JP3938288B2 - 駆動力伝達制御装置、プログラム、記録媒体 - Google Patents

駆動力伝達制御装置、プログラム、記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動力伝達制御装置、プログラム、記録媒体に係り、詳しくは、トランスミッション,トランスファ,ディファレンシャルなどに適用される駆動力伝達制御装置、その駆動力伝達制御装置を実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両のトランスミッション,トランスファ,ディファレンシャルなどに適用される駆動力伝達装置が種々提案されている。
本出願人も、この種の駆動力伝達装置の一例として、特開平10−231861号公報に開示されるように、相対回転可能に配置された第1回転部材および第2回転部材と、前記第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を制御するクラッチ機構と、前記クラッチ機構の動作を制御する電磁石と、前記クラッチ機構の機能を保持するオイルと、前記クラッチ機構およびオイルが収納された空間を周囲の空間から液体密に隔ててオイル室を形成する隔離機構とを備えた駆動力伝達装置を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に記載の駆動力伝達装置では、前記オイルの粘性抵抗が大きい場合、電磁石を構成する電磁コイルへの通電電流がゼロでクラッチ機構が非作動状態であっても、第1回転部材と第2回転部材との間でトルク伝達が生じることがある。このように、通電電流がゼロの場合に生じるトルク伝達は引きずりトルクと呼ばれ、この引きずりトルクは前記オイルの温度変化による粘性抵抗の変化の影響を受ける。
この引きずりトルクが生じると、第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達が引きずりトルク分だけ増大し、最適なトルク伝達が得られなくなるという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、以下の目的を有するものである。
(1)引きずりトルクに応じて最適なトルク伝達を得ることが可能な駆動力伝達制御装置を提供する。
(2)上記(1)の駆動力伝達制御装置を実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供する。
(3)上記(2)のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段・作用および発明の効果】
係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、相対回転可能に配置された第1回転部材および第2回転部材と、前記第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を制御するクラッチ機構と、そのクラッチ機構のクラッチプレート間に介在するオイルと、前記クラッチ機構を駆動する駆動手段とを有する駆動力伝達装置と、その駆動力伝達装置における前記駆動手段の動作を制御する制御装置とを備えた駆動力伝達制御装置において、前記制御装置は、前記第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を指令するための伝達トルク指令値を演算する伝達トルク指令値演算手段と、前記オイルの粘性抵抗により前記第1回転部材と第2回転部材との間で伝達される引きずりトルクを演算する引きずりトルク演算手段と、その引きずりトルク演算手段が演算した引きずりトルクに応じて、前記伝達トルク指令値演算手段が演算した伝達トルク指令値を補正した伝達トルク補正指令値を演算する伝達トルク補正指令値演算手段と、その伝達トルク補正指令値演算手段が演算した伝達トルク補正指令値に従い、前記駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えたことをその要旨とする。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明によれば、クラッチ機構の非作動状態にて第1回転部材と第2回転部材との間で伝達される引きずりトルクを演算して求め、その引きずりトルクに応じて伝達トルク指令値を補正した伝達トルク補正指令値を演算して求め、その伝達トルク補正指令値に従い駆動手段の動作を制御している。そのため、引きずりトルクに応じて最適なトルク伝達を得ることができる。
【0007】
ところで、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の駆動力伝達制御装置において、前記第1回転部材の回転速度と前記第2回転部材の回転速度との差である差動回転速度を演算する差動回転速度演算手段を備え、前記引きずりトルク演算手段は、前記差動回転速度演算手段が演算した差動回転速度に基づいて引きずりトルクを演算するようにすればよい。
【0008】
次に、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の駆動力伝達制御装置において、前記駆動力伝達装置の表面温度に基づいて、前記差動回転速度と前記伝達トルク指令値との関係を補正するための第1補正係数を決定する第1補正係数決定手段を備え、前記引きずりトルク演算手段は、前記第1補正係数決定手段が決定した第1補正係数を、前記差動回転速度に乗算することにより、前記引きずりトルクを演算することをその要旨とする。
従って、請求項3に記載の発明によれば、引きずりトルクを前記オイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた値にすることができる。
【0009】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置において、前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値が前記引きずりトルク以上の場合、前記伝達トルク指令値から前記引きずりトルクを減算することにより、前記伝達トルク補正指令値を演算することをその要旨とする。
従って、請求項4に記載の発明によれば、引きずりトルク分により伝達トルク補正指令値が不要に増大するのを防止し、最適な伝達トルク補正指令値を得ることができる。そして、引きずりトルクを前記オイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた値にしているため、特に、カップリングオイルの粘性抵抗が大きな低温時において、最適な伝達トルク補正指令値を得ることができる。そのため、低温時に伝達トルク補正指令値が不要に増大して駆動力伝達装置に故障が起こるのを未然に防止できる。
【0010】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の駆動力伝達制御装置において、前記駆動力伝達装置の表面温度に基づいて、前記駆動手段が前記クラッチ機構を駆動する駆動力と前記伝達トルク指令値との関係を補正するための第2補正係数を決定する第2補正係数決定手段を備え、前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値から前記引きずりトルクを減算した値を、前記第2補正係数決定手段が決定した第2補正係数で除算することにより、前記伝達トルク補正指令値を演算することをその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によれば、前記オイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた伝達トルク補正指令値を得ることが可能になり、その伝達トルク補正指令値に従い、前記オイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じて、駆動手段の動作を最適に制御することができる。
