JP3939212B2 - プロトン伝導性組成物 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン伝導性組成物に関し、さらに詳しくは、100℃以上の乾燥雰囲気中においても高いプロトン伝導性を示すプロトン伝導性組成物に関するものである。
【0001】
【従来の技術】
近年、固体高分子型燃料電池の実用化に向けて、種々の検討が行われており、その中でも、燃料電池用電解質膜として用いることができる固体のイオン伝導体に関して精力的に研究が行われている。
【0002】
そして、そのようなイオン伝導体として、現在、Li+ 、Ag+ 、H+ 、F- など様々な伝導イオン種のイオン伝導体が見出されている。それらの中でも、プロトン(H+ )を伝導イオン種とするものは、燃料電池、キャパシター、エレクトロクロミック表示素子など様々な電気化学素子への応用が期待されており、上記燃料電池用電解質膜としても有望視されている。
【0003】
これまで、固体高分子型燃料電池用電解質膜としては、スルホン酸基をもつフッ素樹脂系イオン交換膜の使用が主として検討されてきたが、このフッ素樹脂系イオン交換膜は有機物を主体とするため、使用温度が耐熱性の面から80℃以下に限られてしまい、そのような低い使用温度では、併用する白金などの触媒が一酸化炭素による被毒で劣化が早められ、熱効率も低下するという問題があった。しかも、上記フッ素樹脂系イオン交換膜は、常に加湿した状態に保たないと良好なプロトン伝導性が得られず、加湿器などの付加設備が必要であるという問題もあった。
【0004】
また、燃料電池などに使用する場合、反応性・触媒活性など、電解質膜の特性は100℃以上に最適温度があるとされており、その活性度は上下10℃でも大きな相違が生じるといわれている。
【0005】
そのため、100℃以上の乾燥雰囲気(ただし、本書においていう乾燥雰囲気とは、湿度の低い雰囲気をいい、絶乾状態の雰囲気を意味するものではない)中いおいても良好なプロトン伝導性を示すプロトン伝導体が求められ、それが実現されたならば、次のような効果が生じるものと期待される。
高価な白金触媒の耐久性向上
加湿器などの付加設備が不要 → 軽量、コンパクト化
廃熱の有効利用(給湯へのリサイクル)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、プロトン伝導体は、室温付近で高いプロトン伝導性を示すだけでなく、より高い実用性を持つためには、100℃以上の乾燥雰囲気中においても、その特性が維持できるものであることが必要である。
【0007】
これまで開発されてきたプロトン伝導体としては、ウラニルリン酸水和物やモリブドリン酸水和物などの無機物、あるいはフッ化ビニル系高分子にパーフルオロスルホン酸基を含む側鎖が付いた高分子イオン交換膜などの有機物が知られている。
【0008】
上記の無機プロトン伝導体としては、リン酸塩化合物のいくつかが、プロトンを生成しやすいなどの固体酸の特質を示すので有用な可能性が期待されていて、種々の検討が行われている。例えば、Solid State Ionics 97(1997)227−232では、α−リン酸ジルコニウムにシリカやアルミナを複合させ、室温・65%相対湿度下でのプロトン伝導性の向上を図っている。
【0009】
また、Solid State Ionics 136−137(2000)249−254では、パーフルオロカーボンスルホン酸膜に、アルコキシシリケートおよび亜リン酸からなるホスホシリケートゲルを適用することにより、有機系プロトン伝導体が一般に弱点として有している熱安定性の問題改善に取り組んでいる。
【0010】
さらに、特開2002−97272号公報や特開2002−80214号公報などでは、リン・シリカゲルを主要成分とするプロトン伝導性材料が紹介されている。
【0011】
しかし、これまで提案されてきたプロトン伝導体は、有機物ではもちろんのこと、無機プロトン伝導体においても、100℃以上の乾燥雰囲気中では、その特性が低下してしまうか、あるいは不充分である場合が多かった。
【0012】
また、プロトン伝導体が使用される製品の多くは、実際の使用環境下では、相対湿度が低い場合が多く、しかも、非常用、移動用、遠隔地用などの電源などに使用される場合が想定され、必然的にある程度の耐熱性(例えば、ある一定以上の温度に対する耐性や熱サイクルに対する耐性など)が必要となる。しかし、従来のプロトン伝導体では、そのような過酷な環境下では、化学的安定性に問題を有している場合が多く、イオン伝導体が分解などを起こさず、その特性を安定して維持できるようにするためには、湿度や温度を制御する付加設備が必要となるので、電源としては嵩張り、しかも充分な特性が発揮できないという問題を有していた。
【0013】
本発明は、上記のような従来のイオン伝導体の問題点を解決し、100℃以上の乾燥雰囲気中においても、高いプロトン伝導性を示すイオン伝導性組成物を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルに、リン酸金属塩を添加することにより、プロトン伝導性を向上させて、プロトン伝導性組成物としたことにある。
