JP3945887B2 - 導電性酸化物薄膜を有する物品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた電気伝導性を有する導電性酸化物薄膜を用いた電極等の物品、及びその製造方法に関する。本発明の物品が有する導電性酸化物薄膜は、優れた導電性を有するのみならず、可視域全域での透明性に優れるので、本発明の物品は、光透過性が必要なディスプレイや太陽電池用の電極等として特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
可視光線領域で透明でかつ電気伝導性を有するいわゆる透明導電性材料は、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどの各種パネル型ディスプレイや太陽電池の透明電極として用いられている。
透明導電性材料としては、金属酸化物半導体が一般に用いられ、スズをドープした酸化インジウム(ITO)を始めとして、種々提案されている。なかでも、パネル型ディスプレイ用の透明電極としては、ITOがよく用いられてきた。しかし、近年パネル型ディスプレイの大型化と高精細化が進み、ITOの有する抵抗率では不十分な場合が増えてきている。即ち、大型のディスプレイでは、透明電極の端と端との距離が長くなるため、端点間の抵抗値を高めてしまう。また、高精細化は電極の幅を狭めるために端点間の抵抗値を高めてしまう。一般に、端点間の抵抗値を低くするためには、電極の厚みを大きくすればよい。ところが、ITO電極の場合、厚みを大きくすると黄色に着色し、透明性が損なわれる。ITOでは波長450nm以下の光が間接遷移により吸収される現象が有るからである。電極の厚みが小さい場合にはこれは殆ど気にならない。しかし電極の厚みが大きくなると、人間の目に明らかに認識されるようになる。このため、従来透明電極用材料として実用されているITOでは、透明性と電気伝導性とを共に満足する大型または高精細の透明電極を得ることはできなかった。
このような理由から、可視領域の450nm以下の短波長領域でも透明性があり、かつ導電性の高い材料の開発が課題となっていた。
【0003】
そこで、本発明者らは、YbFe2Od 型構造を有し、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 :1〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物及び同様の基本構造を有する酸化物が、ITO薄膜(Inに対してSnを5mol %含む)と比較し、450nm以下の短波長領域における透明性が高く、かつ電気伝導率が同等またはそれ以上である新規の透明導電性材料であることを見いだした(例えば、特開平8−295514号参照)。
【0004】
上記一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d で表される酸化物は、透明導電性薄膜として電極等に使用される。このような薄膜は、通常数百〜数千Åの膜厚に調製されるが、このような薄膜であっても高い電気伝導度を示すことが要求される。そこで本発明者らは、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で表される酸化物からなる薄膜であって、より高い電気伝導度を示す導電性酸化物薄膜、そのような導電性酸化物薄膜を有する液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び太陽電池等に有用な電極等として利用できる物品を見出し、別途特許出願した(特願平8−202001号)。
【0005】
上記「より高い電気伝導度を示す導電性酸化物薄膜」は、前記導電性酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものである。さらに、導電性酸化物薄膜を有する物品は、基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、前記導電性酸化物薄膜が、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に形成されたものである。特に、配向性制御膜としては、c 軸が基板に垂直に配向しているZnO 薄膜が有効であった。また、前記配向性制御基板としては、c 軸が基板の膜形成面に垂直に配向しているZnO 単結晶基板が有効であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ZnO からなる配向性制御基板または配向性制御膜を用いた物品は、ZnO が耐熱性に劣る材料であることから、製造上及び使用上許容される温度範囲が限られるという欠点があった。特に、上記配向性制御基板を用いる発明は、大きな面積を有するZnO 単結晶基板の入手が困難であり、かつ高価であるという欠点があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で示される酸化物からなる導電性酸化物薄膜を配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に有する物品であって、ZnO に代わる入手または生産が容易な配向性制御基板または配向性制御膜を用いて、より大面積とすることが可能な物品を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記のような高い電気伝導度を示す導電性酸化物薄膜を有する物品を容易に製造するための方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に列挙する導電性酸化物薄膜を有する物品及び物品の製造方法に関する。
【0009】
第1の態様の物品
基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。
【0010】
第2の態様の物品
基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表され、かつZn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されており、Znと置換される元素は原子価が2価以上であり、M及びInと置換される元素は原子価が3価以上である酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。
