JP3946425B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置に関し、詳しくは、アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト時の変速制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置が知られている(特開平6−341526号公報及び特開平9−133205号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の惰行走行状態(コースト状態)からアクセルの踏み込み操作がなされ、該踏み込み操作に伴ってダウンシフト要求が発生したときに、通常に摩擦係合要素の解放制御を開始させると、惰行状態から駆動力が加わる状態への過渡時でギヤのバックラッシュによって歯のコーストサイド側とアプライサイド側との間で変動する状態において解放制御が行われて伝達トルク容量が減少することによって、予期せぬ大きなトルク変動が生じる可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、たとえ惰行走行状態からのアクセルの踏み込みに伴うダウンシフト時であっても、大きなトルク変動の発生を回避できる自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記所定期間を、惰行走行状態から駆動力が加わった走行状態に切り換わるまでの期間とする構成とした。かかる構成によると、パワーオンダウン要求時であって、然も、該要求が発生したときに惰行走行状態(コースト状態)であったときに、エンジンの駆動力が加わった走行状態に切り換わるまでの応答期間において、解放側摩擦係合要素の締結圧が増大補正され、エンジンの駆動力が加わった走行状態になると、解放側摩擦係合要素の締結圧を通常値に戻す。
【0006】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、自動変速機の入力軸トルクに基づいて行う構成とした。かかる構成によると、自動変速機の入力軸トルクが所定値よりも大きいか否かに基づいて惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態とを判別する。
【0007】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、エンジンの回転速度と自動変速機の入力軸回転速度との比較に基づいて行う構成とした。かかる構成によると、トルクコンバータを介してエンジン駆動力が伝達される構成において、エンジン出力トルクが自動変速機側に伝達される状態では、トルクコンバータを挟んでエンジン側の回転速度が高くなり、逆に、駆動輪側からエンジンが駆動される惰行走行時には、トルクコンバータを挟んで変速機側の回転速度が高くなるので、上記相関に基づいて惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態とを判別する。
【0008】
請求項4記載の発明では、アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、自動変速機の入力軸トルクに基づいて行う構成とした。かかる構成によると、パワーオンダウン要求時であって、然も、該要求が発生したときに惰行走行状態(コースト状態)であったときに、解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正し、惰行走行状態(コースト状態)からエンジンの駆動力が加わった走行状態への過渡時における伝達トルク容量の減少を抑制する。ここで、自動変速機の入力軸トルクが所定値よりも大きいか否かに基づいて惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態とを判別する。
【0010】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、前記エンジン運転状態の変化が所定値に達するまでの期間を、前記自動変速機の入力軸トルクが所定値に達するまでの期間とする構成とした。かかる構成によると、アクセルの踏み込みに伴ってエンジンの発生トルクが上昇し、これに伴って自動変速機の入力軸トルクが上昇変化して所定値に達するまでの間、解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正し、前記入力軸トルクが所定値に達した時点で増大補正を停止する。
【0011】
請求項6記載の発明では、アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、エンジンの回転速度と自動変速機の入力軸回転速度との比較に基づいて行う構成とした。
【0012】
かかる構成によると、パワーオンダウン要求時であって、然も、該要求が発生したときに惰行走行状態(コースト状態)であったときに、解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正し、惰行走行状態(コースト状態)からエンジンの駆動力が加わった走行状態への過渡時における伝達トルク容量の減少を抑制する。ここで、トルクコンバータを介してエンジン駆動力が伝達される構成において、エンジン出力トルクが自動変速機側に伝達される状態では、トルクコンバータを挟んでエンジン側の回転速度が高くなり、逆に、駆動輪側からエンジンが駆動される惰行走行時には、トルクコンバータを挟んで変速機側の回転速度が高くなるので、上記相関に基づいて惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態とを判別する。
【0013】
