JP3937538B2 - Pzt微粒子およびpzt薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ水溶液中で反応させることによって得られるPb、Zr、TiあるいはPb、Tiを含有する粒子とそれから得られるPb(ZrxTi1−x)O3(ただし、0≦x<1)微粒子あるいはPb(ZrxTi1−x)O3(ただし、0≦x<1)薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チタン酸ジルコン酸鉛(以下PZTと記す。)は、圧電体材料、焦電体材料、強誘電体材料として優れた性質を有し、超音波センサ、焦電型赤外センサ、不揮発性メモリー、コンデンサー、アクチュエータ等の種々のデバイスに幅広く利用されており、更に多くの分野へ応用が試みられている。
【0003】
そしてPZTをデバイスに応用する場合、PZT粒子を焼結し、焼結体を素子化する方法と、PZT薄膜を形成し素子化する方法とが一般的である。
【0004】
PZT結晶粒子は、一般にはTiO2、ZrO2およびPbOを混合後焼成する固相法により製造される。各種圧電素子に利用される焼結体は、これらの得られたPZT粒子をさらに焼結することにより得られる。
【0005】
しかしながら、上記方法で得られるPZT粒子は、粒径が大きいため、焼結し難く、1200℃以上の高い焼結温度条件が必要であり、また、含有成分のPbが高温では飛散してしまい、組成がずれるという問題がある。
【0006】
焼結温度を下げることにより上記問題を解決できるが、そのためには、焼結原料となるPZT粉末の粒径を小さくすることが望まれる。
【0007】
PZTの微粉末の合成の例としては、日本セラミックス協会学術論文誌 98[2]150−55(1990)に、水熱合成法でPZT粒子を合成している。ここでは、反応温度が高いほど粒径が小さくなる傾向があるという記載があり、160℃〜200℃の温度条件で1μm〜3μmの粒子を得ているが、粒径は大きく、まだ満足すべきものでない。さらに温度を上げると高圧になるため、製造が困難となる。
【0008】
他に微粉末を合成する方法として有機金属化合物を用いるゾル−ゲル法があるが、原料が高価である上、生成物の純度が低い。
【0009】
また、素子の圧電性などの特性を高めるため、セラミックスの内部の結晶粒子の配向性を高めることが行われている。この手段としては、焼結原料に、異方性のあるPZT結晶粒子が用いられる。異方性のあるPZT結晶粒子は、通常、TiO2とZrO2およびフラックス(KCl,NaCl、K2SO4あるいはNa2SO4)を乾式混合後焼成し、針状ZrTiO4を得て、これとPbO混合後、仮焼して針状PZTが製造される(例;昭和63年窯業協会年会講演予稿集、348(1988))。しかしながら、この方法では、低温焼結できるような微細な針状粒子を得ることが困難である。
【0010】
一方、従来のPZT膜の製造方法としては、主としてスパッタリング法に代表される物理吸着法(PVD法)、薄膜材料である有機金属気体の熱分解、酸化、還元、重合等により薄膜組成を基板上に沈着させて薄膜を形成する化学蒸着法(CVD法)、有機金属を基板に塗布し、これを焼成して酸化物膜を形成するゾル・ゲル法、原料を含むアルカリ水溶液中でTi基板を水熱処理する水熱法等の方法が用いられている。
【0011】
しかし、これら従来の形成方法にはそれぞれ改善すべき課題があった。
【0012】
すなわち、物理吸着法においては、一般に結晶質の膜を得るために、基板などの基材の温度を500℃以上にすることが必要であり、基材を冷却する工程で熱歪が蓄積され、形成されたPZT膜にクラックや剥離が生じやすいという問題点がある。また、蒸着物質の蒸発は低酸素分圧下で行われるため、生成したPZTは酸素欠陥を有することが多く、特性の劣化やバラツキが生じるという問題点がある。
【0013】
さらに、PZTのような複合酸化物の薄膜を形成する場合には、元素によって蒸着速度が異なるため、膜の組成を制御して目標とする組成の複合酸化物を得ることが困難であるという問題点がある。また、膜の成長速度が遅いということもこの方法の重大な欠点である。
【0014】
また、化学蒸着法においては、有機金属の蒸着温度が比較的高く、大がかりな設備が必要になるという問題点があり、また、上記の物理蒸着法の場合と同様に、膜の組成を制御することが困難で、目標とする組成の膜を形成することが容易ではないという問題点がある。さらに、原料である有機金属化合物が極めて高価であるという欠点がある。
【0015】
