JP3945918B2 - 磁気共鳴装置 - Google Patents

磁気共鳴装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3945918B2
JP3945918B2 JP26647998A JP26647998A JP3945918B2 JP 3945918 B2 JP3945918 B2 JP 3945918B2 JP 26647998 A JP26647998 A JP 26647998A JP 26647998 A JP26647998 A JP 26647998A JP 3945918 B2 JP3945918 B2 JP 3945918B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic resonance
time
data
signal
magnetic field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26647998A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000093402A (ja
JP2000093402A5 (ja
Inventor
良孝 尾藤
智嗣 平田
由香里 小野寺
博道 清水
俊彦 恵飛須
徹郎 竹上
昭二 成瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP26647998A priority Critical patent/JP3945918B2/ja
Publication of JP2000093402A publication Critical patent/JP2000093402A/ja
Publication of JP2000093402A5 publication Critical patent/JP2000093402A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3945918B2 publication Critical patent/JP3945918B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置、特にスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴装置は、静磁場中に置かれた測定対象に特定周波数の高周波磁場を照射して磁気共鳴現象を誘起し、測定対象の物理的化学的情報を取得する装置である。現在、広く普及している磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)は、主として水分子中の水素原子核の磁気共鳴現象を用い、生体組織によって異なる水素原子核密度や緩和時間の差などを画像化する方法である。これにより、組織の差異を画像化でき、疾病の診断に高い効果を挙げている。これに対し、スペクトロスコピーやスペクトロスコピックイメージングは、分子の化学結合の違いによる磁気共鳴周波数の差異(ケミカルシフト)を元に分子毎に磁気共鳴信号を分離し、分子種毎の濃度や緩和時間などを計測する方法である。スペクトロスコピーは、ある選択された空間領域の分子種を観測する方法、スペクトロスコピックイメージングは、分子種毎に画像化する方法である。対象とする原子核としては1H(プロトン)、31P、13C、17Fなどがある。スペクトロスコピーおよびスペクトロスコピックイメージングによって代謝物質の濃度分布が得られるため、磁気共鳴イメージングよりも早期に、かつ詳細な診断が可能になると期待されている。
【0003】
磁気共鳴信号を分子種毎に分離する際に問題になるのは、ケミカルシフトが近い、もしくは重畳している分子種の信号を分離する場合である。特に、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの場合、乳酸と脂肪の信号分離が問題となっている。乳酸は嫌気性代謝産物として脳虚血や悪性腫瘍などで増加することが知られ、この信号強度や濃度分布を測定することは診断上重要な意味を持つ。しかし、乳酸のメチル基のケミカルシフトは1.3ppm、脂肪のケミカルシフトは0.9−2.0ppmと重畳しているため、脂肪信号が乳酸信号に混入して乳酸の測定精度を低下させていた。
【0004】
この問題を解決するために、従来、次の技術が提案されてきた。
【0005】
(1)乳酸と脂肪の縦緩和時間T1、横緩和時間T2の差を利用する方法:
これは、乳酸の場合:T1=1500ms、T2=1200ms、脂肪の場合:T1=300ms、T2=85msとT1、T2に大きな違いがあることを利用して、脂肪信号が減少するように、エコータイムTEや繰り返し時間TRを設定する方法である。例えば、TEを長く設定することで脂肪の信号を減少させることが可能となる。また、インバージョンリカバリー(IR:Inversion Recovery)法を用い、T1の違いを利用して、脂肪信号のみを消失させる方法も提案されている。T1、T2の強調方法やIR法については、例えばNMR医学、日本磁気共鳴医学会編、丸善、1991年発行の第2章が参考となる。
【0006】
(2)アウター・ボリューム・サプレッション(OVS:Outer Volume Suppression):
これは予め関心領域外の核磁化を励起、抑圧する方法である。この方法により、皮下脂肪からの信号を抑圧することが可能となる。この方法については、例えばマグネティック・レゾナンス・イン・メディスン(Magnetic Resonance in Medicine)誌、10巻、315頁、1992年発行が参考になる。
【0007】
(3)乳酸のスピン−スピン結合を利用する方法:
これは乳酸のメチル基CH3(ケミカルシフト1.3ppm)とCH(ケミカルシフト4.2ppm)とがスピン結合定数J=1/136msでスピン−スピン結合していることを利用して、乳酸信号と脂肪信号とを分離する方法である。この手法においても、以下の代表的なやり方が知られている。
(i)CH3スピン結合定数Jの核の磁気共鳴信号のみを発生させるように高周波磁場パルスを印加する方法(Magnetic Resonance in Medicine誌、8巻、355頁、1988年発行)。
(ii)CHを励起した場合としない場合のCH3の磁気共鳴信号の差異を計測する方法(同誌、30巻、124頁、1993年発行)。
