JP3943777B2 - 電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは特定の電子写真感光体を用い、特定の帯電を行う電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、電子写真装置(複写機、プリンタ等)や静電記録装置等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等の像担持体(被帯電体)を所定の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としては、コロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
【0003】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで、像担持体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0004】
近年は、中低速機種の画像形成装置にあっては、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾンや低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型及びブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材、接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0005】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、放電帯電系と注入帯電系の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0006】
放電帯電系は、接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する系である。放電帯電系は、接触帯電部材と被帯電体に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物は生じることが原理的に避けられないため、オゾン等の活性イオンによる弊害は避けられない。
【0007】
注入帯電系は、接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。注入帯電あるいは直接帯電と称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の直流電圧のみであっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0008】
この帯電系は、イオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこで接触帯電部材はより密に構成し、また被帯電体との速度差を多く持ち、より高い頻度で被帯電体に接触する構成をとる必要がある。
【0009】
代表的な接触帯電プロセスとしては、以下の(A)〜(C)の方法等が提案され実用化等されている。
【0010】
(A)ローラ帯電
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。このローラ帯電の帯電機構は、前記の放電帯電系が支配的である。帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用いて作成される。更に、これらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0011】
帯電ローラは、被帯電体(以下、感光体と記す)との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合は感光体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接帯電しようとしても、接触性の不足のため、従来のローラ帯電での帯電機構は放電帯電系が支配的である。
【0012】
図9は接触帯電における帯電効率例を表わしたグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にはその時得られた感光体帯電電位を表わすものである。ローラ帯電の場合の帯電特性は、Aで表わされる。すなわち、−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、あるいは−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つ様にピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0013】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、絶対値で約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。この様にしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0014】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示される様に、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0015】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べた様に接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0016】
(B)ファーブラシ帯電
ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は、前記の放電帯電系が支配的である。
【0017】
ファーブラシ帯電器は、固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては、100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、注入帯電により十分均一な帯電を行うには、感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0018】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は、図9のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、固定タイプ、ロールタイプどちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し、放電帯電を用いて帯電を行っている。
【0019】
(C)磁気ブラシ帯電
磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合の帯電機構は、前記の注入帯電系を支配的にすることができる。
【0020】
即ち、磁気ブラシ部を構成する導電性磁性粒子として粒径の十分小さいものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、注入帯電を可能にする。図9の帯電特性グラフのCにある様に、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性粒子が脱落して感光体に付着する等他の弊害もある。
【0021】
また更に、上記(A)〜(C)の代表的な接触帯電プロセスの他に、特公平7−99442号公報に接触帯電部材に対し粉末を塗布というものが開示されている。これは接触帯電装置について、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成であり、接触帯電部材が被帯電体に従動回転であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に依然として放電による帯電を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合や、クリーナーレスの電子写真装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れ易い。
【0022】
