JP3938447B2 - 抗菌防黴剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌防黴剤に関する技術分野の発明である。
【0002】
【従来の技術】
現在、衣食住に関わる極めて広範囲の分野において多様な抗菌防黴剤が使用されており、これらは有機系の抗菌防黴剤と無機系の抗菌防黴剤に大別される。
【0003】
有機系の抗菌防黴剤としては、パラベン、トリクロサン、第4級アンモニウム塩、塩酸クロルヘキシジン、チアベンダゾール等が用いられており、無機系の抗菌防黴剤としては銀担持ゼオライトや酸化チタン光触媒等が用いられている。
【0004】
これらの抗菌防黴剤は、前述のように、日用雑貨類や化粧品等の衣食住に関する多く種類の製品において用いられ、これらの製品の、細菌や黴による汚染や変質が防止されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの抗菌防黴剤は、現状において、必ずしも満足されているとはいえない。
【0006】
すなわち、有機系の抗菌防黴剤は、無機系の抗菌防黴剤に比べて、配合量における制約が認められ、さらに熱やpHの変化等により、抗菌防黴剤が損なわれてしまう等、その経時的安定性に課題が認められている。
【0007】
一方、無機系の抗菌防黴剤は、熱や薬品による影響は比較的受けにくいものの、有機系の抗菌防黴剤に比べると、一般的に、防黴効果に課題が認められることが指摘されている。さらに、例えば、銀担持ゼオライト等、一般的に高価である場合が多く、コスト面においても課題が認められている。
【0008】
本発明が解決するべき課題は、優れた安定性と抗菌効果と共に、優れた防黴効果が認められ、かつ、安価な、無機系の抗菌防黴剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者は、特定の製法で製造し得る、特徴的な形態を有する、無機系の原料としては比較的安価な酸化亜鉛(国際出願番号PCT/JP98/05165に係わる明細書ないしこれに基づく国際公開公報に開示されている)において、驚くべきことに、優れた抗菌効果と同時に、優れた防黴効果が認められることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明者は、本願において、水を反応溶媒として、亜鉛イオン(Zn 2+ )、炭酸イオン(CO 3 2- )及び水酸イオン(OH - )を、反応水溶液のpHを7〜9に保ち、かつ、水酸イオンの炭酸イオンに対するモル比を、炭酸イオン1に対して水酸イオンが2.5〜3.5に設定して反応させ、この反応水溶液中に生成する塩基性炭酸亜鉛を焼成することにより製造される酸化亜鉛凝集体を有効成分とする抗菌防黴剤を提供する。当該抗菌防黴剤の有効成分として用いられ得る酸化亜鉛凝集体は、平均粒子径が50〜100 nm である一次粒子が面状に集合した酸化亜鉛であって、かつ、そのlnT 360nm /lnT 400nm (T xnm :X nm の透過光での透過率)の値が10以上である酸化亜鉛であり、特に、以下の形態上の特徴を有するものである。ここに挙げた酸化亜鉛凝集体の製造方法の詳細については後述する。
【0011】
▲1▼平均粒子径が50〜100nmの酸化亜鉛の一次粒子が面状に集合した、これらの一次粒子一個分の厚さの凹凸面を有する酸化亜鉛である。
▲2▼上記▲1▼記載の酸化亜鉛の差し渡し径が0.01〜5μm である。
▲3▼上記▲1▼▲2▼記載の酸化亜鉛の面のエッジ部分に10〜200nmおきに不規則に10〜200nmの凹凸が生じている。
なお、ここで、酸化亜鉛の「差し渡し径」とは、一次粒子が面状に集合した酸化亜鉛において、その距離が最大になるように選んだ二点間の距離(最長径)を意味する。
【0012】
この本発明に係わる抗菌防黴剤(以下、本発明抗菌防黴剤という)の有効成分である酸化亜鉛(以下、本発明に関連する酸化亜鉛という)は、以下の製造方法により製造され得る酸化亜鉛の凝集体を、粉砕することにより製造される。
【0013】