(iii)TE=n/J(n:自然数)の複数のデータを計測してスピン結合定数Jの信号を抽出する方法(同誌、33巻、101頁、1995年発行)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、次のような問題点があった。
(1)縦緩和時間T1、横緩和時間T2の差を利用する方法では、脂肪信号を十分に減少させるにはエコータイムTEを長く取る必要があり、乳酸の信号も劣化してしまう場合がある。特に細胞死によって脳内に脂肪が生じた場合のT2は前述したものよりもかなり長くなる場合があり、この方法では十分に信号を減衰できないことがある。
(2)OVSでは皮下脂肪の領域を予め抑圧するが、領域選択の不完全性から、抑圧領域を関心領域に近づけすぎると、関心領域の信号まで低下してしまう。特に脳の灰白質を測定する際には皮下脂肪の信号を完全に抑圧することは難しくなる。
(3)乳酸のスピン−スピン結合を利用する方法は、基本的には、正確に乳酸信号のみを計測することが可能である。しかし、スピン結合定数Jの磁気共鳴信号のみを発生させる方法(i)では、他の代謝物質のスペクトルを同時に計測することがむずかしいという問題がある。CHを励起した場合と励起しない場合とでCH3の磁気共鳴信号の差異を計測する方法(ii)では、少なくとも2回の計測が必要になり、計測時間の延長という問題がある。また、シーケンスによっては他の分子種のスペクトルが劣化するという問題点がある。複数のTE=n/Jのデータを計測する方法(iii)では、計測時間の延長と、CH3のT2を仮定した補正計算によって誤差が生じやすいという問題があった。計測時間の延長に対しては、マルチパルスを利用して1回の計測で複数のTE=n/Jのデータを計測する方法が提案されているが、この場合にもT2補正によって誤差が生じやすいという問題は残っている。
【0009】
本発明の目的は、脂肪信号の混入を抑制し、乳酸信号を高速高精度に測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することにある。さらに一般にスピン−スピン結合を有する対象分子種の信号を、他の分子種の信号から高速高精度に分離して測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、脂肪がブロードなスペクトルを持っていることに着目し、乳酸のスピン−スピン結合によるデータを脂肪信号と分離する。本発明では、乳酸のスピン結合定数をJとするときに、1/Jの整数倍にならないようにエコータイムTEを設定し、かつ、データ取得時間内に少なくとも一つの時刻n/J(nは自然数)が含まれるように計測パラメータを設定する。
【0011】
この設定された計測パラメータを用いて、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測およびデータ再構成を行う。乳酸のスペクトルを含むケミカルシフト領域のデータをフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換する。逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、乳酸の信号強度を計算する。このとき、脂肪信号はブロードなスペクトルを有しているために、TE付近でのみ高信号となるエコーを発生する。このため、TEとn/Jとの時間差が十分大きければ、時刻n/Jでは脂肪信号は実質的に消失し、乳酸の信号のみが得られる。
【0012】
なお、上記説明では簡単のために、乳酸と脂肪の分離について説明したが、本発明は、対象分子種がスピン−スピン結合を有し、そのスペクトルに重畳したブロードなスペクトルを持つ分子種の信号から対象分子種の信号を分離計測する場合に適用可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図12に本発明にかかる磁気共鳴装置の概略構成図を示す。図12において、41は静磁場H0を発生する磁石、42は測定対象、43は高周波磁場の発生と測定対象42から生じる磁気共鳴信号の検出のためのコイル、44、45、46はそれぞれx方向、y方向およびz方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイルである。47は上記各傾斜磁場発生コイル44、45、46に電流を供給するためのコイル駆動装置である。48は各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と測定されたデータの演算を行うための計算機、49は、各磁場の発生タイミングあるいはデータ取得のタイミング等のパラメータを計算機48へ入力するためのインターフェイスおよび演算結果を表示するためのディスプレイ、50はキーボードなどの入力機器である。
【0014】
測定対象42の核スピンを励起する高周波磁場H1は、シンセサイザ51により発生させた高周波を変調装置52で波形整形および電力増幅し、コイル43に電流を供給することにより発生させる。コイル駆動装置47から電流を供給された傾斜磁場発生コイル44、45、46は傾斜磁場を発生し、測定対象42からの磁気共鳴信号を変調する。該変調信号はコイル43により受信され、増幅器53で増幅、検波装置54で検波された後、計算機48に入力される。計算機48は演算後、演算結果をディスプレイ49に表示する。
【0015】
本発明では、後述する実施例で
説明する測定方法を実現するために、測定方法を記述したプログラムを計算機48に格納するとともに、計算機48、ディスプレイ49、および入力機器50が、必要とする計測パラメータおよびデータ処理の設定パラメータを設定することが必要である。
【0016】
図13(a)に、このための計測パラメータの設定画面を、図13(b)に、データ処理の設定パラメータを表示する画面および処理結果を表示する画面の例をそれぞれ示す。
【0017】
計測パラメータの設定画面には、計測用のパラメータを入力するための入力窓として、TR(繰り返し時間)、TE(エコータイム)、FOV(表示画面の大きさ)、Spectral Center(取得すべきケミカルシフトの中心値)、Spectral BW(取得すべきケミカルシフトのバンド幅の値)、Spectral Resolution(データ取得時間)が備えられ、図に示すようなデータが操作者によって入力される。さらに、本発明の実行の要否を選択するための表示Lac|Lipとこれに対応するトグルボタンが設けられる。トグルボタンがonを選択されたとき実行、offが選択されたとき非実行である。この実施例では、トグルボタンは画面上の該当位置をクリックする度にon、offが交互に現れる。
