JP3946668B2 - 低NOx燃焼器 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、燃焼排ガスの一部を燃焼用一次空気や燃焼用二次空気として再循環させることにより燃焼排ガス中のNOxを低減させるバーナを有する燃焼器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃焼の際に発生する有害物質の低減が重要課題となっており、中でもNOxの低減の要求が高まってきている。そのため、NOxを低減する方法として種々の方式が考えられているが、その中の一つである排ガス再循環燃焼方式が大きなNOx低減効果をあげている。この排ガス再循環方式とは、文字どおり燃焼時に発生する排ガスの一部を燃焼用空気として再循環させる方式であり、燃焼排ガス中に含まれる不活性成分であるCO2を燃焼領域に投入することで、燃焼用空気中の酸素濃度を低下させるとともに、CO2は熱容量が大きいため温度上昇が抑えられて燃焼温度が低下することを利用してNOxの発生を低減させるものである。
【0003】
また、前述の排ガス再循環方式には大きく分けて2つの方式があり、一つは送風機等の吸引手段を設けて燃焼排ガスを吸引し強制的に再循環させる強制再循環方式(例えば特許文献1)、そしてもう一つは、燃焼火炎が噴出する際の噴出力により燃焼排ガスの再循環を促す自己再循環方式(例えば特許文献2)であり、現在では後者の自己再循環方式の方が主流となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−159621
【特許文献2】
特開平6−42721
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、燃焼火炎の噴出力を利用した自己再循環方式は、圧力噴霧式等の高圧燃料噴射方式の燃焼器にのみ実現が可能であり、一般的な予混合方式の燃焼器に適用しても効果的に再循環を行うことはできない。そのため、予混合方式の燃焼器においては、今だ何らかの吸引手段を設ける必要があった。
【0006】
しかしながら、吸引手段を設けることは部品の追加となるためコストアップや、装置の大型化を招くことになってしまう。加えて、再循環する燃焼排ガスはかなりの高温であるため、燃焼排ガスと接触する吸引手段やその周辺の部品の耐久性も問題となる。そこで予混合燃焼にも適用可能な自己再循環方式バーナの開発が望まれていた。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのもので、予混合方式の燃焼器において、吸引手段を設けることなく燃焼排ガスの再循環を可能とする低NOx燃焼器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、燃料ガスと空気を混合し予混合気とする予混合室と、前記予混合室と連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生する炎孔部と、前記予混合室と炎孔部とからなるバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口と、前記予混合室と前記排ガス取入口を連通するダクトを有し、前記ダクトは前記予混合室を内包するように設けられていることを特徴とする低NOx燃焼器である。
【0009】
すなわち、請求項1の発明では、燃焼により燃焼室内は圧力が高くなるとともに、予混合室には燃料ガスが噴出されることによって予混合室入り口の圧力が低くなるため、燃焼室と予混合室間に圧力差が生じる。この圧力差によって燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部は排ガス取入口に流入し、そして、排ガス取入口に流入した排ガスは、ダクトを通って予混合室に引き込まれるため、吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。そして、ダクトには高温の燃焼排ガスが流れ込むため、予混合室をダクトで囲むことにより、予混合室は燃焼排ガスにより保温されるとともに、気化ガスの噴出音をダクトが遮断するため、燃焼器外部に漏れる噴出音を低減することが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記炎孔部は略垂直面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の低NOx燃焼器である。
【0011】
炎孔は設けられる角度に従って、発生するNOxを低減できることが本出願人の実験により確認されている。すなわち、請求項2の発明では、炎孔を略垂直にすることにより排ガス再循環による効果に加えてさらなるNOxの発生を低減できる燃焼器を提供することとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の燃焼器を添付の図面をもとに説明する。
【0017】
