以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施の形態の大腸内視鏡1全体の概略構成を示すものである。
本実施の形態の大腸内視鏡1には体内に挿入される細長い挿入部2の基端部に手元側の操作部3が連結されている。さらに、挿入部2は先端部4、湾曲部5、及び細長い可撓管6が順次連結されて構成されている。ここで、湾曲部5は例えば上下、左右にそれぞれ湾曲可能になっている。
また、操作部3には湾曲部5を例えば上下、左右にそれぞれ湾曲操作する操作ノブ7が装着されているとともに、ユニバーサルコード8の基端部が連結されている。このユニバーサルコード8の先端部にはコネクタ部9が取付けられている。そして、このコネクタ部9は図示しない光源装置に着脱可能に連結されるようになっている。
また、湾曲部5は図2(A)に示すように複数の湾曲駒10が挿入部2の挿入方向に沿って並設された湾曲駒ユニット11が配設されている。ここで、隣接する前後の湾曲駒10間はリベット12を介して回動自在に連結されている。
さらに、湾曲駒ユニット11の最先端に配置された図示しない最先端湾曲駒には湾曲ワイヤ13の先端部が固着されている。また、湾曲駒ユニット11の最先端湾曲駒以外の湾曲駒10の内周面には湾曲ワイヤ13のガイド用のワイヤ受け14が固着されている。そして、各ワイヤ受け14内に湾曲ワイヤ13が挿通されている。
また、各湾曲駒10の外周面には湾曲部網状管15が装着されている。さらに、この湾曲部網状管15の外周面には湾曲部外皮16が装着され、湾曲部5全体がこの湾曲部外皮16によって被覆されている。
また、可撓管6には帯状螺旋管17と、この帯状螺旋管17の外周面に装着された網状管18と、この網状管18の外周面に装着された外皮19とが設けられている。
さらに、網状管18の先端部外周面には口金20の後端部が外嵌状態で固着されている。この口金20の前端部外周面には湾曲部5の後端部に配置される最終湾曲駒10Aの後端部が外嵌状態で固定されている。
また、最終湾曲駒10Aと口金20との接続部には湾曲部5の最大外径D1 の部分と最小内径d1 の部分とが配置されている。ここで、湾曲最終駒10Aの肉厚はt1 に設定されている。さらに、湾曲部5の他の部位では、内径d2 は最小内径d1 以上、外径D2 は最大内径D1 以下となる範囲に設定され、かつ湾曲駒10の肉厚t2 は強度向上のため最終湾曲駒10Aの肉厚t1 以上に設定されている。
また、網状管18の外周面には口金20の固定部の後方に湾曲部外皮16の後端部が延出され、この湾曲部外皮16の後端部が可撓管6の外皮19の先端部と一緒に固定糸21によって固着されている。
また、可撓管6には図1に示すように先端側から順に第1の軟性部23と、硬性部24と、第2の軟性部25とが順次連続的に配置されている。ここで、可撓管6の硬さが異なる第1の軟性部23、硬性部24、第2の軟性部25は2種類の樹脂を配合して形成されている外皮19の樹脂の配合比を変化させることによってそれぞれ形成されている。
また、図3は可撓管6の第1の軟性部23、硬性部24、第2の軟性部25の各部分に対応する硬さと、挿入部2の先端からの長さとの関係を表す特性図である。ここで、挿入部2の長さは図3に示すように例えば130cmに設定されている。さらに、第1の軟性部23は挿入部2の先端からの長さが約40cmの位置まで設定されている。そして、この第1の軟性部23は先端側から手元側に向かうにしたがって徐々に硬さが増している。
また、硬性部24は挿入部2の先端からの長さが約40cmの位置から約100cmの位置まで設けられている。そして、この硬性部24の硬さは第1の軟性部23の最大硬さと同じ硬さで一定である。
さらに、第2の軟性部25は挿入部2の先端からの長さが約100cmの位置から約130cmの位置まで設けられている。そして、この第2の軟性部25は硬性部24との連結部(先端側)から手元側に向かうにしたがって徐々に硬さが減少している。
なお、第2の軟性部25の基端部は手元側の操作部3との連結部に配設された折れ止め部26に連結されている。さらに、網状管18は、硬さや弾発性及び強度の影響を考慮して、ステンレスの硬質線と軟質線がそれぞれ5:5の割合にて構成されている。
さらに、可撓管6の内部には湾曲ワイヤ13のガイド用の複数の湾曲コイル27と振動ユニット28とが配設されている。ここで、各湾曲コイル27の先端部は口金20の内周面に固着されている。そして、各湾曲コイル27の内部には湾曲ワイヤ13が挿通されている。
