JP3942635B2 - 焼きなまし炭素すす電界放射体およびそれを用いて製造した電界放射体陰極 - Google Patents

焼きなまし炭素すす電界放射体およびそれを用いて製造した電界放射体陰極 Download PDF

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    • H01J2201/30446Field emission cathodes characterised by the emitter material

Description

発明の分野
本発明は一般に焼きなまし炭素すす(annealed carbon soot)を電子電界放射体(electron field emitter)として用いること、特にそれを電界放射体陰極(field emitter cathode)の製造で用いることに関する。
発明の背景
しばしば電界放射材料(field emission material)または電界放射体(field emitters)と呼ばれる電界放射電子源(field emission electron sources)は、いろいろな電子用途、例えば真空電子装置、フラットパネル(flat panel)のコンピューターおよびテレビディスプレイ(display)、放射ゲート増幅器(emission gate amplifiers)、クライストロン真空管および照明具などで使用可能である。
ディスプレイスクリーンは幅広く多様な用途、例えば家庭用および商業用テレビ、ラップトップ(laptop)およびデスクトップコンピューター、屋内および屋外広告および情報表示などで用いられている。大部分のテレビおよびデスクトップコンピューターで見られる深いブラウン管モニターとは対照的に、フラットパネルディスプレイの厚みはほんの数インチである。ラップトップコンピューターではフラットパネルディスプレイが必須であるばかりでなくまた他の多くの用途でも重量およびサイズの点で有利である。ラップトップコンピューターのフラットパネルディスプレイでは現在のところ液晶が用いられており、これの切り換えは、小さい電気シグナルをかけて透明な状態を不透明な状態に変えることで実施可能である。このようなディスプレイをラップトップコンピューターで用いるに適切なサイズより大きいサイズに信頼できる様式で製造するのは困難である。
液晶ディスプレイの代替としてプラズマディスプレイが提案された。プラズマディスプレイでは帯電ガスの小さなピクセルセル(pixel cell)が画像形成で用いられており、それを作動させるには比較的大きな電力が必要である。
電界放射電子源(即ち電界放射材料または電界放射体)を利用した陰極と蛍光体(これは、上記電界放射体が放射する電子が衝突した時に光を発し得る)が備わっているフラットパネルディスプレイが提案された。そのようなディスプレイは、通常のブラウン管が有するビジュアルディスプレイの利点と他のフラットパネルディスプレイが有する深さ、重量および電力消費の利点を与える可能性を有する。米国特許第4,857,799号および5,015,912号には、タングステン、モリブデンまたはケイ素で作られたマイクロチップ陰極を利用したマトリックスアドレスド(matrix−addressed)フラットパネルディスプレイが開示されている。WO94−15352、WO94−15350およびWO94−28571には、陰極に比較的平らな放射表面を持たせたフラットパネルディスプレイが開示されている。
電界放射が2種類のナノチューブ(nanotube)炭素構造物に観察された。
L.A.Chemozatonskii他Chem.Phys.Letters233,63(1995)およびMat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol359,99(1995)では、グラファイトの電子蒸発(electron evaporation)を10-5−10-6トールで行っていろいろな基質上にナノチューブ炭素構造物のフィルムを生じさせている。このようなフィルムは互いに林立して配列している管様炭素分子から成る。2種類の管様分子が生じる、即ち直径が10−30nmのフィラメント束を形成する単層のグラファイト様細管(tubules)を含む構造を有するAチューブライト(A−tubelites)と、直径が10−30nmの大部分が多層のグラファイト様管を含んでいて円錐形またはドーム様キャップが付いているBチューブライトが生じる。彼らは、そのような構造物の表面からかなりの電界電子放射が起こるがそれはナノ寸法の先端の所に電界が高度に集中することによるものであると報告している。
B.H.Fishbine他Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol359,93(1995)には、バッキーチューブ(buckytube)(即ち炭素ナノチューブ)冷電界放射体が配列している陰極を開発することに向けた実験および理論が考察されている。
W.A.de Heer & D.Ugarte,Chem.Phys.Letters207,480(1993)およびD.Ugarte.Carbon32,1245(1994)に、炭素すすの製造および熱処理が考察されている。電気アークで生じさせた炭素蒸気を低圧雰囲気中で凝縮させるとフレレンス(fullerenes)が生じる。この生じたフレレンスは可溶で上記すすから容易に除去される。次に、このすすに熱処理を受けさせて2000℃以上の温度にすると小さい閉殻粒子が生じる。このような玉ねぎ様粒子は中空の多面体粒子であり、その壁は2から約8層の炭素基底平面層(carbon basal plane layers)から成る。