【0011】
第3の態様の物品
基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物に、陽イオンを注入した酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。
【0012】
第1の態様の製造方法
一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成する方法であって、前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする本発明の第1の態様の物品の製造方法。
【0013】
第2の態様の製造方法
一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表され、かつZn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されており、Znと置換される元素は原子価が2価以上であり、M及びInと置換される元素は原子価が3価以上である酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成する方法であって、
前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする本発明の第2の態様の物品の製造方法。
【0014】
第3の態様の製造方法
一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成し、次いで得られた薄膜に陽イオンを注入する方法であって、
前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする本発明の第3の態様の物品の製造方法。
【0015】
【発明の実施の態様】
以下、本発明について説明する。
【0016】
第1の態様の物品
本発明の第1の態様の物品は、基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d で表される導電性酸化物薄膜を有する物品であって、前記導電性酸化物薄膜が、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板または基板上の配向性制御膜上に形成されたものであり、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とするものである。
〔導電性酸化物薄膜〕
In−Ga−Znの複合酸化物及びIn−Al−Znの複合酸化物については、君塚らの研究報告がある(N.Kimizuka, T.Mohri, Y.Matsui and K.Shiratori, J.Solid State Chem., 74巻,98頁,1988年)。君塚らは、In2O3 、ZnO 及びGa2O3 またはAl2O3 の粉末から固相法により未知結晶を合成し、InGaO3(ZnO) m 及びInAlO3(ZnO) m (いずれもm =2〜7)を得た。これらの酸化物は、それぞれZnm GaInO3+m及びZnm AlInO3+mとも表される。
上記報告では、InGaO3(ZnO) m 及びInAlO3(ZnO) m の結晶構造に関する研究のみが記載されているが、本発明者らは、これらの結晶に関する光学的特性及び電気的特性について報告し、さらに、酸素欠損や元素の置換、さらには陽イオン注入により導電性を付与出来ることを見出し特許出願した(例えば、特開平8−295514号参照)。
【0017】
さらに、導電性酸化物薄膜は、酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が、実質的に配向している構造を有することで、より高い導電性を発揮することができる。
一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で示される酸化物は、基本的にはInO6の八面体構造を有し、その稜を共有して平面的に広がる層を形成している。この構造を示す電子模型(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素原子である)を図1に示す。図1のAは(00n)面に垂直な方向から見た図であり、図1のBは(00n)面と平行な方向から見た図である。図2は、InO6の八面体及び八面体の(00n)面、さらには基板との関係を模式的に示した図である。そして、図3に模式的に示すように、(00n)面が実質的に配向させ、ここに電流(電子)を流すと、電子の経路は(00n)面と平行な方向に直線的になる。尚、薄膜が基板の表面に形成される場合、(00n)面を基板の表面と実質的に平行に配向すると、基板の表面の広がり方向に電子の直線的な経路が形成されることになる。
【0018】
結晶内の電子の経路が(00n)面に平行であることを物理学的に解釈するために、エネルギーバンド構造の計算を行った。計算のための結晶のモデリングは、ワークステーションINDIGO2(シリコングラフィックス社製)上で結晶系材料ソフトCerius2(モレキュラーシミュレーション社製)を用いて行った。エネルギーバンド計算は技術計算サーバPower Challenge(シリコングラフィックス社製)上で、第一原理密度汎関数法プログラムCASTEP(モレキュラーシミュレーション社製)を用いて行った。第一密度汎関数法を用いた理由は、実験から決めるパラメーターを一切用いないので、本発明の導電性酸化物のような新規な物質のエネルギー構造の決定に有効だからである。
【0019】
計算は、本発明の導電性酸化物のうち、化学式InGaZnO4で表される結晶について行った。InGaZnO4結晶は図4左のような菱面体の構造をしており、ブリルアンゾーンは図4右のような六角形と四角形に囲まれた形である。図5は、第一原理計算により得られたエネルギーバンド構造である。伝導帯はΓ点で最低のエネルギーを持つ。バンドの幅は導電性を示す定性的な指標である。(00n)面に垂直な方向、すなわち結晶のc軸方向、バンド図のΓ−Z方向のバンド幅は2eV程度である。これに対して、(00n)面に平行な方向、すなわち結晶のab面内、バンド図のΓ−ab方向のバンド幅は5eV程度であり、Γ−Z方向に比べて2倍の大きさ持つ。以上から、InGaZnO4結晶が(00n)面に平行な方向で高い導電性を示す理由は、量子物理学的には、同方向のバンド幅が相対的に広いためであると解釈される。