【0018】
onを選択した場合、本発明の各種の実施例を実行するために必要なデータを入力するための入力窓が表示される。この実施例では、Region, T2 * CorrectおよびWater Sup.がこれに該当する。ここでRegionはLactateのケミカルシフトを設定するためのものでautoまたはmanualが選択できる。autoが選択された場合、装置の磁場強度から計算機によって計算された乳酸のケミカルシフトが用いられ、manualが選択された場合には数値入力が可能な窓が表示される。T2 *Correctは静磁場不均一の補正方法を選択するためのものである。off、other、またはwaterが選択できる。offが選択された場合、補正処理を行わない。otherが選択された場合、他分子種のケミカルシフトを設定する窓が表示され、これを用いて第2の実施例が実行される。waterが選択された場合、後述する第4の実施例の水抑圧無しの計測が追加された計測が実行される。なお、エコータイムTEが乳酸の1/J倍に等しい場合にはその旨注意する画面を表示し、TEの再設定を促す。
【0019】
図13(b)で上段はスペクトロスコピックイメージを表している。左の画像中で点線の領域のスペクトルが右のグラフに表され、右のグラフ中で点線の領域の積分値が左の濃淡画像で表される。下段の左の画像は本発明の処理を施して得られた乳酸の画像である。下段の右のグラフは下左の画像中の点線の領域の乳酸と脂質のスペクトルを時間領域に戻したデータである。点線が左の画像を作成した時刻を示している。これら画像及びグラフ中の点線で示した領域はマウス等により変更可能で、それに対応して画像及びグラフも書き換えられる。下段の乳酸画像の初期画面としては、計測パラメータ設定時に選択した条件で処理を行った結果を示している。ただし、中央部に配置されたボタンを操作することにより処理方法を変更することが可能である。Lacは乳酸のケミカルシフトを設定するためのボタンで、autoまたはmanualが選択できる。autoが選択された場合には装置の静磁場強度から計算機によって計算された乳酸のケミカルシフトが用いられる。manualが選択された場合、上段の右のグラフ上でマウスにより乳酸のケミカルシフトを指定する。T2 * Correctは静磁場不均一の補正方法を選択するためのボタンで、off、other、またはwaterが選択できる。offを選択した場合は補正無しである。otherを選択した場合、上段の右のグラフ上でマウスにより補正に使用する分子種のケミカルシフトを指定し、補正処理を行う。waterは水抑圧無しで取得したデータを用いて補正処理を行う。ただし、計測パラメータの設定画面中のT2 * correctでwaterを選択しなかった場合には、ここでwaterを選択することはできない。これらパラメータを設定した後、procボタンを押すことで処理を実行し、下段の画面に表示する。
【0020】
なお、本画面およびその動作は一例を示したもので、他の画面および動作を用いてもよいことは言うまでもない。また、このようなインタフェイスの構成の仕方およびこれを利用するためのソフトウエアについての説明は省略するが、計算機のソフトウエアについての通常の知識を有する者なら、上述の説明で、これを構成することに特別の工夫努力が必要になるものではない。
【0021】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0022】
第1の実施例
図1は第1の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムである。まず、ステップ1において、任意の自然数nおよび対象分子種のスピン結合定数Jに対して、エコータイムTEがn/Jと等しくならないようにTEを設定し、かつ、ある自然数nに対して少なくとも一つの時刻n/Jを含むようにデータ取得時間を設定する。ここで、対象分子種として乳酸としたときは、1/J=136msとすれば、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーにおける乳酸と脂肪信号の分離に使用できる。なお、TEとn/Jとの時間差は脂肪信号がある程度減衰するように設定するが、設定方法の詳細については後述する。
【0023】
次に、ステップ2において、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測およびデータ再構成を行う。図2にスペクトロスコピックイメージングのシーケンス概略図の一例を示す。z方向のスライス傾斜磁場Gzとしてパルス23の印加とともに周波数f0の励起高周波磁場パルス21を印加し、z方向の所定のスライス内に核磁気共鳴現象を誘起させる。励起高周波磁場パルスとしては典型的にはπ/2パルスが用いられる。次にz方向のスライス傾斜磁場Gzとしてパルス24の印加とともに周波数f0の反転高周波磁場パルス22を印加することでz方向の所定のスライス内の磁化を反転する。反転高周波磁場パルスとしては典型的にはπパルスが用いられる。なお、励起高周波磁場パルスおよび反転高周波磁場パルスの帯域は対象分子種にJカップリングを起こさせるように設定する。例えば、乳酸と脂肪の分離の場合、乳酸のCH3のケミカルシフト1.3ppmとCHのケミカルシフト4.2ppmを励起できる帯域に設定する。選択されたスライスから発生したエコーは、x方向およびy方向の位相エンコード傾斜磁場GxおよびGyとしてパルス25、26を印加して変調した後、A/Dサンプリングによってデータ取得時間27に示す期間にデータが取得される。この一連の計測を、位相エンコード傾斜磁場の強度を変化させながら繰り返し、x、y、ケミカルシフトの情報を含んだデータを取得する。なお、図2のシーケンスでは説明の簡略化のために水信号や脂肪信号を抑圧するためのプリパレーションパルスを省略した。プリパレーションパルスとして、例えば、水信号を抑圧するために水のケミカルシフトに合わせた狭帯域の高周波磁場を印加するCHESS(Chemical shift Selective Suppression)法、皮下脂肪信号を抑圧するために脂肪領域にあたるスライスを選択的に励起するOVS法などを用いても良い。なお、 CHESS法については特開昭60−168041に詳述されている。
【0024】