【0015】
本発明においていうホスホシリケートゲルとは、例えば、ゾル−ゲル法などにより、リン源化合物とケイ素源化合物とを混合してゲル化させたものであり、その作製にあたってリン源化合物とケイ素源化合物との混合条件などを調節した上でゲル化させ、そのゲル化後のものを成膜すると、いわゆる無機系プロトン伝導体膜としての機能を備えたものにすることができる。
【0016】
本発明は、この無機系プロトン伝導体であるホスホシリケートゲルまたはシリカゲルに、リン酸金属塩を添加することにより、上記ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルの本来有するプロトン伝導性をさらに向上させたものであって、具体的にはプロトン伝導度の向上に加え、環境温度の上昇・下降によって生じるプロトン伝導性の低下時の自律的回復能に優れ、実際の使用環境に対する耐性を向上させたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルのケイ素源として用いる化合物としては、下記一般式で表される有機ケイ素化合物が好ましい。
(R1 a −Si(OR2 4-a (ただし、R1 :水素原子またはアルキル基、R2 :アルキル基、アシル基またはフェニル基、a:0〜2の整数)
【0018】
上記有機ケイ素化合物の具体的化合物名としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラアセチルオキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類の他、メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどや、さらに、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ペンチル・メチルジメトキシシラン、n−ペンチル・メチルジエトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジメトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジエトキシシラン、フェニル・メチルジメトキシシラン、フェニル・メチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、などのジアルコキシシラン類の他、ジメチルジアセチルオキシシラン、ジメチルジフェノキシシランなどが挙げられる。
【0019】
本発明において、ホスホシリケートゲルのリン源としては、リン酸化合物、亜リン酸化合物などを用い得るが、特に下記一般式で表されるリン酸化合物
PO(OR)3-b (OH)b
または下記一般式で表される亜リン酸化合物
P(OR)3-b (OH)b
(ただし、R:アルキル基、アシル基またはフェニル基などの有機基、b:0〜3の整数)
などが好適に用いられる。
【0020】
上記リン酸化合物の具体的化合物名としては、例えば、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリプロピルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジプロピルエステル、リン酸ジブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル、リン酸メチルエステル、リン酸エチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ブチルエステル、リン酸フェニルエステル、オルトリン酸、ポリリン酸などが挙げられる。
【0021】
また、上記亜リン酸化合物の具体的化合物名としては、例えば、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリプロピルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸トリフェニルエステル、亜リン酸ジメチルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジプロピルエステル、亜リン酸ジイソプロピルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸ジフェニルエステル、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸エチルエステル、亜リン酸プロピルエステル、亜リン酸ブチルエステル、亜リン酸フェニルエステル、亜リン酸などが挙げられる。
【0022】
