JP3927900B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビジョン信号やコンピュータなどの映像信号を受信し画像を表示するテレビジョン受信機やコンピュータのディスプレイ装置等の表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置に関する。
【0002】
より詳しくは、表示パネルのマトリクス配線が有する電気抵抗に起因する、表示用素子に実効的に印加される駆動電圧の減少分を補正し、適切な駆動電圧で表示用素子を駆動することができる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
表示用素子の1つに冷陰極素子がある。冷陰極素子を備えた表示装置の例が、特許文献1(特許文献2)に開示されている。この公報記載の表示装置は、冷陰極素子への電気的な接続配線などの配線抵抗による電圧降下に起因する輝度低下を補正するために、統計演算によりその補正データを算出し、電子線要求値と補正値を合成する構成を有する。
【0004】
この公報記載の表示装置の構成を図42に示す。本装置におけるデータの補正に係わる構成は概略以下の通りである。
【0005】
まず、合算器1206がデジタル画像信号の1ライン分の輝度データを合算し、その合算値をメモリ1207に出力することにより、合算値に対応する補正データがメモリ1207から読み出される。一方、デジタル画像信号はシフトレジスタ1204においてシリアル/パラレル変換され、ラッチ回路1205において所定時間保持された後、所定のタイミングで各列配線毎に備えられる乗算器1208に入力される。乗算器1208は、各列配線毎に輝度データとメモリ1207から読み出された補正データを乗算して補正後のデータを生成し、この補正後のデータを変調信号発生器1209に転送する。変調信号発生器1209は、補正後のデータに対応する変調信号を生成する。この変調信号に基づいて表示パネルに画像が表示される。ここでは、合算器1206におけるデジタル画像信号の1ライン分の輝度データの合算処理のように、デジタル画像信号に対して総和や平均を算出するというような統計的な演算処理を行い、この値に基づいて補正を行っている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−248920号公報
【特許文献2】
米国特許第5,734,361号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電圧降下補正では、一般的にABL(Automatic Brightness Limiter)と言われる電力制限のための処理には対応していなかった。
【0008】
また、電圧降下補正を行った場合、精度良く高圧電源の電流(アノード電流)を算出する信号処理も行っていなかった。
【0009】
本発明の目的は、電圧降下補正を行った場合にもABLを実現し、更に電圧降下補正を精度良く実現することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、高圧電源の電流(アノード電流)を算出し正確なABLを行うことのできる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、複数の行配線および複数の列配線を介して駆動されるマトリクス状に配置された複数の表示用素子を備えた表示パネルと、前記行配線を走査する走査手段と、画像データに基づいて、前記列配線に変調信号を供給する変調手段と、少なくとも前記行配線の抵抗分によって発生する電圧降下の影響による表示輝度の低下を補償するための補正処理を、画像データに施す補正手段と、前記補正手段により補正された複数の画像データの値の内の最大値から、オーバーフローを抑制する係数を算出する手段と、複数の画像データの値の積算値に基づいて、前記表示パネルの表示輝度を制御する係数を算出する手段と、前記オーバーフローを抑制する係数と前記表示輝度を制御する係数の内の小さいほうの係数を選択する手段と、選択した係数を補正された画像データまたは補正される前の画像データに乗算する乗算器と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の別の骨子は、複数の行配線および複数の列配線を介して駆動されるマトリクス状に配置された複数の表示用素子を備えた表示パネルと、前記行配線を走査する走査手段と、画像データに基づいて、前記列配線に変調信号を供給する変調手段と、少なくとも前記行配線の抵抗分によって発生する電圧降下の影響による表示輝度の低下を補償するための補正処理を、画像データに施す補正手段と、前記補正手段により補正された複数の画像データの値の内の最大値から、オーバーフローを抑制する係数を算出する手段と、複数の画像データによって決まるAPLの値に基づいて、前記表示パネルの表示輝度を制御する係数を算出する手段と、前記オーバーフローを抑制する係数と前記表示輝度を制御する係数の内の小さいほうの係数を選択する手段と、選択した係数を補正された画像データまたは補正される前の画像データに乗算する乗算器と、を有することを特徴とする。
【0013】
前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値に基づいて算出されるとよい。
【0014】
前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値を、複数のフレームのそれぞれに対応して決定し、決定された複数の最大の値を平均化した値に基づいて算出されるとよい。
【0015】
前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値に基づいて算出される係数を、複数のフレームのそれぞれに対応して決定し、決定された複数の係数を平均化した値であるとよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の好適ないくつかの実施形態による表示装置を説明するためのブロック図である。
【0026】
図1(a)において、301は表示パネル、302は走査回路、303は変調回路、304は電圧降下補正を行う補正手段としての補正回路、305は入力画像データの輝度情報を検出する検出回路、306Aは検出された輝度情報に応じて駆動制御を行う制御回路である。
【0027】
入来する画像データは、補正回路304にて、例えば後述するような電圧降下補正処理が施され表示パネル301の駆動手段である変調回路303に供給される。
【0028】
一方、検出回路305は、入力画像データから、例えば1フレームの画像の輝度情報を検出する。検出された輝度情報は制御回路306Aに入力され、制御回路306Aは駆動手段によって表示パネル301に印加される駆動電圧を変更する処理を行う。
【0029】
本実施形態によれば、ABL(automatic brightness limiter)のような表示パネルの表示輝度制御を行いながら、電圧降下補正を良好に行うことができる。
【0030】
図1(b)の表示装置は、図1(a)に示した表示装置の細部を変更した形態であり、制御回路306Bは、制御回路306Aと同様の駆動電圧を変更する処理を行うだけでなく、変更後の駆動電圧に合わせて電圧降下補正処理用のパラメータを変更し、実質的に電圧降下補正処理による補正量を調整する、といった駆動制御と信号処理制御を行う。
【0031】
本実施形態によれば、ABLのような表示パネルの表示輝度制御を行いながら、電圧降下補正をより一層精度良く良好に行うことができる。
【0032】
図1(c)の表示装置は、図1(b)に示した表示装置の細部を変更した形態であり、制御回路306Cは、検出された輝度情報に応じて、電圧降下補正処理用のパラメータを変更したり、電圧降下補正処理による補正量を実質的に調整したりする、といった信号処理制御を行う。制御回路306Cは、例えば画像データの輝度レベルを変更し調整するための係数(ゲイン)を定める回路である。定められたゲインは電圧降下補正処理前の画像データのゲイン調整に用いられてもよいし、電圧降下補正処理後の画像データのゲイン調整に用いられてもよい。
【0033】
本実施形態によれば、ABLのような表示パネルの表示輝度制御を行いながら、電圧降下補正をより一層精度良く良好に行うことができるとともに、画像データの処理だけで、輝度制御と電圧降下補正が行える。よって、検出回路305,補正回路304,制御回路を1チップの半導体集積回路で実現する場合や、それらの機能をソフトウエアで実行する場合にはより好適な形態である。
【0034】
以上のように、制御回路306A,306B,306Cが、表示パネル301の表示輝度を制御する輝度制御手段として働く。
【0035】
駆動電圧の変更は、例えば、駆動手段のスイッチによって、表示用素子に印加される基準電圧を選択することにより容易に実現可能である。基準電圧とは、走査信号の選択電位や非選択電位、変調信号の表示電位や非表示電位などを決めるマルチレベルの電圧である。或いは、基準電圧は、電子放出素子を表示用素子として用いた表示パネルにおけるアノード電極の電位を決めるアノード電圧であってもよい。ここでは、これらの電位のうち、少なくとも1つの電位を変更するような調整を行う。
【0036】
輝度情報とは、広義のAPL(average picture level)、即ち、1フレームの全画素の平均輝度レベル、1フレームの全画素の画像データの積算値、または、1フレームの全画素の中から適当に選ばれた多数の画素の平均輝度レベルもしくは多数の画素の画素データの積算値などである。APLのような輝度情報は、ABL制御を行うためには好適である。
【0037】
とりわけ、輝度情報として積算値を用いる場合には、画像データの輝度レベルの変更に用いられる係数と積算値から、表示パネルの実際の1フレームの表示輝度に対応した電流値が得られることが判明したので、この係数と該積算値を基に、良好な制御を行うことができる。この詳細は後述する。
【0038】
また、以上の説明では、検出回路305は入力画像データから輝度情報を検出するものとして説明したが、他にも、表示モードや画像データの入力ソースなどの情報を被検出輝度情報とするものであってもよい。こうすれば、表示モードや入力ソースに応じて、電圧降下補正の効いた輝度制御を行うことができる。
【0039】
更に、補正処理後の画像データの幅を所定の範囲内に収めるためのゲインを決定するゲイン算出手段を設けたり、必要に応じて、画像データの最大幅を制限する制限器を設けることも好ましいものである。
【0040】
そして、そのゲインと輝度情報から得られる値と、所定の輝度制限基準値とを比較し、その比較結果に基づいて、表示パネルの表示輝度レベルを変更するとよい。
【0041】
電圧降下補正とは、主として、選択された表示用素子に接続された配線の電気抵抗と、そこに流れる電流による電圧降下によって、本来その表示用素子に印加されるべき駆動電圧と実際に印加される印加電圧との間に生じた差異を補償するための処理である。その処理としては、変調回路によって変調される前の画像データ自体を補正する方法が好ましく用いられる。例えば、ある輝度レベル(例えば「+5」)の画像データを表示する駆動電圧「+5」に対して、電圧降下によって実際の印加電圧が輝度レベル「+4」を表示する電圧「+4」になってしまうような場合には、輝度レベル「+5」の画像データを輝度レベル「+6」の画像データに変更する補正を行う。こうすると、電圧降下によって実際の印加電圧は「+6」ではなく「+5」となるので、本来表示したい輝度レベル「+5」となる。現実には、必ずしも輝度レベルが「+5」に一致しなくとも、それに出来る限り近い値に補償できればよい。また、マトリクス表示パネルの線順次駆動のような場合には、走査配線(行配線)の抵抗に因る電圧降下が最も大きいが、同じ選択ライン上の別の表示用素子に流れる電流の量や、その空間的分布によっても、電圧降下量が異なってくる。更には、一水平走査期間においてパルス幅変調を行うような場合には、同様の理由で一水平走査期間内における電流の時間的分布によっても電圧降下量が異なってくる。
【0042】
このような電圧降下補正を行う場合に、ABLのような輝度調整を併用すると、電圧降下補正の精度が変動し低下する恐れがある。
【0043】
本実施形態の表示装置及びその画像信号処理装置及び駆動制御装置は、このような変動を抑制し、より精度の高い電圧降下補正を行うことを可能にする。
【0044】
図1(b)に示したような形態の場合には、制御回路306Bは、走査回路302が行配線を順次選択する際の選択電位と、変調回路303が変調する際の変調電位(表示電位)の差電圧として表される駆動電圧に応じて、補正画像データを算出するための計算パラメータを更新する機能を有する補正画像データ算出手段を備えていることが好ましいものである。または、補正回路304の出力に乗ずるゲインなどの計算パラメータを変更するものであってもよい。
【0045】
そして、検出回路305として、入力画像データの平均輝度レベルを検出する平均輝度検出回路を備え、その平均輝度レベルに基づいて駆動電圧を設定する駆動電圧調整機能を制御回路306Bが有することが好適である。
【0046】
或いは、制御回路306Bは、少なくとも輝度を優先するモード及び消費電力を優先するモードを含む複数の表示モードを備え、選択された表示モードに基づいて、駆動電圧を設定する駆動電圧調整機能を有することが好適である。
【0047】
更には、制御回路306Bは、テレビジョン用の映像信号入力端子と、コンピュータ用の映像入力端子を備え、表示すべき映像を供給している端子(映像ソース)がいずれであるかに基づいて、駆動電圧を設定する駆動電圧調整機能を有することが好適である。
【0048】
駆動電圧調整機能は、走査回路302が順次行配線を選択する際の選択電位を可変にする機能、及び/又は、変調回路303が出力する変調電位を可変にする機能であることが好適である。
【0049】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対して、行配線での電圧降下を予測する電圧降下量算出手段と、電圧降下量から電圧降下による輝度の低下量を予測する輝度低下量算出手段と、輝度低下量から入力画像データに施すための補正量を算出する補正量算出手段と、を備えることが好適である。
【0050】
電圧降下量算出手段は、駆動電圧に対応して、行配線での電圧降下量を算出する際に用いる計算パラメータである素子電流を更新することが好適である。
【0051】
電圧降下量算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に複数の基準時刻を設定し、さらに選択された行配線に沿って、複数の基準点を設定し、複数の基準時刻に発生すべき、基準点での電圧降下量を予測算出することが好適である。
【0052】
輝度低下量算出手段は、電圧降下量算出手段が電圧降下量を算出した水平位置と複数の基準時刻に対応した輝度の低下量とを予測算出することが好適である。
【0053】
補正量算出手段は、輝度低下量算出手段が算出した複数の基準点における、複数の基準時刻に発生する輝度低下量から、基準点という複数の離散的な水平表示位置における、予め設定された複数の画像データ値に対する補正画像データを算出することが好適である。
【0054】
補正画像データ算出手段は、補正量算出手段が算出した、離散的な補正画像データを補間し、入力画像データの大きさとその水平表示位置に対応した補正画像データを算出するための、補間回路をさらに備えることが好適である。
【0055】
表示用素子は、印加される駆動電圧に応じて電子を放出し得る電子放出素子、有機EL(electroluminescence)や無機ELに代表される発光体を備えたEL素子、又は、LED素子であることが好適である。
【0056】
電子放出素子は、冷陰極素子であることが好適である。
【0057】
冷陰極素子は、表面伝導型放出素子、電界放出型素子などであることが好適であって、CNT(Carbon Nano-Tube),GNF(Graphite Nano Fiber)に代表される炭素を主成分とするナノ構造体を電子放出材料として利用したものが好ましく用いられる。
【0058】
電子放出素子から放出された電子が衝突して蛍光を発する蛍光部材を備えたことが好適である。
【0059】
表示パネルは、マトリクス状に配置され、行配線(走査配線)および列配線(変調配線)を介して駆動される表示用素子を備えていることが好ましい。
【0060】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0061】
(第1の実施形態)
本実施の形態は、表示用素子としての冷陰極素子を単純マトリクスに配置した表示装置においては、走査配線に流れ込む電流と走査配線の配線抵抗により電圧降下が発生し、表示画像が劣化するという現象に鑑み、このような走査配線における電圧降下が表示画像に与える影響を補正する処理回路を備えた表示装置に関し、特に、それを比較的小さな回路規模で実現するものである。
【0062】
ここで述べる電圧降下による印加電圧の減少分を補償するための補正回路(電圧降下補正回路)は、入力画像データに応じて電圧降下のために生じる表示画像の劣化を計算し、それを補正する補正データを求め、画像データに補正を施すものである。
【0063】
本実施形態においては、表示時の消費電力を低減するという別の観点から、入力映像信号の平均輝度レベルに応じて冷陰極素子に印加する駆動電圧(選択時の走査電位と変調電位の差電圧)を制御して、輝度制限を行う場合にも、適正に電圧降下補正を行うことができる。
【0064】
以下、表面伝導型放出素子を表示用素子として用いた場合の実施形態について説明する。
【0065】
(表示装置の概観)
図2は、本実施形態に係る表示装置に用いた表示パネルの斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、1005はリアプレート、1006は側壁、1007はフェースプレートである。リアプレート1005,側壁1006およびフェースプレート1007により表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を形成している。
【0066】
リアプレート1005には、基板1001が固定されている。この基板上には冷陰極素子1002がN×M個形成されている。行配線(走査配線)1003、列配線(変調配線)1004及び冷陰極素子(表示用素子)は図3のように接続されている。このような結線構造を単純マトリクスと呼んでいる。
【0067】
また、フェースプレート1007の下面には、蛍光膜(蛍光部材)1008が形成されている。本実施形態に係る表示装置はカラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青の3原色の蛍光体が塗り分けられている。蛍光体は、リアプレート1005の各画素(絵素)に対応してマトリクス状に形成された、冷陰極素子からの放出電子(放出電流)の照射される位置に対して、画素を形成するように構成されている。
【0068】
蛍光膜1008の下面にはメタルバック1009が形成されている。
【0069】
Hvは高圧端子でありメタルバック1009に電気的に接続されている。Hv端子に高電圧(アノード電位)を印加することによりリアプレート1005とフェースプレート1007の間に高電圧が印加される。
【0070】
本実施形態では、以上のような表示パネルの中に冷陰極素子として表面伝導型放出素子を作製した。冷陰極素子としては電界放出型の素子を用いることもできる。また、表示用素子としては、冷陰極素子以外の素子、たとえば、EL素子のような自ら発光する素子も好適に用いることができる。
【0071】
(表面伝導型放出素子の特性)
表面伝導型放出素子は、図4のような(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性を有する。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるため、2本のグラフは各々異なる尺度で図示した。
【0072】
表面伝導型放出素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0073】
第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0074】