(実施例1)本発明の実施例1を図1から図3をもとに説明する。図1は燃焼器の構成図であって、灯油等の液体燃料を貯蔵した油タンク1上に、液体燃料を汲み上げる電磁ポンプ2が設けられており、電磁ポンプ2により汲み上げられた液体燃料は送油パイプ3通って液体燃料を気化する気化器4に供給されるようになっている。そして、気化器4は、ヒータ5を内蔵した気化筒6と、ソレノイド7によって開閉し気化された液体燃料を噴出するノズル8から構成されている。
【0018】
また図2は燃焼器の断面図、図3はバーナの平面図であって、バーナ9は、気化器4により気化された燃料ガスと空気を混合して予混合気とする予混合室10と、この予混合気を燃焼させて燃焼排ガスを発生させる炎孔部11を有している。そして、バーナ9を収納するバーナボックス12上には燃焼空間を形成する燃焼室13が設けられている。また、バーナボックス12は燃焼室13内の排ガスの一部を取り入れる排ガス取入口14を有しており、この排ガス取入口14はバーナボックス12内に設けられたダクト15を介して予混合室10と連通している。そして、気化ガスに点火する点火装置16がバーナボックス上9に設けられている。
【0019】
次に上述の構成における燃焼器の動作を説明する。まず、燃焼器の運転が指示されると、気化筒6に内蔵されたヒータ5に通電を行い気化器4の予熱を開始する。そして、気化器4の温度が液体燃料を気化する温度まで上昇すると、電磁ポンプ2を駆動して液体燃料を油タンク1より汲み上げ、汲み上げられた液体燃料は送油パイプ3を通って気化器4に供給される。また同時に、ソレノイド7にも通電がなされて気化器4先端のノズル8を開放する。
【0020】
そして気化器4に供給された液体燃料は、加熱されて気化ガスとなりノズル8から予混合室10へ噴出される。このとき、周囲の空気も燃焼用一次空気として予混合室10へ引き込まれるので、気化ガスと燃焼用一次空気が予混合されて予混合気となる。そして予混合気は炎孔部11より噴出し、点火装置16により点火されて燃焼を開始し、燃焼排ガスが燃焼室13に放出される。
【0021】
このようにして燃焼が開始されると、燃焼により燃焼室13の圧力が高くなるとともに、気化器4先端のノズル8から予混合室10に向けて燃料ガスが噴出することで予混合室10の入り口は圧力が低くなるため、燃焼室13と予混合室10の間に圧力差が生じる。そして、この圧力差によって燃焼室13内の燃焼排ガスの一部は排ガス取入口14に取り込まれ、ダクト15を通って予混合室10に引き込まれることとなり、予混合室10に引き込まれた燃焼排ガスは燃焼用の一次空気として気化ガスと混合されて予混合気となって再循環する。図2の黒矢印で示す流れは、燃焼排ガスの再循環の様子を示している。
【0022】
燃焼排ガス中には不活性成分であるCO2が多く含まれているため、上述のように燃焼排ガスの一部を燃焼用一次空気として再循環させることで、燃焼用一次空気中の酸素濃度を低下させるとともに、CO2は熱容量が大きいため温度上昇が押さえられて燃焼温度が低下する。よって、NOxの発生が抑制されることとなる。
【0023】
つまり、バーナボックス12に排ガス取入口14を設け、排ガス取入口14をダクト15を介して予混合室10と連通することで、燃焼によって生じる燃焼室13と予混合室10の圧力差を利用した再循環通路が形成される。そして、この再循環経路によって燃焼室13の燃焼排ガスの一部を燃焼用の一次空気として予混合室10に流入させるので、予混合方式の燃焼器においても別途吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。
【0024】
(実施例2)次に本発明の実施例2を図4をもとに説明する。なお、第1の実施例と同じ構成部品については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0025】
図4はバーナ9付近の断面図であって、予混合室10と炎孔部11からなるバーナ9、バーナ上板17、ダクト15が設けられており、燃焼室13内の排ガスを取り入れる排ガス取入口14がバーナ上板17に設けられ、ダクト15を介して予混合室10と連通している。そして、バーナ9とバーナ上板17とダクト15は端部をカシメ等の手段を用いて一体に形成されている。
【0026】
このように構成された燃焼器においても、燃焼により燃焼室13の圧力が高くなるとともに、気化器4のノズル8から予混合室10に向けて燃料ガスが噴出することで予混合室10の入り口は圧力が低くなるため、燃焼室13と予混合室10の間に圧力差が生じる。そして、この圧力差によって燃焼室13内の燃焼排ガスの一部は排ガス取入口14に取り込まれ、ダクト15を通って予混合室10に引き込まれることとなり、予混合室10に引き込まれた燃焼排ガスは燃焼用の一次空気として気化ガスと混合されて予混合気となって再循環する。つまり実施例1と同様に、燃焼排ガスの自己再循環が可能となり、従ってNOxの発生が抑制される。
【0027】
なお、本実施例のように排ガス取入口14、バーナ上板17、ダクト15をバーナ9と一体にすることで、燃焼器をコンパクトに構成することが可能となる。
【0028】