請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、前記所定期間を、前記エンジンの回転速度が所定値に達するまでの期間とする構成とした。かかる構成によると、アクセルの踏み込みに伴ってエンジン回転速度が上昇変化して所定値に達するまで間、解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正し、エンジン回転速度が所定値に達した時点で増大補正を停止する。請求項8記載の発明では、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発明において、前記解放側の締結圧の増大補正量を、アクセルの踏み込みに伴う自動変速機の入力軸トルクの変化量に応じて決定する構成とした。かかる構成によると、解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正するときの補正量が、アクセルが踏み込まれてエンジン発生トルクが上昇することによる入力軸トルクの上昇分に応じて決定される。
【0014】
請求項9記載の発明では、請求項8記載の発明において、前記アクセルの踏み込みに伴う自動変速機の入力軸トルクの変化量を、スロットル開度に基づいて推定する構成とした。かかる構成によると、スロットル開度から入力軸トルクを推定し、アクセルの踏み込みに伴う入力軸トルクの変化量を推定する。請求項10記載の発明では、請求項1〜9のいずれか1つに記載の発明において、解放制御の初期に、解放側摩擦係合要素の締結圧を非変速時の締結圧から所定時間で解放初期圧にまで漸減させる構成であって、前記解放初期圧を増大補正することで解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正する構成とした。
【0015】
かかる構成によると、解放制御が開始されると、解放側摩擦係合要素の締結圧が、非変速時の締結圧から解放初期圧にまで所定時間で漸減制御されるが、パワーオンダウン時に解放側圧の漸減目標である解放初期圧を所定期間だけ増大補正することで、非変速時の締結圧から解放初期圧に向けての締結圧の減少速度が遅く修正され、結果、解放側摩擦係合要素の締結圧が増大補正される。
【0016】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、惰行走行状態からのパワーオンダウン要求時に、惰行走行状態からエンジンの駆動力が加わった走行状態への過渡時において、解放側摩擦係合要素の締結圧を高く保つことができ、変速制御中に大きなトルク変動を招くことを回避でき、かつ、惰行走行状態からエンジンの駆動力が加わった走行状態に切り換わってから解放側摩擦係合要素の締結圧の増大補正を停止するので、締結圧の増大補正が必要以上に継続されることがなく、かつ、大きなトルク変動を招くことを確実に回避できるという効果がある。
【0017】
請求項2記載の発明によると、惰行走行状態とエンジンの駆動力が加わった走行状態とを、変速機の入力軸トルクに基づいて正確に判断できるという効果がある。請求項3記載の発明によると、惰行走行状態とエンジンの駆動力が加わった走行状態とを、エンジン回転速度と変速機の入力軸回転速度との相関から正確に判断できるという効果がある。
【0018】
請求項4記載の発明によると、惰行走行状態からのパワーオンダウン要求時に、惰行走行状態からエンジンの駆動力が加わった走行状態への過渡時において、解放側摩擦係合要素の締結圧を高く保つことができ、変速制御中に大きなトルク変動を招くことを回避でき、かつ、惰行走行状態とエンジンの駆動力が加わった走行状態とを、変速機の入力軸トルクに基づいて正確に判断できるという効果がある。請求項5記載の発明によると、アクセルの踏み込みに見合った運転状態になるまでの過渡期間を、変速機の入力軸トルクから的確に判断できるという効果がある。
【0019】
請求項6記載の発明によると、惰行走行状態からのパワーオンダウン要求時に、惰行走行状態からエンジンの駆動力が加わった走行状態への過渡時において、解放側摩擦係合要素の締結圧を高く保つことができ、変速制御中に大きなトルク変動を招くことを回避でき、かつ、惰行走行状態とエンジンの駆動力が加わった走行状態とを、エンジン回転速度と変速機の入力軸回転速度との相関から正確に判断できるという効果がある。請求項7記載の発明によると、アクセルの踏み込みに見合った運転状態になるまでの過渡期間を、エンジン回転速度の変化から的確に判断できるという効果がある。請求項8記載の発明によると、トルク変動の発生を回避するのに必要充分なだけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正することができるという効果がある。
【0020】
請求項9記載の発明によると、アクセルの踏み込みに伴う入力軸トルクの変化量を簡便に推定することができるという効果がある。請求項10記載の発明によると、解放制御を進行させつつ、トルク変動を回避するための締結圧の増大補正を行わせることができるという効果がある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における自動変速機の変速機構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバータ1を介して変速機構2に伝達される構成となっている。
【0022】
前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキL&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構成される。
