JP3928180B2 - 寸法安定性を有する防水材用補強布及びその製品 - Google Patents

寸法安定性を有する防水材用補強布及びその製品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アスファルトルーフィング等の防水材用補強布に関し、特に、不織布の長手方向に繊維を配列することで、含浸加工時に歪が少なく寸法安定性の優秀で寸法の経時変化の少ないアスファルトルーフィング用補強不織布並びに該補強布を用いて得た強靱且つ安定な製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、強靱な防水層を形成せしめるために、長繊維不織布を補強布として用いたアスファルトルーフィングを用いた防水層施工が有効であることが見出され、この目的を達成できるアスファルトルーフィングの補強布長繊維不織布として、例えばポリヴィニールアルコール(ヴィニロン)よりなる長繊維不織布や、特開昭60−71778号公報に記載されるポリエステルフィラメントより構成されるスパンボンド不織布が開発され実用化され、それぞれ高い評価を得た商品の地位を築いて居るが、前者においては、吸湿の影響があること及び高いモジュラスで高強力であるが若干強靱性に欠けること、後者においては、優れた強靱性を有するが加熱時の引張り弾性率が若干低く、アスファルトルーフィング製造時の伸長変形による加工歪発生を伴う場合もあり、その改善が望まれ、この目的達成のために、例えば特公昭62−49398号公報に示されるように、熱硬化性接着剤で接着した直交配列組織のポリエステルスパンボンド不織布が開発され問題点解決に大きな効果をあげている。
【0003】
しかしながら、特公昭62−49398号公報に示される補強布においても、接着を熱硬化性接着剤で行うことに基づく問題点、即ち、熱アスファルト含浸時に熱硬化性接着材樹脂の分解による異臭発生や、接着剤の使用は、接着による不織布の物性付与に不可欠であるが、不織布のアスファルトルーフィングに対する補強効果(アスファルトルーフィングの強力と引張り弾性率の向上)は、不織布構成繊維量に依存し、基布目付けに依存しないために、接着を不織布構成繊維自身にて行わしめた(例えば接着能をも有する芯鞘型複合繊維で不織布を構成させ接着をも行わしめる)不織布に比して、非効率であり臭気発生解消と共に改善工夫が必要であった。又、熱硬化性接着剤を用いているため、原料へのリサイクルができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アスファルトルーフィング等の防水材料の補強布用不織布の引張り強力や引張り弾性率(モジュラス)、特に加熱時の縦方向引張り弾性率を改善し、アスファルトルーフィング製造工程における加工張力による伸長幅入りに基づき付与される加工歪生起を防止し、アスファルトルーフィングの高速製造条件に耐え優れた生産性を有し、且つ該加工歪解放に基因する寸法不安定の要因が除去された寸法安定性を有する防水層が形成可能なアスファルトルーフィング等の防水材料の補強布用不織布を提供するものである。
【0005】
又、従来補強用不織布において、アスファルト含浸時の寸法安定性改善のための常套手段として使用されていた、熱硬化樹脂の分解に基づく異臭発生も解消せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の構成要件、即ち、
(1)芯成分の繊維断面直径が25μm以上の
(2)ポリエステルよりなり、
(3)鞘成分が熱可塑性重合体よりなる
(4)芯鞘形複合繊維フィラメントにて構成される不織布の、
(5)鞘成分を構成する熱可塑性重合体で接着された不織布において、
(6)前記芯鞘型複合繊維フィラメントを長さ方向のみに配列して折り返すことにより直行配列組織とし、単繊維直径変化による曲げ剛性変化により前記フィラメント帯の折り返し部の曲率が変化することによって、
(7)前記不織布の幅方向で切断した断面における不織布構成繊維の切断断面形態の、幅方向に対する厚さ方向の繊維直径比率が80〜120%の繊維を60%以上包含するように、不織布構成繊維を縦方向に配列せしめた不織布。
(8)前記不織布の不織布構成繊維間の接着を補助するために、不織布を構成する
芯鞘形複合繊維フィラメントに加え、接着成分としてポリオレフィン又はポリエステル共重合体からなるフィラメントを、混繊又は積層等により複合せしめた不織布または前記不織布を用いてなる製品。
より構成され、従来技術で達成し得なかった解決すべき問題点を、各構成要件のもたらす手段、効果により解決するものである。