一方、電子写真感光体の方からも注入帯電を行えるようなアプローチが近年なされており、例えば特開平6−3921号公報等には感光体表面にあるトラップ準位又は電荷注入層の導電粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して注入帯電を行う方法が提案されている。これは放電現象が必要ないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみであり、オゾンの発生もない。更に、AC電圧を印加しなければ、帯電音の発生もなく、ローラ帯電方式と比べると、オゾンレス、低電力の優れた帯電方式である。
【0023】
しかしこれらは、表面に電荷注入層としてアンチモンやインジウム等をドーピングして導電処理したSnO2等の導電性微粒子を含有した層を通常の感光層の上に更にもう一層設けなければならなく、生産性が悪くコストがかかってしまい、更には導電性微粒子を使用するために環境の変化による抵抗変動の制御も難しくなり易い。
【0024】
また近年、電子写真装置より廃トナーを出さないシステムが数多く提案されている。これは、通常、トナーリサイクルプロセス(クリーナーレスシステム)と呼ばれている。例えば、転写方式の電子写真装置においては、通常、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーはクリーナー(クリーニング装置)によって感光体面から除去されて廃トナーとなるが、クリーナーをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーは現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し、現像装置に回収・再使用する装置構成にしたトナーリサイクルプロセスの電子写真装置等が提案されている。
【0025】
この現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降に再用されるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。また、クリーナーレスであることによりスペース面での利点も大きく、電子写真装置を大幅に小型化できる様になり環境問題以外にも大きな利点がある。
【0026】
上記に記載した様に接触帯電において、接触帯電部材として帯電ローラやファーブラシを用いた簡易な構成で注入帯電をすることは難しく、電子写真装置にあっては絶対的帯電不良による画像のかぶり(反転現像の場合には白地部が現像される)や帯電ムラ等が生じる。
【0027】
接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布し、接触帯電部材が従動で、放電帯電を主とする接触帯電装置構成では、長期に装置を使用した場合や、クリーナーレスの電子写真装置を長期に使用した場合に、オゾン生成物が蓄積することにより画像流れが生じ易くなる。
【0028】
また、クリーナーレスの電子写真装置においては、転写残りトナーが帯電部において帯電不良を引き起こしてしまう。更に、接触帯電においては、被帯電体と帯電部材との接触が十分に行われる必要があるため、接触に係わる次のような問題点があった。
【0029】
a)接触帯電部材としてファーブラシ(帯電ブラシ)を用いた場合、帯電ブラシの毛先が図8に示す様に分かれ、被帯電体表面に接触できないところができ、被帯電体表面を均一に帯電することができない。図8において、1は被帯電体(例えば感光体)、2は帯電ブラシ、2aは帯電ブラシの電極部、2bは導電性繊維のファーブラシ部、S1は帯電バイアス印加電源である。
【0030】
b)接触帯電部材として磁気ブラシを用いた場合、接触性を向上させるために帯電磁性粒子を小さくしていくと、磁性粒子が被帯電体表面に付着する欠点があり、帯電磁性粒子を大きくして磁気拘束力を十分に与えると、磁性粒子と被帯電体の接触機会が少なくなり注入帯電能力が低下する。
【0031】
c)接触性を向上させるために補助的な導電性磁性微粒子を帯電部材に混入させる方法も考案されているが、長期的に見て磁性微粒子が被帯電体に付着して消費され、帯電性が低下することが指摘されている。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、帯電均一性に優れかつ長期に渡り安定した注入帯電を実現する、すなわち低印加電圧でオゾンレスの注入帯電を簡易な構成、低コストな電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0033】
本発明の別の目的は、良好に電荷を感光体表面に注入帯電することができ、ハーフトーン画像上、ポジゴーストや黒スジ等の感光体表面の電荷注入性に起因する欠陥の無い、非常に高品質な画像が得られる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、(i)表面層が0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料を含有している表面層を有している電子写真感光体、
(ii)抵抗値が1×10 12 (Ω・cm)以下、平均粒径が10nm〜5μmの帯電促進粒子を、該電子写真感光体表面に10 2 個/mm 2 以上の密度で供給する手段、
(iii)該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体とニップ部を形成している可撓性の帯電部材を有し、該帯電部材への電圧の印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
(iv)帯電させた該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段、
(v)該静電潜像の現像手段、及び
(vi)現像された静電潜像の転写手段
を備え、
該帯電促進粒子を該帯電部材と該電子写真感光体とのニップ部に介在させて、該電子写真感光体を注入帯電することを特徴とする電子写真装置が提供される。
【0035】
また、本発明に従って、(i)表面層が0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料を含有している表面層を有している電子写真感光体、
(ii)抵抗値が1×10 12 (Ω・cm)以下、平均粒径が10nm〜5μmの帯電促進粒子を、該電子写真感光体表面に10 2 個/mm 2 以上の密度で供給する手段、
(iii)該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体とニップ部を形成している可撓性の帯電部材を有し、該帯電部材への電圧の印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であり、
該帯電促進粒子を、該電子写真感光体と該帯電部材とのニップ部に介在させて、該電子写真感光体を注入帯電することを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係わる電子写真感光体について詳しく説明する。
【0037】
感光体の構成としては、導電性支持体の上に単一の感光層を設けた単層型、電荷発生と電荷輸送の機能を別々の層に分担させた積層型等、例えば以下の形態が挙げられる。
【0038】
(1)電荷発生材料を含有する層/電荷輸送材料を含有する層
(2)電荷発生材料と電荷輸送材料を含有する層
(3)電荷発生材料を含有する層/電荷発生材料と電荷輸送材料を含有する層
【0039】
導電性支持体と感光層の間にバリヤー機能や接着機能を有する下引き層を設けたりしても良い。これらの構成の中で、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層がこの順に積層された構成を有する積層型(上記形態の(1)及び(3)の構成)が感度や耐久性の面等より特に好ましい。
【0040】
以下に導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型感光体について、その作成方法を述べる。
【0041】
本発明における導電性支持体としては、例えば以下に示した形態のものを挙げることができる。
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス及び銅等の金属を板形状又はドラム形状にしたもの
(2)ガラス、樹脂及び紙等の非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上にアルミニウム、パラジウム、ロジウム、金及び白金等の金属を蒸着もしくはラミネートすることにより薄膜形成したもの