前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞれ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。
【0023】
前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入力軸INに直結される。
前記遊星歯車組G1のキャリアc1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャリアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバースブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc1を固定できるようになっている。
【0024】
そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャリアc2とが一体的に直結されている。
上記構成の変速機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すように、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによって実現される。
尚、図2において、丸印が締結状態を示し、記号が付されていない部分は開放状態とすることを示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみの締結を示すものとする。
【0025】
前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へのダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速から2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになる。
【0026】
上記のように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結制御と解放制御とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う変速を掛け替え変速と称するものとする。
前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)は、供給油圧によって動作するようになっており、各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示すソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイドバルブによって調整される。
【0027】
前記ソレノイドバルブユニット11の各種ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12には、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合要素における係合油圧を制御する。
【0028】
尚、図3において、符号20は、前記自動変速機と組み合わされるエンジンを示す。
ここで、アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト(以下、パワーオンダウンという)時における掛け替え変速制御の様子を、図4のタイムチャートを参照しつつ、図5〜図17のフローチャートに従って説明する。
【0029】
図5のフローチャートは、締結側摩擦係合要素と解放側摩擦係合要素とに共通のメイン制御ルーチンを示す。
ステップS1では、パワーオンダウンの要求が発生したか否かを判別する。
A/Tコントローラ12には、車速VSPとアクセル開度(スロットル開度)とに応じて変速段を設定した変速マップが予め記憶されており、例えば、現在(変速前)の変速段と前記変速マップから検索した変速段とが異なり、かつ、それがダウンシフト方向であって、然も、アクセルが全閉でない状態を、パワーオンダウンの変速要求として判断する。
【0030】
パワーオンダウンの変速要求が判別されると、ステップS2へ進み、変速機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)と出力軸回転速度(車速)との比として算出されるそのときのギヤ比(ギヤ比=入力軸回転速度/出力軸回転速度)が、変速前のギヤ比に基づいて設定されるフィードバック(F/B)開始ギヤ比よりも高くなっているか否かを判別する。
【0031】
前記のギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも高いか否かの判別は、解放側の摩擦係合要素の滑りによるギヤ比の変化し始めを判断するものであり、前記F/B開始ギヤ比は、変速前のギヤ比よりも僅かに高いギヤ比として設定される。
ギヤ比がF/B開始ギヤ比以下であるときには(パワーオンダウンの変速要求が発生した時点からギヤ比がF/B開始ギヤ比になるまでの間は)、ステップS3の準備フェーズ処理を実行させる。
【0032】
前記ステップS3の準備フェーズ処理は、解放側の処理と締結側の処理とに分かれ、解放側の準備フェーズ処理は、図6〜図9のフローチャートに示される。
図6のフローチャートにおいて、ステップS31では、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点において、車両が惰行走行状態(コースト状態)であったか、エンジン駆動力が加わった走行状態(以下、エンジン駆動状態という)であったかを判別する。
【0033】