【0011】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置において、前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値が前記引きずりトルクより小さい場合、前記伝達トルク補正指令値をゼロに決定するか、または、前記伝達トルク補正指令値を前記駆動力伝達装置が故障を起こさないための所定の小さな値に決定することをその要旨とする。
従って、請求項6に記載の発明によれば、第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達が不要に増大するのを防止することが可能になり、駆動力伝達装置に故障が起こるのを未然に防止できる。
【0012】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置における前記制御装置の各手段として、コンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供するものである。
つまり、請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置における前記制御装置の各手段を実現するための機能は、コンピュータシステムで実行されるプログラムとして備えることができる。
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置における前記制御装置の各手段として、コンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
このようなプログラムの場合、例えば、ROMやバックアップRAMをコンピュータで読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いることができる。
この他、半導体メモリ(メモリスティックなど),ハードディスク,フロッピーディスク,データカード(ICカード,磁気カードなど),光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVDなど),光磁気ディスク(MOなど),相変化ディスク,磁気テープなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に前記プログラムを記録しておき、そのプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いてもよい。ちなみに、前記記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
【0013】
尚、上述した[特許請求の範囲]および[課題を解決するための手段および発明の効果]に記載した構成要素と、後述する[発明の実施の形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
「第1回転部材」は、アウタケース10aおよびリヤカバー11bに該当する。
「第2回転部材」は、インナシャフト10bに該当する。
「クラッチ機構」は、メインクラッチ機構10c、パイロットクラッチ機構10d、カム機構10eから構成される。
「オイル」は、カップリングオイル室Dに封入されたカップリングオイルに該当する。
「駆動手段」は、電磁石13に該当する。
「制御装置」は、電子制御装置(ECU)18に該当する。
【0014】
「伝達トルク指令値演算手段」は、CPU18gにおけるS3〜S8の処理に該当する。
「引きずりトルク演算手段」は、CPU18gにおけるS46の処理に該当する。
「伝達トルク補正指令値演算手段」は、CPU18gにおけるS48〜S52の処理に該当する。
【0015】
「制御手段」は、CPU18gにおけるS11の処理および各駆動回路18c,18dにおけるS12の処理に該当する。
「差動回転速度演算手段」は、CPU18gにおけるS6の処理に該当する。
「第1補正係数」は、補正係数Kdnに該当する。
「第1補正係数決定手段」は、CPU18gにおけるS44の処理に該当する。
「第2補正係数」は、補正係数Ktempに該当する。
「第2補正係数決定手段」は、CPU18gにおけるS42の処理に該当する。
「記録媒体」は、ROM18hに該当する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面と共に説明する。
[実施形態の主要構成]
図1は、本実施形態の駆動力伝達装置(カップリング)10の要部概略断面図である。
図2は、駆動力伝達装置10を搭載した四輪駆動車の概略構成図である。
図2に示すように、駆動力伝達装置10は、四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達経路に搭載されている。尚、図1に示すように、駆動力伝達装置10の主要部は回転軸線Lに対して略対称の構成であるため、図1には駆動力伝達装置10の略半分の部位を示し、他の略半分の部位は省略してある。
【0017】
図2に示すように、四輪駆動車において、トランスアクスル21はトランスミッション,トランスファ,フロントディファレンシャルを一体に備えるもので、エンジン22の駆動力をトランスアクスル21のフロントディファレンシャル23を介して、両アクスルシャフト24a,24aに出力して左右の前輪24b,24bを駆動させると共に、第1プロペラシャフト25側に出力させる。
第1プロペラシャフト25は、駆動力伝達装置10を介して第2プロペラシャフト26に連結されている。第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト26がトルク伝達可能に連結された場合、エンジン22の駆動力は、リヤディファレンシャル27に伝達され、リヤディファレンシャル27から両アクスルシャフト28a,28aへ出力されて左右の後輪28b,28bを駆動させる。
【0018】
各車輪24b,24b,28b,28bには各車輪の回転速度を検出する各回転センサ5〜8が備えられており、各回転センサ5〜8からは各車輪速(車輪回転速度)N1〜N4の信号が出力される。各車輪速N1〜N4は、各車輪の回転数〔rpm〕に一致または比例したデータである。
エンジン22のスロットルバルブ(図示略)にはスロットルバルブの開度を検出するスロットルバルブ開度センサ2が備えられており、スロットルバルブ開度センサ2からはスロットルバルブ開度mの信号が出力される。
そして、各車輪速N1〜N4およびスロットルバルブ開度mの信号と、イグニッションスイッチ(IG)3の出力信号と、後述する駆動モード切換スイッチ1の出力信号とが、電子制御装置(ECU)18に入力される。
駆動力伝達制御装置19は、駆動力伝達装置10およびECU18から構成されている。
【0019】
図2に示すように、駆動力伝達装置10は、第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト26との間に配設されており、図1に示すように、アウタケース10a、インナシャフト10b、メインクラッチ機構10c、パイロットクラッチ機構10d、カム機構10eを備えている。
【0020】
図1に示すように、アウタケース10aは、有底筒状のハウジング11aと、ハウジング11aの後端開口部に嵌合螺着されて同開口部を覆蓋するリヤカバー11bとにより形成されている。
インナシャフト10bは、リヤカバー11bの中央部を液密的に貫通してアウタケース10a内に同軸的に挿入されており、軸方向を規制された状態で、ハウジング11aとリヤカバー11bとに回転可能に支持されている。インナシャフト10bには、図2に示す第2プロペラシャフト26の先端部がトルク伝達可能に連結されている。
また、アウタケース10aを構成するハウジング11aの前端部には、図2に示す第1プロペラシャフト25の末端部がトルク伝達可能に連結されている。
