JP3943620B2 - 微分干渉顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば細胞やバクテリア等の微細物体、あるいは金属等の結晶構造を高解像力で観察するのに好適な微分干渉顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微分干渉顕微鏡においては、照明光を複屈折性のプリズムにより常光と異常光とに分離して観察物体に照射し、それらの透過光または反射光を干渉させることにより、観察物体の勾配の画像を形成するようにしている。
【0003】
また、最近では、微分干渉顕微鏡に、従来の2光束干渉計測技術を応用して、観察物体の位相分布や微細形状を計測する試みもなされている。例えば、特開平6−229724号公報には、半導体製造分野で用いられる位相シフトマスクの位相シフタの膜厚を高精度に測定する方法が提案されている。さらに、このような計測において、微分干渉顕微鏡における測定精度を向上させるものとして、例えば、「Applications of interferomertry and automated inspection in Japan,T.YATAGAI,SPIE.Vol.CR46,1992」や特開平5−232384号公報には、微分干渉顕微鏡に干渉計測における縞走査法を応用したものが開示されている。
【0004】
また、観察物体の2次元的な位相分布や微細形状を計測するものとして、観察物体を顕微鏡の光軸を中心に回転させたり、特開平5−303040号公報に開示されているように、観察物体を回転させる代わりに、複屈折性のプリズムと偏光子および検光子とを同期させて回転させるようにした微分干渉顕微鏡も提案されている。
【0005】
さらに、「差動微分干渉顕微鏡によるマスク欠陥検査」岩崎他、第56回応用物理学会学術講演会講演予稿集、28a−N−9、1995、には、微分干渉顕微鏡とレーザ走査型顕微鏡とを組み合わせ、検出部に光磁気ディスク装置で広く用いられている差動検出装置を用いて、1/2波長板を回転させることにより、マスク上のパターンとマスクに付着した汚れとの微分信号の強度を相対的に変化させるようにしたものが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、微分干渉顕微鏡を観察物体の計測に応用する場合、従来は、特開平6−229724号公報に開示されているように、微分干渉顕微鏡をマッハツェンダ型の2光束干渉計と考え、観察物体で回折される光の影響は無いものとして、常光と異常光との光路差を求めて、観察物体の位相情報等を得るようにしている。
【0007】
これに対し、通常の微分干渉顕微鏡においては、観察物体面上での常光と異常光との分離幅、すなわちシア量が解像力やコントラストを決める重要なパラメータとなり、このシア量を顕微鏡の分解能程度に設定することにより、常光と異常光とのそれぞれの回折光が相互に干渉して像が形成されるとされている。このため、上述したように微分干渉顕微鏡を用いて、観察物体の位相分布や微細形状を計測する場合には、微分干渉顕微鏡のシア量および観察物体での回折の影響を考慮する必要がある。
【0008】
しかしながら、上述した「Applications of interferomertry and automatedinspection in Japan,T.YATAGAI,SPIE.Vol.CR46,1992」や特開平5−232384号公報においては、観察物体で回折した光が全て像面に伝達されるものとしており、光学系の開口数等による回折光の欠落(応答性)については、何ら考慮されていない。このため、観察物体の位相分布を正確に求めることができないという問題がある。
【0009】
また、観察物体の2次元的な位相分布や微細形状を計測するために、観察物体を顕微鏡の光軸を中心に回転させたり、特開平5−303040号公報におけるように、複屈折性のプリズムと偏光子および検光子とを同期させて回転させる場合には、光軸と回転軸と正確に一致させないと、微分干渉像に位置ズレが生じて正確な2次元計測ができなくなる。しかし、光学系の光軸は、光学系を構成する個々の光学部品の偏芯により変化するため、観察物体を載せているステージ等の回転軸を光軸に正確に一致させるには、非常に手間がかかり、装置がコストアップするという問題がある。
【0010】
さらに、上述した「差動微分干渉顕微鏡によるマスク欠陥検査」岩崎他、第56回応用物理学会学術講演会講演予稿集、28a−N−9、1995、に開示されている微分干渉顕微鏡では、マスク上のパターンとマスクに付着した汚れとの微分信号の強度を相対的に変化させることが可能であるが、マスクの反射率が部分的に変化している場合等においては、反射率の変化とマスク面上の段差との情報の分離が困難となって、マスク面上の段差情報を正確に測定することができなくなるという問題がある。つまり、観察物体に振幅分布情報と位相分布情報とが混在している場合には、微分干渉顕微鏡による画像から、位相分布情報を正確に抽出することができなくなる。また、観察面上を走査する走査型顕微鏡であるため、観察面上の段差等の情報を得るのに時間がかかるという問題もある。
【0011】
この発明は、上述した従来の問題点に着目してなされたもので、その第1の目的は、観察物体の正確な位相分布を計測し得るよう適切に構成した微分干渉顕微鏡を提供しようとするものである。
【0012】
また、第2の目的は、簡単かつ安価な構成で、観察物体の2次元的位相分布情報が得られるようにした微分干渉顕微鏡を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、この発明では、光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