(実施例3)次に本発明の実施例3を図5をもとに説明する。
【0029】
図5においてダクト15は予混合室10を内部に収納するようにバーナボックス12内に設けられている。
【0030】
このような構造において、燃焼室13内の燃焼排ガスは、燃焼室13と予混合室10の間に生じた圧力差によって排ガス取入口14から取り込まれ、ダクト15を通って燃焼用の一次空気として予混合室10に引き込まれるのだが、予混合室10は全周をダクト15により覆われているため、ダクト15に流れ込んだ高温の燃焼排ガスが予混合室10の周囲を取り巻くことになる。よって、予混合室10は燃焼排ガスにより保温される。そして、燃焼排ガスは燃焼用の一次空気としてダクト15から予混合室10に引き込まれ、予混合室10で気化ガスと混合されて予混合気となり再循環するので、NOxの発生も抑制される。
【0031】
また、気化ガスがノズル8から噴出する際には噴出音が発生するのだが、ダクト15が予混合室10を囲むことで噴出音を遮断するため、燃焼器外部に漏れる噴出音を低減する効果もある。
【0032】
(実施例4)次に本発明の実施例4を図6と図7をもとに説明する。
【0033】
図6において、バーナ9は予混合室10と炎孔部11とバーナ上板17とダクト15から構成されており、ダクト15は予混合室10を内部に収納するようにして設けられている。そして、炎孔部11はバーナ上板17に対して、ほぼ垂直に近い角度で設けられており、燃焼室の排ガスを取り入れる排ガス取入口14がバーナ上板17に設けられ、ダクト15を介して予混合室10と連通している。
【0034】
このような燃焼器においては、炎孔部11の角度によって燃焼時に発生するNOxの量が変化し、炎孔部11の角度とNOx発生量との関係は図7に示すようになっている。そして、この図からもわかるように、炎孔部11の角度が垂直に近づくに従い、発生するNOxの量が少なくなることから、本実施例のように炎孔部11を略垂直に設けて燃焼器を構成することで、排ガス再循環による効果に加えてさらなるNOxの発生を低減できる燃焼器を提供することとなる。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1の発明によれば、バーナボックスに排ガス取入口を設け、排ガス取入口をダクトを介して予混合室と連通することで、燃焼によって生じる燃焼室と予混合室の圧力差を利用した再循環通路を形成し、この再循環経路によって燃焼室の燃焼排ガスの一部を燃焼用の一次空気として予混合室に流入させるので、予混合方式の燃焼器においても別途吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。そして、ダクトには高温の燃焼排ガスが流れ込むため、予混合室をダクトで囲むことにより、予混合室は燃焼排ガスにより保温されることとなる。さらに気化ガスの噴出音をダクトが遮断するため、燃焼器外部に漏れる噴出音を低減することが可能となる。
【0036】
また、請求項2の発明によれば、炎孔部を略垂直に設けることで、燃焼により発生するNOxの量を削減して、排ガス再循環による効果に加えてさらなるNOxの発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の燃焼器の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例の燃焼器の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例のバーナ平面図である。
【図4】本発明の第2の実施例の燃焼器のバーナ断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例の燃焼器のバーナ断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例の燃焼器の斜視図である。
【図7】本発明における炎孔部の角度と発生するNOx量の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10 予混合室
11 炎孔部
9 バーナ
12 バーナボックス
13 燃焼室
14 排ガス取入口
15 ダクト
Claims (2)
- 燃料ガスと空気を混合し予混合気とする予混合室と、前記予混合室と連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生する炎孔部と、前記予混合室と炎孔部とからなるバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口と、前記予混合室と前記排ガス取入口を連通するダクトを有し、前記ダクトは前記予混合室を内包するように設けられていることを特徴とする低NOx燃焼器。
- 前記炎孔部は略垂直面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の低NOx燃焼器。
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