第二に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfを可変することにより、放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0075】
第三に、冷陰極素子は高速な応答性を有しているため、電圧Vfの印加時間により放出電流Ieの放出時間を制御できる。
【0076】
以上のような特性を利用することにより、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができる。
【0077】
例えば、図2に示した表示パネルを用いた表示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替えることにより、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。
【0078】
また、第二の特性を利用することにより、素子に印加する電圧Vfにより、蛍光体の発光輝度を制御することができ、画像表示を行うことが可能である。
【0079】
また、第三の特性を利用することにより、素子に電圧Vfを印加する時間により、蛍光体の発光時間を制御することができ、画像の表示を行うことができる。
【0080】
本実施形態の表示装置では、第三の特性を利用して、素子に印加する変調信号の変調を行うことにより、表示パネルの電子ビームの量を制御する。
【0081】
(表示パネルの駆動方法)
図5を用いて表示パネルの駆動方法を具体的に説明する。
【0082】
図5は表示パネルを駆動する際に走査配線及び変調配線の電圧供給端子に印加する電圧の一例である。
【0083】
図中、水平走査期間Iはi行目のピクセルを発光させる期間を示す。
【0084】
i行目のピクセルを発光させるためには、i行目の走査配線を選択状態とし、その電圧供給端子Dxiに選択電位Vsを印加する。また、それ以外の走査配線の電圧供給端子Dxk(k=1,2,...N、但しk≠i)は非選択状態とし、非選択電位Vnsを印加する。
【0085】
本実施形態では、選択電位Vsを電圧VSEL(図4参照)の30%〜50%程度である−5Vに設定し、非選択電位Vnsを接地電位(GND)に設定する。なお、電圧VSELは本実施形態の表面伝導型放出素子を駆動するための定格電圧とする。
【0086】
変調配線の電圧供給端子には、電圧振幅Vpwmのパルス幅変調信号を供給する。
【0087】
従来では、j番目の変調配線に供給するパルス幅変調信号のパルス幅は、表示する画像の第i行第j列のピクセルの画像データの大きさに応じて決定し、すべての変調配線に各々のピクセルの画像データの大きさに応じたパルス幅変調信号を供給していた。
【0088】
一方、本実施形態では、j番目の変調配線に供給するパルス幅変調信号のパルス幅を、表示する画像の第i行第j列のピクセルの画像データの大きさと、その補正量に応じて決定することにより、電圧降下の影響による輝度低下を補正する。
【0089】
本実施形態では、電圧Vpwmの電圧は+0.5VSELに設定する。
【0090】
表面伝導型放出素子は、図4に示したように素子の両端に電圧VSELが印加されると電子を放出するが、電圧Vthよりも小さい印加電圧ではまったく電子を放出しない。また、電圧Vthは図4に示すように、0.5VSELよりも大きいという特徴がある。
【0091】
このため、非選択電位Vnsが印加されている走査配線に接続された表面伝導型放出素子からは電子は放出されない。また同じように、パルス幅変調手段の出力がグランド電位である期間(以降、出力が“L”の期間と呼ぶ)は、選択された走査配線上の表面伝導型放出素子の両端に印加される電圧はVsであるため、電子は放出されない。
【0092】
つまり、選択電位Vsが印加された走査配線上の表面伝導型放出素子からは、パルス幅変調手段の出力がVpwmである期間(以降、出力が“H”の期間と呼ぶ)に応じて電子が放出される。電子が放出されれば放出された電子ビームの量に応じて前述の蛍光体が発光するため、放出された時間に応じた輝度を得ることができる。
【0093】
(走査配線での電圧降下について)
上述したように、解決すべき根本的な課題は、特に、走査配線における電圧降下によって、走査配線上の電位が上昇することにより、表面伝導型放出素子に印加される電圧が減少し、表面伝導型放出素子からの放出電流が低減してしまうことである。
【0094】
表面伝導型放出素子の設計仕様や製法によっても異なるが、表面伝導型放出素子の1素子分の素子電流は電圧VSELを印加した場合に数100μA程度である。
【0095】
ある水平走査期間において選択された走査配線上の1ピクセルのみを発光させ、それ以外のピクセルは発光させない場合には、変調配線から選択された走査配線に流入する素子電流は1ピクセル分の電流(すなわち上述の数100μA)だけである。この場合は、電圧降下はほとんど生じることはなく、発光輝度が低下することはない。
【0096】
しかし、ある水平走査期間において、選択された行の全ピクセルを発光させる場合には、選択された走査配線に対し、全ての変調配線から全ピクセル分の電流が流入することとなる。この電流の総和は数100mA〜数Aとなり、走査配線の配線抵抗によって発生する走査配線上の電圧降下は無視できなくなる。
【0097】
走査配線上に電圧降下が発生すれば、表面伝導型放出素子の両端に印加される駆動電圧が低下する。このため表面伝導型放出素子から発光される放出電流が低下してしまい、結果として発光輝度が低下していた。
【0098】
具体的に、表示画像として、図6(a)に示したような黒の背景に白い十字状のパターンを表示した場合を考えてみる。
【0099】
同図の行Lを駆動する際には、点灯しているピクセルの数が少ないため
、その行の走査配線上にはほとんど電圧降下が生じない。その結果各ピクセルの表面伝導型放出素子からは所望の量の放出電流が放出され、所望の輝度で発光させることができる。
【0100】
一方、同図の行L′を駆動する際には、同時にすべてのピクセルが点灯するため、走査配線上に電圧降下が発生し、各ピクセルの表面伝導型放出素子からの放出電流が減少する。その結果、行L′のラインでは輝度が低下することとなる。
【0101】
このように、1水平ラインごとの画像データの違いにより、電圧降下によって受ける影響が変化するため、図6(a)のような十字パターンを表示する際には同図6(b)のような画像が表示されてしまっていた。
【0102】
なおこの現象は十字パターンに限るものではなく、たとえばウインドウパターンや、自然画像を表示した際にも発生するものである。
【0103】
また、さらに複雑なことに、電圧降下の大きさはパルス幅変調によって変調を行うことにより1水平走査期間の中でも変化する性質を持っている。
【0104】
たとえば、図5に示すように、各列に供給するパルス幅変調信号の立ち上がりが同期している場合には、入力画像データにもよるが、一般的には、1水平走査期間の初めほど点灯しているピクセルの数が多く、その後輝度の低い箇所から順に消灯していくため、点灯するピクセルの数は一水平走査期間の中では、時間を追って減少する。したがって走査配線上に発生する電圧降下の大きさも、1水平走査期間の初めほど大きく次第に減少していく傾向がある。パルス幅変調信号は変調の1階調に相当する時間ごとに出力が変化するため、電圧降下の時間的な変化もパルス幅変調信号の1階調に相当する時間毎に変化する。
【0105】
(電圧降下の計算方法)
電圧降下の影響を低減するための補正量を求めるには、まずその第一段階として、電圧降下の大きさとその時間変化をリアルタイムに予測するハードウエアがあるとよい。
【0106】
しかし、表示装置の表示パネルとしては、数千本もの変調配線を備えることが一般的であり、変調配線のすべてと走査配線との交点の電圧降下を計算することは非常に困難であるとともに、それをリアルタイムで計算するハードウエアを作製することは現実的ではない。
【0107】
一方、発明者らが電圧降下の検討を行った結果、以下のような特徴があることが分かってきた。
【0108】
i)一水平走査期間のある時点においては、走査配線上に発生する電圧降下は走査配線上で空間的に連続的な量であり非常に滑らかなカーブである。
【0109】
ii)電圧降下の大きさは、表示画像によっても異なり、またパルス幅変調の1階調に相当する時間毎に変化するが、概略的には、パルスの立ち上がり部分ほど大きく、時間が経つにつれ次第に小さくなるか、もしくはその大きさが維持されるかのどちらかである。すなわち、図5のような駆動方法では1水平走査期間の中で電圧降下の大きさが増加することはない。
【0110】
そこで、以下のような近似モデルにより簡略化して計算を行う。
【0111】
まず、i)の特徴から、ある時点の電圧降下の大きさを計算するのに際して、数千本もの変調配線を数本〜数十本の変調配線に集中化した縮退モデルによって近似的に簡略化して計算する(これについては以下の縮退モデルによる電圧降下の計算で詳細に説明する。)。
【0112】
また、ii)の特徴から、1水平走査期間のなかに複数の時刻を設け、各時刻に対し電圧降下を計算することで電圧降下の時間変化を概略的に予測することとした。
【0113】
具体的には以下で説明する縮退モデルによる電圧降下の計算を複数の時刻に対して計算することによって、電圧降下の時間変化を概略的に予測した。
【0114】
(縮退モデルによる電圧降下の計算)
図7(a)は、縮退モデルに近似するためのブロック及びノードの概念を説明するための図である。同図では図を簡略化するため、選択された走査配線と各変調配線およびその交差部に接続される表面伝導型放出素子のみを記載した。
【0115】
いま一水平走査期間の中のある時刻であって、選択された走査配線上の各ピクセルの点灯状態(すなわち変調手段の出力が“H”であるか、“L”であるか)がわかっているものとする。この点灯状態において、各変調配線から選択された走査配線へ流れ込む素子電流をIfi (i=1,2,...N;iは列番号)と定義する。
【0116】
また、同図に示すように、n本の変調配線、選択された走査配線のうちn本の変調配線と交差する部分、及び、その交点に配置されるn個の表面伝導型放出素子を1つのグループとしてブロックを定義する。本実施形態では、ブロック分けを行うことで4つのブロックに分割した。
【0117】
また、各々のブロックの境界位置においてノードという位置を設定した。ノードとは、縮退モデルにおいて走査配線上に発生する電圧降下量を離散的に計算するための水平位置(基準点)である。つまり、各ブロックはノード(基準点)によって分割された走査配線の領域に接続されるn個の表面伝導型放出素子を含むものである。
【0118】
本実施形態ではブロックの境界位置に、ノード0〜ノード4の5つのノードを設定した。
【0119】
図7(b)は縮退モデルを説明するための図である。
【0120】
縮退モデルでは同図(a)の1ブロックに含まれるn本の変調配線を1本に縮退化し、それが走査配線のブロックの中央に位置するように接続した。
【0121】
また、集中化された各々のブロックの変調配線には電流源が接続されており、各電流源から各々のブロック内の電流の総和(統計量)IF0〜IF3が流れ込むものとした。
【0122】
即ち、IFj(j=0,1,…3)は、(式1)で表される電流である。
【数1】
Figure 0003927900
【0123】
また、走査配線の両端の電位が同図(a)の例ではVsであるのに対し、同図(b)ではGND電位としているのは、次の理由による。縮退モデルでは、変調配線から選択された走査配線に流れ込む電流を電流源によりモデリングしたことにより、走査配線上の各部の電圧降下量は、その給電部を基準電位として各部の電圧(電位差)を算出することにより計算できるためである。
【0124】
また、表面伝導型放出素子を省略しているのは、選択された走査配線から見た場合に、変調配線から同等の電流が流れ込めば、表面伝導型放出素子の有無によらず、発生する電圧降下自体は変わらないためである。従って、ここでは、各ブロックの電流源から流れ込む電流値を各ブロック内の素子電流の総和の電流値IFjに設定することで表面伝導型放出素子を省略した。
【0125】
また、各ブロックの走査配線の配線抵抗は一区間の走査配線の配線抵抗rのn倍とした(ここで一区間とは、走査配線のうち、ある変調配線との交差部からその隣の変調配線との交差部までの間の部分のことを指している。また、ここでは、各区間の走査配線の配線抵抗は均一であるものとした。)。
【0126】
このような縮退モデルにおいて、走査配線上の各ノードにおいて発生する電圧降下量DV0〜DV4は以下のような積和形式の式により、簡単に計算することができる。
【数2】
Figure 0003927900
【0127】
すなわち、電圧降下量DVi(i=0,1,2,3,4)は、(式2)で表される。
【数3】
Figure 0003927900
【0128】
ただし、aijは縮退モデルにおいてj番目のブロックだけに単位電流を注入したときに、i番目のノードに発生する電圧である(以下、これをaijの定義とする。)。
【0129】
aijはキルヒホフの法則により以下のように簡単に導出できる。
【0130】
すなわち、図7(b)において、ブロックiの電流源からみた走査配線の左側の供給端子までの配線抵抗をrli(i=0,1,2,3,4),右側の供給端子までの配線抵抗をrri(i=0,1,2,3,4),ブロック0と左の供給端子との間の配線抵抗及びブロック4と右の供給端子との間の配線抵抗をいずれもrtと定義すれば、以下のようになる。
【数4】
Figure 0003927900
【0131】
さらに、a,b,c,dを次のようにおくと、
【数5】
Figure 0003927900
aijは、(式3)のように簡単に導出できる。ただし、(式3)において、A//Bは、抵抗Aと抵抗Bの並列の抵抗値を表す記号であって、A//B=A×B/(A+B)である。
【数6】
Figure 0003927900
【0132】
なお、ブロック数が4でない場合においても、aijの定義を顧みれば、キルヒホフの法則によって(式2)を簡単に算出することができる。また、本実施形態のように走査配線の両側に給電端子を備えず片側のみに備える場合においても、aijの定義に従って計算することにより簡単に算出できる。
【0133】
なお、(式3)によって定義されるパラメータaijは計算を行うたびに計算し直す必要はなく、一度計算してテーブルとして記憶しておけばよい。
【0134】
さらに、(式1)で定めた各ブロックの総和電流IF0〜IF3に対し、以下の(式4)のような近似を行った。ただし、(式4)においてCount iは選択された走査配線上のi番目のピクセルが点灯状態である場合には1をとり、消灯状態である場合には0をとる変数である。
【数7】
Figure 0003927900
【0135】
IFSは、表面伝導型放出素子1素子の両端に駆動電圧を印加したときに流れる素子電流IFに対し、0〜1の間の値をとる係数αをかけた量である。すなわち、(式5)のように定義される。
【数8】
Figure 0003927900
【0136】
(式4)は選択された走査配線に対し各ブロックの変調配線からブロック内の点灯数に比例した素子電流が流れ込むものとしている。この際、1素子の素子電流IFに係数αをかけたものを1素子の素子電流IFSとしたのは、電圧降下により走査配線の電圧が上昇することにより、素子電流の量が減少することを考慮したものである。
【0137】
なお、表面伝導型放出素子の両端に印加する駆動電圧をVDRVとするならば、駆動電圧VDRVが可変される際には、(式5)で用いる素子電流IFの値を実際の電圧VDRVの値に応じて更新し、計算を行えばよい。
【0138】
図7(c)は、ある点灯状態において、縮退モデルにより各ノードの電圧降下量DV0〜DV4を計算した結果の一例である。
【0139】
電圧降下は非常に滑らかなカーブとなるため、ノードとノードの間の電圧降下は近似的には図の点線に示したような値をとると想定される。
【0140】
このように本縮退モデルを用いれば、任意の画像データに対し所望の時点でのノードごとの電圧降下を計算することが可能である。
【0141】
以上、ある点灯状態における電圧降下量を、縮退モデルを用いて簡単に計算した。
【0142】
選択された走査配線上に発生する電圧降下は一水平走査期間内で時間的に変化するが、これについては前述したように一水平走査期間中のいくつかの時刻(基準時刻)に対して、その時の点灯状態を求め、その点灯状態に対し縮退モデルを用いて電圧降下を計算することにより予測した。なお、一水平走査期間のある時点での各ブロック内の点灯数は各ブロックの画像データを参照すれば簡単に求めることができる。
【0143】
一例として、パルス幅変調回路への入力データのビット数が8ビットであり、パルス幅変調回路は入力データの大きさに対してリニアなパルス幅を出力する場合を考える。すなわち、入力データが0のときは一水平走査期間の間“L”を出力し、入力データが255のときは一水平走査期間の間“H”を出力し、入力データが128のときは一水平走査期間のうち初めの半分の期間は“H”を、後の半分の期間は“L”を出力する。
【0144】
このような場合、パルス幅変調信号の立ち上がった時刻(開始時刻)の点灯数は、パルス幅変調回路への入力データが0よりも大きいものの数をカウントすれば簡単に検出できる。同様に一水平走査期間の中央の時刻の点灯数は、パルス幅変調回路への入力データが128よりも大きいものの数をカウントすれば簡単に検出できる。このように画像データをある閾値に対してコンパレートし、コンパレータの出力が真である数をカウントすれば、任意の時間における点灯数を簡単に計算することができる。
【0145】
ここで以降の説明を簡単化するため、タイムスロットという時間量を定義する。
【0146】
タイムスロットとは一水平走査期間のなかのパルス幅変調信号の立ち上がりからの時間を表しており、タイムスロット=0とはパルス幅変調信号の開始時刻(この場合は立ち上がり)直後の時刻を表すものと定義する。タイムスロット=64とは、パルス幅変調信号の開始時刻から、64階調分の時間が経過した時刻を表すものと定義する。同様にタイムスロット=128とは、パルス幅変調信号の開始時刻から、128階調分の時間が経過した時刻を表すものと定義する。
【0147】
なお、本実施形態では、パルスの立ち上がり時刻を基準として、そこからのパルス幅を変調する例を示したが、パルスの立ち下がり時刻を基準としてパルス幅を変調する場合でも、時間軸の進む方向とタイムスロットの進む方向が逆となるが、上記と同様にして考えることができる。
【0148】
(電圧降下量から補正データの計算)
上述したように、縮退モデルを用いて繰り返し計算を行うことで一水平走査期間中の電圧降下の時間変化を近似的かつ離散的に計算することができる。
【0149】
図8は、ある画像データに対して、電圧降下を繰り返し計算し、走査配線での電圧降下の時間変化を計算した例である。ここに示されている電圧降下及びその時間変化は、ある画像データに対する一例であって、別の画像データに対する電圧降下は、また別の変化をすることは当然である。
【0150】
同図ではタイムスロット=0,64,128,192の4つの時点に対して、各々縮退モデルを適用して計算を行うことにより、それぞれの時刻の電圧降下量を離散的に計算した。
【0151】
図8では各ノードにおける電圧降下量を点線で結んでいるが、点線は図を見やすくするために記載したものであって、本縮退モデルにより計算された電圧降下量は□,○,●,△で示した各ノードの位置において離散的に計算した。
【0152】
図9は、選択された走査配線上に図8に示した電圧降下が発生した際に、点灯状態にある表面伝導型放出素子から放出される放出電流を見積もったグラフである。
【0153】
縦軸は電圧降下がないときに放出される放出電流の大きさを100%として、各時刻、各位置での放出電流の量を百分率で表しており、横軸は水平位置を表している。
【0154】
図9に示すように、ノード2の水平位置(基準点)において、
タイムスロット=0の時の放出電流をIe0、
タイムスロット=64の時の放出電流をIe1、
タイムスロット=128の時の放出電流をIe2、
タイムスロットが192の時の放出電流をIe3
とする。
【0155】
放出電流は図8の電圧降下量と図4の“駆動電圧対放出電流”のグラフから計算した。つまり、図9のグラフは、電圧VDRVから電圧降下量を引いた電圧が印加された際の放出電流の値を単に機械的にプロットしたものである。
