JP3931089B2 - 親水化表面を有するシリコーンハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズの製造方法及びソフトコンタクトレンズ - Google Patents

親水化表面を有するシリコーンハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズの製造方法及びソフトコンタクトレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水化表面を有するシリコーンハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズの製造方法および表面が親水性化されたソフトコンタクトレンズに関する。さらに詳しくは、シリコーンを成分として含み、含水率が15〜35%の範囲にある含水性ソフトコンタクトレンズに水濡れ性および耐摩耗性に優れた表面を形成させる、ソフトコンタクトレンズの製造方法および表面が親水性化されたソフトコンタクトレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンタクトレンズを装用した場合には、大気からの酸素の供給量が低下し、その結果として角膜上皮細胞の***抑制や角膜肥厚につながる場合があることが臨床結果より指摘されている。そこでより安全性の高いコンタクトレンズを供給するために素材の酸素透過性の改良が試みられている。
【0003】
含水性ソフトコンタクトレンズの場合、その材料のしなやかさに起因して装用感がよいことが知られているが、その酸素透過性はレンズの含水率に起因するためハードコンタクトレンズと比較して低い。例えば含水性ソフトコンタクトレンズの場合、含水率80%の素材の酸素透過係数は約40×10-11(cm2/sec)・(mLO2/mL×mmHg)程度であり、角膜に十分な酸素量を供給できているとはいえない。このようなことから、ソフトコンタクトレンズにおいては酸素透過性を向上させるためにシロキサンマクロマーをレンズ成分としたコンタクトレンズが提案されている。例えば、特開2001-311917号公報には、側鎖にジメチルシロキサン構造を有するマクロマーを用いた、柔軟性および酸素透過性に優れたソフトコンタクトレンズ素材が開示されている。しかし、一般的にレンズ素材にシリコーン成分を用いた場合、レンズ表面の水濡れ性が低下する傾向があり、その結果、涙液成分中の汚れが付着しやすくなり、場合によっては装用感が悪化することもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情からコンタクトレンズにおいては、表面の水濡れ性をより向上させるために種々の表面処理方法が提案されている。
特公昭62-37370号公報には、親水性モノマーを用いた低温プラズマ処理を利用した、シリコーン樹脂製コンタクトレンズの表面処理方法が開示されている。この方法は、親水性モノマーを気化させた後プラズマを発生させ、レンズ表面に親水性重合体膜を形成させるものである。しかしながらこの方法は、極めて大がかりな装置が必要であり、また、被膜を形成させるための条件設定が複雑であるなどの問題点を有している。
【0005】
特開平2-278224号公報には、ハードコンタクトレンズへの表面親水化方法が開示されているが、グラフト重合する際の処理温度が低く、処理後の親水性膜の密着強度が弱く耐久性に欠けるという欠点を有している。
特開平4-316013号公報には、ハードコンタクトレンズへの表面処理に関し、親水性膜の密着強度を増加させるために、グラフト重合に用いる溶液中に架橋剤を添加する方法が開示されている。しかしながらこの方法も、架橋剤を添加することにより表面親水性膜が架橋され耐久性の向上が期待できるが、実際にはグラフト重合温度がさほど高くないために架橋剤の導入効果は予想したよりも高くはない。
【0006】
このように従来の表面親水化技術は装置が大がかりであり、また耐久性に欠けるなどの問題点が多い。さらに、素材面から見た場合でも、シリコーンラバー系の非含水ソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズを対象としたものがほとんどであり、シリコーンをレンズ成分として含むハイドロゲルを対象としたものは少ない。
【0007】
そこで本発明の目的は、シリコーンをレンズ成分として含むハイドロゲルからなる含水性ソフトコンタクトレンズであって、水濡れ性および耐摩耗性に優れた表面を有する物を製造する方法、およびこの方法により得られる水濡れ性および耐摩耗性に優れた表面を有する含水性ソフトコンタクトレンズを提供することである。
【0008】
本発明者は前記従来技術に鑑みて、シリコーンを成分として含有するソフトコンタクトレンズに関して、水濡れ性および耐摩耗性に優れた表面を形成するための表面処理方法と表面が親水性化されたソフトコンタクトレンズについて鋭意検討を重ねた。その結果、活性ガスおよび/または不活性ガスを用いて低温プラズマ処理後に酸素雰囲気に曝すことで表面にヒドロペルオキシドを形成させたコンタクトレンズ形状の共重合体を、100℃以上の温度で親水性モノマー水溶液中に浸漬し、表面をグラフト重合処理することで、水濡れ性および耐摩耗性のいずれも満足しうる含水性ソフトコンタクトレンズが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明では、上記親水性モノマー水溶液浸漬処理を100℃以上の高温で行うことにより、レンズ表面に形成したヒドロペルオキシドが効率よく分解しラジカルが生成することによって、レンズ表面へ親水性モノマーが強固にグラフト重合され、水濡れ性および耐摩耗性のいずれも満足しうる含水性ソフトコンタクトレンズが得られると考えられる。
