JP3937272B2 - スパッタ装置及びスパッタ方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタ装置及びスパッタ方法に関し、例えば所定の皮膜を成膜するスパッタ装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパッタ装置においては通常10-7〜10-9[Torr]台の高真空に排気された真空チャンバ内に円盤形状の金属塊(この場合はシリコン塊)でなるターゲットと、成膜対象である基板とを所定の距離を介して互いに平行になるように配置し、真空チャンバ内にArの不活性ガスを供給し、ターゲットを陰極、基板を陽極としてターゲット及び基板間に約1000[V] 程度の電位差を生じさせることによりプラズマを発生させる。
【0003】
そしてスパッタ装置は、ターゲット及び基板間に発生させたプラズマによって真空チャンバ内でイオン化したAr+ イオンをターゲットに衝突させ、当該ターゲット表面からSi原子を飛び出させた後に、O2 やN2 等の反応ガスを真空チャンバ内に供給して化学反応させることによりSiO2 膜やSiN2 膜を基板に成膜するようになされている。
【0004】
このようにして皮膜の成膜された基板は、当該皮膜を通過する気体分子の通過量が少ない程、その膜質性能が高く評価される。このような膜質性能の評価試験は、スパッタ装置によって成膜処理が終了した後に基板がスパッタ装置から取り外されて専用の評価装置によって大気中で行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで膜質性能の評価試験が大気中で行われた場合、基板の表面に成膜された皮膜は序々に酸化してしまう。従って、酸化された皮膜を用いて気体バリア性能の評価試験が行われた場合には、正確に膜質の評価を行うことができなかった。
【0006】
また、例え膜質性能の評価試験によって正確に膜質の評価を行うことができたとしても、所望の膜質性能を持つ皮膜が成膜されていなかった場合には、成膜処理を再度し直さなければならず処理工程が煩雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、所望の膜質性能を有する皮膜を簡易な構成及び方法で効率良く成膜し得るスパッタ装置及びスパッタ方法を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、所定の気体が供給された容器内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより成膜対象の表面に皮膜を成膜する成膜手段と、成膜対象の表面に成膜された皮膜に対して所定の観測対象を通過させる通過手段と、成膜対象の表面に成膜された皮膜を通過する観測対象の通過量を監視することにより皮膜の膜質を検出する検出手段とを具えたスパッタ装置であって、通過手段は、成膜対象の背面側から当該成膜対象を介して容器内を真空排気することにより、気体の気体分子を観測対象として皮膜を通過させるようにする。
【0009】
この場合、皮膜の堆積された成膜対象を容器内の気体分子が真空排気によって通過することにより、成膜対象の表面近傍における圧力状態をターゲット近傍における圧力状態よりも低圧に設定することができるので、プラズマ中に存在するイオンの成膜対象への衝突を減少させた状態で成膜処理を実行し、かつ当該成膜対象に対する損傷を低減させることができる。
【0010】
また本発明においては、所定の気体が供給された容器内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより成膜対象の表面に皮膜を成膜し、成膜対象の表面に成膜された皮膜に対して所定の観測対象を通過させ、成膜対象の表面に成膜された皮膜を通過する観測対象の通過量を監視することにより皮膜の膜質を検出するスパッタ方法であって、当該スパッタ方法は、成膜対象の背面側から当該成膜対象を介して容器内を真空排気することにより、気体の気体分子を観測対象として皮膜を通過させるようにする。
【0011】
この場合、皮膜の堆積された成膜対象を容器内の気体分子が真空排気によって通過することにより、成膜対象の表面近傍における圧力状態をターゲット近傍における圧力状態よりも低圧に設定することができるので、プラズマ中に存在するイオンの成膜対象への衝突を減少させた状態で成膜処理を実行し、かつ当該成膜対象に対する損傷を低減させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