すなわち、水を反応溶媒として、亜鉛イオン(Zn2+:例えば、塩化亜鉛,硫酸亜鉛,硝酸亜鉛等の亜鉛の強酸塩により供与される)、炭酸イオン(CO3 2- :例えば、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム等の炭酸塩により供与される)及び水酸イオン(OH- :例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の強塩基により供与される)を、反応水溶液のpHを7〜9に保ち、かつ、水酸イオンの炭酸イオンに対するモル比を4倍以内(水酸イオンが0モルである場合を含むが、概ね2.5〜3.5倍)に設定して反応させ(好ましくは40℃〜70℃で反応させる)、この反応水溶液中に生成する塩基性炭酸亜鉛を焼成する(150℃〜450℃)ことにより、上記の酸化亜鉛の凝集体(以下、本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体という)が製造される。
【0014】
なお、本発明抗菌防黴剤の有効成分としては、上記の本発明に関連する酸化亜鉛と共に、同酸化亜鉛の凝集体を用いることも可能である。
さらに、本発明においては、本発明抗菌防黴剤を含有する、塗料組成物等としての態様で用いられ得る抗菌防黴組成物(以下、本発明抗菌防黴組成物という)を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.本発明抗菌防黴剤について
本発明抗菌防黴剤の有効成分は、上述したように、本発明に関連する酸化亜鉛又はこの酸化亜鉛の凝集体である。
【0016】
本発明に関連する酸化亜鉛は、上述のように、平均粒子径が50〜100nmである一次粒子が面状に集合した酸化亜鉛であって、かつ、そのlnT360nm /lnT400nm (Txnm :Xnmの透過光での透過率)の値が10以上である酸化亜鉛である。
【0017】
本発明において、酸化亜鉛のlnT360nm /lnT400nm (Txnm :Xnmの透過光での透過率)の値が、本発明に関連する酸化亜鉛を規定する性質を有するか否かの指標となる。
【0018】
このlnT360nm /lnT400nm は、長波長紫外線に対する遮蔽性と可視光線に対する透過性との関係を表す指標である。つまり、長波長紫外線(λ=360nm)に対する透過率の対数と、可視光線(λ=400nm)に対する透過率の対数との比をとることによって、対象となる酸化亜鉛の透明度と長波長紫外線に対する遮蔽性の双方の要素が同時に勘案されて、本発明に関連する酸化亜鉛の性質が規定される。
【0019】
このlnT360nm /lnT400nm の値が大きければ、可視光線に対する透過率が高く透明性に優れ、かつ、長波長紫外線の透過率が低く、長波長紫外線の遮蔽性に優れることを意味する。
【0020】
本発明に関連する酸化亜鉛は、このlnT360nm /lnT400nm の値が、10以上であることによって規定される。
言い換えれば、この本発明に関連する酸化亜鉛は、「一次粒子が面状に集合した酸化亜鉛」を、少なくとも一つの単位としている酸化亜鉛であり、かつ、「lnT360nm /lnT400nm の値が、10以上である」という性質を有する限り、その全体としての形状は特に限定されるものではない。後述する「本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体」と、この本発明に関連する酸化亜鉛とは、この酸化亜鉛が、「lnT360nm /lnT400nm の値が、10以上である」という性質を有するのに対し、「酸化亜鉛の凝集体」は、このような、長波長紫外線に対する遮蔽性と可視光線に対する透過性を、それ自体としては伴わないという点において異なる。
【0021】
本発明に関連する酸化亜鉛は、概ね、水を反応溶媒として、亜鉛イオン(Zn2+)、炭酸イオン(CO3 2- )及び水酸イオン(OH- )を、反応水溶液のpHを7〜9に保ち、かつ、水酸イオンの炭酸イオンに対するモル比を4倍以内(水酸イオンが0モルである場合を含む)に設定して反応させ、この反応水溶液中に生成する塩基性炭酸亜鉛を焼成することにより生成する、その微視的形態が、いわばカーネーションの花のように、本発明に関連する酸化亜鉛が互いに凝集した形態の酸化亜鉛の凝集体を、通常公知の手段により、粉砕することにより製造される。