【0021】
メインクラッチ機構10cは湿式多板式の摩擦クラッチであり、複数のクラッチプレート(インナクラッチプレート12a、アウタクラッチプレート12b)を備え、ハウジング11a内に配設されている。
各インナクラッチプレート12aは、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。また、各アウタクラッチプレート12bは、ハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。各インナクラッチプレート12aと各アウタクラッチプレート12bとは交互に配置され、互いに当接して摩擦係合すると共に、互いに離間して自由状態となる。
【0022】
パイロットクラッチ機構10dは電磁クラッチであり、電磁石13、摩擦クラッチ14、アーマチャ15、ヨーク16から構成されている。
環状の電磁石13は、回転軸線L周りに巻回された電磁コイル13aから構成され、ヨーク16に嵌着された状態でリヤカバー11bの環状凹所11dに所定の隙間を介して嵌合されている。ヨーク16は、リヤカバー11bの後端部の外周に回転可能に支持された状態で車体側に固定されている。
リヤカバー11bは、半径方向の断面形状が略L字形の磁性材料から成る内筒部と、その内筒部の外周に設けられた略環状の磁性材料から成る外筒部と、その内筒部と外筒部との間に固定された略環状の非磁性材料から成る遮断部材11cとから形成されている。
【0023】
摩擦クラッチ14は、複数のクラッチプレート(アウタクラッチプレート14a、インナクラッチプレート14b)を備えた湿式多板式の摩擦クラッチである。
各アウタクラッチプレート14aは、ハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。また、各インナクラッチプレート14bは、後述するカム機構10eを構成する第1カム部材17aの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。
環状のアーマチャ15は、ハウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられており、摩擦クラッチ14の前側に配置されて摩擦クラッチ14と対向している。
【0024】
このように構成されたパイロットクラッチ機構10dでは、電磁石13の電磁コイル13aへの通電により、電磁石13を基点としてヨーク16→リヤカバー11b→摩擦クラッチ14→アーマチャ15の経路で循環する磁束が通るループ状の循環磁路が形成される。電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流(励磁電流)は、ECU18におけるデューティ制御により設定された所定の電流値に制御される。
電磁石13の電磁コイル13aヘの通電の断続は、図2に示す駆動モード切換スイッチ1の切換操作によりなされ、後述する3つの駆動モードを選択できるようになっている。
駆動モード切換スイッチ1は、車室内(図示略)の運転席の近傍に配設されており、運転者が容易に操作できるようになっている。尚、駆動力伝達制御装置19を後述する第2の駆動モード(AUTOモード)のみの構成とした場合には、駆動モード切換スイッチ1を省略することができる。
【0025】
変換機構であるカム機構10eは、第1カム部材17a、第2カム部材17b、カムフォロアー17cから構成されている。
第1カム部材17aは、インナシャフト10bの外周に回転可能に嵌合され、且つ、リヤカバー11bに回転可能に支承されており、その外周に摩擦クラッチ14のインナクラッチプレート14bがスプライン嵌合している。
第2カム部材17bは、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌合されて一体回転可能に組み付けられており、メインクラッチ機構10cのインナクラッチプレート12aの後側に対向して配置されている。
第1カム部材17aと第2カム部材17bとの互いに対向するカム溝には、ボール状のカムフォロアー17cが嵌合されている。
【0026】
リヤカバー11bとインナシャフト10bの外周との間にはゴム状弾性体によって形成されたXリング11eが装着され、Xリング11eによりリヤカバー11bとインナシャフト10bとの間が液密にシールされている。
また、リヤカバー11bとハウジング11aの内周との間にはゴム状弾性体によって形成されたOリング11fが装着され、Oリング11fによりリヤカバー11bとハウジング11aとの間が液密にシールされている。
そして、ハウジング11aとリヤカバー11bとインナシャフト10bとによって取り囲まれた空間が、Xリング11eとOリング11fとにより液密にシールされてカップリングオイル室Dが形成されている。
【0027】
カップリングオイル室Dには、メインクラッチ機構10cおよびパイロットクラッチ機構10dの各インナクラッチプレート12a,14bおよび各アウタクラッチプレート12b,14aの耐摩耗性,切れ性,ジャダー性を良好に維持する特性を備えたカップリングオイル(例えば、鉱油系の潤滑油に各種の添加剤を添加したもの)が封入されている。
そして、各インナクラッチプレート12a,14bおよび各アウタクラッチプレート12b,14aは当該カップリングオイルに浸漬されている。
【0028】
このように構成された駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイル13aが非通電状態にある場合には磁路は形成されず、摩擦クラッチ14は非係合状態になり、パイロットクラッチ機構10dは非作動状態になる。すると、カム機構10eを構成する第1カム部材17aはカムフォロアー17cを介して第2カム部材17bと一体回転可能になり、メインクラッチ機構10cは非作動状態になるため、車両は、二輪駆動である第1の駆動モード(2WDモード)となる。
【0029】
また、電磁石13の電磁コイル13aへの通電がなされると、パイロットクラッチ機構10dには電磁石13を基点とするループ状の循環磁路が形成されて磁力が発生して、電磁石13はアーマチャ15を吸引する。そのため、アーマチャ15は摩擦クラッチ14を押圧し摩擦係合してトルクを発生させ、カム機構10eの第1カム部材17aをアウタケース10a側へ連結させて、第2カム部材17bとの間に相対回転を生じさせる。すると、カム機構10eでは、カムフォロアー17cが両カム部材17a,17bを互いに離間する方向ヘ移動させるスラスト力が発生する。
【0030】
そのため、第2カム部材17bはメインクラッチ機構10c側へ押動され、ハウジング11aの奥璧部と第2カム部材17bとでメインクラッチ機構10cを押圧し、摩擦クラッチ14の摩擦係合力に応じてメインクラッチ機構10cを摩擦係合させる。これにより、アウタケース10aとインナシャフト10bとの間でトルク伝達が生じ、車両は、第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト26とが非連結状態とロック状態との間で四輪駆動である第2の駆動モード(AUTOモード)となる。
【0031】
この第2の駆動モードでは、車両の走行状態に応じて、前後輪間の駆動力分配比を100:0(二輪駆動状態)からロック状態の範囲で制御することができる。
また、第2の駆動モードでは、各回転センサ5〜8、スロットルバルブ開度センサ2などの各種のセンサからの信号に基づいて、車両の走行状態や路面状態に応じて電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流をデューティ制御することにより、摩擦クラッチ14の摩擦係合力(すなわち、後輪側への伝達トルク)を制御する。
【0032】