図1において、1は全体として本発明のスパッタ装置を示し、真空チャンバ2の筐体部分に固定された基板ホルダ3を介して成膜対象としての液晶パネル用のガラス基板4が取り付けられると共に、当該ガラス基板4と対向する所定間隔離れた位置にシリコンでなるターゲット5が固定されており、真空チャンバ2の外部に設けられたターボ分子ポンプ6及びメカニカルポンプ7によって真空引きすることにより真空チャンバ2内を例えば10-8[Torr]の高真空状態に設定する。
【0014】
このターゲット5は全体がほぼ円筒形状でなり、当該ターゲット5の下部に同一形状のバッキングプレート8が固着され、当該バッキングプレート8が絶縁リング9を介して真空チャンバ2の筐体部分と電気的に絶縁された状態で取り付けられている。
【0015】
またターゲット5は、バッキングプレート8を介して可変陰極電源10及び13.56[MHz]のRF(Radio Frequency) 電源11に接続され、さらに可変陰極電源10には電圧計12が取り付けられている。電圧計12は、ターゲット5に印加されている電圧値を検出し、その検出結果をアナログディジタル変換及びディジタルアナログ変換回路(以下、これをA/D及びD/A変換回路と呼ぶ)13に送出する。
【0016】
A/D及びD/A変換回路13は、電圧計12の検出結果をディジタルデータに変換し、これを検出データとしてCPU(Central Processing Unit) でなる制御部14に送出する。制御部14は、検出データに基づいて現在ターゲット5に印加されている実際の電圧値を認識した後、目標の電圧値との差分を表す差分データを生成し、これをA/D及びD/A変換回路13に送出する。
【0017】
A/D及びD/A変換回路13は、差分データをアナログ信号に変換し、これを差分信号として可変陰極電源10に供給することにより、当該可変陰極電源10を介してターゲット5に目標値の電圧を印加し得るようになされている。
【0018】
因みにスパッタ装置1は、制御部14の制御によってターゲット5に印加する電圧値を変化させることにより、ターゲット5の表面がプラズマ中に発生しているAr+ イオンによって削られる領域(以下、これをエロージョン領域と呼ぶ)を変動させることができ、かくしてスパッタリング時におけるターゲット5の表面における使用効率を向上し得るようになされている。
【0019】
またスパッタ装置1は、ターゲット5及びバッキングプレートの外周を覆うように当該ターゲット5及びバッキングプレートと僅かな隙間を介してダークスペースシールド15が真空チャンバ2の筐体部分に取り付けられており、これによりスパッタリング粒子が周囲に飛び散ることを防止している。
【0020】
ダークスペースシールド15の周囲には、表面にガス供給用の孔が複数設けられた中空の円筒形状でなるガスリング21がダークスペースシールド15の周端面から僅かな空隙を介して配設されている。さらにガスリング21の周囲には、ガス分散板22が取り付けられており、ガスリング21から供給される各種ガスをターゲット5の表面近傍に分散するようになされている。
【0021】
制御部14は、マスフローコントローラ16を介して開閉バルブ17、開閉バルブ18〜20の開閉及び開閉量を調整することによりガスリング21から供給されるArの不活性ガスやO2 、N2 の反応ガスのガス供給量を制御するようになされている。
【0022】
ところでガスリング21は、一端が接地されると共に、他端が可変陰極電源23及び13.56[MHz]のRF電源24に接続されている。またガスリング21には、供給される電圧値及び電流量を検出する電圧計25及び電流計26が取り付けられており、当該電圧計25及び電流計26によって検出された検出結果をA/D及びD/A変換回路13に送出する。A/D及びD/A変換回路13は、検出結果をディジタルデータに変換し、これを検出データとして制御部14に送出する。
【0023】
制御部14は、検出データに基づいてA/D及びD/A変換回路13を介して可変陰極電源23を制御し、当該可変陰極電源23から高周波の交流電流をガスリング21に流すことにより、当該ガスリング21によって生じる磁界をターゲット5の表面に発生させることができ、かくしてターゲット5の表面のプラズマ密度を高めるようになされている。
【0024】
またガス分散板22には、ターゲット5の表面上のプラズマの発光状態を検出し得る所定位置にフォトセンサ27が取り付けられ、当該フォトセンサ27によって検出されたプラズマの発光を光ファイバ28を介してモノクロメータ29に送出する。モノクロメータ29は、プラズマの発光を波長ごとに分光し、波長ごとの発光ピーク値を制御部14にそれぞれ送出する。
【0025】