この画像処理手段において、前記電子撮像素子からの画像データを、前記常光および異常光の分離量、前記光路長差変化手段による光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理して、前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、この発明では、光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、それらの差画像を得、その差画像を、前記常光および異常光の分離量、前記光路長差変化手段による光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理して、前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とするものである。
【0015】
また第2の目的を達成するため、第2の発明では、光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し
前記分波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第1の支持部材と、この第1の支持部材上に設けた分波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記合波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第2の支持部材と、この第2の支持部材上に設けた合波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記第1の支持部材および第2の支持部材を、それぞれ光軸に対してほぼ垂直な面内で移動させることにより、分波方向および合波方向を切り換えるよう構成したことを特徴とするものである。
さらに、この発明では、光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し、
前記分波方向および合波方向が異なる少なくとも2方向における画像データを、前記電子撮像素子を介して前記画像処理手段に取り込んで、それらの画像データを合成し、
前記分波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第1の支持部材と、この第1の支持部材上に設けた分波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記合波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第2の支持部材と、この第2の支持部材上に設けた合波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記第1の支持部材および第2の支持部材を、それぞれ光軸に対してほぼ垂直な面内で移動させることにより、分波方向および合波方向を切り換えるよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
【作用】
図1は、この発明の原理を説明するための微分干渉顕微鏡の一例の構成を示すものである。この微分干渉顕微鏡は、標本(観察物体)1を照明する照明光学系2と、標本1の像を拡大して結像する結像光学系3と、この結像光学系3の結像面に配置した電子撮像素子4と、この電子撮像素子4からの画像信号を処理する画像処理装置5と、この画像処理装置5で処理された画像信号(処理画像)および微分干渉顕微鏡の直接観察像を表示する出力装置6とを有する。
【0017】
照明光学系2は、光源7、偏光子8、ノマルスキープリズム9およびコンデンサレンズ10を有し、光源7からの光を偏光子8で直線偏光にしてノマルスキープリズム9に入射させ、ここで常光と異常光とに分離してコンデンサレンズ10を経て標本1を照明するようにする。また、結像光学系3は、対物レンズ11、ノマルスキープリズム12および検光子13を有し、標本1を透過した常光および異常光を対物レンズ11を経てノマルスキープリズム12で合波し、その合波した常光および異常光を、検光子13を経て干渉させて結像面に微分干渉像を形成するようにする。
【0018】
以下、図1に示す微分干渉顕微鏡の結像について、コンデンサレンズ10の瞳位置にノマルスキープリズム9のローカライズ位置を一致させると共に、対物レンズ11の瞳位置にノマルスキープリズム12のローカライズ位置を一致させた1次元のモデルを用いて説明する。
いま、照明光学系2の瞳関数をQ(ξ) 、結像光学系3の瞳関数をP(ξ) 、標本1の位相分布をφ(x) として、ボルン近似、
【数1】
exp{i φ(x) }=1 + iφ(x)
を行うと、標本1の像強度分布I(x)は、部分的コヒーレント結像の式より、
【数2】
Figure 0003943620
で与えられる。ただし、Φ(f) はφ(x) のフーリエ変換を表し、fは空間周波数を示す。
【0019】
上記(1)式におけるR(f,f') は、部分的コヒーレント結像での伝達関数を表し、第2および3項は、fまたはf’のいずれかが0のときの計算であり、第4項は、f≠0で、かつf’≠0のときの計算を表している。
【0020】
ここで、微分干渉顕微鏡は、偏光干渉を利用しているので、ノマルスキープリズム12における常光と異常光との振動方向を、座標軸の方向とする偏光座標を考える。
【0021】
光源7から発せられた光は、偏光子8により直線偏光となってノマルスキープリズム9に入射し、ここで常光と異常光との互いに直交する偏光成分に分離される。したがって、結像光学系3の瞳関数P(ξ) はベクトルで表され、
【数3】
P(ξ) ={aPx(ξ),bPy(ξ))}
となる。なお、a,bは、偏光子8による直線偏光の偏光成分を表す。
【0022】
この分離された常光および異常光は、標本1のシア量Δだけ分離した2点を通過し、結像光学系3の対物レンズ11を経てノマルスキープリズム12により合波され、その後、検光子13を通過する際に干渉して、その干渉像が結像面に形成される。したがって、検光子13の偏光成分をα,βとすると、