【0022】
上記の亜鉛イオンの供与物質としては、例えば、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛の強酸塩が挙げられる。また、上記の炭酸イオンの供与物質としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩が挙げられる。さらに上記の水酸イオンの供与物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基が挙げられる。
【0023】
通常、上記工程により生成される塩基性炭酸亜鉛は、亜鉛イオンが溶解している水溶液と、炭酸イオンと水酸イオンが溶解している水溶液を、反応水溶液のpHが7〜9に保たれるように混合することにより製造することができる。
【0024】
上記の炭酸イオンと水酸イオンのモル比は、炭酸イオン1に対して水酸イオンが4以下(水酸イオンが0モルの場合を含む)が好ましく、同じく炭酸塩1に対して強塩基が2.5〜3.5であることが、特に好ましい。
【0025】
この両アルカリイオンのモル比において、炭酸イオンが過剰になると、反応溶液中に反応しないで残留する炭酸イオンが蓄積することになり、その結果、上述の酸化亜鉛の凝集体の微視的な形態がカーネーションの花状ではなく、カード状ないし板状になり、これを粉砕しても、抗菌防黴効果が緩徐な酸化亜鉛しか提供されず、好ましくない。また、水酸イオンが過剰になると、上記の酸化亜鉛の凝集体において、米状の巨大な粒子が認められ、これを粉砕しても、抗菌防黴効果が緩徐な酸化亜鉛が提供されることになり好ましくない。
【0026】
上述の反応水溶液における、塩基性炭酸亜鉛生成工程は、反応水溶液における炭酸イオンの消費量が適切である限り、特に、その態様が限定されるものではない。すなわち、上述のように、炭酸イオン及び水酸イオンを含むアルカリ性混合液と、酸性の亜鉛イオン溶液を滴下して行うことも可能であり、炭酸イオン溶液及び水酸イオン溶液を、別々に滴下することも可能であり、さらに経時的に反応水溶液中に炭酸イオンが蓄積することを考慮して、徐々にアルカリ性混合液における炭酸イオン量を、反応水溶液における炭酸イオンの蓄積量に応じて減じることも可能である。
【0027】
上述のごとく、反応水溶液のpHは7〜9が適切である。このpHが9を超えると、生成する上述の酸化亜鉛の凝集体において、米状の粒子やテトラポット状の粒子が発生し、これを粉砕しても、抗菌防黴効果が緩徐な酸化亜鉛が提供されることになり好ましくない。また、このpHが7未満であると、塩基性炭酸亜鉛の生成効率が極端に低下することになり好ましくない。
【0028】
また、反応水溶液の温度は40〜70℃であることが好ましい。この温度が40℃未満になると、塩基性炭酸亜鉛の生成効率が低下し、70℃を超えると米状の粒子やテトラポット状の粒子が発生し、抗菌防黴効果が緩徐な酸化亜鉛が提供されることになり好ましくない。
【0029】
塩基性炭酸亜鉛から本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体を生成するための焼成は、概ね150℃〜450℃の範囲で行うことが好ましい。焼成温度が450℃を超えると、酸化亜鉛の粒子の焼結が過度に進行して、製造される酸化亜鉛の凝集体の抗菌防黴効果が低下することになり好ましくない。また、焼成温度が150℃未満であると、焼成による脱炭酸反応の進行が著しく緩徐になり実用性に乏しく、好ましくない。
【0030】
焼成時間は、設定した焼成温度に応じて適宜選択することができる。すなわち、焼成温度を低く設定した場合には長時間の焼成を必要とし(例えば150℃では数日間の焼成が必要である)、高く設定した場合には短時間の焼成時間で脱炭酸反応が完了する(例えば250℃では数時間の焼成で脱炭酸反応が完了する)。
【0031】