制御部14は、プラズマにおける所定波長の発光が所望の発光ピーク値になるようにA/D及びD/A変換回路13を介して可変陰極電源23を制御することにより、ガスリング21によって生じる磁界の強さを調整してターゲット5の表面のプラズマ密度を制御するようになされている。
【0026】
またスパッタ装置1は、ガラス基板4とターゲット5との間の所定位置に螺旋状に形成された皮膜除去手段としてのコイル30が絶縁ホルダ31を介して真空チャンバ2の筐体部分に取り付けられている。コイル30は、一端が接地されると共に他端が可変陰極電源32及び13.56[MHz]のRF電源33に接続されている。
【0027】
またコイル30には、供給される電圧値及び電流量を検出する電圧計34及び電流計35が取り付けられ、当該電圧計34及び電流計35によって検出された検出結果をA/D及びD/A変換回路13に送出する。A/D及びD/A変換回路13は、検出結果をディジタルデータに変換し、これを検出データとして制御部14に送出する。
【0028】
制御部14は、検出データに基づいて可変陰極電源32を制御することによりコイル30に流す交流電流を調整し得るようになされている。この場合、スパッタ装置1は制御部14の制御によってターゲット5に電圧を印加しない状態で、コイル30に高周波の交流電流を流すことにより、交流電流によって生じる高調波成分によってイオンの発生し易い状態を作り出し、コイル30と真空チャンバ2の壁面との間でプラズマを発生させ、当該プラズマ中のプラスイオンをガラス基板4に衝突させてガラス基板4の表面に堆積された皮膜をエッチングによって削り取るようになされている。
【0029】
従ってスパッタ装置1は、成膜処理によって皮膜が必要以上の膜厚になってしまった場合には、ガラス基板4の表面に堆積された皮膜をエッチングすることにより、膜厚を薄く平坦化して所望の膜厚の皮膜を生成し得るようになされている。
【0030】
またスパッタ装置1は、基板ホルダ3におけるガラス基板4の背面側に当該ガラス基板4の外径よりも僅かに小さな貫通孔40が設けられていると共に、当該貫通孔40に真空チャンバ2内を真空排気するための排気管42が当該真空チャンバ2の筐体部分を介して取り付けられ、その排気管42にはターボ分子ポンプ43及びメカニカルポンプ7が接続されている。
【0031】
従ってスパッタ装置1は、成膜中に通過手段としての貫通孔40、排気管42、ターボ分子ポンプ43及びメカニカルポンプ7によってガラス基板4を介して真空チャンバ2内を真空排気することにより、ガラス基板4の表面近傍における圧力状態をターゲット5近傍における圧力状態よりも低圧に設定し得るようになされている。このことは、皮膜の堆積されたガラス基板4を真空チャンバ内の気体分子が真空排気によって通過するために生じる現象であり、皮膜が堆積されるに連れて気体分子が通過し難くなる。
【0032】
この場合スパッタ装置1は、ガラス基板4の表面近傍における圧力状態がターゲット5近傍における圧力状態よりも低くなってプラズマが発生し難くなることにより、プラズマ中に存在するイオンのガラス基板4への衝突を減少させて基板に対する損傷を低減させることができる。
【0033】
このときターゲット5近傍に設けられた圧力センサ44及びガラス基板4近傍に設けられた圧力センサ45は、それぞれターゲット5近傍の真空状態における圧力値及びガラス基板4近傍の真空状態における圧力値を検出し、その検出結果をA/D変換回路49に送出する。A/D変換回路49は、検出結果をディジタルデータに変換し、これを検出データとして制御部14に送出する。
【0034】
これにより制御部14は、ターゲット5近傍における圧力値とガラス基板4近傍における圧力値との圧力差を算出し、当該圧力差に基づいてスロットルバルブ46の開閉量を制御することにより、真空チャンバ2内を真空排気する際にターゲット5近傍でプラズマが最低限発生し得るように真空チャンバ2内の真空状態を調整するようになされている。かくしてスパッタ装置1は、プラズマを発生して成膜処理を行うと共にガラス基板4に対する損傷を低減させ得るようになされている。
【0035】
一方でスパッタ装置1は、排気管42に接続されている検出手段としての4重極質量分析計45によってガラス基板4を通過してきた気体分子の質量を気体の種類毎に検出し、例えば観測対象としてのO2 分子の通過量を検出結果として制御部14に送出する。同時にスパッタ装置1は、貫通孔40に真空チャンバ2の筐体部分を介して接続された検出手段としてのフォトセンサ47によってガラス基板4を透過した観測対象としてのプラズマ発光の光透過率を検出し、その検出結果を制御部14に送出する。
【0036】
