JP3928127B2 - チップ状電子部品のキャリアテープ紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップ状電子部品のキャリアテープ紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電子機器の自動生産化を図るために、回路基板に対してチップ状電子部品の自動装着がなされるようになっている。このチップ状電子部品の自動装着の工程での電子部品の取り扱いを容易に行い得るように、個々のチップ状電子部品をテープ状の搬送体で包装したテーピング包装体(キャリアテープ)が利用されており、テーピング包装体の形態で順次送り出されてくるチップ状電子部品を、自動的に所定の回路基板に装着させる自動装着が行われている。
【0003】
係るチップ状電子部品のキャリアテープには、プラスチック製のものと紙製のものがあるが、製造コスト、テープの重量による取り扱い容易性、使用後の廃棄処理容易性及び帯電防止等の点において、紙製のキャリアテープ(キャリアテープ紙)の方が優れている。
【0004】
キャリアテープ紙は、以下のように加工処理を受け、キャリアとしての役割を持つ。スリッターにて原紙を幅8mmにスリット(裁断)してテープを作る。チップ状電子部品収納用の角穴(キャビティー)及びキャリアテープの充填機内送り用の丸穴をテープに開ける。これらの作業をパンチングと呼ぶ。テープの裏面(ボトム側)にカバーテープを接着する。前記角穴(キャビティー)にチップ状電子部品を収納する。テープの表面(トップ側)にカバーテープを接着する。カセットリールに巻付けて出荷する。ユーザーにてトップ側カバーテープを剥がし、チップ状電子部品を取り出す。
【0005】
キャリアテープ紙によって、チップ状電子部品の搬送及び回路基板への装着は、従来のバルク包装(バラ詰め)あるいはマガジン詰め包装(重畳整列状)に比べ、効率化されコストダウンされたが、更なる効率化並びにコストダウンを図るべく、パンチング、ボトム側カバーテープの接着、キャビティーへのチップ状電子部品の収納及びトップ側カバーテープの接着という一連の処理を自動で行うテーピングマシンの高速化が図られている。従来、テーピングマシンによるチップ状電子部品の収納速度は1200個/分が上限と言われていたが、現状では、1500個/分あるいは、中には2000個/分を超える高速なテーピングマシンも開発されている。
【0006】
テーピングマシンの高速化に伴い、キャリアテープ紙の使用条件が過酷なものとなり、従来はさほど問題とならなかったカバーテープの接着不良の発生が、大きな問題として顕在化してきている。カバーテープの接着不良が発生した場合、キャビティーからのチップ状電子部品の脱落等による収納不良という重大な不具合の発生に繋がる。又、カバーテープ剥離後に毛羽が立ちやすいとチップ状電子部品が毛羽に引掛り脱落する不具合も発生する。
従って、高速のテーピングマシンで処理してもカバーテープの接着不良と毛羽立ちが発生しないチップ状電子部品のキャリアテープ紙の開発が急務となった。
【0007】
そこで、テープの未接着部を検出する装置なるものが開発されたが、これは未接着部分が発生する事が前提となっている物で、検査に要する手間と時間を省くことができても、根本的な未接着部を発生させない手段ではない(例えば、特許文献1参照)。また、カバーテープ自身の改良を試みている物もあるが、紙製のキャリアテープではなく、プラスチック製の物を対象とした高速化対応したカバーテープの破断対策のみであり、紙製のキャリアテープに対するスムーズなるピーリングを改善したものでは無かった(例えば、特許文献2、3、4参照)。
同様に、キャリアテープの材質が特定されていないが、カバーテープの粘着材層をキャリアテープとの接着部分のみに設けるか更にパターン印刷した非粘着性被覆を施し、キャリアテープで無く、カバーテープの改良により破断や自然剥離を防止させた物である(例えば、特許文献5参照)。
また、高速化対応とは謳っていないが、パンチングの際に紙製のキャリアテープに起因する「ひげ」「けば」を解決するために、また含水率や表面粗さにばらつきが生じやすいために、トップフィルムとの接合強度がバラツクという問題があり、紙製のキャリアテープの一方の表面に樹脂フィルムでラミネートを形成しているが、[0003]で記載したような問題と、ラミネート加工コストが掛かり、紙のみのキャリアテープに比べ、経済性が劣る(例えば、特許文献6参照)。
さらに、樹脂フィルムでなく一般の板紙塗工紙のように顔料とバインダーからなる塗工層を設け、キャスト法による平坦化やキャレンダー掛けなどによる平滑化させる従来技術を施すことも考えられるが、パンチング時にパンチ刃先の損耗が顔料との摩耗により早くなり、パンチ加工用の金型交換作業が頻繁に発生し、高速化に対応できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−315486号公報(0007〜0012)
【特許文献2】
特開平11−105181号公報(0001、0004〜0005)
【特許文献3】
特開平9−156684号公報(0001、0004〜0005)
【特許文献4】
特開平8−258888号公報(0001、0004〜0006)
【特許文献5】
特開平5−152785号公報(0001、0004〜0006)
【特許文献6】
特開平9−221192号公報(0004〜0006)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、高速のテーピングマシンで処理してもカバーテープの接着不良が発生しない、且つ毛羽立ちの少ないチップ状電子部品のキャリアテープ紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るチップ状電子部品のキャリアテープ紙は、高速のテーピングマシンによりその両面が顔料塗工層で形成されていない多層板紙とカバーテープを4mm間隔で送りながら上下運動する接着用こてにて両者を接着するための前記多層抄板紙は、該板紙の厚さが0.35mm以上で、広葉樹パルプ/針葉樹パルプ原料の比率が80/20〜100/0であり、澱粉を主体とする表面サイズ剤をサイズプレスにて両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2塗布し該板紙の微小範囲の表面を、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.002〜0.005となるような平坦さに形成し、かつ、上記繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度(JIS P 8125による。以下同じ)の縦横比(繊維配向方向の測定値/繊維配向方向と直角をなす方向の測定値、以下同じ)が2.5以下に形成したものを選択したものである。