必要とされている材料は、電界放射体陰極(これは次にディスプレイパネルおよび他の電子装置で用いるに有用である)で用いるに適切な追加的および/または改良電界放射性(field emitting)材料である。本明細書の以下に示す図および本発明の詳細な説明を参照することで本発明の他の目的および利点が本分野の技術者に明らかになるであろう。
発明の要約
本発明は、焼きなまし炭素すす、即ち不活性雰囲気中で少なくとも約2000℃、好適には少なくとも約2500℃、最も好適には少なくとも約2850℃の温度に加熱した炭素すすで構成させた電子電界放射体を提供するものである。加熱中、上記温度を好適には少なくとも約5分間維持する。
本発明はまた基質の表面に付着させた焼きなまし炭素すすで構成させた電界放射体陰極も提供する。
焼きなまし炭素すす電界放射体およびそれを用いて製造した電界放射体陰極は、真空電子装置、フラットパネルコンピューターおよびテレビディスプレイ、放射ゲート増幅器、クライストロン真空管および照明具などで用いるに有用である。ディスプレイパネルは平らであるか或は湾曲していてもよい。
【図の簡単な説明】
図1は、焼きなましを受けさせていない炭素すすの透過電子顕微鏡(TEM)画像である。
図2は、焼きなましを受けさせていない炭素すすの高解像電子顕微鏡画像であり、これは「綿玉」外観を示している。
図3は、焼きなましを受けさせた炭素すすの低倍率明視野透過電子顕微鏡(TEM)画像であり、これは多面体粒子の均一な外観を示している。
図4は、焼きなましを受けさせた炭素すすの高解像電子顕微鏡画像であり、これは各多面体粒子が空の中心空洞部を取り巻く2−5層の基底平面炭素から成る壁を含むことを示している。
図5に、焼きなましを2500℃でいろいろな時間受けさせた4種類の焼きなまし炭素すすサンプル(実施例2−5)の電子放射結果のプロットを示す。
図6に、焼きなましを2850℃でいろいろな時間受けさせた4種類の焼きなまし炭素すすサンプル(実施例6−9)の電子放射結果のプロットを示す。
図7に、異なる2種類の焼きなまし炭素すすサンプル(実施例10および10A)の電子放射結果のプロットを示す。
図8に、ファウラ−ノルドハイム(Fowler−Nordheim)プロットである以外は図7と同じデータを示す。
図9に、銀を付着用材料として用いた場合の3種類の焼きなまし炭素すすサンプル(実施例11−13)の電子放射結果のファウラ−ノルドハイムプロットを示す。
図10に、金を付着用材料として用いた場合の3種類の焼きなまし炭素すすサンプル(実施例14−16)の電子放射結果のファウラ−ノルドハイムプロットを示す。
好適な態様の詳細な説明
本発明は、新規な電子電界放射体である焼きなまし炭素すすそして基質に付着させた焼きなまし炭素すすで構成させた電子電界放射体陰極を提供するものである。
本明細書で用いる如き「ダイヤモンド様炭素」は、炭素が適度にショートレンジのオーダー(short range order)を有することを意味する、即ちsp2結合とsp3結合を適切に組み合わせることでも高い電流密度を伴う電界放射材料を得ることができることを意味する。「ショートレンジのオーダー」は、一般に、原子が如何なる次元にも約10ナノメートル(nm)以内に秩序正しく配列していることを意味する。
炭素すすは、Kratschmer他Nature(London)347,354(1990),W.A.de Heer & D.Ugarte.Chem.Phys.Letters207,480(1993)およびD.Ugarte,Carbon32,1245(1994)に記述されているように、電気アークで生じさせた炭素蒸気を低圧の不活性雰囲気中で濃縮させると得られる。
本発明の実施例で用いる炭素すすは、典型的に、炭素電極を2つ含む圧力管理反応チャンバ内で生じさせたものである。その陰極の直径を約9mmから約13mmにしそして陽極の直径を約6mmから約8mmにした(常に陰極の直径の方を陽極の直径よりも大きくすべきである)。上記チャンバに不活性ガス、例えばヘリウムまたはアルゴンなどを通し、そして圧力を約100トールから約1000トールのレベルで一定に保持した。電極間の電流は上記電極の直径、電極間の溝の距離、および不活性ガスの圧力に依存した。電流を典型的に50Aから125Aの範囲にした。コンピューター制御モーターを用いて溝の距離が1mmになるように陰極に対して陽極の位置を調整した。このアーク放電過程中に陽極が連続的に消費された。炭素が陰極に付着しかつ反応容器の壁およびフィルター(すすを捕捉して集めるように配置した)にすすが多量に付着し、その後に上記すすを不活性ガスでポンプに輸送した。このフィルターおよび壁からすすを集めた後、溶媒、例えばトルエンまたはベンゼンなどを用いて、その集めたすすからフレレンス、例えばC60およびC70などを抽出した。
図1に示すように、透過電子顕微鏡(TEM)測定を行った結果、このようにして得た炭素すすは非晶質構造を有していて粒子サイズは典型的に約50−100nmの範囲であることが示された。図2に示すように、高解像電子顕微鏡測定を行った結果、上記炭素すすの外観は「綿玉」であることが示された。この材料は高度に無秩序であり、炭素基底平面のオーダーはショートレンジオーダーのみであった。
その後、上記炭素すすに焼きなましを受けさせることで本発明の焼きなまし炭素すすを製造し、これは電子電界放射体として用いるに有用である。この炭素すすを高温の不活性雰囲気中で加熱することで構造および特性を所望通りに変化させた。