【0009】
課題を解決するための手段】
本発明は、コンタクトレンズ形状を有し、かつシリコーンを含むハイドロゲルからなる共重合体を活性ガスおよび/または不活性ガスを用いて低温プラズマ処理し、酸素雰囲気下に曝し、かつ100℃以上の温度において親水性モノマー水溶液中に浸漬処理することを含む、親水化表面を有するソフトコンタクトレンズの製造方法に関する
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においてグラフト重合処理する対象は、「コンタクトレンズ形状を有し、かつシリコーンを含むハイドロゲルからなる共重合体」である。ここで、「シリコーンを含むハイドロゲル」及び「コンタクトレンズ形状を有する共重合体」は、それぞれ、従来から知られている材料及びコンタクトレンズであることができる。そのような材料及びそのような材料からなるコンタクトレンズ、例えば、特開2001−311917号公報に記載された側鎖にポリシロキサン構造を有するマクロマーからなる材料及びコンタクトレンズである。
【0011】
本発明の製造方法では、コンタクトレンズ形状をした共重合体(以下コンタクトレンズ素材と呼ぶ場合がある)を活性ガスおよび/または不活性ガスを用いて低温プラズマ処理し、その後、酸素雰囲気に曝す。この処理により、コンタクトレンズ素材の表面にヒドロペルオキシドが形成される。このヒドロペルオキシドを形成させるためのプラズマ処理は、低周波プラズマ、高周波プラズマ、大気圧プラズマなど公知の方法および装置を用いて行うことができる。処理時間としては通常10秒〜10分が好ましいが、レンズの劣化、作業効率などを考慮した場合より好ましくは20秒〜5分である。低温プラズマ処理に用いられる活性ガスおよび/または不活性ガスは、酸素、窒素、空気、水素、ヘリウム及びアルゴンから選ばれる少なくとも1種であることができ、これらの混合ガスを用いても良い。
【0012】
表面にヒドロペルオキシドを形成させたレンズ素材は、次いで、親水性モノマー溶液中に浸漬する。親水性モノマーは、ヒドロペルオキシドを形成したレンズ表面にグラフト可能な如何なる親水性モノマーであっても良い。そのような親水性モノマーとしては、好適には2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N、N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等があげられる。親水性モノマー溶液は、これら親水性モノマーを、十分に酸素を除去した蒸留水、生理食塩液、またはソフトコンタクトレンズ用保存液などに溶解させて作製することができる。親水性モノマーの濃度は、0.1〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜1.5重量%である。0.1重量%未満ではレンズ表面に十分な水濡れ性を付与することができず、3重量%を超えるとレンズに形成された親水性膜が厚くなりすぎて好ましくない場合がある。
【0013】
本発明の製造方法においては、グラフト重合処理は、100℃以上の温度においてレンズ素材を親水性モノマー溶液中に浸漬することで行う。浸漬処理温度の上限はレンズが耐えうる温度であり、浸漬処理温度は、好ましくは100〜130℃である。100℃未満ではレンズ表面と親水性モノマーとは強固に反応しないことから、レンズ表面の水濡れ性が耐久性に欠けるものとなる。130℃を超えるとレンズ素材が加水分解を始めとする劣化を引き起こす場合がある。グラフト重合処理時間は、レンズ表面と親水性モノマーとが反応する範囲内とすればよく、通常20分〜3時間ではある。但し、作業効率を考えると30分〜2時間が好ましい。
【0014】
コンタクトレンズ素材と親水性モノマーとの反応性をさらに高めるため、親水性モノマー溶液中に水溶性過酸化物や水溶性重合開始剤をさらに添加することもできる。水溶性過酸化物及び水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、ペルオキシ一硫酸ナトリウム、2、2-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、等があげられる。
【0015】
さらに本発明では、コンタクトレンズ表面の親水性モノマーのグラフト密度を高め、レンズ表面の耐久性をさらに向上させるために、親水性モノマー溶液中にポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性モノマーを添加することもできる。
【0016】
本発明により得られるソフトコンタクトレンズは、シリコーンを含むハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズ基体とその表面に設けられた親水性グラフト重合層からなり、かつ含水率が15〜35%の範囲にあるソフトコンタクトレンズを包含する。シリコーンを含むハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズ基体は、上述のように公知の物であり、例えば、上述の特開2001−311917号に記載されている。また、親水性グラフト重合層は、上記製造方法において説明した方法で形成されるものである。
【0017】
ソフトコンタクトレンズの含水率は、例えば、コンタクトレンズ素材に含有される親水性成分の含有量を選択することによって適宜制御することができ、15〜35%の範囲にあることが好ましい。含水率が15%以上であれば良好な柔軟性が得られ、35%以下であれば、含水率に依存せずに酸素透過性を高めることができ、好ましい。ソフトコンタクトレンズの含水率は、好ましくは、25〜35%の範囲である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
1.基材としてのコンタクトレンズの作製
実施例A
マクロマーの合成
三つ口フラスコにイソホロンジイソシアネートを8.88g、触媒としてジブチルスズジラウレートを0.025g及び塩化メチレンを45mL入れ、窒素気流下にて撹拌した。次に、α−ブチル−ω−[3−(2、2−(ジヒドロキシメチル)ブトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサンを20g精秤し、フラスコ内へ約3時間かけて滴下し反応させた。室温で48時間反応後、ジブチルスズジラウレートをさらに0.025g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PE−350)を23.3g精秤し、フラスコ内へ約30分かけて滴下した。混合物をアルミ箔で覆い、IR(赤外線吸収スペクトル)分析においてイソシアネート由来の吸収帯(2260cm-1)が消失するまで撹拌した(室温で約48時間の反応)。この溶液にさらに塩化メチレンを加えた後、大量の水で洗浄し、脱水、濾過後、溶媒を留去することにより、数平均分子量2、000(ポリスチレン換算)のマクロマーが得られた。
【0020】
コンタクトレンズの製造
実施例Aで得られたシロキサンマクロモノマー約5g、トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロキシプロピルシラン約9g、N、N−ジメチルアクリルアミド約6g、1−アニリノ−4−(4−ビニルベンジル)アミノアントラキノン約0.0016g、フェニルビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド約0.12gを室温で約20時間混合しモノマー混合液を調製した。次にこのモノマー混合液を、ポリプロピレンからなるコンタクトレンズ形状したモールド型に充填、上型と下型とを組み付けた後、約30mW/cm2の紫外線〜可視光線(380〜450nm)を20分照射し重合を完結させた。重合終了後、モールド型より重合物を取り出しコンタクトレンズを得た。
【0021】
実施例A−1
N、N−ジメチルアクリルアミドを用いたグラフト重合
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力40Wで2分間低温プラズマ処理した。次に、N、N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)約0.5gを蒸留水99.5gに溶解し、十分に混合させた。この溶液中にプラズマ重合装置から空気中に取り出した低温プラズマ処理レンズを浸漬し、密封した後、121℃で60分処理し、表面をグラフト重合処理した。グラフト重合処理したソフトコンタクトレンズについて、以下の測定方法により水濡れ性(接触角測定)、表面親水性膜の耐久性(擦り洗い耐久性試験)、脂質汚染性さらには光学的パラメータ測定を行い、それらの結果を表1および表2に示した。表1に示すように、本発明のグラフト重合処理したレンズは、水濡れ性および耐久性に優れ、さらには脂質付着量の極めて低いものであった。また、表2に示すように、グラフト重合前後で光学的パラメーターに変化は認められず、表面処理ソフトコンタクトレンズの製造方法として満足するものであった。
【0022】
(イ)接触角測定
レンズ表面の水分を拭き取った後、保持台にレンズを張り付け、蒸留水を用いた液適法により接触角を測定した。
【0023】
(ロ)擦り洗い耐久性試験
レンズを手のひらに載せ、ソフトコンタクトレンズ用洗浄液を用いてレンズの表・裏面を擦り洗いした後、蒸留水で十分にすすいだ。この操作を1回として洗浄操作を繰り返した。洗浄回数、10、20、30、40、…さらには90回経過後、上記イ)に示す方法により接触角測定を行い、表面親水性膜の耐久性を評価した。
【0024】
(ハ)脂質汚染性の評価
オレイン酸0.012g、リノール酸0.012g、パルミチン酸0.012g、トリパルミチン0.162g、セチルアルコール0.04g、ミリスチン酸セチル0.162g、コレステロール0.016g、パルミチン酸コレステロール0.016gおよび卵黄レシチン0.566gを精秤し、加熱溶解してリン酸・ホウ酸緩衝液(塩化ナトリウム0.18g、リン酸二水素カリウム0.1g、四ホウ酸ナトリウム0.238g)20mLを加えて超音波ホモジナイザーを用いて懸濁させた。この液をガラス繊維濾紙を用いて濾過後、懸濁液をリン酸・ホウ酸緩衝液でさらに10倍に希釈し、1N塩酸でpH7.0に調整し、これを人工眼脂として用いた。
【0025】
レンズを1枚ずつ人工眼脂2.0mLの入ったガラス製バイアル瓶に移し、このバイアル瓶を37℃に設定した恒温振盪器中で浸透しながら5時間保持した。5時間後レンズを取り出し、蒸留水ですすいだ後、乾燥させ、エタノール:ジエチルエーテル=3:1の有機混合溶媒1mL中に入れ4時間保持し、抽出液を得た。得られた抽出液を、硫酸・リン酸・バニリン法を用いてレンズ1枚あたりに付着した総脂質量を算出した。
【0026】
(ニ)光学的パラメータ測定
グラフト重合処理前後においてレンズのパラメータ測定を行い、処理前後での変化の有無を確認した。
【0027】
実施例A−2
プラズマ重合条件を真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力40Wで4分間とした以外は、実施例A−と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示した。
【0028】
実施例A−3
グラフト重合条件を110℃、30分とした以外は、実施例A−2と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示した。
【0029】
実施例A−4
グラフト重合に用いるモノマー溶液を、DMAA約1gを蒸留水99gに溶解し、十分に混合させたものを用いた以外は、実施例A−2と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示した。
【0030】
実施例A−5
グラフト重合に用いるモノマー溶液を以下のものに変更した以外は、実施例A−2と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。
DMAA約0.5gおよび2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド約0.1gを蒸留水99.5gに溶解し、十分に混合させた。レンズ評価結果を表1および表2に示す。
【0031】
実施例B−1
ポリエチレングリコールモノメタクリレートを用いたグラフト重合
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.5torrの酸素雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力70Wで1分間低温プラズマ処理した。次に、ポリエチレングリコール鎖の繰り返し単位が約7であるポリエチレングリコールモノメタクリレート(PE−7)約1.25gを蒸留水98.75gに溶解し、十分に混合させた。この溶液中にプラズマ重合装置から空気中取り出した低温プラズマ処理レンズを浸漬し、密封した後、121℃で40分処理し、表面をグラフト重合処理した。グラフト重合したソフトコンタクトレンズについて、前記と同様の測定方法により水濡れ性、表面親水性膜の耐久性および脂質汚染性さらにはパラメータ測定を行い、それらの結果を表1および表2に示した。表1に示すように、本発明のグラフト重合処理したレンズは、水濡れ性および耐久性に優れ、さらには脂質付着量の極めて低いものであった。また、表2に示すように、グラフト重合前後で光学的パラメーターに変化は認められず、表面処理ソフトコンタクトレンズの製造方法として満足するものであった。
【0032】
実施例B−2
グラフト重合条件を110℃、40分とした以外は実施例B−1と同様なグラフト条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示す。
【0033】
実施例B−3
グラフト重合に用いるモノマー溶液を、PE−7約1.5gを蒸留水98.5gに溶解し、十分に混合させたものを用いた以外は、実施例B−1と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示した。
【0034】
実施例C−1
N−ビニル−2−ピロリドンを用いたグラフト重合
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.8torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力50Wで3分間低温プラズマ処理した。次に、N−ビニル−2−ピロリドン約0.5gおよび2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド約0.1gを蒸留水99.5gに溶解し、十分に混合させた。この溶液中にプラズマ重合装置から空気中に取り出した低温プラズマ処理レンズを浸漬し、密封した後、110℃で50分処理し、表面をグラフト重合処理した。グラフト重合したソフトコンタクトレンズについて、前記と同様の測定方法により水濡れ性、表面親水性膜の耐久性および脂質汚染性さらにはパラメータ測定を行い、それらの結果を表1および表2に示した。表1に示すように、本発明のグラフト重合処理したレンズは、水濡れ性および耐久性に優れ、さらには脂質付着量の極めて低いものであった。また、表2に示すように、グラフト重合前後で光学的パラメーターに変化は認められず、表面処理ソフトコンタクトレンズの製造方法として満足するものであった。
【0035】
実施例C−2
プラズマ重合条件を真空度0.5torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力60Wで2分間とした以外は、実施例C−1と同様な処理条件によりグラフト重合を施した。レンズ評価結果を表1および表2に示した。
【0036】
比較例1
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力40Wで2分間低温プラズマ処理した。次に、アクリルアミドとN、N’−メチレンビスアクリルアミド(モル比9:1)とを含有する10重量%の水溶液に浸漬し、十分脱気した後、密閉し、60℃の恒温水槽で80分グラフト重合させた。得られたレンズは初期の親水性は有してはいるものの、擦り洗い耐久性に劣るものであった。
【0037】
比較例2
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力40Wで2分間低温プラズマ処理した。次に、DMAAを含有する0.5重量%の水溶液中に浸漬し、十分脱気した後、密閉し、50℃の恒温水槽で60分間グラフト重合させた。得られたレンズは初期の親水性は有してはいるものの、擦り洗い耐久性に劣るものであった。
【0038】
比較例3
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力50Wで4分間プラズマ処理した。次に、PE−7を含有する1.25重量%の水溶液中に浸漬し、十分脱気した後、密閉し、80℃の恒温水槽で60分間グラフト重合させた。得られたレンズは初期の親水性は有してはいるものの、擦り洗い耐久性に劣るものであった。
【0039】
比較例4
実施例A−1で得られたコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力50Wで4分間プラズマ処理した。次に、NVPを含有する0.5重量%の水溶液中に浸漬し、十分脱気した後、密閉し、80℃の恒温水槽で60分間グラフト重合させた。得られたレンズは初期の親水性は有してはいるものの、擦り洗い耐久性に劣るものであった。
【0040】
比較例5(ハードコンタクトレンズ素材の場合)
トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロキシプロピルシラン(RAVINOL)20g(50重量%)、2、2、2-トリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)20g(50重量%)、エチレングリコールジメタクリレート0.8g(RAVINOLおよび3FMAの合計量に対して2重量%)およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.14g(RAVINOLおよび3FMAの合計量に対して0.35重量%)を入れ、十分に撹拌してモノマー混合液を調製した。このモノマー混合液をポリエチレン製のパイプに入れ、45℃で120時間重合した。重合後、パイプより棒状の重合物を取り出し、110℃の乾燥機内で一晩乾燥した。得られた重合物からハードコンタクトレンズを作製した。
【0041】
このハードコンタクトレンズをプラズマ重合装置内に入れ、真空度0.6torrの空気雰囲気中、周波数13.56MHz、放電電力50Wで2分間プラズマ処理した。次に、DMAAを含有する0.5重量%の水溶液中に浸漬し、十分脱気した後、密閉し、80℃で60分間グラフト重合させた。得られたレンズのベースカーブは変形し、コンタクトレンズとして使用できるものではなかった。
【0042】
【表1】
Figure 0003931089
【0043】
【表2】
Figure 0003931089
【0044】
表1に示すように、比較例1〜4のような比較的低温で表面をグラフト重合処理したレンズは、初期の親水性は有してはいるものの、擦り洗い耐久性に劣るものであった。また、比較例5のようにハードコンタクトレンズ素材を用いて本発明の方法により表面処理を施した場合には、処理後のレンズは変形しコンタクトレンズとして使用できるものではなかった。
【0045】
これに対し、実施例で例示したレンズは、いずれも耐久性に優れた親水性膜を有するものであり、しかも脂質汚れの付着しにくいものであった。これは、本発明の製造方法における表面処理が100℃以上の高温での処理であるこめ、レンズ表面に形成したヒドロペルオキシドが効率よく分解しラジカルが生成することによって、レンズ表面へ親水性モノマーが強固にグラフト重合された効果であるといえる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、水濡れ性および耐摩耗性に優れた表面を有するソフトコンタクトレンズ、特にシリコーンをレンズ成分として含むハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズを提供することができる。

Claims (4)

  1. コンタクトレンズ形状を有し、かつシリコーンを含むハイドロゲルからなる共重合体を活性ガスおよび/または不活性ガスを用いて低温プラズマ処理し、その後酸素雰囲気下に曝すことによって、前記共重合体表面にヒドロキシペルオキシドを形成し、次いで、
    前記共重合体を親水性モノマー含有水溶液中に浸漬し、前記ヒドロキシペルオキシドと前記親水性モノマーをグラフト重合することによって、前記共重合体表面を親水化することを含む、親水化表面を有するソフトコンタクトレンズの製造方法であって、
    前記共重合体は、側鎖にポリシロキサン構造を有するマクロマーからなり、
    前記グラフト重合は、前記親水性モノマー含有水溶液を100℃以上の温度にすることによって得られたエネルギーによって行われる、親水化表面を有するソフトコンタクトレンズの製造方法
  2. 活性ガスおよび/または不活性ガスが、酸素、窒素、空気、水素、ヘリウム及びアルゴンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N、N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、またはポリエチレングリコールモノメタクリレートである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 親水性モノマー含有水溶液が、水溶性過酸化物、水溶性重合開始剤及び/又は架橋性モノマーを更に含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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