また、使用する表面サイズ剤が酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉からいずれか一つを選択した物に対してポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、樹脂ポリマーのいずれか一つ又は複数の樹脂を0〜5質量%配合してなるサイズプレス液である。
【0012】
本発明に係る多層抄板紙の繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値は、0.002〜0.005、好ましくは0.0045以下である。この値が0.005を超えた場合は、カバーテープの接着不良が発生しやすい。なお、この値を0.0045以下とすることで、一層、カバーテープの接着不良の発生を防止しやすくなる。なお、0.002未満の場合は、抄造機の各パートに負荷がかかり過ぎて、マシン効率やコストが悪化し、経済的でない。
【0013】
本発明に係る多層抄板紙の繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度の縦横比は2.5以下とするのが好ましく、2.3以下とするのがより好ましい。この縦横比が2.5を超えた場合は、時としてカバーテープの接着不良が発生しやすくなる。なお、この縦横比を2.3以下とすることで、一層、カバーテープの接着不良の発生を防止しやすくなる。
本発明に係る多層抄板紙の厚さは0.35mm以上である。厚さが0.35mm未満の場合、必ずしも本発明で示すカバーテープの接着性改善方法を取らなくても、高速のテーピングマシンで良好に処理することが可能である。
【0014】
本発明の重要点は、高速のテーピングマシンで処理した場合においてもカバーテープの接着不良の発生と毛羽立ちを解消あるいは軽減できた点にある。すなわち、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値を0.002〜0.005となるものを選択することにより、カバーテープの接着不良の発生を防止することができた。
また、かかる要件に加えて、繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度の縦横比を2.5以下となるものを選択することにより、カバーテープの接着不良の発生防止効果をさらに高めることができた。
【0015】
カバーテープの接着不良の発生を解消あるいは軽減できることが判明したが、かかる要件をつきとめた経過をさらに具体的に説明する。
従来、多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生を防止するには、多層抄板紙の表面を平滑にするとよいと考えられていた。そこで、紙の表面平滑度の指標として一般的に用いられるベック平滑度、スムースター平滑度及び表面粗さのデータを高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生状況につき合わせて検討したが、意外にも両者の間に相関は認められなかった。かかる状況の中、高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生状況と相関する新たな指標を鋭意探索した。
【0016】
その結果、高速のテーピングマシンでのその両面が顔料塗工で形成されていない多層抄板紙とカバーテープとの接着は、4mm間隔で多層抄板紙とカバーテープを送りながら、接着用こての上下運動によって行われることに着目し、広葉樹パルプ/針葉樹パルプ原料の比率が80/20〜100/0であり、澱粉を主体とする表面サイズ剤をサイズプレスにて両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2塗布し該多層板抄紙の微小範囲の表面を平坦に形成し、該多層抄板紙の繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差のデータを高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生状況につき合わせて検討したところ、かかる標準偏差を平均厚さで除した値が高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生率とよく相関し、該標準偏差を平均厚さで除した値が0.002〜0.005となるものを選択したときに多層抄板紙とカバーテープとの接着不良が解消あるいは軽減することを見出したのである。併せて、表面サイズ剤の塗布により毛羽立ちも解消あるいは軽減することを見出した。
【0017】
なお、その両面が顔料塗工で形成されていない多層抄板紙は、広葉樹パルプ/針葉樹パルプ原料の比率が80/20〜100/0であり、澱粉を主体とする表面サイズ剤をサイズプレスにて両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2塗布して該板紙の微小範囲の表面を平坦化させる。この多層抄板紙の表面の平坦さを測定するために、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、厚さを測定するに際し、当初、紙及び板紙の厚さ測定方法を規定したJIS P 8118によって行ったが、JIS P 8118では、厚さ測定に使用するマイクロメータの圧子の直径が14.3mm又は16.0mmもあり、4mm間隔からなる各測定位置での正確な値が得られないため、マイクロメータの圧子の直径が5mmであるJIS Z 1702によって行った。さらに、4mm間隔で76ヵ所に渡ってできるだけ正確に厚さを測定すべく、自動送り機能を有する自動厚さ測定装置を製作し、該自動厚さ測定装置で測定した。
【0018】