【0156】
したがって、同図はあくまで点灯状態にある表面伝導型放出素子から放出される電流を意味しており、消灯状態にある表面伝導型放出素子が電流を放出することはない。
【0157】
図10(a),(b),(c)は図9の放出電流の時間変化から、電圧降下量の補正データを計算する方法を説明するための図である。同図は大きさが64の画像データに対する補正データを算出した例である。
【0158】
輝度は、放出電流パルスによる放出電流を時間的に積分した放出電荷量に他ならない。したがって以降では、電圧降下による輝度の変動を考えるにあたって、放出電荷量をもとに説明を行う。
【0159】
いま、電圧降下の影響がない場合の放出電流をIE、パルス幅変調の1階調に相当する時間をΔtとするならば、画像データが64のときの、放出電流パルスによって放出されるべき放出電荷量Q0は、放出電流パルスの振幅IEにパルス幅(64×Δt)をかけて、(式6)のように表すことができる。
【数9】
Figure 0003927900
【0160】
しかし、実際には、走査配線上の電圧降下によって放出電流が低下する現象が発生する。
【0161】
電圧降下の影響を考慮した放出電流パルスによる放出電荷量は、近似的には次のように計算できる。ノード2のタイムスロット=0、64の放出電流をそれぞれIe0、Ie1とし、タイムスロット0〜64の間の放出電流はIe0とIe1の間を直線的に変化するものと近似すれば、この間の放出電荷量Q1は図10(b)の台形の面積、すなわち、(式7)のように計算できる。
【数10】
Figure 0003927900
【0162】
次に、図10(c)に示すように、電圧降下による放出電流の低下分を補正するために、パルス幅をDC1だけ伸ばしたとき、電圧降下の影響を除去できたとする。また、電圧降下の補正を行い、パルス幅を伸ばした場合には、各タイムスロットにおける放出電流量は変化すると考えられるが、ここでは簡単化のため、図10(c)のように、タイムスロット=0では、放出電流がIe0、タイムスロット=(64+DC1)における放出電流がIe1になるものとする。また、タイムスロット0とタイムスロット(64+DC1)の間の放出電流は、2点の放出電流を直線で結んだ線上の値をとるものと近似する。
【0163】
すると、補正後の放出電流パルスによる放出電荷量Q2は、(式8)のように計算できる。
【数11】
Figure 0003927900
【0164】
これが前述のQ0と等しいとすれば、次式が成り立つ。
【数12】
Figure 0003927900
【0165】
これをDC1について解けば、(式9)となる。
【数13】
Figure 0003927900
【0166】
このようにして、画像データが64の場合の補正データを算出した。
【0167】
すなわち、ノード2の位置の、大きさが64の画像データに対しては(式9)に記載のように、DC1だけ補正データCDataを加算すればよい。
【0168】
図11は計算された電圧降下量から、大きさが128の画像データに対する補正データを算出した例である。
【0169】
電圧降下の影響がない場合、画像データが128のときに放出電流パルスによって放出される放出電荷量Q3は、(式10)となる。
【数14】
Figure 0003927900
【0170】
一方、電圧降下の影響を受けた、実際の放出電流パルスによる投入電荷量は、近似的には次のように計算することができる。ノード2のタイムスロット=0,64,128の放出電流量をそれぞれIe0,Ie1,Ie2とする。また、タイムスロット0〜64の間の放出電流はIe0とIe1の間を直線的に変化し、タイムスロット64〜128の間はIe1とIe2の間を直線で結んだ線上を変化するものと近似すれば、タイムスロット0〜128の間の放出電荷量Q4は、図11(b)の2つの台形の面積の和、すなわち、(式11)のように計算できる。
【0171】
【数15】
Figure 0003927900
【0172】
一方、電圧降下の補正量を以下のように計算した。タイムスロット0〜64に相当する期間を期間1、64〜128に相当する期間を期間2と定義する。補正を施した際に、期間1の部分がDC1だけ伸びて期間1′に伸長され、期間2の部分がDC2だけ伸びて、期間2′に伸長されるものと考える。この際におのおのの期間は補正を施されることにより、放出電荷量が前述のQ0と同じになるものとする。
【0173】
また、各期間の初めと終わりの放出電流は、補正を行うことで変化することは言うまでもないが、ここでは計算を簡単化するため、変化しないものと仮定した。すなわち、期間1′の初めの放出電流はIe0,期間1′の終わりの放出電流はIe1,期間2′の初めの放出電流はIe1、期間2′の終わりの放出電流はIe2であるものとする。
【0174】
すると、DC1は(式9)と同様にして計算することができる。
【0175】
また、DC2は、同様な考え方により、(式12)のように計算することができる。
【数16】
Figure 0003927900
【0176】
結果としてノード2の位置の大きさが128の画像データに対しては、(式13)で表される補正データCDataを加算すればよい。
【数17】
Figure 0003927900
【0177】
図12は計算された電圧降下量から、大きさが192の画像データに対する補正データを算出した例である。
【0178】
画像データが192のときに期待される放出電流パルスによる放出電荷
量Q5は、次式で表される。
【数18】
Figure 0003927900
【0179】
一方、電圧降下の影響を受けた、実際の放出電流パルスによる放出電荷量は、近似的には次のように計算することができる。ノード2のタイムスロット=0の時の放出電流をIe0、タイムスロット=64のときの放出電流をIe1、タイムスロット=128の時の放出電流をIe2、タイムスロット=192の時の放出電流をIe3とし、タイムスロット0〜64の間の放出電流はIe0とIe1の間を直線的に変化し、タイムスロット64〜128の間はIe1とIe2の間を直線で結んだ線上を変化し、タイムスロット128〜192の間はIe2とIe3の間を直線で結んだ線上を変化するものと近似すれば、タイムスロット0〜192までの間の投入電荷量Q6は、図12(c)の3つの台形の面積、すなわち、(式14)として計算できる。
【数19】
Figure 0003927900
【0180】
タイムスロット0〜64に相当する期間を期間1、64〜128に相当する期間を期間2、128〜192に相当する期間を期間3と定義する。先ほどと同様に、補正を施した後には、期間1の部分がDC1だけ伸びて期間1′に伸長され、期間2の部分がDC2だけ伸びて期間2′に伸長され、期間3の部分がDC3だけ伸びて期間3′に伸張されるものと考える。この際、おのおのの期間は補正を施されることにより、放出電荷量が前述のQ0と同じになるものとする。
【0181】
また、各期間の初めと終わりの放出電流は、補正の前後で変わらないものと仮定した。すなわち、期間1′の初めの放出電流はIe0,期間1′の終わりの放出電流はIe1,期間2′の初めの放出電流はIe1、期間2′の終わりの放出電流はIe2、期間3′の初めの放出電流はIe2、期間3′の終わりの放出電流はIe3であるものとする。
【0182】
すると、DC1,DC2はそれぞれ(式9),(式12)と同様に計算することができる。
【0183】
また、DC3については、(式15)のように計算することができる。
【数20】
Figure 0003927900
【0184】
結果としてノード2の位置の大きさが192の画像データに対しては、(式16)で表される補正データCDataを加算すればよい。
【数21】
Figure 0003927900
【0185】
以上のようにしてノード2の位置に対する画像データ64,128,192の補正データCDataを算出した。
【0186】
また、パルス幅が0の時には、当然ながら放出電流に対する電圧降下の影響はないため、補正データは0とし画像データに加算する補正データCDataも0とした。
【0187】
このように0,64,128,192というように、とびとびの画像データに対して補正データを計算しているのは、計算量を減らすことを狙ったものである。すなわち任意のすべての画像データに対して同様の計算を行っては、非常に計算量が大きくなり、計算を行うためのハードウエア量が非常に大きくなってしまう。一方、あるノードの位置においては、画像データが大きいほど、補正データも大きくなる傾向がある。これにより、任意の画像データに対する補正データを算出する際には、その画像データの近傍のすでに補正データが算出されている点と点を直線近似により補間すれば、計算量を大幅に減少させることができるためである。なお、この補間については離散補正データ補間手段を説明する際に詳しく説明する。
【0188】
また、同様な考え方をすべてのノードの位置において適用すれば、すべてのノードの位置における、画像データ=0,64,128,192の補正データを算出できる。
【0189】
本実施形態ではタイムスロット0,64,128,192の4点に対して縮退モデルを適用して、各時刻の電圧降下量を計算したことにより、0,64,128,192の4つの画像データ基準値に対する補正データを求めることができた。
【0190】
しかし、好ましくは、縮退モデルにより電圧降下を計算する時間の間隔を細かく、画像データの基準値をさらに多くとることで、電圧降下の時間変化をより精密に扱うことができ、近似計算の誤差を低減することができる。
【0191】
たとえば、本実施形態ではタイムスロット0,64,128,192の4点のみにおいて計算を行ったが、タイムスロット0〜255のうち16タイムスロットおきに計算を行ったところ(すなわち画像データの基準値を画像データの大きさで16ごとに設定した)、より好ましい結果が得られた。
【0192】
なお、その際には同様な考え方に立って、(式6)〜(式16)を変形して計算を行えばよい。
【0193】
本方法により求めた、ある入力画像データに対する離散補正データの例を図13(a)に示す。同図において横軸は水平表示位置に対応しており、各ノードの位置が記載されている。また、縦軸は補正データの大きさである。
【0194】
離散補正データは図の□,○,●,△で記載したノードの位置と画像データDataの大きさ(画像データ基準値=0,64,128,192)に対して計算がされているものである。
【0195】
(離散補正データの補間方法)
離散的に算出された補正データは、各ノードの位置に対する離散的なものであって、任意の水平位置(列配線番号)における補正データを与えるものではない。またそれと同時に、各ノード位置においていくつかの予め定められた画像データの基準値の大きさをもつ画像データに対する補正データであって、実際の画像データの大きさに応じた補正データを与えるものではない。
【0196】
そこで、各列配線における入力画像データの大きさに適合した補正データを離散的に算出した補正データを補間することにより算出する。
【0197】
図13(b)はノードnとノードn+1の間に位置するxという位置における、画像データDataに相当する補正データを算出する方法を示した図である。
【0198】
なお前提として、補正データはすでにノードn及びノードn+1の位置Xn及びXn+1において離散的に計算されているものとする。また、入力画像データであるDataはすでに離散的に補正データが算出されている2つの画像データ基準値DkとDk+1の間の値をとるものとする。
【0199】
ノードnのk番目の画像データの基準値Dkに対する補正データをCData[k][n]と表記するならば、位置xにおける画像データDkに対する補正データCAは、CData[k][n]とCData[k][n+1]の値を用いて、直線近似により、(式17)のように計算できる。
【数22】
Figure 0003927900
【0200】
また位置xにおける画像データDk+1の補正データCBは(式18)のように計算できる。
【数23】
Figure 0003927900
【0201】
CAとCBの補正データを直線近似することにより、位置xにおける画像データDataに対する補正データCDは、(式19)のように計算できる。
【数24】
Figure 0003927900
【0202】
以上のように、離散補正データから実際の位置や画像データの大きさに適合した補正データを算出するためには、(式17)〜(式19)に記載した方法により簡単に計算できる。
【0203】
このようにして算出した補正データを画像データに加算して画像データを補正し、補正後の画像データに応じてパルス幅変調を行えば、電圧降下による画質の低下を低減することができ、画質を向上させることができる。
【0204】
補正のためのハードウエアについても、縮退化などの近似を導入することにより計算量を低減化することができるため、非常に小規模なハードウエアで構成することができる。
【0205】
(システム全体と各部分の機能説明)
次に、補正データ算出手段を内蔵した表示装置のハードウエアについて説明する。
【0206】
図14はその回路構成の概略を示すブロック図である。図において、1は図2の表示パネル、Dx1〜DxM及びDx1′〜DxM′は表示パネルの走査配線の電圧供給端子、Dy1〜DyNは表示パネルの変調配線の電圧供給端子、Hvはフェースプレートとリアプレートの間に加速電圧を印加するための高圧供給端子、Vaは高圧電源、2は走査回路(走査手段)、3は同期信号分離回路、4はタイミング発生回路、7は同期信号分離回路3によりYPbPr信号をRGBに変換するためのRGB変換部、17は逆γ処理部、5は画像データ1ライン分のシフトレジスタ、6は画像データ1ライン分のラッチ回路、8は表示パネルの変調配線に変調信号を出力するパルス幅変調手段(変調手段)、12は加算器(演算処理手段,加算処理手段)、14は補正データ算出手段、221は平均輝度レベル算出手段(平均輝度検出回路)、222は駆動電圧算出部である。
【0207】
また、同図においてR,G,BはRGBパラレルの入力映像データ、Ra,Ga,Baは後述する逆γ変換処理を施したRGBパラレルの映像データ、Dataはデータ配列変換部9によりパラレル/シリアル変換された画像データ、CDは補正データ算出手段14により算出された補正データ、Doutは加算器12により画像データに補正データを加算することにより、補正された画像データ(補正画像データ)である。
【0208】
(同期信号分離回路、タイミング発生回路)
本実施形態の表示装置は、NTSC,PAL,SECAM,HDTVなどのテレビジョン信号、および、コンピュータの出力であるVGAなどの入力映像信号をともに表示することができる。
【0209】
図14では図を簡単化するため、HDTV方式を例に挙げて記載している。
【0210】
HDTV方式の映像信号は、まず同期信号分離回路3により同期信号Vsync,Hsyncを分離され、タイミング発生回路4に供給される。同期分離された映像信号は、RGB変換部7に供給される。RGB変換部7の内部には、YPbPrからRGBへの変換回路の他に、ローパスフィルタやA/D変換器などが設けられている。RGB変換部7は、YPbPrをローパスフィルタを通してからA/D変換器にてディジタルRGB信号へと変換し、逆γ処理部17へと供給する。
【0211】
(タイミング発生回路)
図14のタイミング発生回路4は、PLL回路を内蔵しており、様々な映像ソースの同期信号に同期したタイミング信号を発生し、各部の動作タイミング信号を発生する回路である。
【0212】
タイミング発生回路4が発生するタイミング信号としては、シフトレジスタ5の動作タイミングを制御するTsft、シフトレジスタ5からラッチ回路6へデータをラッチするための制御信号DataLoad、変調手段8のパルス幅変調開始信号Pwmstart,パルス幅変調のためのクロックPwmclk、走査回路2の動作を制御するTscanなどがある。
【0213】
(走査回路)
図14の走査回路2及び2′は、表示パネル1を一水平走査期間に1行ずつ順次走査するために、接続端子Dx1〜DxMに対して選択電位Vsまたは非選択電位Vnsを出力する回路である。
【0214】
走査回路2及び2′は図15に示すように、後述する駆動電圧算出部から供給される選択電位指示値SVsに基づいて選択電位Vsを設定する可変電源を備えている。本実施形態では選択電位Vsを変更することにより、表示パネル1に配置された冷陰極素子の駆動電圧を変更することができる。
【0215】
走査回路2及び2′はタイミング発生回路4からのタイミング信号Tscanに同期して、一水平期間ごとに、選択している走査配線を順次切り替え、走査を行う回路である。
【0216】
なお、Tscanは垂直同期信号及び水平同期信号などから作られるタイミング信号群である。
【0217】
走査回路2及び2′は、図15に示すようにそれぞれM個のスイッチとシフトレジスタなどから構成される。これらのスイッチはトランジスタやFETにより構成するのが好ましい。
【0218】
なお、走査配線での電圧降下を低減するためには、図14に示すように、表示パネル1の走査配線の両端に走査回路を接続し、両端からドライブすることが有効である。しかし、本実施形態の方法は、走査回路が走査配線の両端に接続されていない場合にも適用可能である。その場合には、前述した(式3)のパラメータを変更すればよい。
【0219】
図15では、選択電位Vsと非選択電位Vnsを与えるパネル駆動用電源が走査回路内に配されているが、このようなパネル駆動用電源は走査回路とは別の独立した電源回路として構成することも好ましい。
【0220】
(逆γ処理部)
CRTは入力に対しほぼ2.2乗の発光特性(以降逆γ特性とよぶ)を備えている。入力映像信号はCRTのこのような特性が考慮されており、CRTに表示した際にリニアな発光特性となるように一般に0.45乗のγ特性にしたがって変換されている。
【0221】
一方、本実施形態の表示装置の表示パネル1は駆動電圧の印加時間により変調を施す場合、印加時間の長さに対しほぼリニアな発光特性を有している。したがって、入力映像信号を逆γ特性にもとづいて変換(以降逆γ変換とよぶ)するとよい。
【0222】
図16に逆γ処理部17の詳細を示す。この逆γ処理部17は、入力映像信号を逆γ変換するためのブロックである。
【0223】
本実施形態の逆γ処理部17は、逆γ変換処理をメモリによって実現する。映像信号R,G,Bのビット数を8ビットとし、逆γ処理部17の出力である映像信号Ra,Ga,Baのビット数を同じく8ビットとして、アドレス8ビット,データ8ビットのメモリを各色ごと用いることにより逆γ処理部17を構成した。
【0224】
(データ配列変換部)
図14のデータ配列変換部9はRGBパラレルな映像信号であるRa,Ga,Baを表示パネル1の画素配列に合わせてパラレル/シリアル変換する回路である。データ配列変換部9の構成は図17に示したようにRGB各色ごとのFIFO(First In First Out)メモリ2021R,2021G,2021Bとセレクタ2022から構成される。
【0225】
同図では図示していないが、FIFOメモリは水平画素数ワードのメモリを奇数ライン用と偶数ライン用の2本備えている。奇数行目の映像データが入力された際には、奇数ライン用のFIFOにデータが書き込まれる一方、偶数ライン用のFIFOメモリから一つ前の水平走査期間に蓄積された画像データが読み出される。偶数行目の映像データが入力された際には偶数ライン用のFIFOにデータが書き込まれる一方、奇数ライン用FIFOメモリから一つ前の水平期間に蓄積された画像データが読み出される。
【0226】
FIFOメモリから読み出されたデータは、セレクタ2022により表示パネル1の画素配列にしたがって、パラレル/シリアル変換され、RGBのシリアル画像データSDataとして出力される。詳細については記載しないが、データ配列変換部9はタイミング発生回路4からのタイミング制御信号に基づいて動作する。
【0227】
(加算器)
図14の加算器12は補正データ算出手段14からの補正データCDと画像データDataを加算する手段である。加算を行うことにより画像データDataは補正が施され、画像データDoutとしてシフトレジスタ5へ転送される。
【0228】
なお、画像データDataと補正データCDを加算する際に、加算器12でオーバーフローが起きる可能性がある。これに対し、本実施形態ではオーバーフローを起こさないための構成として、画像データDataと補正データCDを加算した際の最大値に応じて、加算器12のビット幅と、その後の変調手段8のビット幅を決定した。
