粉末の大きさを調整するとよい。特に、上述の複合粉末成形体を製造する場合には、軟磁性金属粉末を構成する金属粒子の平均粒径は、10μm〜500μm、更に30μm〜300μm、特に50μm〜200μmであると、成形性に優れる。
混合領域の厚さ(いわゆるアキシャルギャップ型回転機に利用される部品の場合、回転軸方向に沿った長さ、いわゆるラジアルギャップ型回転機に利用される部品の場合、回転軸方向に直交する方向に沿った長さ)は、回転機用磁石を構成する合金粒子、及び軟磁性部材を構成する軟磁性金属粒子の大きさに依存する。具体的な厚さは、合金粉末の平均粒径及び軟磁性金属粉末の平均粒径のうち、大きい方の平均粒径と同等以上が挙げられる。この場合、平均粒径が小さい方の粒子が、大きい方の粒子がつくる隙間に十分に介在することができる。より具体的な厚さは、例えば、100μm以上が挙げられる。
[回転機]
本発明回転機は、上述の本発明回転機用磁石や本発明回転機用部品を具えたモータ、或いは発電機が挙げられる。より具体的には、いわゆるアキシャルギャップ型回転機(シングルタイプ、ダブルタイプのいずれでもよい)、いわゆるラジアルギャップ型回転機が挙げられる。本発明回転機用磁石は、上記回転機のステータ又はロータにおいて永久磁石として利用され、本発明回転機用部品は、上記回転機のステータ又はロータとして利用される。
[製造方法]
本発明回転機用磁石は、例えば、準備工程:原料粉末の準備⇒成形工程:粉末成形体の形成⇒脱水素工程:脱水素熱処理(⇒窒化工程:窒化処理)という工程を経て製造することができる。本発明回転機用部品は、例えば、上述の軟磁性材料からなる軟磁性部材を別途用意して、上述の固定材を用いて本発明回転機用磁石を所定の位置に取り付けることで製造することができる。或いは、本発明回転機用部品が、本発明回転機用磁石と軟磁性部材との一体成形物である場合には、準備工程では、更に、軟磁性部材を構成するための軟磁性金属粉末を用意し、成形工程では、磁石用の原料粉末と軟磁性金属粉末と同時に成形した複合粉末成形体を作製し、脱水素工程や窒化工程では、複合粉末成形体に上述の熱処理を施すことで製造することができる。以下、各工程の概要を説明する。
(準備工程)
本発明回転機用磁石の原料粉末には、脱水素処理によって再結合合金となる前駆体粉末、具体的には、希土類元素の水素化合物の相とFe含有物の相とが離散して存在する組織を有する多相粒子から構成される多相粉末を準備する。複合粉末成形体を製造する場合には、軟磁性金属粉末も用意する。
〔多相粉末〕
多相粉末を構成する各多相粒子は、水素不均化分解状態にある組織、代表的には、Fe含有物の相を母相として(Fe含有物の含有量:60体積%以上)、この母相中に粒状の希土類元素の水素化合物(0体積%超、好ましくは10体積%以上)が分散して存在する組織を有する。上記組織は、代表的には、Fe含有物の相を介して隣り合う希土類元素の水素化合物の相間の間隔が0.5μm以上(好ましくは1μm以上)3μm以下を満たす。Fe含有物は、(1)Fe(純鉄)のみ、(2)Co,Ga,Cu,Al,Si,Cr及びNbから選択される少なくとも一種の元素(以下、置換元素と呼ぶ)とFe、(3)Feを含む化合物(例えば、FeTi,FeMn,Fe3B,Fe2B,FeBなど)とFe、(4)置換元素と上記化合物とFe、という(1)〜(4)のいずれかの形態が挙げられる。
多相粉末は、出発合金粉末に水素化処理を施すことで得られ、その製造には、特許文献2に記載される製造方法を好適に利用できる。
出発合金は、例えば、上述のRE及びMeを用いて(但しx=2.0〜2.2)、RExMe14B,RExMe14C,RExMe17及びREx/2Me12から選択される1種以上が挙げられる。より具体的には、RExMe14Bは、Nd2Fe14B、Nd2(Co1Fe13)B、RExMe14Cは、Nd2Fe14C、RExMe17は、Sm2Fe17、Y2Fe17、REx/2Me12は、Sm1(Ti1Fe11)、Sm1(Mn1Fe11)、Y1(Ti1Fe11)、Y1(Mn1Fe11)が挙げられる。特に、SmやNdを含む合金は、磁石特性に優れる磁石が得られる。その他、出発合金は、多相組織から再結合合金組織に変化する際に結晶の成長を制御するような元素(上述のCu,Al,Si,Ga,Nbなど)を含むものを許容する。材質の異なる複数種の多相粉末を組み合せて利用することができる。所望の組成の出発合金を用意し、特許文献2に記載されるような公知の粉末の製造方法(ガスアトマイズ法や、粉砕を含む方法など)を利用することで、出発合金粉末が得られる。特に、アトマイズ法は、真球度が高く、成形時の充填性に優れた粉末を製造し易い。
水素化処理の条件は、雰囲気:水素(H2)のみの単一雰囲気、又は水素(H2)とArやN2といった不活性ガスとの混合雰囲気、温度:不均化温度以上1100℃以下、保持時間:0.5時間以上5時間以下が挙げられる。具体的な温度は、出発合金が例えば、Sm2Fe17,Sm1(Ti1Fe11)、Sm1(Mn1Fe11)などの場合、700℃以上900℃以下、Nd2Fe14B、Nd2(Co1Fe13)B、Nd2Fe14Cなどの場合、750℃以上900℃以下が挙げられる。水素化処理は、公知のHDDR処理における不均化条件を適用することができる。
多相粉末は、成形性や充填率を考慮すると、その平均粒径は10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上、更に100μm以上350μm以下が利用し易い。磁石を構成する合金粒子は、粒度が大きいと、表層酸化による磁気特性の劣化を抑えられることから、原料に比較的粒度が大きい多相粉末を用いると、磁気特性に優れる磁石が得られる。多相粉末の大きさは、上記出発合金粉末に依存することから、多相粉末が所望の大きさとなるように、出発合金粉末の大きさ及び水素化条件を調整するとよい。平均粒径が異なる複数の粉末を用いてもよい。微粗混合の粉末を利用することで、粉末成形体の相対密度を高められ、緻密な磁石を形成することができる。