このように、塩基性炭酸亜鉛を焼成することにより、本発明に関連する酸化亜鉛が、互いに、いわばカーネーションの花状の微視的な形態となるように凝集した、本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体を得ることができる。
【0032】
この本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体の微視的な形態は、カーネーションの花状であるが、かかる凝集体一単位の全体的な形態は、上述の反応条件によっても変わり得るものであり、特に限定されるものではない。
【0033】
上述のような工程を経て得られる、本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体を、粉砕することにより、本発明に関連する酸化亜鉛を製造することができる。
かかる粉砕手段は、粉体の粉砕において用いられている通常公知の粉砕手段を用いることができる。具体的には、三本ローラー、超音波破砕器、ビーズミル、モーターミル、リングミル、アトマイザー、パルベライザー等、好ましくは、三本ローラー、モーターミルによる機械的な粉砕を、本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体に対して行うことにより、本発明に関連する酸化亜鉛を製造することができる。
【0034】
このようにして、平均粒子径が50〜100nmである一次粒子が面状に集合した酸化亜鉛であって、かつ、そのlnT360nm /lnT400nm (Txnm :Xnmの透過光での透過率)の値が10以上である、本発明に関連する酸化亜鉛が提供される。
【0035】
この本発明に関連する酸化亜鉛は、以下のような外観を有する。
▲1▼平均粒子径が50〜100nmの酸化亜鉛の一次粒子が面状に集合した、これらの一次粒子一個分の厚さの凹凸面を有する酸化亜鉛である。
▲2▼上記▲1▼記載の酸化亜鉛の差し渡し径が0.01〜5μm である。
▲3▼上記▲1▼▲2▼記載の酸化亜鉛の面のエッジ部分に10〜200nmおきに不規則に10〜200nmの凹凸が生じている。
【0036】
このようにして製造され得る、本発明に関連する酸化亜鉛又はその凝集体には、優れた抗菌防黴効果が認められ、本発明抗菌防黴剤の有効成分として用いられる。
【0037】
なお、本発明に関連する酸化亜鉛やその凝集体に、常法により、撥水処理等の表面処理を施し、これを本発明抗菌防黴剤の有効成分とすることも可能である。また、本発明に関連する酸化亜鉛又はその凝集体は、そのまま、粉体形態の本発明抗菌防黴剤として用いることも可能であり、適宜、必要に応じて、他の成分と共に組み合わせた形態で、本発明抗菌防黴剤を構成することも可能である。
【0038】
本発明抗菌防黴剤における、本発明に関連する酸化亜鉛又はその凝集体の配合量は、具体的な形態や用途等により、適宜選択されるべきものであり、剤全体の100重量%の場合を含めて特に限定されるものではない。
【0039】
本発明抗菌防黴剤に配合され得る、他の成分は、本発明の所期の効果である、抗菌防黴効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、水、エタノール、シリコーンオイル等の液体成分;ポリ塩化ビニル、セルロースの酢酸エステル、セルロースのプロピオン酸エステル、ポリプロピレン、ポリエステル、塩素化ポリエステル、ナイロン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂類;酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト等の無機粉体等を、必要に応じて配合することができるが、これらの成分に限定されるものではない。
【0040】
これらの他の成分は、本発明抗菌防黴剤の有効成分である、本発明に関連する酸化亜鉛又はその凝集体に付随させることにより、所望する抗菌防黴効果を発揮させることを第一義として配合される成分である。つまり、これらの他の成分は、本発明抗菌防黴組成物(後述する)における用途(例えば、塗料組成物としての用途や外用組成物としての用途)を満足させるために、本発明抗菌防黴組成物に配合される諸成分とは、その意味合いが異なる成分である。