因みに、ガラス基板4は気体分子が通過する程度の約1Å(10-4 [μm])〜100[μm]の穴が形成されている密度の粗いガラスでなり、成膜途中の状態では膜厚が薄いと共に、皮膜を形成している結晶の結晶サイズが小さいことにより、ガラス基板4を通過するO2 分子の通過量が多いと共に光透過率が高い。ところが、皮膜が序々に成膜されるに従って膜厚が厚くなると共に結晶サイズが大きくなって膜質性能が高くなるので、ガラス基板4を通過するO2 分子の通過量が次第に減少すると共に光透過率が低くなる。
【0037】
制御部14は、ガラス基板4を通過してきたO2 分子の通過量における減少の変化及びガラス基板4を透過した光透過率における減少の変化を監視しており、O2 分子の通過量及び光透過率が所定の目標値に到達したときに所望の膜質性能に到達したものとしてプラズマの発生を停止するようになされている。
【0038】
なおスパッタ装置1は、制御部14の制御に基づいて駆動される駆動回路50によって電子ビーム照射器51から電子ビームをガラス基板4の表面に照射し、反射した散乱光をCCD(Charge Coupled Device) カメラでなる検出器52によって検出し、その検出結果を画像データD1として制御部14に送出する。
【0039】
制御部14は、画像データD1から得られる輝度変化に基づいてガラス基板4の表面に堆積された皮膜の結晶サイズを評価し、所望の結晶サイズになるようにガスリング21によって発生する磁界強度を調整するようになされている。因みに制御部14は、磁界の強さに応じてプラズマ密度を高めた場合、ガラス基板4に成膜される皮膜の結晶化を促進して結晶サイズを大きくし、当該結晶サイズの大型化に伴って結晶粒間の境界面である結晶粒界間に存在する粒子を結晶化するので、気体分子をさらに通過し難くして膜質性能を向上させることができる。
【0040】
続いて、スパッタ装置1における本発明の成膜処理手順を図2に示すフローチャートを用いて説明する。スパッタ装置1において制御部14は、RT1の開始ステップから入ってステップSP1に移る。
【0041】
ステップSP1において制御部14は、メカニカルポンプ7によって粗引きした後にターボ分子ポンプ6によって真空引きすることにより、真空チャンバ2内を高真空状態に設定し、次のステップSP2に移る。
【0042】
ステップSP2において制御部14は、マスフローコントローラ16を介して開閉バルブ17〜20を制御することにより、Arの不活性ガス及び又はO2 やN2 の反応ガスを真空チャンバ2内に供給し、次のステップSP3に移る。
【0043】
ステップSP3において制御部14は、可変陰極電源23を制御してガスリング21に高周波の交流電流を流すことにより、ターゲット5の表面に磁界を発生させて、次のステップSP4に移る。
【0044】
ステップSP4において制御部14は、可変陰極電源10を制御してターゲット5に所定の電圧を印加することにより、ガラス基板4とターゲット5との間にプラズマを発生させると共に、ガスリング21で発生した磁界によってプラズマ密度を高め、次のステップSP5に移る。
【0045】
ステップSP5において制御部14は、発生したプラズマによって皮膜を成膜中に、ガラス基板4の背面側からターボ分子ポンプ43及びメカニカルポンプ7によって真空チャンバ2内を真空排気し、次のステップSP6に移る。
【0046】
ステップSP6において制御部14は、成膜過程の段階で4重極質量分析計45によってガラス基板4を通過してきたO2 分子の通過量を検出すると共に、フォトセンサ47によってガラス基板4を透過したプラズマにおける発光の光透過率を検出し、次のステップSP7に移る。
【0047】
ステップSP7において制御部14は、所望の膜質性能に到達したときのO2 分子の通過量及びプラズマ発光の光透過率が目標値に到達したか否かを4重極質量分析計45及びフォトセンサ47を介して検出する。ここで否定結果が得られると、このことはO2 分子の通過量及びプラズマ発光の光透過率が目標値に到達していない、すなわち所望の膜質性能が得られていないことを表しており、このとき制御部14はステップSP7に戻って所定時間後の膜質を再度検出する。
【0048】
これに対してステップSP7において肯定結果が得られると、このことは既に所望の膜質性能が得られたことを表しており、このとき制御部14は次のステップSP8に移る。ステップSP8において制御部14は、所望の膜質性能が得られたのでプラズマの発生を停止し、次のステップSP9に移って成膜処理を終了する。
【0049】
以上の構成において、スパッタ装置1は成膜手段としての真空チャンバ2、基板4、ターゲット5、可変陰極電源10及びRF電源11による皮膜の成膜過程の段階でガラス基板4を通過する所定の気体分子の通過量及びガラス基板4を透過する光透過率に基づいて膜質性能の評価を行う。すなわちスパッタ装置1は、通過量及び光透過率が低下して目標値に到達したときに、皮膜の結晶サイズが大型化して所望の膜質性能が得られたものと判断することができるので、このとき所望の膜質及び膜厚の皮膜を生成し得たとして成膜処理を停止する。