その他、特許文献2に記載されるように多相粒子の全周を覆うように酸化防止層や絶縁被膜を具える形態とすると、成形時に生じる新生面の酸化防止、磁石の電気抵抗の増大などを図ることができる。絶縁被膜の材質は、適宜選択することができる。電気抵抗が低くてもよい場合(例えば、用途が、低回転で動作するモータや発電機のロータなどの場合)には、絶縁被膜を具えていなくてもよい。絶縁被膜に関する事項は、後述する軟磁性金属粉末についても同様である。
〔軟磁性金属粉末〕
軟磁性金属粉末は、従来、圧粉成形体に利用されている種々の組成の軟磁性材料からなる粉末が利用できる。上述の鉄基材料、特に、純鉄や添加元素量が少ない鉄合金(例えば、Fe-Si系合金ではSi含有量:2.5質量%以下、その他、Fe-Al系合金、Fe-Ni系合金など)は、成形性に優れる。材質の異なる複数種の軟磁性金属粉末を組み合せて利用することができる。
軟磁性金属粉末を構成する金属粒子の表面に絶縁被膜を具える形態とすることができる。この場合、得られた回転機用部品における軟磁性部材は、金属粒子間に絶縁被膜(又は脱水素処理や引き続き行う窒化処理、後述のアニール処理などの熱処理によって生成された絶縁物)が介在することで電気抵抗が高くなり、例えば、渦電流損を低減できる。
軟磁性金属粉末の平均粒径は、10μm〜500μm程度であると、取り扱い易く、成形性にも優れて好ましい。平均粒径が異なる複数の粉末を用いてもよい。特に、硬質な合金粉末を用いる場合には、微粗混合の粉末を利用することで、粉末成形体の相対密度を高められ、緻密な軟磁性部材を形成することができる。
多相粉末と軟磁性金属粉末とは、平均粒径が異なっていてもよいし、等しくてもよい。両粉末の平均粒径が等しい場合、両粉末の強度や硬度にもよるが、成形時の加圧圧力を調整し易く、かつ加圧を均一的に行えて、寸法精度や外観に優れる複合粉末成形体を得易い。
(成形工程)
所望の形状の磁石が得られるように成形用金型を選択して、当該成形用金型に上記多相粉末を供給し、加圧・圧縮して粉末成形体(以下、多相粉末成形体と呼ぶ)を形成する。軟磁性部材を具える回転機用部品を形成する場合には、所望の形状の成形用金型に上記多相粉末と上記軟磁性粉末とを積層状態に供給し、同時に加圧・圧縮して複合粉末成形体を形成する。多相粉末及び軟磁性金属粉末の給粉順序は、所望の形状の複合粉末成形体が得られればよく、特に問わない。
多相粉末成形体及び複合粉末成形体はいずれも、その相対密度(粉末成形体の真密度に対する実際の密度)が高いほど、最終的に、磁性相の割合が高密度な磁石や軟磁性部材を得易い。従って、いずれの粉末成形体も、その相対密度が85%以上、好ましくは90%以上となるように加圧圧力を調整することが好ましい。多相粉末が上述の酸化防止層を具える形態では、多相粉末成形体の相対密度や複合粉末成形体における多相粉末からなる領域の相対密度を90%〜95%程度にすると、後工程の熱処理によって酸化防止層を除去し易い。
上記多相粉末は、従来の圧粉成形体の原料に用いられる軟磁性金属粉末と同様に成形性に優れるため、成形時の圧力を比較的小さくすることができる。例えば、多相粉末成形体及び複合粉末成形体の成形時の圧力はいずれも、8ton/cm2以上15ton/cm2以下が挙げられる。
希土類元素を含む多相粉末は、特に酸化され易いことから、成形工程は、非酸化性雰囲気とすると、多相粉末や軟磁性金属粉末の酸化を防止できて好ましい。多相粉末が上述の酸化防止層を具える形態では、大気雰囲気といった酸素含有雰囲気で成形工程を行ってもよい。
その他、成形工程では、成形用金型を適宜加熱することで、多相粉末などの変形を促進でき、高密度の粉末成形体や傾斜面を有するなどの複雑な形状の粉末成形体を得易い。また、成形用金型に適宜潤滑剤を塗布することで、粉末成形体を離型し易い。
また、成形工程は、多段に加圧・圧縮してもよい。特に、異なる粉末を用いて複合粉末成形体を成形する場合、多段階で加圧すると、成形用金型に既に充填された粉末を崩壊などさせることなく次の粉末を充填でき、精度よく一体成形を行えて好ましい。多段の成形を行う場合、途中の段階では、成形時の圧力を比較的小さくし、ある程度、粉末の移動を完了した後に圧力を大きくすると、(1)多段階に分けて加圧したことによる密度差に起因する応力を緩和できる、(2)成形し易く緻密化し易い、などの利点を有する。具体的な条件は、途中の段階の圧力を1ton/cm2〜3ton/cm2程度とし、途中の段階の成形体(仮成形体)の相対密度が75%以下程度となるように成形することが挙げられる。或いは、成形後の熱処理(脱水素処理など)によって消失可能な材質(例えば、パラフィンなど)からなる保形材を成形途中に適宜、成形用金型内に配置することでも、複合粉末成形体を成形し易い。
得られた多相粉末成形体では、多相粒子同士が噛み合っており、この噛み合いにより強度が高い。複合粉末成形体は、軟磁性金属粉末からなる金属粉末領域と、多相粉末からなる多相粉末領域とを具え、多相粉末領域では、多相粒子同士が噛み合い、金属粉末領域では、金属粒子同士が噛み合う。そして、両領域間は、多相粒子と軟磁性金属粒子とが混ざり合って構成されており、明確な境界が存在しない。この異種の粒子が混ざり合った領域では、多相粒子と金属粒子同士が噛み合っている。従って、得られた複合粉末成形体は、上述の噛み合いによって強度が高く、製造中に崩壊し難い。また、多相粒子と軟磁性金属粒子とが混ざり合った領域の厚さは、上述の両粉末の粒径によって変化し、平均粒径が大きい方の粉末に依存する。
