JP3944999B2 - 生分解性潤滑油 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性潤滑油に関し、より詳しくは芳香族ポリカルボン酸系エステルの1種若しくは2種以上を含有する生分解性潤滑油に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題への意識の高まりから、潤滑油に対しても生分解性が要求されるようになり、天然油脂やその誘導体エステルが用いられている。例えば、建設機械の油圧作動油基油には欧州を中心に菜種油が広く用いられている。
【0003】
ところが、この菜種油系作動油は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など、二重結合を持つ不飽和脂肪酸を含むため酸化安定性が劣る傾向がある。これに対し、従来の合成エステルは、優れた酸化安定性を示す一方、生分解性が不良であったが、最近では良好な生分解性を併せもった合成エステル系作動油の検討が進められている。そのような合成エステルとして様々なポリオールエステルが挙げられるが、性能、コスト面でまだ問題がある。例えば、トリメチロールプロパンのオレイン酸エステルは酸化安定性が低く、オレイン酸の代わりに酸化安定性の良好な飽和脂肪酸、例えばイソステアリン酸を用いたエステルは高価であり、菜種油系に比べ2倍以上のコストがかかる。又、ヤシ油から誘導した混合脂肪酸メチルエステル及びパルミチン酸2−エチルヘキシルなどの脂肪酸モノエステルは低温流動性に劣る。
【0004】
一方、フタル酸、一価アルコール及び二価アルコールを併用した複合エステルは高粘度を有し、可塑剤として有用であることが知られている。例えば、特開昭61−76442号ではフタル酸を含む各種二塩基酸、一価アルコール及び二価アルコールからなる複合エステルの製造法についての記載があり、可塑剤としての評価を同時に行っている。ところが、上記公開公報では、潤滑油としての性能評価は行っておらず、更に、生分解性の点については全く言及されていない。
【0005】
上記のごとく、潤滑油としての性能バランスが良好で、安価であり、且つ生分解性の良好なエステルは従来知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安価で、生分解性に優れ、且つ流動性、潤滑性及び酸化安定性も良好な潤滑油を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有する芳香族ポリカルボン酸系エステルが潤滑油として優れた性能を有し、且つ生分解性が良好である点を新たに見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明に係る生分解性潤滑油は、一般式(1)
【化2】
Figure 0003944999
[nは2〜4の整数を表す]
で表される芳香族ポリカルボン酸及びその無水物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を酸成分とし、炭素数1〜18の脂肪族直鎖状飽和アルコール、炭素数2〜18の脂肪族直鎖状不飽和アルコール、炭素数3〜18の脂肪族分岐鎖状飽和アルコール及び炭素数3〜10の脂環式飽和アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の一価アルコール及び炭素数2〜18の多価アルコールの1種又は2種以上とをアルコール成分としてエステル化して得られる芳香族ポリカルボン酸系エステル(以下「本エステル」という。)の1種又は2種以上を含有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本エステルは、例えば、本発明に係る酸成分とアルコール成分とを常法に従って、好ましくは窒素などの不活化ガス雰囲気下、エステル化触媒の存在下又は無触媒下で加熱攪拌しながらエステル化することにより調製される化合物であるが、ここで適用されるアルコール成分は、特定の構造を有する一価アルコールと多価アルコールとを併用することにその特徴を有する。
【0010】
本エステルを構成する酸成分としては、ベンゼン環にカルボン酸残基が2〜4個結合した芳香族ポリカルボン酸又はその無水物であり、夫々単独で若しくは2種以上を適宜混合して用いることが可能である。具体的にはフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及び無水ピロメリット酸などが例示され、中でもフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましい。
【0011】
本エステルを構成するアルコール成分の一種である一価アルコールとしては、炭素数1〜18の脂肪族直鎖状飽和アルコール、炭素数2〜18の脂肪族直鎖状不飽和アルコール、炭素数3〜18の脂肪族分岐鎖状飽和アルコール及び炭素数3〜10の脂環式飽和アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の一価アルコールが挙げられる。
【0012】
脂肪族直鎖状飽和アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、9−オクタデセノールなどが例示され、中でもn−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノールなどが推奨される。
【0013】
脂肪族直鎖状不飽和アルコールとしては、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、2−デセン−1−オール、2−ウンデセン−1−オール、2−テトラデセン−1−オール、2−ペンタデセン−1−オール、2−ヘキサデセン−1−オール、2−ヘプタデセン−1−オール、2−オクタデセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、11−ドデセン−1−オール、12−トリデセン−1−オール及び15−ヘキサデセン−1−オールなどが例示される。