また、有機金属塗布法においては、基材に塗布された有機金属を酸化して酸化物膜を形成するのに500℃以上の高温で焼成を行うことが必要であり、乾燥及び焼成の工程で塗布膜に大きな収縮が生じ、形成される膜にクラックや剥離が生じやすいという問題点がある。また、焼成工程中の有機物質の蒸発や燃焼によって、ポーラスになり、緻密な膜を得ることが、困難であるという問題点がある。
【0016】
さらに、水熱法においては、基材上に形成した膜の表面粗度は大きいという問題点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PZT薄膜の上記の通りの事情に鑑みてなされたものであり、PZT粒子の上記の問題点を解決するためになされたものであり、組成変化の起こりにくい低温焼結が可能な微細なPZT粒子あるいは微細な針状粒子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、従来のPZT薄膜の形成方法の欠点を解消し、低温で、容易に各種基板上に形成できる表面粗さの小さいPZT薄膜を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、組成変化の起こりにくい低温焼結可能な微細粉末の製造法および良質のPZT薄膜の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、水熱合成の原料を工夫することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0019】
本発明は、Pb含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、Zr含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/lおよびTi含有原料化合物が0.002mmol/l〜500mmol/lの条件でアルカリ水溶液中0℃〜100℃の温度範囲内で反応させることにより得られるPb、ZrおよびTi、またはPbおよびTiを含有する粒子を原料としてアルカリ水溶液中、130℃〜250℃の温度で、水熱合成することを特徴とするPb(Zr x Ti 1−x )O 3 (ただし、0≦x<1)微粒子の製造方法
に関する。
【0020】
また、本発明は、Pb含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、Zr含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/lおよびTi含有原料化合物が0.002mmol/l〜500mmol/lの条件でアルカリ水溶液中0℃〜100℃の温度範囲内で反応させることにより得られるPb、ZrおよびTi、またはPbおよびTiを含有する粒子を原料としてアルカリ水溶液中に分散させ、基板を浸漬後、100℃〜200℃の温度で水熱合成することを特徴とする基板上に形成したPb(Zr x Ti 1−x )O 3 (ただし、0≦x<1)薄膜の製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるPb、Zr、TiまたはPb、Tiを含有する粒子(以下、前駆体粒子という。)は、以下の方法により得られる。
【0023】
アルカリ濃度が166mmol/l〜8066mmol/l、Pb含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、Zr含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/lおよびTi含有原料化合物が0.002mmol/l〜500mmol/lになるように調整された混合溶液を攪拌混合する。
【0024】
あるいは、Pb含有原料化合物以外の成分を先に反応させ、後でPb含有原料化合物を添加し、反応させることも可能である。
【0025】
本発明において使用されるPb,Zr,Tiを含有する原料化合物としては、塩化物、オキシ塩化物、水酸化物、酸化物が好ましい。使用されるアルカリ化合物としては、例えば、KOH,NaOH等のアルカリ金属の水酸化物をあげることができる。
【0026】
反応温度は、オートクレーブを使う必要のない100℃以下が好ましい。また、室温で反応させることもできるので、その場合、加熱のための装置を必要としないという利点がある。反応時間は、反応温度により変わるが、25℃では、24時間程度で前駆体粒子が得られる。高温で反応させると本発明の前駆体粒子でとどまらず、粒径の大きいPZT粒子が形成される。低温では、反応が遅くなるので、0℃以下は好ましくない。
【0027】