(脱水素工程)
脱水素工程は、多相粉末においては、多相粒子から水素を分離して、希土類元素とFe含有物とを結合させて、多相組織から、再結合合金からなる単相組織とするための工程である。複合粉末成形体に具える軟磁性金属粉末においては、脱水素工程は、成形によって導入された歪みを除去するための工程となる。上記水素の分離のために、脱水素工程における熱処理(脱水素処理)の雰囲気は、不活性雰囲気又は減圧雰囲気といった非水素雰囲気とする。不活性雰囲気は、例えば、ArやN2が挙げられる。減圧雰囲気は、標準の大気雰囲気よりも圧力を低下させた真空状態をいい、その真空度は、100Pa以下が好ましく、最終真空度は、10Pa以下、更に1Pa以下が好ましい。減圧雰囲気とすると、希土類元素の水素化合物が残存し難く、当該水素化合物の残存による磁気特性の低下を抑制でき、磁気特性に優れる磁石が得られる。
脱水素処理の温度は、多相粒子の再結合温度以上とし、組成により異なるものの、代表的には、Smを含む場合、600℃以上、Ndを含む場合、700℃以上が挙げられる。脱水素処理の温度が高いほど、多相粒子では水素を十分に除去して再結合化を進行でき、軟磁性金属粉末を構成する金属粒子では導入された歪みを除去し易い。しかし、脱水素処理の温度は、高過ぎると、希土類元素の揮発や再結合合金の結晶の粗大化が懸念されるため、1000℃以下が好ましい。脱水素処理の保持時間は、10分以上600分以下が挙げられる。脱水素処理の条件は、公知のHDDR処理におけるDR処理の条件を適用できる。
脱水素工程では、上記粉末成形体に2T以上といった強磁場を印加した状態で脱水素処理を行うことができる。この形態では、再結合合金の結晶核の結晶方位を磁歪により一方向に配向させられることから、回転機用磁石や回転機用部品に具える磁石を配向組織とすることができる。この配向組織(結晶の磁化容易軸(代表的にはc軸)が一方向に配向した組織)によって、磁石特性に優れる磁石とすることができる。磁場が大きいほど配向性を高められることから、印加する磁場は、3T以上、更に3.2T以上、特に4T以上とすることができる。
上記磁場の印加方向は、回転機に形成される磁気回路の磁束方向とすると、得られた磁石の磁気特性を十分に活用できて好ましい。また、磁場の印加方向は、上記粉末成形体を成形するときの成形方向(圧縮方向)と同じであることが好ましい。
上記磁場の印加には、高温超電導磁石を用いると、(1)強磁場を安定に形成できる、(2)磁場の変動を高速で行えることから、(2-1)熱処理時間の短縮、(2-2)結晶粒の粗大化の抑制、(2-3)連続処理が可能、などの利点を有する。この点は、後述する窒化工程における磁場の印加にも適用できる。
多相粉末として、上述のRExMe14B,RExMe14C,REx/2Me12を出発合金とし、例えば、NdなどのREの水素化合物の相と、FeやFe3BなどのFe含有物の相とを具える多相粒子から構成される粉末を用いた場合、上記脱水素処理を経て、RE2Me14BやRE2Me14C、RE1Me12などの合金(再結合合金)の粉末で構成された磁石が得られる。
(窒化工程)
一方、多相粉末として、上述のRExMe17及びREx/2Me12を出発合金とし、例えば、SmなどのREの水素化合物の相と、FeやFeTiなどのFe含有物の相とを具える多相粒子から構成される粉末を用いた場合、上記脱水素処理後、更に窒化処理を施すことで、RE2Me17Nx,RE1Me12Nxなどの合金(再結合合金を窒化した合金)の粉末で構成された磁石が得られる。
窒化処理の条件は、特許文献2に記載される条件を利用することができる。具体的には、雰囲気:窒素元素を含有する雰囲気、温度:窒化温度以上窒素不均化温度以下、保持時間:10分以上600分以下が挙げられる。具体的な雰囲気は、(1)窒素のみの単一雰囲気、(2)アンモニア(NH3)雰囲気、(3)窒素(N2)やアンモニアといった窒素元素を含むガスとArといった不活性ガスとの混合ガス雰囲気、その他、(4)上記窒素元素を含むガスと水素(H2)との混合ガス雰囲気、といった(1)〜(4)のいずれかが挙げられる。水素ガスを含有する雰囲気は還元雰囲気であるため、生成した窒化物の酸化や過剰窒化を防止できる。上記窒化温度や窒素不均化温度は、窒化前の合金組成により異なるが、例えば、Sm2Fe17,Sm1Fe11Ti1の場合、200℃以上550℃以下、更に200℃〜450℃、特に200℃〜300℃が挙げられる。
脱水素工程に加えて窒化工程においても、強磁場を印加した状態で窒化処理を行うことができる。この形態では、再結合合金の結晶格子を一方向に引き伸ばし易く、引き伸ばされたFe原子-Fe原子間にN原子を優先的に侵入させて、理想状態の原子比の窒化物(例えば、Sm2Fe17N3)を得易い。理想状態の原子比の窒化物によって構成され、かつ上述のように配向組織を有する磁石は、磁石特性に更に優れる。磁場が大きいほどN原子の進入方向を制御できることから、印加する磁場は、3T以上、更に3.5T以上、特に3.7T以上、とりわけ4T以上が好ましい。窒化工程における磁場の印加方向も、上述の磁気回路の磁束方向とすることが好ましい。つまり、脱水素工程と窒化工程とでは、磁場の印加方向が同じであることが好ましい。こうすることで、配向組織を維持し易い。
(アニール工程)
複合粉末成形体に脱水素処理を施した場合、脱水素処理後の素材に、更に熱処理(アニール処理)を施すと、脱水素処理によって当該素材に生じ得る熱歪みや界面応力を除去でき、熱歪みや界面応力に起因する特性の劣化などを抑制できる。アニール処理の条件は、雰囲気:不活性雰囲気中、又は減圧雰囲気、温度:250℃〜500℃(好ましくは250℃〜450℃)、保持時間:1分〜600分(好ましくは6分〜60分)が挙げられる。具体的な雰囲気は、脱水素工程で述べた事項を適用することができる。