ステップS31で、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で、エンジン駆動状態であったと判別されると、ステップS34へ進み、後述する解放初期油圧Po1を算出するときに用いる余裕代(1)として、通常値(例えば1.2)をセットする。
尚、摩擦係合要素の指示圧は、基本的に、臨界圧×余裕代として算出される構成になっており、余裕代として1を超える値を設定すれば、そのときの入力軸トルクを伝達できるトルク容量が確保されることになり、余裕代(1)としてより大きな値を設定することは、解放側摩擦係合要素の指示圧(締結圧)を増大補正することに相当する。
【0034】
一方、ステップS31で、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で、惰行走行状態であったと判別されると、ステップS32へ進む。
ステップS32では、惰行走行状態からエンジン駆動状態に切り換わったか否かを判別し、エンジン駆動状態に切り換わるまではステップS33へ進み、エンジン駆動状態に切り換わったことが判別されると、前記ステップS34へ進む。
【0035】
ステップS33では、前記余裕代(1)として、前記通常値よりも大きな惰行時用補正値をセットする。
即ち、惰行走行状態でパワーオンダウンの変速要求が発生した場合には、エンジン駆動状態に切り換わるまでの間、前記余裕代(1)として通常よりも大きな値が設定され、エンジン駆動状態に切り換わった後は、前記余裕代(1)が通常値に切り換えられる。一方、エンジン駆動状態でパワーオンダウンの変速要求が発生した場合には、前記余裕代(1)として当初から通常値が設定される。
【0036】
尚、惰行走行状態でパワーオンダウンの変速要求が発生し、その後、所定時間以上経過してもエンジン駆動状態への切り換わりが判別されない場合には、前記余裕代(1)を強制的に通常値に戻すようにすると良い。
前記惰行時用補正値は、通常値(例えば1.2)よりも大きな固定値(例えば1.4)としても良いが、アクセルの踏み込みに伴う変速機の入力軸トルクの変化量に応じて設定することがより好ましい。
【0037】
アクセルが大きく踏み込まれ、大きく入力軸トルクが変化するときには、より解放側油圧を高く保持しておかないと、トルク変動を招くことになるので、入力軸トルクの変化量が大きいときほど、惰行時用補正値としてより大きな値を設定する。
具体的には、図7のフローチャートに示すようにして、惰行時用補正値、即ち、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点において惰行走行状態であったときに用いる余裕代(1)を設定する。
【0038】
図7のフローチャートにおいて、ステップS351では、アクセル踏み込み後のスロットル開度とそのときのエンジン回転速度とに基づいて推定されるエンジン発生トルクと、トルクコンバータのトルク比とから、アクセル踏み込み後の定常状態での入力軸トルクを推定する。
ステップS352では、後述する指示圧の演算に用いるために逐次演算される入力軸トルクのパワーオンダウン判断時の値を読み込む。
【0039】
尚、後述する指示圧の演算のための入力軸トルクの演算においては、吸入空気量・エンジン回転速度から推定されるエンジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とから入力軸トルクを推定するが、スロットル開度・エンジン回転速度に基づいて推定されるエンジン発生トルクと、トルクコンバータのトルク比とに基づく推定値に、なまし処理(1次遅れ補正)を施して入力軸トルクを推定させる構成であっても良い。
【0040】
ステップS353では、前記ステップS351で求めたアクセル踏み込み後の定常状態での入力軸トルクと、前記ステップS352で求めたパワーオンダウン判断時の入力軸トルクとの偏差ΔTを演算する。
ステップS354では、予め前記偏差ΔTに応じて惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))を記憶したテーブルを参照し、前記ステップS353で演算した偏差ΔT(入力軸トルクの変化量)に対応する惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))を検索する。
【0041】
ここで、前記偏差ΔTが大きいときほど、前記惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))としてより大きな値が設定されるようになっている。
尚、簡易的には、パワーオンダウン判断前後のスロットル開度(アクセル開度)の偏差が大きいときほど、惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))としてより大きな値を設定する構成としても良い。
【0042】
また、スロットル開度(アクセル開度)の開方向への変化速度が大きいときほど、惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))としてより大きな値を設定する構成としても良く、更に、開度変化量と開速度との双方から惰行時用補正値(惰行時用余裕代(1))を決定する構成としても良い。
上記のようにして余裕代(1)を設定すると、ステップS35へ進み、解放初期油圧Po1を下式に従って演算する。
【0043】
Po1=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(1))+Prtn-o
ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を油圧に変換するための係数である。
また、Ttは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、吸入空気量・エンジン回転速度から推定されるエンジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とから推定される。