【0007】
即ち、本発明においては、強靱で寸法安定性を有する防水層を与え、高生産性のアスファルトルーフィング等を得るために、補強布用不織布の引張り強力や引張り弾性率(モジュラス)、特に、アスファルト含浸時の加熱時の縦方向引張り弾性率を改善する手段として、
a.優秀な繊維物性と、特に高温時の優秀な引張りモジュラスを付与するため、不織布構成繊維の主体成分として要件(2)項に規定するポリエステルを芯成分として用い、
b.アスファルトルーフィングにおける補強用不織布の補強能が不織布目付けに依存せず、不織布構成繊維量に依存することに着目し、要件(3)、(4)に規定するように熱融着可能な芯鞘型複合繊維を用いて不織布を構成させ、接着成分用熱可塑性樹脂にも単に接着剤として機能せしめるのみならず、繊維物性を担う成分として機能させ、不織布物性に寄与させながら、要件(5)に規定するとおり鞘成分を構成する熱可塑性重合体で、不織布構成繊維交点間を接着させ長繊維不織布を構成させること、
c.更に、縦方向の高い強力と高い引張りモジュラスを確保する決定手段として要件(6),(7)に規定するように、前記芯鞘型複合繊維フィラメントを長さ方向のみに配列して折り返すことにより直行配列組織とし、単繊維直径変化による曲げ剛性変化により前記フィラメント帯の折り返し部の曲率が変化することによって、不織布の幅方向で切断した断面における不織布構成繊維の切断断面形態が、幅方向に対する厚さ方向の繊維直径比率が80〜120%を示すものを60%以上包含するように不織布構成繊維を縦方向に配列せしめ、不織布構成繊維の繊維物性を最も効率よく不織布物性に寄与せしめる組織形態となした直行配列状態の不織布を構成させること、
により目的を達成するものである。
【0008】
このようなアスファルトルーフィング等防水材料の補強用不織布の強力及び引張りモジュラス、特に縦方向の引張りモジュラス改善のためには、前記の特公昭62−49398号公報に示すように、不織布構成組織を直配列組織となすことにより、従来の技術で得ることができない高レベルの強力と引張りモジュラスを有する補強用不織布を得ることができるが、この技術の開発時点においては、高度の繊維配列の直行性による直配列組織を実現させ、不織布構成繊維物性の不織布物性に対する寄与率の向上を追求し、所定の縦横バランスをもたらしめるために縦横配列成分の構成比を設定し、縦横物性バランスを有する不織布製造技術を開発したのであり、その実施に際しては、特公昭62−49398号公報に示すように高速揺動法による不織布構成繊維直行配列手段を適用して配列させ、その折り返し部分において大きなループを描き繊維配列効果を低下しないよう配慮し高度の配列を実現したのであるが、本発明においては、特に高度の直行性を追求せず揺動直行配列条件を緩和し、直行配列繊維の折り返し部分においても不織布構成繊維は緩やかなループを描くようにし、より容易な実施条件下での製造ができ、その代わりに不織布構成繊維の全てを縦方向に直行配列させるように揺動せしめ、横方向配列分を設けずにループを画く繊維成分と接着強化により、横方向に必要な物性を確保し、縦方向物性の優秀な不織布を製造する技術を開発したのである。
【0009】
不織布構成繊維の直径(デニール)を所定値以上に大きくすればループの曲率が大きくなり、横方向の物性も要求を満たすことが可能であることにより、縦横物性比(縦横引張りモジュラス比)が2/1近辺の場合、構成要件▲1▼、▲2▼項記載のように、不織布構成複合繊維の芯成分の繊維断面直径を25μm以上(25〜40μmが好適である)のポリエステルとすることにより、不織布構成繊維の配列状態は構成要件▲6▼を満たす状態となり、目標物性を有する補強布を得ることができ、アスファルトルーフィング製造時に、高速で加工しても加工張力による伸長幅収縮が生ぜず、寸法安定性の高い防水層を形成可能な防水層補強用不織布を製造することができる。
【0010】
更に、防水層補強布における適度のかさ密度と含浸性の保持は、アスファルトルーフィング製造時に、補強布内へのアスファルトルーフィングの良好な含浸性による製造の高効率化のための必然性と共に、単に補強布上にアスファルト等防水剤がコートされた積層、貼合わせ構造の防水膜を形成するのではなく、防水膜が補強布内にアスファルトを均等に包含したマトリックス構造を示す理想的な補強複合体になすために必須の性能であり、構成要件▲1▼によりこの要求が達成させられる。
【0011】
【作用】