上述の窒化工程を行う場合には、窒化処理がアニール処理の効果を兼ねることから、アニール処理を別途行う必要はなく、省略することができる。
脱水素工程や窒化工程において上述の強磁場を印加した場合、アニール工程でも、脱水素工程などのときと同じ方向に上述のような強磁場(2T以上、好ましくは3T以上)を印加すると、脱水素工程などで揃えられた配向組織を維持し易い。
以下、図面を参照して本発明のより具体的な実施の形態を説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態1]
本発明回転機用部品として、例えば、図1(A)に示す回転機用部品1Aが挙げられる。回転機用部品1Aは、希土類元素とFeとを含有する合金粉末から構成される回転機用磁石1と、軟磁性金属粉末から構成される軟磁性部材2とを具える。この回転機用部品1Aは、いわゆるアキシャルギャップ型回転機の部品に利用することができる。
ここでは、回転機用部品1Aは、回転機用磁石1と軟磁性部材2とが独立した部材であり、接着剤などによって一体化されている。
この回転機用磁石1は、中央部に貫通孔を具える円筒状体であり、内周面12と、外周面13と、両面12,13間を繋ぎ、軟磁性部材2に取り付けられる円環状の接触面15とを具える。磁石1の内周面12,外周面13は、磁石1が回転機に組み付けられたときに、回転機の回転軸(図1,図3では一点鎖線で示す)に平行に配置され、接触面15は、回転軸に直交に配置される。そして、磁石1は、接触面15との対向側(図1では上側)に回転軸に対して非平行かつ非直交に配置される傾斜面11を具えることを特徴の一つとする。
傾斜面11は、回転機用磁石1が回転機に組み付けられたときに、回転機において磁石1がつくる磁束を受ける別の磁性部材(代表的には、図2,図3に示すようなコイル部品50における磁性コア51)と共にエアギャップを形成する面として機能する。回転軸に直交する平面(図3では水平面)をとったとき、この平面と傾斜面11とがつくる角:傾斜角θは、0°超90°未満の範囲で適宜選択することができる(ここでは、θ=15°)。特に、傾斜角θが10°以上30°以下であると、成形性に優れる上に、磁石1において回転軸方向の長さが短く、小型な磁石とすることができる。
また、回転機用磁石1では、エアギャップを形成する磁石ギャップ面は、上述の傾斜面11と、接触面15に平行(つまり回転軸に直交)に設けられ、内周面12に繋がる内側直交面14i、及び外周面13に繋がる外側直交面14oとで構成される。磁石ギャップ面における内側直交面14i及び外側直交面14oの合計面積割合が小さいほど、つまり、傾斜面11の面積割合が大きいほど、エアギャップの形成面積を増大できることから、傾斜面11の面積割合は、60%以上が好ましい(ここでは、70%)。
この円環状の回転機用磁石1は、例えば、上述のように原料に多相粉末を用意し、所定の形状の成形用金型を用いて、傾斜面を有する円筒状の粉末成形体を形成し、この粉末成形体に上述のように脱水素処理、適宜窒化処理を施すことで製造することができる。成形用金型300は、例えば、図4(A)に示すように貫通孔(ここでは円孔)301hが設けられたダイ301と、対向配置される筒状(ここでは円筒状)の上パンチ302及び下パンチ303と、ダイ301に挿通配置され、貫通孔(内周面12)を形成するための棒状(ここでは円柱状)の太ロッド304とを具えるものが挙げられる。下パンチ303において、上パンチ302との対向面(押圧面)は、上述の傾斜面11及び内側直交面14i及び外側直交面14oを形成できるように、貫通孔301hの軸方向に対して傾斜した面と、貫通孔301hの軸方向に対して直交方向に配置される面(以下、直交押圧面と呼ぶ)とを具えるものを利用するとよい。直交押圧面は、上パンチ302との間で押圧力を多相粉末P1に十分に加えることができ、粉末成形体を寸法精度よく成形できる。
一方、軟磁性部材2は、回転機の軸となる軸棒10(図2)が挿通される貫通孔:軸孔22を中心部分に具える円板であり、一面が回転機用磁石1が取り付けられる載置面21である。
ここでは、軟磁性部材2は、純鉄粉などの軟磁性粉末からなる圧粉成形体としている。この圧粉成形体の製造には、公知の手法が利用できる。
[実施形態2]
或いは、図1(A)に示す回転機用部品1Aの別の形態として、回転機用磁石1(圧粉磁石)と軟磁性部材2(圧粉成形体)とが一体成形された形態が挙げられる。この形態の回転機用部品1Aは、磁石1と軟磁性部材2との間に、回転機用磁石1を構成する上述の合金粉末と軟磁性部材2を構成する軟磁性金属粉末とが混合して存在する混合領域を具える。実施形態2の回転機用部品1Aは、上述の混合領域を具える点以外の構成(例えば、傾斜面11の形状など)は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
実施形態2の回転機用部品1Aは、例えば、図4(C)に示す成形用金型300を利用して、回転機用磁石1の原料である多相粉末P1と、軟磁性部材2の原料である軟磁性金属粉末P2とを用いて複合粉末成形体を形成し、この複合粉末成形体に上述のように脱水素処理、適宜窒化処理を施すことで製造できる。成形用金型300は、更に、太ロッド304の中心に挿通配置されて、軸孔22(図1)を形成するための細い棒状(ここでは円柱状)の細ロッド308を具える。この成形用金型300を用いて複合粉末成形体を形成するには、まず、下パンチ303などを適宜移動して、図4(A)に示すようにダイ301の貫通孔301hの内周面、下パンチ303の押圧面、及び太ロッド304の外周面によって形成した有底筒状の空間に多相粉末P1を充填する。次に、下パンチ303、太ロッド304などを適宜移動して、図4(B)に示すようにダイ301の貫通孔301hの内周面、多相粉末P1及び太ロッド304の一面、及び細ロッド306の外周面によって形成した有底筒状の空間に軟磁性金属粉末P2を充填する。磁性金属粉末P2の充填空間を形成する前に、図4(A)に示す筒状の上パンチ302によって多相粉末P1を軽く押圧して仮成形を行ってもよい。そして、図4(C)に示すように細ロッド308の貫通孔を有する上パンチ302と、下パンチ303及び太ロッド304とによって、多層に積層した多相粉末P1及び磁性金属粉末P2を一体に加圧・圧縮することで、複合粉末成形体が得られる。上述のように多段に押圧すると、精度よく複合粉末成形体を成形できる。
