JP3939086B2 - 磁性材料とこれを用いたコイル部品と磁性材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波領域で使用される磁性材料とその磁性材料を含有するコアを有するコイル部品と磁性材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化、軽量化に伴い、それらを構成する電子部品についても小型化、軽量化が進んでいる。コイル、トランス等のコイル部品も例外ではなく、小型化、軽量化が進み、一方で電子機器の高周波化も進んでいる。特に移動体通信機器においては10MHz以上の周波数帯でコイル等が使用されており、小型で高周波領域まで動作し、高いQ値を持つコイル等が望まれている。
【0003】
高周波用コイル部品としては、磁性体でなるコイル用コアにワイヤを巻き付けたコイルが主に使用される。磁性体からなるコイル用コアは磁性粉末にバインダーを加えて造粒した後に所定の形状に成形し、加工し、空気中で850℃から1300℃程度で焼成したコイル用コア(コアは焼成後に加工する場合もある)にAu、Ag、Cu、Fe、Pt、Sn、Ni、Pb、Al、Coまたはそれらの合金等からなるワイヤを巻いて作製する。
【0004】
コイルにおいては、磁性体層(コア)の比抵抗が高いことが要求される。すなわちコアにワイヤにより巻線を施す際に、比抵抗が低ければボビン等の絶縁物が必要となり、コアの小型化の障害となり、さらにメッキによりコアに電極を形成する場合は比抵抗が低いとメッキの信頼性が劣化する。また、コアの比抵抗が低いとコアの素地までメッキされるおそれがあり、コイルとしての信頼性も著しく低下する。
【0005】
そこで、コイル用コアとして、高周波領域で使用される磁性材料としてNi−Cu−Zn系のフェライトが一般に用いられる。その理由は、フェライトが立方晶の結晶構造であり、比抵抗が高く、一般に透磁率を有しており、空芯コイルや非磁性体をコイルのコアとして用いたコイルと同等のインダクタンスを得るのであれば、これらに比べて巻線数を減らすことができ、素子の小型化に有利であり、また、高周波領域まで高いQ値を得ることができるという特徴を有している。
【0006】
高周波領域でのQ特性を向上させることを目的として、特許第2893302号公報には、Ni、Cu、Co、Feの酸化物を主成分として含有するスピネル型フェライト焼結体に対し、NiO相を0〜60wt%(但し0を含まず)分散含有したものが開示されている。このような組成とすれば、高周波領域でのQ特性が良好となり、Qの最大値が高周波側にシフトし、コイル用コア材料のμ値については10MHzの値を用い、インダクタンス値が高くとれ、さらにその効果として、前記の手法により高周波帯域用磁芯材料として適用可能な酸化物磁性材料が安価に得られる旨の記載がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コイル部品の品質を量る因子として品質係数:Q値が挙げられる。これはコイルのリアクタンス成分と交流抵抗成分の位相角をθ(deg)とすると、90(deg)−θ(deg)で表される損失角δ(deg)を用いて表される損失:tanδの逆数であり、Q=1/tanδで表される。
【0008】
スピネル型フェライトの透磁率と周波数にはスヌーク(snoek)の限界線(透磁率の低いフェライト程、高い周波数まで透磁率を維持する)が成り立ち、コイルの形状および巻線数とそのパターンを同等とした場合、透磁率の異なる材料をコイルに使用することにより、適用する周波数を変えることが可能となる。これは前記スヌークの限界線からも分かる通り、周波数が高周波になることにより透磁率が低下する。この透磁率の減少が生じる周波数は透磁率の大小により異なるが、一般的にはスヌークの周波数限界線に沿って透磁率が減少する。また、透磁率は複素成分を含めて表すと、実数成分μ’と虚数成分μ”に分けられる。
【0009】
透磁率の実数成分であるμ’は一定の周波数まで一定の値を保持し、その後周波数の増加と共に前述したスヌークの限界線に沿って減少する。また、虚数部分μ”は周波数の増加と共に増加し、μ’成分がフラット領域の値の約半分に減少する周波数付近で最大となり、その後周波数の増加と共に減少する。
【0010】