【0044】
Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対して、摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を求めるための臨界トルク比である。
Prtn-oは、解放側のスタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶される。
本実施形態では、変速前の油圧から前記解放初期油圧Po1まで低下させた後、前記解放初期油圧Po1を基準に臨界圧を下回る油圧にまで解放側油圧を漸減させる。
【0045】
ステップS36では、変速の種類毎に設定される所定時間TIMER1だけ、解放制御の開始から経過しているか否かを判別する。
前記所定時間TIMER1内であれば、ステップS37へ進み、解放側摩擦係合要素の非変速時油圧Po0を算出する。
前記非変速時油圧Po0は、
Po0=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(0))+Prtn-o
として算出される。
【0046】
前記余裕代(0)は、例えば3.0程度の値として予め記憶されている。
ステップS38では、前記所定時間TIMER1内での油圧勾配Rmp−Po1を、
Rmp−Po1=(Po0−Po1)/TIMER1
として算出する。
【0047】
そして、前記非変速時油圧Po0から単位時間毎に(Rmp−Po1)だけ油圧を漸減させ、所定時間TIMER1が経過した時点で、解放初期油圧Po1まで低下するようにする。
尚、解放初期油圧Po1まで低下するまでの間で惰行走行状態からエンジン駆動状態に切り換えられ、余裕代(1)が切り換えられ解放初期油圧Po1が変化するときには、そのときの指示圧から残りの時間で解放初期油圧Po1まで低下させる油圧勾配を演算させることが好ましい。
【0048】
ここで、前記解放初期油圧Po1の演算に用いる余裕代(1)が、惰行走行状態でパワーオンダウンの変速要求が発生した場合に、より大きな値に設定されるから、惰行走行状態でパワーオンダウンの変速要求が発生した場合には、前記油圧を減少させる減少勾配Rmp−Po1が緩くなり、結果、通常よりも高い解放側油圧で推移することになる。
【0049】
パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で惰行走行状態であったときに、通常制御によって解放側摩擦係合要素の油圧(締結力)を漸減させると、惰行走行状態からエンジン駆動状態への過渡時でギヤのバックラッシュによって歯のコーストサイド側とアプライサイド側との間で変動する状態において解放側摩擦係合要素の締結力が弱まることになり、予期せぬ大きなトルク変動が生じる可能性がある。そこで、惰行走行状態からエンジン駆動状態への過渡時に、通常よりも解放側油圧を増大補正して、予期せぬ大きなトルク変動の発生を抑制するようにしてある。
【0050】
尚、上記実施形態では、余裕代(1)の補正による解放初期油圧Po1の補正によって、解放側摩擦係合要素の締結圧(油圧)を増大補正する構成としたが、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で惰行走行状態であったときに、エンジン駆動状態に移行するまでの間、通常よりも解放側指示圧が増大補正される構成であれば良く、増大補正の方法を上記実施形態に限定するものではなく、例えば、通常の余裕代(1)に基づいて演算される解放側油圧を補正する構成としても良い。
【0051】
ステップS39では、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも高いか否かを判別し、前記所定時間TIMER1経過後で、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも高くなるまでの間は、ステップS40,41へ進む。
ステップS40では、解放油圧Po2を算出する。
前記解放油圧Po2は、
Po2=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(2))+Prtn-o
として算出されるものであり、前記余裕代(2)として1.0よりも小さい例えば0.8程度の値を用いる(余裕代(0)>余裕代(1)>0>余裕代(2))。
【0052】
ステップS41では、所定時間TIMER2内で、前記解放初期油圧Po1から解放油圧Po2まで低下させるための油圧ランプ勾配(単位時間当たりの油圧減少幅)を、
Rmp−Po2=(Po1−Po2)/TIMER2
として算出する。
【0053】
そして、前記所定時間TIMER1が経過した時点から所定時間TIMER2内で、かつ、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも高くなっていない状態では、単位時間毎に(Rmp−Po2)だけ油圧を減少させる。
ところで、前記ステップS31及びステップS32における惰行走行状態とエンジン駆動状態との判別は、図8のフローチャートに示すようにして行われる。
【0054】
図8のフローチャートにおいて、ステップS311では、変速機の入力軸トルクが所定値よりも小さいか否かを判別する。
そして、ステップS311で変速機の入力軸トルクが所定値よりも小さいと判別されると、ステップS312へ進んで、惰行走行状態であると判定する。
一方、ステップS311で変速機の入力軸トルクが所定値以上であると判別されると、ステップS313へ進んで、エンジン駆動状態を判定する。
【0055】