データ再構成は、次の手順で行われる。取得されたデータを、時間方向、および位相エンコード傾斜磁場を印加したx方向、y方向に三次元フーリエ変換し、ケミカルシフト、x方向、y方向の情報からなるケミカルシフトイメージを得る。なお、データ再構成ではフィルタ処理、位相補正処理などにより画質向上を施こすことができる場合がある。
【0025】
なお、本実施例にかかるスペクトロスコピックイメージングのシーケンスは、この方法に限らない。例えば、振動傾斜磁場を用いた高速スペクトロスコピックイメージング(特開昭61−13143)なども使用可能である。また、x方向、y方向、z方向を入れ替えて撮影断面を変更したり、z方向に位相エンコード傾斜磁場を印加して三次元の空間情報を得るように変更することも可能である。また、スペクトロスコピックイメージングではなく、スペクトロスコピーを行うことも可能である。スペクトロスコピーのシーケンスでは、位相エンコードなどの画像化のための傾斜磁場の代わりに、ある一つの空間領域もしくは数個からなる空間領域を選択的に励起するパルスを印加してエコーを発生させる。データ再構成では、得られたエコーを1次元フーリエ変換してケミカルシフト情報を持つスペクトルに変換する。
【0026】
次に、ステップ3において、対象分子種のスペクトルを含む領域のデータをフーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する。例えば、乳酸の場合、メチル基のケミカルシフト1.3ppmを中心にピークが含まれるケミカルシフト幅で切り出し、切り出したデータをフーリエ逆変換して、時間領域のデータに逆変換する。この時、切り出すケミカルシフト幅の設定方法として、
(1)乳酸のピークから算出する(例えば、半値幅の2倍などの幅に設定する)。
(2)切り出しの影響で時間領域のデータに生じるトランケーションアーティファクトが時刻n/Jで零に近づくようにケミカルシフト幅を設定する。
等の方法を用いることが可能である。
【0027】
また、切り出した端点をスムージングするなどして切り出しによるトランケーションアーティファクトを低減することも可能である。また、ステップ2のデータ再構成において、フィルタ処理が時間領域に施されている場合、その補正を行っても良い。例えば、計測されたエコーにローパスフィルタが施された後、フーリエ変換が行われている場合、本ステップにより時間領域のデータに逆変換されたデータには、フィルタの影響により、ローパスフィルタが施されたものが得られる。これを補正することで、本来の時間領域のデータを計算しても良い。なお、本説明では時間領域のデータをスペクトルにする場合をフーリエ変換、逆をフーリエ逆変換と記述したが、実際の操作は逆にしても良い。
【0028】
最後に、ステップ4において、ステップ3で時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。この時、実質的に、対象分子種の信号のみが得られる理由を説明する。
【0029】
図3に高周波磁場パルスを印加した場合の乳酸のメチル基の磁化の振る舞いを示す。(a)に示すように、周波数f0の励起高周波磁場パルス21が印加された時点を時刻0とし、高周波磁場パルス22が印加された時点をTE/2とする。高周波磁場パルスが印加された結果、(b)に示すように、乳酸のメチル基の核磁化は角速度ω+πJの核磁化Aと角速度ω−πJの核磁化Bとに***する。このために、二つの核磁化の和である乳酸のメチル基の信号強度は(c)に示すように、周期2/J秒のコサイン波形となる。このコサイン波形はTEによらず、励起高周波磁場パルスの印加時間だけで決定される。
【0030】
図4は、時間と乳酸の信号強度31、脂肪の信号強度32との関係を示したものである。乳酸の信号は静磁場不均一によってTEから離れるほど減衰するために、図3で説明したコサイン波形が歪んだ形状をしている。これに対し、脂肪のスペクトルは主として0.9−1.4ppmに広がるブロードなピークを持っているために、TE付近でのみ高信号となるエコーを形成する。このため、脂肪信号32が十分減衰する程度の時間差がTEとn/Jの間にあれば、時刻n/Jでは、実質的に、乳酸の信号31のみが得られる。なお、この時間差は脂肪のスペクトルの広がりに対応しており、必要な時間差の概略値は4(log2)/(π×(脂肪スペクトルの半値幅[Hz]))、(但し、logは自然対数)で計算可能である。上式によると、静磁場強度4.7Tの場合には約20ms、1.5Tの場合には約50msの時間差が必要となる。
【0031】
本実施例による計測結果の例を図5に示す。これは、静磁場強度4.7TのMRI装置を用いてラット頭部の脳虚血時に生じた乳酸と、頭頂部にある皮下脂肪の信号を測定したものである。ステップ1で説明したように、TE=180msに設定し、かつ1/J=136msが含まれるようにデータ取得時間を中心時刻180ms、取得時間110msに設定した。(a)はステップ2で説明したように、スペクトロスコピックイメージングを実行して得られたスペクトルである。グラフ33は脳虚血部位から得られたスペクトル、グラフ34は皮下脂肪領域から得られたスペクトルである。グラフ33において点線で囲まれた領域内で下向きのピークを呈しているのが乳酸のピークである。(b)は、ステップ3で説明したように、(a)でのグラフの点線で囲まれた領域のデータを切り出してフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換し、絶対値を計算した結果である。グラフ35、グラフ36は、それぞれ脳虚血部位から得られたスペクトル33、皮下脂肪領域から得られたスペクトル34に対して、本実施例のアルゴリズムを適用した結果得られた時間領域のデータである。グラフ35は乳酸の信号、グラフ36は脂肪の信号を表していると考えられる。このグラフから、ステップ4で説明したように時刻1/Jでは、脂肪信号が十分に減衰し、乳酸の信号強度のみを計算可能なことが判る。この結果、本実施例により、計測時間を延長することなく、実質的に、対象分子種のみの分布や信号強度を測定可能なことが判る。さらに他の代謝物質のスペクトルの測定も同時に可能なことが判る。
【0032】
第2の実施例
第1の実施例では、時刻n/Jでのデータの値を求め、対象分子種の信号強度としていた。しかし、この方法では、静磁場不均一が大きい場合に信号減衰が大きく、計算誤差が大きくなるという問題点がある。例えば、図4の乳酸の信号強度のグラフ31では、理想的なコサイン波形が静磁場不均一の影響で歪み、その結果、乳酸の信号強度が最大値を取る時刻もn/JからTEに近づいていることが判る。本実施例は、静磁場不均一による減衰を補正するものである。図6に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異は、ステップ5、6、7にある。ステップ1、2、3は第1の実施例と同様に行う。