本発明において、ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルに添加するリン酸金属塩のリン酸成分としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸、セスキリン酸、メタリン酸などのいずれであってもよく、また、その金属成分としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛およびセリウムから選ばれる少なくとも1種であればよい。上記リン酸金属塩としては、一般式MHx y z (ただし、Mはアルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛およびセリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素であり、x、y、zは自然数であり、xは0〜12が好ましく、yは1〜4が好ましく、zは2〜16が好ましい)で示される結晶性リン酸金属塩が好適なものとして挙げられ、さらに、結晶水を有する結晶性リン酸金属塩であればより好ましい。そのような好ましいリン酸金属塩の具体例としては、例えば、トリポリリン酸二水素アルミニウムまたはその水和物、α−リン酸ジルコニウムまたはその水和物などが挙げられる。
【0023】
ホスホシリケートゲルの作製にあたってのリン源化合物とケイ素源化合物との配合比率は、配合時の金属モル比でP:Si=1:100〜5:1の範囲が好ましく、P:Si=1:10〜3:1の範囲がより好ましい。P(リン)の比率が上記範囲より高くなると、ホスホシリケートゲルの潮解性が強くなって安定性が低下するおそれがある。
【0024】
ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルなどのゲル成分に対するリン酸金属塩の添加比率としては、質量比で上記ゲル成分の固形分:リン酸金属塩=1:2〜20:1の範囲が好ましく、2:1〜5:1の範囲がより好ましい。上記範囲よりリン酸金属塩が少ない場合は、リン酸金属塩の添加効果が充分に現れず、高温でのプロトン伝導性が低下し、リン酸金属塩が多い場合は、プロトン伝導性が全域で低下するおそれがある。
【0025】
ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルへのリン酸金属塩の添加は、ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルをあらかじめ溶剤に分散させておき、そこにリン酸金属塩を加えて混合することによって行ってもよいし、また、リン酸金属塩をあらかじめ溶剤に分散させておいてから、そこにホスホシリケートゲルまたはシリカゲルを加えて混合することによって行ってもよく、さらに全成分を同時に加えて混合することによって行ってもよく、加える順序などに限定されることなく、最終的に得られるプロトン伝導性組成物中にそれらの成分が含まれているようになればよい。また、それらの成分がプロトン伝導性組成物中において充分に分散されるように、混合方法としては固相混合よりも乾燥を必要とするものの液相混合する方が好ましい。なお、分散を充分に行うという観点から、固体のリン酸金属塩を添加する場合には、前もってミルなどを用いて磨砕処理を行っておくことが好ましい。
【0026】
本発明のプロトン伝導性組成物には、そのプロトン伝導性や成膜時の成形性などをさらに向上させるため、以下の化合物を添加してもよい。ただし、それらの化合物はあくまで例示であり、同様の機能を有するものであればそれら以外の化合物を添加してもよい。
【0027】
例えば、本発明のプロトン伝導性組成物を燃料電池用電解質膜として成膜する場合に、その成形性・加工性などを向上させるために、100℃以上での耐熱性に優れた、シロキサン系やシラン系の有機珪素高分子組成物を添加してもよい。シロキサン系有機珪素高分子組成物としては特にアルキルシロキサン系の有機珪素高分子組成物が好ましく、シラン系の有機珪素高分子組成物としてはエーテル結合、特に環状エーテル結合を有する化合物が、反応性や最終的に得られる膜特性が優れていることから好ましい。上記有機珪素高分子組成物のうち代表的なものについて具体的化合物名を挙げると、例えば、ポリジメチルシロキサンやγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0028】
上記有機珪素系高分子化合物の添加比率としては、本発明のプロトン伝導性組成物に対し、質量比でプロトン伝導性組成物:有機珪素系高分子化合物=1:2〜10:1の範囲が好ましく、1:1〜2:1の範囲がより好ましい。
【0029】
さらに、本発明のプロトン伝導性組成物に対し、リン酸金属塩の添加効果を阻害しない範囲内で、シリコタングステン酸や硫酸水素セシウム、モリブドリン酸、タングストリン酸などのプロトン供与剤を添加してもよい。それらを加えることにより、上記プロトン供与剤から供与されるプロトンが伝導度の向上に寄与してプロトン伝導性が向上する。ただし、添加量が多すぎると化学的耐久性が低下するので、適切な添加量としては、本発明のプロトン伝導性組成物に対して質量換算で5〜200%が好ましく、10〜100%がより好ましい。
【0030】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