(3)ガラス、樹脂及び紙等の非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上に導電性高分子、酸化スズ及び酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着あるいは塗布することにより形成したもの
【0042】
本発明に用いられる有効な電荷発生材料としては、例えば以下のような材料が挙げられる。これらの電荷発生材料は、単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
【0043】
(1)モノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾ等のアゾ系顔料
(2)インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料
(3)金属フタロシアニン及び非金属フタロシアニン等のフタロシアニン系
(4)ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料
(5)アンスラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料
(6)スクアリリウム色素
(7)ピリリウム塩、チオピリリウム塩類
(8)トリフェニルメタン系色素
(9)セレン及び非晶質シリコン等の無機材料
【0044】
電荷発生材料を含有する層、すなわち電荷発生層は前記のような電荷発生材料を適当なバインダー樹脂に分散し、これを導電性支持体上に塗工することにより形成することができる。また、導電性支持体上に蒸着、スパッタ及びCVD等の乾式法で薄膜を形成することによっても形成することができる。
【0045】
上記バインダー樹脂としては広範囲なバインダー樹脂から選択でき、例えば、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独又は共重合体ポリマーとして1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0046】
電荷発生層中に含有するバインダー樹脂は、80重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。また、電荷発生層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.01μm〜2μmがより好ましい。また、電荷発生層には種々の増感剤を添加してもよい。
【0047】
電荷輸送材料を含有する層、すなわち電荷輸送層は、先に述べた様に少なくとも0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料と適当なバインダー樹脂とを組み合わせて形成することができる。ここで電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂としては、前記電荷発生層に用いられているものが挙げられ、更に、ポリビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセン等の光導電性高分子等が挙げられる。
【0048】
電荷輸送材料としては、1種類単独で用いても2種類以上組み合わせてもよく、また他の構造の電荷輸送材料〔例えば、ピレン及びアントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系及びトリアゾール系化合物等の複素環化合物、トリアリールメタン系化合物あるいは、これらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有するポリマー(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセン等)〕等と組み合わせてもよい。
【0049】
バインダー樹脂と電荷輸送材料との配合割合は、バインダー樹脂100重量部当り電荷輸送材料を10〜500重量部とすることが好ましい。電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キヤリアを受け取ると共に、これらの電荷キヤリアを表面まで輸送できる機能を有している。この電荷輸送層は、電荷キヤリアを輪送できる限界があるので、必要以上に膜厚を厚くすることができないが、好ましくは5μm〜40μm、より好ましくは10μm〜30μmの範囲である。更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤等の添加剤を必要に応じ添加することもできる。
【0050】
これらの層は、適当な有機溶媒を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等のコーティング法を用いて形成することができる。
【0051】
本発明においては、帯電促進粒子の存在により、電子写真感光体と接触帯電部材との相互接触面において、接触帯電部材は密に電子写真感光体と接触して、その帯電促進粒子が電子写真感光体表面を隙間なく摺擦することで電子写真感光体に電荷を直接注入でき、かつ電子写真感光体の表面層が0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料を含有しているため、より高効率に電荷注入を行うことができるのである。
【0052】
かかる帯電促進粒子は、金属酸化物の導電性無機粒子あるいはこれと有機物との混合物が用いられ、好ましくは酸化亜鉛粒子が用いられる。また、帯電部材が電子写真感光体と周速差を持つと接触頻度が高くなり、より高効率に電荷を注入できるものである。
【0053】
すなわち接触帯電部材による電子写真感光体の帯電は、帯電促進粒子と上記物性範囲内に規定された表面層により、帯電部材の接触不足、帯電部材と電子写真感光体の間の注入性の問題が改善され、帯電均一性が飛躍的に向上することになり、注入帯電が支配的となり、帯電部材の性能によらず常に均一な帯電が可能となった。従って、従来のファーブラシ帯電やローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、印加した電圧とほぼ同等の電位を電子写真感光体に与えることができる。
【0054】
かくして、接触帯電部材として比較的に構成が簡単なファーブラシ等を用いた場合でも、接触帯電部材に対する帯電に必要な印加バイアスは電子写真感光体に必要な電位相当の電圧で十分であり、放電現象を用いない安定かつ安全な帯電方式を実現することができる。つまり、接触帯電装置において、接触帯電部材として帯電ローラ等の簡易な部材を用いた場合でも、より帯電均一性に優れかつ長期に渡り安定した直接帯電を実現する、すなわち低印加電圧でオゾンレスの注入帯電を簡易な構成で実現することができる。
【0055】
また、これにより均一な帯電性を与えることができ、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな電子写真装置、導電粒子である帯電促進粒子を供給する手段を持つことにより、装置を長期に使用した場合においても帯電を安定して行うことができる。
【0056】
本発明においては、導電粒子である帯電促進粒子は、電子写真感光体上に100個/mm2以上存在させる。抵抗値は1×1012(Ω・cm)以下であり、より好ましくは1×1010(Ω・cm)以下であることにより、注入帯電においてより均一でかつより安定した帯電が可能となる。また、導電粒子である帯電促進粒子の平均粒径10nm〜5μmの範囲であることにより、電子写真装置において露光をより阻害しない良好な画像が得られる装置を提供できる。
【0057】
【実施例】
〈実施形態例1〉
図1は、本発明に従う、接触帯電手段を具備した電子写真装置の一例の概略構成図である。本例の電子写真装置は、転写方式電子写真プロセス利用、プロセスカートリッジ着脱方式のレーザービームプリンタである。
【0058】
(1)プリンタの全体的概略構成
1は像担持体(被帯電体)としての回転ドラム型の電子写真感光体である。本例は直径30mmの負帯電のOPC感光体であり、矢印の時計方向に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって回転駆動される。2は感光体1に当接させた接触帯電部材としてのロール状の帯電ブラシ(ファーブラシ帯電器)であり、これは感光体1と3mm幅の帯電ニップ部nを形成して接し、帯電ニップ部nにおいて感光体1の回転方向と逆の矢印の時計方向に180rpmで回転駆動される。すなわち接触帯電部材としての帯電ブラシ2は、感光体1に周速差を持って接触し、感光体1を摺擦する。そして帯電バイアス印加電源S1から−700VのDC帯電バイアスが印加されていて、回転感光体1の外周面がほぼ−680Vに一様に注入帯電される。