また、この他にも高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生状況と相関する新たな指標がないか探索すべく、多層抄板紙の各種強度関係のデータを高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生状況につき合わせて検討したところ、繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度の縦横比が高速のテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙とカバーテープとの接着不良の発生率と比較的よく相関し、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値を0.002〜0.005とし、かつ、繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度の縦横比を2.5以下となるものを選択することにより、カバーテープの接着不良の発生防止効果をさらに高めることができることを見出したのである。
なお、繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度の縦横比は、カバーテープの接着不良が発生する原因のひとつであるテーピングマシンで処理した際の多層抄板紙の折れ皺の発生率と相関が高く、該縦横比を2.5以下となるものを選択することにより、テーピングマシンで処理した際の多層抄板紙の折れ皺の発生を解消あるいは軽減できることがわかった。併せて表面サイズ剤の塗布により毛羽立ちの解消あるいは軽減も可能となった。
【0019】
本発明に係る多層抄板紙を製造するには、広葉樹系晒クラフトパルプあるいは広葉樹系晒クラフトパルプに、適宜、針葉樹系晒クラフトパルプ等を配合したパルプ原料等を、必要に応じて叩解し、多層円網抄紙機あるいは各種コンビネーション網抄紙機等で抄造し、適宜、オンカレンダーもしくはオフカレンダー処理すればよい。
【0020】
また、十分な層間強度の確保と折れじわの発生防止のため、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアマイド等の紙力増強剤を内添するのが望ましい。しかし、多量に用いすぎると剛度が強くなりすぎて、十分な層間強度を有しているにもかかわらず、カセットリール巻付け時等に曲げ、しごき等の力を受けて、層間剥離や折れじわが発生しやすくなる。このため、紙力増強剤の添加量は、その種類により異なるが、パルプに対して固形分で0.1〜10質量%程度が好ましい。
【0021】
また、ドライパートの中間に設置されるサイズプレス装置で澱粉を主体とする表面サイズ処理を行うのが好ましい。表面サイズ処理を行うことで、カバーテープをはがす時に起こりやすい毛羽の発生を抑えることができ、またカバーテープの接着性を適切な範囲内に制御できる。通常の2ロールサイズプレスの他、ゲートロールサイズプレスやメタリングサイズプレスも使用できるが、表面強度、紙層強度向上効果とカバーテープの接着性の観点からは2ロールサイズプレスの使用が好ましい。表面サイズ処理用の澱粉としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉などが使用できる。その他の薬品としてポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、樹脂ポリマーなどを添加しても良い。
サイズプレスでの塗布量は両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2、好ましくは1〜3g/m2の範囲である。
キャリアテープ紙の表層はテープと接着されるため、所要の表面強度が必要である。表面強度はwax強度(TAPPI T459)として10A以上が好ましい。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を以下の実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
全ての例について、抄造した多層抄板紙はJIS P 8111に準じて前処理した後、紙質試験を行なった。
各試験は次の方法によった。
(1)坪量:JIS P 8124
(2)厚さ及び密度:JIS P 8118
(3)4mm間隔厚さ:繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で厚さを測定した。なお、前述したように、4mm間隔で76ヵ所に渡ってできるだけ正確に厚さを測定すべく、自動送り機能を有する自動厚さ測定装置を製作し、該自動厚さ測定装置で測定した。
【0023】
(4)テーバー剛度の縦横比:JIS P 8125により繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定し、「テーバー剛度の縦横比」=「繊維配向方向の測定値」/「繊維配向方向と直角をなす方向の測定値」で求めた。
(5)カバーテープの接着適性:多層抄板紙を幅8mmにスリットした後、チップ状電子部品の収納速度がは1500個/分のテーピングマシンに長さ20mを通したときのカバーテープの接着状況を目視で観察した。評価は次に示す評価基準に基づいて行なった。
◎:未接着部の発生個数が0〜9個。
〇:未接着部の発生個数が10〜19個。
×:未接着部の発生個数が20〜49個。
××:未接着部の発生個数が50個以上。
(6) 毛羽立ちの評価方法:
a テープの接着方法
上記(5) に記載の方法と同様に接着
b 接着したテープの剥離方法
c 評価の基準:目視評価
d 判断 : 毛羽の発生は、電子部品の抜き出しに対する致命的な傷害となり得るものであり0%であることがもっとも望ましいが、経験的に、△レベルが許容範囲の下限レベルである。
【0024】
実施例1
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、ポリアクリルアマイド系紙力増強剤を対原料0.2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、6層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、酸化澱粉に少量のポリビニルアルコールを配合した液を両面で2.5g/m2(固形分)となるように塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Aを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00308となるものが得られた。