【0041】
本発明抗菌防黴剤の用途は、実に多様であり、例えば、壁、天井などの屋内塗料や床材、壁紙等の建築部材、さらに日用製品の原材料となる樹脂、紙、繊維等において用いることにより、優れた抗菌防黴効果が発揮される。
【0042】
B.本発明抗菌防黴組成物について
本発明抗菌防黴組成物は、上述したような本発明抗菌防黴剤の多様な用途に対応した、優れた抗菌防黴効果が認められる、本発明抗菌防黴剤を含有する組成物である。この本発明抗菌防黴組成物の具体的な態様は、特に限定されず、例えば、塗料組成物や外用組成物としての態様を採り得る。
【0043】
本発明抗菌防黴組成物における、本発明抗菌防黴剤の含有量は、組成物の具体的な態様や目的等によって、適宜選択され得るものであり、特に限定されるべきものではない。
【0044】
また、本発明抗菌防黴組成物においては、その使用前においても使用後においても、本発明抗菌防黴剤が、可能な限り分散した状態で存在していることが、その抗菌防黴効果が、より効果的に発揮され得るという点において好ましい。よって、本発明抗菌防黴組成物においては、本発明抗菌防黴剤を、組成物内において分散させるための手段、例えば、攪拌や組成物の構成に応じた分散剤の使用等を行うことができる。
【0045】
本発明抗菌防黴組成物の代表的な態様の一つである塗料組成物は、最初は流動性を有し、物の表面に塗り広げて付着させ、その後、乾燥過程を経て連続被膜を形成させるための組成物である。
【0046】
塗料組成物においては、その使用される環境によっては、黴や細菌の存在によって、塗布面が汚染されてしまうという問題点が、常に付きまとう。特に、風呂場等の湿った環境において用いられる場合には、塗布面が、黴によって、容易に汚染されてしまうことは、よく知られている事実である。
【0047】
本発明抗菌防黴組成物を、塗料組成物として用いることにより、このような黴や細菌による汚染を、極めて効果的に防ぐことが可能である。
塗料組成物として用いられる本発明抗菌防黴組成物には、本発明抗菌防黴剤の他に、通常、塗料組成物中に配合され得る成分が、本発明の所期の効果を妨げない限度で配合され得る。
【0048】
具体的には、塗膜形成成分として、重合油、天然若しくは合成樹脂、セルロースやゴム誘導体等の高分子物質等の塗膜形成主要成分;可塑剤、乾燥剤、硬化剤、皮張り防止剤、流動性調整剤(増粘剤、平坦化剤等)、たれ防止剤、防さび剤等の塗膜形成状助成分;各種の顔料等を、本発明抗菌防黴組成物中に配合することができる。
【0049】
また、上記の塗膜形成成分を溶解するための溶剤も、適宜選択して用いることができる。
この態様の本発明抗菌防黴組成物は、各種の塗料、例えば、建築塗料、石材塗料、車両塗料、船舶・船底塗料、木材塗料、機具塗料、標識塗料、電気絶縁塗料、導電・半導電塗料、耐薬品性塗料、防食塗料、耐熱塗料、防火塗料、示温塗料、発光塗料、殺虫塗料等に広く用いることが可能である。
【0050】
また、本発明抗菌防黴組成物が、化粧料等の外用組成物である場合、本発明抗菌防黴剤の有効成分として用いられる、本発明に関連する酸化亜鉛が、抗菌防黴効果と同時に、非常に優れる紫外線遮蔽効果と透明性を兼ね備えているため、外用組成物において、これらの光学面の効果を発揮させつつ、従来、配合されているパラベン等の有機系の抗菌防黴剤の配合を省略又は減量することが可能になる(これらの光学的な効果を企図せず、純粋に「抗菌防黴剤」として用いることも勿論可能である)。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例等において、より具体的に説明するがこの実施例により本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。
〔製造例〕 本発明に関連する酸化亜鉛の製造
反応容器に1000mlのイオン交換水を入れ、これを60℃に加熱して、この温度を維持した(反応水溶液)。