【0059】
この回転感光体1の帯電面に対してレーザーダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザービームスキャナ3から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザービームによる走査露光Lがなされ、回転感光体1の周面に対して目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像は、本例の場合は磁性一成分絶縁トナー(ネガトナー)tを用いた反転現像装置4によりトナー像として現像される。
【0060】
4aは、マグネット4bを内包させた現像剤担持搬送部材として直径16mmの非磁性現像スリーブである。この現像スリーブ4aは、感光体1に対して300μmの離間距離をあけて対向配設し、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の回転方向と順方向に感光体1と等速で回転させた。
【0061】
この回転現像スリーブ4aに規制ブレード4cで現像剤(トナー)tが薄層にコートされる。現像剤は、規制ブレード4cで回転現像スリーブ4a上の層厚が規制され、また電荷付与される。回転現像スリーブ4aにコートされた現像剤は、スリーブ4aの回転により感光体1とスリーブ4aの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−500VのDC電圧と、周波数1800Hz、ピーク間電圧1600Vの矩形のAC電圧を重畳したものを用い、現像スリーブ4aと感光体1の間で1成分ジャンピング現像を行わせた。
【0062】
現像剤(トナー)tは、公知のバインダー樹脂、磁性体粒子及び電荷制御剤を混合し、混練、粉砕、分級の各行程を経て作成されたものである。本例において、トナーtの重量平均粒径(D4)は7μmである。
【0063】
一方、不図示の供給部から記録媒体としての転写材Pが供給されて、回転感光体1と、これに所定の押圧力で当接させた接触転写手段としての、中抵抗の転写ローラ5との圧接ニップ部(転写部)bに所定のタイミングにて導入される。転写ローラ5には、転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加される。本例では、転写ローラ5として抵抗値5×108Ωのものを用い、+2000VのDC電圧を印加して転写を行った。
【0064】
転写部bに導入された転写材Pはこの転写部bを挟持搬送されて、その表面側に回転感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が、順次に静電気力と押し圧力にて転写されていく。トナー画像の転写を受けた転写材Pは、感光体1の面から分離されて熱定着方式等の定着装置6へ導入されてトナー画像の定着を受け、画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。また、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光体1面は、クリーニング装置7により残留トナー等の付着汚染物の除去を受けて清掃され繰り返して作像に供される。
【0065】
8は感光体1面に対する帯電促進粒子塗布装置であり、クリーニング装置7と帯電ブラシ2との間位置において感光体1面に所定量の帯電促進粒子mを塗布する。この装置8により感光体1面に塗布された帯電促進粒子mは、感光体1の回転に伴い感光体1と接触帯電部材としての帯電ブラシ2との接触部である帯電部nに持ち運ばれて、帯電部nに帯電促進粒子mが存在した状態で帯電ブラシ2による感光体1の接触帯電処理がなされる。
【0066】
本例のプリンタは、感光体1、帯電ブラシ2、現像装置4、クリーニング装置7及び帯電促進粒子塗布装置8の5つのプロセス機器をカートリッジPCに包含させて、プリンタ本体に対して一括して着脱交換自在のカートリッジ方式の装置である。プロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は、上記に限られるものではなく任意である。9はプロセスカートリッジPCの着脱案内・保持部材である。なお、本発明の電子写真装置は、カートリッジ方式の装置に限られるものではない。
【0067】
(2)感光体
本例の負帯電のOPC感光体は、図2に層構成図を示した様に、30mmφのアルミニウム製のドラム支持体(アルミニウム支持体)11上に下記の第1〜第4の4層の機能層12〜15を下から順に設けたものである。
【0068】
第1層12;下引き層であり、アルミニウムドラムの欠陥等を均すため、またレーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている、厚さ約20μmの導電層である。
【0069】
第2層13;正電荷注入防止層であり、アルミニウム支持体11から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって1010Ω・cm程度に抵抗調整された、厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0070】
第3層14;電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.2μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生させる。
【0071】
第4層15;電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂に酸化電位0.7(V)の電荷輸送材料である下記構造を有するヒドラゾン系有機化合物を分散したもの(重量比1:1)である。感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0072】
【化1】
Figure 0003943777
【0073】
(3)帯電ブラシ
本例で用いた接触帯電部材としての帯電ブラシ2はロール状のものである。これは、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−Bをパイル地にしたテープ2bを直径6mmの金属製の芯金2aに、スパイラル状に巻き付けて外径14mmのロールブラシとしたもので、300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当り155本の密度で、ブラシの抵抗値は印加電圧1〜1000Vにおいて1×105Ωである(金属製の直径30mmのドラムにニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流値から換算したもの)。
【0074】
帯電ブラシ2の抵抗値は、感光体1上にピンホール等の欠落が生じた場合にも、この部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップが帯電不良になる画像不良を防止するために104Ω以上であり、感光体表面に十分に電荷注入させるために107Ω以下であることが好ましい。
【0075】
また、帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製のREC−B以外にも、REC−C、REC−M1及びREC−M10、更に東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等が考えられるが、環境安定性の点でユニチカ(株)製のREC−B、REC−C、REC−M1及びREC−M10が好ましい。
【0076】
本例では、帯電ブラシ2が感光体表面の回転方向と逆方向に回転する様に、回転数180rpmで回転駆動しているが、回転数はこれに限るものではなく、帯電ブラシ2と感光体1の帯電ニップ部nの太さ、ブラシの毛の密度、感光体の表面抵抗、プロセススピード(感光体周速)等の条件が変れば、最適な帯電ブラシの回転数も変化する。
【0077】
また、感光体表面の回転方向と同じ方向に回転することも可能であるが、注入帯電の帯電性は感光体1の周速と帯電ブラシ2の周速の比にも影響を受けるため、逆方向と同じ周速比を得るには順方向では帯電ブラシ2の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電ブラシ2を逆方向に回転させる方が回転数の点で有利である。
【0078】
ここで記述した周速比は、