多層抄板紙Aについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0025】
実施例2
実施例1において、パルプ比率としてリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た広葉樹系晒クラフトパルプ原料とリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た針葉樹系晒クラフトパルプ原料とを固形分質量比で広葉樹系晒クラフトパルプ原料/針葉樹系晒クラフトパルプ原料=90/10に配合した原料を用いた以外は同様の処理をして、多層抄板紙Bを得た。このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00391となるものが得られた。
多層抄板紙Bについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0026】
実施例3
実施例1において、パルプ比率としてリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た広葉樹系晒クラフトパルプ原料とリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た針葉樹系晒クラフトパルプ原料とを固形分質量比で広葉樹系晒クラフトパルプ原料/針葉樹系晒クラフトパルプ原料=80/20に配合した原料を用いた以外は同様の処理をして、多層抄板紙Cを得た。このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00447となるものが得られた。
多層抄板紙Cについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0027】
実施例4
実施例1において、6層を7層抄合わせとした以外は、紙抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00293となる多層抄板紙Dが得られた。
多層抄板紙Dについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0028】
実施例5
実施例3において、6層を7層抄合わせとした以外は、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00403となる多層抄板紙Eが得られた。
多層抄板紙Eについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0029】
実施例6
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、両性澱粉系系紙力増強剤を対原料2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、5層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、酸化澱粉液を両面で2.5g/m2(固形分)となるように塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Fを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00424となるものが得られた。
多層抄板紙Fについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0030】
実施例7
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、ポリアクリルアマイド系紙力増強剤を対原料0.2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、6層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、酸化澱粉に少量のポリビニルアルコールを配合した液を両面で0.5g/m2(固形分)となるように塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Gを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00393となるものが得られた。
多層抄板紙Gについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0031】
実施例8
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、ポリアクリルアマイド系紙力増強剤を対原料0.2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、6層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、酸化澱粉に少量のポリビニルアルコールを配合した液を両面で4.0g/m2(固形分)となるように塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Hを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値を0.00345に調整した。
多層抄板紙Hについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0032】
比較例1
実施例1において、パルプ比率としてリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た広葉樹系晒クラフトパルプ原料とリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た針葉樹系晒クラフトパルプ原料とを固形分質量比で広葉樹系晒クラフトパルプ原料/針葉樹系晒クラフトパルプ原料=70/30に配合した原料を用いた以外は同様の処理をして、多層抄板紙Iを得た。このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00507となる多層抄板紙Iが得られた。
