JP3926820B2 - 耐火セグメント及び耐火トンネル構造 - Google Patents
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このため、トンネル内火災による筒状壁体の劣化、損傷を防ぐため、例えば、セラミックスなどの耐火難燃性材料を板状に形成した耐火パネルを、筒状壁体の内面全体に貼り付けることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
この耐火パネルは、例えば、筒状壁体を構成するセグメントに埋め込んだアンカーボルトを耐火パネルに形成した孔へ挿通させ、アンカーボルトへナットをねじ込んで締結固定することにより筒状壁体の内面に固定される。また、セグメントのアンカーボルトにブラケットを固定し、このブラケットにボルト、ナットによって耐火パネルを締結固定することもある。
また、この耐火パネルは、筒状壁体を構成するセグメントよりも小さいものしか製造できず、このため、筒状壁体の内面全体を覆うために、大量の耐火パネルを必要とし、コストアップも避けられなかった。
しかも、耐火パネル同士の目地から火炎が吹き込まないように、耐火パネルの目地を耐火材からなる敷目板によって覆わなければならず、その施工にも多大な手間を要していた。
さらに、鎮火後における補修の際には、火炎によって劣化した耐火パネルを筒状壁体の内面から全て取り外し、新たなものに交換しなければならず、その補修作業にも多大な労力を要していた。
また、筒状壁体の内面に耐火材を吹き付け、この耐火材によって筒状壁体の内面全体を覆う施工方法もあるが、工期が長く、しかも、吹き付けの厚み管理が極めて困難であり、さらには、内面の仕上げ施工作業も行わなければならず、多大な手間、労力及び時間を要してしまう。
なお、少なくとも鋼殻体から内周面側へ露出する内周側構造部材で囲われた部分のコンクリートが耐火コンクリートであれば良いが、鋼殻体内へ充填するコンクリート全体を耐火コンクリートとしても良い。
これにより、耐火セグメントの接合箇所における突出部同士の間の凹部に耐火パネルを嵌め込むため取り付け作業が容易になると共に耐火パネルの使用枚数が少なくなり、コストを低減できる。しかも、突出部と耐火パネルとを同一厚さとすることにより筒状壁体の内面を平滑にすることができる。
また、鎮火後は、耐火セグメントの継ぎ目部分と内周側構造部材とに設けた耐火パネルを取り替えるとともに、多少劣化した耐火セグメントの内表面をはつって新たに耐火コンクリートを塗ることにより、容易に補修を行うことが可能である。
なお、耐火セグメントとしては、少なくとも鋼殻体から内周面側へ露出する内周側構造部材で囲われた部分のコンクリートが耐火コンクリートとされていれば良いが、鋼殻体内へ充填するコンクリート全体を耐火コンクリートとしたものを用いても良い。
これにより、筒状壁体の内周面における耐火セグメント同士の間への耐火パネルの取り付けの容易化が図られ、施工作業のさらなる容易化が可能とされる。しかも、突出部と耐火パネルとを同一厚さとすることにより、内面を平滑にすることができる。
つまり、この耐火セグメントを用いることにより、トンネル内面全体に耐火パネルを貼り付ける必要がないので、施工作業にかかる手間、労力及びコストを大幅に削減することができ、工期を大幅に短縮させることができる。
また、鎮火後は、耐火セグメントの継ぎ目部分と内周側構造部材に設けた耐火パネルを取り替えるとともに、多少劣化した耐火セグメントの内表面をはつって新たに耐火コンクリートを塗ることにより、極めて容易に補修を完了させることができる。
図1は実施形態に係る耐火トンネル構造を示す筒状壁体の部分断面図、図2は実施形態に係る耐火セグメントの斜視図、図3は図2に示す耐火セグメントのA−A線断面図、図4は耐火セグメントを構成する鋼殻体の斜視図である。