[実施形態3]
別の本発明回転機用部品として、例えば、図5に示す回転機用部品1Rが挙げられる。回転機用部品1Rは、希土類元素とFeとを含有する合金粉末から構成される回転機用磁石1と、軟磁性金属粉末から構成される軟磁性部材2とを具える。この回転機用部品1Rは、いわゆるラジアルギャップ型回転機の部品に利用することができる。
ここでは、回転機用部品1Rは、回転機用磁石1と軟磁性部材2とが独立した部材であり、接着剤などによって一体化されている。
この回転機用磁石1は、一対の筒状体1Ru,1Rdを組み合せて構成されている。各筒状体1Ru,1Rdは、中央部に、軸孔22を有する円筒状の軟磁性部材2が挿通配置される貫通孔を具える円錐台状の外観を有する異形筒体であり、軟磁性部材2の外周面と接触する接触面となる内周面12と、内周面12と非平行な外周面とを具える。この外周面は、磁石1が回転機に組み付けられたときに回転機の回転軸(軸棒10の中心軸)に対して非平行かつ非直交に配置される傾斜面11となり、磁石ギャップ面として機能する。また、ここでは、磁石ギャップ面は、実質的に傾斜面11のみから構成される(磁石ギャップ面における傾斜面11の面積割合:100%)。磁石1は、一対の筒状体1Ru,1Rdを組み合せることで、図5(B)に示すように回転軸方向の中央部の幅が広く、端面に向かうにつれて幅が狭まる太鼓状体となっている。
この形態では、傾斜角θは、回転機の回転軸に直交する平面(図5(B)では水平面)をとったとき、この平面と傾斜面11とがつくる角とし、その大きさは、0°超90°未満の範囲で適宜選択することができる(ここでは、θ=75°)。特に、傾斜角θが60°以上80°以下であると、成形性に優れる上に、磁石1において回転軸に直交する方向の最大幅が短く、小型な磁石とすることができる。なお、図5(B)では、傾斜角θがわかり易いように磁石1を誇張して示す。
この円錐台状の筒状体1Ru,1Rdは、例えば、上述のように原料に多相粉末を用意し、所定の形状の成形用金型を用いて、傾斜面を有する筒状の粉末成形体を形成し、この粉末成形体に上述のように脱水素処理、適宜窒化処理を施すことで製造することができる。成形用金型400は、例えば、図6(D)に示すように貫通孔(ここでは、傾斜角θに応じた傾斜面を有する断面台形状の孔)401hが設けられたダイ401と、対向配置される筒状(ここでは円筒状)の上パンチ402及び下パンチ403と、ダイ401に挿通配置され、貫通孔(内周面12)を形成するための棒状(ここでは円柱状)の太ロッド(この形態では、図6(D)に示す二つの太ロッド404,405を一体にしたもの)とを具えるものが挙げられる。上パンチの押圧面、及び下パンチの押圧面は、筒状体1Ru,1Rdの円環状の端面形状に応じて適宜選択するとよい。
一方、軟磁性部材2は、回転機の軸となる軸棒10が挿通される貫通孔:軸孔22を中心部分に具える円柱体であり、その外周面が、回転機用磁石1を構成する筒状体1Ru,1Rdが取り付けられる載置面21である。軟磁性部材2は、実施形態1と同様に純鉄粉などの軟磁性粉末からなる圧粉成形体としている。
なお、回転機の別の構成部品である磁性コア61において、回転機用磁石1の磁気ギャップ面(ここでは傾斜面11)に対向配置されて、磁石1と共にエアギャップを形成する面は、図5(B)に示すように磁石ギャップ面と相似な傾斜形状とする。
[実施形態4]
或いは、図5に示す回転機用部品1Rの別の形態として、回転機用磁石1(圧粉磁石)と軟磁性部材2(圧粉成形体)とが一体成形された形態が挙げられる。この形態の回転機用部品1Rは、磁石1と軟磁性部材2との間に、回転機用磁石1を構成する上述の合金粉末と軟磁性部材2を構成する軟磁性金属粉末とが混合して存在する混合領域を具える。実施形態4の回転機用部品1Rは、上述の混合領域を具える点以外の構成(例えば、傾斜面11の形状など)は実施形態3と同様であるため、説明を省略する。
実施形態4の回転機用部品1Rは、上述の円錐台状の筒状体1Ru(又は筒状体1Rd)と、筒状体1Ru(1Rd)と同じ長さを有する円柱状の軟磁性部材2とが一体化され、中央部に軸孔22を有する異形状の立体を二つ組み合せて構成される。この異形状の立体は、例えば、図6(A)に示す成形用金型400を利用して、回転機用磁石1の原料である多相粉末P1と、軟磁性部材2の原料である軟磁性金属粉末P2とを用いて複合粉末成形体を形成し、この複合粉末成形体に上述のように脱水素処理、適宜窒化処理を施すことで製造できる。成形用金型400は、下パンチ403が複数の分割片(下パンチ片403a,403b)によって構成されると共に、太ロッド404,405の中心に挿通配置されて、軸孔22(図5)を形成するための細い棒状(ここでは円柱状)の細ロッド408を更に具える。この成形用金型400を用いて複合粉末成形体を形成するには、まず、下パンチ403などを適宜移動して、図6(A)に示すようにダイ401の貫通孔401hに挿通された下パンチ片403aの内周面、太ロッド404の端面、及び細ロッド408の外周面によって形成した有底筒状の空間に軟磁性金属粉末P2を充填する。次に、図6(B)に示すように対向配置された太ロッド404,405の端面で軟磁性金属粉末P2を軽く押圧して仮成形を行う。次に、下パンチ片403aなどを適宜移動して、図6(C)に示すようにダイ401の貫通孔401hの内周面、軟磁性金属粉末P2及び太ロッド404の外周面、及び下パンチ403(下パンチ片403a,403b)の押圧面によって形成した有底筒状の空間に多相粉末P1を充填する。そして、図6(D)に示すように上パンチ402及び太ロッド405と下パンチ403及び太ロッド404とによって、同心状に配置した軟磁性金属粉末P2及び多相粉末P1を一体に加圧・圧縮することで、複合粉末成形体が得られる。上述のように多段で押圧すると、精度よく複合粉末成形体を成形できる。