多層抄板紙Iについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0033】
比較例2
比較例1において、6層を5層抄合わせとした以外は、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00596となる多層抄板紙Jが得られた。
多層抄板紙Jについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0034】
比較例3
比較例1において、6層を7層抄合わせとした以外は、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00522となる多層抄板紙Kが得られた。
多層抄板紙Kについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0035】
比較例4
比較例1において、6層を4層抄合わせとした以外は、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00525となる多層抄板紙Lが得られた。
多層抄板紙Lについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0036】
比較例5
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、ポリアクリルアマイド系紙力増強剤を対原料0.2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、6層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、酸化澱粉に少量のポリビニルアルコールを配合した液を両面で0.3g/m2(固形分)となるように塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Mを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00345となるものが得られた。
多層抄板紙Mについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0037】
比較例6
広葉樹系晒クラフトパルプをリファイナーにてカナダ標準濾水度(CSF)で500mlまで叩解して得た原料に、ポリアクリルアマイド系紙力増強剤を対原料0.2質量%、合成サイズ剤を対原料0.2質量%添加した後、6層抄合わせ抄造し、2本ロールサイズプレスにて、温水のみを塗布し、オンラインキャレンダー処理して、多層抄板紙Nを得た。
このとき、抄造機の各パートの調整により、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.00345となるものが得られた。
多層抄板紙Nについて、坪量、厚さ、密度、テーバー剛度の縦横比、4mm間隔厚さ、カバーテープの接着適性及び毛羽立ちをそれぞれ試験し、その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係るチップ状電子部品のキャリアテープ紙は、厚さが0.35mm以上で、広葉樹パルプ/針葉樹パルプ原料の比率が80/20〜100/0であり、澱粉を主体とする表面サイズ剤をサイズプレスにて両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2塗布して該板紙の微小範囲の表面を、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JIS Z 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.002〜0.005となるような平坦さに形成し、かつ、上記繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度(JIS P 8125による。以下同じ)の縦横比(繊維配向方向の測定値/繊維配向方向と直角をなす方向の測定値、以下同じ)が2.5以下に形成したものを選択したので、高速のテーピングマシンで処理してもカバーテープの接着不良が発生しないか発生してもその発生を最小限に押さえることができ、前記高速のテーピングマシンで処理した際のカバーテープの接着不良の発生防止効果をさらに高めることができ、且つキャリアテープ紙表面の毛羽立ちの少ないものが得られた。
Claims (2)
- 高速のテーピングマシンによりその両面が顔料塗工層で形成されていない多層板紙とカバーテープを4mm間隔で送りながら上下運動する接着用こてにて両者を接着するための前記多層抄板紙は、該板紙の厚さが0.35mm以上で、広葉樹パルプ/針葉樹パルプ原料の比率が80/20〜100/0であり、澱粉を主体とする表面サイズ剤をサイズプレスにて両面で乾燥固形分質量0.5〜4g/m2塗布し該多層板紙の微小範囲の表面を、繊維配向方向に4mm間隔で76ヵ所において、JISZ 1702に規定された方法で測定した厚さの標準偏差を該厚さの平均値で除した値が0.002〜0.005となるような平坦さに形成し、かつ、上記繊維配向方向及びこれと直角をなす方向について測定したテーバー剛度(JISP 8125による)の縦横比(繊維配向方向の測定値/繊維配向方向と直角をなす方向の測定値)が2.5以下の多層抄板紙に形成したものを選択したことを特徴とするチップ状電子部品のキャリアテープ紙。
- 上記表面サイズ剤が酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉からいずれか一つを選択した物に対してポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、樹脂ポリマーのいずれか一つ又は複数の樹脂を0〜5質量%配合してなるサイズプレス液である請求項1記載のチップ状電子部品のキャリアテープ紙。
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