そして、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流を一定値である所定のロック電流まで高めると、電磁石13のアーマチャ15に対する吸引力が増大し、アーマチャ15は強く吸引されて摩擦クラッチ14の摩擦係合力を増大させ、両カム部材17a,17b間の相対回転を増大させる。その結果、カムフォロアー17cは第2カム部材17bに対する押圧力を高めて、メインクラッチ機構10cを結合状態とする。そのため、車両は、第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト26がロック状態の四輪駆動である第3の駆動モード(LOCKモード)となる。
【0033】
図3は、ECU18の内部構成を示すブロック回路図である。
ECU18は、マイクロコンピュータ18a、駆動回路18d、トランジスタ(Tr)18f、シャント抵抗18kから構成されている。
マイクロコンピュータ18aは、CPU18g,ROM18h,RAM18i,入出力回路(I/O)18jなどを有する周知のマイクロコンピュータを含んで構成されている。
そして、CPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているプログラムに従い、コンピュータによる各種演算処理によって、入出力回路18jから入力された各信号(駆動モード切換スイッチ1の出力信号、イグニッションスイッチ3の出力信号、スロットルバルブ開度センサ2からのスロットルバルブ開度mの信号、各回転センサ5〜8からの各車輪速N1〜N4の信号、シャント抵抗18kにおける車載バッテリEに接続されている側の反対側の電圧V)に基づいて、後述する伝達トルク補正指令値T4を決定し、その伝達トルク補正指令値T4に応じて、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流をデューティ制御するためのデューティ比を演算し、そのデューティ比に応じた制御信号を生成し、その制御信号を入出力回路18jを介して駆動回路18dへ出力する。
【0034】
駆動回路18dは、CPU18gから出力された制御信号に従い、トランジスタ18fのベース電流を制御することにより、トランジスタ18fのオンオフ(ON/OFF)動作を制御する。
トランジスタ18fがオンすると、車載バッテリEからシャント抵抗18kを介し電磁石13の電磁コイル13aを通ってアース側へ通電電流が流れる。
尚、電磁コイル13aには並列にフライホイールダイオードDaが接続されている。また、トランジスタ18fには、どのような形式のトランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、FETなど)を用いてもよく、トランジスタ18fを各種スイッチング素子(例えば、サイリスタなど)に置き代えてもよい。
【0035】
[実施形態の動作]
図4は、本実施形態においてECU18が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ECU18を構成するマイクロコンピュータ18aのCPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているプログラムに従い、コンピュータによる各種演算処理によって、以下の各ステップ(以下、「S」と記載する)の処理を実行する。
尚、前記プログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体(半導体メモリ(メモリスティックなど)、ハードディスク、フロッピーディスク、データカード(ICカード,磁気カードなど)、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気テープなど)を備えた外部記録装置(外部記憶装置)に記録しておき、当該プログラムを必要に応じて外部記録装置からCPU18gにロードして起動することにより用いるようにしてもよい。ちなみに、前記記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
【0036】
まず、CPU18gは、駆動モード切換スイッチ1の出力信号に基づいて、第1の駆動モード(2WDモード)かどうかを判断し(S1)、第1の駆動モードの場合(S1:Yes)は車両を二輪駆動とし(S13)、第1の駆動モードでない場合(S1:No)は第3の駆動モード(LOCKモード)であるかどうかを判断し(S2)、第3の駆動モードの場合(S2:Yes)は車両を第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト26がロック状態の四輪駆動とする(S14)。
【0037】
そして、CPU18gは、第2の駆動モード(AUTOモード)の場合は(S2:NO)、スロットルバルブ開度mおよび各車輪速Nl〜N4を入力し(S3)、各車輪速N3,N4に基づいて車速を演算する(S4)。尚、車速は、スリップの少ない従動輪である後輪28b,28bの車輪速N3,N4の平均値(=(N3+N4)/2)とする。
【0038】
続いて、CPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているマップを参照し、スロットルバルブ開度mに対応した伝達トルクTlと、車速に対応したゲインGlとを決定する(S5)。尚、ROM18hに記録されているマップでは、スロットルバルブ開度mが大きいほど伝達トルクTlは大きくなり、車速が高速であるほどゲインGlは小さくなるように設定されている。
【0039】
次に、CPU18gは、各車輪速Nl〜N4に基づいて、前後輪間の差動回転速度ΔN(=(Nl+N2−N3−N4)/2)[min-1]を演算する(S6)。
そして、CPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているマップを参照し、S6の処理で演算した差動回転速度ΔNに対応した伝達トルクT2と、車速に対応したゲインG2とを決定する(S7)。尚、ROM18hに記録されているマップでは、差動回転速度ΔNが大きいほど伝達トルクT2は大きくなり、車速が高速であるほどゲインGlは小さくなるように設定されている。
【0040】
続いて、CPU18gは、S5,S7の各処理で決定した各伝達トルクTl,T2および各ゲインGl,G2に基づいて、伝達トルク指令値T3(=Gl・Tl+G2・T2)[Nm]を演算する(S8)。
【0041】
次に、CPU18gは、後述するように、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupを演算する(S9)。
続いて、CPU18gは、S9の処理で演算した表面温度Tcoupに基づいて、後述するように、S8の処理で演算した伝達トルク指令値T3を補正した伝達トルク補正指令値T4を演算する(S10)。
【0042】
次に、CPU18gは、S10の処理で演算した伝達トルク補正指令値T4に応じたデューティ比を演算し、そのデューティ比に応じた制御信号を生成し、入出力回路18jから出力する(S11)。
そして、駆動回路18dは,CPU18gから入出力回路18jを介して出力された制御信号に従い、S11の処理で演算されたデューティ比に基づいた電圧を電磁石13の電磁コイル13aに印加するように、トランジスタ18fのオンオフ動作を制御する(Sl2)。その結果、電磁石13の電磁コイル13aにおける印加電圧と通電電流および磁力がデューティ制御される。
【0043】
[表面温度Tcoupの演算処理]
図5は、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupの演算処理(図4に示すS9)の流れを示すフローチャートである。
まず、CPU18gは、電磁石13の電磁コイル13aの温度Tcoilを演算する(S22)。