図1に示すように、筒状壁体1は、複数の耐火セグメント2を接合することにより構成されている。
図2〜図4に示すように、耐火セグメント2は円弧板形状をしており、鋼材を円弧状に湾曲させて所定厚みの枠状に結合させた鋼殻体3と、この鋼殻体3の空間部内に充填された耐火コンクリート4とから構成されている。
外周側構造部材5は、短手方向(掘削穴の軸方向)に関しては、外周面に沿って延在する線状のプレート部5aと、耐火セグメント2の厚み方向に沿って延在するプレート部5cとを有し、長手方向(掘削穴の周方向)に関しても、外周面に沿って延在するプレート部5bと、耐火セグメント2の厚み方向に沿って延在するプレート部5dとを有している。
また、外周側構造部材5のプレート部5c、5d及び内周側構造部材6のプレート部6c、6dには、シール溝9が形成されており、このシール溝9には、耐火セグメント2同士を接合させた際に、互いに密着するシール材10が配設される。
また、耐火セグメント2は、鋼殻体3の内周側構造部材6によって囲われた部分における厚みが、耐火コンクリート4を内周側に突出させることにより厚くされている。
そして、この筒状壁体1の凹部1aには、突出部4aの突出寸法と略同一厚さ寸法の耐火パネル26が嵌め込まれている。そして、この耐火パネル26を凹部1aに嵌め込むことにより、この耐火パネル26によって、各耐火セグメント2の鋼殻体3の内周側構造部材6、6及び耐火セグメント2、2同士の継ぎ目部分が覆われる。しかも、筒状壁体1は図1に示すように耐火セグメント2の突出部4aと耐火パネル26とが交互に四方に配列されることで、内面が平滑化されている。
コンクリートが硬化したら、型枠内から鋼殻体3と耐火コンクリート4とが一体化された円弧板状の耐火セグメント2を取り出し、所定期間養生させる。
耐火トンネルを構築するには、シールドマシンにより掘削穴を形成しつつ、このシールドマシンの後方側にて、掘削穴の内面に沿って耐火セグメント2を接合して筒状壁体1を構築する。
耐火セグメント2同士を接合させるには、既に構築した筒状壁体1の耐火セグメント2の周方向接合面に、接合する耐火セグメント2の周方向接合面を当接させ、次いで、この接合する耐火セグメント2をジャッキによって筒状壁体1側へ押し込む。
これにより、耐火セグメント2が既設の筒状壁体1へ順に接合され、筒状壁体1がシールドマシンによる掘削穴の掘削とともに徐々に構築される。
上記作業により、耐火セグメント2からなる筒状壁体1の耐火セグメント2間に耐火パネル26が貼り付けられ、耐火セグメント2の耐火コンクリート4からなる突出部4a及び耐火パネル26が内周面に露出された内面平滑な耐火トンネルが構築される。
なお、耐火パネル26は、例えば、接着剤によって耐火セグメント2に接着固定しても良い。また、耐火セグメント2と耐火パネル26との間に隙間が生じる場合には、その隙間に耐火コーキングを充填するのが好ましい。
つまり、この耐火セグメント2を用いることにより、トンネル内面全体に耐火パネル26を貼り付ける必要がないので、施工作業にかかる手間、労力及びコストを大幅に削減することができ、工期を大幅に短縮させることができる。
しかも、突出部4aと耐火パネル26とを同一厚さとすることにより、筒状壁体1の内面を平滑にすることができる。
そして、この耐火セグメント32を組み込んだ筒状壁体31からなるトンネル構造は、各耐火セグメント32、32同士の継ぎ目と内周側構造部材6に耐火パネル26をボルトや接着剤等で取付ける構造を備えている、そのため、筒状壁体31の内周面は耐火セグメント32、32同士の継ぎ目と内周側構造部材6に設けた耐火パネル26がその厚み分だけ内側に突出する構造であるため、内面平滑ではないものの、上記の実施形態と同様に、多大な手間、労力を要することなく、安価に良好な耐火性を確保することができる。また、上記実施形態と比較しても耐火セグメント32の製造が一層容易になる。
また突出部4aを有さない図6に示すセグメント32において、内周面側に露出するコンクリート層部分を図7と同様に繊維混入コンクリート4aで形成し、他の部分を繊維を含まないコンクリート4bで構成してもよい(図6で一点鎖線で図示)。
図8に示す耐火セグメント2または32において、互いに当接されるリング間継手22の一方をなす雌継手22bに、内部にバネ性を有するリング状ワッシャ40を複数配列した筒状部41がアンカー筋でコンクリート4に固着されている。リング間継手22の他方をなす雄継手22aはアンカーの先端に設けた筒状のピン42を有し、このピン42の外周面には鋸状の凸部43が周方向に複数配列されている。
そして、ピン42を雌継手22bの筒状部41内に挿入することで凸部43がリング状ワッシャ40に弾性係止させられ、連結される。
1a 凹部
2、32 耐火セグメント
3 鋼殻体
4 耐火コンクリート
4a 突出部
26 耐火パネル
Claims (4)
- 掘削穴の内面に沿って周方向及び軸方向に複数連結されることで筒状壁体を構成する円弧板状のセグメントであって、
鋼材を枠状に結合させた鋼殻体と、該鋼殻体の内部に充填されたコンクリートとからなり、
前記鋼殻体は、地山側の外周面に沿ってセグメントの長手方向に延在する一対のプレート部と厚み方向に沿って延在する他のプレート部によって四辺の角部を覆う外周側構造部材と、内空側の内周面に沿ってセグメントの長手方向に延在する一対のプレート部と厚み方向に沿って延在する他のプレート部によって四辺の角部を覆う内周側構造部材と、前記外周側構造部材の外周面に沿うプレート部及び前記内周側構造部材の内周面に沿うプレート部を互いに連結する接続部とを備えており、
前記コンクリートは少なくとも内周面側に露出する前記内周側構造部材で囲われた部分が繊維を混入した耐火コンクリートであることを特徴とする耐火セグメント。 - 前記内周面側に露出するコンクリートの内周側構造部材で囲われた部分は、前記内周側構造部材よりも内周面側に突出する突出部が形成され、前記耐火セグメントを互いに接合した際に前記突出部同士の間に、耐火セグメントの継ぎ目部分と前記内周面側構造部材を覆う耐火パネルが嵌め込まれる凹部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐火セグメント。
- 円弧板状のセグメントを掘削穴の内面に沿って周方向及び軸方向に連結して構築されたトンネルの構造であって、
前記セグメントは、鋼材を枠状に結合させた鋼殻体の内部にコンクリートを充填してなり、
前記鋼殻体は、地山側の外周面に沿ってセグメントの長手方向に延在する一対のプレート部と厚み方向に沿って延在する他のプレート部によって四辺の角部を覆う外周側構造部材と、内空側の内周面に沿ってセグメントの長手方向に延在する一対のプレート部と厚み方向に沿って延在する他のプレート部によって四辺の角部を覆う内周側構造部材と、前記外周側構造部材の外周面に沿うプレート部及び前記内周側構造部材の内周面に沿うプレート部を互いに連結する接続部とを備えており、
前記コンクリートは少なくとも内周面側に露出する内周側構造部材で囲われた部分を繊維が混入された耐火コンクリートとした耐火セグメントからなり、
該耐火セグメント同士の継ぎ目部分と前記内周側構造部材とを覆って耐火パネルが貼り付けられていることを特徴とする耐火トンネル構造。 - 前記内周面側に露出するコンクリートの内周側構造部材で囲われた部分は、前記内周側構造部材よりも内周面側に突出する突出部が形成され、互いに接合された前記耐火セグメントの突出部同士の間に前記耐火パネルが嵌め込まれて取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の耐火トンネル構造。
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