このような複素透磁率の実数部分μ’と虚数部分μ”はコイルのインダクタンスLと交流抵抗Rを用いると、下記の式で表される。
【0011】
μ’=le×L/(μ0×A0×n2)
μ”=le×(Reff−Rw)/(μ0×ω×A0×n2)
ここに、le:実測による試料の実効磁路長(m)
μ0:真空透磁率4×π×10−7(H/m)
A0:実測による試料の実効断面積(m2)
n:試料のコイル巻数
ω:角周波数(ラジアン/s)ω=2×π×f
ここに、π:円周率、f:測定周波数(Hz)
L:コイルのインダクタンス(H)
Reff:試料を含めたコイルの損失抵抗(Ω)
Rw:ワイヤの交流抵抗(Ω)
このような複素透磁率の実数部分μ’と虚数部分μ”とを用いると、品質係数QはQ=μ’/μ”=1/tanδで表される。このように、コイル用コアにフェライトを用いる場合、使用するフェライト材料の複素透磁率のμ’成分はもとより、虚数成分であるμ”の大小がその特性を決める要因となる。スヌークの限界線から分かるように、所望の周波数領域で品質係数の高い(損失の少ない)コイルを得ようとすれば、適宜効果の高い透磁率の磁性材料を用いることが肝要である。
【0012】
しかしながら、100MHz以上の高周波領域の品質係数の高い(損失の少ない)コイルを得ようとすれば、透磁率およびその実数部分μ’が低く、さらに虚数部分μ”の増加を低く抑えた磁性材料を用いることが望ましい。
【0013】
前記した特許第2893302号公報においては、Q値の向上、高周波化は窺えるものの、コイルの性能を左右する高周波領域における透磁率の虚数成分であるμ”の記載がなく、実数部分であるμ’についても実効透磁率として10MHzの値が挙げられているにすぎない。コイルとして高周波領域の信頼性を量る上ではμ’/μ”で表されるQ値の他にμ’もしくはμ”についても明確にし、制御を行うことが必要である。
【0014】
なお、特許第2893302号公報においては、スピネル型フェライト焼結体にNiO相を適宜分散含有させたものとしているが、このNiO相の存在が明確でない。なぜならば、スピネル相とNiO相の析出量の測定をX線回折線の強度比からの推定で行っているが、使用する回折ピークはスピネル相が(311)相反射と(222)相反射と(400)相反射からであり、NiO相の測定に使用した回折ピークは(111)相反射と(200)相反射である。ところがNiO相の測定に使用した(111)相反射は回折角2θ=56.5°、(200)相反射は回折角2θ=66.3°であり、これらはそれぞれスピネル相の(222)相反射の回折角2θ=56.6°と(400)相反射の回折角2θ=66.3°に等しい。このように、NiO相とスピネル相は回折ピークが重なるため、NiO析出を断定することには疑問があり、NiOがスピネル相に固溶しているとも考えられる。さらに前記公報には、「焼結体の結晶組織を観察したところ、結晶が局部的に著しく偏在しているような状態は認められず、NiO相に分散した状態になっていることが判明した」との記載があるように、NiOのスピネル相への固溶状態を示すものと考えられる。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、スピネル相以外の第2相を出現させると共に、この出現を明確にしてその量を調整することにより、高周波領域での複素透磁率の虚数成分μ”を制御し、これにより極めて良好なQ値が得られる磁性材料とこれを用いたコイル部品と磁性材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段と作用、効果】
請求項1の磁性材料は、少なくともFe、Ni、Cu、Coの酸化物を主成分として含有するスピネル型フェライト焼結体であって、
前記主成分中のFe 2 O 3 の含有率が10.0〜40.0mol%、Fe 2 O 3 /NiOのmol比が0.818以下であり、
前記主成分である酸化物の同時焼成によって生成する(Cu0.2Ni0.8)酸化物相を、前記スピネル型フェライト焼結体に分散含有する
ことを特徴とする。
【0017】
このように、(Cu0.2Ni0.8)酸化物相をフェライト焼結体とは別に分散含有することにより、透磁率の虚数成分μ”の増加する周波数が高周波化し、高周波領域で極めて良好なQ値が得られる。
【0018】
請求項2の磁性材料は、請求項1の磁性材料において、
主成分としてさらにZnを含有する
ことを特徴とする。