【0052】
これとは別に、炭酸ナトリウム(炭酸ナトリウム10水塩)と水酸化ナトリウムとを1:3.25のモル比率で、200mlのイオン交換水に溶解したアルカリ調整液を調製した。
【0053】
ポンプを接続したpHコントローラーを用いて、上記の反応水溶液のpHを8.0に保ちながら、1.0M塩化亜鉛水溶液(0.1M塩酸を含む)及び上記アルカリ調整液を滴下した。
【0054】
塩化亜鉛水溶液を1000ml滴下した時点で、滴下を終了し、0.4μm フィルターで、反応液をろ過して、ひき続き、水洗とろ過を3回繰り返した。
このようにして得た残査を、150℃で12時間乾燥した後、400℃で2時間の焼成を施し、本発明に関連する酸化亜鉛の凝集体を得た。
【0055】
この凝集体を粉砕後、100メッシュの篩をかけて、所望する本発明に関連する酸化亜鉛の粉末を回収した。
〔試験例1〕 抗菌防黴試験
上記製造例により得られた本発明に関連する酸化亜鉛の粉末を、製剤用打錠機を用いて直径8mmの円盤状に打錠成型し、これを、あらかじめ前培養していたアオカビ(Penicillium sp.)、クロカビ(Aspergillus niger )、カンジダ菌(Candida albicans ATCC10231)、大腸菌(Escherichia coli ATCC8739 )、黄色ブドウ球菌(Stapyhlococcus aureus FDA209P )の各供試菌株を塗布した培地上に静置した。
【0056】
このようにして調製した、培養サンプルを、アオカビ、クロカビ、カンジダ菌については、25℃で72時間、その他のバクテリアについては、30℃で48時間培養し、本発明に関連する酸化亜鉛の存在により生成した、これらの微生物の生育阻止帯を観察した(試験品1)。
【0057】
なお、比較品1として、幅広い抗菌スペクトルを持つ無機系抗菌剤として知られている「Zeomic」〔(株)シナネンゼオミック社製〕を、比較品2として、現在、化粧料において最も一般的に用いられている酸化亜鉛で、抗菌能が認められている「亜鉛華」〔(株)正同化学社製〕を、上記の本発明に関連する酸化亜鉛の粉末と同様に、直径8mmの円盤状に打錠成型し、各カビ、酵母およびバクテリアの各供試菌株を塗布した培地上に静置し、上記と同様の条件で、生成したこれらの微生物の生育阻止帯の直径を測定した。生育阻止帯の直径が大きいほど、抗菌防黴能に優れていることが示される。
【0058】
この抗菌防黴試験の結果を、第1表に示す(表中の数字はmmを表す)。
【0059】
【表1】
Figure 0003938447
この結果から、実施例1の粉末は各供試菌に対し抗菌防黴性を有しており、特に現在知られている無機系の抗菌剤と比較して、カビ(アオカビ、クロカビ)及び酵母(カンジダ菌)に対する効果が優れていることが判明した。
【0060】
〔製造例2〕 本発明抗菌防黴剤を配合した抗菌防黴塗料の製造
製造例1で得られた粉末を用いて抗菌防黴塗料を製造した(試験品2)。また、比較品3として、試験品2における酸化亜鉛粉末を、前記の「Zeomic」〔(株)シナネンゼオミック社製〕と置換した塗料を、比較例4として、試験品2における酸化亜鉛粉末を抜去した塗料を、常法により製造した。
【0061】
これらの塗料の組成を、第2表に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003938447
〔試験例2〕 塗料の防黴試験(1)
試験品2、比較品3及び比較品4の塗料を用いて、これらの塗料の抗菌防黴試験を行った。
【0063】
具体的には、100mm×100mm×10mmに切断した木材(ヒノキ)のサンプル表面に、これらの塗料を、塗料用刷毛で塗布し、80℃で15時間乾燥した。これらの木材サンプル3枚と、表面に何も塗布していない木材サンプルの計4枚を、カビ汚染の激しい風呂場の壁に固定し、これらの木材サンプルの表面に生育するカビの様子を、目視で観察した(塗布後、2週間後、4週間後、8週間後及び12週間後において観察した)。
【0064】