周速比(%)=(帯電ブラシ周速−感光体周速)/感光体周速×100
である(帯電ブラシ周速は、ニップ部において感光体表面と同じ方向に回転するとき正の値である)。
【0079】
(4)帯電促進粒子mと電荷注入帯電
電荷注入帯電は、中抵抗の接触帯電部材で、放電現象を介さずに感光体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体としての感光体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この場合の印加DC電圧と感光体表面電位の関係を図3に示す。
【0080】
しかしながら、感光体の表面と帯電部材との接触が十分に行われる必要が有るため、既に説明した様に接触帯電部材として帯電ブラシを用いた場合、帯電ブラシの毛先が図8に示す様に分かれ感光体表面に接触できないところができ、感光体表面を均一に帯電することができないという問題点があった。
【0081】
そこで本例では、図1に示す様に被帯電体としての感光体1の表面に帯電促進粒子mを塗布する装置8を設け、感光体表面に帯電促進粒子mを好ましくは102個/mm2以上塗布することで、上記の接触不良の問題を解決することが可能になった。帯電促進粒子塗布装置8は、粉体粒子を塗布する一般的な手段、例えば塗布ローラ8a上に一度均一に塗布した後、感光体上に接触又は電界で飛翔させること等により塗布する構成にすることができる。
【0082】
図4に帯電促進粒子mが感光体上に存在したときに、帯電部材(この場合はファーブラシの先端部)の接触機会を改善しているモデル図を示す。この帯電促進粒子mをどれくらいの密度で感光体1上に塗布することで均一帯電性の効果が得られるかを、人間の視覚特性を考慮した考察と、それに基づく実験より求めた値が本発明の帯電促進粒子塗布密度範囲である。
【0083】
レーザービームプリンタの記録解像度は、近年300dpiから600dpi、更には1200dpiと高解像度化が進んでいるが、帯電時は少なくともこの記録解像度よりは均一な接触帯電が必要なことはいうまでもない。
【0084】
また、人間の目の視覚特性に関して、図5の特性グラフの様に空間周波数が10(cycles/mm)以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていく、すなわち濃度ムラを識別できなくなる。この特性を積極的に利用すると、感光体1上に帯電促進粒子mを付着させた場合、少なくとも感光体1で10(cycles/mm)以上の密度で帯電促進粒子mを存在させ、この粒子mを基に接触注入帯電を行えば良いことになる。たとえ粒子mの存在しないところに帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上なんら問題は無いことになる。
【0085】
表1に帯電促進粒子mの塗布密度を変えたときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかの結果を示す。画像評価において、A:画像不良はまったく認知されない、B:画像不良はほとんど認知されない、C:画像不良は認知される、で評価を行った。
【0086】
【表1】
Figure 0003943777
【0087】
帯電促進粒子mの塗布密度は、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、感光体上の塗布密度を測定した。
【0088】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光体1及び帯電部材2の回転を停止し、感光体1の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。その方法は、ビデオマイクロスコープにて表面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。
【0089】
表1から分かる様に、帯電促進粒子mをわずかにでも塗布すれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生の抑制に効果が認められる。そして、その塗布量を102個/mm2以上にすると、画像の評価において急激に好ましい結果が得られる様になる。更に、塗布量を103個/mm2以上に増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像上の問題点は皆無となる。
【0090】
注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が感光体に確実に接触することで帯電が行われている訳であるが、例え帯電促進粒子mが感光体1上に塗布されたとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが、本発明の人間の視覚特性を積極的に利用した帯電促進粒子塗布を行うことで、実用上この問題点を解決することが可能となった。
【0091】
また、粒子mの塗布量の上限値は、粒子mが感光体1上に1層均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく、逆に露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。塗布密度上限値は、粒子mの粒径によっても変ってくるために一概にはいえないが、強いて記述するならば、粒子mが感光体1上に1層均一に塗布される量が上限である。
【0092】
例えば、本例において帯電促進粒子の量は5×105個/mm2を超えると、粒子自体の光透過性を問わず、感光体1への露光量不足が生じ易い。5×105個/mm2以下では、上記悪影響を改善できる。ゆえに、帯電促進粒子の塗布密度は、画像評価と露光量の関係から102〜105個/mm2であることが好ましい。
【0093】
本発明で使用する帯電部材、この例では帯電ブラシは、もちろん極力ブラシ密度の高いものを使用することが好ましいが、本例で用いたブラシ密度程度のものを用いれば十分である。なぜならば、前述したように注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材では無く帯電促進粒子mの塗布密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲はかなり余裕が有る等の効果がある。
【0094】
本例では、帯電促進粒子mとして比抵抗が103Ω・cm、二次凝集体を含めた平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いたが、粒子mの材料としては、他の金属酸化物や異種無機物をドープした金属酸化物等の導電性無機粒子や有機物との混合物等で各種導電粒子が使用可能である。
【0095】
粒子抵抗は、粒子を介した電荷の授受を行うため比抵抗としては1012Ω・cm以下が好ましく、更には1010Ω・cm以下がより好ましい。抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。底面積2.26cm2の円筒内に0.5gの粉体試料を入れ、上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0096】
また、粒径は良好な帯電均一性を得るためには、50μm以下であることが好ましいが、人の視覚特性を考慮すると5μm以下の細かい粒子を用いることで、帯電時に発生する帯電不良部分の画像への影響を、視覚的に認識されにくい状態が得られる。
【0097】
本発明において、粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学あるいは電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒度分布を算出しその50%平均粒径を決定した。
【0098】
以上述べた様に帯電促進粒子mは、一次粒子の状態で存在するばかりではなく、二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電促進粒子としての機能が実現できればその形態は重要ではなく、重要なのはその粒子密度である。
【0099】
形態例2)
図6は本例の電子写真装置の概略構成図である。本例の電子写真装置は上述の実施形態例のプリンタ(図1)において、クリーニング装置7をなくしてクリーナーレスシステムとし、また帯電促進粒子塗布装置8をなくし、その代わりに現像装置4の現像剤(トナー)tに帯電促進粒子mを外添することで、現像装置4に感光体1に対する帯電促進粒子供給・塗布手段を兼ねさせたものである。
【0100】