【0014】
脂肪族分岐鎖状飽和アルコールとしては、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、イソペンタノール、イソヘキサノール、2−メチルヘキサノール、1−メチルヘプタノール、2−メチルヘプタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール、イソペンタデカノール、イソオクタデカノールなどが例示され、中でも2−メチルヘキサノール、1−メチルヘプタノール、2−メチルヘプタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール、イソペンタデカノール、イソオクタデカノールなどが推奨される。
【0015】
脂環式アルコールとしては、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノールなどが例示される。
【0016】
本エステルを構成するアルコール成分の他の一種である多価アルコールとしては、炭素数2〜15の二価アルコール、炭素数3〜12の三価アルコール及び炭素数4〜15の四価アルコールなどが挙げられる。
【0017】
二価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどが例示され、中でもエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコールなどが推奨される。
【0018】
三価アルコールとしては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールオクタンなどが例示され、中でもグリセリン、トリメチロールプロパンなどが推奨される。
【0019】
四価以上の多価アルコールとしては、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが例示され、中でもペンタエリスリトールが推奨される。
【0020】
エステル化反応を行うに際し、アルコール成分は、例えば、酸成分1当量に対して1.0〜1.5当量、好ましくは1.05〜1.2当量程度用いられる。
【0021】
当該エステル化に用いられる全アルコール成分に対する一価アルコールの比率としては、50当量%以上且つ100重量%未満が推奨され、特に一価アルコール/多価アルコール=95/5〜70/30(当量%)のものが好ましい。多価アルコールの種類及びその含有率によって低粘度から高粘度のものまで様々な粘度を有するエステルを得ることが可能であるが、多価アルコールの比率が50当量%を越えると高分子量のポリマーが多量に生成し、低温流動性が低下する傾向がある。
【0022】
更に、全アルコール成分中の炭素数10〜18の脂肪族直鎖状飽和一価アルコールの含有率としては、50当量%以下が推奨され、特に40当量%以下、更に30当量%以下が好ましい。50当量%を越えると、得られるエステルの低温流動性が低下する傾向がある。
【0023】
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類などが例示され、具体的に、ルイス酸としては、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体などが例示され、アルカリ金属類としてはナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどが例示され、更に、スルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸などが例示できる。その中でも炭素数3〜8の有機チタン化合物、炭素数1〜4のナトリウムアルコキシド、パラトルエンスルホン酸が好ましい。その使用量は、例えば、原料である酸成分及びアルコール成分の総重量に対して0.1〜1.0重量%用いられる。
【0024】
エステル化温度としては、150℃〜230℃が例示され、通常、3〜30時間で反応は完結する。
【0025】
エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下又は常圧下にて留去する。引き続き、慣用の精製方法、例えば、液液抽出、減圧蒸留、活性炭処理などの吸着精製などにより、エステルを精製することが可能である。精製後のエステルの酸価は0.5mgKOH/g以下、好ましくは0.1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.05mgKOH/g以下であることが望ましい。酸価が0.5mgKOH/gより高いときは酸化安定性が低下し、金属の腐食も増大する。
【0026】
かくして得られる本エステルには、通常、(1)酸成分と一価アルコールから得られる芳香族系フルエステル及び(2)2個以上の酸成分が1個又は複数個の多価アルコール成分と結合して得られるフルエステル(以下「架橋エステル」という。)及び/又は(3)2個以上の酸成分が1個又は複数個の多価アルコール成分を介して得られるエステルであって、多価アルコール由来の水酸基が残存するエステルが混在する。
【0027】
架橋エステルとしては、酸成分と多価アルコールに由来するエステル結合を含有してなる基が1つのものから2つ以上繰り返して連なったものまで、種々の構造を有するオリゴマーが例示される。一例として、芳香族ジカルボン酸と二価アルコールから得られるオリゴマーの構造式を以下に示す。
【化3】
Figure 0003944999
[式中、Aはベンゼン環を表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基を表し、Bは炭素数2〜18の二価アルコールから2個の水酸基を除いてなる残基を表す。yは1以上の整数である。]
【0028】