【0033】
ステップ5において、対象分子種以外のスペクトルを選択し、静磁場不均一による信号減衰時間を計算する。静磁場不均一による信号減衰時間は、例えば、次の方法で計算される。まず、選択したスペクトルをフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換する。逆変換されたデータの信号減衰は、横緩和を表すT2を係数とする指数減衰と静磁場不均一による信号減衰を表すTEを中心として対称な信号減衰とに分けられる。このうち、後者の信号減衰時間をフィッティングにより計算する。なお、信号減衰時間の計算方法はこの方法に限らず、例えばスペクトルの線幅から静磁場不均一の影響を含んだ見かけ上の横緩和時間(T2 *)を計算し、当該スペクトルのT2の影響を減算する方法を取っても良い。また、スペクトロスコピックイメージングの場合には、濃度の差のみを測定すれば良い場合があり、その場合にはT2 *を信号減衰時間として計算しても良い。また、T2の長いスペクトルの場合にも、T2 *を信号減衰時間としても補正が可能である。また選択するスペクトルとしては、例えば、図5の計測例で示されている2.0ppmにピークを持つN−アセチルアスパルテートなどを取れば良い。ステップ6において、ステップ5で計算された信号減衰時間から時刻n/Jでの対象分子種の減衰率を計算する。
【0034】
ここで、スペクトロスコピックイメージングの場合、選択可能なスペクトルが全てのピクセルに存在しない場合がある。その場合には、存在しているピクセルでのみ信号減衰時間を計算し、それを補間または外挿することで全てのピクセル、もしくは対象分子種の信号強度を計算したい領域の減衰率を計算する。また選択するスペクトルは一つに限らず複数個選択することで信号減衰時間の計算精度を向上することも可能である。ステップ7において、ステップ3で逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、ステップ6で計算された減衰率の逆数を乗算する。これにより静磁場不均一の影響を除去した対象分子種の信号強度を計算可能となる。
【0035】
なお、対象分子種のスペクトルから信号減衰時間を計算することも可能であるが、この場合、分離前のスペクトルを使用し、逐次的に信号強度と信号減衰時間とを計算しなければならないために、誤差が大きくなるという欠点がある。
【0036】
第3の実施例
第2の実施例により、静磁場不均一による信号減衰の補正は可能であるが、静磁場不均一が大きいときには時刻n/Jの信号のSN比が低下してしまう場合がある。例えば、図4に示した場合には、時刻n/Jでの乳酸の信号強度は静磁場不均一の無い場合の値(図4において、乳酸の信号が最大となる時刻の値)の約80%に減少していることが判る。本実施例は、SN比の減少を抑制するものである。図7に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ8、9にある。ステップ1、2、3、5は第2の実施例と同様である。
【0037】
ステップ8において、ステップ5で計算された静磁場不均一による信号減衰時間から対象分子種のデータが最大値を取る時刻を計算する。この時刻は、コサイン波形と信号減衰時間による減衰波形を乗算した波形の最大値を取る時刻を計算すればよい。コサイン波形は計測パラメータの設定時に計算可能なため、ステップ5で得られた信号減衰時間を用いれば、最大値を取る時刻は数値計算により容易に求められる。ステップ9において、ステップ8で最大値を取ると計算された時刻での、ステップ3で逆変換されたデータの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。この信号強度の計算では、最大値をとる時刻での信号減衰時間による減衰率を求め、その逆数を乗算して静磁場不均一による信号減衰の補正を付加しても良い。
【0038】
第4の実施例
第2の実施例により、静磁場不均一による信号減衰の補正は可能であるが、対象分子種以外のスペクトルを選択することが難しいことがある。例えば、そのスペクトルが空間的に局在しているときや、経時変化などで信号量が減衰してしまう場合、または濃度が低く補正によって逆に誤差が増加してしまう場合がある。
【0039】
本実施例は、水分子のスペクトロスコピックイメージングもしくはスペクトロスコピーの計測を付加し、この問題を解決するものである。図8に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ10、11にある。ステップ1、2、3、6、7は第2の実施例と同様である。
【0040】
ステップ10において、代謝物質のスペクトルを得るために印加されているプリパルスの一つである水抑圧を省略し、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測、データ再構成を行う。ステップ11において、水分子のスペクトルから、第2の実施例のステップ5と同様に静磁場不均一による信号減衰時間を計算する。ただし、水分子の場合、他の代謝物質よりもT2が短いために、その影響を除去して静磁場不均一による信号減衰時間のみを抽出しなければならない場合がある。
【0041】
なお、ステップ6、7を第3の実施例のステップ8、9で置き換えることで、SN比の劣化を抑制することが可能である。ステップ10において、振動傾斜磁場を用いた高速スペクトロスコピックイメージングを使用することで、計測時間の延長を抑制することが可能である。また、この場合に、ステップ2において使用するシーケンスも同じ高速スペクトロスコピックイメージングにすることで、渦電流による磁場不均一や画像歪みの影響を無視することが可能になる。なお、SN比を向上するためにステップ2の計測で積算回数を増加させている場合、ステップ10において積算回数を減らして良いことはいうまでもない。これにより、計測時間の延長を抑制することが可能である。
【0042】
第5の実施例
第1の実施例では、対象分子種のみの濃度や分布を求めることは可能であったが、それに重畳した分子種の濃度や分布を求めることは難しかった。本実施例は、この問題を解決するものである。図9に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異はステップ12、13にある。ステップ2、3、4は第1の実施例と同様である。