【0229】
より具体的には、本実施形態の表示装置の場合、画像データがすべて255の画面の際に補正データが最大120になったため、加算器12の出力の最大値は255+120=375となる。そこで、加算器12の出力ビット数を9ビット、変調手段のビット数も9ビットとして各部のビット数を決定した。
【0230】
また、オーバーフローがおきないようにするための別の構成としては、加算される補正データの最大値をあらかじめ見積もり、その最大値が加算されたときにオーバーフローがおきないように、画像データの取りえる値の範囲を予め小さくしておいてもよい。
【0231】
画像データの取りえる大きさを小さくするためには、たとえば、入力画像データをA/D変換する際に制限してもよいし、乗算器を設けて、入力された画像データに0以上1未満のゲインを乗算し、その大きさを制限してもよい。
【0232】
(遅延回路)
データ配列変換部9により並び替えが行われた画像データSDataは補正データ算出手段14と図14の遅延回路(遅延手段)19に入力される。補正データ算出手段14の補正データ補間部はタイミング制御回路からの水平位置情報xと画像データSDataの値を参照して、それらにあった補正データCDを算出する。
【0233】
遅延回路19は、補正データ算出にかかる時間を吸収するために設けられており、加算器12で画像データに補正データが加算される際に、画像データにそれに対応した補正データが正しく加算されるよう遅延を行う手段である。遅延回路19はフリップフロップを用いることにより構成できる。
【0234】
(シフトレジスタ、ラッチ回路)
加算器12の出力である画像データDoutは、シフトレジスタ5により、シリアルなデータフォーマットから、各変調配線毎のパラレルな画像データID1〜IDNへとシリアル/パラレル変換されラッチ回路6へ出力される。ラッチ回路6では1水平期間が開始される直前にタイミング信号Dataloadにより、シフトレジスタ5からのデータをラッチする。ラッチ回路6の出力は、パラレルな画像データD1〜DNとして変調手段8へと供給される。
【0235】
なお本実施形態では画像データID1〜IDN、D1〜DNはそれぞれ8ビットの画像データとした。これらの動作タイミングはタイミング発生回路4からのタイミング制御信号TSFT及びDataloadに基づいて決定される。
【0236】
(変調手段の詳細)
ラッチ回路6の出力であるパラレル画像データD1〜DNは変調手段8へと供給される。
【0237】
変調手段8は、図18(a)に示したように、PWMカウンタと、各変調配線ごとにコンパレータとスイッチ(同図ではFET)を備えたパルス幅変調回路(PWM回路)である。
【0238】
画像データD1〜DNと変調手段8の出力パルス幅の関係は、図18(b)のようなリニアな関係にある。
【0239】
同図18(c)に変調手段8の出力波形の例を3つ示す。同図18(c)において、上側の波形は変調手段8への入力データが0の時の波形、中央の波形は変調手段8への入力データが256の時の波形、下側の波形は変調手段8への入力データが511の時の波形である。
【0240】
なお本実施形態では変調手段8への入力データD1〜DNのビット数は前述のように、オーバーフローしないことを考慮して、9ビットとした(なお、前述の説明では、変調手段8の入力データが511のときは、一水平走査期間に相当するパルス幅の変調信号が出力されると記載した箇所があるが、詳細には図18(c)のように非常に短い時間ではあるがパルスの立ち上がる前と、立ち下がった後に駆動しない期間を設けタイミング的な余裕を持たせている。)。
【0241】
図19は、本実施形態の変調手段8の動作を示すタイミングチャートである。同図において、Hsyncは水平同期信号、Dataloadはラッチ回路6へのロード信号、D1〜DNは変調手段8の列1〜Nへの入力信号、PwmstartはPWMカウンタの同期クリア信号、PwmclkはPWMカウンタのクロックである。また、XD1〜XDNは変調手段8の第1〜第N列の出力を表している。
【0242】
同図にあるように1水平走査期間が始まると、ラッチ回路6は画像データをラッチするとともに変調手段8へデータを転送する。
【0243】
PWMカウンタは、Pwmstart、Pwmclkに基づいてカウントを開始し、カウント値が511になるとカウンタをストップしカウント値511を保持する。
【0244】
各列毎に設けられているコンパレータは、PWMカウンタのカウント値と各列の画像データを比較し、PWMカウンタの値が画像データ以上のときHighを出力し、それ以外の期間はLowを出力する。
【0245】
コンパレータの出力は、各列のスイッチのゲートに接続されており、コンパレータの出力がLowの期間は図18(a)の上側(VPwm側)のスイッチがON、下側(GND側)のスイッチがOFFとなり、変調配線を電圧VPwmに接続する。逆にコンパレータの出力がHighの期間は、図18(a)の上側のスイッチがOFFし、下側のスイッチがONするとともに、変調配線の電圧をGND電位に接続する。
【0246】
各部が以上のように動作することで、変調手段8が出力するパルス幅変調信号は、図19のD1、D2、…DNに示したような、パルスの立ち上がりが同期した波形となる。
【0247】
(平均輝度レベル検出手段)
輝度情報を検出するための平均輝度レベル検出手段221は、逆γ変換後の画像データRa,Ga,Baを参照してフレームごとの平均輝度を検出するための手段である。同手段はRa,Ga,Baの画像データをフレームごとに加算してフレーム単位の画像データの総和を算出するとともに、フレーム単位の画像データの総和を画面の画素数で除算して平均輝度レベルを検出する。
【0248】
本発明に用いられる輝度情報の検出は、この方法に限定されるものではなく、平均輝度レベルに対応する値を検出できるものであれば前述したような他の手段を用いてもよい。
【0249】
平均輝度レベルに対応する値は、画面の画素数ではなく適当な固定値で画像データの総和を除算することにより算出してもよい。この場合、固定値として2のべき乗の値を用いれば、ビットシフト演算で除算を行うことができ、ハードウエアを簡略化できる。
【0250】
なお、平均輝度レベルは一般的に言われているAPL(Average Picture Level)と同じ意味である。
【0251】
(駆動電圧算出部)
駆動電圧算出部222は、平均輝度レベル検出手段221において算出された平均輝度に基づいて、駆動電圧指示値を算出する駆動電圧算出手段である。算出された駆動電圧指示値SVDRVは、図14に示したように、後述する補正データ算出手段14へと供給される一方、駆動電圧から変調電位の分を減算した、選択電位指示値SVsとして、走査回路2,2′へと供給される。
【0252】
本実施形態では、平均輝度から駆動電圧VDRVのための指示値SVDRVを算出するのにあたって、テーブルROMを用いた(図20(a))。すなわちテーブルROMの入力(アドレス端子)として平均輝度を入力すると、ROMの出力(データ端子)から、設定すべき駆動電圧の指示値SVDRVが出力されるように構成した。
【0253】
なお、本実施形態においてテーブルROMに記憶させた内容を図20(b)に示す。同図では、横軸を平均輝度としているが、図をわかりやすくするため1フレームの入力映像信号が全白画面のときの平均輝度を1として規格化している。また同図の縦軸は駆動電圧指示値SVDRVではなく実際の駆動電圧VDRVである。また、VSELは本実施形態の表面伝導型放出素子の定格駆動電圧である。
【0254】
つまり、暗い画像、すなわち平均輝度レベルが低い画像の場合には、駆動電圧VDRVが高く、高い画像の場合には駆動電圧VDRVが低くなるように制御する。
【0255】
(補正データ算出手段)
補正データ算出手段14は前述した補正データ算出方法により、表示パネル1の駆動電圧に対応した、電圧降下の補正データを算出する回路である。補正データ算出手段14は図21に示すように離散補正データ算出部と補正データ補間部の2つのブロックから構成される。
【0256】
離散補正データ算出部では駆動電圧算出部222が出力する駆動電圧指示値SVDRVを参照するとともに、入力された映像信号からそれに応じた電圧降下量を算出し、電圧降下量から補正データを離散的に計算する。
【0257】
同手段は計算量やハードウエア量を減少させるために、前述の縮退モデルの概念を導入して、補正データを離散的に算出する。この際、駆動電圧VDRVに対応した値である駆動電圧指示値SVDRVに応じて、計算に用いる素子電流量を更新して電圧降下量を算出する。
【0258】
離散的に算出された補正データは補正データ補間部(補正データ補間手段)により補間され、画像データの大きさやその水平表示位置xに適合した補正データCDが算出される。
【0259】
(離散補正データ算出部)
図22は離散的に補正データを算出するための離散補正データ算出部を示している。
【0260】
離散補正データ算出部は、以下に述べるように、画像データをブロックわけし、ブロックごとの統計量(点灯数)を算出するとともに、統計量から各ノードの位置における、電圧降下量の時間変化を計算する電圧降下量算出部としての機能、各時間ごとの電圧降下量を発光輝度量に変換する機能、発光輝度量を時間方向に積分して、発光輝度総量を算出する機能、および、それらから離散的な基準点における、画像データの基準値に対する補正データを算出する機能を実現する手段である。
【0261】
図22において100a〜100dは点灯数カウント手段、101a〜101dは各ブロックごとの各時刻における点灯数を格納するレジスタ群、102はCPU、103は(式2)及び(式3)で記載したパラメータaijを記憶するためのテーブルメモリ(電圧降下量記憶手段)、113は駆動電圧算出部から供給された駆動電圧指示値SVDRVを格納するためのレジスタ、112は駆動電圧指示値SVDRVから電圧降下量を算出するための素子電流量を算出するためのテーブルメモリ、104は計算結果を一時記憶するためのテンポラリレジスタ、105はCPUのプログラムが格納されているプログラムメモリ、111は電圧降下量を放出電流量に変換する変換データが記載されたテーブルメモリ、106は前述した離散補正データの計算結果を格納するためのレジスタ群である。
【0262】
点灯数カウント手段100a〜100dは、同図22(b)に記載したようなコンパレータと加算器などから構成されている。映像信号Ra,Ga,Baはそれぞれコンパレータ107a〜107cに入力され、逐次Cvalの値と比較される。なお、Cvalは前述してきた画像データに対して設定した、基準値に相当する。
【0263】
コンパレータ107a〜107cはCvalと画像データの比較を行い画像データの方が大きければHighを出力し小さければLowを出力する。
【0264】
コンパレータ107a〜107cの出力は加算器108及び109により互いに足し算され、さらに加算器110によりブロックごとに加算をおこない、ブロックごとの加算結果を各々のブロックごとの点灯数としてレジスタ群101a〜101dへと格納する。
【0265】
点灯数カウント手段100a〜100dにはコンパレータ107a〜107cの比較値Cvalとしてそれぞれ0,64,128,192が入力されている。つまり、点灯数カウント手段100aは、画像データのうち0より大きい画像データの個数をカウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101aに格納する。点灯数カウント手段100bは、画像データのうち64より大きい画像データの個数をカウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101bに格納する。点灯数カウント手段100cは、画像データのうち128より大きい画像データの個数をカウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101cに格納する。点灯数カウント手段100dは、画像データのうち192より大きい画像データの個数をカウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101d格納する。
【0266】
ブロックごと、時間ごとの点灯数カウントされると、CPUはテーブルメモリ103に格納されたパラメータテーブルaijを随時読み出して、(式2)〜(式5)に従い、電圧降下量を計算し、計算結果をテンポラリレジスタ104に格納する。
【0267】
この際にCPU102はまずレジスタ113の内容を参照して駆動電圧算出部222が指示した駆動電圧指示値SVDRVの値を格納する。
【0268】
さらに、駆動電圧指示値SVDRVから、電圧降下に用いる素子電流量を求めるため、テーブルメモリ3(112)の内容を参照する。テーブルメモリ3には駆動電圧対素子電流IFの関係が記憶されており、テーブルメモリ3に駆動電圧指示値SVDRVを入力すると、それに対応する素子電流量IFが出力される。このようにして求められた素子電流量IFを(式5)に代入して、電圧降下量の計算が行われる。
【0269】
本実施形態ではCPU102に(式2)の計算を円滑におこなうための積和演算機能を設けた。
【0270】
(式2)に挙げた演算を実現する手段としては、CPU102で積和演算を行わないでもよく、例えば、その計算結果をメモリに入れておいてもよい。すなわち、各ブロックの点灯数を入力とし、考えられるすべての入力パターンに対し、各ノード位置の電圧降下量をメモリに記憶させておいても構わない。
【0271】
電圧降下量の計算が完了するとともに、CPU102はテンポラリレジスタ104から、各時間、各ブロックごとの電圧降下量をよみだし、テーブルメモリ2(111)を参照して、電圧降下量を放出電流量に変換し、(式6)〜(式16)に従って、離散補正データを算出する。計算した離散補正データは、レジスタ群106に格納する。
【0272】
(補正データ補間部)
補正データ補間部は画像データの表示される位置(水平位置)及び、画像データの大きさに適合した補正データを算出するための手段である。同手段は離散的に算出された補正データを補間することにより、画像データの表示位置(水平位置)及び、画像データの大きさに応じた補正データを算出する。
【0273】
図23は補正データ補間部を説明するための図である。図23おいて123は画像データの表示位置(水平位置)xから、補間に用いる離散補正データのノード番号n及びn+1を決定するためのデコーダaであり、124は画像データの大きさから、(式17)〜(式19)のkおよびk+1を決定するためのデコーダbである。また、セレクタ125〜128は離散補正データを選択して、直線近似手段に供給するためのセレクタである。また、120〜122はそれぞれ(式17)〜(式19)の直線近似を行うための直線近似手段である。
【0274】
図24に直線近似手段120の構成例を示す。一般に直線近似手段は(式17)〜(式19)の演算子にあらわされるように、減算器、積算器、加算器、割り算器などによって構成可能である。
【0275】
しかし、望ましくは離散補正データを算出するノードのノード間の変調配線本数や、離散補正データを算出する画像データ基準値の間隔(すなわち電圧降下を算出する時間間隔)が2のべき乗になるように構成するとハードウエアを非常に簡単に構成できるというメリットがある。それらを2のべき乗に設定すれば、図24に示した割り算器において、Xn+1−Xnは2のべき乗の値となるので、割り算をビットシフトで実現することができる。
【0276】
Xn+1−Xnの値がいつも一定の値であって、2のべき乗で表される値であるならば、加算器の加算結果をべき乗の乗数分だけシフトして出力すればよく、あえて割り算器を作製する必要がない。
【0277】
またこれ以外の箇所でも離散補正データを算出するノードの間隔や、画像データの間隔を2のべき乗とすることにより、たとえばデコーダ123〜124を簡単に作製することが可能となるとともに、図24の減算器で行っている演算を簡単なビット演算に置き換えることができるなど、非常にメリットが多い。
【0278】
(各部の動作タイミング)
図25に各部の動作タイミングのタイミングチャートを示す。なお、同図においてHsyncは水平同期信号、DotCLKはタイミング発生回路4の中のPLL回路により水平同期信号Hsyncから作成したクロック、R,G,Bは入力切り替え回路からのディジタル画像データ、Dataはデータ配列変換後の画像データ、Doutは電圧降下補正を施された画像データ、TSFTはシフトレジスタ5へ画像データDoutを転送するためのシフトクロック、Dataloadはラッチ回路6へデータをラッチするためのロードパルス、Pwmstartは前述のパルス幅変調の開始信号、変調信号XD1は変調配線1へ供給されるパルス幅変調信号の一例である。
【0279】
1水平期間の開始とともに、入力切り替え回路からディジタル画像データRGBが転送される。同図では水平走査期間Iにおいて、入力される画像データをR_I、G_I、B_Iで表す。それらは、データ配列変換部9に1水平期間のあいだ蓄えられ、水平走査期間I+1において、表示パネルの画素配置に合わせてディジタル画像データData_Iとして出力される。
【0280】
R_I,G_I,B_Iは、水平走査期間Iにおいて補正データ算出手段14に入力される。同手段では、前述した点灯数をカウントし、カウントの終了とともに、電圧降下量が算出される。電圧降下量が算出されるのにつづいて、離散補正データが算出され、算出結果がレジスタに格納される。
【0281】
走査期間I+1に移り、データ配列変換部9から、1水平走査期間前の画像データData_Iが出力されるのに同期して、補正データ補間部では離散補正データが補間され、補正データが算出される。補間された補正データは、階調数変換部(不図示)で直ちに階調数変換を施され、加算器12に供給される。
【0282】
加算器12では、画像データDataと補正データCDを順次加算し、補正された補正画像データDoutをシフトレジスタ5へ転送する。シフトレジスタ5はTsftにしたがって、一水平期間分の補正画像データDoutを記憶するとともにシリアル/パラレル変換を行ってパラレルな画像データID1〜IDNをラッチ回路6に出力する。ラッチ回路6はDataloadの立ち上がりにしたがってシフトレジスタ5からのパラレル画像データID1〜IDNをラッチし、ラッチされた画像データD1〜DNをパルス幅変調手段8へと転送する。
【0283】
変調手段8は、ラッチされた画像データに応じたパルス幅のパルス幅変調信号を出力する。本実施形態の表示装置では、結果として、変調手段8が出力するパルス幅は、入力された画像データに対し、2水平走査期間分おくれて表示される。
【0284】
このような表示装置により画像の表示を行ったところ、駆動電圧が低くなるような変更を行った場合に、補正データCDが小さくなるように、或いは、逆に、駆動電圧が高くなるような変更を行った場合に、補正データCDが大きくなるように、加算による電圧降下補正処理を行ったので、走査配線における電圧降下量を補正することができ、それに起因する表示画像の劣化を改善することができ、非常に良好な画像を表示することができた。
【0285】
また、消費電力を低減するために駆動電圧を制御した場合にも、駆動電圧の変化に対応して、電圧降下補正回路が適正に補正が行うことができ、非常に好ましかった。
【0286】
なお、上述した実施形態では、消費電力を低減するために駆動電圧の変化に対応した電圧降下補正回路について説明したが、別の目的で駆動電圧を変更する場合においても、当然ながら良好に電圧降下補正ができる。
【0287】
別の応用例として、表示装置に、ピーク輝度を相対的に上げてダイナミックに表示するモード(ダイナミックモード)や、消費電力を重視してピーク輝度を相対的に下げて表示するモード(消費電力重視モード)などを予め用意し、ユーザーの趣向によって選択可能にしておくことがある。このような複数の表示モードを設けた場合にも、ユーザーの設定に応じてモードを選択するとともに駆動電圧を制御することで、表示画像の調整が容易に行える一方で、調整された駆動電圧に対応して電圧降下補正量を調整し良好な補正が行える。
【0288】
また別の応用例として、表示装置をテレビジョンとして使用するだけでなく、コンピュータのモニタとして使用する場合は、ユーザーがモニタを直視して使用するために、テレビジョンとして使用する時よりも輝度を抑えて使用することが好ましい。このような入力映像信号ソースがコンピュータである場合に対しても、駆動電圧を調整することにより輝度を抑えて表示する一方で、調整された駆動電圧に対応して良好な電圧降下補正を行える。