トナーtは、公知のバインダー樹脂、磁性体粒子及び電荷制御剤を混合し、混練、粉砕、分級の各行程を経て作成し、更に前述の帯電促進粒子mを外添剤としてトナーに添加し作成されたものである。トナーtの重量平均粒径(D4)は7μmであり、これに対し帯電促進粒子mとしての導電性酸化亜鉛粒子の平均粒径は3μmであった。帯電促進粒子mの粒径を10nm以上で、かつトナー粒径以下に構成することで、トナーtの流動化剤として機能させることが可能になる。トナーtに対する帯電促進粒子mの配合量は、一般にはトナー100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で設定される。
【0101】
クリーナーレスシステムの場合は、転写材Pに対するトナー像転写後の回転感光体1面に残留の転写残トナーはクリーナーで除去されることなく、感光体1の回転に伴い帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される(トナーリサイクルプロセス)。
【0102】
現像同時クリーニングは前述した様に、転写後に感光体1上に残留したトナーを引き続く画像形成工程の現像時、すなわち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、すなわち現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタの様に反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0103】
現像装置4の現像剤tに混入させた帯電促進粒子mは、現像装置4による感光体1側の静電潜像のトナー現像時にトナーと共に適当量が感光体1側に移行する。感光体1上のトナー画像は転写部bにおいて、転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、感光体1上の帯電促進粒子mは導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0104】
そしてクリーニング装置はないので、転写後の感光体1面に残存の転写残トナー及び上記の残存帯電促進粒子mは、感光体1と接触帯電部材である帯電ブラシ2の接触部である帯電部nに感光体1面の回転でそのまま持ち運ばれる。従って、感光体1と帯電ブラシ2との相互接触面部nにこの帯電促進粒子mが存在した状態で感光体1の接触帯電が行われる。
【0105】
帯電部nを通過した転写残トナー及び帯電促進粒子m、また帯電ブラシ2に付着・混入した転写残トナー及び帯電促進粒子mは、帯電ブラシ2から徐々に感光体1上に吐き出されて、感光体1面の回転と共に現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0106】
また、クリーナーレスシステムの電子写真装置の場合は、装置が稼動されることで現像装置4の現像剤tに混入させてある帯電促進粒子mが、現像部aで感光体1面に移行し、像担持面の回転により転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれて帯電部nに新しい粒子mが逐次に供給され続けるため、帯電部nにおいて帯電促進粒子mが脱落等で減少したり、粒子mが劣化する等しても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。感光体に塗布された帯電促進粒子が、クリーニング装置により除去されることが無いために、感光体表面には常に十分な帯電促進粒子mが存在することが可能となり、少量の促進粒子mをトナーtに外添するだけで、帯電性を飛躍的に向上することが可能になった。
【0107】
また、当然ながら転写残トナーも再利用されることになり、トナーの有効利用が可能になる。なお、印字初期においては、帯電ブラシ2と感光体1の接触部nには帯電促進粒子が供給されないので、接触部nには適当量の帯電促進粒子を予め介在させておくことを可とする。
【0108】
〈実施形態例3〉
図7は本例の電子写真装置の概略構成図である。本例の電子写真装置は、上記形態例2のプリンタ(図6)において、接触帯電部材としての帯電ブラシ2を導電性弾性ローラ帯電器2にしたものである。また、帯電促進粒子を帯電部材に供給する手段を配設してある。
【0109】
帯電促進粒子供給は本例では規制ブレードで行っており、規制ブレードを帯電ローラ2に当接し、帯電ローラ2と規制ブレードとの間に帯電促進粒子mを貯留・保持させ、帯電促進粒子mを帯電ローラ2面に塗布して供給する構成をとる。すなわち、帯電ローラ2の回転に伴い一定量の帯電促進粒子mが帯電ニップ部nに持ち運ばれて帯電ニップ部nに帯電促進粒子mが均一に供給される。
【0110】
接触帯電部材としての帯電ローラ2は、被帯電体としての感光体1に対して速度差を持って回転させている。そのために、弾性体より構成される帯電ローラ2の感光体1との接触ニップ部である帯電ニップ部n近傍は帯電ローラ従動の場合に比べて大きく変形し、帯電ローラ2表面に付着している帯電促進粒子mは感光体1上に移行し易く、装置を使用するにつれて帯電ローラ表面の帯電促進粒子は減少してしまう。そこで、帯電促進粒子供給手段8は、常に一定量の帯電促進粒子を感光体1面に塗布して帯電ローラ2と感光体1との接触ニップ部である帯電ニップ部nに供給する構成となっている。
【0111】
帯電ローラ2は、芯金2a上に可撓性部材であるゴムあるいは発泡体の中抵抗層2bを形成することにより作成される。中抵抗層2bは、樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤等により処方され、芯金2aの上にローラ状に形成した。その後、必要に応じて表面を研磨して直径12mm、長手長さ250mmの導電性弾性ローラである帯電ローラ2を作成した。
【0112】
本例の帯電ローラ2のローラ抵抗を測定したところ105Ωであった。ローラ抵抗は、帯電ローラ2の芯金2aに総圧1kgの加重がかかるよう30mmφのアルミニウムドラムに帯電ローラ2を圧着した状態で、芯金2aとアルミニウムドラムとの間に100Vを印加し、計測した。
【0113】
ここで、導電性弾性ローラである帯電ローラ2は電極として機能することが重要である。つまり、弾性を持たせて感光体との十分な接触状態を得ると同時に、回転する感光体を帯電するに十分低い抵抗を有する必要がある。一方では、感光体にピンホール等の欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。十分な帯電性と耐リークを得るには、104〜107Ωの抵抗が好ましい。
【0114】
帯電ローラ2の硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために感光体との接触性が悪くなり、高すぎると感光体との間に帯電ニップ部を確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25度〜50度が好ましい範囲である。
【0115】
帯電ローラ2の材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴム及びIR等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性材料を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものが挙げられる。また、特に導電性材料を分散せずに、イオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0116】
帯電ローラ2は、被帯電体としての感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。感光体1と帯電ローラ2の相互接触している帯電ニップ部nの幅は、3mmである。本例では、この帯電ローラ2を帯電ニップ部nにおいて帯電ローラ表面と感光体表面と互いに逆方向に等速で回転するようにさせ、160rpmで矢印の時計方向に回転駆動させた。すなわち接触帯電部材としての帯電ローラ2の表面は、被帯電体としての感光体1の面に対して速度差を持たせる様にした。また、帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加する様にした。
【0117】
感光体1と接触帯電部材としての帯電ローラ2との帯電ニップ部における帯電促進粒子mの介在量は、少なすぎると、粒子による潤滑効果が十分に得られず、帯電ローラ2と感光体1との摩擦が大きくて帯電ローラ2を感光体1に速度差を持って回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると帯電ローラ2や感光体1の表面が削れてしまう。更に、粒子による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一方、介在量が多過すぎると、帯電促進粒子mの帯電ローラ2からの脱落が著しく増加し、画像上に悪影響が出易くなる。
【0118】
実験によると、帯電ローラ2上における帯電促進粒子の介在量は103個/mm2以上が好ましい。103個/mm2より少ないと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じ易い。より好ましくは103〜5×105個/mm2の介在量が好ましい。実施形態例1の中でも述べたが、感光体上における帯電促進粒子の量が5×105個/mm2を超えると、粒子自体の光透過性を問わず、感光体1への露光量不足が生じ易くなる。帯電ローラ2上の介在量が5×105個/mm2以下では、帯電ローラ2から脱落する粒子量も低く抑えられ悪影響を改善できる。ゆえに感光体1上の帯電促進粒子量を102〜5×105個/mm2にするためには、帯電ローラ2上の介在量としては103〜5×105個/mm2が好ましい。
【0119】
感光体1上の帯電促進粒子の量は、実施形態例1と同様にして測定を行った。帯電部材2については、帯電部材2を感光体1に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて表面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。そして得られたデジタル画像から実施形態例1と同様の画像処理で計測し、その量を求めた。
【0120】
而して、被帯電体である感光体1と接触帯電部材である帯電ローラ2とのニップ部である帯電ニップ部nには、帯電促進粒子mが塗布された状態で感光体1の接触帯電が行われる。
【0121】
これにより、帯電ニップ部nにおいて帯電ローラ2は、帯電促進粒子mを介して密に感光体1に接触して、つまり帯電ローラ2と感光体1のニップ部である帯電ニップ部nに存在する帯電促進粒子mが感光体表面を隙間なく摺擦することで感光体1に電荷を直接注入できるのである。すなわち、帯電ローラ2による感光体1の帯電は帯電促進粒子mの存在により注入帯電が支配的となる。
【0122】
従って、従来のローラ帯電では得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラに印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。本例では、帯電ローラ2に印加した−700Vの直流電圧とほぼ同じ電位−680Vに感光体1が帯電処理される。
【0123】
かくして、接触帯電部材として比較的に構成が簡単な帯電ローラを用いた場合でも、帯電ローラ2に対する帯電に必要な印加バイアスは被帯電体である感光体1に必要な電位相当の電圧で十分であり、放電現象を用いない安定かつ安全な帯電方式を実現することができる。つまり、接触帯電装置において接触帯電部材として帯電ローラ等の簡易な部材を用いた場合でも、より帯電均一性に優れかつ長期に渡り安定した注入帯電を実現する、すなわち低印加電圧でオゾンレスの注入帯電を簡易な構成で実現することができる。
【0124】
〈実施形態例4〉
本例は実施形態例1及び3において感光体1の表面層に含有される、電荷輸送材料の酸化電位との関係について記載する。
【0125】
表2は本例で述べる電荷輸送材料と、その酸化電位と注入帯電均一性に関わる画像欠陥の関係を表にまとめたものである。実施形態例1に記載した感光体の構成中、最表面層である電荷輸送層中に含有される電荷輸送材料を表2に示される各種のものに変更する以外は、感光層に限らずプリンタ本体、構成、帯電部材等、他の全ての事項に関し、実施形態例1と同様の内容で電子写真装置を構成した。この電子写真装置を用い、常温常湿環境(23℃/50%RH)下でハーフトーン画像を用いた感光層への注入帯電均一性の評価を行った。画像上、注入帯電がうまく行われていない場合、反転現像上、黒スジが現れたり、感光体の2回転目の帯電電位が1回転目の露光履歴により低くなってしまい、ハーフトーンの一画像上に濃度アップした箇所を生ずるポジゴースト等の画像欠陥が発現する。表2に記載されている様に、前記画像欠陥と電荷輸送材料の酸化電位との間には相関があり、酸化電位が0.4〜1.0(V)の範囲内、好ましくは0.5〜0.95(V)の範囲内の場合、注入帯電性に優れた電子写真装置を形成することができる。
【0126】
なお、ここで述べている酸化電位は、以下の方法によって測定される。
【0127】
(酸化電位の測定法)
飽和カロメル電極を参照電極とし、電解液に0.1N(n−Bu)4+ClO4 -アセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイーパによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし、得られた電流−電位曲線がピークを示したときの電位を酸化電位とした。詳しくは、サンプルを0.1N(n−Bu)4+ClO4 -アセトニトリル溶液に5〜10mmol%程度の濃度になる様に溶解する。そしてこのサンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、電圧を低電位(0V)から高電位(+1.5V)に直線的に変化させた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。この電流−電位曲線において、電流値がピーク(ピークが複数ある場合には最初のピーク)を示したときのピークトップの位置の電位を酸化電位とした。
【0128】
【表2】
Figure 0003943777
【0129】
【化2】
Figure 0003943777
【0130】
【化3】
Figure 0003943777
【0131】
〈実施形態例5〉
本例は実施形態例3に示される図7の装置において、接触帯電部材である感光体1と相互接触している導電性弾性ローラ帯電器2が感光体1と逆方向に等速回転して周速差をもった回転をしておらず、感光体1と相互接触している帯電ニップ部nを介して、動力伝達が行われ、感光体1と連れ回り、従動回転する装置を用い、注入帯電性の評価を行った。
【0132】
実施形態例3に記載した構成中、導電性弾性ローラ帯電器2が、感光体1と連れ回っていること以外の、感光層、プリンタ本体構成、帯電部材及び帯電促進粒子等に関する、他の全ての事項は、実施形態例3と同様の内容で電子写真装置を構成した。
【0133】
この電子写真装置を用い、常温常湿環境下でハーフトーン画像を用い、実施形態例4の中で述べたのと同様の方法で、感光層への注入帯電均一性の評価を行った。画像上、注入帯電がうまく行われていない場合、反転現像の場合、黒スジが現れたり、感光体の2回転目の帯電電位が1回転目の露光履歴により低くなってしまい、ハーフトーンの一画像上に濃度アップした箇所を生ずるポジゴースト等の画像欠陥が発現する。
【0134】
その結果、本例では
黒スジ :軽微 (問題なし)
ポジゴ−スト:問題なし (問題なし)
(カッコ内は実施形態例3における装置での評価結果)
であり、実施形態例3に示される導電性弾性ローラ帯電器2が、感光体1と周速差をもって回転している装置より、軽微ではあるが、黒スジが若干悪いという結果が得られたが、実用画像上の問題は無い。
【0135】
〈その他〉
1)電子写真感光体1や接触帯電部材2に対する帯電促進粒子供給・塗布手段8は実施形態例に限られるものではなく、その他、例えば、帯電促進粒子mを含ませた発泡体あるいはファーブラシを電子写真感光体1や接触帯電部材2に当接させて配設する手段構成とする等任意である。
【0136】
2)可撓性の接触帯電部材2は、実施形態例の帯電ブラシや帯電ローラに限られるものではない。フェルト、布等の材質・形状のものも使用可能である。また、これらを積層し、より適切な弾性と導電性を得ることも可能である。ブレードタイプ等であってもよく、接触帯電部材2の形態は任意である。
【0137】
3)接触帯電部材2や現像スリーブ4aに対する印加帯電バイアスあるいは印加現像バイアスは、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波及び三角波等を適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であっても良い。この様に交番電圧の波形として周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0138】
4)静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施形態例の様にデジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLED等の他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるもの等、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。また、電子写真感光体1は静電記録誘電体等であっても良い。この場合は、誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0139】
5)実施形態例では現像装置4は、磁性の現像剤を用いた1成分非接触型現像装置であるが、2成分現像剤や非磁性の現像剤を用いる非接触型現像装置でも構わない。1成分又は2成分の接触型現像装置であってもよい。
【0140】
6)電子写真感光体1からトナー画面の転写を受ける記録媒体は、中間転写体であってもよい。
【0141】
7)トナー粒度の測定方法の1例を述べる。測定装置としては、コールターカウンターTA−2型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピュータ(キヤノン製)を接続し、電解液は一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
【0142】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩0.1〜5ml加え、更に測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−2型により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、体積平均分布を求める。これらの求めた体積平均分布より体積平均粒径を得る。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、良好に電荷を感光体表面に注入帯電することができ、ハーフトーン画像上、ポジゴーストや黒スジ等の感光体表面の電荷注入性に起因する欠陥の無い、非常に高品質の画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯電手段が帯電ファーブラシ帯電で、クリーニング装置を備えた本発明の電子写真装置の概略構成図である。
【図2】感光体の層構成図である。
【図3】注入帯電の帯電特性を示すグラフである。
【図4】帯電促進粒子が存在する場合における、帯電ファーブラシと感光体との接触状態のモデル図である。
【図5】人間の目の視覚特性を説明する図である。
【図6】帯電手段が帯電ファーブラシ帯電で、クリーナーレスの本発明の電子写真装置の概略構成図である。
【図7】帯電手段がローラ帯電で、クリーナーレスの本発明の電子写真装置の概略構成図である。
【図8】帯電ブラシと電子写真感光体との接触状態(ブラシの毛先の分かれ部分がある状態)の模式図である。
【図9】ローラ帯電、ファーブラシ帯電及び磁気ブラシ帯電の各場合の帯電特性グラフである。
【符号の説明】
1 電子写真感光体(像担持体、被帯電体)
2 接触帯電部材(帯電ブラシ又は帯電ローラ)
4 現像装置
8 帯電促進粒子塗布装置
m 帯電促進粒子
p 転写材

Claims (20)

  1. (i)表面層が0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料を含有している表面層を有している電子写真感光体、
    (ii)抵抗値が1×10 12 (Ω・cm)以下、平均粒径が10nm〜5μmの帯電促進粒子を、該電子写真感光体表面に10 2 個/mm 2 以上の密度で供給する手段、
    (iii)該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体とニップ部を形成している可撓性の帯電部材を有し、該帯電部材への電圧の印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
    (iv)帯電させた該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段、
    (v)該静電潜像の現像手段、及び
    (vi)現像された静電潜像の転写手段
    を備え、
    該帯電促進粒子を該帯電部材と該電子写真感光体とのニップ部に介在させて、該電子写真感光体を注入帯電することを特徴とする電子写真装置。
  2. 電荷輸送材料が、0.5〜0.95(V)の酸化電位を有する請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記密度が、103個/mm2上である請求項に記載の電子写真装置。
  4. 前記密度が、105個/mm2下である請求項1又は3に記載の電子写真装置。
  5. 帯電促進粒子が、1×1010(Ω・cm)以下の抵抗値を有する請求項に記載の電子写真装置。
  6. 帯電促進粒子が、金属酸化物粒子である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置。
  7. 帯電促進粒子が、酸化亜鉛粒子である請求項に記載の電子写真装置。
  8. 帯電部材が、電子写真感光体とのニップ部において該電子写真感光体に対し周速差を有する請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置。
  9. 帯電部材が、電子写真感光体とのニップ部において該電子写真感光体の移動方向に対し逆方向に移動する請求項に記載の電子写真装置。
  10. 帯電部材が、帯電ローラである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置。
  11. 帯電部材が、帯電ファーブラシである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置。
  12. (i)表面層が0.4〜1.0(V)の酸化電位を有する電荷輸送材料を含有している表面層を有している電子写真感光体、
    (ii)抵抗値が1×10 12 (Ω・cm)以下、平均粒径が10nm〜5μmの帯電促進粒子を、該電子写真感光体表面に10 2 個/mm 2 以上の密度で供給する手段、
    (iii)該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体とニップ部を形成している可撓性の帯電部材を有し、該帯電部材への電圧の印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
    を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であり、
    該帯電促進粒子を、該電子写真感光体と該帯電部材とのニップ部に介在させて、該電子写真感光体を注入帯電することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 電荷輸送材料が、0.5〜0.95(V)の酸化電位を有する請求項12に記載のプロセスカートリッジ。
  14. 前記密度が、103個/mm2上である請求項12に記載のプロセスカートリッジ。
  15. 前記密度が、105個/mm2下である請求項12又は14に記載のプロセスカートリッジ。
  16. 帯電促進粒子が、1×1010(Ω・cm)以下の抵抗値を有する請求項12に記載のプロセスカートリッジ。
  17. 帯電促進粒子が、金属酸化物粒子である請求項1216のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  18. 帯電促進粒子が、酸化亜鉛粒子である請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
  19. 帯電部材が、帯電ローラである請求項1218のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  20. 帯電部材が、帯電ファーブラシである請求項1218のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
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