【0043】
ステップ12において、TE=(n/J)+(1/2J)となるようにTEを設定する。また、データ取得時間内に少なくとも一つのn/Jを含むように計測パラメータを設定する点はステップ1と同様である。ステップ13では、ステップ3で逆変換されたデータの時刻TEでの値を求め、対象分子種以外の信号強度を計算する。
【0044】
本実施例のようにエコータイムTEを設定すると、図3に示す対象分子種(乳酸のメチル基)の信号強度は、ちょうど時刻TEで、コサイン波形の零点を通過する。このため、時刻TEでは対象分子種の信号は観測されない。この方法により、例えば乳酸の信号強度はステップ4により、脂肪の信号強度はステップ13により、それぞれ計算することが可能となる。
【0045】
第6の実施例
第1の実施例から第5の実施例は対象分子種の信号強度のみを高精度かつ高速に測定可能とすることを意図した実施例である。本実施例では、さらに同時に対象分子種のT2も測定するものである。図10に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ14、15にある。ステップ2、3、5、6、7は第2の実施例と同様である。
【0046】
ステップ14において、任意の自然数nに対して、TEがn/Jと等しくないようにTEを設定し、データ取得時間内に二つ以上のn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する。ステップ15において、二つ以上のn/Jでの対象分子種の信号強度の減衰率から対象分子種のT2を計算する。ステップ7において、二つ以上のn/Jのそれぞれの時刻で対象分子種の信号強度補正を行う。
【0047】
なお、ステップ5は対象分子種以外のスペクトルを選択する場合であるが、これを第4の実施例で採用したステップ10、11に代えて誤差を減少させることも可能である。
【0048】
第7の実施例
本実施例は、対象分子種と重畳した分子種以外のスペクトルがない場合や、そのスペクトルを測定する必要がない場合、もしくはあったとしてもピークがブロードで対象分子種の計算に誤差を生じさせない場合などの特殊な場合に使用するものである。図11に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異はステップ17、18にある。
【0049】
ステップ17において、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測を行うが、データ再構成を行わずに時間領域のデータにして保存しておく。ステップ18において、保存したデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。なお、対象分子種と重畳した分子種以外に代謝物質がある場合には、プリパルスによって信号抑圧などを計測時に行う必要がある。
【0050】
以上の実施例においては、主として乳酸と脂肪信号の分離について説明したが、一般に対象分子種がスピン−スピン結合を有している場合に、本発明は適用可能である。また、本発明の説明では、スピン−スピン結合が1H同核の場合について説明したが、異核のスピン−スピン結合の場合にも適用可能である。また、計測パラメータの設定条件の内、データ取得時間内に一つ以上のn/Jを含むという項目は、省略することも可能である。ただし、この場合には、スペクトルデータをフーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する際に、データの外挿を行って時刻n/Jでの信号強度を計算するプログラムを付加しなければならない。
【0051】
【発明の効果】
本発明によればスピン−スピン結合を有する対象分子種の信号を、他の分子種の信号から高速高精度に分離可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することが可能である。特に、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーにおいて、脂肪信号の混入を抑制し、乳酸信号を高速高精度に測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図2】第1の実施例のスペクトロスコピックイメージングのシーケンスの一例を示す図。
【図3】第1の実施例の乳酸の核磁化の振る舞いと信号強度を模式的に表した図。
【図4】第1の実施例の乳酸の信号と脂肪の信号強度を模式的に表した図。
【図5】第1の実施例の実験結果を示す図。
【図6】第2の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図7】第3の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図8】第4の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図9】第5の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図10】第6の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図11】第7の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す図。
【図12】本発明を実施するに好適な磁気共鳴装置の概略構成図。
【図13】本発明の実施のための計測パラメータの設定画面と、データ処理の設定パラメータと処理結果を表示する画面の例を示す図。
【符号の説明】
21:励起高周波磁場パルス、22:反転高周波磁場パルス、23、24:スライス傾斜磁場、25、26:位相エンコード傾斜磁場、27:データ取得時間、31:乳酸の磁気共鳴信号、32:脂肪の磁気共鳴信号、33:脳虚血部位から得られたスペクトル、34:皮下脂肪領域から得られたスペクトル、35:脳虚血部位から得られたスペクトルに対して本発明のアルゴリズムを適用して得られた時間領域のデータ、36:皮下脂肪領域から得られたスペクトルに対して本発明のアルゴリズムを適用して得られた時間領域のデータ、41:静磁場発生用磁石、42:測定対象、43:高周波磁場発生および信号検出用コイル、44、45、46:傾斜磁場コイル、47:コイル駆動装置、48:計算機、49:ディスプレイ、50:入力機器、51:シンセサイザ、52:変調装置、53:増幅機、54:検波装置。