また、振動ユニット28には先端部が閉塞された細管状のカバー部材29が設けられている。このカバー部材29の内部には先端閉塞部側に回転振動子30、この回転振動子30の後方にシャフト31がそれぞれ配設されている。そして、カバー部材29の先端部は口金20の内周面に固着されている。
また、カバー部材29の基端部にはベアリング32が設けられている。そして、シャフト31はこのベアリング32によって支持されている。さらに、シャフト31の基端部には操作部3内に設けられた駆動モータ33が接続されている。この駆動モータ33は操作部3に設けられた図示しないスイッチを操作することで駆動されるようになっている。
また、図2(B)に示すように回転振動子30の回転軸30aはカバー部材29の中心線に対して偏心させた状態で設けられている。そして、カバー部材29は回転振動子30の回転軸30aに対してある回転角度の範囲では回転振動子30とカバー部材29との間が接触し、その他の回転角度の範囲では回転振動子30とカバー部材29との間は接触しないように設定されている。
また、本実施の形態の内視鏡システムでは大腸内視鏡1の挿入部2が挿通可能な可撓筒体からなるスライディングチューブ(内視鏡挿入補助具)34が大腸内視鏡1と組み合わせて使用される。なお、スライディングチューブ34には長さが異なる様々な種類が予め設けられているが、本実施の形態のシステムでは長さが26cmのスライディングチューブ34が用いられる。これにより、スライディングチューブ34を内視鏡1の挿入部2の基端部に嵌装した状態で、可撓管6の第2の軟性部25の少なくとも一部を、スライディングチューブ34に覆われない状態で保持することができる。
次に、上記構成の作用について説明する。ここでは、本実施の形態の大腸内視鏡1を大腸H1 内に挿入する挿入作業について説明する。本実施の形態の大腸内視鏡1の使用時には予め内視鏡1の挿入部2にスライディングチューブ34が装着される。このとき、スライディングチューブ34は内視鏡1の挿入部2の手元側まで導かれ、図4(A)に示すようにこのスライディングチューブ34の端部を折れ止め部26に被せた状態にセットされる。
また、本実施の形態では可撓管6の第2の軟性部25の長さ(30cm)はスライディングチューブ34の長さ(26cm)より長いため、図4(A)に示すようにスライディングチューブ34の手元側の端部を折れ止め部26に被せた状態、すなわち、スライディングチューブ34を挿入部2の基端部まで嵌装した状態では、第2の軟性部25の一部がスライディングチューブ34に覆われていない状態で保持される。そのため、第2の軟性部25におけるスライディングチューブ34に覆われていない部分によって内視鏡1の可撓管6を撓みやすい状態で保持させることができる。
また、内視鏡1の挿入部2にスライディングチューブ34が上記セット位置に装着された後、内視鏡1の挿入部2を大腸H1 内に挿入する挿入作業が開始される。この挿入作業時には内視鏡1の挿入部2の先端部4が図4(A)に示すように肛門H2 からS状結腸H3 内に挿入された後、S状結腸H3 を越え、下行結腸H4 まで挿入される。
続いて、図4(B)に示すようにS状結腸H3 を略直線化した後に、スライディングチューブ34が体腔内に挿入される。この状態で、内視鏡1の挿入部2の先端部4が脾湾曲部H5 を経て横行結腸H6 まで挿入される。
また、図5および図6は、大腸屈曲部の脾湾曲部H5 を内視鏡1の湾曲部5と可撓管6との間の接続部近傍部分が通過する状態を示すものである。このときの内視鏡1の挿入部2の挿入作業中、図5に示すように、湾曲部5と可撓管6との間の接続部近傍部分と大腸壁との摩擦で挿入部2が脾湾曲部H5 に引っかかり、挿入部2を押した力が先端部4まで伝わらずに脾湾曲部H5 を押してしまい、内視鏡1の挿入部2の挿入が困難になる、いわゆるステッキ現象が起きることがある。
この場合には、振動ユニット28が使用される。この振動ユニット28の使用時には駆動モータ33が駆動される。駆動モータ33を駆動させるとシャフト31と連動して回転振動子30が回転する。ここで、回転振動子30の回転軸30aはカバー部材29の中心線に対して偏心させた状態で設けられているため回転振動子30の回転に伴い回転振動子30とカバー部材29との間が繰り返し接触することで、挿入部2の中心軸に対して垂直方向に振動する。その結果、湾曲部5と可撓管6との間の接続部近傍と大腸内壁との間の摩擦抵抗が減少する。