【数4】
Figure 0003943620
で表される。
【0023】
また、上記の Px(ξ) および Py(ξ) は、常光と異常光との間の位相差(リターデーション)をθ、結像光学系3の明視野の瞳関数をp(ξ) とすると、
【数5】
Px(ξ) = exp{i(Δξ/2+θ) }p(ξ)
Py(ξ) = exp(-i Δξ/2) p(ξ) (3)
で表されるので、偏光子8および検光子13が互いに直交(クロスニコル)し、結像光学系3が理想光学系であるとすると、上記(1)式は、上記(2)および(3)式を用いて、
【数6】
Figure 0003943620
と書き表すことができる。
【0024】
ここで、リターデーションθを調整して、θ=±ωとすると、
【数7】
Figure 0003943620
となる。また、標本1が厚くなく、(5)式の第3項が小さいとすると、θ=±ωのときの微分干渉顕微鏡の像強度分布は、近似的に、
【数8】
Figure 0003943620
で与えられる。
【0025】
(6)式から、リターデーションθが、θ=±ωのときの2つの微分干渉像の差画像を作ると、
【数9】
I'(x) =8(aα)isinω∫sin (fΔ/2) M(f)Φ(f)exp(-ifx)df (7)
となり、標本1の位相勾配のみを抜き取ることが可能となる。
【0026】
ここで、(7)式の両辺のフーリエ逆変換をとり、両辺を、{ i8(aα) sinω・sin (fΔ/2) M(f)}で割り算すると、
【数10】
Figure 0003943620
となり、標本1の位相分布のフーリエ成分が得られ、この(8)式を再びフーリエ変換することにより、標本1の位相分布を求めることができる。
【0027】
以上のように、(7)式から標本1の位相分布を求める操作は、デコンボリューションと呼ばれるもので、リターデーション量がほぼ同じで符号が異なる微分干渉像の差画像を、リターデーション量、シア量および光学系の瞳関数を用いてデコンボリューションすることにより、標本1の位相分布を求めることができる。しかも、(7)式の差画像(位相勾配)は、リターデーション量がθ=±π/2のときに、コントラストが最高となるので、この条件で標本1の位相分布を求めれば、より精度の高い位相分布を求めることが可能となる。
【0028】
また、(7)式で示す差画像は、標本1の位相勾配のみを表しているので、この差画像を積分処理することによっても、標本1の位相分布を求めることができる。
【0029】
なお、リターデーションθを、θ=±ωと変化させて得た2つ画像の差画像をデコンボリューションすることにより、コントラストの良い位相分布像が得られるが、差をとることなく、1つの画像をデコンボリューションするだけでも、コントラストは上記の差画像をデコンボリューションする場合と比較して低下するが、位相分布像を得ることができる。ただし、この場合には、1つの画像が位相勾配像以外の項も含んでいるので、デコンボリューション処理を行うにあたっては、それらの余分な項の影響を排除するような計算法をとる必要がある。
【0030】
次に、標本1に位相分布だけでなく、振幅分布(吸収)も存在した場合について説明する。標本1の振幅分布をt(x) とするとき、複素振幅分布が、
【数11】
t(x) ・ exp{i φ(x) }=t(x) {1 + iφ(x) }
で表され、振幅分布は比較的緩やかに変化し、標本1の表面で回折される光のうち、位相分布と振幅分布との相互作用を受ける光は非常に小さいものとすると、θ=±ωのとき、上記(6)式は、近似的に、
【数12】
Figure 0003943620
で表される。
【0031】
ここで、(6)式と同様にして、リターデーションが、θ=±ωのときの2つの微分干渉像の和画像を作ると、
【数13】
Is(x) =t(x) 8(aα)(1- cosω)M(0) (10)
となり、標本1の吸収分布を求めることができる。
【0032】
このように、標本1に振幅分布と位相分布とが混在している場合には、リターデーションが、θ=±ωのときの微分干渉像を撮像して、それぞれの差画像と和画像とを形成すれば、位相分布成分と振幅分布成分とを分離して得ることができる。また、差画像を和画像で割り算してデコンボリューションすることにより、振幅分布の影響を受けることなく、標本1の位相分布を正確に求めることができる。
【0033】
ところで、2次元物体を観察する場合、観察物体のシア方向の位相分布は、上記(4)式で与えられる強度分布を表すが、シア方向と垂直な方向については、位相分布に比例した強度分布は求まらない。したがって、微分干渉顕微鏡により、観察物体の2次元的な位相分布情報を得るには、シア方向が互いに異なる少なくとも2方向の像情報を得る必要がある。
【0034】
そこで、この発明の一実施例では、複数の複屈折プリズムを、光学系の光軸に対してほぼ垂直な方向に移動可能な支持部材に固定して、複屈折プリズムの切り換えを行うようにする。なお、複数の複屈折プリズムは、支持部材の移動による切り換えによって、それぞれの微分干渉像に位置ずれが生じないように、すなわち各複屈折プリズムの光軸が、光学系の光軸と平行となるように調整して支持部材に固定する。
【0035】
このようにして、複数の複屈折プリズムを切り換えて、シア方向が異なる微分干渉像を電子撮像素子4でそれぞれ受像し、それらの画像データを画像処理装置5に取り込んで処理すれば、標本1の2次元的な位相分布情報を得ることが可能となる。この場合、複数の複屈折プリズムのうち、少なくとも2つの複屈折プリズムのシア方向を、電子撮像素子4のサンプリング方向と一致させれば、それらの複屈折プリズムの切り換えにより、電子撮像素子4のサンプリング方向毎に、標本1の位相勾配情報を得ることができるので、それらの画像データを処理することにより、標本1の2次元的な位相分布情報を再構築することが可能となる。
【0036】