W.A.de Heer & D.Ugarte.Chem.Phys.Letters207,480(1993)およびD.Ugarte.Carbon32,1245(1994)に焼きなましを2000℃から2400℃の温度で行うことが記述されている。この炭素すすを不活性雰囲気、例えばアルゴンまたはヘリウム中で少なくとも約2000℃、好適には少なくとも約2500℃、最も好適には少なくとも約2850℃の温度に加熱した。この温度を少なくとも約5分間維持した。約3000℃に及ぶ温度も使用可能であるが、より高い温度は実用的でない可能性があり、従ってあまり好適でない(例えば蒸発で材料が失われる)。また、この炭素すすをガラス状材料が生じる中間的な温度に加熱してその温度に保持した後、温度を最高温度にまで上昇させることも可能である。
この焼きなまし炭素すすが示す放射特性は、主に、焼きなまし処理の最大温度およびその温度における時間で決定された。焼きなましを行うと炭素すすの微細構造が実質的に変化する。それによって大きさが約5nmから約15nmの非常に秩序正しく配列した多面体ナノ粒子が生じ、これを大きさが1−5ミクロンの大型粒子と混合することも可能である。このような多面体ナノ粒子の外観は図3の低倍率明視野TEM画像で示されるように均一である。図4の高解像電子顕微鏡画像は、各多面体粒子が空の中心空洞部を取り巻く2−5層の基底平面炭素から成る壁を含むことを示している。
上記焼きなまし炭素すすに関する電界放射試験をフラットプレートの放射測定装置(これには電極が2つ入っていて、その1つは陽極または集電器として働きそしてもう1つは陰極として働く)を用いて実施した。これを本実施例では測定装置Iと呼ぶものとする。この装置には1.5インチx1.5インチ(3.8cmx3.8cm)の正方形の銅板が2枚含まれており、電気アークを最小限にする目的でその隅および縁は全部丸くなっている。各銅板は個々別々の2.5インチx2.5インチ(4.3cmx4.3cm)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ブロックに埋め込まれていて、上記PTFEブロックの前面側で1つの銅板表面[1.5インチx1.5インチ(3.8cmx3.8cm)]が露出している。金属ねじが上記PTFEブロックの背面を貫いて銅板の中に伸びていることで、上記銅板に電気接触していて上記板に電圧を供給する手段を与えておりかつ上記銅板を適切な位置にしっかりと保持する手段を与えている。上記2つのPTFEブロックを2つの露出している銅板表面が互いに面するように整合させて位置させて、この板と板の間の距離を上記PTFEブロックとブロックの間に位置させたガラス製スペーサーで固定するが、表面から電流が漏れることもアークが生じることもないように上記銅板から距離を置いて位置させる。電極と電極の間の分離距離は調整可能であるが、サンプルの測定で設定を決めて一度選択したならばそれを固定する。典型的には、0.04cmから約0.2cmの分離距離を用いた。
上記焼きなまし炭素すすサンプルの放射特性の測定では、この焼きなまし炭素すすを導電性基質に付着させて、その基質を、陰極として作用する銅板上に位置させた。この陰極に負の電圧をかけて、そのかけた電圧の関数として放射電流を測定した。上記板と板の間の分離距離dと電圧Vは測定値であることから、電界Eを計算することができ(E=V/d)、そしてこの電界の関数として電流をプロットすることができた。焼きなまし炭素すすの放射特性を便利かつ迅速に測定しようとする場合には、この焼きなまし炭素すすを上記銅テープの接着側に位置させ、そして導電性銅テープを更に2片用いて、その焼きなまし炭素すすが付着している銅テープ接着側が陽極に面するようにして上記銅テープを陰極板に保持した。
焼きなまし炭素すすサンプルに関する電界放射試験をフラットプレートの放射測定装置(これには電極が2つ入っていて、その1つは陽極または集電器として働きそしてもう1つは陰極として働く)を用いて実施した(上記装置を本実施例では測定装置IIと呼ぶものとする)。この2つの電極、即ち1.5インチx1インチx1/8インチ(3.8cmx2.5cmx0.32cm)の銅板をセラミック絶縁体スペーサーで分離した。この絶縁体の厚みによって、電極間の距離、即ち溝が決定され、厚みが約0.055cmから約1.0cmのスペーサーを利用することができた。上記電極の背面に位置させたねじを用いて上記電極を電気接触させた。上記焼きなまし炭素すすサンプルの放射特性の測定では、この焼きなまし炭素すすを導電性基質に付着させて、その基質を、陰極として作用する銅板上に位置させた。この陰極に負の電圧をかけ、陽極につなげた電流計を用いて、そのかけた電圧の関数として放射電流を測定した。上記板と板の間の分離距離dと電圧Vは測定値であることから、電界Eを計算することができ(E=V/d)、そしてこの電界の関数として電流をプロットすることができた。
ワイヤーまたは繊維を基質として用いた時には別の放射測定装置(本実施例では測定装置IIIと呼ぶ)を用いた。ダイヤモンド粉末粒子を付着させたワイヤーから放射される電子を筒状の試験固定具で測定した。この固定具では、シリンダー(陽極)の中心に、試験すべき導電性ワイヤー(陰極)を位置させた。陽極である上記シリンダーは、典型的に、蛍光体が被覆されている微細メッシュの筒状金属スクリーンから成っていた。この陰極と陽極の両方をアルミニウム製ブロック(この中には半円柱形の穴が開いている)で適切な場所に保持した。