本発明の補強用不織布は、高強力、高引張り弾性率を有する長繊維不織布を得るために、トウ開繊法などの公知の長繊維不織布製造法の適用も可能であるが、生産性よりスパンボンド不織布製造法の適用が好適であり、目的とする直行配列組織不織布を製造するために、スパンボンド不織布製造法の適用に際しては、例えば、特公昭62−49398号公報に開示したプロセスの応用などが好適である。
【0012】
本発明において、不織布を構成する芯鞘型複合繊維は、公知の複合合成繊維紡糸法を適用して製造すればよく特別の設備並びにプロセスを必要としない。
【0013】
即ち、芯形成成分ポリマー及び鞘形成成分ポリマーをそれぞれ別個の押出機から押出し、ギヤポンプを介し所定の芯鞘比率で(芯/鞘構成比=9/1〜4/6)複合紡糸用ノズルに供給し押出して複合繊維を紡糸する。
【0014】
又、本発明においては、不織布の要求機能が高引張りモジュラスであること、その要求達成のため組織構造を有効な直行配列組織になすこと、更にその直行性が高ければ高い程高い効果が得られることより、対象とする芯鞘型複合フィラメントは、捲縮を発生しない同心円タイプの芯鞘型複合フィラメントがより望ましいが、同心円タイプに限定するものではない。
【0015】
トウ開繊法等に基づく長繊維不織布製造法の適用の際には、常法通り、紡糸延伸し複合繊維フィラメントのトウを製造し、長繊維不織布製造工程にかけて直行配列組織形態を実現できる製造条件を選定し不織布を製造すればよい。
【0016】
スパンボンド法を適用する場合は、特公昭62−49398号公報に開示の方法などを適用し、紡糸工程下で直ちに直行配列組織の不織布を製造すればよい。
【0017】
本発明において、最も好適なスパンボンド法の適用の際のプロセスを例示すると、特公昭62−49398号公報に開示の方法の縦配列成分のみで構成する製造プロセスの適用が有効で、複合紡糸ノズルより押し出されるフィラメント帯列を、数本のフィードローラとドローローラにベルト状にかけ、所定速度で牽引し所定延伸倍率に延伸し、必要ならば静電開繊を行い、細いスリットを有するエアージェット装置により吸引し引き取り、その下部に設置された傾斜角可変の偏向揺動板に向かって噴射させ、この偏向揺動板をその下方に設けられている捕集コンベアー装置の進行方向と平行方向に前後に揺動させ、この揺動運動により、エアジェット装置からエアと共に噴出する紡出フィラメントを、捕集コンベアー装置の進行方向と平行に揺動させながら折り返し構造状に積層捕集し縦配列不織布を製造する。
【0018】
なお、上記の紡出フィラメント糸条帯の折り返し構造の積層捕集法は、例示した特公昭62−49398号公報に開示の偏向揺動板法のほか、特公昭45−19427号公報に記載されるように、牽引用エアジェット装置出口部に、紡出糸を伴う噴出流の進行飛翔方向を偏向し揺動せしめるため、交互に気流を噴出させる偏向揺動ジェットプレナムを設けた偏向装置を有するエアジェットを適用するなど、公知の何れの方法を採用することも可能である。
【0019】
又、本発明の規定する条件(物性)を満足するに望ましい直行状態を保持する紡出フィラメント糸条の折り返し積層構造体の製造のために必要な揺動条件としては、折り返し周期(L)を50cm以上とすること、又直行性保持(付与)のために必要な基本条件としては、紡出糸条の紡出速度をVfとし、揺動周期をNとしたとき、N≒Vf/2Lとすることにより希望する直行性を保持した積層構造体を得ることができる。
【0020】
本発明においては、不織布構成繊維の交点において不織布を構成する芯鞘型複合繊維の鞘成分の融着により接着を行い強靱な不織布を製造するのであるが、高強力の不織布を得るためには、接着を完全に行うことが極めて重要であり、このようなことにより、縦方向の高い強力と高い引張りモジュラス等の物性の確保のみならず、本発明に規定する縦方向のみに配列させた直行組織の不織布においても強固な接着を行えば、不織布構成繊維が折り返し部でループを画き、隣接繊維間同士の交差点での接着により横方向にも充分高い物性が確保できる。
【0021】
本発明においては、一般にカレンダー装置による接着やエンボスカレンダーによる接着でもよいが、なお充分且つ完全な接着を行うには、熱シリンダーあるいは多孔性熱ドラム等にネット又はブランケット等で、被接着体、即ち不織布を挾み込み圧着して熱接着する方法が好適であり、特にネットーサクションドラムの組合せの熱接着装置において、熱風等の熱媒体を貫通循環させ被着体を加熱する方法は熱効率もよく効果的であり、このような方式の採用により、不織布の熱セットも同時に行うことができ、寸法安定性の高い製品を得ることができ、本発明の製品製造のために最適である。