【0289】
なお、現在表示している映像がコンピュータの映像であるかテレビジョンの映像であるかの識別は、テレビジョン用の映像供給端子とコンピュータ用の映像供給端子のうちどちらから映像が供給されているかを検出すればよい。また、映像供給端子を設定可能とするリモコンなどのユーザーインターフェイス手段の入力設定や、自動検出手段による検出結果や、光センサなどの外部環境検出手段の検出結果などに基づいて、識別してもよい。
【0290】
また本実施形態では、駆動電圧を調整する際の実際の制御対象として走査回路の選択電位を変更したが、前述したとおり、これに限定されるものではない。
【0291】
上述した実施形態では、入力画像データに対し、離散的な画像データの基準値を設定するとともに、走査配線上に基準点を設定し、その基準点における、画像データ基準値の大きさの画像データに対する補正データを離散的に算出した。さらに離散的に算出された補正データを補間することにより、入力された画像データの水平表示位置と、その大きさに応じた補正データを算出し、画像データと加算することにより、補正を実現していた。
【0292】
一方、上述の構成とは別に下記の構成によっても同様な補正が行える。離散的な水平位置と、画像データ基準値に対する、画像データの補正結果、すなわち前記離散補正データと画像データ基準値の和を算出し、さらに離散的に算出された補正結果を補間し、入力された画像データの水平表示位置とその大きさに応じた補正結果とを算出し、その補正結果に応じて変調を行ってもよい。この構成では、離散的に補正結果を算出する際に、画像データと補正データの加算を行っているため、補間後に画像データと補正データの加算を行う必要はない。
【0293】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、電圧降下による表示画像の劣化を改善することができた。
【0294】
また、いくつかの近似を導入したことにより、電圧降下を補正するための、画像データの補正量を簡単に計算することができ、非常に簡単なハードウエアでそれを実現することができた。
【0295】
そして、たとえば消費電力を低減するために駆動電圧を調整した場合などにも、調整された駆動電圧の変化に対応して、電圧降下補正を適正に行うことができた。
【0296】
また、上記第1の実施形態では、駆動電圧指示値を変更するパラメータ変更を行ったが、出力画像データDoutに乗算する係数を変化させて、1フレームの画像データの平均輝度レベルを変更することも可能である。このような形態については後述する。
【0297】
(第2の実施形態)
以下に述べる本発明の第2の実施形態による表示装置は、電圧降下の影響による放出電荷量の変動を補正する放出電荷量補正手段を備え、放出電荷量補正手段は、入力画像データを放出すべき放出電荷量に対応するように補正した補正画像データを算出し、変調手段が、算出された補正画像データに応じた列配線に印加するパルス波形を出力する画像表示装置において、輝度要求値である入力画像データの積算値に基づき画像表示装置の発光輝度に対応する平均電流値を算出する電流値算出手段を備えたことを特徴とする。
【0298】
或いは、また、電圧降下の影響を補正した画像データである補正画像データを算出する補正画像データ算出手段と、列配線に接続され、補正画像データを入力として列配線に変調信号を出力する変調手段と、入力画像データの積算値に基づき画像表示装置の発光輝度に対応する平均電流値を算出する電流値算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0299】
電流値算出手段は、入力画像データを積算する積算手段を有し、積算手段の出力を画像表示装置の発光輝度に対応する平均電流値とすることが好適である。
【0300】
更には、補正画像データの振幅が変調回路の入力範囲に対応するように補正画像データの振幅を調整するための係数を乗算する振幅調整手段を備えていることが好ましい。
【0301】
電流値算出手段は、入力画像データを積算する積算手段を有し、積算手段の出力と前記係数を乗算した結果を画像表示装置の発光輝度に対応する平均電流値とすることが好適である。
【0302】
電流値算出手段によって算出された平均電流値と、所定の基準電流値とを比較し、基準電流値よりも平均電流値が大きい場合に、画像表示装置の発光輝度に係る電力を制限する電力制限手段を備えることが好適である。
【0303】
電力制限手段は、基準電流値と平均電流値から電力制限を行うための係数を算出し、補正画像データの振幅を調整するために電力制限を行うための係数を乗算する機能を有することが好適である。
【0304】
オーバーフロー処理を行わない場合、電力制限手段は、入力画像データの積算値をAPL、基準電流値をIamax、平均電流値をIa、電力制限を行うための係数をG′としたときに、
Ia=APL
であり、
Ia<Iamaxのとき
G′=1
Ia≧Iamaxのとき
G′=Iamax/APL
と求めた係数G′を、補正画像データに乗算する機能を有することが好適である。
【0305】
電力制限手段は、係数G′を補正画像データに乗算し、振幅調整された補正画像データを算出することが好適である。
【0306】
電力制限手段は、係数G′を補正を施す前の画像データに乗算することが好適である。
【0307】
電力制限手段は、入力画像データの積算値をAPL、基準電流値をIamax、平均電流値をIa、補正画像データの振幅が変調手段の入力範囲に対応するように補正画像データの振幅を調整するための係数をG、係数Gを電力制限を行うために変更した係数をG″としたときに、
Ia=APL×G
であり、
Ia<Iamaxのとき
G″=G
Ia≧Iamaxのとき
G″=Iamax/APL
と求めた係数G″を、補正画像データの振幅を調整するための新たな係数とし、
振幅調整手段は、係数G″を乗算することによって補正画像データの振幅を調整する機能を有することが好適である。
【0308】
振幅調整手段は、前記係数G″を補正画像データに乗算し、振幅調整された補正画像データを算出することが好適である。
【0309】
前記振幅調整手段は、係数G″を補正を施す前の画像データに乗算することが好適である。
【0310】
積算手段は、フレーム単位で入力画像データの積算量を算出することが好適である。
【0311】
基準電流値は、画像表示装置の消費電力に対応して予め決定されている値であることが好適である。
【0312】
基準電流値は、ユーザーインターフェイス手段および外部環境検出手段のうち少なくともひとつの手段により変更可能であることが好適である。
【0313】
補正画像データ算出手段は、電圧降下の影響を考慮して、補正画像データ算出手段に入力される画像データの大きさを伸張することにより、補正画像データを得ることが好適である。
【0314】
振幅調整手段は、フレームごとに補正画像データ算出手段の出力の最大値を検出し、その最大値が変調回路の入力範囲の上限に収まるように、補正画像データの振幅を調整するための係数を適応的に算出することが好適である。
【0315】
振幅調整手段は、現在のフレームよりも前の複数のフレームに係る補正画像データ算出手段の出力を参照して、それらの値が変調手段の入力範囲に対応するように、補正画像データの振幅を調整するための係数を適応的に算出することが好適である。
【0316】
補正画像データの振幅を調整するための係数は、常に一定の値を持つ、予め決定された係数であることが好適である。
【0317】
補正画像データの振幅を調整するための係数は、入力画像データの最大時に補正画像データ算出手段の出力が変調手段の入力範囲をオーバーフローしないように決定された係数であることが好適である。
【0318】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、入力画像データに補正を施した補正画像データを算出する手段と、を備えることが好適である。
【0319】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を離散的に予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、入力画像データに補正を施した補正画像データを算出する手段と、を備えることが好適である。
【0320】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を離散的に予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、電圧降下量を算出した空間位置における、電圧降下量を算出した時間に対応した画像データに対する補正画像データを離散的に算出する離散補正画像データ算出手段と、離散補正画像データ算出手段の出力を補間し、入力画像データの大きさと水平表示位置に対応した補正画像データを算出する補正画像データ補間手段と、を備えることが好適である。
【0321】
補正画像データ算出手段が算出する補正画像データは、補正画像データの放出電荷量が、行配線上に発生するべき電圧降下量が無い時の入力画像データの放出電荷量になるように調整されていることが好適である。
【0322】
以下に述べる実施の形態においては、電圧降下の影響を補正した画像データである、補正画像データを算出する補正画像データ算出手段と、補正画像データ算出手段により算出された補正画像データの振幅が変調手段の入力範囲に対応するように補正画像データの振幅を調整する機能を有する振幅調整手段と、を備え、変調手段は、振幅調整手段により振幅調整された補正画像データを入力として、列配線に変調信号を出力する表示装置であって、0でない、均一な画像データを入力した場合に、走査手段の出力端子に近い変調手段の出力するパルスのパルス幅が、同走査手段の出力端子から遠い変調手段の出力するパルスのパルス幅よりも、短くなる画像表示装置において、入力画像データの積算値に基づき表示装置の発光輝度に対応する平均電流値を算出する電力値算出手段を備えたことを特徴とする。
【0323】
(全体概要)
本実施形態の電圧降下補正回路は、入力画像データに応じて電圧降下のために生じる表示画像の劣化を予測計算し、それを補正する補正データを求め、入力された画像データに補正を施すものである。
【0324】
(システム全体と各部分の機能説明)
次に、補正データ算出手段を内蔵した画像表示装置のハードウエアについて説明する。
【0325】
図26はその回路構成の概略を示すブロック図である。図14に示した構成で用いられた機能ブロックと同じ部分に関しては、同じ符号を付与して、その説明をここでは省略する。23はテレビジョンの映像信号とコンピュータの映像信号を切り替えるためのセレクタ、20は最大値検出回路(最大値検出手段)、21はゲイン算出手段である。
【0326】
(同期信号分離回路、セレクタ)
HDTV方式の映像信号は、まず同期信号分離回路3により同期信号Vsync,Hsyncを分離され、タイミング発生回路4に供給される。同期分離された映像信号は、RGB変換部7に供給される。RGB変換部7の内部には、YPbPrからRGBへの変換回路の他に、不図示のローパスフィルタやA/D変換器などが設けられている。RGB変換部7は、YPbPrをディジタルRGB信号へと変換し、セレクタ23へと供給する。
【0327】
VGAなどのコンピュータの出力する映像信号は、不図示のA/D変換器によりA/D変換され、セレクタ23へと供給される。
【0328】
セレクタ23はユーザーが表示したい映像信号がいずれであるかに基づいて、テレビジョン信号と、コンピュータ信号を適宜切り替えて出力する。
【0329】
(走査回路)
図27に示すように、走査回路2及び2′は、表示パネルを一水平走査期間に1行ずつ順次走査するために、接続端子Dx1〜DxMに対して選択電位Vsまたは非選択電位Vnsを出力する回路である。図15に示した走査回路2及び2′と異なる点は、電源Vsが固定電源であり、選択電位Vs自体は予め設定された固定値となっている点である。
【0330】
(加算器)
加算器12の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。画像データDataは補正が施され、補正画像データDoutとして最大値検出回路20及び乗算器22へ転送される。
【0331】
なお、加算器12の出力である補正画像データDoutのビット数は画像データDataに補正データCDを加算した際にオーバーフローが起きないように決定することが好ましい。
【0332】
(オーバーフロー処理)
算出した補正データを画像データに加算した補正画像データによって補正を実現することについてはすでに述べたとおりである。
【0333】
いま、変調手段8のビット数が8ビットであって、加算器12の出力である補正画像データDoutのビット数が10ビットであるものとする。すると、補正画像データを変調手段8の入力にそのまま接続してしまうと、オーバーフローがおきることになる。そこで変調手段8に入力される前に、補正画像データの振幅を調整する必要がある。
【0334】
オーバーフローを防止する方法として、入力画像データが最大である全白パターン(画像データのビット数を8ビットとすると、(R,G,B)=(FFh,FFh,FFh))を入力した際の、補正画像データの最大値を予め見積もり、それが変調手段8の入力範囲に収まるようなゲインを補正画像データに乗算する方法がある。以下、本方法を固定ゲイン法と呼ぶ。
【0335】
固定ゲイン法では、オーバーフローは発生しないが、平均輝度が低い画像については、より大きなゲインで表示ができるのにもかかわらず、小さなゲインが乗算されてしまうため、表示画像の輝度が暗くなることがある。
【0336】
これに対し、フレームごとの補正画像データの最大値を検出し、この最大値が変調手段8の入力範囲におさまるようなゲインを算出し、ゲインと補正画像データを乗算してオーバーフローを防止してもよい。以下、本方法を適応型ゲイン法とよぶ。
【0337】
適応型ゲイン法では、補正画像データDoutのフレームごとの最大値MAXを検出するための最大値検出回路20と、最大値から補正画像データに乗算するためのゲインG1を算出するためのゲイン算出手段21、及び補正画像データDoutとゲインG1を乗算するための乗算器などが必要である。
【0338】
なお、適応型ゲイン法では、オーバーフローを防止するためのゲインを、フレームを単位として算出することが好ましい。たとえば1水平ラインごとにゲインを算出してオーバーフローを防止することもできるが、その場合1水平ラインごとのゲインの違いにより、表示画像に違和感が発生するため好ましくない。
【0339】
固定ゲイン法および適応型ゲイン法のいずれの方法でゲインを算出しても好適に補正画像データの振幅を調整できることが確認されている。
【0340】
以降、本実施形態では適応型ゲイン法により補正画像データの振幅調整(データ幅調整)を行うための回路構成について詳しく説明する。
【0341】
(最大値検出回路)
最大値検出回路20は、1フレーム分の補正画像データDoutのなかで、最大となる値を検出する手段である。同手段は、コンパレータとレジスタなどによって簡単に構成できる回路である。同手段は、レジスタに記憶されている値と、順次転送されてくる補正画像データDoutの大きさを比較し、補正画像データDoutの方がレジスタの値よりも大きければ、レジスタの値をそのデータ値で更新する回路である。レジスタの値をフレームの先頭で0にクリアすれば、フレームの終了時には、そのフレーム中の補正画像データの最大値がレジスタに格納される。
【0342】
このようにして検出された補正画像データの最大値は、ゲイン算出手段21へと転送される。
【0343】
(ゲイン算出手段)
ゲイン算出手段21は、適応型ゲイン法に基づいて補正画像データDoutが変調手段8の入力範囲におさまるように振幅調整を行うためのゲインを算出する手段である。
【0344】
ゲインG1は、最大値検出回路20の検出した最大値をMAX、変調手段8の入力範囲の最大値をINMAXとしたときに、(式20)のように決定すればよい(第1の方法)。
【数25】
Figure 0003927900
【0345】
ゲイン算出手段21では、垂直帰線期間においてゲインを更新して1フレーム毎にゲインの値が変更される。
【0346】
なお、本実施形態の構成では、1フレーム前の補正画像データの最大値を用いて、現在のフレームの補正画像データに乗算するゲインを算出する構成となっている。すなわち、フレーム間の補正画像データ(画像データ)の相関を利用して、オーバーフローを防止する構成になっている。
【0347】
したがって厳密には、フレームごとの補正画像データの違いから、オーバーフローがおきることがある。
【0348】
このような場合には、補正画像データとゲインを乗算する乗算器の出力に対しリミッタ手段を設け、乗算器の出力が変調手段の入力範囲に収まるように回路を設計すればよい。
【0349】
なお、最大値検出回路20と、乗算器22の間にフレームメモリを設ければ、時間的な遅延のない構成でオーバーフローを防止することができる。
【0350】
また、以下のような方法によってゲインを算出してもよい。たとえば、現在のフレームよりも以前のフレームで検出された補正画像データの最大値を平均し、その平均値AMAXを用いて、現在のフレームの補正画像データに施すゲインG1を、(式21)のように決定すればよい(第2の方法)。
【数26】
Figure 0003927900
【0351】
また、3番目の方法として、(式20)により各々のフレームごとのゲインG1を算出し、それを平均化して現在のゲインを算出してもよい。
【0352】
第1の方法よりも、第2、第3の方法の方が、表示画像におけるフリッカが大きく減少されるという別の効果があり非常に好適である。
【0353】
第2の方法、第3の方法において、平均化するフレームの枚数について検討をおこなったところ、たとえば16フレーム〜64フレームを平均化した場合にフリッカの少ない好ましい画像が得られた。
【0354】
なお、第2、第3の方法の場合においても、第1の方法と同様に補正画像データにフレーム間の相関があることにより、オーバーフローが発生する確率を減少させることができるが、完全には、オーバーフローを防止することができない。
【0355】
このための対策として、上述の方法で概略的にオーバーフローを防止するとともに、乗算器22の出力にリミッタを設けて完全にオーバーフローを防止することが好ましい。
【0356】
図28は、第1の方法と、第2の方法を例に挙げて、フリッカについて説明するための図である。図28は、グレーの背景のなかで、白い棒が反時計周りに回転する動画像の例である。このような画像を表示する場合、棒が回転するのに合わせて、フレーム毎に補正データCDの大きさが変化する。
【0357】
図29はこのような動画像を補正した際の補正画像データを説明するための図である。図29では各々の補正画像データのうち、各々のフレームで最大となったものを抜き出してグラフ化したものである。なお、同図の白の部分は元々の画像データ、ハッチングの部分は補正を行うことによって伸長された部分に相当する。
【0358】
図28のような画像を表示した場合、連続するフレームの補正画像データの最大値が図29に示すように変動する。したがって、(式20)に示したようにフレームごとにゲインを設定すると、図30(a)に示すようにフレーム毎のゲインの変動が激しくなる。結果として表示画像の輝度変動が激しくなり、フリッカ感が発生する。
【0359】
これに対し(式21)によってゲインを決定した場合は、ゲインが平均化されるため、図30(b)に示したように、ゲインの変動が小さくなり、輝度の変動が少なくなる。したがって、フリッカ感が減少するという優れた効果があった。なお図30(b)では白丸のグラフが(式20)によるゲイン、黒丸のグラフが(式21)による平均化されたゲインである。
【0360】
第3の方法も、第2の方法と同様にゲインの変動が小さくなるためフリッカが減少する。
【0361】
ゲイン算出手段21は、ゲインを平均化することにより、上述のような連続的なシーンの画像におけるフリッカを減少させる。その一方で、画像のシーンが変わった際には、シーンが変わったあとのゲインに変化させることも好ましい。そこで、シーン切り替えしきい値Gthなる、あらかじめ設定された閾値を設けておき、(式20)によって計算した1つ前のフレームのゲインをGB、前のフレームの最大値検出回路20の検出した補正画像データの最大値から(式20)によって計算されるゲインをGN、GN−GBの差の絶対値をΔGとして、