2−プロパノール(イソプロピルアルコール)20mlに、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物〔テイカ社製K−FLESH#100P(商品名)、組成式:AlH2 3 10・2H2 O〕1gを入れ、撹拌して、トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物を2−プロパノール中に分散させた。この分散液にテトラエトキシシラン〔関東化学社製、組成式:Si(OC2 5 4 〕1.33gと亜リン酸ジイソプロピル〔関東化学社製、組成式:HPO(OC3 7 2 〕1.67gとを添加して、30分間撹拌した。得られた混合物に、2−イソプロパノール:水(H2 O)=1:1(モル比)の混合液0.62gを徐々に滴下し、滴下後、さらに30分間攪拌した後、乾燥機にて60℃で乾燥してプロトン伝導性組成物を得た。
【0032】
上記プロトン伝導性組成物の製造にあたって用いたテトラエトキシシランと亜リン酸ジイソプロピルと水とはホスホシリケートゲルを構成するものであるが、それらの割合はモル比でテトラエトキシシラン:亜リン酸ジイソプロピル:水=1:1:1であった。
【0033】
また、上記プロトン伝導性組成物におけるホスホシリケートゲルに対するリン酸金属塩の添加比率は、質量比でホスホシリケートゲルの固形分(テトラエトキシシラン+亜リン酸ジイソプロピル):リン酸金属塩(トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物)=2:1であった。
【0034】
さらに、上記と同様の成分を用いかつ同様の方法でホスホシリケートゲルに対するリン酸金属塩の添加比率を後記の表1に示すように変えてプロトン伝導性組成物を製造した。
【0035】
上記のようにして得られたプロトン伝導性組成物についてプロトン伝導度を測定した。その結果を表1に示す。なお、プロトン伝導度の測定方法は以下に示す通りである。
【0036】
プロトン伝導度の測定:
上記のように作製した各プロトン伝導性組成物について、30分間蒸留水中に浸漬し、その後、2枚の白金電極板を用い、4端子2電極法にて、そのプロトン伝導度をヒューレットパッカード社製4192型インピーダンスアナライザを用いて測定した。その測定は、各プロトン伝導性組成物からなる試料をそれぞれ2枚の白金電極板の間に挟み、それらを温度・湿度調節可能な恒温恒湿器中にセットし、上記インピーダンスアナライザを用いて、周波数範囲5〜10MHzで複素インピーダンス法により解析することによって行った。測定時の条件は、温度30℃、相対湿度40%であった。表1に上記プロトン伝導度の測定結果を示す。表1にはホスホシリケートゲルの固形分であるテトラエトキシシラン+亜リン酸ジイソプロピルとトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物との比率についても示すが、スペース上の関係でそれらの成分名を以下のように簡略化して示す。
TEOS=テトラエトキシシラン
PADE=亜リン酸ジイソプロピル
ADHP=トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物
【0037】
【表1】
Figure 0003939212
【0038】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の実施例1のプロトン伝導性組成物は、いずれも、10-3オーダーの高いプロトン伝導性を有していた。そして、上記プロトン伝導性組成物のうち(TEOS+PADE):ADHP〔(テトラエトキシシラン+亜リン酸ジイソプロピル):トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物〕が質量比で3:1のものについて、120℃、無加湿の条件下で上記と同様の方法により測定したプロトン伝導度は、1×10-3S/cm〜6×10-3S/cmであって、上記30℃で測定したプロトン伝導度とそれほど変わらなかった。したがって、(TEOS+PADE):ADHPが質量比で3:1以外のものも、120℃、無加湿の条件下でも、上記30℃でのプロトン伝導度とそれほど変わらない高いプロトン伝導度を示すものと考えられる。また、上記実施例1のプロトン伝導性組成物との比較のため、リン酸金属塩であるトリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物を添加していないホスホシリケートゲルについて、120℃、無加湿の条件下で測定したプロトン伝導度は、8×10-6S/cm〜9×10-6S/cmであって、上記実施例1のプロトン伝導性組成物に比べて、高温、乾燥雰囲気中でのプロトン伝導度が低く、本発明の実施例1のプロトン伝導性組成物では、ホスホシリケートゲルにリン酸金属塩を添加することにより、プロトン伝導性が向上していることが明らかであった。
【0039】
つぎに、上記プロトン伝導性組成物のうち(TEOS+PADE):ADHP〔(テトラエトキシシラン+亜リン酸ジイソプロピル):トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物〕が質量比で3:1のものについて、温度を変化させた場合のプロトン伝導度の変化について示す。その測定方法は次の通りである。