【0019】
このように主成分としてZnを含有させることにより、初透磁率を高めることができる。
【0020】
請求項3の磁性材料は、請求項1または2の磁性材料において、
前記(Cu0.2Ni0.8)酸化物相を0から31wt%(ただし0を含まず)分散含有する
ことを特徴とする。
【0021】
前記(Cu0.2Ni0.8)酸化物相の含有率を31wt%以下に設定することにより、良好なQ値が得られる。
【0022】
請求項4のコイル部品は、請求項1から3までのいずれかの磁性材料からなるコアを有する
ことを特徴とする。
【0023】
このようなコアは、粉体にバインダーを加え、造粒した後に所定の形状に成形加工した後、空気中で850℃〜1300℃でコアとして焼成し、Au、Ag、Cu、Fe、Rt、Sn、Ni、Pb、Al、Coまたはこれらの合金等からなるワイヤを巻いて作製する。なお、前記コアの加工は焼成後に行ってもよい。本発明のコイル部品は、前記磁性材料で作製されたコアを有するため、高周波領域において、高いQ値を持つ。
【0024】
請求項5の磁性材料の製造方法は、少なくともFe、Ni、Cu、Coの酸化物を主成分とし、
これらの主成分中のFe 2 O 3 の含有率を10.0〜40.0mol%、Fe 2 O 3 /NiOのmol比を0.818以下として、これらの酸化物を同時焼成することによって(Cu 0.2 Ni 0.8 )酸化物相を分散含有するスピネル型フェライト焼結体を得る
ことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化物磁性材料は、Fe、Ni、Cu、Coを主成分とするものであり、さらに必要に応じてZnを加えて主成分とする。さらにこのフェライト焼結体に好ましくは(Cu0.2Ni0.8)O相を有するものである。この(Cu0.2Ni0.8)O相の含有率は好ましくは0〜31wt%(但し0を含ます)である。また、不純物として、P、Al、B、Mn、Ba、Sr、Pb、W、V、Mo等を含有してもよい。
【0026】
なお、主成分の組成は、所定値以上の透磁率、焼結体密度の特性を得る上で好ましくはFe2O3は5〜51mol%、NiOは10〜94.49mol%、CuOは0.5〜35mol%、ZnOは0〜35mol%、CoOは0.01〜5mol%である。
【0027】
ここで、Fe2O3は5mol%未満であると、焼結体密度に劣化が見られる。そして、Fe2O3は化学量論組成を超えた範囲から、空気中の焼成ではFe2O3の析出により、焼結体密度の劣化およびコアとしての比抵抗の劣化が始まる。この析出が顕著に見られるのは、51mol%を超える範囲である。
【0028】
また、NiOが10mol%未満であると、(Cu0.2Ni0.8)O相の析出が見られず、Q特性が向上しない。NiOはFe2O3、CuO、ZnO、CoOの最低量がそれぞれ最低含有率となる場合の残り全部を占める含有率(94.49mol%)まで含有させることができる。ただし、本発明において、(Cu 0.2 Ni 0.8 )O相の析出 を行なうためには、Fe 2 O 3 の含有率が10.0〜40.0mol%、Fe 2 O 3 /NiOのmol比が0.818以下であることが好ましい。
【0029】
また、CuOが0.5mol%未満であると、(Cu0.2Ni0.8)O相の析出が見られず、35mol%を超えると、コアの比抵抗の劣化が見られる。
【0030】
初透磁率は、使用する周波数により適宜決定すればよいが、初透磁率を管理する上で最も大きな要因となるのがZnOである。所望の初透磁率が低い場合にはZnO量を0とし、これより高い初透磁率を得たい場合はZnO量を増加させることが必要となる。但し、35mol%を超えるとキュリー点が下がり、実用上この値が限界である。
【0031】
透磁率の実数部分μ’および虚数部分μ”の制御を行う上で要因となるのがCoO量であるが、この量が増加することにより、除々にではあるが、初透磁率が低下し、高周波におけるQ特性が向上する。このCoOの添加の効果が現れるのは0.01mol%以上である。但しこのCoOの添加量が増加すると、透磁率の温度特性に劣化が見られ、5mol%を超えると、透磁率の温度に対する変化率が増加するので、実用上のこの値が限界である。
【0032】
【実施例】
(試料)