得られる前駆体粒子としては、大部分が非晶質粒子であるが、結晶質粒子を含むものもあり、また、数百nm以下の微粒子あるいは針状粒子から構成されている。個々の粒子の成分は特定できないが、粒子の集合体は、Pb、Zr、Ti、OおよびH、またはPb、Ti、OおよびHを含んでおり、Pb、Zr、Tiは、Pb(ZrxTi1−x)O3(ただし、0≦x<1)を構成するのに必要な割合で含まれる。
【0028】
針状の前駆体粒子を得るには、各原料とアルカリ成分とそれらの量は上記と同様であるが、まず、Pb含有原料化合物以外の成分を20℃〜60℃で10時間〜48時間反応させ、後でPb含有原料化合物を添加し、同じ温度で48時間程度反応させる。Pb含有原料化合物添加前の反応時間が長ければ、より大きい針状粒子が得られる。
【0029】
次に、前駆体粒子から低温焼結可能なPZT微細粉末を製造する方法について説明する。
【0030】
微細なPZT粒子は、前駆体粒子を、アルカリ水溶液中、130℃〜250℃の温度で水熱処理することにより得られる。あるいは、前駆体粒子を合成した溶液から前駆体を取り出さず、そのまま、PZT粒子合成に利用してもよい。その場合、必要に応じて、アルカリ化合物を追加することもある。
【0031】
PZT粒子合成で使用されるアルカリ化合物としては、例えば、KOH,NaOH等のアルカリ金属の水酸化物をあげることができる。合成時のアルカリの濃度は、0.1mol/l〜8.0mol/lの範囲が好ましく、濃度が薄いと反応が進まず、濃度が高いとアルカリ化合物が無駄となる。
【0032】
反応温度が上記温度範囲より低い場合は、反応速度が遅く、温度が高い場合は、反応圧力が高くなるため装置がコスト高になる。
【0033】
得られるPZT粒子は、比表面積10m2/g以上、粒子径0.05μm以下の非常に微細なPZT結晶粒子である。
【0034】
微細なPZT結晶粒子は、大気中800℃程度で熱処理することによっても得ることができる。この場合は、比表面積5m2/g程度、粒子径0.1μm程度の粒子である。
【0035】
針状の前駆体から水熱合成で得られるPZT針状結晶粒子は、比表面積が2m2/g以上、長手方向が数十μm以下の結晶粒子である。
【0036】
次に前駆体粒子から得られる表面粗さの小さい緻密なPZT薄膜について説明する。
【0037】
表面粗さの小さい緻密なPZT薄膜は、PZT前駆体粒子をアルカリ水溶液中に分散させ、基板を浸漬後、100℃〜200℃の温度で水熱処理することで得られる。あるいは、前駆体粒子を合成した反応溶液から前駆体粒子を取り出さず、そのまま、薄膜合成に利用することができる。その場合、アルカリ化合物を必要に応じて追加することがある。
【0038】
薄膜合成で使用されるアルカリ化合物としては、例えば、KOH,NaOH等のアルカリ金属の水酸化物をあげることができる。薄膜合成時のアルカリの濃度は、0.1mol/l〜8.0mol/lの範囲が好ましく、濃度が薄いと反応が進まず、濃度が高いとアルカリ化合物が無駄となる。
【0039】
本発明で使用される基板は特に限定されないが、TiあるいはNi金属の他に、結晶核形成時に基板と溶液中の金属イオンとの反応による結晶膜と基板との密着力を大きくするために結晶膜の構成元素を少なくとも1つ以上含有するような基板が好ましい。また、結晶膜を構成する元素でコーティングした基板を使用することもできる。
【0040】
反応温度が100℃未満では、膜の成長速度が遅く、実用性に欠け、200℃を超えると、膜の成長よりPZT粒子の形成が優先するので好ましくない。
【0041】
本発明で得られるPZT膜を素子化する場合に使用される電極としては、特に限定されないがコストや量産性を考慮し最適なものが選定される。例えば、スパッタリング法によるNi,無電解メッキ法によるNi,焼付けタイプのAgがある。その他、蒸着によるAl、スパッタリング法によるPtあるいはAu等も用いられる。なお、基板に樹脂を用いる場合には、高温に加熱できないので焼付けタイプのAg電極は好ましくない。
【0042】
【実施例】
以下、本発明のPZT粒子の製造方法に関する実施例を実施例1〜4に示す。また、PZT薄膜の合成の具体例を実施例5と6に示す。
【0043】
実施例1
Pb(NO3)2水溶液77mmol/l、ZrOCl2水溶液30.8mmol/l、TiCl4水溶液30.8mmol/lおよびKOH水溶液1388.8mmol/lの溶液(溶液合計量700ml、充填率70%)を25℃で24時間程度撹拌混合することで図1に示すようなPb、Zr、Ti、OおよびHを全て含む数nm以下の前駆体粒子Aを形成した。このようにして得られた前駆体粒子Aの電子線回折パターンは図2に示すように非晶質であった。またこの前駆体粒子Aは図3のTg−DTA分析の結果に示したように、400℃以下で反応は完了し、高純度の酸化物を形成できた。次にこの前駆体粒子をKOH水溶液1388.8mmol/lの溶液中で180℃、4時間水熱処理することで比表面積が10.0m2/gで平均粒径が0.05μmの、図4のX線回折パターンを示すPZT単相の結晶粒子を得た。また、前駆体粉末を取り出す前の前駆体粉末合成の溶液を、そのまま、180℃、4時間水熱処理することによっても、上記と同様なPZT粉末が得られた。