【0020】
一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で示される導電性酸化物薄膜は、その(00n)面が実質的に配向していることで高い導電性を示す。無配向性の膜においては、電子の経路がジグザクになるのに対して、配向性の膜においては、電子の経路は直線的になり、より高い導電性が得られる。本発明者らは、前記酸化物の(00n)面が実質的に配向していることを特徴とする導電性酸化物薄膜、この導電性酸化物薄膜を有す物品、及びこの物品の製造方法について先に特許出願をしている(特願平8−202001号)。
【0021】
本発明における導電性酸化物薄膜において、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d 中、Mはアルミニウム及びガリウムのいずれか単独であってもよいし、アルミニウム及びガリウムが共存してもよい。アルミニウム及びガリウムが共存する場合、アルミニウムとガリウムの比率には特に制限はない。但し、アルミニウムの比率が増えると結晶化温度が高くなる傾向がある。ガリウムの比率が増えると結晶化温度が低くなる傾向がある。
比率(x:y)は0.2〜8:1の範囲である。x/yが0.2未満ではInGaO3相の析出が顕著になり、電気伝導性が低下する。x/yが8を超えるとZnO 結晶構造が主たる相となってしまい、本発明の導電性酸化物薄膜の有する特性が発現されない。好ましい比率(x:y)は0.2〜6.2:1の範囲であり、より好ましくは0.2〜3.2:1の範囲である。
比率(z:y)は0.4〜1.4:1の範囲であり、z/yが0.4未満ではZnGa2O4 相等の析出が顕著となり、導電性が低下する。z/yが1.4を超えるとIn2O3 相が析出して透明性が低下する。好ましい比率(z:y)は0.6〜1.4:1の範囲であり、より好ましくは0.8〜1.2:1の範囲である。
【0022】
酸素欠損量dは、0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である。導電性と可視光の透過性とを考慮すると、好ましくは(x+3y/2+3z/2)の1×10-3倍〜1×10-1倍の範囲であり、より好ましくは(x+3y/2+3z/2)の1×10-2倍〜1×10-1倍の範囲である。
なお、酸素欠損量とは、1モルの酸化物結晶中に含まれる酸素イオンの数を化学量論量の酸素イオンの数から差し引いた値をモル単位で示した値である。酸化物結晶中に含まれる酸素イオンの数は、例えば、酸化物結晶を炭素粉末中で加熱させて生成する二酸化炭素の量を赤外吸収スペクトルで測定することで算出することができる。また、化学量論量の酸素イオンの数は酸化物結晶の質量から算出することができる。
【0023】
本発明の酸化物薄膜の導電性は、伝導帯におけるキャリア電子の量が、1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲にあるときに良好となる。より好ましい量は、1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
なお、キャリア電子の量は、例えば、van der Pauw法電気伝導率測定装置により測定することができる。
上記の酸化物薄膜は、前記のように制御された配向性を有することで、より高い導電性を発揮する。即ち、薄膜を構成する酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が、実質的に配向している。本明細書において「実質的に配向」とは、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物薄膜を形成する任意の結晶粒同士の(00n)面の法線の互いになす角度が60°以内、好ましくは40°以内、さらに好ましくは20°以内であることを意味する。
【0024】
このような配向性を有する導電性酸化物薄膜は、後述するように、酸化物薄膜の配向性制御するための機能性膜または機能性基板上に形成されることにより、形成することができる。
また、導電性酸化物薄膜の膜厚は、この物品の用途に応じて適宜決定できる。また、この物品を電極として用いる場合の膜厚については後述する。
【0025】
〔配向性制御基板及び配向性制御膜〕
一般に多結晶薄膜の配向特性の制御は薄膜の実用面からも重要である。多結晶薄膜の配向特性は、経験的には薄膜形成速度及び薄膜形成温度などの薄膜形成条件を選ぶことにより制御できる。しかるに、薄膜形成速度及び薄膜形成温度を制御することのみでは、所望の配向の結晶薄膜を形成することは必ずしも容易ではない。そこで、先の出願では、配向性制御基板または基板の上に設けられた配向性制御膜上に薄膜を形成している。このようにすることで、酸化物の(00n)面を実質的に配向した薄膜を容易により低い温度で形成することができる。低温形成が可能になることで基板材料に関する制限は緩和される。即ち、耐熱性の低い基板であっても使用が可能になる。
【0026】
薄膜の結晶性は、一般に、その基板、あるいは下地となる層の結晶性を反映することはよく知られている。一つの結晶の上に他の結晶が何らかの一定の方位関係をもって成長する現象はエピタキシー(epitaxy)と呼ばれている。従って、下地層を適切に選択することによって、薄膜の配向の向きを制御することが出来る。そして、前記酸化物薄膜を、例えば、ディスプレー等の電極として用いる場合、酸化物薄膜の面内方向に電流(電子)を流すことが要求される。そのためには、酸化物の(00n)面を酸化物薄膜の面内方向と実質的に平行に配向させる必要があり、そのようにするためには、配向性制御基板または下地層である配向性制御膜の結晶格子定数が、その上に形成する酸化物の(00n)面の格子定数と等しい又はほぼ近い値であることが望ましい。例えば、配向性制御基板または配向性制御膜の結晶格子定数と、その上に形成する酸化物の(00n)面の格子定数との差が±30%以内であることが適当である。但し、配向性制御が容易であるという観点からは上記差は±20%以内であることが好ましい。
【0027】