【0040】
温度を変化させた場合のプロトン伝導度の測定
まず、プロトン伝導度の測定にあたって、前処理として上記プロトン伝導性組成物を130℃で3時間乾燥した。そして、測定装置としては、前記のインピーダンスアナライザを用い、プロトン伝導度は前記と同様に4端子2電極法にて測定した。
【0041】
プロトン伝導度の測定は、温度および湿度調節器が付属した恒温槽中に、測定用試料を入れたガラス容器を設置して水を満たし、そこへ外部から空気をバブリングさせながら導入し、その空気の温度を変化させることによって、温度調整をしつつ、昇温時には40℃から90℃まで20℃ごとにプロトン伝導度を測定し、90℃から130℃までは10℃ごとにプロトン伝導度を測定し、130℃に達した後の降温時も同様に130℃から90℃までは10℃ごとにプロトン伝導度を測定し、90℃から40℃までは20℃ごとにプロトン伝導度を測定することによって行った。なお、各測定温度においては、それぞれ30分の保持時間を設定し、その後にプロトン伝導度の測定を行った。
【0042】
上記のようにして測定したプロトン伝導度とその測定時の温度との関係を図1に示す。なお、上記高温でのプロトン伝導度の測定は、前記の30℃、相対湿度40%の状態から、水分を供給することなく温度を上げているので、100℃では相対が湿度2.9%になり、温度がさらに上がると相対湿度はさらに低くなって、乾燥雰囲気中でプロトン伝導度を測定したことになる。
【0043】
図1に示すように、本発明のプロトン伝導性組成物は、100℃以上の乾燥雰囲気中においても、高いプロトン伝導度を示し、しかも少々の温度変化に対しても、そのプロトン伝導度に大きな変化が認められなかった。
【0044】
すなわち、一般に知られているモリブドリン酸、タングストリン酸、シリコタングステン酸などのプロトン供与剤は、常温において高いプロトン伝導度を示すものの、加温すると数十℃で結晶水が離脱してしまい、プロトン伝導度を維持することができない。また、ホスホシリケートゲルやシリカゲルなども、それらだけでは、100℃以上になると、プロトン伝導の担い手である水分を保持する機構が存在しないと、プロトン伝導度を高く維持し続けることは困難であるが、本発明のプロトン伝導性組成物は、100℃以上の乾燥雰囲気中においても、高いプロトン伝導度を示し、温度上昇時と温度下降時のプロトン伝導性の変化が少なく、環境温度の上昇・下降によって生じるプロトン伝導性の低下時の自律的回復能に優れていて、本発明のプロトン伝導性組成物が、付加的な設備を要することなく、実用品として使用可能であることを示していた。
【0045】
実施例2
トリポリリン酸二水素アルミニウム二水和物に代えて、α−リン酸ジルコニウム一水和物〔関東化学社製、組成式:Zr(HPO・HO〕を用いた以外は、実施例1と同様にプロトン伝導性組成物を作製し、得られたプロトン伝導性組成物について前記と同様に特性を調べたところ、実施例1のプロトン伝導性組成物と同様の特性を有していた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、100℃以上の乾燥雰囲気中においても高いプロトン伝導性を示し、しかも環境温度の上昇・下降によって生じるプロトン伝導性の低下時の自律的回復能に優れたプロトン伝導性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のプロトン伝導性組成物の温度変化に伴うプロトン伝導度の変化を示す図である。

Claims (6)

  1. ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルに、リン酸金属塩を添加することにより、プロトン伝導性を向上させたことを特徴とするプロトン伝導性組成物。
  2. ホスホシリケートゲルの作製にあたってのリン源化合物とケイ素源化合物との配合比率が、金属換算のモル比でP:Si=1:100〜5:1であり、ホスホシリケートゲルまたはシリカゲルに対するリン酸金属塩の添加比率が、質量比でホスホシリケートゲルまたはシリカゲルの固形分:リン酸金属塩=1:2〜20:1である請求項1記載のプロトン伝導性組成物。
  3. リン酸金属塩が、一般式MHx y z (ただし、Mは金属元素、x,y,zは自然数)で示される請求項1記載のプロトン伝導性組成物。
  4. リン酸金属塩における金属が、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、セリウムから選ばれる1つ以上である請求項1記載のプロトン伝導性組成物。
  5. リン酸金属塩が、結晶水を有する結晶性リン酸金属塩である請求項1記載のプロトン伝導性組成物。
  6. リン酸金属塩が、トリポリリン酸二水素アルミニウムまたはその水和物、α−リン酸ジルコニウムまたはその水和物から選ばれる1つ以上である請求項1記載のプロトン伝導性組成物。
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