表1の実施例1、2、3に示す組成となるように主成分として酸化鉄(α−Fe2O3)と酸化ニッケル(NiO)と酸化第2銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)と四三酸化コバルト(Co3O4)とをボールミルにより5時間湿式混合した。次にこれらの原料混合粉末を大気中900℃で2時間仮焼した後、ボールミルにて比表面積が4m2/gとなるように湿式粉砕し、成形用粉末を得た。
【0033】
これらの粉砕粉末にバインダーとして鹸化度が98.5、重合度2400のポリビニールアルコール(PVA124)の3wt%水溶液を10重量部加えて造粒し、後述の測定条件等に合わせて所定の形状に成形し、空気中で1120℃で焼成してコアを作製した。また、比較例として、(Cu0.2Ni0.8)O相の析出が見られないNi−Cu−Znフェライトを比較例1、2とし、本発明の実施例1、2、3と同様の製造条件により作製した磁性材料を用意し、コアを作製した。なお、前記成形用粉末の比表面積の測定は、(株)島津製作所製流動式比表面積自動測定装置、フローソープ2300型でBET−点法により測定した。
【0034】
((Cu0.2Ni0.8)O相の同定)
前述のように、900℃に仮焼成して粉砕した成形用粉末について、表1に示した各サンプルの(Cu0.2Ni0.8)O相の有無の検出と析出量の測定をX線回折装置により行なった。
【0035】
(Cu0.2Ni0.8)O相の定量はX線回折線の強度比により行なった。X線回折装置は、日本電子(株)社製JDX−3530を用い、線源はCr−Kα線を使用した。測定条件は、ステップスキャン法、ステップ角度0.04°、計数時間20秒/ステップで行った。
【0036】
【表1】
【0037】
ここで、(Cu0.2Ni0.8)O相の析出を確認した根拠について説明する。X線回折の結果から、サンプル3、4(実施例1、実施例2)には、サンプル1、2(比較例1、2)には見られない回折角2θ=102°、144°に第2相の出現が見られた。さらに、スピネルのピークと同位置ではあるが、回折角2θ=56.5°、66.3°に強度の増加が見られた。これら4つのピークは、相と回折角2θとの関係を表すASTMカードNo.25−1049に示される(Cu0.2Ni0.8)O相のピークと重なることから、析出が確認された相を(Cu0.2Ni0.8)O相と同定したものである。
【0038】
また、前記カードによれば、回折角2θ=102°は(Cu0.2Ni0.8)O相における(220)反射、2θ=144°は(222)反射、2θ=56.5°は(111)反射、2θ=66.3°は(200)反射であることが確認された。
【0039】
さらにEPMAによる面分析から、NiとCuの元素分布は同位置に存在することが確認された。このことは、先に示したX線回折の結果と一致し、析出が確認された相を(Cu0.2Ni0.8)O相と断定した。
【0040】
また、サンプル1(比較例1)はCuOを含まないフェライトである。このサンプル1においては、(Cu0.2Ni0.8)Oとスピネルの重なり合うピークである回折角2θ=56.5°および2θ=66.3°のピークは増大するものの、スピネルのピークと重ならない2θ=102°の出現が無いことから、(Cu0.2Ni0.8)Oのような第2相の存在は認められない。
【0041】
すなわちサンプル1のように、CuOを含まず、化学量論的に余剰のNiOが析出されると考えられる組成において、Cr線源を用いても得られた回折角のピークはスピネル相と重なりあうものとしか見られなかった。
【0042】
サンプル2は、CuOを含むフェライトであるが、(Cu0.2Ni0.8)Oとスピネルの重なり合うピークである2θ=56.5°と2θ=66.3°のピークは増大するものの、スピネルのピークと重ならない2θ=102°のピークの出現が無いことから、(Cu0.2Ni0.8)Oのような第2相の存在は認められない。
【0043】
表2に(Cu0.2Ni0.8)O相の定量結果を示す。(Cu0.2Ni0.8)Oの析出量の算出については、同定した(Cu0.2Ni0.8)O相をASTMカードNo.25−1049に示される3強線と同じ回折ピークから、その強度比を用い、スピネル相との相対比率を算出した。
【0044】
【表2】
【0045】
(μ’、μ”、Q測定)