さらに、導電性酸化物薄膜を有する物品の用途として透明電極が挙げられるが透明電極の場合、上記配向性制御基板及び配向性制御膜が透明であることも要求される。
前記先の出願では、このような結晶格子定数の近似性と透明性の両者を満足する物質の例としてZnOを挙げた。それに対して本発明の物品では、配向性制御基板及び配向性制御膜として、Al2O3 単結晶を用いる。
【0028】
配向性制御基板及び配向性制御膜として用いられるAl2O3 単結晶は、可視光線の全領域において透明である。結晶構造は、コランダム構造(空間群R3c)である。コランダム構造は、六方最密充填した酸素原子の層が有り、酸素原子の間にある八面体配位の2/3を金属原子が埋めている構造である。c軸に垂直な面で切り出すと、(0001)面が得られる。結晶系が異なるので、本発明の物品に設けられた導電性酸化物薄膜と比較するためには、格子定数よりも酸素原子間距離を用いた方が良い。Al2O3 (0001)面の酸素原子間距離は2.866 オングストロームである。一方、本発明の物品に設けられた導電性酸化物の(00n)面の酸素原子間距離は3.30オングストロームである。従って、Al2O3 (0001)面の酸素原子間距離の方が13%程度小さい。この差異は、ZnO単結晶基板の場合に比べて格段に大きいにもかかわらず、本発明の物品においては、前記導電性酸化物薄膜をAl2O3 の(0001)面上に設けることができる。
【0029】
Al2O3 はZnOに比べてはるかに大きな単結晶が工業的に生産されている。例えば、6インチ径のウエハーが市販されている。その表面は鏡面研磨することにより、平均粗さを1nm程度にまで抑えることができるので、その上に導電性酸化物薄膜を結晶性良く形成することができる。また、Al2O3 単結晶の価格は、ZnO単結晶に比べて格段に安価である。さらに、Al2O3 単結晶は、ZnO単結晶に比べて熱的に安定であるので、製造上及び使用上許容される温度範囲が格段に広がるという利点も有する。
また、Al2O3 単結晶の薄膜は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。さらに、Al2O3 単結晶からなる配向性制御膜の膜厚は、その上に設ける薄膜の配向性を制御できる程度の量とすることができ、通常は100 〜1000nmの範囲である。
【0030】
c軸配向性のAl2O3 単結晶薄膜は、例えば、スパッター法を用いて作製することができる。DCあるいはRFダイオードスバッター法では、ターゲットに酸化アルミニウムを用い、1×10-2〜1×10-1TorrのAr/O2 混合ガスでグロー放電を行うことで基板上に形成することができる。Al2O3 単結晶薄膜のc軸配向性は、成膜速度、基板加熱温度等の成膜条件に依存する。上記条件では、基板加熱温度を50〜200 ℃の範囲とし、成膜速度を1μ/hr 以下でスパッターすることが適当である。また、RFマグネトロンスパッター法によってもc軸配向性のAl2O3 単結晶薄膜を作製することができ、この場合、基板加熱温度を300 〜500 ℃の範囲とし、成膜速度を1μm/hr以上でスパッターすることが適当である。
【0031】
Al2O3 単結晶製配向性制御膜を形成する基板としては、例えば、ガラスや樹脂などの基体を挙げることができる。特に、電極に使用する場合、これらの基板は、透明な基板であることが適当である。
ガラス基板は、液晶ディスプレイなどに多く用いられる。可視領域における透明性が高く、平坦性の優れたガラスを用いることが好ましい。
樹脂基板としては、例えば、ポリエステル基板、PMMA基板等が挙げられる。樹脂基板は、ガラス基板に比べて軽量であること、薄いこと、可撓性があって形の自由度が高いことなどを活かした多くの用途が検討されている。液晶ディスプレイには、可視領域における透明性が高いこと、平坦性に優れることの他に、加工性、耐衝撃性、耐久性、組立プロセスへの適合性などを考慮して用いることが好ましい。
【0032】
第2の態様の物品
本発明の第2の態様の物品は、基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d で表される導電性酸化物薄膜(但し、Zn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されている)を有する物品であって、前記導電性酸化物薄膜が、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板または基板上の配向性制御膜上に形成されたものであり、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とするものである。
〔導電性酸化物薄膜〕
上記導電性酸化物薄膜において、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d の式中、M、比率(x:y)及び比率(z:y)については、前記本発明の第1の態様の物品が有する導電性酸化物薄膜と同様である。
酸素欠損量dは、元素の置換により付与される導電性を考慮して適宜決定でき、0であってもよい。酸素欠損量dは、多すぎると可視光を吸収して透明性を低下させる原因となるので、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍以下であることが適当である。
【0033】
さらに、本態様の導電性酸化物薄膜では、酸素欠損を導入すること以外に、Zn、M及びInの少なくとも一つの元素の一部を他の元素と置換することにより、キャリア電子が伝導帯に注入されて、導電性を発現させることができる。
Znは2価の元素であり、これと置換可能な元素は、原子価が2価以上の元素である。原子価が高い元素ほど、少量の置換でより大きいキャリア注入量を与えることが可能である。置換可能な元素の原子価は通常2価、3価、4価、5価又は6価である。
原子価が2価以上の元素としては、例えばBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙げることができる。
Mで表されるAl及びGa、並びにInは3価の元素であり、これらと置換可能な元素は、原子価が3価以上の元素であ。原子価が高い元素ほど、少量の置換でより大きいキャリア注入量を与えることが可能である。置換可能な元素の原子価は通常3価、4価、5価又は6価である。