【数27】
Figure 0003927900
のように次のフレームのゲインを平滑化して算出したところ、好ましい結果を得た。
【0362】
とくにA及びBの値としては、
A=1、B=1/16〜1/64
程度に設定したところ好ましかった。
【0363】
(乗算器)
ゲイン算出手段21で算出されたゲインG1と加算器の出力である補正画像データDoutは、乗算器22によって乗算され、振幅が調整された補正画像データDmultとしてリミッタ回路へ転送される。
【0364】
(リミッタ手段)
以上のようにして、オーバーフローがおきないようにゲインを決定できれば問題ないが、上述したいくつかのゲイン決定方法によれば、必ずオーバーフローがおきないようにゲインを決定することは困難であるので、リミッタ24を設けておくことも好ましい。
【0365】
リミッタ24は、予め設定されたリミット値を有し、リミッタに入力される出力データDmultとリミット値を比較し、出力データよりもリミット値が小さければ、リミット値を出力し、出力データよりもリミット値が大きければ、出力データをそのまま出力する。
【0366】
こうして、変調手段8の入力範囲に完全に制限された補正画像データDlimは、リミッタ24から出力され、シフトレジスタ5、ラッチ6を介して変調手段8へと入力される。
【0367】
(輝度制御手段)
以下に、高圧電源電流値算出回路とABL回路からなる輝度制御手段について説明する。
【0368】
(高圧電源電流値算出回路)
ABL等の実現のために画像データの演算により高圧電源の電流値(すなわち高圧電源の電力値)を算出する方法について説明する。
【0369】
前述した図26において、200は輝度要求値である画像データを1フレームぶん積算する積算部(積算手段)、201は乗算器である。この積算部200および乗算器201が、高圧電源の電流値(Ia)を画像データから算出する手段としての高圧電源電流値算出回路である。同図では高圧電源電流値算出回路を破線で囲って示した。
【0370】
高圧電源の電流値を算出する手段は以下のような原理で高圧電源の電流値(Ia)を算出する。
【0371】
本実施形態における走査配線の電圧降下の影響の補正は、「走査配線に電圧降下が無い時の放出電荷量になるように画像データを調整し補正画像データを得る」補正方法である。そして、パルス幅(補正画像データ)が水平走査時間を超える場合は、パルス幅(補正画像データ)の最大値が所定の時間(水平走査時間)に収まるように、例えば補正画像データにフレーム単位でゲインを乗じ、調整する。
【0372】
補正画像データにフレーム単位でゲインを乗ずることは、すなわち「走査配線に電圧降下が無い時の放出電荷量になるように調整された補正画像データ」にゲインを乗じていることから、表示パネルの各電子放出素子が放出する電荷量もゲイン倍され駆動されていることに他ならない。
【0373】
そのため、電圧降下の影響の補正をした場合、フレーム単位の「画像データの積算値にゲインを乗じた値」は、そのまま、「1フレームにおける各電子放出素子の放出電荷量」に対応する。
【0374】
単位時間あたりの電荷量は電流であるから、「画像データの積算値にゲインを乗じた値」は、1フレームを単位時間としてその時間内の平均的な電流すなわち「高圧電源の電流値」に対応する。また「高圧電源の電流値」は表示装置の発光輝度に対応する平均電流値であるということができる。
【0375】
図26において、高圧電源の電流値を算出する手段(電流値算出手段)は、上述した原理に基づき積算部200により、1フレームごとの画像データの積算を行う。具体的には、積算部200は、RGB各色毎にレジスタと加算器から構成される。積算部200は、レジスタを1フレーム単位でリセットし、入力される画像データとレジスタの出力を加算器で加算し、加算結果をレジスタに画像データの入力タイミング毎にロードしなおす。これにより、1フレーム終了時に、各色毎の積算値が求まる。そして各色毎の積算値を加算し、積算値(APL値と等価)が求まる。
【0376】
乗算器201は、積算部200の出力である1フレーム単位の画像データの積算値(APL値)と、オーバーフローを防止するためのゲインG1とを乗算し出力する。この乗算器201の出力が高圧電源の電流値(Ia)に対応した値となる。
【0377】
例えば、画像データがすべて255(全白時)の時のAPL値を255になるように正規化すれば、乗算器201の出力(高圧電源の電流値に対応した値)が255の時(ゲインG1が1)は、走査配線の電圧降下が無い時の電子放出素子の電流値に1行配線の数×駆動デューティーを乗じた値と等しくなる。
【0378】
CRTでは、高圧電源の電流検出手段としては、高圧電源に電流検出用の抵抗を付加しその電圧から、高圧電源の電流値を求める方法が知られているが、本実施形態の構成によれば、データの計算のみで高圧電源の電流値を正確に算出することができる。特に後述するような、信号処理によるABLの実現においては、従来必要となったアナログディジタルコンバータや、高圧電源から電流値に対応する電圧を出力する配線等が不要であり、ハードウエアコストが低減できる。
【0379】
(ABL回路)
次に、ABLを実現するための信号処理をおこなう方法について説明する。
【0380】
図26において、202は高圧電流の制限値(Iamax)が記憶されているレジスタ、203は比較器、204は除算器、205はスイッチである。前述した様に、乗算器201の出力が高圧電源の電流値(Ia)に対応している。図26では、高圧電源電流値算出回路(電流値算出手段)とABL回路(電力制限手段)を破線で囲って示している。
【0381】
比較器203は、乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax;基準電流値)とを比較する。そして、予め設定されている電流制限値(Iamax)より、乗算器201の出力(高圧電源の電流値に対応)が大きければ、表示装置の電力を制限するために、オーバーフローを防止するゲインG1に対して、新たなゲインG1′を計算する。すなわち、新たなゲインG1′とAPL値が乗算された値(新たな高圧電源の電流値)が電流制限値(Iamax)になるように制御する。
【0382】
上記信号処理を数式化すれば以下のようになる。
【数28】
Figure 0003927900
【0383】
上述した制御により、1フレームの高圧電源の平均電流(すなわち高圧電源の電力)を制限することができた。
【0384】
実際の構成は、図26に示したように、比較器203で乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)とを比較する。APL×G1<Iamaxの時、比較器203の出力はスイッチ205の入力をゲイン算出手段21の出力と接続して、(式22)を実現する。
【0385】
一方、APL×G1≧Iamaxの時、比較器203の出力はスイッチ205の入力を除算器204の出力と接続する。除算器204は、高圧電流の制限値(Iamax)を乗算器201の出力で除算した値を出力するので、APL×G1≧Iamaxの時、(式23)を実現することができる。
【0386】
このように、オーバーフローを防止するゲインG1をあらたなゲインG1′に変更することによって、ABL機能を実現できた。
【0387】
上記実施形態では、オーバーフローを防止するゲインG1をあらたなゲインG1′に変更することによってABL動作を実現したが、当然、オーバーフローを防止するゲインG1を乗算した後、更に、APL×G1<Iamaxの時は1を、APL×G1≧Iamaxの時はIamax/(APL×G1)を、更に乗じても良い。
【0388】
なお、仮に、走査配線の電圧降下の影響の補正を行なわない場合は、実際に放出される電荷量は、走査配線の電圧降下によって変化するため、画像データと放出される電荷量は一致しない。そのため、本実施形態の信号処理によれば、正確な高圧電源の電流値の算出および、正確なABL動作を行うことができる。
【0389】
以上、オーバーフロー処理を行った場合の、高圧電源の電流値算出方法およびABLについて説明した。次に、電圧降下量が小さいか又は走査時間が長く、オーバーフロー処理が必要ない場合について説明する。
【0390】
オーバーフロー処理がない場合は、ゲインG1が1であるので、(式22),(式23)は、(式24),(式25)となる。
【数29】
Figure 0003927900
【0391】
実際の構成は、ゲインG1=1であるから、図26において最大値検出回路20、ゲイン算出手段21、乗算器201は不要である。そして、高圧電源の電流値(Ia)はAPLそのものに対応している。
【0392】
オーバーフロー処理がない場合の輝度制御手段の構成を、図31に示す。オーバーフロー処理がある場合においては、乗算器22は、オーバーフローを防ぐための係数を乗算した。一方、図31のオーバーフロー処理がない場合は、乗算器22は、電力を制限するための係数を補正画像データに乗じるために用いられる。図31において、高圧電源電流値算出回路とABL回路を破線で囲って示した。206はレジスタであり、APL<Iamaxの時の係数G1′である“1”が記憶されている。その他の動作は、オーバーフロー処理がある場合と同じであるので、説明は省略する。
【0393】
上述した制御により、オーバーフロー処理がない場合であっても、APL値により、1フレームの高圧電源の平均電流(すなわち高圧電源の電力)を算出でき、更にABL動作を行うことができた。
【0394】
オーバーフロー処理を行わない場合は、画像データの積算値(APL値)が高圧電源の電流値(Ia)にそのまま対応するが、これは、走査配線の電圧降下の影響を補正したことによって、精度良く、高圧電源の電流値(Ia)が求められることを示している。すなわち電圧降下の影響の補正を行わない場合は、単純に画像データの積算値を求めても、高圧電源の電流値に正確に対応しないことは言うまでもない。
【0395】
(シフトレジスタ、ラッチ回路)
リミッタ24の出力である補正画像データDlimは、シフトレジスタ5により、シリアルなデータフォーマットから、各変調配線毎のパラレルな画像データID1〜IDNへとシリアル/パラレル変換されラッチ回路6へ出力される。ラッチ回路6では1水平期間が開始される直前にタイミング信号Dataloadにより、シフトレジスタ5からのデータをラッチする。ラッチ回路6の出力は、パラレルな画像データD1〜DNとして変調手段8に入力される。
【0396】
本実施形態では画像データID1〜IDN、D1〜DNはそれぞれ8ビットの画像データとした。これらの動作タイミングはタイミング発生回路4(図26、31)からのタイミング制御信号TSFT及びDataloadに基づいて動作する。
【0397】
(変調手段の詳細)
ラッチ回路6の出力であるパラレル画像データD1〜DNは変調手段8へと供給される。変調手段8の構成は、前述した第1の実施形態と同じである。
【0398】
図32は、本実施形態の変調手段8の動作を示すタイミングチャートである。同図において、Hsyncは水平同期信号、Dataloadはラッチ回路6へのロード信号、D1〜DNは変調手段8の列1〜Nへの入力信号、PwmstartはPWMカウンタの同期クリア信号、PwmclkはPWMカウンタのクロックである。また、XD1〜XDNは変調手段8の第1〜第N列の出力を表している。
【0399】
同図にあるように1水平走査期間が始まると、ラッチ回路6は画像データをラッチするとともに変調手段8へデータを転送する。
【0400】
PWMカウンタは、Pwmstart、Pwmclkに基づいてカウントを開始し、カウント値が255になるとカウンタをストップしカウント値255を保持する。
【0401】
各列毎に設けられているコンパレータは、PWMカウンタのカウント値と各列の画像データを比較し、PWMカウンタの値が画像データ以上のときHighを出力し、それ以外の期間はLowを出力する。
【0402】
コンパレータの出力は、各列のスイッチのゲートに接続されており、コンパレータの出力がLowの期間は図18(a)の上側(VPwm側)のスイッチがON、下側(GND側)のスイッチがOFFとなり、変調配線を電圧VPwmに接続する。逆にコンパレータの出力がHighの期間は、図18(a)の上側のスイッチがOFFし、下側のスイッチがONするとともに、変調配線の電圧をGND電位に接続する。
【0403】
各部が以上のように動作することで、変調手段8が出力するパルス幅変調信号は、図32のXD1,XD2,…XDNに示したような、パルスの立ち上がりが同期した波形となる。
【0404】
(補正データ算出手段)
補正データ算出手段14は前述した補正データ算出方法により、電圧降下の補正データを算出する回路である。補正データ算出手段14は図33に示すように離散補正データ算出部と補正データ補間部の2つのブロックから構成される。
【0405】
(離散補正データ算出部)
図34は離散的に補正データを算出するための離散補正データ算出部を示している。
【0406】
離散補正データ算出部は、図22で示した構成からレジスタ113とテーブルメモリ3(112)を省いた構成である。そして、それは、画像データをブロックわけし、ブロックごとの統計量(点灯数)を算出するとともに、統計量から各ノードの位置における、電圧降下量の時間変化を計算する電圧降下量算出部としての機能、各時間ごとの電圧降下量を発光輝度量に変換する機能、発光輝度量を時間方向に積分して、発光輝度総量を算出する機能、および、それらから離散的な基準点における、画像データの基準値に対する補正データを算出する機能を実現する手段である。
【0407】
各ブロックの動作は、図22の構成とほぼ同じである。
【0408】
(補正データ補間部)
補正データ補間部は図23に示した第1の実施形態のそれと同じ構成である。直線近似手段a120も第1の実施形態と同じである。
【0409】
(各部の動作タイミング)
各部の動作タイミングのタイミングチャートは図25に示したものとほぼ同じである。異なる点は、図25における出力Doutがリミッタ24の出力Dlimに代わった点である。
【0410】
加算器12では、画像データDataと補正データCDを順次加算し、補正された補正画像データDlimをシフトレジスタ5へ転送する。シフトレジスタ5はTsftにしたがって、一水平期間分の補正画像データDlimを記憶するとともにシリアル/パラレル変換をおこなってパラレルな画像データID1〜IDNをラッチ回路6に出力する。ラッチ回路6はDataloadの立ち上がりにしたがってシフトレジスタ5からのパラレル画像データID1〜IDNをラッチし、ラッチされた画像データD1〜DNをパルス幅変調手段8へと転送する。
【0411】
(第3の実施形態)
オーバーフローを防止するために、第2の実施形態では、補正画像データの最大値を検出し、その最大値が,変調手段の入力範囲の最大値に対応するように、ゲインを算出し、そのゲインと補正画像データを乗算し、オーバーフローを防止した。
【0412】
これに対し第3の実施形態では、補正画像データの最大値を検出するのは同様であるが、その最大値が変調手段の入力範囲の最大値に対応するように、補正を施す前の画像データの大きさを制限することとした。すなわち、オーバーフローが起きないように、予め入力された画像データにゲインを乗算してその振幅範囲を小さくしておき、オーバーフローを防止する。
【0413】
以降、図35を用いて、本実施形態のオーバーフロー処理について説明する。
【0414】
図35において22R,22G,22Bは乗算器、9はデータ配列変換部、5は画像データ1ライン分のシフトレジスタ、6は画像データ1ライン分のラッチ回路、8は表示パネルの変調配線に変調信号を出力するパルス幅変調手段、12は加算器、14は補正データ算出手段、20はフレーム内の補正画像データDoutの最大値を検出するための最大値検出回路(最大値検出手段)、21はゲイン算出手段である。
【0415】
また、R,G,BはRGBパラレルの入力映像データ、Ra,Ga,Baは逆γ変換処理を施したRGBパラレルの映像データ、Rx,Gx,Bxは乗算器により、ゲインG2が乗算された画像データ、ゲインG2はゲイン算出手段21が算出したゲイン、Dataはデータ配列変換部9によりパラレル/シリアル変換された画像データ、CDは補正データ算出手段14により算出された補正データ、Doutは加算器12により画像データに補正データを加算することにより、補正された画像データ(補正画像データ)、Dlimはリミッタ24によってDoutを変調手段8の入力範囲の上限以下に制限した画像データである。
【0416】
(乗算器)
乗算器22R,22G,22Bは逆γ変換後の画像データRa,Ga,Baに対し、ゲインG2を乗算するための手段である。
【0417】
より詳しくは、乗算器22R,22G,22Bはゲイン算出手段21が決定したゲインに従って画像データRa,Ga,BaにゲインG2を乗算し、乗算後の画像データRx,Gx,Bxを出力する。
【0418】
ゲインG2は、ゲイン算出手段21が算出する値であって、後述する加算器12での画像データDataと補正データの加算結果である補正画像データDoutが、変調手段8の入力範囲におさまるように決定される値である。
【0419】
(最大値検出回路)
最大値検出回路20は図35に示すように、各部と接続されている。
【0420】
最大値検出回路20は、1フレーム分の補正画像データDoutのなかで、最大となる値を検出する手段である。同手段は、コンパレータとレジスタなどによって簡単に構成できる回路である。同手段は、レジスタに記憶されている値と、順次転送されてくる補正画像データDoutの大きさを比較し、補正画像データDoutの方がレジスタの値よりも大きければ、レジスタの値をそのデータ値で更新する回路である。レジスタの値をフレームの先頭で0にクリアすれば、フレームの終了時には、そのフレーム内の補正画像データの最大値MAXがレジスタに格納される。
【0421】
このようにして検出された補正画像データの最大値MAXは、ゲイン算出手段21へと転送される。
【0422】
(ゲイン算出手段)
ゲイン算出手段21は、最大値検出回路20の検出値MAXを参照して、補正画像データDoutが変調手段8の入力範囲におさまるようにゲインを算出する手段である。本実施形態においても、ゲイン算出手段21は適応型ゲイン法に基づいて補正画像データの振幅を調整するためのゲインを算出する。なお、本実施形態の構成において、固定ゲイン法によってゲインを算出してもよい。
【0423】
ゲインG2は、最大値検出回路20の検出した最大値をMAX、変調手段8の入力範囲の最大値をINMAX、前のフレームに対してゲイン算出手段21が算出したゲインをGBとしたときに、(式26)のように決定すればよい。
【数30】
Figure 0003927900
【0424】
ゲイン算出手段21では、垂直帰線期間においてゲインを更新して1フレーム毎にゲインの値が変更される。
【0425】
なお、ここでは、1フレーム前の補正画像データの最大値を用いて、現在のフレームの補正画像データに乗算するゲインを算出する構成となっている。すなわち、フレーム間の補正画像データ(画像データ)の相関を利用して、オーバーフローを防止する構成になっている。
【0426】
したがって厳密には、フレームごとの補正画像データの違いから、オーバーフローがおきることがある。
【0427】
このような場合には、補正画像データとゲインを乗算する乗算器の出力に対しリミッタ手段を設け、乗算器の出力が必ず変調手段の入力範囲に収まるように回路を設計すればよい。
【0428】
また、本発明者らは、上述したゲインの決定方法のほかに、以下のような別の方法によってゲインを算出してもよいことを確認している。
【0429】
たとえば、現在のフレームよりも以前のフレームで検出された補正画像データの最大値を平均し、その平均値AMAXを用いて、現在のフレームの補正画像データに施すゲインG2を、(式27)のように決定すればよい。ただしGBは、前のフレームに対してゲイン算出手段21が算出したゲインG2である。
【数31】
Figure 0003927900
【0430】
また、別の方法として、(式26)により各々のフレームごとのゲインG2を算出し、それを平均化して現在のゲインを算出してもよい。
【0431】
これら3つの方法のうち、どの方法でもオーバーフローを防止する意味では好ましいが、フリッカの発生を考慮すれば、(式27)の方法で算出することが好ましい。
【0432】
(式27)のゲイン算出法において、補正画像データの最大値を平均化するフレームの枚数について検討をおこなったところ、現在のフレームから16〜64フレーム前までの補正画像データの最大値を平均化した場合にフリッカの少ない好ましい画像が得られた。
【0433】
なお、本方法でも、図35に示したように、加算器12の出力を制限するリミッタ24を設けて完全にオーバーフローを防止することが好ましいことはいうまでもない。
【0434】
また、第2の実施形態と同様にシーンチェンジの検出を行って、ゲインの算出の方法を変更してもよい。
【0435】
次に、輝度制御手段について説明するが、基本的な構成は、図26に示したものと同じである。
【0436】
高圧電源の電流値を算出する手段は、第2の実施形態と同様に、積算部200および乗算器201から構成される。本実施形態では、積算部200が積算した画像データの積算値とオーバーフローを防止するゲインG2とを乗算することにより、高圧電源の電流値を求める(図35参照)。
【0437】
高圧電源電流値算出回路の原理、構成は第2の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0438】
本実施形態の構成によれば、データの計算のみで高圧電源の電流値を算出することができ、ハードウエアコストが低減できる。
【0439】
(ABL回路)
次に、図35において、ABLを実現するための信号処理をおこなう方法について説明する。
【0440】
図35において、200は輝度要求値である画像データを1フレームぶん積算する積算部(積算手段)、201は乗算器、202は高圧電流の制限値(Iamax)が記憶されているレジスタ、203は比較器、204は除算器、205はスイッチである。前述した様に、乗算器201の出力が高圧電源の電流値(Ia)に対応している。図35では、高圧電源電流値算出回路(電流値算出手段)とABL回路(電力制限手段)を破線で囲って示している。
【0441】
比較器203は、乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax;基準電流値)とを比較する。そして、予め設定されている電流制限値(Iamax)より、乗算器201の出力(高圧電源の電流値に対応)が大きければ、表示装置の電力を制限するために、オーバーフローを防止するゲインG2に対して、新たなゲインG2′を計算する。すなわち、新たなゲインG2′とAPL値が乗算された値(新たな高圧電源の電流値)が電流制限値(Iamax)になるように制御する。
【0442】
上記信号処理を数式化すれば以下のようになる。
【数32】
Figure 0003927900
【0443】
上述した制御により、1フレームの高圧電源の平均電流(すなわち高圧電源の電力)を制限することができた。
【0444】
実際の構成は、図35に示したように、比較器203で乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)とを比較する。APL×G2<Iamaxの時、比較器203の出力はスイッチ205の入力をゲイン算出手段21の出力と接続して、(式28)を実現する。
【0445】
一方、APL×G2≧Iamaxの時、比較器203の出力はスイッチ205の入力を除算器204の出力と接続する。除算器204は、高圧電流の制限値(Iamax)を乗算器201の出力で除算した値を出力するので、APL×G2≧Iamaxの時、(式29)を実現することができる。
【0446】
このように、オーバーフローを防止するゲインG2をあらたなゲインG2′に変更することによって、ABL機能を実現できた。
【0447】
以上、オーバーフロー処理を行った場合の、高圧電源の電流値算出方法およびABLについて説明した。次に、電圧降下量が小さいか又は走査時間が長く、オーバーフロー処理が必要ない場合について説明する。
【0448】
オーバーフロー処理がない場合は、ゲインG2が1であるので、(式28),(式29)は、(式30),(式31)となる。
【数33】
Figure 0003927900
【0449】
実際の構成は、ゲインG2=1であるから、図35において最大値検出回路20、ゲイン算出手段21、乗算器201は不要である。そして、高圧電源の電流値(Ia)はAPLそのものに対応している。
【0450】
オーバーフロー処理がない場合の輝度制御手段の構成を、図36に示す。オーバーフロー処理がある場合においては、乗算器22R,22G,22Bは、オーバーフローを防ぐための係数を乗算した。一方、図36のオーバーフロー処理がない場合は、乗算器22R,22G,22Bは、電力を制限するための係数を補正画像データに乗じるために用いられる。図36において、高圧電源電流値算出回路とABL回路を破線で囲って示した。206はレジスタであり、APL<Iamaxの時の係数G2′である“1”が記憶されている。その他の動作は、オーバーフロー処理がある場合と同じであるので、説明は省略する。
【0451】
上述した制御により、オーバーフロー処理がない場合であっても、APL値により、1フレームの高圧電源の平均電流(すなわち高圧電源の電力)を算出でき、更にABL動作を行うことができた。
【0452】
オーバーフロー処理を行わない場合は、画像データの積算値(APL値)が高圧電源の電流値(Ia)にそのまま対応するが、これは、走査配線の電圧降下の影響を補正したことによって、精度良く、高圧電源の電流値(Ia)が求められることを示している。すなわち電圧降下の影響の補正を行わない場合は、単純に画像データの積算値を求めても、高圧電源の電流値に正確に対応しないことは言うまでもない。
【0453】
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態同様に、走査配線の電圧降下の影響の補正を行わない場合は、実際に放出される電荷量は、走査配線の電圧降下によって変化するため、画像データと放出される電荷量は一致しない。そのため、本実施形態の信号処理によって正確な高圧電源の電流値の算出および、正確なABL動作を行うことができない。
【0454】
次に、第2の実施形態および第3の実施形態における、予め設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)の決定法を説明する。
【0455】
(1)表示装置の電力から決定する。
表示装置の最大消費電力仕様から、高圧電源の最大電力仕様を決める。そして高圧電源の最大電力値を高圧電源の電圧で割ることによって電流制限値(Iamax)を決定する。そしてその値をレジスタ202に記憶する。
【0456】
(2)ユーザが決定する。
表示装置の最大消費電力仕様から、高圧電源の最大電力仕様を決める。また、更に前記仕様より小さな最大消費電力仕様(省エネモード)を決定する。そして、それぞれに対応する高圧電源の電流制限値(Iamax1,Iamax2とする)を、前述した方法であらかじめ計算して、不図示のコントローラ内部にあるメモリに記憶しておく。
【0457】
ユーザは、ユーザーインターフェイス手段(例えばリモコン)により、通常モード、省エネモードを選択できる。コントローラは、内部にあるメモリを参照し、通常モードでは電流制限値をIamax1となるようにレジスタ202に書き込み、省エネモードでは電流制限値をIamax2となるようにレジスタ202に書き込みを行う。
【0458】
(3)外部環境によって決定する。
表示装置の最大消費電力仕様から、高圧電源の最大電力仕様を決める。また、更に前記仕様より小さな第2の最大消費電力仕様(暗場所モード)を決定する。そして、それぞれに対応する高圧電源の電流制限値(Iamax3,Iamax4とする)を、前述した方法であらかじめ計算して、不図示のコントローラ内部にあるメモリに記憶しておく。
【0459】
コントローラは、不図示の照度センサーを持ち、環境が明るい時は、内部にあるメモリを参照し、電流制限値をIamax3となるようにレジスタ202に書き込み、環境が暗い時は電流制限値をIamax4となるようにレジスタ202に書き込みを行う。
【0460】
以上により、第2の実施形態および第3の実施形態における、高圧電源の電流制限値(Iamax)を、決定できる。特に(2)または(3)の方法、または(2),(3)の方法の組み合わせによって、電力を更に抑え画像を表示することが可能となる。また、これらの方法は、前述した第1の実施形態にも適用可能である。
【0461】
本実施形態によれば、補正後の画像データが変調手段の入力範囲をオーバーフローしないように、ゲインを乗じることにより高品位に画像を表示することができた。さらに、入力画像データの積算結果とゲインを乗算し高圧電源の電流値とし検出することにより、少ないハードウエアで正確にABL動作を行うことができた。
【0462】
(第4の実施形態)
本実施形態の表示装置は、補正画像データの振幅が変調手段の入力範囲に対応するように補正画像データの振幅を調整するための係数を乗算する機能を有する振幅調整手段を備える。また、輝度要求値である入力画像データの積算値および前記係数に基づき表示装置の発光輝度に対応する平均電流値を算出する電流値算出手段と、平均電流値および所定の基準電流値に基づき電子放出素子の駆動条件を変更する駆動条件変更手段と、を備える。
【0463】
電流値算出手段は、入力画像データを積算する積算手段を有し、積算手段の出力と係数を乗算した結果を表示装置の発光輝度に対応する平均電流値とすることが好適である。
【0464】
駆動条件変更手段は、平均電流値と基準電流値とを比較し、基準電流値よりも平均電流値が大きい場合に、表示装置の発光輝度に係る電力を制限するための駆動電圧を決定することが好適である。
【0465】
駆動条件変更手段は、平均電流値が前記基準電流値を超えないように前記駆動電圧を決定することが好適である。
【0466】
駆動条件変更手段は、補正画像データの算出に用いられる計算パラメータを変更する機能を有することが好適である。
【0467】
基準電流値は、予め製造段階で決定されているか、ユーザーインターフェイス手段および外部環境検出手段のうち少なくともひとつの手段により変更可能であることが好適である。
【0468】
振幅調整手段は、フレームごとに補正画像データ算出手段の出力の最大値を検出し、その最大値が変調手段の入力範囲の上限に収まるように、補正画像データの振幅を調整するための係数を適応的に算出することが好適である。
【0469】
振幅調整手段は、現在のフレームよりも前の複数のフレームに係る補正画像データ算出手段の出力を参照して、それらの値が変調手段の入力範囲に対応するように、補正画像データの振幅を調整するための係数を適応的に算出することが好適である。
【0470】
補正画像データの振幅を調整するための係数は、常に一定の値を持つ、予め決定された係数であることが好適である。
【0471】
補正画像データの振幅を調整するための係数は、入力画像データの最大時に前記補正画像データ算出手段の出力が変調手段の入力範囲をオーバーフローしないように決定された係数であることが好適である。
【0472】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、入力画像データに補正を施した補正画像データを算出する手段と、を備えることが好適である。
【0473】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に前記行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を離散的に予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、前記入力画像データに補正を施した補正画像データを算出する手段と、を備えることが好適である。
【0474】
補正画像データ算出手段は、入力画像データに対応して、1水平走査期間中に前記行配線上に発生するべき電圧降下量の空間分布および時間変化を離散的に予測算出する手段と、算出された電圧降下量から、前記電圧降下量を算出した空間位置における、前記電圧降下量を算出した時間に対応した画像データに対する補正画像データを離散的に算出する離散補正画像データ算出手段と、離散補正画像データ算出手段の出力を補間し、入力画像データの大きさと水平表示位置に対応した補正画像データを算出する補正画像データ補間手段と、を備えることが好適である。
【0475】
補正画像データ算出手段が算出する補正画像データは、補正画像データの放出電荷量が、行配線上に発生するべき電圧降下量が無い時の入力画像データの放出電荷量になるように調整されていることが好適である。
【0476】
駆動条件変更手段は、駆動条件として表示用素子の駆動電圧を変更するものであって、その駆動電圧は、走査手段の出力する選択電位、変調手段の出力する電位もしくは高圧発生手段の電位、またはこれらの電位の組み合わせで決定される電圧であることが好適である。
【0477】
また、入力画像データに対し、走査配線および走査手段の抵抗分によって発生する電圧降下の影響を補正した画像データである、補正画像データを算出する補正画像データ算出手段と、補正画像データの振幅が変調手段の入力範囲に対応するように、補正画像データの振幅を調整するための係数を乗算する機能を有する振幅調整手段と、を備え、変調手段は、振幅調整手段により振幅調整された補正画像データを入力として、変調配線に変調信号を出力する表示装置であって、0でない、均一な画像データを入力した場合に、走査手段の出力端子に近い変調手段の出力するパルスのパルス幅が、走査手段の出力端子から遠い変調手段の出力するパルスのパルス幅よりも、短くなる表示装置において、入力画像データの積算値に基づき表示装置の発光輝度に対応する平均電流値を算出する電流値算出手段と、平均電流値および所定の基準電流値に基づき電子放出素子の駆動条件を変更する駆動条件変更手段と、を備えることが好適である。
【0478】
駆動条件変更手段は、平均電流値と基準電流値とを比較し、基準電流値よりも平均電流値が大きい場合に、表示装置の発光輝度に係る電力を制限するための駆動電圧を決定することが好適である。
【0479】
駆動条件変更手段は、基準電流値よりも平均電流値が大きい場合に、駆動電圧を決定する条件である走査手段の出力する選択電位、変調手段の出力する電位および高圧発生手段の電位のうち少なくとも一つ以上の電位の絶対値を小さくすることが好適である。
【0480】
本実施形態による輝度制御手段についてその特徴的な構成を詳しく説明する。
【0481】
図37に、1フレームの輝度を制御するための信号処理をおこなう回路構成の一例を示す。ここで、図14,26,31,35,36に示した構成と同じ構成要素の説明は、省略する。
【0482】
図37では、高圧電源電流値算出回路(電流値算出手段)とABL回路(電力制限手段)を破線で囲って示した。なお、変換手段210と選択電圧発生部211は駆動条件を変更する手段でもあるので、駆動条件変更手段ということもできる。
【0483】
図37の構成において、変換手段210は、乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax:基準電流値)とが入力されるテーブルメモリである。そして、予め設定されている電流制限値(Iamax)より、乗算器201の出力(高圧電源の電流値に対応)が大きければ、表示装置の電力を制限するために、駆動条件を変更する。
【0484】
より具体的には、図38に示したように、電流制限値(Iamax)を超える乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)に対し、図38のAで示したように駆動電圧指示値(SVDRV)を小さくする。
【0485】
図38において、横軸は乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)であり、縦軸は駆動電圧指示値SVDRVであり、変調手段の出力の電位(VPwm)と走査回路の選択電位(Vs)との電位差であるVDRVに対応する数値(例えばディジタル量のデータ)である。また、図38において、SVselは表面伝導型電子放出素子の定格電圧VSELに対応する駆動電圧指示値である。
【0486】
図38のAで示した具体的な特性のカーブは、乗算器201の出力(Ia)が電流制限値(Iamax)を超えると計算された場合、実際の電力がそれより大きくならないようにカーブを決定したものである。また、電流制限値Iamaxをより小さく設定した例を、図38のBの特性で示す。駆動電圧指示値SVDRVは、乗算器201の出力Iaがより小さい時から、減少する様子がわかる。
【0487】
選択電圧発生部211は駆動電圧指示値SVDRVを実際の駆動電圧(VDRV)に変換する。駆動電圧を変更する方法としては、変調手段8の出力の電位(Vpwm)または、走査回路2及び2′の選択電位(Vs)のうち少なくとも何れか一方を変化させればよい。この実施形態では、電力を制限するために、走査回路2及び2′の選択電位(Vs)のみを変化させるものとする。
【0488】
図39は、選択電圧発生部211の特性を示すグラフであり、横軸は乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)であり、縦軸は走査回路2及び2′の選択電位(Vs)である。走査回路2及び2′の選択電位(Vs)は、選択電圧発生部211の出力である駆動電圧指示値SVDRVに駆動電圧(VDRV)がなるように、決定する。なお、Vs0は−0.5×VSELと決定した。
【0489】
図38のA,Bの特性のカーブはそれぞれ、図39のA,Bの特性のカーブに対応する。そして、選択電圧発生部211は走査回路2及び2′の選択電位Vsを、乗算器201の出力(Ia)が所定値を越えると、その絶対値が小さくなるように、変化させる。つまり、走査回路2及び2′は、そこから出力される選択電位Vsが選択電圧発生部211の出力に従って変化する、従属電源として機能する。
【0490】
このように走査回路2及び2′の選択電位を変化させる構成によって、電圧降下の影響を補正し更にABL動作を行うことができた。
【0491】
第4の実施形態において、変換手段210をディジタル出力とし、選択電圧発生部211は内部にアナログディジタル変換器を設けてアナログ信号を出力するように構成すると回路構成上、ローコストに実現できる。
【0492】
第4の実施形態においては、駆動条件として、駆動電圧である走査回路2及び2′の選択電位が可変となるように構成した。これとは別に、駆動電圧として変調手段8の出力の電位を変化させても良いし、或いは、走査回路2及び2′の選択電位と変調手段8の出力の電位の両方を変化させても良い。更には、高圧電源の電位を変化させても、ABL動作を行うことができる。
【0493】
第4の実施形態においては、走査配線の電圧降下の影響の補正を行っている。そのため駆動条件(駆動電圧:VDRV)を大きく変化させる場合、走査配線の電圧降下の影響の補正の計算に誤差が生じる場合がある。次に、この誤差を少なくする方法を実現する構成について説明する。
【0494】
(第5の実施形態)
図40は、本実施形態の表示装置の構成を示している。
【0495】
図40と図37との構成上の差異は、輝度制御手段において、変換手段210から出力された駆動電圧指示値SVDRVを、補正データ算出手段14に供給する点である。第4の実施形態と同一の部分の説明は省略する。
【0496】
図40において、変換手段210は、乗算器201の出力(Ia)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)との入力を受け、表示装置の電力を制限するために、駆動条件としての駆動電圧指示値SVDRVを変更して出力する。
【0497】
駆動電圧指示値SVDRVは、前述したように、選択電圧発生部211に入力され、走査回路2及び2′の選択電位を変化し表示パネルの高圧電源の電力を制限するために用いられる。さらに、駆動電圧指示値SVDRVは、配線220を通じて補正データ算出手段14に送られ、後述するように、電圧降下補正の算出パラメータを変更し補正画像データを算出するために用いられる。
【0498】
変換手段210の動作は、この方法においては、以下の動作がより好ましかった。
【0499】
SVSELを表面伝導型放出素子の定格電圧に対応する駆動電圧指示値とすると、変換手段210はSVDRVを次式のように決定する。
【数34】