次に、試験例を挙げて、本発明回転機用磁石を具える本発明回転機の特性を説明する。
[試験例1]
実施形態1,2の回転機用部品1Aを作製し、この回転機用部品1Aを回転機(ここでは発電機)のロータとし、この回転機用部品1Aを具える回転機の特性を調べた。
ここでは、軸棒10を回転機の軸とし、軟磁性部材2をロータ本体とし、傾斜面11を具える回転機用磁石1を界磁とし、固定子を擬似したコイル部品50(図2)を具える回転機を作製した。
回転機用磁石1は、以下のようにして製造した。原料として、平均粒径100μmの粉末であって、Fe,Fe3B,Fe2BなどからなるFe含有物中に、粒状のNdH2が離散して存在する組織を有する合金からなる多相粉末を用意した。この多相粉末は、希土類-鉄-ホウ素合金(Nd2Fe14B)からなる平均粒径100μmのガスアトマイズ粉に熱処理(粉末焼鈍:1050℃×120分、高濃度アルゴン中)を施した後、一旦冷却し、更に水素(H2)雰囲気中、800℃×1時間で水素化処理を施して製造した。この多相粉末を上述したような成形用金型(図4参照)を用いて、傾斜した面を具える円筒状の粉末成形体を形成した(成形時の圧力10ton/cm2)。また、磁石1と軟磁性部材2とを一体成形する試料では、上述の多相粉末と後述の純鉄粉とを用いて、有底筒状の複合粉末成形体を形成した(一体成形時の圧力10ton/cm2)。得られた粉末成形体、及び複合粉末成形体における多相粉末で形成した領域の相対密度を調べたところ、90%であった。相対密度の測定は、特許文献2に記載されるように、実際の密度を市販の密度測定装置で測定し、真密度は演算により求めた。
得られた粉末成形体及び複合粉末成形体を水素雰囲気中で750℃まで昇温し、その後、真空(VAC)に切り替えて、真空(VAC)中(最終真空度:1.0Pa)、750℃×60minで脱水素処理を施した。この工程により、傾斜面11を有する円筒状の磁石1(図1)、又は傾斜面11を有する円筒状の磁石1(図1)と円板状の軟磁性部材2とを有する回転機用部品1Aが得られた。得られた磁石1は、Nd2Fe14Bが主相(85体積%以上)であり、脱水素処理により水素が除去されたことが確認できた。
軟磁性部材2は、原料として、平均粒径50μmの純鉄粉(ヘガネスAB社製 ABC100.30)を用いた。軟磁性部材2を別体とした試料では、別途用意した成形用金型を用いて原料粉末を加圧圧縮して(成形時の圧力:10ton/cm2)、円板状の粉末成形体を作製し、更に熱処理(350℃×2時間、Ar雰囲気)を施すことで製造した。なお、平均粒径はいずれも、レーザ回折式粒度分布装置により、積算重量が50%となる粒径(50%粒径)を測定した。
得られた磁石1及び回転機用部品1Aに具える磁石1において合金粉末の充填率Vfを調べたところ、87体積%であり、80体積%以上であることが確認できた。充填率Vfは、以下のように求める。磁石1において、任意の直交する3軸(x,y,z)を法線とする3つの方向の面を、各方向につき5か所以上切り出し、切り出した各切断面について平面充填率を、光学顕微鏡などによって観察して測定する。x軸方向の各切断面における平面充填率をそれぞれVx1〜Vx5…、y軸方向の各切断面における平面充填率をそれぞれVy1〜Vy5…、z軸方向の各切断面における平面充填率をそれぞれVz1〜Vz5…とする。そして、各軸方向の平面充填率の平均値をそれぞれVx_ave,Vy_ave,Vz_aveとするとき、充填率Vfは、Vf=√(Vx_ave×Vy_ave×Vz_ave)とする。また、軟磁性部材2における軟磁性金属粉末(ここでは純鉄粉)の充填率を同様にして測定した。その結果を表1に示す。
コイル部品50は、図2に示すように軟磁性材料(溶製 電磁軟鉄(SUY-0))からなる柱状(ここでは直方体状)の磁性コア51と、磁性コア51の外周に巻線(エナメル被覆を具える銅線)を螺旋状に巻回して構成されたコイル52とを具える。磁性コア51におけるエアギャップを形成する面(回転機用磁石1の傾斜面11に対向配置される面)は、磁石1の傾斜面11と同様な角度を有する傾斜面51sと、磁石の内側直交面14i及び外側直交面14oと同様に回転機の回転軸(軸棒10の中心軸)に対して直交するように配置された内側直交面51i及び外側直交面51oとにより構成される。
回転機用磁石1及び軟磁性部材2を具える回転機用部材1Aの仕様、コイル部品50の仕様は、以下の通りである(図2,図3参照)。傾斜面11を具える磁石1を具える回転機用部材1Aを構成部材とする回転機を試料No.1-1,1-2とする。試料No.1-1は、軟磁性部材2が別部材である試料、試料No.1-2は、磁石1と軟磁性部材2とが一体成形された試料である。なお、回転機の回転軸方向(図2,図3では上下方向)に沿った長さを「長さ」、回転機の回転軸方向に直交方向(図2,図3では水平方向)の長さを「幅」と呼ぶ。
(回転機用磁石)
最大長さlmax1=15mm 傾斜角θ=15°