【0044】
実施例2(参考例1)
Pb(NO3)2水溶液80mmol/l、ZrOCl2水溶液40.4mmol/l、TiCl4水溶液20.2mmol/lおよびKOH水溶液1379.2mmol/lの溶液(溶液合計量700ml、充填率70%)を室温で72時間以上撹拌混合することで図5に示すようなPb、Zr、Ti、OおよびHを全て含む数nm以下の前駆体粒子Bを形成した。このようにして得られた前駆体粒子Bの電子線回折パターンは図6に示すように結晶質であった。またこの前駆体粒子Bは図7のTg−DTA分析の結果に示したように、低温で、高純度の酸化物を形成できた。次にこの前駆体粒子Bを大気雰囲気中800℃、5時間熱処理をすることで比表面積が5.0m2/gで粒径が0.1μm程度の、図8のX線回折パターンを示すPZT単相の結晶粒子を得た。
【0045】
実施例3
ZrOCl2水溶液20.2mmol/l、TiCl4水溶液40.4mmol/lおよびKOH水溶液1392.8mmol/lの溶液(溶液合計量400ml、充填率70%)を25℃で10時間撹拌混合後、Pb(NO3)2水溶液77mmol/lを加えて、室温で更に48時間撹拌混合することで図9に示すようなPb、Zr、Ti、OおよびHを全て含む平均粒径0.1μm以下の前駆体針状粒子Cを形成した。このようにして得られた前駆体粒子Cの電子線回折パターンは図10に示すように非晶質であった。またこの前駆体粒子Cを130℃、3時間水熱処理することで比表面積が2.0m2/gで平均長さが5μm程度の、図11のX線回折パターンを示すPZT単相の針状結晶粒子を得た。
【0046】
実施例4
前駆体粒子Aから得られた結晶質のPZT微粒子を2t/cm2で直径20mmのペレットに成型した。それをPbO雰囲気中、900℃で12時間焼成した。焼結体の相対密度は、95%であった。一方、固相法で同条件で焼成した焼結体の密度は、80%であり、本発明の前駆体粒子から得られたPZT微粒子を使用すると低温焼結できることがわかる。
【0047】
実施例5
Pb(NO3)2水溶液77mmol/l、ZrOCl2水溶液30.8mmol/l、TiCl4水溶液30.8mmol/lおよびKOH水溶液1388.8mmol/lの溶液(溶液合計量700ml、充填率70%)を室温で24時間撹拌混合することでPZTの前駆体粒子を形成した。
【0048】
次にこの前駆体粒子をKOH水溶液1388.8mmol/lの溶液中に分散させ、Ti基板を浸漬後、130℃、12時間水熱処理することで厚さ2μmのPZT薄膜を得た。
【0049】
図12に合成されたPZT薄膜のX線回折パターンを示す。
【0050】
図13に合成されたPZT薄膜の表面SEM写真を示す。
【0051】
図14に合成されたPZT薄膜の表面粗さを示す。縦軸は表面の粗さを示し、横軸は試料の測定長さを示す。前駆体を経由せず直接水熱合成で作製された図15に示した薄膜の表面粗さに比べ、前駆体を原料に形成された薄膜は表面状態が改善されていることがわかる。
【0052】
比較例1
比較のため、前駆体を経由せず、以下のように水熱合成で直接膜を作製した。
Pb(NO3)2水溶液106.67mmol/l、ZrOCl2水溶液53.33mmol/l、TiCl4水溶液0.53mmol/lおよびKOH水溶液2000.0mmol/lの溶液(溶液合計量700ml、充填率70%)の中部に、Ti基板を設置し、格別の攪拌操作なしに180℃で12時間水熱処理を行い基板面に対してPZTの薄膜を形成した。この時のPZT薄膜の表面粗さを図15に示す。
【0053】
実施例6
ZrOCl2水溶液20.2mmol/l、TiCl4水溶液40.4mmol/lおよびKOH水溶液1392.8mol/lの溶液(溶液合計量400ml、充填率70%)を室温で10時間以上撹拌混合後、Pb(NO3)2水溶液77mmol/lを加えて、室温で更に48時間撹拌混合することでPb、Zr、Ti、OおよびHを全て含む数十nm以下の前駆体針状粒子を形成した。
【0054】