したがって、本実施の形態の内視鏡システムでは内視鏡1の挿入部2の挿入作業中にステッキ現象が起きた場合でも、回転振動子30の回転による振動により、内視鏡1の挿入部2と大腸内壁との間の摩擦抵抗を減少させることができるため、図6に示すように、挿入部2を押した力が先端部4の軸方向に伝わり脾湾曲部H5 の通過が容易になる。また、脾湾曲部H5 に限らず、肝湾曲H7 等の他の大腸屈曲部においても同様に内視鏡1の挿入部2の挿入性が向上する。なお、図4(A),(B)中で、H8 は上行結腸、H9 は盲腸である。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡システムでは可撓管6の第2の軟性部25の長さ(30cm)よりも長さが短い26cmのスライディングチューブ34を内視鏡1の挿入部2の基端部に嵌装した状態にセットして使用するようにしたので、可撓管6の第2の軟性部25の少なくとも一部を、スライディングチューブ34に覆われない状態で保持させることができる。そのため、この状態で内視鏡1の挿入部2を大腸H1 内に挿入する挿入作業中に、挿入部2に生じる撓みを第2の軟性部25に集まりやすくすることや、操作部3を任意の向きや角度に向けやすくすることができ、内視鏡1の操作性を向上させることができる。
また、スライディングチューブ34を体腔内に挿入した後は、図4(B)に示すように、第2の軟性部25がスライディングチューブ34に覆われる部分が無くなるため、さらに撓みや、ループを第2の軟性部25に集めやすくすることができる。したがって、本実施の形態の内視鏡システムでは従来に比べてスライディングチューブ34を使用した場合においての内視鏡1の操作性を向上させることができる。
なお、内視鏡1の湾曲部5と可撓管6との間の接続部近傍に設けた振動ユニット28は、必ずしも内視鏡1の挿入部2の中心軸に垂直方向の振動を発生させる構成でなくともよい。例えば、内視鏡1の挿入部2の中心軸方向の振動を発生させるリニアモータなどを用いた構成にしてもよい。
また、可撓管6の網状管18は可撓管6の外径寸法に応じて、ステンレスの硬質線と軟質線の割合を変えてもよい。また、可撓管6の第1の軟性部23、硬性部24、第2の軟性部25のそれぞれに対応して異なる硬さの樹脂によるチューブを連接して網状管18にかぶせて外皮19を形成することで、可撓管6の第1の軟性部23、硬性部24、第2の軟性部25のそれぞれの範囲で硬さが一定となる構成にしてもよい。
また、図7乃至図10(A)〜(C)は本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1〜図6参照)の大腸内視鏡1の可撓管6とは異なる構成の可撓管41を設けたものである。
すなわち、本実施の形態の可撓管41には図7に示すように先端側から順に第1の軟性部42と、第1の硬性部43と、第2の軟性部44と、第2の硬性部45とが順次連続的に配置されている。ここで、可撓管41の硬さが異なる第1の軟性部42、第1の硬性部43、第2の軟性部44、第2の硬性部45は2種類の樹脂を配合して形成されている外皮48(図8および図9参照)の樹脂の配合比を変化させることによってそれぞれ形成されている。
また、図7は可撓管41の第1の軟性部42、第1の硬性部43、第2の軟性部44、第2の硬性部45の各部分に対応する硬さと、挿入部2の先端からの長さとの関係を表す特性図である。ここで、挿入部2の長さは図7に示すように例えば130cmに設定されている。さらに、第1の軟性部42は挿入部2の先端からの長さが約40cmの位置まで設定されている。そして、この第1の軟性部42は先端側から手元側に向かうにしたがって徐々に硬さが増している。
また、第1の硬性部43は挿入部2の先端からの長さ約40cmの位置から約80cmの位置まで設けられている。そして、この第1の硬性部43の硬さは第1の軟性部42の最大硬さと同じ硬さで一定である。
さらに、第2の軟性部44は挿入部2の先端からの長さが約80cmの位置から約120cmの位置まで設けられている。そして、この第2の軟性部44は前半側では第1の硬性部43との連結部(先端側)から手元側に向かうにしたがって徐々に硬さが減少し、かつ後半側では第2の硬性部45との連結部(後端側)側に向かうにしたがって徐々に硬さが増加している。
また、第2の硬性部45は挿入部2の先端からの長さ約120cmの位置から約130cmの位置まで設けられている。そして、この第2の硬性部45の硬さは第1の硬性部43と同じ硬さで一定である。
また、本実施の形態の可撓管41は第1の実施の形態の可撓管6と同様に帯状螺旋管46と、この帯状螺旋管46の外周面に装着された網状管47と、この網状管47の外周面に装着された外皮48とが設けられている。
なお、本実施の形態の可撓管41は図8に示すように、帯状螺旋管46の帯幅をw,帯隙間をc、外皮48の肉厚をt3 、網状管47の肉厚をt4 、可撓管41の外径寸法をD3 とする。