なお、この風呂場に主に生育しているカビは、クラドスポリウム(Cladosporium)属であった。
この木材サンプル表面の観察結果を、第3表に示す。
【0065】
【表3】
Figure 0003938447
このように、試験品2は、他のサンプルと比較して、経時的に非常に優れた防黴効果を発揮していることが明らかになった。
【0066】
このことは、本発明抗菌防黴剤を、配合した製品にも、非常に優れた防黴効果が認められることを、明らかに示すものである。
〔試験例3〕 塗料の防黴試験(2)
第1図に示すように、10mm×10mm×3mmの白色タイル12枚を市販のタイル用目地材を用いて、2.5mmの間隔をおいて固定し固化させ試験サンプルとした(第1図において、1がタイルで、2が固化させた目地材である)。
【0067】
このサンプルの表面に、上記の試験品2、比較品3及び比較品4の塗料を、塗料用刷毛で塗布し80℃で15時間乾燥した。これら3枚と、表面に何も塗布していないタイル目地サンプルの計4枚を用いて、防黴試験を行った。
【0068】
すなわち、これらのサンプルを角シャーレに入れ、アオカビ及びクロカビの野性株を含んだ水を噴霧した。その後、サンプルの静置温度を25℃に保持し、3〜4日に1度、希釈した上記のカビの培養液を噴霧し、1週間ごとにサンプル表面のカビの生育状態を、目視で観察した。その結果を、第4表に示す。
【0069】
【表4】
Figure 0003938447
このように、試験品2の塗料を用いたサンプルは、他の塗料を用いたサンプルと比較して、明らかに優れた防黴性を発揮し得ることが明らかになった。なお、Zeomic((株)シナネンゼオミック社製)を含有する比較品3の塗料を用いたサンプルは、塗料自体が茶色に変色してしまい、タイルの意匠性が著しく損なわれてしまった。
【0070】
【発明の効果】
本発明により、優れた安定性と抗菌効果と共に、優れた防黴効果が認められ、かつ、安価に提供され得る、無機系の抗菌防黴剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例3のサンプルの構成を示した図面である。

Claims (6)

  1. 水を反応溶媒として、亜鉛イオン(Zn 2+ )、炭酸イオン(CO 3 2- )及び水酸イオン(OH - )を、反応水溶液のpHを7〜9に保ち、かつ、水酸イオンの炭酸イオンに対するモル比を、炭酸イオン1に対して水酸イオンが2.5〜3.5に設定して反応させ、この反応水溶液中に生成する塩基性炭酸亜鉛を焼成することにより製造される酸化亜鉛凝集体を有効成分とする、抗菌防黴剤
  2. 上記抗菌防黴剤の有効成分である酸化亜鉛凝集体の製造が、下記(1)〜(3)の条件に従うことを特徴とする、請求項1記載の抗菌防黴剤。
    (1)反応水溶液中における亜鉛イオン供与物質が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛若しくは硝酸亜鉛である。
    (2)同炭酸イオン供与物質が、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムである。
    (3)同水酸イオン供与物質が、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムである。
  3. 上記抗菌防黴剤の有効成分である酸化亜鉛凝集体を製造する際の反応水溶液の温度が40℃〜70℃であることを特徴とする、請求項1又は2記載の抗菌防黴剤。
  4. 抗菌防黴剤の有効成分が、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌防黴剤の有効成分である酸化亜鉛凝集体の粉砕物であることを特徴とする、抗菌防黴剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌防黴剤を含有する、抗菌防黴組成物。
  6. 抗菌防黴組成物が塗料組成物である、請求項5記載の抗菌防黴組成物。
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