直径が1/16インチのステンレス鋼製管を2本用いて上記導電性ワイヤーを適切な場所に保持した(1つを各末端に)。上記管の各末端部を切断して開放状態にすることで、長さが1/2インチで直径が1/16インチの円柱形の半分の形状をした開放といの形状にし、その結果として生じた開放といの中に上記ワイヤーを入れて銀ペーストで適切な場所に保持した。この連結用管を締まりばめポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製スペーサー(これは陽極と陰極を電気的に分離する働きをする)でアルミニウム製ブロック内に適切に保持した。露出しているワイヤーの長さ全体を一般に1.0cmに設定したが、保持具である管の位置を調節することで、より短いか或はより長いものも試験することができた。上記半円柱形といの中に上記筒状スクリーンメッシュ陰極を入れて上記アルミニウム製ブロック内に位置させ、それを銅テープで適切な場所に保持した。この陰極を上記アルミニウム製ブロックに電気接触させた。
電気リード線を陽極と陰極の両方につなげた。陽極を地電位(0V)に維持しそして0−10kVの電力供給を用いて陰極の電圧を調節した。陰極が発する電流を陽極で集めて電位計で測定した。上記電位計が電流スパイク(current spikes)の損傷を受けないように、直列につないだ1 MΩの抵抗器と並列につないだダイオード(これによって高い電流スパイクは上記電位計を迂回してアースに流れる)でそれを保護した。
長さが約2cmの測定用サンプルをより長い加工ワイヤーから切り取った。それを、上記蛍光体付き軟質ステンレス鋼製スクリーンを取り除いた状態で、2つのホルダーアーム(holder arms)の円柱形といの中に挿入した。それに銀ペーストを塗布してそれをペースト内に保持した。この銀ペーストを乾燥させ、上記発光体スクリーンを再び取り付けて、2つの末端の所に銅テープを付着させることでそれを適切な場所に保持した。この試験装置を真空系に挿入して、この系の真空排気を行うことで3x10-6トール以下の基礎圧力にした。
かけた電圧の関数として放射電流を測定した。陰極から放射される電子が陽極上の蛍光体に当たると発光が起こる。この蛍光体/ワイヤーメッシュスクリーン上に作り出された光の模様を用いて、被覆ワイヤー上の電子放射部位の分布および強度を観察した。ワイヤー表面における平均電界Eを関係E=V/[a ln(b/a)][ここで、Vは陽極と陰極の間の電圧差であり、aはワイヤーの半径であり、そしてbは筒状ワイヤーメッシュスクリーンの半径である]で計算した。
典型的には、上記焼きなまし炭素すすを導電性基質の表面に付着させることで電界放射体陰極を生じさせる。この基質は如何なる形状のものであってもよく、例えば平面体、繊維、金属ワイヤーなどであってもよい。適切な金属ワイヤーにはニッケル、銅およびタングステンが含まれる。この付着手段は、電界放射体陰極を組み入れる装置を製造する条件およびそれの使用を取り巻く条件、例えば典型的には真空条件そして約450℃に及ぶ温度条件に耐えてそれの一体性を保持する必要がある。その結果として、有機材料は上記粒子を基質に付着させようとする場合には一般に適用不能でありそして更に数多くの無機材料は炭素に対して劣った接着性を示すことから使用可能な材料の選択は制限される。
導電性金属、例えば金または銀などの薄金属層を基質上に作り出して上記焼きなまし炭素すす粒子をその薄金属層の中に埋め込むことで、この焼きなまし炭素すすを基質に付着させることができる。この薄金属層で上記焼きなまし炭素すす粒子を上記基質につなぎ止める。焼きなまし炭素すす粒子が電子放射体として効果を示すには、その粒子が有する少なくとも1つの表面を露出させる必要がある、即ち上記薄金属層から金属を取り除いてそれを突き出させる必要がある。上記表面を一連の焼きなまし炭素すす粒子の表面で構成させてその粒子と粒子の間の隙間が金属で満たされるようにすべきである。そのような表面の形成が助長されるように焼きなまし炭素すす粒子の量および金属層の厚みを選択すべきである。この導電性金属層は、上記焼きなまし炭素すす粒子を上記基質に付着させる手段を与えることに加えて、また、上記焼きなまし炭素すす粒子に電圧を供給する手段も与える。
このような結果を達成する方法は、溶媒中の金属化合物溶液と焼きなまし炭素すす粒子を基質の表面に付着させることを含む。上記溶液を最初に上記表面に塗布した後に上記焼きなまし炭素すす粒子を付着させてもよいか、或はこの焼きなまし炭素すす粒子を上記溶液に分散させた後にそれを上記基質表面に塗布することも可能である。このような金属化合物は、容易に金属に還元される化合物、例えば硝酸銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀および塩化金などである。この方法の追加的説明を本出願と同時に提出した表題が“Process For Making A Field Emitter Cathode Using A Particulate Field Emitter Material”である暫定的出願番号60/006,747(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に与える。
多くの場合、上記溶液が容易に上記基質上に存在したままになるように、上記溶液に有機結合剤材料を添加してその粘度を高くするのが望ましいであろう。このような粘度改良剤の例にはポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコールおよびニトロセルロースが含まれる。
この溶液と上記焼きなまし炭素すす粒子を上記基質に付着させた後、これを加熱して上記金属化合物を金属に還元させる。有機結合剤材料を用いる場合、これはそのような加熱を行っている間に沸騰して出て行く(分解する)。上記金属化合物の完全な還元がもたらされるように加熱温度と時間を選択する。典型的には約120℃から約220℃の温度で還元を実施する。還元雰囲気または空気を用いることができる。典型的には、アルゴンが98%で水素が2%の混合物である還元雰囲気を用い、気体の圧力を約5−10psi(3.5−7x104Pa)にする。
この製作品は上記金属の薄層で被覆されている基質(上記薄層の中に上記焼きなまし炭素すすが埋め込まれていて上記基質に固着している)である。このような製作品は電界放射体陰極どして用いるに適切である。
本発明を更に説明し、可能にしかつ記述する目的で以下の非制限実施例を与える。以下に示す実施例では、この上に記述したフラットプレート放射測定装置または被覆ワイヤー放射測定装置を用いて該材料の放射特性を得た。
実施例1および比較実験A
焼きなまし炭素すすを調製して実施例1で用いた。陽極および陰極それぞれの直径が8mmおよび12mmのグラファイト製電極を用いて炭素すすの調製を行った。チャンバ内の雰囲気を圧力が約150トールのヘリウムにしそしてアーク放電実験中の電極間の電流を約125アンペアにした。コンピューター制御モーターを用いて陰極に対する陽極の位置を調整した。アーク放電過程中に陽極が消費されて陰極上で炭素の成長が起こり、電極間の電圧を20から30ボルトに維持しながら上記モーターで陽極と陰極の間の距離が約1mmになるように管理する。炭素のすすがチャンバ壁に付着することからそれをかき取り、そしてチャンバの圧力を管理するポンプに向かう途中に位置させたフィルターにも炭素のすすが付着し、このすすを集めた。上記チャンバの壁から集めたすすと上記フィルターから集めたすすに焼きなましを受けさせることで放射性材料を製造した。このようにして製造した炭素すすの一部、即ち焼きなましを受けさせていない炭素すすを、比較実施例Aの電子放射測定を行う目的で取って置いた。この焼きなましを受けさせていない炭素すすを用いて、この上で考察した図1および2の電子顕微鏡画像を得た。
実施例1で用いる焼きなまし炭素すすの製造で用いた焼きなまし方法は下記の通りであった。炭素のすすをグラファイト製るつぼに入れてアルゴン流中で加熱した。温度を1分当たり25℃の加熱速度で1,700℃にまで上昇させた。温度を1,700℃に1時間保持した後、1分当たり25℃で2,500℃にまで上昇させた。これを2,500℃に1時間保持した後、炉への電力供給を切って、炭素すすを上記炉内で室温になるまで冷却した。この使用した炉の場合には室温への冷却に通常約1時間要し、そして次に、その焼きなましを受けた炭素すすを炉から取り出した。この焼きなまし炭素すすを用いて、この上で考察した図3および4の電子顕微鏡画像を得た。
比較実験Aでは、焼きなましを受けさせていない炭素すすの一部を銅テープの接着側に位置させ、そして銅テープを更に2片用いて、上記銅テープを放射測定装置(測定装置I)の陰極板に保持した。電極の分離距離を0.19cmにした。電圧を3000ボルト(E=1.6x106V/m)にまで高めたが放射は全く観察されなかった。
実施例1では、焼きなまし炭素すすを銅テープの接着側に位置させ、そして導電性銅テープを更に2片用いて、上記銅テープを放射測定装置(測定装置I)の陰極板に保持した。電極の分離距離を0.19cmにした。電圧を3000ボルト(E=1.6x106V/m)にまで高めると放射電流が観察された。1500ボルト(E=8x105V/m)の時の電流は9.25μAで3000ボルト(E=1.6x106V/m)の時の電流は26.7μAであった。
この結果は、焼きなましを受けさせていない炭素すすでは3000ボルトにしても放射が起こらなかったが同じ源から得た焼きなまし炭素すすでは3000ボルト未満の電圧でも放射が起こったことを示している。
実施例2−5
実施例2−5で用いる炭素すすの調製では、実験でチャンバ内の雰囲気を圧力が約500トールのヘリウムにする以外は実施例1に記述したのと同じ方法を用いた。
実施例2−5で用いる焼きなまし炭素すすの製造で用いた焼きなまし方法は下記の通りであった。炭素のすすをグラファイト製るつぼに入れてアルゴン流中で加熱した。温度を1分当たり25℃の加熱速度で2,500℃にまで上昇させた。実施例2のサンプルでは炭素すすを2,500℃に15分間保持し、実施例3のサンプルでは30分間保持し、実施例4のサンプルでは1時間保持し、そして実施例5のサンプルでは2時間保持した後、実施例1に記述したように上記炉内で室温になるまで冷却した。次に、この焼きなましを受けた炭素すすを炉から取り出した。
今度は、各実施例の焼きなまし炭素すすサンプルを銅テープの接着側に位置させ、そして導電性銅テープを更に2片用いて、上記銅テープを放射測定装置(測定装置II)の陰極板に保持した。電極の分離距離を0.055cmにした。電圧をかけると放射電流が測定された。
実施例2のサンプルの場合、500ボルト(E=9x105V/m)の時の電流は5.37μAで、800ボルト(E=1.5x106V/m)の時の電流は14.1μAで、1300ボルト(E=2.4x106V/m)の時の電流は113.5μAであった。
実施例3のサンプルの場合、600ボルト(E=1x106V/m)の時の電流は6.32μAで、900ボルト(E=1.6x106V/m)の時の電流は14.1μAで、1300ボルト(E=2.4x106V/m)の時の電流は94.9μAで、1400ボルト(E=2.5x106V/m)の時の電流は110.2μAであった。