原子価が3価以上の元素としては、例えばAl、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、Bi、Poを挙げることができる。
【0034】
電気伝導性と透明性のバランスという観点から、キャリア電子の注入量は、例えば1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲とすることが適当であり、各元素の置換量は、電子の注入量を上記範囲になるように調整することが適当である。キャリア電子の注入量は、好ましくは1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
また、置換する元素の種類によっては可視領域の光を吸収する性質を有するものもある。そこで、置換元素の置換量は、可視領域の光の平均透過率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上となるように選ぶことが適当である。
【0035】
上記の酸化物薄膜は、前記第1の態様の薄膜と同様に、制御された配向性を有することで、より高い導電性を発揮する。即ち、薄膜を構成する酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向している。このような配向性を有する導電性酸化物薄膜は、後述するように、酸化物薄膜の配向性制御するための機能性膜または機能性基板上に形成されることにより、形成することができる。また、導電性酸化物薄膜の膜厚は、この物品の用途に応じて適宜決定できる。この物品を電極として用いる場合の膜厚については後述する。
【0036】
〔配向性制御基板及び配向性制御膜〕
配向性制御基板及び配向性制御膜は、上記本発明の第1の態様の物品に説明したものと同様のものである。
【0037】
第3の態様の物品
本発明の第3の態様の物品は、基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d で表される導電性酸化物薄膜を有する物品であって、前記導電性酸化物薄膜はイオン注入されたものであり、かつ前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板または基板上の配向性制御膜上に形成されたものであり、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とするものである。
〔導電性酸化物薄膜〕
本態様の物品が有する導電性酸化物薄膜において、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d の式中、Zn、M、比率(x:y)及び比率(z:y)については、前記本発明の第1の態様の物品が有する導電性酸化物薄膜と同様である。
酸素欠損量dは、陽イオンの注入により付与される導電性を考慮して適宜決定でき、0であってもよい。酸素欠損量dは、多すぎると可視光を吸収して透明性を低下させる原因となるので、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍以下であることが適当である。
【0038】
さらに、本態様の物品が有する導電性酸化物薄膜に注入される陽イオンは、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d で表される酸化物の結晶構造を破壊することなく、固溶できるものであれば特に制限はない。但し、イオン半径の小さいイオンのほうが結晶格子中に固溶しやすい傾向があり、イオン半径が大きくなるほど、結晶構造を破壊しやすくなる傾向がある。
上記のような陽イオンとしては、例えばH、Li、Be、B、C、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Biを挙げることができる。
電気伝導性と透明性のバランスという観点から、キャリア電子の量は、例えば1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲とすることが適当であり、酸素欠損量d及び陽イオンの注入量は、キャリア電子の注入量を上記範囲になるように調整することが適当である。キャリア電子の注入量は、好ましくは1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0039】
上記の酸化物薄膜は、前記第1の態様の薄膜と同様に、制御された配向性を有することで、より高い導電性を発揮する。即ち、薄膜を構成する酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向している。このような配向性を有する導電性酸化物薄膜は、後述するように、酸化物薄膜の配向性制御するための機能性膜または機能性基板上に形成されることにより、形成することができる。また、導電性酸化物薄膜の膜厚は、この物品の用途に応じて適宜決定できる。この物品を電極として用いる場合の膜厚については後述する。
【0040】
〔配向性制御基板及び配向性制御膜〕
配向性制御基板及び配向性制御膜は、上記本発明の第1の態様の物品に説明したものと同様のものである。
【0041】
電極としての用途
本発明の第1〜第3の態様の物品は電極として使用することができる。電極として使用する場合、配向性制御基板及び基板とその上に設けた配向性制御膜は上記のように透明な物を用い、導電性酸化物薄膜が導電層となる。
尚、本発明の電極を構成する導電層は、前記導電性酸化物薄膜のみからなる場合、及びこれらの酸化物と異なる結晶が共存する酸化物層であることもできる。但し、他の結晶の共存量は、導電層の透明性及び導電性の点で実用上の問題が生じない範囲で選ばれる。前記の導電性酸化物薄膜と共存させることができる酸化物としては、例えばITO 、In2O3 、SnO2等が挙げられる。但し、これらの酸化物に限定されるものではない。
電極における導電層の膜厚は、電極に要求される光学的特性、導電性及び用途等を考慮して適宜決定できる。例えば、液晶パネル用電極の場合には、下限は約30nmであり、上限は約1μmである。但し、酸化物に含まれる元素の種類によっては、可視領域に一部吸収を有するものもあり、その場合には比較的薄い膜厚が好ましい。また、可視領域にほとんど又は全く吸収を有さないものについては、膜厚を厚くすることで、より高い導電性を得ることができる。