そして、本実施の形態の可撓管41を曲げようとすると、帯状螺旋管46の互いに隣接した帯46aと帯46aとの間が突き当たるために、曲げられる半径には限界がある。ここで、本実施の形態の可撓管41を最も小さく曲げた場合には図9に示すように、可撓管41の最小内径がR
1 、帯状螺旋管46の最小内径がR
2 、可撓管41の最小中心半径がR
3 とする。また、図9中で、点線の矢印の範囲は、可撓管41を180゜に最も小さく曲げるのに必要な範囲であり、直線では図8のLの長さに相当する。これらは、幾何学的に次の数1の式(1)、(2)に示す関係がある。
但し、nはLの範囲における帯状螺旋管46の巻き数である。なお、本実施の形態では、w=3mm、c=1mm、t3 =0.3mm、t4 =0.3mm、D3 =14mmである。上記の式(1)、(2)よりL=約80mmとなる。さらに、本実施の形態のシステムで用いているスライディングチューブ34の長さは40cmである。
また、本実施の形態の内視鏡システムでは上記以外の部分の構成は第1の実施の形態と同一構成であり、ここでは第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、上記構成の作用について説明する。図10(C)は内視鏡1の挿入部2の基端部にスライディングチューブ34を装着して、挿入部2を体腔(大腸)内へ挿入している状態を示している。いわゆる、一人法と呼ばれる内視鏡1の挿入部2の挿入手技では、左手で操作部3の操作ノブ7を操作することにより、例えば湾曲部5を上下に湾曲させる湾曲操作を行い、右手で挿入部2をねじることで挿入部2の先端部4を片側に最大で180゜回転させることにより、先端部4を任意の方向に向けさせることができる。これにより、挿入部2の先端部4を全ての方向に対して挿入していくことができる。
ここで、本実施の形態の内視鏡1の可撓管41はねじり力に対して剛性があるため、操作部3を固定したままで内視鏡1の挿入部2の先端部4を回転させるためには、可撓管41にループ49や、撓みを生じさせなければならない。例えば、図10(A)に示すように可撓管41が直線形状で保持されている状態から、先端部4を360゜回転させる場合には図10(B)に示すように、可撓管41に360゜のループ49を生じる。
ここで、内視鏡1の挿入部2の先端部4の回転角度と可撓管41のループ49の角度は、ほぼ対応している。そのため、内視鏡1の挿入部2の先端部4を180゜回転させるためには、可撓管41に180゜のループ49を生じる。すなわち、内視鏡1の挿入部2の先端部4を180゜回転させるために180゜のループ49を作るための長さは少なくともL=約80mm必要である。
また、スライディングチューブ34の手元側の端部を折れ止め部26に被せた状態、すなわち、スライディングチューブ34を挿入部2の基端部まで嵌装した状態では、第2の軟性部44におけるスライディングチューブ34に覆われていない部分の長さは10cm以上である。そのため、180゜のループ49を作るために必要な長さL=約80mmより長いので、スライディングチューブ34を挿入部2の基端部まで嵌装した状態で、操作部3を固定したまま可撓管41をねじることで先端部4を180゜回転させたとき、可撓管41に生じた撓みを第2の軟性部44のスライディングチューブ34に覆われない部分に集まりやすくなる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、内視鏡1の挿入部2の基端部にスライディングチューブ34を装着した状態では図10(C)に示すように、第2の軟性部44におけるスライディングチューブ34に覆われていない部分は撓みやすく、容易に挿入部2をねじることができるので、先端部4を簡単に180゜回転させることができる。よって、すべての方向に対して挿入部2をねじることができるので、所望の方向に先端部4を容易に向けることができる。
また、操作部3と挿入部2との間の接続部付近を過大な力で曲げようとしたとき、急角度に屈曲して内蔵物が損傷することを防止するために折れ止め部26が設けられているが、本実施の形態の内視鏡1の可撓管41ではさらに第2の軟性部44と折れ止め部26との間に第2の硬性部45を設けたので、可撓管41の屈曲に対する抵抗を一層大きくすることができる。そのため、さらに内臓物の損傷防止効果を高めることができる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1、第2の各実施の形態の内視鏡1と組み合わせるスライディングチューブ34の長さは患者の腸の長さや、操作者の好みに応じて適宜変更してもよい。さらに、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 先端部、湾曲部、及び可撓管で構成される挿入部を具備し、前記可撓管の操作部近傍の一部に軟らかい軟性部を設けた内視鏡と、前記挿入部が挿通可能な内径を有した可撓筒体からなる内視鏡挿入補助具を備えた内視鏡システムにおいて、前記内視鏡挿入補助具を前記挿入部の基部に嵌装した状態で、前記軟性部の少なくとも一部を、前記内視鏡挿入補助具に覆われない位置に設けたことを特徴とする内視鏡システム。