実施例4のサンプルの場合、700ボルト(E=1.3x106V/m)の時の電流は5.79μAで、900ボルト(E=1.6x106V/m)の時の電流は33.0μAで、1300ボルト(E=2.4x106V/m)の時の電流は62.1μAで、1400ボルト(E=2.5x106V/m)の時の電流は79.6μAであった。
実施例5のサンプルの場合、354ボルト(E=6.4x105V/m)の時の電流は4.79μAで、850ボルト(E=1.5x106V/m)の時の電流は35.4μAで、1000ボルト(E=1.8x106V/m)の時の電流は97.8μAであった。
実施例2−5の放射結果を図5にプロットする。この結果は2500℃の時の焼きなまし時間はあまり重要でないことを示している。
実施例6−9
炭素すすの調製を実施例2−5に記述したのと実質的に同様にして行った。しかしながら、実施例6−9で用いる焼きなまし炭素すすの調製で用いた焼きなまし過程は下記の通りであった。炭素のすすをグラファイト製るつぼに入れてアルゴン流中で加熱した。温度を1分当たり25℃の加熱速度で2,850℃にまで上昇させた。実施例6のサンプルでは上記すすを2,850℃に15分間保持し、実施例7のサンプルでは30分間保持し、実施例8のサンプルでは1時間保持し、そして実施例9のサンプルでは2時間保持した後、実施例1に記述したように上記炉内で室温になるまで冷却した。次に、この焼きなましを受けた炭素すすを炉から取り出した。
今度は、各実施例の焼きなまし炭素すすサンプルを銅テープの接着側に位置させ、そして導電性銅テープを更に2片用いて、上記銅テープを上記放射測定装置の陰極板に保持した。電極の分離距離を0.19cmにした。電圧をかけると放射電流が測定された(測定装置I)。
実施例6のサンプルの場合、300ボルト(E=1.6x105V/m)の時の電流は4.57μAで、500ボルト(E=2.6x105V/m)の時の電流は34.8μAで、650ボルト(E=3.4x105V/m)の時の電流は146.9μAであった。
実施例7のサンプルの場合、1500ボルト(E=8x105V/m)の時の電流は1.1μAで、3000ボルト(E=1.6x106V/m)の時の電流は13.1μAであった。
実施例8のサンプルの場合、1500ボルト(E=8x105V/m)の時の電流は11.1μAで、2500ボルト(E=1.3x106V/m)の時の電流は43.0μAであった。
実施例9のサンプルの場合、1500ボルト(E=8x105V/m)の時の電流は1.88μAで、2000ボルト(E=1.6x106V/m)の時の電流は4.39μAであった。
実施例6−9の放射結果を図6にプロットする。この結果は2850℃で焼きなまし時間を長くすると放射量が少なくなることを示している。これは、恐らくは、温度が高いと粒子が凝集する度合が高くなることによるものであろう。更に焼きなまし温度を高くすると放射量が若干低下し、これも再び恐らく粒子が凝集することによるものであろう。
温度をより高くした時には焼きなまし時間全体の長さが重要になると思われる。焼きなまし時間全体の長さが比較的短いことを条件として、焼きなまし温度は高い方が好適であり、例えば中間的な1700℃の段階を置かないで2850℃にまで短時間に加熱しそしてその温度に短期間置くことで炭素すすの焼きなましを行った時に最も高い放射結果が得られた。
実施例10および10A
実施例10では、焼きなまし炭素すす粒子を基質に付着させて電界放射体陰極を得る方法を記述し、ここでは、焼きなまし炭素すす粒子を、ガラススライド上にスパッタ(suputtered)しておいた100nmの銀フィルムに付着させた。
炭素すすの調製をこの上の実施例2−5に記述したのと実質的に同様にして行った。焼きなまし過程は実施例6と同じであった。
1インチx0.5インチ(2.5cmx1.3cm)のガラススライドに100nmの銀フィルムをスパッタした。Denton 600(Denton Company、Cherry Hill、NJ)スパッタリング(sputtering)装置を用いて、銀のスパッタリングをアルゴン雰囲気中0.4nm/秒の付着速度で行った。このスパッタした銀フィルムを含むガラススライドを電界放射性焼きなまし炭素すす粒子用の基質として用いた。
硝酸銀(AgNO3)が25重量%とポリビニルアルコール(PVA)が3重量%と水が71.9重量%入っている溶液の調製を、72gの沸騰H2OにM.W.が86,000のPVA(Aldrich、Milwaukee、WI)を3g加えて約1時間撹拌してPVAを完全に溶解させることを通して行った。このPVA溶液に周囲温度でAgNO3(EM Science、Ontario、NY)を25g加えて、その溶液を撹拌してAgNO3を溶解させた。また、この溶液が銀フィルムを湿らせる度合を向上させる目的で、上記溶液に、フッ素置換されている界面活性剤であるZONYL(商標)FSN[デュポン社(E.I.du Pont de Nemours and Company、Wilmington、DE)]を0.1重量%加えた。