すなわち、CPU18gは、シャント抵抗18kの抵抗値と、シャント抵抗18kにおける車載バッテリEに接続されている側の反対側の電圧(電磁コイル13aへの印加電圧)V[V]とに基づいて、電磁コイル13aへの通電電流I[A]を演算する。次に、CPU18gは、通電電流Iおよび印加電圧Vの時間平均値(デューティ制御による通電電流Iおよび印加電圧Vの変動を平滑した値)に基づいて、電磁コイル13aの抵抗値R(=V/I)[Ω]を演算する。
【0044】
ここで、温度Tcoilに対する電磁コイル13aの抵抗値Rは、0℃における抵抗値R0と、電磁コイル13aの材質や形状などによって規定される温度係数αとにより、以下の式(1)により演算される。また、基準温度Tsのときの電磁コイル13aの抵抗値Rsは、以下の式(2)により演算される。これら式(1)(2)により以下の式(3)が成り立つ。
そのため、基準温度Tsのときの抵抗値Rsを実験的に求めておき、CPU18gは、式(3)により、電磁コイル13aの抵抗値Rに対する温度Tcoilを演算する。尚、温度係数α,基準温度Ts,抵抗値Rsは、ROM18hに予め記録(記憶)させておく。
【0045】
R=R0(1+α・Tcoil) ………式(1)
Rs=R0(1+α・Ts) ………式(2)
Rs/R=(1+α・Ts)/(1+α・Tcoil) ………式(3)
【0046】
次に、CPU18gは、イグニッションスイッチ3が投入直後かどうかを判定し(S24)、投入直後の場合は(S24:Yes)、前回のルーチン(前回のサンプリング)で演算した駆動力伝達装置10の表面温度Tcoup0および電磁コイル13aの温度Tcoil0を共通の初期設定値とする(S26)。尚、この初期設定値は実験的に求めて予めROM18hに記録(記憶)させておく。
【0047】
続いて、CPU18gは、図4に示すS6の処理で演算した差動回転速度ΔNと、図4に示すS8の処理で演算した伝達トルク指令値T3とに基づいて、メインクラッチ機構10cの発熱量とパイロットクラッチ機構10dの発熱量とを合わせたクラッチ部発熱量(発生エネルギー)Qcoup(=ΔN・T3)を演算する(S28)。
【0048】
次に、CPU18gは、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iと印加電圧Vとに基づいて、電磁コイル13aの発熱量(コイル部発熱量)Qcoil(=V・I)を演算する(S30)。
【0049】
そして、CPU18gは、サンプリング時間Δt毎に図5に示すルーチンを繰り返す度に、以下の式(4)を積分することにより、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupを演算する(S32)。尚、サンプリング時間Δtは実験的に求めて予め設定しておく。また、各比熱Ccoup,Ccoilおよび各熱伝達係数λ1〜λ3は実験的に求めて予めROM18hに記録(記憶)させておく。
【0050】
【数1】
Figure 0003938288
Figure 0003938288
【0051】
但し、
Qcoup:クラッチ部発熱量[J]
Qcoil:コイル部発熱量[J]
Ccoup:メインクラッチ機構10cおよびパイロットクラッチ機構10dの比熱[J/K・g]
Ccoil:電磁石13の電磁コイル13aの比熱[J/K・g]
Tcoup0:RAM18iに記録されている前回のルーチン(前回のサンプリング)で演算した駆動力伝達装置10の表面温度[K]
Tcoil0:RAM18iに記録されている前回のルーチン(前回のサンプリング)で演算した電磁コイル13aの温度[K]
Tcoup:今回のルーチン(今回のサンプリング)で演算した駆動力伝達装置10の表面温度[K]
Tcoil:今回のルーチン(今回のサンプリング)で演算した電磁コイル13aの温度[K]
λ1:駆動力伝達装置10から外部への熱伝達係数
λ2:駆動力伝達装置10から電磁コイル13aへの熱伝達係数
λ3:電磁コイル13aから外部への熱伝達係数
Δt:サンプリング時間[min]
【0052】
ここで、駆動力伝達装置10の周囲の雰囲気温度Tとすると、以下の式(5)(6)が得られる。そして、二つの式(5)(6)から雰囲気温度Tの項を消去すると、以下の式(7)が得られる。この式(7)を差分化すると上記式(4)が得られる。
【0053】
【数2】
Figure 0003938288
Figure 0003938288
【0054】
【数3】
Figure 0003938288
Figure 0003938288
【0055】
【数4】
Figure 0003938288
Figure 0003938288
【0056】
そして、CPU18gは、S22の処理で演算した電磁石13の電磁コイル13aの温度Tcoilと、S32の処理で演算した駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupとを、次回のルーチン(次回のサンプリング)の演算で使用するために、「Tcoil0」「Tcoup0」としてRAM18iに書き込んで記録保存(記憶保存)させ(S34)、その後に伝達トルク補正指令値T4の演算処理(図4に示すS10)へ移行する。
【0057】
[伝達トルク補正指令値T4の演算処理]
図6は、伝達トルク補正指令値T4の演算処理(図4に示すS10)の流れを示すフローチャートである。
まず、CPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているマップを参照し、図4に示すS9の処理(図5に示すS32の処理)で演算した駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iと伝達トルク指令値T3との関係を補正するための補正係数Ktempを決定する(S42)。
図7は、表面温度Tcoupに基づいて決定される補正係数Ktempの一例を示すグラフである。
【0058】
次に、CPU18gは、ROM18hに記録(記憶)されているマップを参照し、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて、図4に示すS6の処理で演算した差動回転速度ΔNと伝達トルク指令値T3との関係を補正するための補正係数Kdnを決定する(S44)。
図8は、表面温度Tcoupに基づいて決定される補正係数Kdnの一例を示すグラフである。
【0059】
続いて、CPU18gは、S44の処理で決定した補正係数Kdnに、図4に示すS6の処理で演算した差動回転速度ΔNを乗算することにより、カップリングオイル室Dに封入されたカップリングオイルの粘性により伝達される引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)を演算する(S46)。
次に、CPU18gは、図4に示すS8の処理で演算した伝達トルク指令値T3が、S46の処理で演算した引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)以上であるかどうかを判定する(S48)。
【0060】
そして、CPU18gは、伝達トルク指令値T3が引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)以上の場合は(T3≧T5(=Kdn・ΔN)。S48:Yes)、S42,S44の各処理で決定した各補正係数Ktemp,Kdnに基づいて、以下の式(8)により、伝達トルク補正指令値T4[Nm]を演算し(S50)、その後にデューティ比の演算・出力処理(図4に示すS11)へ移行する。
Figure 0003938288
【0061】
また、CPU18gは、伝達トルク指令値T3が引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)より小さい場合は(T3<T5(=Kdn・ΔN)。S48:No)、伝達トルク補正指令値T4をゼロに設定し(T4=0。S52)、その後にデューティ比の演算・出力処理(図4に示すS11)へ移行する。
【0062】