ここで、サンプリング方向が直交している電子撮像素子4を用い、2つの複屈折プリズムのシア方向を電子撮像素子4におけるサンプリング方向と一致するように調整して、これら2つの複屈折プリズムを切り換えて2方向の微分干渉像を撮像し、これら2つの画像(各画像のリターデーション量はほぼ同じになるようにしておく)の和画像を求めると、上記(6)式から、
【数14】
Figure 0003943620
になる。したがって、和画像をデコンボリューションすることにより、標本1の2次元的な位相分布を求めることが可能となる。
【0037】
また、1つのシア方向でリターデーション量を調整して、リターデーション量がほぼ同じで、符号が異なる2つの画像を撮像し、それらの差画像と和画像とを形成して、これら差画像および和画像を用いてデコンボリューションして、1つのシア方向の位相分布を求める。この操作を、複屈折プリズムを切り換えて2つの直交するシア方向について行って、それぞれの方向の位相分布を求め、その直交する方向の位相分布をベクトル合成することにより、標本1の2次元的位相分布を、振幅分布の影響を受けずに正確に求めることもできる。
【0038】
【実施例】
以下、図面に基づき、この発明の実施例について説明する。
この発明の第1実施例では、図1に示した透過型の微分干渉顕微鏡において、ノマルスキープリズム9,12を、シア方向が図1の紙面内方向となるように配置し、偏光子8および検光子13を、偏光面がそれぞれ紙面に対し45°でクロスニコルとなるように配置する。また、電子撮像素子4は、例えばCCDカメラをもって構成し、その撮像領域の長辺または短辺が紙面に平行となるように、顕微鏡本体に固定する。
【0039】
なお、ノマルスキープリズム9は、コンデンサレンズ10の瞳位置に常光と異常光との分波点がローカライズするように配置して、標本1上で常光と異常光とをシア量Δだけ分離するようにし、ノマルスキープリズム12は、対物レンズ11の瞳位置に常光と異常光との合波点がローカライズするように配置する。
【0040】
この実施例では、光源7に単色フィルタを挿入して、照明光の波長を550nmとし、先ず、標本1の像を電子撮像素子4および画像処理装置5を経て出力装置6によりリアルタイムで観察しながら、ノマルスキープリズム9または12を紙面内で平行移動して、リターデーション量がπ/2(ほぼ137nm)となるように調整し、その状態での標本1の微分干渉像の画像データを画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。次に、同様に、標本1の像をリアルタイムで観察しながら、ノマルスキープリズム9または12を紙面内で平行移動して、リターデーション量が3π/2、すなわち−π/2(ほぼ412nm)となるように調整し、その状態での標本1の微分干渉像の画像データを、同様に画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。
【0041】
その後、画像処理装置5において、画像メモリに取り込んだ2つの微分干渉像の差画像を求めると共に、その差画像と応答関数とを用いてデコンボリューション処理を行って、標本1のシア方向の位相分布を求め、その位相分布像を出力装置6に表示する。
【0042】
なお、応答関数は、対物レンズ11の開口数、シア量等を予め画像処理装置5に入力することにより、画像処理装置5において演算して求める。ここで、対物レンズ11の開口数をNA、結像光学系3の瞳径を1に規格化した座標系を用いると、位相勾配の応答関数g(f) は、
【数15】
g(f) = sin(fΔ/2) M(F) (12)
で与えられる。
【0043】
図2は、リターデーションがπ/2、シア量が0.25λ/NAの場合の位相勾配の応答関数を、明視野観察における応答関数と比較して示すものである。なお、図2は、fが正の領域のみを示しているが、(11)式の応答関数は、奇関数であるので、fが負の領域では、原点を中心に回転対称になる。
【0044】
この実施例によれば、リターデーションが±π/2のときの微分干渉像の差画像を求めるようにしているので、コントラストの高い差画像を得ることができ、しかもその差画像をシア量および光学系の開口数等から求めた応答関数を用いてデコンボリューションして、標本1のシア方向の位相分布像を表示するようにしたので、標本1の位相分布や微細形状を正確に計測することができる。
【0045】
図3は、この発明の第2実施例を示すものである。この実施例では、図1に示す構成において、照明光学系2にシア方向が直交する2個のノマルスキープリズム9a,9bを選択的に位置させるようにすると共に、結像光学系3に、同様に、シア方向が直交する2個のノマルスキープリズム12a,12bを選択的に位置させるようにする。
【0046】
ノマルスキープリズム9a,9bは、図4に示すように、共通の平板状の支持部材14に、それぞれ2個の可動ネジ14aと、1個の固定ネジ14bとによって3点支持して、固定ネジ14bを支点にあおり調整可能に設ける。ノマルスキープリズム12a,12bについても、図4に示すように、共通の平板状の支持部材15に、同様に、あおり調整可能に3点支持して設ける。なお、支持部材14,15としては、使用する光に対して透明な透明板、あるいは不透明板でプリズムに対応する位置に光路を遮らないように穴を形成したものを用いる。
【0047】
これら、支持部材14,15は、図3において、紙面および光軸と直交する方向に移動可能に顕微鏡本体に取り付けて、シア方向がそれぞれ同一方向のノマルスキープリズム、例えば9aと12a、9bと12bを光学系に選択的に挿入して配置させるようにする。
【0048】
また、検光子13は、光軸を中心に回転可能に設けると共に、この検光子13とノマルスキープリズム12a,12bが選択的に配置される位置との間には、1/4波長板16を、その進相軸または遅相軸を偏光子8の偏光方向と一致させて配置する。その他の構成は第1実施例と同様である。
【0049】