幅W1=10mm、傾斜面11の水平方向の長さW11=7mm、内側直交面14iの幅W14i=外側直交面14oの幅W14o=1.5mm
内径r12(内周面12の直径)=40mm、外径r13(外周面13の直径)=60mm
(軟磁性部材)
軟磁性部材の外径r2=60mm
軸棒10(軸孔22)の直径r10=5mm
(コイル部品)
磁性コア51の最大長さl51=25mm
磁性コア51の幅W51=10mm、傾斜面51sの水平方向の長さ=7mm、内側直交面51iの幅=外側直交面51oの幅=1.5mm
コイル52のターン数:N=25
回転機用磁石1とコイル部品50とのエアギャップ:g=1mm
比較として、回転機用磁石1と同じ形状・大きさであって、ボンド磁石からなるもの、即ち、傾斜面を有するボンド磁石を用意した。このボンド磁石は、市販のNd2Fe14B粉末(平均粒径50μm)とバインダ樹脂(ポリエチレン樹脂の粉末)を用意し、この粉末と樹脂との混合物を用いて作製した。傾斜面を有するボンド磁石を、試料No.1-1と同じ軟磁性部材2に取り付けて回転機用部品を作製し、この回転機用部品と、試料No.1-1と同じコイル部品50とを具える回転機を試料No.1-100とする。試料No.1-1に具える磁石1、試料No.1-100に具えるボンド磁石のように傾斜面を有する磁石を形態Aと呼ぶ。
別の比較として、磁石及びコイル部品の磁性コアにおいて、エアギャップを形成する面が、回転機の回転軸に対して直交方向に配置される形態、つまり、エアギャップを形成する面が平面で構成されるものを用意した。具体的には、図3(B)に示すように、端面が矩形状面である直方体状の磁石100と、同じく端面が矩形状面である直方体状の磁性コア510とを用意した。磁石100における一方の矩形状の端面101、磁性コア510における一方の矩形状の端面511とが対向配置されて、両端面101,511に挟まれる空間がエアギャップになる。磁石100のように、エアギャップを形成する面が回転軸に直交する平面で構成される磁石を形態Bと呼ぶ。
形態Bの磁石100の幅W100及び磁性コア510の幅W510は、形態Aの磁石の幅W1及び磁性コア51の幅W51と同じとし(10mm)、形態Bの磁石100の長さl100は、磁石1の最大長さlmax1と最短長さとの平均値、形態Bの磁性コア510の長さl510は、磁性コア51の最大長さl51と最短長さとの平均値とした。磁性コア510は、形状以外の点を除いて磁性コア51と同様である。
この形態Bの磁石であって、上述した試料No.1-1の磁石1に利用した原料と同じ多相粉末を用い、試料No.1-1と同様の成形条件及び脱水素条件で作製した磁石(主としてNd2Fe14Bからなる圧粉磁石)と、上述した試料No.1-100のボンド磁石に利用した原料と同じ原料を用いて作製したボンド磁石とをそれぞれ用意した。この形態Bの圧粉磁石を試料No.1-1と同じ軟磁性部材2に接着剤により取り付けて回転機用部品を作製し、この回転機用部品と、磁性コア510にコイル52(巻き数=25)が配置されたコイル部品とを具える回転機を試料No.1-111とする。形態Bのボンド磁石を試料No.1-1と同じ軟磁性部材2に接着剤により取り付けて回転機用部品を作製し、この回転機用部品と、磁性コア510にコイル52(巻き数=25)が配置されたコイル部品とを具える回転機を試料No.1-112とする。上述した試料No.1-1の磁石1に利用した原料と同じ多相粉末及び上述の純鉄粉とを一体成形して、形態Bの圧粉磁石と軟磁性部材2とを一体に具える回転機用部品と、磁性コア510にコイル52(巻き数=25)が配置されたコイル部品とを具える回転機を試料No.1-113とする。
用意した各試料の回転機用部品を駆動装置(図示せず)によって60r.p.mで回転させ、このときのコイル部品に具えるコイル52の最大励磁電圧を測定した。その結果を表1に示す。また、試料No.1-100,1-111,1-112,1-113について、試料No.1-1,1-2と同様にして、各試料に具える磁石中の磁石成分の充填率、軟磁性部材における軟磁性粉末の充填率を測定した。その結果も表1に示す。
Figure 0005958685
表1に示すように、外径が同じ大きさの回転機同士を比較すると、エアギャップを形成する面に傾斜面を具える形態Aの磁石を構成要素とする回転機用部品を具える回転機は、エアギャップを形成する面が回転軸に直交する面で構成される形態Bの磁石を具える場合と比較して、励磁電圧が高いことが分かる。特に、特定の合金粉末から構成される圧粉磁石を具える試料No.1-1,1-2は、ボンド磁石を具える試料No.1-100よりも励磁電圧が高いことが分かる。この理由は、試料No.1-1,1-2に具える磁石は、試料No.1-100に具えるボンド磁石よりも磁性相の割合が高く、磁石特性に優れるため、と考えられる。
また、試料No.1-1,1-2を比較すると、磁石と軟磁性部材とが一体成形された回転機用部品を具える試料No.1-2の回転機は、磁石と軟磁性部材とが別部材である試料No.1-1の回転機に比較して、励磁電圧が高いことが分かる。また、試料No.1-2を観察したところ、磁石と軟磁性部材との間に、磁石を構成する合金粉末と、軟磁性部材を構成する軟磁性金属粉末とが混合した領域を有していた。このことから、試料No.1-2は、磁石と軟磁性部材との間に実質的に隙間が存在せず、当該隙間における漏れ磁束が実質的に生じなかったため、励磁電圧が高くなったと考えられる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、回転機用磁石の仕様(長さ、幅、高さ、傾斜面の傾斜角度、傾斜面の面積、形状、組成)、製造条件(熱処理時の温度、雰囲気、磁場の印加など)、軟磁性部材の仕様(形状、組成など)などを適宜変更することができる。