#3ワイヤーロッド(Industry Technology、Oldsmar、FL)を用いて、上記PVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSN溶液を上記銀フィルムに塗布した。この湿っているPVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSN表面に上記焼きなまし炭素すすを0.1ミル(30ミクロン)のシルクスクリーンに通して均一に振りかけた。この表面が焼きなまし炭素すすで完全に覆われた時点で、この焼きなまし炭素すすで覆われた湿潤PVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSNフィルムを含むガラススライド基質を石英製ボートに入れた後、それを管炉の中心に位置させた。水素を2%とアルゴンを98%含有させた還元雰囲気中で加熱を実施した。温度を1分当たり14℃の加熱速度で140℃にまで上昇させて、この温度を1時間保持した。同じ還元雰囲気の上記炉内でサンプルを室温に冷却した後、炉から取り出した。還元で生じた銀金属が薄い銀フィルム層を与え、このフィルム層によって、上記焼きなまし炭素すすは上記基質のスパッタした銀フィルムに付着して固定され、その結果として、電界放射体陰極として用いるに適切な電子放射体が生じた。電子放射の測定を、この上に測定装置Iとして記述したフラットプレート放射測定装置を用いて行った。図7に、2.49mmの電極間分離距離で測定した放射結果のプロットを示す。
実施例10Aでは、実施例10で用いた焼きなまし炭素すす粒子のいくらかを銅製接着テープ(Electrolock,Inc.、Chagrin Falls、OHから商業的に入手可能)の接着側に直接振り掛けることで、上記焼きなまし炭素すす粒子を上記銅テープの接着側に付着させた。この焼きなまし炭素すすサンプルの電子放射をフラット−プレート測定装置(測定装置I)で測定した。1.5mmの電極分離距離を用い、このデータも図7に示す。実施例10のデータと実施例10Aのデータを比較することで、湿式処理に続く焼成手順を用いても焼きなまし炭素すすの放射性がほとんど低下しないことが分かる。
図8に、ファウラ−ノルドハイムプロット以外は図7と同じデータを示す。
実施例11−13
実施例11−13では、薄い銀層を用いて焼きなまし炭素すす粒子を金属ワイヤーに付着させることで電界放射体陰極を得る方法を記述する。この上の実施例2−5に記述したのと実質的に同様にして炭素すすを調製した。焼きなまし過程は実施例6と同様であった。
上記焼きなまし炭素すすを支持させる目的でこれらの実施例で用いるワイヤーを全部、このワイヤーを5%のHNO3溶液に1分間浸漬した後に濯ぎを多量の水を用いて行い次に濯ぎをアセトンそしてメタノールを用いて行うことで奇麗にした。
実施例11では、硝酸銀(AgNO3)が25重量%とポリビニルアルコール(PVA)が3重量%と水が72重量%入っている溶液の調製を、72gの沸騰H2OにM.W.が86,000のPVA(Aldrich、Milwaukee、WI)を3g加えて約1時間撹拌してPVAを完全に溶解させることを通して行った。このPVA溶液に周囲温度でAgNO3(EM Science、Ontario、NY)を25g加えて、その溶液を撹拌してAgNO3を溶解させた。
4ミル(100μm)の銅ワイヤーを上記PVA/AgNO3溶液に浸漬した後、上記焼きなまし炭素すすの中に入れた。この銅ワイヤーの表面が焼きなまし炭素すすで完全に覆われた時点で、このワイヤーを石英製ボートに入れた後、それを管炉の中心に位置させて、焼成をこの上に記述したのと同様に行った。
実施例12および13では、硝酸銀(AgNO3)が25重量%とポリビニルアルコール(PVA)が3重量%とフッ素置換界面活性剤であるZONYL(商標)FSNが0.5重量%と水が71.5重量%入っている溶液の調製を、71.5gの沸騰H2OにM.W.が86,000のPVA(Aldrich、Milwaukee、WI)を3g加えて約1時間撹拌してPVAを完全に溶解させることを通して行った。このPVA溶液に周囲温度でAgNO3(EM Science、Ontario、NY)を25g加えて、その溶液を撹拌してAgNO3を溶解させた。この溶液が上記ワイヤーを湿らせる度合を向上させる目的でフッ素置換界面活性剤であるZONYL(商標)FSN(デュポン社)を0.5g加えた。
実施例12では、4ミル(100μm)の銅ワイヤーを上記PVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSN溶液に浸漬した後、上記焼きなまし炭素すすの中に入れた。このワイヤーの表面が焼きなまし炭素すすで完全に覆われた時点で、このワイヤーを石英製ボートに入れた後、それを管炉の中心に位置させた。
実施例13では、4ミル(100μm)の銅ワイヤーを上記PVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSN溶液に浸漬した後、上記焼きなまし炭素すすの中に入れた。このワイヤーの表面が焼きなまし炭素すすで完全に覆われた時点で、直径がミクロンの液滴で構成される微細な霧を発生させるネブライザーヘッド(nebulizer head)(Model 121−Sono−Tek Corporation、Poughkeepsie、NY)を用いて、実施例12で使用したPVA/AgNO3/ZONYL(商標)FSN溶液の薄い液状被膜で上記焼きなまし炭素すす粒子を被覆した。シリンジポンプを用いて上記溶液を上記ネブライザーヘッドに18μL/秒の輸送速度で約30秒間ポンプ輸送した。この付着時間中、上記ワイヤーを移動かつ回転させることで上記溶液による被覆を均一に行った。次に、このワイヤーを石英製ボートに入れた後、それを管炉の中心に位置させた。
この3実施例全部の焼成を水素を2%とアルゴンを98%含有させた還元雰囲気中で実施した。温度を1分当たり14℃の加熱速度で140℃にまで上昇させて、この温度を1時間保持した。同じ還元雰囲気の上記炉内で各サンプルを室温に冷却した後、炉から取り出した。各実施例において、還元で生じた銀金属が薄い銀フィルム層を与え、このフィルム層によって上記ワイヤーが被覆されて上記焼きなまし炭素すすが上記ワイヤーに付着し、その結果として、電界放射体陰極として用いるに適切な電子放射体が生じた。電子放射の測定を、この上に測定装置IIIとして記述した筒状の放射測定装置を用いて行った。