各サンプルの成型用粉末を用いて、外径30mm、内径18mm、高さ8mmのトロイダル型となるように成形し、空気中で1120℃で焼成し、ワイヤを3回巻きにすることにより実際にコイル部品を作製した。そして、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製4291A)により、磁界を0.4A/m印加し、周波数を1、2、3、5、7、10、20、30、50、70、100、150、200、280、330、430、500MHzとしてインダクタンスおよび交流抵抗、ワイヤの直流抵抗を測定し、前述した式からμ’、μ”を求めた。また、μ’をμ”で除算することにより、Q値を求めた。各サンプルについてのμ’、μ”、Q値の周波数による変化を、それぞれ図1、図2、図3に示す。
【0046】
(評価)
図1に示すように、(Cu0.2Ni0.8)O相の析出の有無に関わらず、実数部分μ’の挙動に大きな差は見られない。一方、虚数部分μ”は、図2から明らかなように、実施例1〜3の場合、比較例に比較し、周波数の増加に伴う虚数部分μ”の増加する周波数が高周波化している。
【0047】
さらに、Q値については、実施例1〜3の場合、比較例に比較し、ピーク値の高周波化が窺え、その値も大きく向上していることが分かる。このように、(Cu0.2Ni0.8)O相からなる第2相の出現により虚数部分μ”の高周波化が可能であり、また、(Cu0.2Ni0.8)O相の量を調整することによって高周波領域での虚数部分μ”を制御することにより、極めて良好なQ値が得られる磁性材料とこれを用いたコイル部品が得られる。
【0048】
なお、CuはNiと同様にFeとの固溶状態を形成しやすいため、Niに対するFeの含有率を低減することにより、(Cu0.2Ni0.8)Oの析出が実現し易くなる。表1において、サンプル3の実施例1の場合は、Fe 2 O 3 /NiOのmol比は他の実施例より高く、0.818となる。この実施例1のNiに対するFeの原子組成比(Fe/Ni)は2×40/48.9=1.64である。また、表1、表2の対比から明らかなように、特にサンプル4、5の場合のように、Niに対するFeの原子組成比(Fe/Ni)が1以下である場合(サンプル4の場合、2×10.0/86.7=0.23、サンプル5の場合、2×22.9/67.7=0.68)に(Cu0.2Ni0.8)Oの析出が出現しやすくなり、図3に示すように、Q値の高い周波数領域が高周波化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1に示す実施例および比較例の磁性材料を用いて作製したコアの複素透磁率の実数部分μ’と周波数の関係を示す特性図である。
【図2】表1に示す実施例および比較例の磁性材料を用いて作製したコアの複素透磁率の虚数部分μ”と周波数の関係を示す特性図である。
【図3】表1に示す実施例および比較例の磁性材料を用いて作製したコアの複素透磁率の実数部分μ’と虚数部分μ”から算出されたQ値と周波数の関係を示す特性図である。
Claims (5)
- 少なくともFe、Ni、Cu、Coの酸化物を主成分として含有するスピネル型フェライト焼結体であって、
前記主成分中のFe 2 O 3 の含有率が10.0〜40.0mol%、Fe 2 O 3 /NiOのmol比が0.818以下であり、
前記主成分である酸化物の同時焼成によって生成する(Cu0.2Ni0.8)酸化物相を、前記スピネル型フェライト焼結体に分散含有する
ことを特徴とする磁性材料。 - 請求項1の磁性材料において、
主成分としてさらにZnを含有する
ことを特徴とする磁性材料。 - 請求項1または2の磁性材料において、
前記(Cu0.2Ni0.8)酸化物相を0から31wt%(ただし0を含まず)分散含有する
ことを特徴とする磁性材料。 - 請求項1から3までのいずれかの磁性材料からなるコアを有する
ことを特徴とするコイル部品。 - 少なくともFe、Ni、Cu、Coの酸化物を主成分とし、
これらの主成分中のFe 2 O 3 の含有率を10.0〜40.0mol%、Fe 2 O 3 /NiOのmol比を0.818以下として、これらの酸化物を同時焼成することによって(Cu 0.2 Ni 0.8 )酸化物相を分散含有するスピネル型フェライト焼結体を得る
ことを特徴とする磁性材料の製造方法。
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