本発明回転機は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)やハードディスクドライブ(HDD)などに具備される高速モータなどの各種のモータ、その他、発電機を構築することができる。本発明回転機用磁石及び本発明回転機用部品は、ハイブリッド自動車(HEV)やハードディスクドライブ(HDD)などに具備される高速モータなどの各種のモータや発電機の構成部品(特に、ロータ)に好適に利用することができる。
1 回転機用磁石 1A,1R 回転機用部品 1Ru,1Rd 筒状体
10 軸棒 11 傾斜面 12 内周面 13 外周面 14i 内側直交面
14o 外側直交面 15 接触面
2 軟磁性部材 21 載置面 22 軸孔
50 コイル部品 51,510,61 磁性コア 52 コイル
51s 傾斜面 51i 内側直交面 51o 外側直交面
100 磁石 101,511 端面
300,400 成形用金型 301,401 ダイ 301h,401h 貫通孔
302,402 上パンチ 303,403 下パンチ 403a,403b 下パンチ片
304,404,405 太ロッド 308,408 細ロッド
P1 多相粉末 P2 軟磁性金属粉末

Claims (8)

  1. 貫通孔が設けられたダイと、対向配置される上パンチ及び下パンチとを具える成形用金型を用いて磁性粉末を加圧成形して、ロータとステータとの間にエアギャップを有する回転機に用いられる回転機用磁石と、軟磁性材料から構成され、前記回転機用磁石を支持する軟磁性部材を具える回転機用部品に用いられる粉末成形体を製造する粉末成形体の製造方法であって、
    前記下パンチの押圧面、又は前記ダイの内周面は、前記貫通孔の軸方向に対して傾斜した金型側傾斜面を有し、この金型側傾斜面と前記貫通孔の軸方向に直交する平面とがつくる角の角度が3°以上30°以下、又は60°以上87°以下であり、
    前記回転機用磁石の原料として、希土類元素の水素化合物の相とFe含有物の相とを具える多相粉末を用意し、前記軟磁性部材の原料として軟磁性金属粉末を用意し、各粉末を前記成形用金型に積層状態に充填する準備工程と、
    前記成形用金型に充填された前記多相粉末と前記軟磁性金属粉末とを同時に加圧圧縮して、前記粉末成形体を製造する成形工程とを具え、
    前記成形工程では、
    前記粉末成形体の相対密度が85%以上となるように加圧圧縮すると共に、前記金型側傾斜面によって前記多相粉末を成形する粉末成形体の製造方法。
  2. 前記下パンチの押圧面は、更に、前記金型側傾斜面に連なり、前記貫通孔の軸方向に対して直交方向に配置される直交押圧面を具える請求項1に記載の粉末成形体の製造方法。
  3. 前記成形用金型を加熱した状態で加圧圧縮する請求項1又は請求項2に記載の粉末成形体の製造方法。
  4. 前記希土類元素は、Nd又はSmであり、
    前記軟磁性金属粉末は、純鉄、Fe−Co系合金、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、及びFe−Ni系合金から選択される1種以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉末成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉末成形体の製造方法によって製造された粉末成形体に脱水素処理を施す工程を具える回転機用部品の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉末成形体の製造方法によって製造された粉末成形体に脱水素処理を施す工程と、
    前記脱水素処理を施した素材に窒化処理、又はアニール処理を施す工程とを具える回転機用部品の製造方法。
  7. ロータとステータとの間にエアギャップを有する回転機に用いられる回転機用磁石と、
    軟磁性材料から構成され、前記回転機用磁石を支持する軟磁性部材とを具え、
    前記回転機用磁石は、
    希土類元素とFeとを含有する合金粉末から構成され、かつ、前記合金粉末の充填率が80体積%以上であり、
    前記エアギャップを形成する面が、前記回転機の回転軸に対して、非平行かつ非直交に配置される傾斜面と、前記傾斜面に連なり、前記回転軸に対して直交方向に配置される直交面とを具え、
    前記傾斜面と前記回転軸に直交する平面とがつくる傾斜角が3°以上30°以下であり、
    前記回転機用磁石と前記軟磁性部材との間に、前記軟磁性部材を構成する軟磁性金属粉末と前記合金粉末とが混合して存在する混合領域を具える回転機用部品。
  8. ロータとステータとの間にエアギャップを有する回転機に用いられ、一対の円錘台状の異形筒体を重ね合せて構成される回転機用磁石と、
    軟磁性材料から構成され、各異形筒体の内側に一体化されて、前記各異形筒体を支持する円筒状の軟磁性部材とを具え、
    前記一対の異形筒体は、前記回転機の回転軸方向における中央部分の幅が広く、端面に向かうにつれて幅が狭まるように組み合わされ、
    前記各異形筒体は、
    希土類元素とFeとを含有する合金粉末から構成され、かつ、前記合金粉末の充填率が80体積%以上であり、
    前記エアギャップを形成する面が、前記回転機の回転軸に対して、非平行かつ非直交に配置され、前記回転軸に直交する平面に対する傾斜角が60°以上87°である傾斜面を具え、
    前記各異形筒体と各円筒状の軟磁性部材との間に、前記軟磁性部材を構成する軟磁性金属粉末と前記合金粉末とが混合して存在する混合領域を具える回転機用部品。
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