本発明に係る生分解性潤滑油の成分である芳香族ポリカルボン酸系エステルは、上記酸成分及びアルコール成分の代わりに当該酸成分の低級アルコールエステル及び/又は当該アルコール成分の酢酸エステル、プロピオン酸エステルなどを用いて、エステル交換反応によりを得ることも可能である。
【0029】
更に、本発明に係る酸成分と一価アルコールとのエステルを調製後、相当量の多価アルコールを加えてエステル交換することにより、目的とする芳香族ポリカルボン酸複合エステルを得ることも可能である。
【0030】
本発明においては、本発明に係る生分解性潤滑油以外にその性能を低下させない範囲で他の基油成分の1種若しくは2種以上を混合することも可能であり、該併用できる基油成分としては、鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、本エステル以外のエステル(以下「併用エステル」という)、ポリエーテル及び/又はシリコーン油などが例示される。又、これらに乳化剤を加えてエマルションとして用いることもできる。
【0031】
鉱物油としては、通常、パラフィン基系原油、中間基系原油、ナフテン基系原油などから得られたものが例示される。
【0032】
合成炭化水素油としては、ポリブテン、ポリプロピレンのほか、オレフィン共重合体、更には、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー及びこれらの水添化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが例示される。
【0033】
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油などが例示される。
【0034】
併用エステルとしては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数10〜22の脂肪酸のモノエステル、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸のジエステル類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族多価カルボン酸エステル、シクロヘキサンジカルボン酸エステルなどの脂環式カルボン酸エステル及びトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールのフルエステル若しくは部分エステルなどが例示される。
【0035】
ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリエーテルエステル、ポリフェニルエーテルなどが例示される。
【0036】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、変性ポリシロキサンなどが例示される。
【0037】
潤滑油中における鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、併用エステル、ポリエーテル、シリコーン油の含有量としては、90重量%以下が推奨されるが、鉱物油、合成炭化水素、シリコーン油の場合、生分解性を損なわないように20重量%以下とするのが望ましい。又、動植物油の場合、酸化安定性を損なわないように50重量%以下とするのが望ましい。
【0038】
本発明に係る生分解性潤滑油は、基油の性能を向上させるために油性剤、極圧剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、乳化剤、金属不活性剤、金属腐食防止剤、消泡剤などの公知の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することも可能である。配合量は、所定の効果を奏する限り特に限定されるものではない。
【0039】
かくして得られる生分解性潤滑油は、切削油、研削油、引抜油、プレス加工油などの金属加工油、油圧作動油、船外機用エンジン油、2サイクルエンジン油、チェーンソー用潤滑油、圧縮機油、ギア油、グリースをはじめ、林業、農業、建築業、採掘業及び輸送業の機械用潤滑油のような、廃棄、漏洩などで環境汚染が問題となっている用途に利用することが可能である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明する。尚、各例における潤滑油の特性は、以下の方法により評価した。
【0041】
動粘度
ウベローデ粘度計を用いてJIS−K−2283に準拠して測定する。
【0042】
流動点
JIS−K−2269に準拠して測定する。低温流動性の指標となる。
【0043】
潤滑性
JPI−5S−32−90に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機社製)を用いて、回転数1200rpm、荷重30kg、時間30分の条件下で試験し、摩耗痕径を測定した。形成された摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好であると判断した。
【0044】
酸化安定性試験
JIS−K−2514−3.1に準拠して行った。この際、各エステルに対し、添加剤として、N−フェニル−α−ナフチルアミン0.7重量%、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン0.7重量%、リン酸トリクレジル2.0重量%及びベンゾトリアゾール0.1重量%を添加し試料油を調製する。試験は165.5℃で72時間行い、試験後の試料油の酸価、粘度変化を測定して試験前との比較を行う。又、試料油を濾過し、濾紙に残った残査をヘキサン(100mL)で洗浄し、不溶部をタール分(mg)とする。又、ラッカー棒に付着した不溶タールの汚れを以下のように評価する。
○:不溶タール分なし
×:不溶タール分あり
酸化安定性は、油の酸価上昇値が小さいもの、動粘度比(40℃における、試験後の動粘度/試験前の動粘度)の値が1に近いもの、不溶タール分及びラッカー棒の汚れの少ないものが良好と判断した。
【0045】
生分解性試験
修正MITI法に基づき、試料油、比較油30mgのそれぞれに基礎培養液300mL及び固形分として30ppmの活性汚泥(都市下水処理場からの汚水を人工下水にて順化したもの)を添加し、25℃で28日間撹拌し、生物学的酸素消費量(BOD)をクーロメーター(大倉電気社製)で測定し、その理論消費量(総酸素消費量:TOD)との比[(BOD/TOD)×100:%]を生分解性とし、以下のように2段階に分けて評価する。
○:生分解率が60%以上
×:生分解率が60%未満
尚、活性汚泥の生分解能を確認するために、標準物質であるアニリンが7日目で40%以上、14日目で65%以上の分解率を示すときのみ、有効な生分解性試験とした。
【0046】
製造例1
攪拌機、温度計、冷却管付き水分分留器を備えた4ツ口フラスコに無水フタル酸148.1g(1モル)、「ダイヤドール11」(商品名、三菱化学社製、n−ウンデカノールとイソウンデカノールとの混合物)303.2g(1.76モル、全アルコール成分に対する当量%(以下「Z」と略記する。)=80%。尚、n−ウンデカノールのZは37%である。)、1,4−ブタンジオール19.8g(0.22モル、Z=20%)を仕込み、テトライソプロピルチタネート触媒存在下、減圧下にて200℃まで昇温した。生成した水を水分分留器にとりながらエステル化反応を約9時間行った。反応後、過剰のウンデカノール及び1,4−ブタンジオールを蒸留で除去し、苛性ソーダで中和し、その後中性になるまで水洗した。次いで活性炭処理を行い、濾過することにより反応生成物423gを得た(収率93%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、フタル酸ジウンデシルの含有量は70重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)においてR=C11、B=−(CH24−、y=1〜3(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は47.4mm2/s(測定温度40℃)、6.88mm2/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は99であった。
【0047】
製造例2
アルコール成分として「ダイヤドール11」265.4g(1.54モル、Z=70%。尚、n−ウンデカノールのZは32%である。)及び1,4−ブタンジオール29.7g(0.33モル、Z=30%)を用いた他は製造例1と同様にしてエステル化し、反応生成物401gを得た(収率94%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、フタル酸ジウンデシルの含有量は58重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)においてR=C11、B=−(CH−、y=1〜4(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は66.6mm/s(測定温度40℃)、8.54mm/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は98であった。
【0048】
製造例3
アルコール成分として「ダイヤドール11」303.2g(1.76モル、Z=80%。尚、n−ウンデカノールのZは37%である。)及び1,6−ヘキサンジオール26.0g(0.22モル、Z=20%)を用いた他は製造例1と同様にしてエステル化し、反応生成物438gを得た(収率95%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、フタル酸ジウンデシルの含有量は64重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)においてR=C11、B=−(CH、y=1〜3(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は52.2mm/s(測定温度40℃)、7.51mm/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は106であった。
【0049】
製造例4
アルコール成分としてイソへプタノール140.6g(1.21モル)とn−デカノール87.1g(0.55モル)との混合一価アルコール(Z=80%。尚、n−デカノールのZは25%である。)及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール26.0g(0.22モル、Z=20%)を用いた他は製造例1と同様にしてエステル化し、反応生成物367gを得た(収率96%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジ−n−デシル及びフタル酸イソヘプチル/n−デシル混基ジエステルの含有量の合計は68重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)においてR=C7及び/又はC10、Bx=−C(CHCHCH(CH)−、y=1〜3(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は19.9mm/s(測定温度40℃)、3.96mm/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は88であった。
【0050】
製造例5