尚、変速機構の入力軸トルクは、センサで検出させても良いが、運転条件から推定させることができ、例えば吸入空気量・エンジン回転速度などから推定されるエンジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とから推定することができる。
上記のように、入力軸トルクに基づいて惰行走行状態とエンジン駆動状態との判別を行わせる構成の場合、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で入力軸トルクが所定値よりも小さいと、その後、入力軸トルクが所定値に達するまでの間、解放側摩擦係合要素の指示圧の演算に用いる余裕代(1)が増大補正されることになる。
【0056】
また、前記ステップS31及びステップS32における惰行走行状態とエンジン駆動状態との判別は、図9のフローチャートに示すようにして行わせても良い。
図9のフローチャートにおいて、ステップS321は、エンジン回転速度が、タービン回転速度(変速機の入力軸回転速度)+所定値HYSよりも低いか否かを判別する。
【0057】
そして、ステップS321で、エンジン回転速度が、タービン回転速度+所定値HYSよりも小さいと判別されると、ステップS322へ進んで、惰行走行状態であると判定する。
一方、ステップS321で、エンジン回転速度が、タービン回転速度+所定値HYS以上であると判別されると、ステップS323へ進んで、エンジン駆動状態を判定する。
【0058】
上記のように、エンジン回転速度とタービン回転速度との比較に基づいて、惰行走行状態とエンジン駆動状態との判別を行わせる構成の場合、パワーオンダウンの変速要求が発生した時点で、エンジン回転速度がタービン回転速度+所定値HYSよりも低いと、その後、エンジン回転速度がタービン回転速度+所定値HYSに達するまでの間、解放側摩擦係合要素の指示圧の演算に用いる余裕代(1)が増大補正されることになる。
【0059】
一方、締結側の準備フェーズ処理は、図10のフローチャートに示される。
図10のフローチャートは、締結側(低速段用)の準備フェーズ処理のルーチンを示すものであり、ステップS341では、変速判断から所定時間TIMER0だけ経過したか否かを判別する。
ステップS341で、変速判断から所定時間TIMER0が経過していないと判別されたときには、ステップS342へ進み、締結側の摩擦係合要素に対する油圧のプリチャージを行う。前記油圧のプリチャージ処理は、所定のプリチャージ圧を、前記所定時間TIMER0だけ継続的に出力する処理である。
【0060】
前記所定時間TIMER0が経過すると、ステップS343で、ギヤ比が所定の締結開始ギヤ比(1)よりも大きくなったか否かを判別し、ギヤ比が締結開始ギヤ比(1)以下である間は、ステップS344へ進み、摩擦係合要素毎に予め記憶されているスタンバイ圧Prtn-cの出力を行わせるスタンバイ圧処理を行わせる。
【0061】
ここで、前記図5のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS2でギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも大きくなったと判別されると、ステップS2からステップS4へ進み、ギヤ比が、変速後のギヤ比よりの僅かに小さいF/B終了ギヤ比よりも大きくなっているか否かを判別する。
そして、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも大きくなっているものの、F/B終了ギヤ比以下であると判断される場合には、ステップS5のイナーシャフェーズ処理を実行する。
【0062】
解放側についてのイナーシャフェーズ処理を、図11のフローチャートに示してある。
図11のフローチャートは、解放側のイナーシャフェーズ処理のメインルーチンを示し、ステップS51では、解放側油圧の基本制御を行う。
前記基本制御では、解放側指示油圧Po3を、
Po3=K1×(Tt−Tinr×HOSEI-VSP)×Tr-o+Prtn-o
として算出する。
【0063】
ここで、Tinrは、パワーオンダウンによる回転の増大変化に伴うイナーシャトルクであり、予め目標変速時間に応じたテーブルに記憶されている。
また、HOSEI-VSPは予め車速VSPに応じたテーブルに記憶されるイナーシャトルクの補正係数である。
ステップS52では、前記解放側指示油圧Po3を基本値として、タービン回転(rpm)を、変速開始からの経過時間に応じた目標タービン回転に一致させるためのタービン回転フィードバック制御を行う。
【0064】
具体的には、変速開始からの経過時間に応じて目標ギヤ比を設定し、該目標ギヤ比と出力軸回転(車速VSP)とから目標タービン回転を算出する。そして、実際のタービン回転と前記目標タービン回転との偏差から、例えば比例・積分・微分制御(PID制御)によってフィードバック補正分を算出し、前記解放側指示油圧Po3を前記フィードバック補正分で補正する。
【0065】
一方、締結側のイナーシャフェーズ処理は、図12のフローチャートに示される。
図12のフローチャートにおいて、ステップS61では、ギヤ比が締結開始ギヤ比(1)を超えたか否かを判別し、締結開始ギヤ比(1)を超えるまでは、ステップS62へ進み、準備フェーズのスタンバイ圧制御に続けて、締結側の油圧をスタンバイ圧Prtn-cに保持するスタンバイ圧制御を行う。
【0066】
ステップS61では、ギヤ比が締結開始ギヤ比(1)を超えたと判別されると、ステップS63でギヤ比が締結開始ギヤ比(2)(>締結開始ギヤ比(1))を超えたか否かを判別する。
そして、ギヤ比が締結開始ギヤ比(1)を超えてから締結開始ギヤ比(2)を超えるまでの間は、ステップS64へ進み、トルクフェーズにおける掛け替え制御のための準備としての掛け替え準備制御を行う。
【0067】
前記掛け替え準備制御では、イナーシャトルクTinr及び車速に応じたイナーシャトルクTinrの補正係数HOSEI-VSPを、前記解放側制御と同様にして設定し、イナーシャトルク相当の油圧を以下のようにして算出する。
ここで、Prtn-cは、締結側のスタンバイ圧である。
【0068】
そして、締結開始ギヤ比(1)から締結開始ギヤ比(2)まで変化する間において、スタンバイ圧Prtn-cから前記イナーシャトルク相当油圧まで上昇させる。
締結開始ギヤ比(2)を超えると、ステップS65で判別される所定時間TIMER3内であるときに、ステップS66へ進み、掛け替え制御を実行させる。
前記掛け替え制御においては、まず、締結側の油圧を時間と共に上昇させるためのランプRmp-Tr(1)を、予め締結開始ギヤ比(2)を超えてからの経過時間に応じて記憶されているテーブルから検索する。
【0069】
そして、前記ランプRmp-Tr(1)、イナーシャトルクTinr、推定入力トルクTt等から、締結側指示圧Pc1を下式に従って演算する。
上式において、K2は締結側の伝達トルク容量を油圧に変換するための変換係数、Ttは推定入力軸トルク、Tr-cは締結側の摩擦係合要素毎に設定される臨界トルク比であり、K2×Tt×Tr-cにより、そのときの入力トルクを伝達できる締結側の最小油圧(臨界伝達トルク容量)が求めらる。
【0070】
ここで、前記ランプRmp-Tr(1)は最初0で、所定時間TIMER3経過後に1にまで上昇するので、K2×Tt×Tr-c×Rmp-Tr(1)は、最初0で、所定時間TIMER3経過後にK2×Tt×Tr-cとなる。また、Tr-o×Tinr×HOSEI-VSP×K1+Prtn-cは、前記イナーシャトルク相当油圧であり、該イナーシャトルク相当油圧を初期圧として、所定時間TIMER3内でK2×Tt×Tr-cだけ油圧を増大変化させる。
【0071】
ギヤ比が前記F/B終了ギヤ比を超えると、図5のフローチャートにおいて、ステップS4からステップS6へ進み、F/B終了ギヤ比を超えてから所定時間TIMER4が経過し、かつ、前記所定時間TIMER3が経過した時点から所定時間TIMER5が経過したか否かを判別する。
そして、いずれか一方が経過していない場合には、ステップS7へ進み、トルクフェーズ処理を実行する。
【0072】
解放側におけるトルクフェーズ処理は、図13のフローチャートに示してあり、ステップS701で、前記所定時間TIMER4で解放側の油圧を0にまで減少させるランプ制御を実行する。
具体的には、ギヤ比が前記F/B終了ギヤ比を超えた時点の解放側の油圧Po5と、前記所定時間TIMER4とから、油圧の減少勾配Rmp-Po3を、
Rmp-Po3=(Po5−0)/TIMER4
として算出し、単位時間毎に前記Rmp-Po3だけ油圧を減少させる。
【0073】
一方、締結側におけるトルクフェーズ処理は、図14のフローチャートに示される。
図14のフローチャートにおいて、ステップS81では、ギヤ比が締結開始ギヤ比(2)を超えてから所定時間TIMER3が経過したか否かを判別する。
そして、前記所定時間TIMER3が経過していない場合には、ステップS82へ進み、イナーシャフェーズでの処理に続けて掛け替え制御を継続させる。
【0074】
ステップS81で前記所定時間TIMER3が経過していると判別されたときには、ステップS83へ進み、前記所定時間TIMER3が経過した時点から更に所定時間TIMER5が経過したか否かを判別する。
そして、前記所定時間TIMER5内であれば、ステップS84へ進み、棚圧制御を実行する。
【0075】
前記棚圧制御では、まず、変速後の締結側摩擦係合要素のトルク分担比の設定を行い、次いで下式に従って締結側の指示圧Pc2を算出する。
F/B終了ギヤ比を超えてから所定時間TIMER4が経過し、かつ、所定時間TIMER3が経過した時点から更に所定時間TIMER5が経過すると、前記図5のフローチャートにおいて、ステップS6からステップS7へ進み、所定時間TIMER5が経過した時点から、所定時間TIMER6が経過したか否かを判別する。
【0076】
そして、前記所定時間TIMER6が経過していない場合には、ステップS9の終了フェーズ処理を実行する。
解放側の終了フェーズ処理は、図15のフローチャートに示され、ステップS901では、トルクフェーズ終了時点における解放側の油圧(=0)を保持させる処理を行う。
【0077】
一方、締結側の終了フェーズ処理は、図16のフローチャートに示される。
図16のフローチャートにおいて、ステップS91では、終了フェーズ処理に移行してから所定時間TIMER6が経過していないと判別されると、ステップS92へ進んで締結側の終了フェーズ処理を実行する。
前記締結側の終了フェーズ処理では、まず、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を、トルクフェーズ終了時点における値(臨界圧)から前記所定時間TIMER6で例えば1.2倍にまで増大させるランプRmp-Tr(2)の設定を行う。
【0078】
そして、前記ランプRmp-Tr(2)に基づき締結側の指示圧を、下式に従って算出する。
前記所定時間TIMER6では、上記の式によって算出される指示圧Pc3に制御することで、臨界圧の1.2倍程度の油圧まで上昇させるが、前記所定時間TIMER6が経過した時点で油圧を最大圧までステップ的に増大させる。
【0079】
尚、パワーダウンシフト要求発生時に惰行走行状態であった場合に、エンジン駆動状態に切り換わるまで、解放側の油圧(締結圧)を増大補正する構成であれば、掛け替え変速における解放制御及び締結制御の詳細を上記のものに限定するものではない。
また、簡易的には、パワーオンダウンシフト要求発生時に、惰行走行状態であるか否かを判定することなく、常に一定時間だけ解放側の油圧(締結圧)を増大補正する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け替えによる変速の様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換え変速制御の様子を示すフローチャート。
【図6】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示すフローチャート。
【図7】惰行時用の余裕代(1)の入力軸トルク変化量に応じた設定制御を示すフローチャート。
【図8】惰行状態とエンジン駆動状態との判別処理を示すフローチャート。
【図9】惰行状態とエンジン駆動状態との判別処理を示すフローチャート。
【図10】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示すフローチャート。
【図11】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理を示すフローチャート。
【図12】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理を示すフローチャート。
【図13】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を示すフローチャート。
【図14】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を示すフローチャート。
【図15】解放側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示すフローチャート。
【図16】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ
2…変速機構
11…ソレノイドバルブユニット
12…A/Tコントローラ
13…A/T油温センサ
14…アクセル開度センサ
15…車速センサ
16…タービン回転センサ
17…エンジン回転センサ
18…エアフローメータ
20…エンジン
G1,G2…遊星歯車
H/C…ハイクラッチ
R/C…リバースクラッチ
L/C…ロークラッチ
2&4/B…2速/4速バンドブレーキ
L&R/B…ロー&リバースブレーキ
Claims (10)
- 異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置において、
アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記所定期間を、惰行走行状態から駆動力が加わった走行状態に切り換わるまでの期間とすることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、自動変速機の入力軸トルクに基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、エンジンの回転速度と自動変速機の入力軸回転速度との比較に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の変速制御装置。
- 異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置において、
アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、自動変速機の入力軸トルクに基づいて行うことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 前記所定期間を、前記自動変速機の入力軸トルクが所定値に達するまでの期間とすることを特徴する請求項4記載の自動変速機の変速制御装置。
- 異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置において、
アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト要求時であって、かつ、該ダウンシフト要求が発生したときに車両が惰行走行状態であったときに、前記解放制御の開始から所定期間だけ解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正すると共に、前記惰行走行状態と駆動力が加わった走行状態との判別を、エンジンの回転速度と自動変速機の入力軸回転速度との比較に基づいて行うことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 前記所定期間を、前記エンジンの回転速度が所定値に達するまでの期間とすることを特徴する請求項6記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記解放側の締結圧の増大補正量を、アクセルの踏み込みに伴う自動変速機の入力軸トルクの変化量に応じて決定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記アクセルの踏み込みに伴う自動変速機の入力軸トルクの変化量を、スロットル開度に基づいて推定することを特徴とする請求項8記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記解放制御の初期に、解放側摩擦係合要素の締結圧を非変速時の締結圧から所定時間で解放初期圧にまで漸減させる構成であって、前記解放初期圧を増大補正することで解放側摩擦係合要素の締結圧を増大補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。
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