【0022】
又、本発明における芯鞘型複合繊維の鞘成分ポリマー、即ち接着成分ポリマーは、200〜230℃の熱アスファルトに含浸時に溶融軟化流動しない性能を備えるものが必要であり、且つ芯成分ポリマーであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/イソフタレート(イソフタレート変性高融点ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレートと、接着性がよく熱アスファルト含浸に耐え得る融点、熱特性(加熱時弾性率、流動特性等)を有するコポリエステル(共重合物又はブレンド物)や、熱アスファルトの温度以上の融点を有し、芯成分ポリマーより低い融点を有するポリブチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステル等や、これら結晶性ポリエステルとコポリエステルのブレンド物又は共重合物が、芯ポリマーとの組合せの適合性及び熱アスファルト含浸加工温度などを考慮して選定し使用される。
【0023】
熱アスファルト含浸条件を考慮し、可能な限り低融点のコポリマーを接着成分として用いることはサーマルボンディング条件が緩やかになり容易であるが、反面熱セットが行いにくく、寸法安定性上の問題点を包含する可能性がある。これに対し、ポリブチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステルを接着成分として採用すると、熱セットが行い易く寸法安定性の優れた製品を得ることができるが、熱接着条件が厳しくなる難点がある。この解決策として、ポリブチレンテレフタレート等結晶性ポリエステルにコポリエステルを少量ブレンドする方法は、熱セット性を損なわず、接着温度も低下でき極めて効果的であり推奨できる。
【0024】
接着工程での生産性の向上と接着プロセス並びに接着設備機構を容易にするために、前記の不織布を構成する芯鞘構造複合繊維の他に、接着がより容易な接着補助用のフィラメントを形成するポリオレフィン又はポリエステル共重合体を、該不織布製造装置における同一ノズル内の主体不織布構成繊維吐出用オリフィスに対し、ランダム配置又は分離された列状配置に穿設された接着補助繊維吐出用オリフィスから押出し、前記のような不織布製造装置における同じ牽引用ジェット装置により牽引、移送し捕集することにより、前記接着補助用フィラメントがランダムに混繊又は積層状に配置された直行配列状不織布を形成し、より容易に高生産性で不織布を製造することができる。
【0025】
なお、必要に応じて、前記接着補助用フィラメントは不織布構成主体繊維紡出ノズルに対して、平行位置に配置した専用ノズルから紡出し、不織布構成主体繊維牽引用のジェット装置で合わせて牽引、移送し捕集することにより、このような接着補助用フィラメントが積層状に配置された直行配列状不織布を得ることが可能であるし、専用の牽引用ジェット装置を用いて牽引、移送し捕集し、接着補助用フィラメントが積層状に配置された直行配列状不織布を得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下本発明の具体的実施例を挙げて説明する。
芯成分構成ポリマーとして、極限粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを、鞘成分構成ポリマーとして、極限粘度0.63のポリエチレン・ブチレン・イソフタレート・テレフタレート共重合体(ブチレン含有率50モル%、イソフタレート含有率15モル%)をそれぞれの押出し機に供給し、300個のオリフィス(直径0.5mm、長さ1.5mm)を有する芯鞘構造複合繊維紡糸用ノズルから押出し量1.33g/hole,min、温度280℃で押出し、4本のフィードロール(後3本は85℃に加熱)と4本のドローロール(表面速度1000m/min)にベルト掛け状にかけ、5倍に延伸し単糸直径30μmのフィラメントを得た。このフィラメントをエアジェットで吸引し引き取り、該エアジェット下部に設置し、捕集コンベアー進行方向に揺動させている(揺動周期650サイクル/分)揺動板に向けて噴出させ、捕集コンベアー上に振り落し積層捕集し(折り返し長さ70cm)、ネットで挾み込んだ状態で熱風を貫通させ、280℃で3秒、250℃で6秒接着処理し120g/m2 の不織布を得た。
【0027】
実施例1、実施例2は、単孔吐出量の変更により繊維直径を30μm,35μmと変化させ、同じ揺動条件でサンプリングした試料である。