Claims (13)

  1. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するためのディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムが任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように前記計測パラメータが前記入力手段により設定され、前記制御手段は、(1)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行うこと、(2)前記(1)の計測結果および再構成されたデータから前記対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換すること、(3)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、前記対象分子種の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  2. 請求項1記載の磁気共鳴装置において、前記制御手段は、(a)前記(1)の計測結果および再構成されたデータを基に前記対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算すること、(b)計算された前記信号減衰時間から前記対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算すること、(c)前記(3)に代えて、前記(b)で求められた前記信号減衰率の逆数を、前記(2)で求められた前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jにおける値に乗算して前記対象分子種の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  3. 請求項1記載の磁気共鳴装置において、前記制御手段は、(a)前記(1)の計測結果および再構成されたデータを基に前記対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算すること、(b)計算された前記信号減衰時間から前記対象分子種が最大値を取る時刻を計算すること、(c)前記(3)に代えて、前記(b)で求められた前記最大値を取る時刻での、前記(2)で求められた前記時間領域のデータに逆変換されたデータの値を求め、前記対象分子種の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  4. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するためのディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムが任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように前記計測パラメータが前記入力手段により設定され、前記制御手段は、(1)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行うこと、(2)前記(1)の計測結果および再構成されたデータから前記対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換すること、(3)設定された前記計測パラメータを用いて水抑圧無しでスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行うこと、(4)水分子のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算すること、(5)計算された前記信号減衰時間から前記対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算すること、(6)前記(5)で求められた前記信号減衰率の逆数を、前記(2)で求められた前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jにおける値に乗算して前記対象分子種の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  5. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するためのディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムTEが任意の自然数nに対して(n/J)+(1/2J)と等しく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように前記計測パラメータが前記入力手段により設定され、前記制御手段は、(1)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行うこと、(2)前記(1)の計測結果および再構成されたデータから前記対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換すること、(3)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、前記対象分子種の信号強度を計算すること、(4)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻TEでの値を求め、前記対象分子種以外の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  6. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するためのディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムが任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に二つ以上のn/Jが含まれるように前記計測パラメータが前記入力手段により設定され、前記制御手段は、(1)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行うこと、(2)前記対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換すること、(3)前記(1)の計測結果および再構成されたデータを基に、前記対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算すること、(4)計算された前記信号減衰時間から前記対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算すること、(5)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、前記信号減衰率の逆数を乗算して前記対象分子種の信号強度を計算すること、(6)前記二つ以上の時刻n/Jのそれぞれで計算された前記信号強度から、前記対象分子種のT2を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  7. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するためのディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムが任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように前記計測パラメータが前記入力手段により設定され、前記制御手段は、(1)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測を行うこと、(2)前記(1)の計測データの時刻n/Jでの値を求め、前記対象分子種の信号強度を計算すること、を行うことを特徴とする磁気共鳴装置
  8. 請求項1から請求項7の何れかに記載の磁気共鳴装置において、前記対象分子種が乳酸であり、1/Jが136ミリ秒に設定されることを特徴とする磁気共鳴装置
  9. 請求項1から請求項7の何れかに記載の磁気共鳴装置において、1/J=136ミリ秒に設定されることを特徴とする磁気共鳴装置
  10. 請求項5に記載の磁気共鳴装置において、前記(4)において前記信号強度計算される前記対象分子種以外の分子種は脂肪であることを特徴とする磁気共鳴装置
  11. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と検出された前記磁気共鳴信号の演算を行う制御手段と、エコータイムを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段と、演算結果を表示するディスプレイとを有し、対象分子種のスピン結合定数をJとするとき、前記エコータイムが任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつ前記磁気共鳴信号のデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように前記計測パラメータが設定されることを特徴とする磁気共鳴装置。
  12. 請求項5に記載の磁気共鳴装置において、前記入力手段は、前記計測パラメータを設定する入力表示窓を表示することを特徴とする磁気共鳴装置。
  13. 測定対象に対して静磁場を発生する手段と、前記測定対象に照射する高周波磁場を発生する手段と、前記測定対象から生じる磁気共鳴信号を検出する手段と、前記測定対象に印加する傾斜磁場を発生させる手段と、エコータイムTEを含む前記磁気共鳴信号の検出のための計測パラメータを入力する入力手段とを有し、乳酸のスピン結合定数をJとするとき、任意の自然数nに対するn/Jと前記TEとの間に脂肪の前記磁気共鳴信号が減衰する時間差を有し、時刻n/Jでは実質的に乳酸の前記磁気共鳴信号が検出されるように、前記計測パラメータが設定されることを特徴とする磁気共鳴装置。
JP26647998A 1998-09-21 1998-09-21 磁気共鳴装置 Expired - Fee Related JP3945918B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26647998A JP3945918B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 磁気共鳴装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26647998A JP3945918B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 磁気共鳴装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000093402A JP2000093402A (ja) 2000-04-04
JP2000093402A5 JP2000093402A5 (ja) 2005-07-21
JP3945918B2 true JP3945918B2 (ja) 2007-07-18