この実施例では、先ず、同一シア方向、例えば紙面に平行な方向(第1のシア方向)のノマルスキープリズム9aと12aとを選択して、標本1の像を電子撮像素子4および画像処理装置5を経て出力装置6でリアルタイムで観察しながら、検光子13を回転させて、リターデーションがπ/2(1/4波長)となるように調整し、その状態での微分干渉像の画像データを第1画像として画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。その後、同様に、標本1の像をリアルタイムで観察しながら、検光子13を回転させて、リターデーションが−π/2(−1/4波長)となるように調整し、その状態での微分干渉像の画像データを第2画像として画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。
【0050】
画像処理装置5では、取り込んだ第1画像および第2画像からそれらの差画像を求め、その差画像を図2に示した応答関数を用いてデコンボリューション処理を行って、第1のシア方向の位相分布を求め、そのデータを画像メモリに格納する。
【0051】
次に、支持部材14,15を移動して、第1のシア方向と直交する第2のシア方向(紙面垂直方向)のノマルスキープリズム9bおよび12bを選択し、その状態で、第1のシア方向の場合と同様にして、画像処理装置5において、リターデーションが±π/2の微分干渉像の差画像を求め、その差画像を図2に示した応答関数を用いてデコンボリューション処理して第2のシア方向の位相分布を求め、そのデータを画像メモリに格納する。
【0052】
その後、画像処理装置5において、第1のシア方向の位相分布データと、第2のシア方向の位相分布データとをベクトル合成して、標本1の2次元的位相分布を求め、その像を出力装置6に表示する。
【0053】
このように、この実施例によれば、照明光学系2および結像光学系3に、第1のシア方向のノマルスキープリズム9aおよび12aと、第1のシア方向と直交する第2のシア方向のノマルスキープリズム9bおよび12bとを順次選択して位置させると共に、結像光学系3に1/4波長板16を配置して、各シア方向でのリターデーション量を、検光子13の回転によりπ/2および−π/2に調整してそれらの微分干渉像の差画像を得、その各差画像をシア量および光学系の開口数等から求めた応答関数を用いてデコンボリューション処理して位相分布を求め、これら第1,第2のシア方向の位相分布をベクトル合成して、標本1の2次元的位相分布を求めるようにしたので、簡単かつ安価な構成で、標本1の2次元的位相分布を正確に求めることができる。
【0054】
図5は、この発明の第3実施例を示すものである。この実施例は、反射型の微分干渉顕微鏡を示すもので、光源7からの光を偏光子8および1/4波長板16を経てハーフミラー17で反射させた後、ノマルスキープリズム12aまたは12bにより常光と異常光とに分波し、これら常光および異常光を対物レンズ11を経て、標本1上にシア量Δで照射する。また、標本1で反射された常光および異常光は、対物レンズ11を経てノマルスキープリズム12aまたは12bで合波し、その合波した標本1からの戻り光を、ハーフミラー17および検光子13を経て干渉させて電子撮像素子4で受光する。
【0055】
ここで、偏光子8は光軸を中心に回転可能に構成し、1/4波長板16は、その進相軸または遅相軸を検光子13の偏光方向と一致させて配置する。また、ノマルスキープリズム12a,12bは、図4に示したと同様に、それらのシア方向を直交させて共通の支持部材15に取り付け、この支持部材15を紙面および光軸と直交する方向に移動させて、いずれか一方を光学系に選択的に位置させるようにする。なお、ノマルスキープリズム12a,12bは、常光と異常光との分波点および合波点が、対物レンズ11の瞳位置にローカライズするように選択的に位置させる。その他の構成は、第1,2実施例と同様である。
【0056】
この実施例では、先ず、支持部材15の移動により、シア方向が紙面と平行な例えばノマルスキープリズム12aを選択して、標本1の像を電子撮像素子4および画像処理装置5を経て出力装置6でリアルタイムで観察しながら、偏光子8を回転させて、リターデーションがπ/2(1/4波長)となるように調整し、その状態での微分干渉像の画像データを第1画像として画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。
【0057】
次に、支持部材15を移動して、シア方向が紙面と直交するノマルスキープリズム12bを選択して、同様に、偏光子8を回転させて、リターデーションがπ/2(1/4波長)となるように調整し、その状態での微分干渉像の画像データを第2画像として画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。
【0058】
その後、画像処理装置5において、取り込んだ第1画像および第2画像の和画像を求め、その和画像を応答関数を用いてデコンボリューション処理して、標本1の2次元的位相分布データを得、そのデータを出力装置6に表示する。
【0059】
このように、この実施例によれば、シア方向が直交する2つのノマルスキープリズム12aおよび12bを順次選択し、各シア方向において偏光子8の回転によりリターデーション量をπ/2に調整してそれぞれ微分干渉像を得、これら微分干渉像の和画像をシア量および光学系の開口数等から求めた応答関数を用いてデコンボリューション処理して2次元的位相分布を求めるようにしたので、簡単かつ安価な構成で、標本1の2次元的位相分布を正確に求めることができる。
【0060】
図6は、この発明の第4実施例を示すものである。この実施例は、図5に示す第3実施例において、ハーフミラー17を透過する標本1からの反射光をビームスプリッタ18に入射させて分離し、該ビームスプリッタ18を透過する光を、検光子13aを経て電子撮像素子4aで受光して、その画像情報を画像処理装置5に供給し、ビームスプリッタ18で反射される光を、検光子13bを経て電子撮像素子4bで受光して、その画像情報を画像処理装置5に供給する。なお、検光子13a,13bは、偏光方向が互いに直交するように配置し、1/4波長板16は、その進相軸および遅相軸を、検光子13a,13bの偏光方向と一致させて配置する。その他の構成は、第3実施例と同様である。