尚、後述の液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等の表示装置の透明電極とする場合、400 〜700nm の可視光領域において80%以上の透過率を有することが好ましい。また太陽電池の透明電極とする場合、太陽光を透過させるために、500 〜900nm の波長域、さらには長波長の近赤外波長域の透過率が80%以上であることが好ましい。
【0042】
また、本発明の上記物品を電極として使用する場合、前記基板と配向性制御薄膜との間に種々の目的で下地層を設けることもできる。そのような下地層としては、カラーフィルター、TFT層、EL発光層、金属層、半導体層及び絶縁層などを挙げることができる。また、下地層は2種以上を併設することもできる。
上記本発明の物品からなる電極は、種々の用途に利用することができる。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び太陽電池等の電極として好適に用いることができる。
液晶ディスプレイにはTFT型、STN型やMIM型など種々の型があるが、いずれの場合にも透明電極に挟まれた液晶に電場を加え、液晶の配向方向を制御して表示する原理を用いている。本発明の物品からなる電極は、上記透明電極として用いることができる。
また、本発明の物品からなる透明電極は、ELディスプレイ用電極として用いることもできる。ELディスプレイは透明電極と背面電極の間にEL発光層を挟み込む基本構造を有し、本発明の物品からなる電極は、上記の透明電極として最適である。
【0043】
本発明の物品からなる電極は、透明性及び導電性が高いことから、太陽電池用電極としても優れている。太陽電池は、透明電極と背面電極との間に半導体や絶縁体を挟み込む基本構造を有する。太陽電池は、半導体界面の光起電力効果を利用して、光エネルギーを電気に変換する素子であるので、なるべく広いスペクトル範囲にわたって光を半導体界面に導くことが必要であり、透明電極の透明性は高くなくてはならない。また、太陽電池の透明電極は半導体界面に生成した光生成キャリアを収集して端子に導き出す機能を持つので、光生成キャリアをなるべく有効に収集するためには透明電極の導電性が高くなくてはならない。本発明の透明電極は、450nmより短波長の光を含む、可視領域全域の広いスペクトル範囲にわたって光を半導体界面に導くことができる上に導電性が高いので、太陽電池用の電極として優れている。
【0044】
本発明の物品の製造方法
本発明の物品は、スパッタリング法などの薄膜法により製造することができる。
薄膜法の代表的なものとして、CVD法、スプレー法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE法、スパッタリング法などがある。さらにCVD法として、熱CVD、プラズマCVD、MOCVD、光CVD等が知られている。
但し、生成する酸化物薄膜の配向性は、成膜方法及び条件により異なる。本発明では、配向性制御基板または配向性制御薄膜上に酸化物薄膜を形成するために比較的低温で容易に製膜することができる。
例えば、スパッタリング法で配向性のある酸化物膜を形成するには、5×10-4〜1Torrの圧力下、100℃〜500℃の範囲で透明基板を加熱して行うことが適当である。
スパッタリングターゲットとしては、金属または酸化物の焼結体や混合粉成形体等を用いることができる。
【0045】
CVD法では、金属元素の原料として、In(CH3)3、In(C2H5)3 、In(C5H7O2)3 、In(C11H9O2)3、Ga(CH3)3、Ga(C2H5)3 、Zn(CH3)2、Zn(C2H5)2 、Al(CH3)3、Al(C2H5)3 等の有機金属やInCl3 、GaCl3 、ZnCl2 、AlCl3 等の塩化物などが利用できる。また、酸素原料としては、空気、O2、H2O 、CO2 、N2O 等を利用することができる。
イオンプレーティング法による成膜は、原料となる金属あるいは酸化物の混合体や焼結体を抵抗加熱、高周波加熱、電子衝撃等により蒸発させ、DC放電、RF放電、電子衝撃等でイオン化することにより行うことができる。原料として金属を用いた場合、空気、O2、H2O 、CO2 、N2O 等を流しながら成膜することにより、所望の酸化物薄膜を得ることができる。
真空蒸着法による成膜は、圧力10-3〜10-6Torr中で原料となる金属あるいは酸化物の混合体や焼結体を抵抗加熱、高周波加熱、電子衝撃、レーザー衝撃等により蒸発させることにより行うことができる。原料として金属を用いた場合、空気、O2、H2O 、CO2 、N2O 等を流しながら成膜することにより、所望の酸化物薄膜を得ることができる。
CVD法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等によっても、配向性制御基板または配向性制御薄膜上に酸化物薄膜を形成するために比較的低温で容易に製膜することができる。
【0046】
第1の態様の製造方法
前記第1の態様の物品が有する導電性酸化物薄膜の基になる薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲である)で表される酸化物をターゲットとして用い、スパッタ法により形成することが適当である。さらに、その際、薄膜を配向性制御基板または基板上の配向性制御薄膜上に、前記基板の加熱温度を100〜500℃の範囲とし、成膜時の圧力を5×10-4〜1Torrの範囲とすることで、本発明の第1の態様の物品が有する導電性酸化物薄膜の基になる酸化物薄膜であって、該酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向した層を形成することができる。
【0047】
さらに、得られた一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で表される酸化物薄膜に酸素欠損を導入することで、導電性酸化物薄膜が得られる。一般に酸化物の酸素欠損は、例えば、酸化物から酸素を引き抜くことにより生成させることができる。酸素原子を引き抜いて酸素欠損を作る方法としては、上記酸化物薄膜を還元性雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で加熱処理するなどの方法を用いることができる。熱処理及び/または還元処理は、100〜1100℃の範囲の温度で行うことが適当であり、好ましい温度範囲は300〜900℃である。