Family

ID=17431511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26647998A Expired - Fee Related JP3945918B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 磁気共鳴装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3945918B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011059543A1 (en) * 2009-11-10 2011-05-19 The Johns Hopkins University Magnetic resonance imaging and spectroscopy of low concentration solutes with exchangeable protons using label transfer modules: frequency transfer, inversion transfer, and dephasing transfer

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000093402A (ja) 2000-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5735793B2 (ja) Mr撮像において種信号を定量的に分離するシステム
JP5559223B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US8498688B2 (en) Magnetic resonance device and method
US20090093704A1 (en) System, program product, and method of acquiring and processing mri data for simultaneous determination of water, fat, and transverse relaxation time constants
JP5479427B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
US20060164082A1 (en) Shimming of mri scanner involving fat suppression and/or black blood preparation
US20100272337A1 (en) Magnetic resonance imaging apparatus
JP4564015B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置及び磁気共鳴撮影方法
US6906515B2 (en) Magnetic resonance imaging device and method
US9746537B2 (en) Magnetic resonance imaging apparatus and magnetic resonance imaging method
JP5829687B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
US8314616B2 (en) Magnetic resonance method and apparatus for determining the magnetization transfer constant in spin echo imaging sequences
US9851424B2 (en) Magnetic resonance imaging apparatus
JP5165791B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
US11965945B2 (en) Magnetic resonance system and shimming method and imaging method thereof
US4644278A (en) Nuclear magnetic resonance imaging apparatus
JP3945918B2 (ja) 磁気共鳴装置
Latta et al. Influence of k-space trajectory corrections on proton density mapping with ultrashort echo time imaging: Application for imaging of short T2 components in white matter
JP3928106B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
JP3688795B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3884282B2 (ja) Mri装置
JP5837354B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴スペクトロスコピー撮像方法
JP4832510B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
JP6776217B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び磁気共鳴イメージング装置
JPH0636791B2 (ja) Nmr信号位相補正方式

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041202

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041202

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20041202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070313

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110420

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120420

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120420

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130420

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140420

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees