JP3934379B2 - 射出成形組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明の射出成形組成物は、高温長時間滞留後の透明性の悪化が小さく、得られる成形品は透明性と剛性及び耐衝撃性のバランスが良好で、成形品を0℃以下で使用する際の耐衝撃性に優れた成形品を提供する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高い、ビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン及びイソプレンに代表される共役ジエンからなるブロック共重合体は、優れた透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射出成形用途、シート、フィルム等の押出し成形用途等に使用されている。とりわけ該ブロック共重合体、及びそれを用いたスチレン系重合体との組成物は、透明性、機械特性に優れることから、いくつかの提案がなされている。例えば特開昭52−58788号公報には透明性と耐衝撃性を改良する目的で触媒を分割添加した分岐状ブロック共重合物が、特開昭53−8688号公報には熱に安定な樹脂状ブロックポリマーを得るため、イソプレンと1,3−ブタジエンを逐次添加する製造方法が、特開平2−113007号公報には耐衝撃性のブロック共重合体を得るため、イソプレンを主体とする重合体ブロックを有する特定構造のブロック共重合体が、特開昭58−141233号公報には透明性や表面光沢性などの外観特性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性重合体組成物を得るため、分子量の増加と共に変化する組成分布を有するブロック共重合体混合物と熱可塑性樹脂との組成物が、特開平4−277509号公報には環境応力亀裂性を改良するため、触媒を分割添加した漸変性ブロック共重合体の製造方法が、特開平5−177777号公報には低温高速成形性、深絞り成形性の改良された剛性の高い熱可塑性樹脂製の多層シートを得るため、表層に特定の弾性率を有する樹脂と該樹脂とビカット軟化点の比が特定の範囲にある樹脂層からなる多層シートが、特開昭63−145314号公報には優れた透明性と機械的特性を得るため、S1−B1−B/S−S2構造のブロック共重合体の製造方法が、特開平7−97418号公報には透明性と耐衝撃性及びビニル芳香族炭化水素重合体の補強性を改良するため、ブロック率、重合体ブロックの配置、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合した部分の共役ジエン量比率等に特徴を持たせたブロック共重合体、及びその組成物が夫々記載されている。しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体とポリスチレン樹脂からなる組成物は、射出成形用途において、高温長時間滞留した際の成形品の透明性、剛性と耐衝撃性のバランスが良好で、射出成形品の0℃以下での耐衝撃性を全て満足するものは無く、これらの文献にはそれらを改良する方法が開示されておらず、依然として市場での問題点が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温長時間滞留後の透明性を改良し、透明性と剛性及び耐衝撃性のバランスが良好で0℃以下の耐衝撃性に優れた射出成形品の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定のポリマー構造を有するビニル芳香族炭化水素とイソプレン及び1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体とポリスチレン樹脂とからなる組成物、更には該ブロック共重合体に特定の安定剤を組み合わせることによって、高温長時間滞留後の透明性を改良し、透明性と剛性及び耐衝撃性のバランスが良好で、0℃以下の耐衝撃性に優れることを見出し、完成されたものである。
【0005】
即ち、本発明は、1.(I)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも2つの重合体ブロックSと、イソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40〜5重量%であって、該ブロック共重合体中のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含有されるビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率が60〜100重量%であることを特徴とするブロック共重合体と、(II)ポリスチレン樹脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と該(II)ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量%として、(I)は60重量%を超え、95重量%以下、(II)は5重量%以上、40重量%未満であることを特徴とする射出成形組成物、
【0006】
2.安定剤として、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部添加してなる上記1に記載の射出成形組成物、
3.ブロック共重合体中のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が10/90以上、55/45未満の範囲であることを特徴とする上記1または2に記載の射出成形組成物、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するブロック共重合体は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素とイソプレン及び1,3−ブタジエンを重合することにより得るものである。
ブロック共重合体の製造に用いる炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いる有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0008】
ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量は60〜95重量%、好ましくは65〜90重量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量は40〜5重量%、好ましくは35〜10重量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が60重量%未満、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40重量%を超えると射出成形品の透明性の悪化及び剛性が低下し、逆にビニル芳香族炭化水素含有量が95重量%を超え、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が5重量%未満では、耐衝撃性が低下するため、好ましくない。
ブロック共重合体中のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比は5/95以上、55/45未満、好ましくは10/90以上、55/45未満、更に好ましくは20/80以上、55/45未満である。ブロック共重合体のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が55/45以上の場合には、成形品の0℃以下の耐衝撃性が劣り、逆にイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が5/95未満では、高温長時間滞留後の透明性が悪化するため好ましくない。
【0009】
ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率は60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、更に好ましくは75〜95重量%である。ブロック率が60重量%未満では、剛性の低下、及び0℃以下での耐衝撃性が低下するため好ましくない。ブロック率は、ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合ブロックのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。具体的な方法としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する方法、又は極性化合物、或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する方法、更にはこれらを組み合わせた方法等が採用できる。極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。尚、本発明のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)より得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の総重量で除した値であり、その値を重量%で表したものである。
【0010】
本発明で使用するブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも2つの重合体ブロックSと、イソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックBを少なくとも1つ含有するブロック共重合体で、例えば下記の一般式のものが挙げられる。
【0011】
(イ)A−(B−A)n (ロ)A−(B−A)n −B (ハ)B−(A−B)n+1で表される直鎖状ブロック共重合体、或いは一般式 (ニ)[(A−B)k]m+2−X (ホ)[(A−B)k−A]m+2−X (ヘ)[(B−A)k]m+2−X (ト)[(B−A)k−B]m+2−Xで表されるラジアルブロック共重合体(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックSを示す。Bはイソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックBを示す。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、ポリビニル化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)であるが、好ましくは直鎖状ブロック共重合体である。上記において、Bの重合体ブロックのビニル芳香族炭化水素含有量は70重量%未満、好ましくは60重量%未満、更に好ましくは50重量%未満であり、Aのビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックは、ビニル芳香族炭化水素を70重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素単独重合体、及び/又はビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンの共重合体ブロックである。
【0012】
本発明のブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
ブロック共重合体の好ましいMFR(G条件で温度200℃、荷重5Kg)は成形加工の点から0.1〜50g/10min、好ましくは1〜20g/10minである。
【0013】
本発明のブロック共重合体には、安定剤として、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールから選ばれる少なくとも1種の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部添加することによって、より一層の高温長時間滞留後の透明性の悪化の抑制効果を得ることができる。安定剤が0.05重量部未満では高温長時間滞留後の透明性悪化の抑止効果が小さく、3重量部を超えて添加しても本発明以上の抑止効果に寄与しない。本発明のブロック共重合体には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のフェノール系安定剤の少なくとも1種をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部、トリス−(ノニルフェニル)フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等の有機ホスフェート系、有機ホスファイト系安定剤の少なくとも1種をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部添加することができる。
【0014】
本発明で使用するポリスチレン樹脂は、マス重合、或いはマス−サスペンジョン重合等の従来公知の方法で製造でき、添加剤としてミネラルオイル、有機酸、有機酸エステル等の種々の添加剤を添加することができる。本発明の射出成形組成物中のブロック共重合体とポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量%として、(I)を60重量%を超え、95重量%以下、(II)を5重量%以上、40重量%未満、好ましくは(I)を65重量%以上、90重量%以下、(II)を10重量%以上、35重量%以下である。射出成形組成物中の(I)ブロック共重合体含有量が60重量%以下では耐衝撃性が低下し、95重量%を超えると剛性が低下するため好ましくない。
【0015】
本発明の射出成形組成物を成形する際の成形条件に制約はないが、好ましい溶融樹脂温度は180〜260℃、好ましい射出圧力は50〜1500Kgf/cm2、好ましい射出速度は5〜200cm3/secである。成形条件は成形品の配向、ヒケ、残留応力、成形サイクル等を勘案し、成形品の形状に応じて最適な成形条件を設定することが必要である。
本発明の射出成形組成物は、射出成形機内に高温長時間滞留した後で成形しても、材料の劣化が少ないため成形品の透明性悪化を小さくすることが可能である。このことは、生産時のトラブル、或いは待機等でやむを得ず射出成形機内に材料が滞留する場合であっても、良好な成形品を直ぐに生産することができ、生産性向上に寄与することができる。
【0016】
本発明の射出成形組成物には、必要に応じてポリスチレン樹脂以外の、非ゴム変性スチレン系重合体及び/又はゴム変性スチレン系重合体を用いることができる。非ゴム変性スチレン系重合体は、スチレン、α−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、核アルキル置換スチレン、核ハロゲン置換スチレン等より選ばれる少なくとも2種のスチレン系単量体よりなる重合体、該スチレン系単量体より選ばれる少なくとも1種を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むこれらの単量体と共重合可能な後述する少なくとも1種の他の単量体との共重合体である。具体的に、該スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、アクリル酸及びそのエステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアルコール成分のアルキル炭素数が1〜12のエステル)、メタアクリル酸及びそのエステル類(例えばメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のアルコール成分が上記と同様のエステル)、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸及びこれらのモノエステル、ジエステル類、無水物及びイミド化物(例えば無水マレイン酸、マレイミド等)等が挙げられる。好適な非ゴム変性スチレン系重合体は、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、及びスチレン−メチルメタアクリレート共重合体等である。これらは単独で、又は2種以上の混合物として使用できる。一方、ゴム変性スチレン系重合体は、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムなどのゴムの存在下で、前記のスチレン系単量体、或いはスチレン系単量体と共重合可能な単量体を重合させたものである。好適なゴム変性スチレン系重合体は、ゴム変性ポリスチレンである。
【0017】
本発明の射出成形組成物には必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。これらの添加剤には、ビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラストマー、或いはその水添物、ポリエチレンテレフタレート等の他に、プラスチックの配合に一般的に用いられる添加剤、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、炭カル、タルク等の無機補強剤、有機繊維、クマロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイド、無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、その他の増量剤あるいはこれらの混合物があげられる。
本発明の射出成形組成物はそのままであるいは着色して通常の熱可塑性樹脂と同様、射出成形によるOA機器部品、日用品、食品、雑貨、弱電部品等に使用することができる。
【0018】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。表1に実施例、比較例に使用したブロック共重合体を示した。ブロック共重合体は、シクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリチウムを開始剤に用い、表1のポリマー構造欄に記載されている順序、量のモノマーを添加して重合した。例えば、ブロック共重合体A−1は以下のように製造した。ジャケット付き30L密閉反応器にイソプレン3重量部と1,3−ブタジエン4重量部を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を仕込み、それにn−ブチルリチウム0.086重量部を添加し、反応器内を窒素ガスで置換して圧力を3〜5Kg/cm2Gに維持しながら80℃で20分間重合した。その後スチレン22重量部を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に添加して80℃で20分間重合し、その後イソプレン1重量部と1,3−ブタジエン3重量部を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に添加して80℃で10分間重合し、次にイソプレン6重量部と1,3−ブタジエン12重量部とスチレン5重量部を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を30分間かけて連続的に添加しながら80℃で重合し、次にスチレン44重量部を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に添加して80℃で35分間重合した。その後、 反応器中にメタノールをn−ブチルリチウムに対して等モル添加して5分間攪拌した後、安定剤を添加し、溶媒を除去することによって安定剤を含むブロック共重合体A−1を回収した。ブロック共重合体A−2〜10の製造についても、A−1と同様の方法で製造した(但し、ブロック共重合体A−5の製造においては、メタノールを添加する前に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウムに対して0.25倍モル添加した)。ブロック共重合体A−1〜10のMFRは全て5〜10の範囲であった。MFRは、JISK−6870に基づき、G条件で温度200℃、荷重5Kgで測定した。ブロック共重合体のブロック率は、ブロック共重合体をクロロホルム溶媒中で、四酸化オスミウムとターシャリブチルハイドロパーオキサイドを添加して約100℃で20分間煮沸した後、メタノールを添加して分解物を沈殿させ、沈殿物をガラスフィルター(11G4:最大細孔の大きさが5〜10μm)で濾過して、濾過残差物(ブロックスチレン)の重量を求め、次式から算出するものである。
ブロック率(重量%)=(濾過残差物(ブロックスチレン)の重量/ブロック共重合体中の全スチレン量)×100
【0019】
【実施例1〜6、及び比較例1〜6】
表2の配合組成に従って、ポリスチレン樹脂として使用したA&MポリスチレンHF77(エー・アンド・エム スチレン株式会社製)と表1に示したブロック共重合体を40mm単軸押出機を用いて押出樹脂温度200℃で混練、ペレタイズした。得られた組成物を、型締力120tの射出成形機を用い成形樹脂温度210℃で、曲げ試験片、アイゾット試験用試験片及び透明性評価用のプレートを作成した。また、高温長時間滞留後の透明性の評価は、成形樹脂温度240℃で所定時間成形機内に滞留させた後、成形開始7ショット目で透明性評価用のプレートを作成した。これら試験片及びプレートを用いて室温及び0℃における耐衝撃性の尺度としてノッチなしアイゾット衝撃強度、剛性の尺度として曲げ弾性率、透明性の尺度としてヘイズを下記の方法で測定した。
【0020】
(1)ノッチなしアイゾット衝撃強度:試験片は幅12.5mm、厚さ3mmで、JIS−K7110に準拠し、試験機容量は30kgで測定した。
(2)0℃おけるノッチなしアイゾット衝撃強度:試験片を0℃に保たれた低温槽内に24時間保持し、取り出したあと直ちに測定した。試験片は幅12.5mm、厚さ3mmで、JIS−K7110に準拠し、試験機容量は30kgで測定した。
(3)曲げ弾性率:ASTM−D790に準拠し、試験片は幅12.5mm、厚さ3mm、支点間距離50mm、試験速度1mm/分で測定した。
(4)ヘイズ:JIS−K6714に準拠し、プレート厚さ2mmで試験した。得られた組成物性能を表2に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
本発明のブロック共重合体とポリスチレン樹脂からなる射出成形組成物は、高温長時間滞留後の透明性の悪化が小さく、得られる成形品は透明性と剛性及び耐衝撃性のバランスが良好で、成形品を0℃以下で使用する際の耐衝撃性に優れる。これらの特徴を生かして、透明性が要求されるような用途、例えば透明ハンガー、スケルトン玩具部品、化粧品キャップ、或いは低温特性が要求される食品容器用途等に好適に利用できる。
Claims (5)
- (I)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも2つの重合体ブロックSと、イソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40〜5重量%であって、該ブロック共重合体中のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含有されるビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率が60〜100重量%であることを特徴とするブロック共重合体と、(II)ポリスチレン樹脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と該(II)ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量%として、(I)は60重量%を超え、95重量%以下、(II)は5重量%以上、40重量%未満であることを特徴とする射出成形組成物。
- 安定剤として、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部添加してなる請求項1に記載の射出成形組成物。
- ブロック共重合体中のイソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が10/90以上、55/45未満の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の射出成形組成物。
- 該ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率が70〜95重量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出成型組成物。
- 該(I)ブロック共重合体と該(II)ポリスチレン樹脂の重量比が、合計量を100重量%として、(I)は65重量%以上、90重量%以下、(II)は10重量%以上、35重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出成型組成物。
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