尚、各補正係数Ktemp,Kdnは、以下のように、駆動力伝達装置10の伝達トルク指令値T3および引きずりトルクT5が駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに対して温度依存特性を有することから、その温度依存特性を実験的に測定することにより求めた。
図9は、差動回転速度ΔNと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupと引きずりトルクT5との関係(引きずりトルクT5の温度依存特性)を実験的に求めたグラフである。
図9に示すように、任意の表面温度Tcoupにおいて、引きずりトルクT5は差動回転速度ΔNにほぼ正比例している。この正比例の関係から、図8に示すような補正係数Kdnが得られ、引きずりトルクT5は差動回転速度ΔNに補正係数Kdnを乗算した値(Kdn・ΔN)になる。
【0063】
図10は、大きくも小さくもない所定の差動回転速度ΔNにおいて、通電電流Iと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupと伝達トルク指令値T3との関係(伝達トルク指令値T3の温度依存特性)を実験的に求めたグラフである。
ところで、図4に示すS8の処理で演算した伝達トルク指令値T3には、引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)が加味されていない。従って、伝達トルク補正指令値T4を求めるには、伝達トルク指令値T3から引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)を差し引いた第1補正トルクT6(=T3−T5)を、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて補正(温度補正)する必要がある。
【0064】
図11は、図10と同じ大きくも小さくもない所定の差動回転速度ΔNにおいて、通電電流Iと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupと第1補正トルクT6との関係(第1補正トルクT6の温度依存特性)を実験的に求めたグラフである。
図11に示すように、任意の通電電流Iにおいて、第1補正トルクT6と表面温度Tcoupとの間には、ほぼ一次関数的(線形)な関係が認められる。このほぼ一次関数的(線形)な関係から、図7に示すような補正係数Ktempが得られ、伝達トルク補正指令値T4は、第1補正トルクT6を補正係数Ktempで除算した値(T6/Ktemp=(T3−T5)/Ktemp)、すなわち式(8)に示す値になる。
【0065】
[実施形態の作用・効果]
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
[1]駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupの演算処理(図4に示すS9および図5参照)において、ECU18を構成するマイクロコンピュータ18aのCPU18gは、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイル13aの温度Tcoilを演算して求め(S22)、メインクラッチ機構10cの発熱量とパイロットクラッチ機構10dの発熱量とを合わせたクラッチ部発熱量Qcoup(=ΔN・T3)を演算して求め(S28)、電磁コイル13aの発熱量(コイル部発熱量)Qcoil(=V・I)を演算して求め(S30)、これらの値(Tcoil,Qcoup,Qcoil)などから式(4)により表面温度Tcoupを演算して求めている(S32)。
【0066】
つまり、本実施形態では、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupを温度センサを用いて実際に計測するのではなく、上記のように演算によって推定している。
従って、本実施形態によれば、表面温度Tcoupを計測する温度センサを用いる場合に比べて、その温度センサに要する部品コストを削減することが可能になり、その温度センサを取り付けるために駆動力伝達装置10の設計変更を行う必要がなく、従来の駆動力伝達装置10をそのまま使用可能なため、設計・製造に関するコストを低減できる。
【0067】
ところで、駆動力伝達装置10の周囲の雰囲気温度Tを計測する温度センサを設け、前記式(5)および式(6)から表面温度Tcoupを演算して求める方法が考えられる。
しかし、同方法では、雰囲気温度Tを計測する温度センサが必要になるため、本実施形態に比べて、温度センサに要する部品コスト分だけ設計・製造に関するコストが増大することになる。
そして、同方法では二つの熱伝達式(5)(6)を用いるため、一つの熱伝達式(4)しか用いない本実施形態に比べて、表面温度Tcoupの演算に要する時間が長くなり、CPU18gに対する負荷が増大することから、ECU18の実行する車両の他の制御に悪影響を及ぼすおそれがある。
つまり、本実施形態によれば、同方法に比べて、低コストで優れた性能の駆動力伝達制御装置19を得ることができる。
【0068】
[2]上記[1]において、電磁石13の電磁コイル13aの温度Tcoilの演算処理(S22)では、電磁コイル13aへの印加電圧Vと通電電流Iとにより電磁コイル13aの抵抗値Rを演算し、予め設定しておいた抵抗値Rと温度Tcoilとの関係に基づいて、抵抗値Rから温度Tcoilを演算している。
つまり、本実施形態では、電磁コイル13aの温度Tcoilを温度センサを用いて実際に計測するのではなく、上記のように演算によって推定している。
従って、本実施形態によれば、温度Tcoilを計測する温度センサを用いる場合に比べて、その温度センサに要する部品コストを削減することが可能になり、その温度センサを取り付けるために駆動力伝達装置10の設計変更を行う必要がなく、従来の駆動力伝達装置10をそのまま使用可能なため、設計・製造に関するコストを低減できる。
【0069】
[3]上記[1]において、イグニッションスイッチ3が投入直後の場合は(S24:Yes)、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoup0および電磁コイル13aの温度Tcoil0として、実験的に求めた初期設定値を用いるようにしている(S26)。
これは、イグニッションスイッチ3の投入直後には、図5に示すS34の処理において、前回のルーチン(前回のサンプリング)で演算した駆動力伝達装置10の表面温度Tcoup0および電磁コイル13aの温度Tcoil0がRAM18iに記録(記憶)されていないためである。
尚、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoup0の初期設定値と、電磁石13の電磁コイル13aの温度Tcoil0の初期設定値とを共通の値ではなく異なる値に設定してもよい。しかし、イグニッションスイッチ3の投入直後には各温度Tcoup0,Tcoil0はほぼ等しいため、共通の初期設定値を用いることができる。
【0070】
[4]伝達トルク補正指令値T4の演算処理(図4に示すS10および図6参照)において、ECU18を構成するマイクロコンピュータ18aのCPU18gは、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて各補正係数Ktemp,Kdnを決定し(S42,S44)、引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)を演算して求め(S46)、この引きずりトルクT5が伝達トルク指令値T3以下の場合は各補正係数Ktemp,Kdnに基づいて式(8)により伝達トルク補正指令値T4を演算して求め(S50)、引きずりトルクT5が伝達トルク指令値T3より大きい場合は伝達トルク補正指令値T4をゼロに設定している(S52)。
【0071】