【0050】
従ってスパッタ装置1は、従来のように成膜処理が終了した後に大気中で膜質性能の評価を行い、所望の膜質性能が得られていない場合には再度成膜処理を行う場合に比べて、所望の膜質及び膜厚の皮膜を短時間で効率良く生成することができる。
【0051】
またスパッタ装置1は、膜質性能の評価を真空チャンバ2内の真空状態の中で行うことによりガラス基板4を酸化させずに済み、これにより正確な膜質性能の評価を常に安定して行うことができる。
【0052】
なおスパッタ装置1は、ガスリング21によって発生させる磁界によって気体分子のイオン化率を高めることにより、真空チャンバ2内を高真空状態に設定した場合でも密度の高いプラズマを発生させて成膜処理することができる。従ってスパッタ装置1は、密度の高いプラズマによってガラス基板4の表面にスパッタリング粒子を高速に堆積させることにより、不純物の少ない皮膜を成膜できる。
【0053】
またスパッタ装置1は、所望の膜質性能が得られた皮膜が成膜できたとしても膜厚が厚すぎた場合には、ガラス基板4の表面をエッチングして平坦化することにより、所望の膜厚のガラス基板4を生成することができる。
【0054】
さらにスパッタ装置1は、成膜処理の終了したガラス基板4を基板ホルダ3に取り付けた状態で真空チャンバ2を大気開放すれば、ガラス基板4が大気によって序々に酸化していく各過程における気体バリア性能の評価を行うことができる。
【0055】
以上の構成によれば、スパッタ装置1は成膜過程の段階でガラス基板4の背面側から真空排気し、当該ガラス基板4を通過する所定の気体分子の通過量及びガラス基板4を透過する光透過率に基づいて膜質性能の評価を行うことにより、所望の膜質性能が得られたときに成膜処理を停止して所望の膜質及び膜厚の皮膜を効率良く生成することができる。
【0056】
またスパッタ装置1は、皮膜の成膜過程においてガラス基板4の背面側から真空排気することにより、ガラス基板4近傍における真空状態の圧力値をターゲット5近傍における真空状態の圧力値よりも低圧にすることにより、ガラス基板4近傍でプラズマを発生し難くしてプラズマによる基板損傷を低減することができる。
【0057】
なお上述の実施の形態においては、四重極質量分析計45によって皮膜の成膜されたガラス基板4を通過する気体分子の通過量を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、皮膜の成膜されたガラス基板4を通過する気体分子のエネルギーを電流に変換するファラデーカップ等の他の種々の検出手段を用いるようにしても良い。この場合にも、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また上述の実施の形態においては、可変陰極電源23を制御することによりプラズマ密度を高めて粒子エネルギーを高くするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、RF電源24の周波数を高くすることにより粒子エネルギーを高くするようにしても良い。
【0059】
さらに上述の実施の形態においては、ガスリング21を介してガラス基板4の表面に磁界を発生させると共に各種ガスを供給するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ガスリング21によって各種ガスを供給し、ターゲット5の背面側にコイルを設けて磁界を発生させるようにしても良い。
【0060】
さらに上述の実施の形態においては、スパッタ装置1によって皮膜を成膜する成膜対象として液晶パネル用のガラス基板4を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、PDP(Plasma display panel)と呼ばれるプラズマ液晶パネル用のガラス基板やポリカーボネート等の高分子材料でなる高分子フィルム等を成膜対象として用いるようにしても良い。
【0061】