(付記項2) 前記軟性部の前記内視鏡挿入補助具に覆われない部位の長さを、前記可撓管の最小可撓半径で180゜曲げるのに必要な長さより長くしたことを特徴とする付記項1記載の内視鏡システム。
(付記項3) 前記軟性部の長さを、前記内視鏡挿入補助具の長さより長くしたことを特徴とする、付記項1記載の内視鏡システム。
(付記項4) 前記軟性部の長さを、前記内視鏡挿入補助具の長さと、前記可撓管の最小可撓半径で180゜曲げるのに必要な長さの和より長くしたことを特徴とする、付記項1記載の内視鏡システム。
(付記項1〜4の従来技術) 大腸内視鏡検査時において、患者の体外に延びている挿入部の可撓管が、撓みがたい硬性部であった場合、先端部や湾曲部を回転させるために挿入部をねじることによって、挿入部にループや撓みが生じると、無理な力が加わって撓むために患者に苦痛を与えたり操作者の疲労が増したり、また任意の向きや角度にて操作部を把持することが容易でなく内視鏡の操作性に問題があった。
この問題を解決する手段として、従来装置に実公昭63−34641号公報などがある。構成は、操作部近傍の可撓管の少なくとも一部を撓みやすい軟性部とし、この軟性部を除く操作部に近接する部分を前記軟性部より撓み難くした。作用は前述した動作などにより、挿入部に生じるループや撓みが前記軟性部に集まりやすくなることである。
(付記項1〜4が解決しようとする課題) S状結腸のループを略直線化してさらに深部まで挿入するために、略直線化されたS状結腸が再度撓んでしまうことを防ぐために内視鏡挿入補助具としてスライディングチューブを使用することがしばしばある。スライディングチューブを使用するときは、S状結腸を略直線化するまではスライディングチューブを挿入部の基部に嵌挿した状態で挿入部を体腔内に挿入し、S状結腸が略直線化された後にスラィディングチューブを体腔内に挿入する。
従来技術の実公昭63−34641号公報の問題点は、スライディングチューブを挿入部の基部に嵌装した状態で、軟性部がスラィディングチューブに覆われてしまう場合、軟性部が撓み難くなり操作性が悪くなるおそれがあった。
(付記項1〜4の目的) 付記項1〜4の目的は、スライディングチューブを使用した場合においての操作性を向上させることである。
(付記項1〜4の作用) 付記項1から4に係る作用は、前記軟性部の一部がスライディングチューブにより覆われていないため、前記軟性部が撓みやすくなることである。
(付記項1〜4の効果) 付記項1から4記載の構成によると、スライディングチューブを装着した状態においても、操作性が向上する。
(付記項5) 前記湾曲部と、前記可撓管の接続部近傍に振動手段を設けたことを特徴とする、付記項1記載の内視鏡システム。
(付記項5の従来技術) 構成は、先端部、湾曲部、可撓管が連接されて挿入を構成している。湾曲部と可撓管は、硬さなどの違いにより曲率半径が異なることや、口金などの接続部品があるために、接続部近傍において滑らかに曲がらない。
(付記項5が解決しようとする課題) また、従来技術ではS状結腸や脾湾曲・肝湾曲などの大腸屈曲部を通過する際において、湾曲部と可撓管の接続部近傍では滑らかに曲がらないため、摩擦抵抗などにより前記接続部近傍と大腸屈曲部が引っかかり、可撓管を押した力が先端部に伝わらず、いわゆるステッキ現象が生じ、挿入が困難になることがあった。
(付記項5の目的) 付記項5の目的は、大腸屈曲部の通過を容易にすることである。
(付記項5の作用) 付記項5に係る作用は、湾曲部と可撓管の接続部近傍と大腸壁と摩擦抵抗を減少させることである。
(付記項5の効果) 付記項5記載の構成によると、大腸屈曲部の通過が容易になり挿入性が向上する。
1…内視鏡、2…挿入部、3…操作部、4…先端部、5…湾曲部、6,41…可撓管、23,42…第1の軟性部、24…硬性部、25、44…第2の軟性部、28…振動ユニット、30…回転振動子、34…スライディングチューブ(内視鏡挿入補助具)、43…第1の硬性部、45…第2の硬性部。