【0061】
この実施例では、先ず、支持部材15の移動により、シア方向が紙面と平行な、例えばノマルスキープリズム12aを選択して、標本1の像を電子撮像素子4a,4bおよび画像処理装置5を経て出力装置6でリアルタイムで観察しながら、偏光子8を回転させて、リターデーションがπ/2(1/4波長)となるように調整し、その状態で電子撮像素子4a,4bにそれぞれ結像される微分干渉像の画像データを画像処理装置5内の画像メモリに取り込む。画像処理装置5では、画像メモリに取り込んだ電子撮像素子4a,4bからのそれぞれの微分干渉像の画像データに基づいて、それらの差画像および和画像を求めて、画像処理装置5内の画像メモリに格納する。
【0062】
次に、支持部材15を移動して、シア方向が紙面と直交するノマルスキープリズム12bを選択し、同様に、偏光子8を回転させて、リターデーションがπ/2(1/4波長)となるように調整し、その状態で電子撮像素子4a,4bにそれぞれ結像される微分干渉像の画像データを画像処理装置5に取り込んで、それらの差画像および和画像を求めて画像メモリに格納する。
【0063】
このように、各シア方向において、電子撮像素子4a,4bで撮像した微分干渉像の差画像および和画像を求めれば、各シア方向における差画像を和画像で割り算することにより、当該シア方向の標本1の位相勾配を振幅分布情報の影響を受けずに求めることができる。また、各シア方向において求めた位相勾配をデコンボリューション処理して合成すれば、3次元計測を正確に行うことができる。なお、図6では、検光子13a,13bを用いるようにしたが、ビームスプリッタ18を偏光ビームスプリッタとして、検光子13a,13bを省くこともできる。
【0064】
付記
1.光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、該画像処理手段において、それらの差画像を得、その差画像に基づいて前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
2.光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、該画像処理手段において、それらの差画像を得、その差画像を、前記常光および異常光の分離量、前記光路長差変化手段による光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理して、前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
3.付記項2記載の微分干渉顕微鏡において、
前記光路長差変化手段による前記常光および異常光の光路長差を、使用光源の波長のほぼ1/4としたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
4.光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し、
前記分波方向および合波方向が異なる少なくとも2方向における画像データを前記電子撮像素子を介して前記画像処理手段に取り込んで、それらの画像データを合成するようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
5.請求項3または付記項4記載の微分干渉顕微鏡において、
前記分波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第1の支持部材と、この第1の支持部材上に設けた分波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記合波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第2の支持部材と、この第2の支持部材上に設けた合波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
前記第1の支持部材および第2の支持部材を、それぞれ光軸に対してほぼ垂直な面内で移動させることにより、分波方向および合波方向を切り換えるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
6.光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し、
前記分波方向および合波方向が異なる少なくとも2方向における画像データを前記電子撮像素子を介して前記画像処理手段に取り込み、該画像処理手段において、それらの画像を対応する常光および異常光の分波幅を用いて処理して各分波方向における位相分布情報を求め、それらの位相分布情報を合成して前記観察物体の2次元的位相分布を求めるようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
7.付記項4,5または6記載の微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の分波方向と、前記電子撮像素子のサンプリング方向とをほぼ一致させたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
8.付記項4,5,6または7記載の微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段を有し、
前記常光および異常光の分波方向および合波方向を、互いに一致するほぼ直交する2方向として、
各方向において、前記光路長差変化手段により、前記常光および異常光の光路長差を、使用光源の波長のほぼ1/4で、符号が異なる2つの状態に変化させ、これにより得られる合計4つの画像データを用いるようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