ここで、補正係数Ktempは、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iと伝達トルク指令値T3との関係(I−T3特性)を補正するための係数である。
また、補正係数Kdnは、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて、差動回転速度ΔNと伝達トルク指令値T3との関係(ΔN−T3特性)を補正するための係数である。
そして、前記式(8)は以下の式(9)に示すように変形できる。
T3=Ktemp・T4+Kdn・ΔN ………式(9)
【0072】
ところで、メインクラッチ機構10cおよびパイロットクラッチ機構10dの各インナクラッチプレート12a,14bおよび各アウタクラッチプレート12b,14aは、カップリングオイル室Dに封入されたカップリングオイルに浸漬されている。このカップリングオイルの粘性抵抗は温度によって大きく変化し、温度が低くなるほど粘性抵抗は大きくなる。
そして、カップリングオイルの温度は、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupとほぼ相関関係を有する。
【0073】
ここで、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iと伝達トルク指令値T3との関係(I−T3特性)は、カップリングオイルの粘性抵抗によって変化する。
そこで、本実施形態では、このI−T3特性を補正係数Ktempによって補正することで、伝達トルク補正指令値T4をカップリングオイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた値にしている。
従って、本実施形態によれば、カップリングオイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じて、伝達トルク指令値T3を補正した伝達トルク補正指令値T4を得ることが可能になり、この伝達トルク補正指令値T4に基づいて電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iを最適にデューティ制御することができる。
【0074】
[5]上記[4]において、カップリングオイルの粘性抵抗が大きい場合、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iがゼロであってもパイロットクラッチ機構10dの摩擦クラッチ14間に粘性抵抗が生じ、その摩擦クラッチ14間の粘性抵抗に応じてメインクラッチ機構10cが摩擦係合され、アウタケース10aとインナシャフト10bとの間でトルク伝達が生じることがある。このように、通電電流Iがゼロの場合に生じるアウタケース10aとインナシャフト10bとの間のトルク伝達は、引きずりトルクと呼ばれる。
この引きずりトルクは、アウタケース10aとインナシャフト10bとの回転速度の差である差動回転速度ΔNと、カップリングオイルの粘性抵抗との影響を受けて変化する。そのため、差動回転速度ΔNと伝達トルク指令値T3との関係(ΔN−T3特性)は、カップリングオイルの粘性抵抗によって変化する。
そこで、本実施形態では、差動回転速度ΔNと補正係数Kdnとの乗算値を引きずりトルクT5とし、このΔN−T3特性を補正係数Kdnによって補正することで、引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)をカップリングオイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた値にしている。
【0075】
[6]上記[5]において、伝達トルク指令値T3が引きずりトルクT5以上の場合は(S48:Yes)、伝達トルク指令値T3から引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)を減算して伝達トルク補正指令値T4を求めるようにしている(S50)。
従って、本実施形態によれば、引きずりトルクT5分により伝達トルク補正指令値T4が不要に増大するのを防止し、最適な伝達トルク補正指令値T4を得ることが可能になり、この伝達トルク補正指令値T4に基づいて電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iを最適にデューティ制御することができる。
そして、引きずりトルクT5(=Kdn・ΔN)をカップリングオイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じた値にしているため、特に、カップリングオイルの粘性抵抗が大きな低温時において、最適な伝達トルク補正指令値T4を得ることができる。そのため、低温時に伝達トルク補正指令値T4が不要に増大して駆動力伝達装置10に故障が起こるのを未然に防止できる。
[7]上記[5]において、伝達トルク指令値T3が引きずりトルクT5より小さい場合は(S48:No)、伝達トルク補正指令値T4をゼロに設定している(S52)。そのため、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流Iもゼロになり、前記磁路は形成されなくなることから、アウタケース10aとインナシャフト10bとの間のトルク伝達は引きずりトルクT5のみによってなされる。
従って、本実施形態によれば、アウタケース10aとインナシャフト10bとの間のトルク伝達が不要に増大するのを防止することが可能になり、駆動力伝達装置10に故障が起こる事態を未然に回避できる。
【0076】
[8]上記[1]〜[6]のように、本実施形態では、前記I−T3特性およびΔN−T3特性をカップリングオイルの温度変化による粘性抵抗の変化に応じて、前記式(9)に示すように、線形にモデル化している。そのため、CPU18gにおける伝達トルク補正指令値T4の演算は簡単かつ容易であり、CPU18gに対する負荷はほとんど増大しないことから、ECU18の実行する車両の他の制御に悪影響を及ぼすおそれはない。
【0077】
[別の実施形態]
ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
▲1▼上記実施形態では、電磁石13を一つの電磁コイル13aによって構成している。
しかし、電磁石13を二つ以上の電磁コイルによって構成してもよい。例えば、電磁コイルを二つにした場合は、それぞれに印加する電圧の位相をそれぞれほぼ180度ずつずらすようにする。また、電磁コイルを4つにした場合は、それぞれに印加する電圧の位相をそれぞれほぼ90度ずつずらすようにするか、または、2つずつの電磁コイルに同じ位相の電圧を印加し、この位相をそれぞれ180度ずつずらすようにする。つまり、電磁石13をn個の電磁コイルによって構成した場合、デューティ制御する電圧の位相をそれぞれほぼ360/n度の自然数倍ずらすことにより、上記実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、n個の電磁コイルに印加する電圧の位相を少しずつでもずらせば、電磁石13を一つの電磁コイルによって構成した場合に比べて、磁力が平滑化され、トルク変動を低減することができる。
【0078】
▲2▼上記実施形態では、図6に示すS52の処理において、伝達トルク補正指令値T4をゼロに設定している。
しかし、伝達トルク補正指令値T4をゼロではなく、アウタケース10aとインナシャフト10bとの間のトルク伝達が不要に増大しない程度の小さな値に決定してもよい。
【0079】
▲3▼上記実施形態では、駆動力伝達装置10に電磁クラッチを用いている。
しかし、駆動力伝達装置10に油圧クラッチを用いてもよい。この場合には、上記補正係数Ktempを、駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて、油圧クラッチの油圧が発生機構の押圧力と伝達トルク指令値T3との関係を補正するための係数に置き代えればよい。ここで、当該油圧クラッチのカップリングオイル室内の作動オイルの温度は駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupとほぼ相関関係を有するため、前記係数を表面温度Tcoupに基づいて設定すれば、前記作動オイルの温度変化による粘性抵抗の変化をも補正することができる。