Figure 0003927900
【0500】
変換手段210は上述した駆動電圧指示値(SVDRV)を出力する。その他は、前述したように動作する。
【0501】
本実施形態においては、高圧電源の電位を変化させても、ABL動作を行うことができた。高圧電源を変化させる場合は、電圧降下量はほぼ変化しないが、電子放出素子の放出電流量が若干変化するので、その分をパラメータとして考慮する。
【0502】
本実施形態においては、駆動条件(駆動電圧:VDRV)が大きく変化しても、走査配線の電圧降下の影響の補正の計算に誤差が生じることなく良好に、ABL動作が実現できた。
【0503】
なお、走査配線の電圧降下の影響の補正を行わない場合は、実際に放出される電荷量は、走査配線の電圧降下によって変化するため、画像データと放出される電荷量は一致しない。そのため、正確なABL動作を行うことができない場合がある。
【0504】
上述した、高圧電源の電流値算出方法およびABLについては、オーバーフロー処理を行った場合を説明したが、電圧降下量が小さいまたは走査時間が長く、オーバーフロー処理が必要ない場合には、ゲインG1が1であるので、図40の構成のうち、最大値検出回路20、ゲイン算出手段21、乗算器22,201は不要である。
【0505】
オーバーフロー処理を行なわない場合は、画像データの積算値(APL値)が高圧電源の電流値(Ia)にそのまま対応するが、これは、走査配線の電圧降下の影響を補正したことによって、精度良く、高圧電源の電流値(Ia)が求められることを示している。すなわち電圧降下の影響の補正を行わない場合は単純に画像データの積算値を求めても、高圧電源の電流値に正確に対応しないことは言うまでもない。
【0506】
(シフトレジスタ、ラッチ回路)
リミッタ24の出力である補正画像データDlimは、シフトレジスタ5により、シリアルなデータフォーマットから、各変調配線毎のパラレルな画像データID1〜IDNへとシリアル/パラレル変換されラッチ回路6へ出力される。ラッチ回路6では1水平期間が開始される直前にタイミング信号Dataloadにより、シフトレジスタ5からのデータをラッチする。ラッチ回路6の出力は、パラレルな画像データD1〜DNとして変調手段8に入力される。
【0507】
本実施形態では画像データID1〜IDN、D1〜DNはそれぞれ8ビットの画像データとした。これらの動作タイミングはタイミング発生回路4からのタイミング制御信号TSFT及びDataloadに基づいて動作する。
【0508】
(変調手段の詳細)
ラッチ回路6の出力であるパラレル画像データD1〜DNは変調手段8へと供給される。変調手段8は、図18に示したような構成であり、前述した各実施形態のそれと同じである。本実施形態の変調手段8の動作を示すタイミングチャートは、図32に示したものと同じである。
【0509】
(補正データ算出手段)
補正データ算出手段14の構成は図21に示したものと同じである。また、離散的に補正データを算出するための構成は、図22に示したものと同じである。
【0510】
(第6の実施形態)
第4,5などの実施形態では、補正画像データの最大値を検出し、その最大値が変調手段8の入力範囲の最大値に対応するようにゲインを算出し、そのゲインと補正画像データを乗算してオーバーフローを防止していた。
【0511】
これに対し第6の実施形態では、前述した第4,5の実施形態のように、補正画像データの最大値を検出するのは同様である。本実施形態では、その最大値が変調手段8の入力範囲の最大値に対応するように、補正を施す前の画像データの大きさを制限する。すなわち、オーバーフローが起きないように、予め入力された画像データにゲインを乗算してその振幅範囲を小さくしておき、オーバーフローを防止する。
【0512】
なお、別のゲインを算出する方法として、本実施形態の構成においてゲインは固定ゲイン法によって算出しても良い。
【0513】
本実施形態では、1フレーム内の補正画像データDoutの最大値をMAX、変調手段の入力範囲の最大値をINMAX、前のフレームに対してゲイン算出手段が算出したゲインをGBとしたときに、前述した(式26)を用いてゲインG2を決定する。
【0514】
ゲイン算出手段21では、垂直帰線期間においてゲインを更新して1フレーム毎にゲインの値が変更される。
【0515】
なお、本実施形態では、1フレーム前の補正画像データの最大値を用いて、現在のフレームの補正画像データに乗算するゲインを算出する構成、すなわち、フレーム間の補正画像データ(画像データ)の相関を利用して、オーバーフローを防止する構成になっている。したがって厳密には、フレームごとの補正画像データの違いから、オーバーフローが起きることがある。これを防止すべく、補正画像データとゲインを乗算する乗算器の出力に対しリミッタ手段を設け、乗算器の出力が必ず変調手段の入力範囲に収まるように回路を設計することも好ましいものである。
【0516】
また、上述したゲインの決定方法のほかに、以下のような別の方法によってゲインを算出してもよい。すなわち、現在のフレームよりも以前のフレームで検出された補正画像データの最大値を平均し、その平均値AMAXを用いて、現在のフレームの補正画像データに施すゲインG2を、前述した(式27)のように決定すればよい。ただしGBは、前のフレームに対してゲイン算出手段21が算出したゲインG2である。
【0517】
また、別の方法として、(式26)により各々のフレームごとのゲインG2を算出し、それを平均化して現在のゲインを算出してもよい。
【0518】
これら3つの方法のうち、どの方法でもオーバーフローを防止する意味では好ましいが、フリッカの発生を考慮すれば、(式27)の方法で算出することが好ましい。
【0519】
(式27)のゲイン算出法において、補正画像データの最大値を平均化するフレームの枚数について検討をおこなったところ、現在のフレームから16〜64フレーム前までの補正画像データの最大値を平均化した場合にフリッカの少ない好ましい画像が得られた。
【0520】
なお、本方法でも、加算器12の出力を制限するリミッタ24を設けて完全にオーバーフローを防止することが好ましいことはいうまでもない。
【0521】
また、第4の実施形態と同様にシーンチェンジの検出を行って、ゲインの算出の方法を変更してもよい。
【0522】
以下に、高圧電源電流値算出回路とABL回路からなる輝度制御手段について説明する。
【0523】
高圧電源電流値算出回路の原理、構成は第4の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0524】
従来、高圧電源に電流検出用の抵抗を付加しその電圧から、高圧電源の電流値を求めていたが、本実施形態の構成によれば、第4の実施形態と同様に、従来のような構造をとることなく、データの計算のみで高圧電源の電流値を算出することができた。特に後述するような、ABLの実現においては、第4の実施形態と同様に、ハードウエアコストの低減が可能となった。
【0525】
図41において、200は輝度要求値である画像データを1フレームぶん積算する積算部(積算手段)、201は乗算器、202は高圧電流の制限値(Iamax)が記憶されているレジスタ、210は変換手段、211は選択電圧発生部(選択電圧発生手段)である。図41において、前述した様に、乗算器201の出力が高圧電源の電流値(Ia)に対応している。図41では、高圧電源電流値算出回路(電流値算出手段)とABL回路(電力制限手段)を破線で囲って示した。
【0526】
本実施形態でも、第4の実施形態同様に、駆動条件として、駆動電圧VDRV(その中でも走査回路2及び2′の選択電位:Vs)を変更した。本実施形態では、走査配線の電圧降下の影響の補正を行い、さらに、駆動条件(駆動電圧:VDRV)の変化に伴い、走査配線の電圧降下の影響の補正の計算のパラメータを変更する。
【0527】
図41は図40とオーバーフロー処理のためのゲインG2の乗じる場所が異なる以外は、変更が無いので、各部の説明は省略する。
【0528】
図41において、変換手段210は、乗算器201の出力(Ia:高圧電源の電流値に対応)と、予めレジスタ202に設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)との入力を受け、表示装置の電力を制限するために、駆動条件として駆動電圧指示値SVDRVを変更して出力する。
【0529】
駆動電圧指示値SVDRVは、選択電圧発生部211に入力され、走査回路2及び2′の選択電位を変化し表示パネルの高圧電源の電力を制限するために用いられる。さらに、駆動電圧指示値SVDRVは、配線220を通じて補正データ算出手段14に送られ、算出パラメータを変更し補正画像データを算出するために用いられる。
【0530】
変換手段210の動作は、この方法においては、第5の実施形態と同様に、以下の動作が好ましかった。
【0531】
SVSELを表面伝導型放出素子の定格電圧に対応する駆動電圧指示値とすると、変換手段210はSVDRVを(式32),(式33)のように決定する。
【0532】
変換手段210は上述した駆動電圧指示値(SVDRV)を出力する。その他は、前述したように動作する。
【0533】
本実施形態においては、駆動条件として、駆動電圧(その中でも走査回路2及び2′の選択電位)を変更したが、当然、変調手段8の出力の電位または両方を変化させてもよい。更に高圧電源の電位を変化させても、ABL動作を行うことができる。
【0534】
本実施形態においては、駆動条件(駆動電圧:VDRV)が大きく変化しても、走査配線の電圧降下の影響の補正の計算に誤差が生じることなく良好に、ABL動作が実現できた。
【0535】
第4の実施形態と同様、駆動条件(駆動電圧:VDRV)が大きく変化しない場合は、配線220は必要なく、走査配線の電圧降下の影響の補正の計算を行っても表示画質には影響は少なかった。そして良好に、ABL動作が実現できた。
【0536】
なお、本実施形態においても、走査配線の電圧降下の影響の補正を行わない場合は、実際に放出される電荷量は、走査配線の電圧降下によって変化するため、画像データと放出される電荷量は一致しない。そのため、正確なABL動作を行うことができない場合がある。
【0537】
なお、第4の実施形態〜第6の実施形態における、予め設定されている高圧電源の電流制限値(Iamax)の決定法は、前述した第2、第3の実施形態における決定方法と同じであるので再度の説明は省略した。
【0538】
以上説明したように、第4、第5の実施形態による表示装置によれば、従来からの課題であった、走査配線上の電圧降下による表示画像の劣化を改善することができた。
【0539】
また、補正後の画像データが変調手段の入力範囲をオーバーフローしないように、ゲインを乗じることにより高品位に画像を表示することができた。
【0540】
そして、さらに、入力画像データの積算結果とゲインを乗算し高圧電源の電流値として検出することにより、少ないハードウエアで正確に輝度制御を行うことができた。
【0541】
以上説明した補正処理と輝度制御処理を含む方法は、1チップの半導体集積回路として実現可能であり、また、そのためのIPコアとして流通され得る。
【0542】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、従来よりも良い画質で映像を表示できる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置を実現することができる。
【0543】
また、電圧降下補正の精度を高められる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置を実現することができる。
【0544】
さらに、電圧降下補正を行った場合にもABLを行うことのできる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置を実現することができる。
【0545】
さらに、高圧電源の電流(アノード電流)を算出し正確なABLを行うことのできる表示装置と、そのための画像信号処理装置及び駆動制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態による表示装置のブロック図である。
【図2】表示パネルの概観を示す図である。
【図3】表示パネルの電気的な接続を示す図である。
【図4】表面伝導型放出素子の特性の一例を示す図である。
【図5】表示パネルの駆動方法の一例を示す図である。
【図6】電圧降下の影響を説明する図である。
【図7】縮退モデルを説明する図である。
【図8】離散的に算出した電圧降下量を示すグラフである。
【図9】離散的に算出した放出電流の変化量を示すグラフである。
【図10】画像データの大きさが64の場合の補正データの算出例を示す図である。
【図11】画像データの大きさが128の場合の補正データの算出例を示す図である。
【図12】画像データの大きさが192の場合の補正データの算出例を示す図である。
【図13】補正データの補間方法を説明するための図である。
【図14】本発明の第1の実施形態による表示装置の信号処理系及び駆動系の構成を示すブロック図である。
【図15】走査回路の構成を示すブロック図である。
【図16】逆γ処理部の構成を示すブロック図である。
【図17】データ配列変換部の構成を示すブロック図である。
【図18】変調回路の構成とその動作を説明するための図である。
【図19】変調回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】駆動電圧算出部を説明するための図である。
【図21】補正データ算出手段を説明するための図である。
【図22】離散補正データ算出部の構成を示すブロック図である。
【図23】補正データ補間部の構成を示すブロック図である。
【図24】直線近似手段の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の実施形態に係る表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図26】本発明の第2の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図27】走査回路の構成を示すブロック図である。
【図28】連続する4フレームの画像の例を示す図である。
【図29】連続する4フレームにおける画像データの大きさを示すグラフである。
【図30】連続するフレームにおけるゲインの変化の様子を示すグラフである。
【図31】本発明の第2の実施形態による表示装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図32】変調手段の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図33】補正データ算出手段の構成を示すブロック図である。
【図34】離散補正データ算出部の構成を示すブロック図である。
【図35】本発明の第3の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図36】本発明の第3の実施形態による表示装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図37】本発明の第4の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図38】変換手段の変換特性を示す図である。
【図39】選択電圧発生手段の特性を示す図である。
【図40】本発明の第5の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図41】本発明の第6の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図42】従来の表示装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 表示パネル
2,2′ 走査回路
3 同期信号分離回路
4 タイミング発生回路
5 シフトレジスタ
6 ラッチ回路
7 RGB変換部
8 変調手段
9 データ配列変換部
12 加算器
14 補正データ算出手段
17 逆γ処理部
19 遅延回路
20 最大値検出回路
21 ゲイン算出手段
22 乗算器
22R,22G,22B 乗算器
23 セレクタ
24 リミッタ
100a,100b,100c,100d 点灯数カウント手段
101a,101b,101c,101d レジスタ
102 CPU
103 テーブルメモリ
104 テンポラリレジスタ
105 プログラムメモリ
106 レジスタ群
107a,107b,107c コンパレータ
108,109,110 加算器
111 テーブルメモリ2
112 テーブルメモリ3
113 レジスタ
120,121,122 直線近似手段
123,124 デコーダ
125,126,127,128 セレクタ
200 積算部
201 乗算器
202 レジスタ
203 比較器
204 除算器
205 スイッチ
210 変換手段
211 選択電圧発生部
220 配線
221 平均輝度レベル検出手段
222 駆動電圧算出部
301 表示パネル
302 走査回路
303 変調回路
304 補正回路
305 検出回路
306A,306B,306C 制御回路
1001 基板
1002 冷陰極素子
1003 行配線(走査配線)
1004 列配線(変調配線)
1005 リアプレート
1006 側壁
1007 フェースプレート
1008 蛍光膜
1009 メタルバック
2021R,2021G,2021B FIFOメモリ
2022 セレクタ

Claims (5)

  1. 数の行配線および複数の列配線を介して駆動されるマトリクス状に配置された複数の表示用素子を備えた表示パネルと、
    前記行配線を走査する走査手段と、
    画像データに基づいて、前記列配線に変調信号を供給する変調手段と、
    少なくとも前記行配線の抵抗分によって発生する電圧降下の影響による表示輝度の低下を補償するための補正処理を、画像データに施す補正手段と、
    前記補正手段により補正された複数の画像データの値の内の最大値から、オーバーフローを抑制する係数を算出する手段と、
    複数の画像データの値の積算値に基づいて、前記表示パネルの表示輝度を制御する係数を算出する手段と、
    前記オーバーフローを抑制する係数と前記表示輝度を制御する係数の内の小さいほうの係数を選択する手段と、
    選択した係数を補正された画像データまたは補正される前の画像データに乗算する乗算器と、
    を有することを特徴とする表示装置。
  2. 数の行配線および複数の列配線を介して駆動されるマトリクス状に配置された複数の表示用素子を備えた表示パネルと、
    前記行配線を走査する走査手段と、
    画像データに基づいて、前記列配線に変調信号を供給する変調手段と、
    少なくとも前記行配線の抵抗分によって発生する電圧降下の影響による表示輝度の低下を補償するための補正処理を、画像データに施す補正手段と、
    前記補正手段により補正された複数の画像データの値の内の最大値から、オーバーフローを抑制する係数を算出する手段と、
    複数の画像データによって決まるAPLの値に基づいて、前記表示パネルの表示輝度を制御する係数を算出する手段と、
    前記オーバーフローを抑制する係数と前記表示輝度を制御する係数の内の小さいほうの係数を選択する手段と、
    選択した係数を補正された画像データまたは補正される前の画像データに乗算する乗算器と、
    を有することを特徴とする表示装置。
  3. 前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値に基づいて算出される請求項1もしくは2に記載の表示装置。
  4. 前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値を、複数のフレームのそれぞれに対応して決定し、決定された複数の最大の値を平均化した値に基づいて算出される請求項1もしくは2に記載の表示装置。
  5. 前記オーバーフローを抑制する係数は、1フレーム分の補正された画像データの値、の内の最大の値に基づいて算出される係数を、複数のフレームのそれぞれに対応して決定し、決定された複数の係数を平均化した値である請求項1もしくは2に記載の表示装置。
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