9.光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記結像面に配置した電子撮像素子と、
この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、両画像データの差画像データおよび和画像データを求め、これら差画像データおよび和画像データを用いて、前記観察物体の位相情報と振幅情報とを分離するようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
10.光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
前記観察物体を経た前記常光および異常光を複数の結像面に重ね合わせて結像させる合波手段と、
前記複数の結像面の各々に配置した電子撮像素子と、
これら電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
この画像処理手段により、前記複数の電子撮像素子から得られる複数の画像情報に基づいて、差画像および和画像を得るようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
11.付記項10記載の微分干渉顕微鏡において、
前記合波手段は、各結像面の前方に配置した検光子を有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させて、その各状態での前記複数の電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、前記差画像および和画像を得るようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
12.付記項10記載の微分干渉顕微鏡において、
前記合波手段は、前記観察物体を経た前記常光および異常光を前記複数の結像面に導くための偏光ビームスプリッタを有し、
前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させて、その各状態での前記複数の電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、前記差画像および和画像を得るようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
13.付記項10,11または12記載の微分干渉顕微鏡において、
前記画像処理手段は、前記差画像および和画像を用いて、前記観察物体の位相分布情報と振幅分布情報とを分離することを特徴とする微分干渉顕微鏡。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、電子撮像素子からの画像データを、常光および異常光の分離量、光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理するようにしたので、観察物体のシア方向の位相分布を正確に求めることができる。
【0066】
また、請求項2記載の発明によれば、常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での画像データを取り込んで、それらの差画像を得、その差画像を、常光および異常光の分離量、光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理するようにしたので、観察物体のシア方向の位相分布や微細形状を正確に求めることができる。
【0067】
さらに、請求項3および4記載の発明によれば、分波手段を常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能にすると共に、合波手段を常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能にしたので、分波手段および合波手段を、分波方向および合波方向が一致するように切り換えることにより、簡単かつ安価な構成で、観察物体の2次元的位相分布情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の原理および第1実施例を示す図である。
【図2】 第1実施例において、位相分布を求める際に用いる位相勾配の応答関数を、明視野観察における応答関数と比較して示す図である。
【図3】 この発明の第2実施例を示す図である。
【図4】 図3の部分詳細図である。
【図5】 この発明の第3実施例を示す図である。
【図6】 この発明の第4実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 標本(観察物体)
2 照明光学系
3 結像光学系
4,4a,4b 電子撮像素子
5 画像処理装置
6 出力装置
7 光源
8 偏光子
9a,9b,12a,12b ノマルスキープリズム
10 コンデンサレンズ
11 対物レンズ
13,13a,13b 検光子
14,15 支持部材
16 1/4波長板
17 ハーフミラー
18 ビームスプリッタ

Claims (7)

  1. 光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
    前記結像面に配置した電子撮像素子と、
    この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    この画像処理手段において、前記電子撮像素子からの画像データを、前記常光および異常光の分離量、前記光路長差変化手段による光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理して、前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  2. 光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