【0080】
▲4▼上記実施形態では、各車輪24b,24b,28b,28bに各回転センサ5〜8を設け、各回転センサ5〜8から出力される各車輪速N1〜N4に基づいて差動回転速度ΔN(=(Nl+N2−N3−N4)/2)を演算している。
しかし、各プロペラシャフト25,26にそれぞれ回転センサを設け、各回転センサから出力される各プロペラシャフト25,26の回転速度の差を演算し、その差を差動回転速度ΔNとしてもよい。
【0081】
▲5▼上記実施形態では、電磁石13の電磁コイル13aへの通電電流を一定値である所定のロック電流まで高めることにより、第3の駆動モード(LOCKモード)にしている。しかし、伝達トルク補正指令値T4と同様に、当該ロック電流を駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupに基づいて補正するようにしてもよい。
▲6▼上記実施形態は、前輪駆動をベースとした四輪駆動車に適用したものであるが、後輪駆動をベースとした四輪駆動車や、センタディファレンシャル式四輪駆動車などに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の駆動力伝達装置の要部概略断面図。
【図2】一実施形態の駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車の概略構成図。
【図3】一実施形態の駆動力伝達装置の電子制御装置(ECU)の内部構成を示すブロック回路図。
【図4】一実施形態においてECUが実行する処理の流れを示すフローチャート。
【図5】図4に示すS9の処理(駆動力伝達装置の表面温度Tcoupの演算処理)の詳細な流れを示すフローチャート。
【図6】図4に示すS10の処理(伝達トルク補正指令値T4の演算処理)の詳細な流れを示すフローチャート。
【図7】表面温度Tcoupに基づいて決定される補正係数Ktempの一例を示すグラフ。
【図8】表面温度Tcoupに基づいて決定される補正係数Kdnの一例を示すグラフ。
【図9】差動回転速度ΔNと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupと引きずりトルクT5との関係の一例を示すグラフ。
【図10】通電電流Iと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupおよび伝達トルク指令値T3の関係の一例を示すグラフ。
【図11】通電電流Iと駆動力伝達装置10の表面温度Tcoupと第1補正トルクT6との関係の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
10…駆動力伝達装置
10a…アウタケース
10b…インナシャフト
10c…メインクラッチ機構
10d…パイロットクラッチ機構
10e…カム機構
11a…リヤカバー
13…電磁石
13a…電磁コイル
18…電子制御装置
19…駆動力伝達制御装置
18a…マイクロコンピュータ
18d…駆動回路
18f…トランジスタ
18g…CPU
18h…ROM
18i…RAM
18j…入出力回路
D…カップリングオイル室

Claims (8)

  1. 相対回転可能に配置された第1回転部材および第2回転部材と、
    前記第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を制御するクラッチ機構と、
    そのクラッチ機構のクラッチプレート間に介在するオイルと、
    前記クラッチ機構を駆動する駆動手段とを有する駆動力伝達装置と、
    その駆動力伝達装置における前記駆動手段の動作を制御する制御装置と
    を備えた駆動力伝達制御装置において、
    前記制御装置は、
    前記第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を指令するための伝達トルク指令値を演算する伝達トルク指令値演算手段と、
    前記オイルの粘性抵抗により前記第1回転部材と第2回転部材との間で伝達される引きずりトルクを演算する引きずりトルク演算手段と、
    その引きずりトルク演算手段が演算した引きずりトルクに応じて、前記伝達トルク指令値演算手段が演算した伝達トルク指令値を補正した伝達トルク補正指令値を演算する伝達トルク補正指令値演算手段と、
    その伝達トルク補正指令値演算手段が演算した伝達トルク補正指令値に従い、前記駆動手段の動作を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力伝達制御装置において、
    前記第1回転部材の回転速度と前記第2回転部材の回転速度との差である差動回転速度を演算する差動回転速度演算手段を備え、
    前記引きずりトルク演算手段は、前記差動回転速度演算手段が演算した差動回転速度に基づいて引きずりトルクを演算することを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  3. 請求項2に記載の駆動力伝達制御装置において、
    前記駆動力伝達装置の表面温度に基づいて、前記差動回転速度と前記伝達トルク指令値との関係を補正するための第1補正係数を決定する第1補正係数決定手段を備え、
    前記引きずりトルク演算手段は、前記第1補正係数決定手段が決定した第1補正係数を、前記差動回転速度に乗算することにより、前記引きずりトルクを演算することを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置において、
    前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値が前記引きずりトルク以上の場合、前記伝達トルク指令値から前記引きずりトルクを減算することにより、前記伝達トルク補正指令値を演算することを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  5. 請求項4に記載の駆動力伝達制御装置において、
    前記駆動力伝達装置の表面温度に基づいて、前記駆動手段が前記クラッチ機構を駆動する駆動力と前記伝達トルク指令値との関係を補正するための第2補正係数を決定する第2補正係数決定手段を備え、
    前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値から前記引きずりトルクを減算した値を、前記第2補正係数決定手段が決定した第2補正係数で除算することにより、前記伝達トルク補正指令値を演算することを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置において、
    前記伝達トルク補正指令値演算手段は、前記伝達トルク指令値が前記引きずりトルクより小さい場合、前記伝達トルク補正指令値をゼロに決定するか、または、前記伝達トルク補正指令値を前記駆動力伝達装置が故障を起こさないための所定の小さな値に決定することを特徴とする駆動力伝達制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置における前記制御装置の各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力伝達制御装置における前記制御装置の各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
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