【0048】
また、成膜の際に酸素分圧を制御することで、酸素の引き抜きを行うことなく酸素欠損を生成させて、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される導電性酸化物薄膜を形成することもできる。
あるいは、酸化物薄膜の形成の際に酸素欠損を導入し、さらに酸素を引き抜く工程を加えることで酸素欠損量を調整することもできる。
【0049】
第2の態様の物品の製造方法
本発明の第2の態様の物品の薄膜は、基本的には第1の態様の製造方法と同様に、スパッタ法により所望の組成の酸化物薄膜を形成し、さらに得られた酸化物に、必要により酸素欠損を導入することにより得られる。
但し、スパッタリングターゲットとして、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) (式中、x、y、z及びMは前記と同様である)で表され、かつZn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されており、Znと置換される元素は原子価が2価以上であり、M及びInと置換される元素は原子価が3価以上である酸化物を用いることが適当である。
さらに、酸素欠損は、本発明の第1の態様の製造方法と同様に生成させることができる。
【0050】
第3の態様の製造方法
本発明の第3の態様の物品の薄膜は、基本的には第1の態様の製造方法と同様に、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で表される所望の組成の酸化物薄膜を形成し、さらに得られた酸化物薄膜に陽イオンを注入し、必要により酸素欠損を導入することにより得られる。
陽イオンの注入には、イオン注入法を用いる。イオン注入法は、固体内に不純物を導入する手段として超大規模集積回路製造工程等に用いられているものをそのまま用いることができる。注入されるべき陽イオンの元素をイオン化して数十keV 以上に加速し、酸化物薄膜中に打ち込むことで行うことができる。
注入された陽イオンは結晶格子内に固溶し、伝導帯にキャリア電子を与えて導電性を発現させる。陽イオン注入量は、酸化物が酸素欠損を有さない場合、伝導帯への電子の注入量が1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲になるように選ぶことが適当である。また、酸化物が酸素欠損を有さない場合には、酸素欠損により生じるキャリア電子の量と陽イオン注入により生じる電子の量との合計が上記範囲になるようにすることが適当である。
キャリア電子の量が1×1018/cm3 より小さければ、十分な電気伝導率が得られず、1×1022/cm3 より大きければプラズマ振動による吸収が可視領域に現れて透明性が劣化する。キャリア電子の量は、好ましくは1×1019/cm3 〜5×1021/cm3 の範囲である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1
ZnO(高純度化学研究所(株)社製、純度99.99%)、Ga2O3(高純度化学研究所(株)社製、純度99.99%)及びIn2O3(高純度化学研究所(株)社製、純度99.99%)の各粉末を含有金属の比がIn:Ga:Zn=1.79:1.00:3.98 となるように秤量した。秤量した試料に、パラフィン25%ヘプタン溶液を粉体の重量の10%添加して、自動乳鉢にて1時間混合解砕した。金型を用いて一軸加圧(100kg/cm2 )したのち、静水圧加圧(1000kg/cm2 )して直径75mmのディスク状に成形して、大気中、600℃で2時間脱脂を行い、その後1550℃で2時間焼成して相対密度90%以上の焼結体を得た。焼結体の表面を研磨し、パッキングプレート上に接着剤を用いて固定してスパッタリングターゲットとした。これをスパッタリング装置(新明和製、VCS400LMC)に固定して、RFパワー200W、Ar/O2=17/3、圧力4mTorr 、基板加熱500℃という条件にて、Al2O3 (0001)基板(信光社製、10mm×10mm×0.5mmt、両面研磨)上に厚み約2000Åの薄膜を作製した。これを窒素中、800℃で加熱処理した後、アルゴン雰囲気下、580℃で2時間熱処理した。
【0052】
得られた膜の構造解析を、X線回折装置(マックサイエンス(株)社製、MXP−18A)を用いて行い、YbFe2O4 型構造の結晶が生成していることを確認した。また、膜の組成を蛍光X線分析装置(リガク(株)社製、System3080)を用いて分析し、ZnとGaの組成比及びInとGaの組成比はx/y=1.0 及びz/y=1.0 であることを確認した。これにより、形成した膜はInGaZnO4結晶であると判断できる。該酸化物の(00n)面に垂直な軸をc軸として、透過電子顕微鏡によってc軸の配向の度合いを調べたところ、基板法線からのc軸の平均傾き角は5.0゜以下であった。(00n)面が実質的に配向した膜が得られていた。
この膜の導電性を確認するために、四辺形の薄膜試料の四隅にSER 社製スプリングプローブを圧着し、van der Pauw法電気伝導率測定装置(自作)によりHall測定を行い、電気伝導率、キャリア密度、移動度を測定した。また、光吸収特性を測定するために、自記分光光度計(日立電気(株)社製、330型)を用いて、光透過法により、波長500nmから短波長側へ掃引しながら吸光度を測定した。対照試料として、両面研磨したAl2O3 (0001)基板を用いた。透過率曲線の接線が波長軸と交わった点を吸収端波長として、測定結果を膜の組成(原子比)、電気特性と併せて表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
比較例1
石英ガラス基板上に、実施例1と同様の方法で酸化物薄膜を作製した。作製した膜の構造解析を、前記X線回折装置を用いて行い、YbFe2O4 型構造の結晶が生成していることを確認した。前記蛍光X線分析装置を用いて膜組成を分析したところ、ZnとGaの組成比及びInとGaの組成比はx/y=1.0 及びz/y=1.0 であった。さらに、c軸の配向の度合いを調べたところ、基板法線からのc軸の平均傾き角は25゜程度であり、Al2O3 (0001)配向性制御基板上に作製した場合よりc軸配向性に劣っていた。