アルコール成分として3,5,5−トリメチルヘキサノール253.8g(1.76モル、Z=80%)及び1,4−ブタンジオール19.8g(0.22モル、Z=20%)を用いた他は製造例1と同様にしてエステル化し、反応生成物385gを得た(収率95%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、フタル酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)の含有量は66重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)において(R=C9、B=−(CH−、y=1〜3(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は66.4mm/s(測定温度40℃)及び8.07mm/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は85であった。
【0051】
製造例6
酸成分としてテレフタル酸166.1g(1.0モル)を用い、アルコール成分としてn−オクタノール85.9g(0.66モル)とイソデカノール104.5g(0.66モル)との混合一価アルコール(Z=60%)及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール70.5g(0.44モル、Z=40%)を用いた他は製造例1と同様にしてエステル化し、反応生成物367gを得た(収率96%)。この反応生成物をGPCにより分析した結果、テレフタル酸ジ−n−オクチル、テレフタル酸ジイソデシル及びテレフタル酸n−オクチル/イソデシル混基ジエステルの含有量の合計は42重量%であった。更に、他の主たる成分として一般式(2)においてR=C8及び/又はC10、Bx=−CHC(C)(C)CH−、y=1〜4(y=1を主成分とする)の混合物(オリゴマー)が認められた。反応生成物の酸価は0.01mgKOH/gであり、動粘度は224.4mm/s(測定温度40℃)及び16.0mm/s(測定温度100℃)であり、粘度指数は64であった。
【0052】
実施例1〜6
製造例1〜6で得られた反応生成物の生分解性、潤滑性、流動性及び酸化安定性を評価した。得られた結果を第1表に示す。
【0053】
比較例1
トリメチロールプロパントリオレエート[酸価0.24mgKOH/g、動粘度48.2mm2/s(測定温度40℃)、9.80mm2/s(測定温度100℃)、粘度指数192]の生分解性、潤滑性、流動性及び酸化安定性を評価した。得られた結果を第1表に示す。
【0054】
Figure 0003944999
【0055】
実施例1〜6から明らかなように、芳香族ポリカルボン酸系エステルは生分解性が良好であり、潤滑性、低温流動性及び酸化安定性がバランス良く優れている。それに対し、比較例1のトリメチロールプロパンのオレイン酸エステルは生分解性は良好であるが酸化安定性が極端に劣る。
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る生分解性潤滑油は、生分解性に優れ、流動性、潤滑性及び酸化安定性が良好である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003944999
    [nは2〜4の整数を表す]
    で表される芳香族ポリカルボン酸及びその無水物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を酸成分とし、
    (a)炭素数10〜18の脂肪族直鎖状飽和アルコールから選ばれる1種又は2種以上、及び、炭素数3〜18の脂肪族分岐鎖状飽和アルコールから選ばれる1種又は2種以上、からなる一価アルコール及び、(b)炭素数2〜18の多価アルコールの1種又は2種以上とをアルコール成分としてエステル化して得られる芳香族ポリカルボン酸系エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする生分解性潤滑油。
  2. 酸成分が、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸よりなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の化合物である請求項1に記載の生分解性潤滑油。
  3. 一価アルコールが、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール及びn−ペンタデカノールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の脂肪族直鎖状飽和アルコール、並びに、2−メチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−メチルヘプタノール、2−メチルヘプタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール、イソペンタデカノール及びイソオクタデカノールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の脂肪族分岐鎖状飽和アルコールである請求項1又は請求項2に記載の生分解性潤滑油。
  4. 多価アルコールが、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールよりなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の化合物である請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の生分解性潤滑油。
  5. 全アルコール成分に対する一価アルコールの比率が、50当量%以上である請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の生分解性潤滑油。
  6. 全アルコール成分に対する炭素数10〜18の脂肪族直鎖状飽和一価アルコールの比率が、50当量%以下である請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の生分解性潤滑油。
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