さらに上述の実施の形態においては、真空チャンバ2内におけるO2 分子の通過量を基に膜質性能を評価するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、分子サイズの小さな例えばヘリウム(He)のガスをガスリング21を介して真空チャンバ2内に供給し、He分子の通過量に基づいて膜質性能を評価するようにしても良い。この場合、膜質性能を一段と高精度に評価することができる。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、コイル30に高周波の交流電流を供給し、交流電流によって生じる高調波成分によってイオンの発生し易い状態を作り出してコイル30とガラス基板4との間にプラズマを発生させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、高周波のパルス電流を供給することによりイオンの発生し易い状態を作り出すようにしても良い。
【0063】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、皮膜の堆積された成膜対象を容器内の気体分子が真空排気によって通過することにより、成膜対象の表面近傍における圧力状態をターゲット近傍における圧力状態よりも低圧に設定することができるので、プラズマ中に存在するイオンの成膜対象への衝突を減少させた状態で成膜処理を実行し、かつ当該成膜対象に対する損傷を低減させることができ、かくして所望の膜質性能を有する皮膜を簡易な構成で効率良く成膜し得るスパッタ装置を実現できる。
【0064】
また本発明によれば、皮膜の堆積された成膜対象を容器内の気体分子が真空排気によって通過することにより、成膜対象の表面近傍における圧力状態をターゲット近傍における圧力状態よりも低圧に設定することができるので、プラズマ中に存在するイオンの成膜対象への衝突を減少させた状態で成膜処理を実行し、かつ当該成膜対象に対する損傷を低減させることができ、かくして所望の膜質性能を有する皮膜を簡易な構成で効率良く成膜し得るスパッタ方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスパッタ装置の構成を示す略線的概略図である。
【図2】本発明による成膜処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1……スパッタ装置、2……真空チャンバ、4……ガラス基板、5……ターゲット、14……制御部、21……ガスリング、30……コイル、45……四重極質量分析計、47……フォトセンサ。

Claims (4)

  1. 所定の気体が供給された容器内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより上記成膜対象の表面に皮膜を成膜する成膜手段と、
    上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜に対して所定の観測対象を通過させる通過手段と、
    上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜を通過する上記観測対象の通過量を監視することにより上記皮膜の膜質を検出する検出手段とを具えたスパッタ装置であって、
    上記通過手段は、上記成膜対象の背面側から当該成膜対象を介して上記容器内を真空排気することにより、上記気体の気体分子を上記観測対象として上記皮膜を通過させる
    ことを特徴とするスパッタ装置。
  2. 上記スパッタ装置は、
    上記ターゲット及び上記成膜対象間の所定位置に上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜を所定量ずつ除去して所望の膜厚に調整する皮膜除去手段
    を具えることを特徴とする請求項1に記載のスパッタ装置。
  3. 所定の気体が供給された容器内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより上記成膜対象の表面に皮膜を成膜し、
    上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜に対して所定の観測対象を通過させ、
    上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜を通過する上記観測対象の通過量を監視することにより上記皮膜の膜質を検出するスパッタ方法であって、
    上記スパッタ方法は、上記成膜対象の背面側から当該成膜対象を介して上記容器内を真空排気することにより、上記気体の気体分子を上記観測対象として上記皮膜を通過させる
    ことを特徴とするスパッタ方法。
  4. 上記スパッタ方法は、
    上記成膜対象の表面に成膜された上記皮膜が所定以上の膜厚であった場合、上記皮膜を所定量ずつ除去して所望の膜厚に調整する
    ことを特徴とする請求項に記載のスパッタ方法。
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