前記蛍光X線回折装置により分析した膜の組成(原子比)、van der Pauw法電気伝導率測定装置により測定した電気伝導度、キャリア密度、移動度、さらに前記分光光度計を用いて測定した吸収端波長をそれぞれ表1に示す。実施例1の2つの試料に比べてキャリア密度がやや大きいにもかかわらず、電気伝導度が劣っていた。これは移動度が格段に小さいためであり、膜がc軸の配向性に劣るためであると判断できる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2) で示される酸化物薄膜の配向性を制御することができ、吸収端が450nmより短波長側にあり、ITO 膜より大きな膜厚としても着色を生じない、さらにITO 膜と同等以上のより高い電気伝導度を示す導電性酸化物薄膜を有し、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び太陽電池等に有用な電極を含む物品を提供することができる。
さらに本発明によれば、上記導電性酸化物薄膜を有する物品を配向性制御膜や配向性制御基板を用いてより容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 InO6の八面体構造を示す電子模型(白丸がIn原子であり、黒丸が酸素原子である)。Aは(00n)面に垂直な方向から見た図であり、Bは(00n)面と平行な方向から見た図。
【図2】 InO6の八面体及び八面体の(00n)面、さらには基板との関係を模式的に示した図
【図3】 (00n)面を実質的に配向させ、ここに電流(電子)を流すと、電子の経路は(00n)面と平行な方向に直線的になることの説明図。
【図4】 InGaZnO4で表される結晶の結晶構造(左図、菱面体の構造)及びブリルアンゾーン(右図)。
【図5】 InGaZnO4で表される結晶の第一原理計算により得られたエネルギーバンド構造。
Claims (10)
- 基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。 - 基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表され、かつZn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されており、Znと置換される元素は原子価が2価以上であり、M及びInと置換される元素は原子価が3価以上である酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。 - キャリア電子の量が1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量d並びにZn、M及びInの元素の置換量を選んだ請求項2に記載の物品。
- 基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に導電性酸化物薄膜を有する物品であって、
前記導電性酸化物薄膜は、一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物に、陽イオンを注入した酸化物からなり、
前記導電性酸化物薄膜は、配向性制御基板上または基板上の配向性制御膜上に、上記酸化物の(00n)面(但し、nは正の整数である)が実質的に配向するように形成されたものであり、さらに
前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向していることを特徴とする物品。 - キャリア電子の量が1×1018/cm3 〜1×1022/cm3 の範囲になるように、酸素欠損量d並びに陽イオンの注入量を選んだ請求項4に記載の物品。
- 基板が可視光領域で実質的に透明であり、電極として用いられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
- 液晶ディスプレイ、ELディスプレイまたは太陽電池に用いられる請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
- 一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成する方法であって、
前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物薄膜を有する物品の製造方法。 - 一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表され、かつZn、M及びInのうちの少なくとも一種の元素の一部が他の元素で置換されており、Znと置換される元素は原子価が2価以上であり、M及びInと置換される元素は原子価が3価以上である酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成する方法であって、
前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする請求項2に記載の導電性酸化物薄膜を有する物品の製造方法。 - 一般式Znx M y Inz O (x+3y/2+3z/2)-d (式中、Mはアルミニウム及びガリウムのうちの少なくとも一つの元素であり、比率(x:y)が0.2 〜8:1の範囲であり、比率(z:y)が0.4〜1.4:1の範囲であり、かつ酸素欠損量dが0を超え、(x+3y/2+3z/2)の1×10-1倍の範囲である)で表される酸化物をターゲットとして、スパッター法により薄膜を形成し、次いで得られた薄膜に陽イオンを注入する方法であって、
前記薄膜を、前記酸化物の(00n)面を実質的に配向させるための配向性制御基板上または配向性制御膜を有する基板の前記配向性制御膜上に形成させる(但し、前記配向性制御基板及び前記配向性制御膜は、Al2O3 単結晶からなり、かつこの単結晶のc 軸は基板の膜形成面に垂直に配向している)ことを特徴とする請求項4に記載の導電性酸化物薄膜を有する物品の製造方法。
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