【0028】
実施例1、実施例2において、不織布構成繊維の直行配列度を示す指標、即ち、幅方向に対する厚さ方向の繊維直径比が80〜120%を示すものの含有率が70%、62%と異なるのは、単繊維直径変化による曲げ剛性変化により紡出フィラメント帯の積層捕集におけるフィラメント帯折り返し部の曲率が変化し、配列度に差異が発生したことによるものと考えられる。
【0029】
実施例1、実施例2は、単孔吐出量の変更により繊維直径を30μm,35μmと変化させ、同じ揺動条件でサンプリングした試料である。
【0030】
実施例3において、接着成分として、極限粘度0.63のポリエチレン・イソフタレート・テレフタレート共重合体(イソフタレート含有率20モル%、テレフタレート含有率80モル%、融点215℃)を押出し機に供給し、300個のオリフィス(直径0.5mm、長さ1.5mm)を有するノズルの中で30個を接着成分用ノズルとして均等に分布させて、押出し量1.33g/hole,minで押し出すとともに、芯成分構成ポリマーとして、極限粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを、鞘成分構成ポリマーとして、極限粘度0.63のポリエチレン・ブチレン・イソフタレート・テレフタレート共重合体(ブチレン含有率50モル%、イソフタレート含有率15モル%)をそれぞれの押出し機に供給し、270個のオリフィス(直径0.5mm、長さ1.5mm)を有する芯鞘構造複合繊維紡糸用ノズルから押出し量1.33g/hole,minで押し出し、芯鞘構造複合繊維と接着成分繊維との比率を90:10重量%の割合で、4本のフィードロール(後3本は85℃に加熱)と4本のドローロール(表面速度1000m/min)にベルト掛け状にかけ、5倍に延伸し単糸直径30μmのフィラメントを得た。このフィラメントをエアジェットで吸引し引き取り、ガイエアジェット下部に設置し、捕集コンベアー進行方向に揺動させている(揺動周期650サイクル/分)揺動板に向けて噴出させ、捕集コンベアー上に振り落し積層捕集し(折り返し長さ70cm)、ネットで挾み込んだ状態で熱風を貫通させ、第1段階として240℃で3秒間予備接着し、次いで280℃で5秒間接着処理し120g/m2 の不織布を得た。
【0031】
第3実施例の接着補助用繊維を混繊又は積層した場合、接着条件選定の任意性の増大とマイルド化が可能になり、生産性が向上した。
【0032】
比較例1は、熱硬化性接着剤で接着した細い単繊維径のランダムループ配列組織の実施例1、2と同一の目付の補強用スパンボンド不織布の例を示し、比較例2は、実施例1、2と同一の目付を有し、実施例1と同一の繊維径を有する芯鞘型複合繊維よりなる不織布を、特公昭62−49398号公報に記載の方法を参考とし、縦配列度指標40%となるように作製した直交配列組織のスパンボンド不織布の例を示した。
【0033】
これら試作品の(実施例、比較例試料の)特性値を表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0003928180
【0035】
表1に示されるデータより明らかなように、実施例1、実施例2、実施例3の結果は、直行配列組織とし、芯鞘型複合繊維の鞘成分ポリマーにより強固な自己接着を行うことにより、また接着成分ポリマーにより補助接着を行うことにより、本発明のように、同一目付の比較例に比し充分高い縦方向の引張りモジュラスが確保でき、アスファルト含浸工程における加工張力による伸長幅入り(寸法変化)が少なく、加工歪の少ない寸法安定性の高いアスファルトルーフィングが得られることを示した。
【0036】
更に、実施例1、実施例2、実施例3の結果は、横方向配列を除外し縦方向配列のみを行わしめた直行配列組織の不織布であるにも拘らず、引張りモジュラスの縦/横比が、比較例2の商品設計値のように3/2のように(或いは3/2〜2/3のように)バランスの取れたものが要求されず、2/1近傍のものであれば、横方向配列成分を付与しなくても、充分目的にかなう物性を効率よく付与することができることを示した。
【0037】
又、不織布構成繊維直径を太くしたため、アスファルトの含浸状態も極めて良好であることが確認された。
【0038】
なお、本実施例における性状、物性測定評価は下記のように行った。
▲1▼5%伸長時応力(本物性値で引張りモジュラスに代行させる)
サンプルサイズ5cm(幅)×20cm(長さ)の試料をチャック幅5cmつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張り試験機を用いて伸長し、得られる応力−歪曲線から5%伸長に要する応力を算定した。
▲2▼アスファルト含浸時幅入り量
アスファルトルーフィング実生産機において、補強用不織布を200℃のアスファルト浴中を加工速度100m/minの加工速度で走行させ、巻取り機直前において製品幅を測定しアスファルト含浸時幅入り量を算定した。
▲3▼不織布構成繊維配列度指標
不織布を幅方向に切断し、その切断面を走査顕微鏡写真(100倍)にとり、シート構成繊維個々の断面のシートの厚み方向の直径(Y)と厚み方向と垂直をなす方向の直径(X)を測定し、その直径比(Y/X)を算出し、直径比(Y/X)が80〜120の切断面をしめした繊維の本数を測定総本数で割り、結果を百分率に表示した。本発明の条件にかなうこの指標(百分率表示)は、60%以上である。
▲4▼防水層の寸法安定性(施工後の長手方向収縮)
年間平均気温18℃の屋外に20mの長さの被試験体防水膜(アスファルトルーフィング)を施工し、1年間放置碁長手方向収縮量を測定し、2cm以上収縮したものを収縮ありと表示した。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているため、以下に記載する効果を有する。
【0040】
本発明のアスファルトルーフィング等補強用不織布は構成繊維が直行配列され、不織布構成繊維の鞘成分で不織布構成繊維交点間が強固に自己接着されているため、アスファルトルーフィング等製造工程における加工張力による伸長幅入りに対する抵抗が大きく、加工歪を受けにくく高速で加工可能であり、高生産性で寸法安定性の高く残存歪の少ないアスファルトルーフィング等補強用不織布を形成できる。
【0041】
又、アスファルトルーフィング等補強用不織布を防水剤内に包含したマトリックス構造を有する複合材料(補強複合体)においては、接着剤としても機能することができる芯鞘型複合繊維により不織布を構成させ、その鞘成分で強固な接着を行わしめることにより、従来のように接着剤により接着した補強用不織布に比して、同一目付けで高い補強能を有する補強布を得ることができる。
【0042】
更に、不織布構成の芯成分の繊維断面直径を25μm以上のポリエステルとしたので、マトリックス構造を有する複合材料形態を保持させることができ、アスファルトルーフィング等の製造時にアスファルト等防水剤の含浸を、高速加工条件下においても行うことができ、嵩高性の保持と含浸性保持がなされ、高生産性で理想的マトリックス構造の不織布を得ることができた。
【0043】
又、この不織布構成繊維直径の選択は、構成繊維を直行配列させ、特に横方向配列成分を配分せずに不織布に所要の横方向物性を付与せしめるため、不織布構成繊維糸条帯が、積層構造における糸条帯の折り返し部において、望ましいループを画き沈積するためにも極めて効果があった。
【0044】
本発明においては、接着剤として熱硬化性接着剤を使用しないため、不織布製造時、並びにアスファルトルーフィング等の製造工程で、熱硬化性接着剤の分解による異臭が発生せず、作業環境が著しく改善される。
【0045】
更に、不織布を構成する芯鞘型複合フィラメントの他に、接着補助用繊維を混繊状態又は積層状態で付加し、不織布を形成させることにより、接着プロセスの簡易化と高生産性がもたらされる。

Claims (3)

  1. 芯成分の繊維断面直径が25μm以上のポリエステルよりなり、鞘成分が熱可塑性重合体よりなる芯鞘型複合繊維フィラメントで構成される不織布の前記鞘成分を構成する熱可塑性重合体で接着された不織布において、前記芯鞘型複合繊維フィラメントを長さ方向のみに配列して折り返すことにより直行配列組織とし、単繊維直径変化による曲げ剛性変化により前記フィラメント帯の折り返し部の曲率が変化することによって、前記不織布の幅方向で切断した断面における不織布構成繊維の切断断面形態の幅方向に対する厚さ方向の繊維直径比率が80〜120%の繊維を60%以上包含するように、不織布構成繊維を縦方向のみに配列せしめたことを特徴とする寸法安定性を有する防水材用補強布。
  2. 請求項1記載の防水材用補強布に、更に接着成分としてポリオレフィン又はポリエステル共重合体からなるフィラメントを混繊又は積層等により複合したことを特徴とする寸法安定性を有する防水材用補強布。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の防水材用補強布を用いてなる製品。
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