    前記結像面に配置した電子撮像素子と、
    この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、それらの差画像を得、その差画像を、前記常光および異常光の分離量、前記光路長差変化手段による光路長差量および光学系の瞳関数から求まる応答関数を用いてデコンボリューション処理して、前記観察物体の位相分布を求めるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  3. 光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し
    前記分波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第1の支持部材と、この第1の支持部材上に設けた分波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
    前記合波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第2の支持部材と、この第2の支持部材上に設けた合波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
    前記第1の支持部材および第2の支持部材を、それぞれ光軸に対してほぼ垂直な面内で移動させることにより、分波方向および合波方向を切り換えるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  4. 光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記結像面に配置した電子撮像素子と、
    この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し、
    前記分波方向および合波方向が異なる少なくとも2方向における画像データを、前記電子撮像素子を介して前記画像処理手段に取り込んで、それらの画像データを合成し、
    前記分波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第1の支持部材と、この第1の支持部材上に設けた分波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
    前記合波手段は、光軸に対してほぼ垂直な面内で移動可能な第2の支持部材と、この第2の支持部材上に設けた合波方向が異なる少なくとも2個の分波部材とを有し、
    前記第1の支持部材および第2の支持部材を、それぞれ光軸に対してほぼ垂直な面内で移動させることにより、分波方向および合波方向を切り換えるよう構成したことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  5. 光源からの光を分波手段により常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を合波手段により重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記結像面に配置した電子撮像素子と、
    この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    前記分波手段を、前記常光および異常光の分波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成すると共に、前記合波手段を、前記常光および異常光の合波方向が異なる少なくとも2方向に切り換え可能に構成し、
    前記分波方向および合波方向が異なる少なくとも2方向における画像データを前記電子撮像素子を介して前記画像処理手段に取り込んで、それらの画像を対応する常光および異常光の分波幅を用いて処理して各分波方向における位相分布情報を求め、それらの位相分布情報を合成して前記観察物体の2次元的位相分布を求めるようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  6. 光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
    前記結像面に配置した電子撮像素子と、
    この電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    前記光路長差変化手段により前記常光および異常光の光路長差を、互いにほぼ等しく符号が異なる2つの状態に変化させ、その各状態での前記電子撮像素子からの画像データを前記画像処理手段に取り込んで、両画像データの差画像データおよび和画像データを求め、これら差画像データおよび和画像データを用いて、前記観察物体の位相情報と振幅情報とを分離するようにしたことを特徴とする微分干渉顕微鏡。
  7. 光源からの光を常光および異常光に分離して観察物体に照射し、該観察物体を経た前記常光および異常光を重ね合わせて結像面に結像させるようにした微分干渉顕微鏡において、
    前記常光および異常光の光路長差を変化させる光路長差変化手段と、
    前記観察物体を経た前記常光および異常光を複数の結像面に重ね合わせて結像させる合波手段と、
    前記複数の結像面の各々に配置した電子撮像素子と、
    これら電子撮像素子からの画像データを処理する画像処理手段とを有し、
    この画像処理手段により、前記複数の電子撮像素子から得られる複数の画像情報に基づいて差画像および和画像を得、これら差画像および和画像を用いて、前記観察物体の位相分布情報と振幅分布情報とを分離することを特徴とする微分干渉顕微鏡。
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