次にこの前駆体粒子をKOH水溶液1388.8mmol/lの溶液中に分散させ、1μm厚さのPZT薄膜をゾルーゲル法で形成したSi基板を浸漬後、130℃、12時間水熱処理することで厚さ2μmのPZT薄膜を得た。また、前駆体粉末を取り出す前の前駆体合成の反応溶液をそのまま使い、1μm厚さのPZT薄膜をゾルーゲル法で形成したSi基板を浸漬後、130℃、12時間水熱処理することでも同様なPZT薄膜を得た。
【0055】
図16に合成されたPZT薄膜のX線回折パターンを示す。
【0056】
図17に合成されたPZT薄膜の表面SEM写真を示す。
【0057】
図18に合成されたPZT薄膜の表面粗さを示す。前駆体を経由せず直接水熱合成で作製された図15に示した薄膜の表面粗さに比べ、前駆体を原料に形成された薄膜は表面状態が改善されていることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、前記PZT製造用前駆体を原料として用いることにより、低温焼結可能で、組成変化の小さい焼結が可能な粒径の小さいPZT粉末を容易に得ることができる。また、PZT前駆体粒子を含むアルカリ性原料液中に各種基板を浸漬し、水熱処理を施すことにより、100〜200℃の低温で、均一で表面粗度が小さいPZT薄膜を容易かつ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた前駆体粒子Aの粒子構造を示す図面に代わる写真図である。
【図2】実施例1で得られた前駆体粒子Aの回折パターンを示す図面に代わるX線写真で図である。
【図3】実施例1で得られた前駆体粒子AのTg−DTAパターンを示す図である。
【図4】実施例1で得られた前駆体粒子AをKOH水溶液中で水熱処理することで生成した生成物のXRD(粉末X線回折)パターンを示す図である。
【図5】実施例2で得られた前駆体粒子Bの粒子構造を示す図面に代わる写真図である。
【図6】実施例2で得られた前駆体粒子Bの回折パターンを示す図面に代わるX線写真図である。
【図7】実施例2で得られた前駆体粒子BのTg−DTAパターンを示す図である。
【図8】実施例2で得られた前駆体粒子BをKOH水溶液中で水熱処理することで生成した生成物のXRD(粉末X線回折)パターンを示す図である。
【図9】実施例3で得られた前駆体粒子Cの粒子構造を示す図面に代わる写真図である。
【図10】実施例3で得られた前駆体粒子Cの回折パターンを示す図面に代わるX線写真図である。
【図11】実施例3で得られた前駆体粒子CをKOH水溶液中で水熱処理することで生成した生成物のXRD(粉末X線回折)パターンを示す図である。
【図12】実施例5で得られたPZT薄膜の結晶構造を示すXRDパターン図である。
【図13】実施例5で得られたPZT薄膜の表面を示す図面に代わるSEM写真図である。
【図14】実施例5で得られたPZT薄膜の表面粗さを示す図である。
【図15】本発明の前駆体を経由せず、水熱合成法により直接形成されたPZT薄膜の表面粗さを示す比較のための図である。
【図16】実施例6で得られたPZT薄膜の結晶構造を示すXRDパターン図である。
【図17】実施例6で得られたPZT薄膜の表面を示す図面に代わるSEM写真図である。
【図18】実施例6で得られたPZT薄膜の表面粗さを示す図である。
Claims (2)
- Pb含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、Zr含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/lおよびTi含有原料化合物が0.002mmol/l〜500mmol/lの条件でアルカリ水溶液中0℃〜100℃の温度範囲内で反応させることにより得られるPb、ZrおよびTi、またはPbおよびTiを含有する粒子を原料としてアルカリ水溶液中、130℃〜250℃の温度で、水熱合成することを特徴とするPb(ZrxTi1−x)O3(ただし、0≦x<1)微粒子の製造方法。
- Pb含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、Zr含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/lおよびTi含有原料化合物が0.002mmol/l〜500mmol/lの条件でアルカリ水溶液中0℃〜100℃の温度範囲内で反応させることにより得られるPb、ZrおよびTi、またはPbおよびTiを含有する粒子を原料としてアルカリ水溶液中に分散させ、基板を浸漬後、100℃〜200℃の温度で水熱合成することを特徴とする基板上に形成したPb(ZrxTi1−x)O3(ただし、0≦x<1)薄膜の製造方法。
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