JP3930202B2 - 適応等化器及びこれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

適応等化器及びこれを用いた光ディスク装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、適応等化器及びこれを光ディスクからの再生信号を処理する再生信号処理系に用いた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置においては、一般に光ディスクからの再生信号の波形等化を行うための等化器が再生信号処理系に配置される。すなわち、光ディスクから光ヘッドにより得られた再生信号は、まず等化器により波形が等化された後、識別判定器または復号器に入力され、復号データが生成される。
【0003】
等化器は、タップ係数可変のトランスバーサルフィルタを主体として構成される。トランスバーサルフィルタは複数個のタップを有する遅延回路と各タップの出力にタップ係数を乗じる乗算器および各乗算器の出力の総和を求める加算器から構成され、加算器の出力から波形等化された信号(等化信号)を取り出すように構成される。タップ係数は、復号データの信頼性が向上するように、つまり復号データの誤り率ができるだけ小さくなるように選定される。
【0004】
光ディスクからの再生信号の特性が一定であるか、あるいは特性変化が無視できる程度に小さい場合は、タップ係数は固定でよいが、再生信号の特性変化が無視できない場合、これに応じてタップ係数を制御する必要がある。このような再生信号の特性変化に応じて適応的にタップ係数を制御するようにした等化器を適応等化器と呼ぶ。このような適応等化器については、例えば電子情報通信学会誌 Vol.81,No.5,pp.497-505(1998年5月)等に開示されている。
【0005】
適応等化器は、タップ係数の制御のための等化誤差の算出に既知データであるトレーニングデータを用いるか、未知データであるユーザデータを用いるかによってプリセット型とブラインド型とに大別される。
【0006】
プリセット型適応等化器では、光ディスクの少なくとも一箇所に既知のトレーニングデータを記録しておき、再生時にトレーニングデータの再生信号から等化信号が算出されると同時に、トレーニングデータ発生器から発生されるトレーニングデータから等化信号の理想波形を示す理想信号が算出され、これら実際の等化信号と理想信号との差である等化誤差信号に従って、タップ係数制御部によりタップ係数が制御される。
【0007】
一方、ブラインド型適応等化器では、光ディスクからの本来の情報信号であるユーザデータの再生信号を等化器および復号器に通して得られる復号データから等化信号の理想波形を示す理想信号が生成され、以下同様に実際の等化信号と理想信号との差をとって得られる等化誤差信号に従って、タップ係数制御部によりタップ係数が制御される。
【0008】
これら二種類の適応等化器は、実際の光ディスク装置上では動作の進行に従って選択的に使い分けられる。すなわち、光ディスクからの再生の当初は、まずトレーニングデータを再生してプリセット型適応等化器として動作させ、ユーザデータを再生し始めるとブラインド型適応等化器として動作させるようにする。
【0009】
タップ係数制御部でのタップ係数の制御アルゴリズムには、MSE( Minimum Square Error)法、ZF(Zero Forcing)法及びMZF(Modified Zero Forcing)法といった種々の方法が提案されているが、いずれも基本的には等化誤差信号が最小となるようにタップ係数を段階的に更新(修正)してゆくアルゴリズムである。タップ係数を段階的に更新して制御する場合に、一回毎の更新量にかかる係数(更新係数)を制御感度と呼ぶ。
【0010】
上述したプリセット型適応等化器とブラインド型適応等化器には、いずれも一長一短がある。まず、プリセット型適応等化器では、トレーニングデータを光ディスクに記録しておく必要があるため、光ディスク上のユーザデータ領域が減少し、フォーマット効率が低下するという問題がある。特に、より精度よくタップ係数を制御するためには、データ長の大きいトレーニングデータを必要とするため、フォーマット効率はさらに低下することになる。
【0011】
ブラインド型適応等化器では、理想信号の算出にユーザデータの復号データを用いるため、復号データに発生した誤りがタップ係数の制御に伝搬する。この誤り伝搬のために係数制御が不安定になり、タップ係数が発散しやすいという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のプリセット型適応等化器はフォーマット効率を低下させるという問題点があり、またブラインド型適応等化器は復号データに発生する誤りに起因してタップ係数制御が不安定になり、タップ係数が発散しやすいという問題点があった。
【0013】
本発明は、フォーマット効率が高く、またタップ係数が発散しにくい良好な等化特性を有する適応等化器およびこれを用いた光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明はタップ係数可変の複数のタップを有するトランスバーサルフィルタ及び該タップ係数を制御するタップ係数制御部からなり、該タップ係数制御部が入出力信号の既知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するプリセット型適応等化モードおよび該タップ係数制御部が入出力信号の未知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するブラインド型適応等化モードを選択的に設定可能な適応等化器において、プリセット型適応等化モード時とブラインド型適応等化モード時とでタップ係数制御部による少なくとも一部のタップのタップ係数に対する制御感度をそれぞれ独立に設定する制御感度設定手段を有することを特徴とする。
【0015】
別の観点によると、本発明に係る適応等化器は、タップ係数可変の複数のタップを有するトランスバーサルフィルタと、タップ係数を制御するタップ係数制御部と、タップ係数制御部が入出力信号の既知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するプリセット型適応等化モードおよび該タップ係数制御部が入出力信号の未知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するブラインド型適応等化モードのいずれかを選択的に設定するモード設定手段と、タップ係数制御部による少なくとも一部のタップのタップ係数に対する制御感度をモード設定手段により設定された適応等化モードに応じた異なる値に設定する制御感度設定手段とを有する。
【0016】
タップ係数制御部は、例えばタップ係数を所定の更新係数に従って段階的に更新することによりタップ係数の制御を行うように構成され、制御感度設定手段は、更新係数を制御感度として設定する。
【0017】
制御感度設定手段は、具体的にはプリセット型適応等化モード時の制御感度をブラインド型適応等化モード時の制御感度より大きく設定する。
【0018】
制御感度設定手段は、タップ係数に対する制御感度をタップ毎に独立して設定可能に構成されていてもよく、また中央部のタップのタップ係数に対する制御感度と両端部のタップのタップ係数に対する制御感度とをそれぞれ個別に設定可能に構成されていてもよい。
【0019】
さらに、本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクからの再生信号を処理する再生信号処理系に上述した適応等化器を有する。この場合、既知データとしてトレーニングデータ、未知データとしてユーザデータがそれぞれ用いられる。
【0020】
本発明の適応等化器によると、プリセット型適応等化モード時とブラインド型適応等化モード時とでそれぞれに最適なタップ係数の制御感度を設定できる。この結果、プリセット型適応等化モードでは例えば制御感度を大きくすることによりタップ係数の収束時間が短縮されるため、プリセット型適応等化モードで等化誤差の算出に用いられる既知データ(トレーニングデータ)のデータ長が短くて済むようになり、光ディスクのフォーマット効率の低下が抑制される。また、ブラインド型適応等化モードでは、タップ係数の制御感度を小さくすることにより、タップ係数の発散が起こりにくくなる。
【0021】
また、タップ係数の変化が大きく生じる箇所、例えば両端側のタップのタップ係数をそれ以外の箇所、例えば中央部のタップのタップ係数よりも大きくすることにより、タップ係数の収束時間が短くなり、かつタップ係数が発散しにくくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて本発明による適応等化器が適用される光ディスク装置について説明する。光ディスク1は、例えば再生専用の記録媒体であり、情報が例えばピット列として記録されている。但し、本発明においては光ディスクが再生専用でなくともよく、例えば情報が相変化マークあるいは光磁気記録による磁化反転マークなどとして他の装置あるいは他の光ヘッドで記録された記録媒体であってもよい。
【0023】
光ヘッド2は、光ディスク1に記録されている情報を再生するためのものであって、再生時にはREAD信号がLDドライバ3に入力され、LD(レーザダイオード)4から光ビームが出射される。光ビームはコリメートレンズ5により平行光とされた後、ビームスプリッタ6を透過し、対物レンズ7により光ディスク1上のトラック上に集束・照射される。光ディスク1からの反射光は、対物レンズ6を入射光の進行方向と逆方向に通過し、ビームスプリッタ7により反射して入射光と分離され、集光レンズ8によって光検出器9上に集光される。光検出器9の出力信号は、増幅器10によって電流−電圧変換および増幅が行われ、さらにA/D変換器11によりディジタル信号に変換される。
【0024】
A/D変換器11から出力されるディジタル化された再生信号は、等化器12により波形等化がなされた後、識別判定器13により所定の識別レベルに従って二値判定が行われ、二値データに変換される。以降、等化器12の入力信号を再生信号、等化器12の出力信号を等化信号、識別判定器13の出力である二値データを復号データとそれぞれ呼ぶ。
【0025】
次に、本実施形態に係る等化器12について詳細に説明する。
図2は、等化器12として用いられる適応等化器の構成を示すブロック図である。この適応等化器は、トランスバーサルフィルタ20とタップ係数制御部30を主体として構成される。トランスバーサルフィルタ20は、一定の遅延時間を有する複数の単位遅延素子21を縦続接続した遅延回路と、この遅延回路の複数のタップ(単位遅延素子21の入出力端)に接続された乗算器22および各乗算器22の出力信号の総和を求めるための加算器23から構成される。この例では、単位遅延素子21の数は9個、タップ数は10個となっている。等化器12の出力信号である等化信号は、トランスバーサルフィルタ20内の加算器23の出力から取り出される。
【0026】
なお、トランスバーサルフィルタ20はこの例では各タップの出力にタップ係数を乗じる出力加重型であるが、各タップの入力にタップ係数を乗じて最終タップから出力を取り出す入力加重型であってもよい。
【0027】
光ディスク装置に定められたチャネルビット周期をT、時刻nT(n:整数)での再生信号をY(nT)とすると、トランスバーサルフィルタ20から出力される等化信号Y′(nT)は次式で与えられる。
【0028】
【数1】
Figure 0003930202
【0029】
ここで、乗算器22によって各タップの出力信号に与えられる利得Gi(i=0,1,…,9)がタップ係数であり、復号データの信頼性を向上させるように選定される。このタップ係数は、タップ係数制御部30によって制御される。タップ係数制御部30によるタップ係数の制御は、後述するようにプリセット型適応等化モードおよびブラインド型適応等化モードのいずれかのモードに従って行われる。
【0030】
トランスバーサルフィルタ20からの出力信号である等化信号は、図1では識別判定器13として示したヴィタビ復号器24に入力される。すなわち、本実施形態では再生信号の処理方式としてPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を用いている。ヴィタビ復号器24から出力される復号データは、後段の回路に入力されると共に、モード設定スイッチ26aの端子B側に入力される。モード設定スイッチ26aの端子P側には、トレーニングデータ発生器25で発生されるトレーニングデータが入力される。
【0031】
モード設定スイッチ26aは、適応等化モードを選択的に切り替えて設定するためのものであり、端子P側に接続されたときプリセット型適応等化モードが設定され、端子B側に接続されたときブラインド型適応等化モードが設定される。このモード設定スイッチ26aによる適応等化モードの設定に際しては、最初は光ディスク1から情報データ(以下、ユーザデータという)の再生に先立ち、予め定められた固有のパターンを持つ既知データであるトレーニングデータが再生されるため、プリセット型適応等化モードが選択され、ユーザデータの再生に移るとユーザデータの復号データが得られるため、ブラインド型適応等化モードが選択される。
【0032】
このようにしてモード設定スイッチ26aにより選択されたトレーニングデータまたは復号データ(ユーザデータ)は、理想信号算出器27に入力される。理想信号発生器27は、入力されたトレーニングデータまたは復号データの本来あるべき理想等化波形を示す理想信号を発生する回路であり、この例では例えばPR(1,2,2,1)特性を満足する理想信号を出力する。減算器29では、遅延器28aにより遅延された等化信号との理想信号との差である等化誤差信号が算出される。この等化誤差信号は、タップ係数制御部30に入力される。
【0033】
タップ係数制御部30は、本実施形態ではMSE(Minimum Square Error)法に基づいてトランスバーサルフィルタ20のタップ係数を制御するものであり、遅延器28bにより遅延された再生信号を遅延させるように縦続接続された9個の単位遅延素子31と、これらの単位遅延素子31の入出力と等化誤差信号との乗算を行う10個の乗算器32と、乗算器32の出力をそれぞれ累積加算する累積加算器33と、累積加算器33の出力に後述する制御感度(更新係数)を乗じる乗算器34と、乗算器34の出力とトランスバーサルフィルタ20に設定されている現在のタップ係数を加算する加算器35、および現在のタップ係数を保持するメモリ36から構成されている。
【0034】
MSE法によるタップ係数の適応制御では、タップ係数の更新周期をMT(M:正の整数、T:チャネルビット周期)とすると、時刻nMT〜{(n+1)M−1}T(n:非負整数)におけるi番目のタップのタップ係数Gi(n)は、時刻kT(k:整数)における遅延器28bの出力である再生信号Y(kT)および等化誤差信号E(kT)を用いて、次式で表される。
【0035】
【数2】
Figure 0003930202
【0036】
ここで、αは式(3)の右辺第2項の一回毎のタップ系数の更新量にかかる更新係数であり、制御感度と呼ばれる値である。
【0037】
タップ係数の適応制御の方法として、MSE法の他にZF(Zero Forcing)法やMZF(Modified Zero Forcing)法等もある。これらの方法では、上記と同様にタップ係数の更新周期をMT(M:正の整数、T:チャネルビット周期)とすると、時刻nMT〜{(n+1)M−1}T(n:非負整数)におけるi番目のタップのタップ係数Gi(n)は、一般的に次式で表される。
【0038】
【数3】
Figure 0003930202
【0039】
ただし、J(mT)は等化誤差信号に関する関数であり、このJ(mT)が最小となるように、つまりは等化誤差信号が最小となるようにタップ係数が制御される。また、αは式(3)と同様、制御感度である。本発明は、このような種々のアルゴリズムによるタップ係数の適応制御を行う場合について適用できる。
【0040】
ここで、従来の適応等化器では制御感度αは固定であるが、本発明は制御感度αを適応等化モードに応じて選択的に設定可能としている点が特徴である。具体的には、本実施形態ではモード設定スイッチ26aに連動する制御感度設定スイッチ26bが設けられ、このスイッチ26bはスイッチ26aと同様に、プリセット型適応等化モードのとき端子P側に、ブラインド型適応等化モードのとき端子B側にそれぞれ接続される。
【0041】
この制御感度設定スイッチ26bが端子P側に接続されたときはα0、端子B側に接続されたときはα1が制御感度αとしてそれぞれ設定される。ただし、α0>α1であり、α0,α1を表すディジタル値がタップ係数制御部30内の乗算器34にタップ係数の更新係数として設定される。また、本実施形態では制御感度α(α0,α1)は全てのタップに共通としている。
【0042】
すなわち、本実施形態では理想信号の算出にトレーニングデータを用いるプリセット型適応等化モードにおいては、比較的大きな制御感度α0が設定され、理想信号の算出にユーザデータの復号データを用いるブラインド型適応等化モードにおいては、比較的小さな制御感度α1が設定される。このような構成とすることにより、以下のようにプリセット型およびブラインド型のそれぞれの適応等化モードの利点を最大限に発揮することができる。
【0043】
モード設定スイッチ26aによる適応等化モードの設定に際しては、最初は光ディスク1からユーザデータの再生に先立ってトレーニングデータが再生されるため、プリセット型適応等化モードが選択され、ユーザデータの再生に移ると復号データが得られるため、ブラインド型適応等化モードが選択される。
【0044】
具体的な例として、制御感度(α0,α1)の組み合わせが(0.1 ,0.01),(0.1 , 0.1),(0.01 , 0.01)の3種類の場合について、等化特性を比較すると次のようになる。
【0045】
上述したように、光ディスク1からの再生の初期には光ディスク1からトレーニングデータが再生され、これを用いたプリセット型適応等化モードが設定される。図3に、再生開始からのプリセット型適応等化モードでの経過時間と等化誤差信号の大きさを表すrms(root mean square)値との関係を調べた結果を制御感度がα0=0.1とα0=0.01の場合について示す。なお、経過時間はチャネルビット長で表している。α0=0.1の場合の方がα0=0.01の場合よりも等化誤差信号の収束時間が短くなっていることが分かる。
【0046】
光ディスク1からトレーニングデータの再生が終了すると、引き続きユーザデータの再生が開始され、ブラインド型適応等化モードが設定される。図4(a)(b)に、先のプリセット型適応等化モード終了後、ブラインド型適応等化モードに移行してからの経過時間と等化誤差信号のrms値との関係を調べた結果を制御感度(α0,α1)の組み合わせが(0.1 ,0.01),(0.1 , 0.1),(0.01 , 0.01)の3種類の場合について示す。経過時間は、同様にチャネルビット長で表している。図4(a)は、(α0,α1)が(0.1 ,0.01)と(0.1 , 0.1)の場合、図4(b)は、(α0,α1)が(0.1 ,0.01)と(0.01 , 0.01)の場合をそれぞれ示している。(α0,α1)が(0.1 ,0.01)の場合の特性は、図4(a)と(b)とで共通である。
【0047】
図4(a)(b)では、1,500チャネルビット目付近に相当する時間で光ディスク1の欠陥部分が再生され、瞬間的に再生信号が大きく劣化した場合を示しており、この劣化により等化誤差信号も増大している。ここで、(α0,α1)が(0.1 , 0.1)の場合は、図4(a)に示されるように、再生信号の瞬間的な劣化により等化誤差信号がそれ以後もあまり小さくならずにタップ係数が発散し、等化特性が劣化していることが分かる。これに対し、(α0,α1)が(0.1 ,0.01)の場合は、再生信号の瞬間的な劣化が生じた後、等化誤差信号は速やかに減少しており、タップ係数が良好に収束する。
【0048】
一方、(α0,α1)が(0.01 , 0.01)の場合は、トレーニングデータを用いたプリセット型適応等化モードが終了しても等化誤差信号が大きく、タップ係数が十分に収束しておらず、ユーザデータの再生が開始してブラインド型適応等化モードに移行しても、十分な等化性能が得られない。これに対し、(α0,α1)が(0.1 ,0.01)の場合は、再生信号の瞬間的な劣化後もタップ係数が発散することがなく、かつユーザデータの再生が開始してブラインド型適応等化モードに移行することにより、十分な等化性能が得られていることが分かる。
【0049】
このように本実施形態では、タップ係数の制御感度をプリセット型適応等化モード時のブラインド型適応等化時とで異ならせ、より具体的には、プリセット型適応等化モード時の制御感度α0をブラインド型適応等化時の制御感度α1よりも大きくすることによって、プリセット型適応等化モードにおいて光ディスク1に記録されているトレーニングデータのデータ長が短くとも適正なタップ係数を得ることができ、しかもブラインド型適応等化モードにおいて復号データの誤りの伝搬によるタップ係数の発散を抑制できる。従って、光ディスク1のフォーマット効率を低下させることなく、良好な等化特性を得ることが可能となる。
【0050】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る適応等化器の構成を示す図である。図2と同一部分に同一符号を付して説明すると、第1の実施形態ではタップ係数制御部30におけるタップ係数の制御感度をトランスバーサルフィルタ20の全てのタップに対して共通としたのに対して、本実施形態では各タップ毎に独立して制御感度を設定可能としている。
【0051】
すなわち、本実施形態ではトランスバーサルフィルタ20のタップ数は10個であり、これら10個のタップに対して制御感度がα0,α1,α2,α3,α4,α5,α6,α7,α8,α9が制御感度設定部37によって個別に設定可能となっている。これらの制御感度は、トランスバーサルフィルタ20の中央のタップを中心に左右対称に、つまりα0=α9,α1=α8,α2=α7,α3=α6,α4=α5のように設定される。また、これら左右対称関係にある五組の制御感度を全て異ならせる必要は必ずしもなく、例えば後述するように、α0=α1=α2=α7=α8=α9,α3=α4=α5=α6のように設定してもよい。
【0052】
次に、本実施形態の効果について説明する。
図1で説明したような光ディスク装置では、一般に光ディスク1が光ヘッド2に対してディスクチルトと呼ばれる傾斜を持つことが多い。この場合、対物レンズ7で集束された光ビームは光ディスク1に対して斜めに入射し、光ディスク1の透明基板を透過するため、光学的収差が発生する。これにより光ディスク1の情報記録面上の光ビームスポットの形状が歪み、これに伴い再生信号も歪みを生じる。従って、ディスクチルトによる再生信号の歪みに伴って、トランスバーサルフィルタ20のタップ係数を適応的に制御する必要がある。
【0053】
ディスクチルトには、光ディスク1のラジアル方向(半径方向)に生じるラジアルチルトとタンジェンシャル方向(周方向)に生じるタンジェンシャルチルトがあるが、これらのうちタンジェンシャルチルトが特に問題となる。
【0054】
図6に、光ディスク1に対してタンジェンシャルチルトを徐々に加えた場合の各タップのタップ係数の変動の様子を示す。中央の4〜7番目のタップのタップ係数の変動に対して、両端側の1〜3番目、8〜10番目のタップのタップ係数の変動の方が大きいことが分かる。
【0055】
タンジェンシャルチルトの量は時々刻々と変化しており、トレーニングデータの再生中とユーザデータの再生中とでは、タンジェンシャルチルトの量は異なっている。ここで、全てのタップの制御感度を一様に低くすると、これを補うべくプリセット型等化モードで必要なトレーニングデータのデータ長を長くしなければならず、光ディスク1のフォーマット効率を低下させる。逆に、全てのタップ係数の制御感度を一様に高くすると、トレーニングデータ再生終了時とユーザデータ再生時とでタンジェンシャルチルトの量が異なることに起因して多く発生する復号データの誤りがタップ係数の制御に伝搬し、ブラインド型適応等化モードにおいてタップ係数の発散を引き起こす。
【0056】
そこで、本実施形態ではトレーニングデータの再生時、つまりプリセット型適応等化モードでは、タップ係数の制御感度α0,α1,α2,α3,α4,α5,α6,α7,α8,α9を以下のように設定する。
【0057】
【数4】
Figure 0003930202
【0058】
すなわち、タンジェンシャルチルトの影響が現れにくい中央部のタップの制御感度α3,α4,α5,α6を両端側のタップの制御感度α0,α1,α2,α7,α8,α9に比して高くする。これにより、タンジェンシャルチルトの変動に対する制御感度を低く抑えつつ、データ長の短いトレーニングデータを用いても十分な等化性能が得られることになる。
【0059】
一方、ユーザデータの再生時、つまりブラインド型適応等化モードでは、タップ係数の制御感度α0,α1,α2,α3,α4,α5,α6,α7,α8,α9を以下のように設定する。
【0060】
【数5】
Figure 0003930202
【0061】
すなわち、この場合はプリセット型適応等化モード時とは逆に、タンジェンシャルチルトの影響が大きく現れる両端部のタップの制御感度α0,α1,α2,α7,α8,α9を中央部のタップの制御感度α3,α4,α5,α6に比して高くすることにより、タンジェンシャルチルトの変動に対してタップ係数を高感度に追従させることができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればプリセット型適応等化モードとブラインド型適応等化モードとでそれぞれに最適なタップ係数の制御感度を設定可能としたことにより、プリセット型適応等化モードでは例えば制御感度を大きくしてタップ係数の収束時間を短かくし、等化誤差の算出に用いられる既知データ(トレーニングデータ)のデータ長が短くできるため、光ディスク装置に適用した場合にはトレーニングデータ長の増大によるフォーマット効率の低下を抑制でき、ブラインド型適応等化モードではタップ係数の制御感度を小さくすることにより、タップ係数の発散を起こりにくくして安定した等化動作が得られる。
【0063】
さらに、タップ係数の変化が大きく生じる箇所、例えば光ディスク装置の場合は両端側のタップのタップ係数をそれ以外の箇所、例えば中央部のタップのタップ係数よりも大きくすることにより、タップ係数の収束時間が短くなり、かつタップ係数が発散しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す図
【図2】同実施形態に係る適応等化器の構成を示す図
【図3】同実施形態に係る適応等化器のプリセット型適応等化モードでの等化誤差信号の時間変化を示す図
【図4】同実施形態に係る適応等化器のブラインド型適応等化モードでの等化誤差信号の時間変化を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る適応等化器の構成を示す図
【図6】同実施形態における光ディスク装置のタンジェンシャルチルトの変動に対する適応等化器のタップ係数の変化を示す図
【符号の説明】
1…光ディスク
2…光ヘッド
12…等化器
13…識別判定器
20…トランスバーサルフィルタ
24…ヴィタビ復号器
25…トレーニングデータ発生器
26a…モード設定スイッチ
26b…制御感度設定スイッチ
27…理想信号算出器
29…減算器
30…タップ係数制御部
37…制御感度設定部
α…タップ係数の制御感度

Claims (7)

  1. タップ係数可変の複数のタップを有するトランスバーサルフィルタ及び該タップ係数を制御するタップ係数制御部からなり、該タップ係数制御部が入出力信号の既知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するプリセット型適応等化モードおよび該タップ係数制御部が入出力信号の未知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するブラインド型適応等化モードを選択的に設定可能な適応等化器において、
    前記プリセット型適応等化モード時と前記ブラインド型適応等化モード時とで前記タップ係数制御部による少なくとも一部のタップのタップ係数に対する制御感度をそれぞれ独立に設定する制御感度設定手段を有することを特徴とする適応等化器。
  2. タップ係数可変の複数のタップを有するトランスバーサルフィルタと、
    前記タップ係数を制御するタップ係数制御部と、
    前記タップ係数制御部が入出力信号の既知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するプリセット型適応等化モードおよび該タップ係数制御部が入出力信号の未知データから求められる等化誤差に従ってタップ係数を制御するブラインド型適応等化モードのいずれかを選択的に設定するモード設定手段と、
    前記タップ係数制御部による少なくとも一部のタップのタップ係数に対する制御感度を前記モード設定手段により設定された適応等化モードに応じた異なる値に設定する制御感度設定手段
    とを有することを特徴とする適応等化器。
  3. 前記タップ係数制御部は、タップ係数を所定の更新係数に従って段階的に更新することによりタップ係数の制御を行うように構成され、
    前記制御感度設定手段は、前記更新係数を制御感度として設定することを特徴とする請求項1または2記載の適応等化器。
  4. 前記制御感度設定手段は、前記プリセット型適応等化モード時の制御感度を前記ブラインド型適応等化モード時の制御感度より大きく設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の適応等化器。
  5. 前記制御感度設定手段は、タップ係数に対する制御感度をタップ毎に独立して設定可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の適応等化器。
  6. 前記制御感度設定手段は、中央部のタップのタップ係数に対する制御感度と両端部のタップのタップ係数に対する制御感度とをそれぞれ個別に設定可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の適応等化器。
  7. 光ディスクからの再生信号を処理する再生信号処理系に請求項1乃至6のいずれか1項記載の適応等化器を備え、前記既知データとしてトレーニングデータ、前記未知データとしてユーザデータをそれぞれ用いることを特徴とする光ディスク装置。
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