このデータを図9に示し、この図は、実施例12がより高い放射性を示すことを表しており、これは恐らく、AgNO3が銅ワイヤーを湿らす度合がより高いことでワイヤー表面に粘着する粒子の量が多くなることが原因でワイヤー上の粒子密度が高くなることによるものであろう。実施例13では上部を被覆したことから粒子がワイヤーに固定される効果は向上したが粒子の放射性は低下したことが分かる。
実施例14−16
実施例14−16では、薄い金層を用いて焼きなまし炭素すす粒子を金属ワイヤーに付着させることで電界放射体陰極を得る方法を記述する。実施例2−5と実質的に同様にして炭素すすを調製した。焼きなまし過程は実施例6と同様であった。
この焼きなまし炭素すすを支持させる目的でこれらの実施例で用いるワイヤーを全部、そのワイヤーを3%のHNO3溶液に1分間浸漬した後に濯ぎを多量の水を用いて行い次に濯ぎをアセトンそしてメタノールを用いて行うことで奇麗にした。
実施例14では、金を有機基材(Aesar 12943、Ward Hill、MA)に分散させて、その製造業者の提案に従って5ミル(125μm)のタングステンワイヤーにはけ塗りした。この金化合物で被覆したワイヤーに、100ミクロンのふるいに通した焼きなまし炭素すすを付着させた。このワイヤーの表面が焼きなまし炭素すすで完全に覆われた時点で、このワイヤーを石英製ボートに入れた後、それを炉に入れた。
加熱を空気雰囲気中で実施した。温度を1分当たり25℃の加熱速度で540℃にまで上昇させて、この温度を30分間保持することで、有機材料を全部焼失させた。上記炉内でサンプルを室温に冷却した後、炉から取り出した。上記金金属が薄い金フィルムを与え、このフィルム層によって上記ワイヤーが被覆されて上記焼きなまし炭素すすが上記ワイヤーに付着し、その結果として、電界放射体陰極として用いるに適切な電子放射体が生じた。
実施例15では、サンプルを炉から取り出した後にその構造物を更に密封する目的で50nmのダイヤモンド様炭素層をグラファイト標的のレーザーアブレーション(lazer ablation)でその表面に付着させる以外は本質的に実施例14に記述したのと同様にしてサンプルの調製を行った。レーザーアブレーションを用いたダイヤモンド様炭素による繊維またはワイヤーの被覆に関する追加的説明を、Davanloo他、J.Mater.Res.、5巻、No.11、1990年11月、そして1995年2月13日付けで提出した表題が「Diamond Fiber Field Emitters」である係属中の米国出願連続番号08/387,539(Blanchet−Fincher他)(これの内容は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)に見ることができる。アブレーションチャンバの中心部に位置させたグラファイト標的に対する入射角が45度になるように、波長が264nmのレーザービームを用いた。10ナノ秒のレーザーパルスを2Hzの反復率で用いた。4J/cm2のエネルギー密度を1分間維持しそして一対のモーター付きミクロメーターを用いてレーザービームを上記標的にラスタさせた(rastered)。上記アブレーションチャンバを2x10-7トール(2.67x10-5パスカル)に保持した。この用いたワイヤーを、上記標的に垂直な方向に沿って上記標的から5cm離して位置させた。
実施例16では、4ミル(100μm)の銅ワイヤーをタングステンワイヤーの代わりに用いる以外は本質的に実施例14に記述したのと同様にしてサンプルの調製を行った。
上記3サンプル全部の電子放射の測定を、この上に測定装置IIIとして記述した筒状の放射測定装置を用いて行った。このデータを図10に示し、そこに、トップコートで被覆した場合と被覆しなかった場合のいろいろなワイヤーで起こる放射を示す。
この上に行った説明で本発明の特別な態様を記述して来たが、本発明は本発明の精神からも必須属性からも逸脱することなく数多くの修飾、置換および再配置を受け得ることを本分野の技術者は理解するであろう。本発明の範囲を示すことに関しては、この上に示した明細ではなくむしろ添付請求の範囲を参照すべきである。

Claims (11)

  1. 焼きなまし炭素すすを含む電界放射用放射体。
  2. 該焼きなまし炭素すすが約20μm以下の粒子サイズを有する請求の範囲第1項記載の電界放射用放射体。
  3. 該焼きなまし炭素すすが1μm以下の粒子サイズを有する請求の範囲第1項記載の電界放射用放射体。
  4. 該焼きなまし炭素すすが約50から約100nmの範囲の粒子サイズを有する請求の範囲第2項記載の電界放射用放射体。
  5. 基質の表面に付着している焼きなまし炭素すすを含む電界放射用陰極。
  6. 該基質が平面体である請求の範囲第5項記載の電界放射用陰極。
  7. 該基質が繊維である請求の範囲第5項記載の電界放射用陰極。
  8. 該基質が金属ワイヤーである請求の範囲第5項記載の電界放射用陰極。
  9. 該金属ワイヤーがニッケルである請求の範囲第8項記載の電界放射用陰極。
  10. 該金属ワイヤーがタングステンである請求の範囲第8項記載の電界放射用陰極。
  11. 該金属ワイヤーが銅である請求の範囲第8項記載の電界放射用陰極。
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