JP3925463B2 - 家畜糞尿用消臭剤及び消臭方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、家畜用消臭剤、詳しくは家畜及びその糞尿由来の悪臭に効果を有する消臭剤およびそれを用いた消臭方法ならびに家畜糞尿の堆肥化方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、家禽、豚、牛などの畜産経営の大規模化により、家畜由来の悪臭、特に糞尿由来の悪臭が大規模に発生している。畜産経営上、家畜に由来する悪臭の消臭は近隣住民への配慮の点から重要な課題である。また、家畜糞尿に関しては、平成12年に施行された「家畜***物法」により、平成16年10月にはその野積みが禁止され、屋内保管する事が義務つけられている。そのため、家畜糞尿により発生する悪臭が屋内に充満し、作業環境の悪化が進む可能性の高いことから糞尿由来の悪臭の除去が急務となっている。
また、大量発生する家畜糞尿の利用の面では、糞尿の堆肥化、有機肥料化が注目を浴びており、畜産・家禽業者だけでなく地方自治体などによる堆肥化施設の建設が行われている。しかしながら、家畜糞尿から発生する悪臭が、それらの利用上の問題になっている場合も多い。そのため、消臭、脱臭効果が高くかつ安全で安価な消臭・脱臭剤の開発が望まれている。
【0003】
これらに対して、以下のように様々な研究が行われている。
鶏糞と25%以上の石灰窒素とアンモニア中和剤(過リン酸石灰、硫酸リグニン、フミン酸、木粉、ゼオライト、パ−ライト等)を混合することによる鶏糞処理方法(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
家畜糞由来のアンモニア、アミン類等の窒素性悪臭ガスを希硫酸を含浸させたリグニン質又はを含むオガコ,チップ、ピ−トモス等に吸着させる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
家畜糞等の複合ガスを酸洗浄してアンモニア、アミン等の塩基性成分を除去後アルカリ性にpH調整したリグニンスルホン酸溶液で処理することにより硫化水素、メルカプタン等の硫黄性悪臭成分を除去する方法(例えば、特許文献3参照)硫酸第1鉄を主成分とする水溶液にクエン酸またはリンゴ酸等を溶解した溶液を用いることによる家畜糞尿の消臭方法(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
アルカリ金属の炭酸水素塩とミョウバンを有効成分とすることで家畜、ペット等に消臭効果を示す消臭剤を得る方法(例えば、特許文献5参照)。
茶殻、酵母発酵粕及びマンナンオリゴ等から選ばれ等少なくとも1種を、糞尿に添加することによるアンモニア発生量を抑制する方法(例えば、特許文献6参照)。
【0007】
フィチン酸と鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、マンガン、コバルト等の金属イオンとにより生成したフィチン酸金属錯化合物を用いることによる、ペット動物またその糞尿の消臭に有効な消臭・防臭剤を提供する方法(例えば、特許文献7参照)。
【0008】
マメ類、穀類およびイモ類などの利用残差に乳酸菌や酵母類を添加、発酵させた生産物を糞尿、生ゴミ、家畜舎などに消臭液、飼料添加物として用いる消臭方法(例えば、特許文献8参照)。
【0009】
広葉樹木酢液、針葉樹木酢液及び腐葉土抽出エキスから選ばれた消臭成分の1種または2種以上を希釈(1〜300倍)とした消臭液主剤に対し、除菌成分(塩化ナトリウム、過酸化モノ硫酸カリウム、陽イオン交換樹脂、植物性酵素)の1種を0.01〜5%の範囲で添加する洗浄除菌消臭液を用いるメルカプタン、アンモニア等の消臭方法(例えば、特許文献9参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開昭49−30174(第1項−第2項)
【特許文献2】
特開昭53−14187(第1項−2項)
【特許文献3】
特公平4−5484(第2項)
【特許文献4】
特開平6−165815(第2項)
【特許文献5】
特開平7−163641(第2項−第3項)
【特許文献6】
特開平9−38184(第2項−第3項)
【特許文献7】
特開平9−202721(第2項−第4項)
【特許文献8】
特開平11−104222(第2項−第4項)
【特許文献9】
特開平11−29423(第2項−第3項)
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法は必ずしも消臭効果(消臭作用、持続性)、簡便性の面で満足する効果が得られていない。また、特許文献3(特公平4−5484)記載のようにリグニンスルホン酸溶液を利用する方法としては、し尿処理場などから発生する悪臭ガスを、予め酸洗浄して塩基性成分(アンモニア、アミン類)を除去後リグニン溶液で処理することで、硫黄系の悪臭ガス(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル)を除去する方法が紹介されているが酸処理ユニット、リグニン溶液処置ユニットのように大規模かつ複雑で高価な設備を必要としており、大規模糞用処理施設の悪臭処理に適したプラントを提供しているとはいえるが、家畜舎等で簡便に用いる方法とは言えない。加えて、この方法では、使用されるリグニン溶液の条件は、アルカリ性(pH9〜11)であることから、アンモニア、アミン等の脱臭作用はない。
【0012】
一方、木炭を製造する過程で得られる木酢液が環境に優しい消臭剤として利用されているが、市販の消臭剤に比べて、消臭効果の持続性が劣っている。また、市販の一般の消臭剤自体は、悪臭成分を除去するのではなく、より強いにおいを発生させること、すなわちマスキング効果によって、悪臭のにおい感じられなくするもので、消臭の根本的な解決に至っていない。家畜糞尿のような強烈な悪臭に対しては、返って不快臭となる。
【0013】
以上から、環境にやさしく消臭能力、消臭効果の持続性などの点で、更なる改良が強く望まれている。
本発明の目的は、家畜、特にその糞尿に由来する悪臭ガス(アンモニア等)に対して、環境にやさしく十分な消臭効果とその持続性を有し、簡便かつ安全で安価な消臭剤及び消臭方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討した結果、メトキシル基が特定の範囲の含有量であるリグニンスルホン酸又はその塩(以下、両者を併せた略称としてリグニンスルホン酸塩と呼ぶ)若しくはメトキシル基が特定の範囲の含有量であるリグニンスルホン酸塩を含有する亜硫酸パルプ蒸解排液が家畜糞尿、家畜舎、家畜糞尿及び家畜糞尿の堆肥化時の悪臭の発生などに優れた消臭効果を有することを見出した。リグニンスルホン酸の種類は特に問わないが、分子量は少なくとも限外濾過法で分子量1万以上、望ましくは10万以上のものが良好な活性を示す。由来としては、亜硫酸パルプ蒸解排液発底のものが入手し易く使いやすい。消臭剤として効果的に使用するには、リグニンスルホン酸塩若しくはリグニンスルホン酸塩を含有する亜硫酸パルプ蒸解排液のpHを7以下にする。ただし、使用時のpHが7以下であれば事前にpHを7以下にする必要はない。また、リグニンスルホン酸塩若しくはリグニンスルホン酸塩を含有する亜硫酸パルプ蒸解排液を用いることで、家畜糞尿の堆肥化時の悪臭を効果的に抑制でき、屋内外での堆肥化時の作業環境の改善に効果的であることを見出した。
【0015】
【発明の実施の形態】
前述のように本発明で用いる、リグニンスルホン酸塩は特にその由来を問わないが、亜硫酸パルプを生産する工程で得られる亜硫酸パルプ蒸解排液から調製することが容易である。亜硫酸パルプ蒸解排液とは、亜硫酸パルプの製造工程(蒸解工程)で副生する排液であり、亜硫酸パルプの原料(木材チップ)としては、針葉樹材、広葉樹材、これらの混合のいずれを用いたものでもよい。また、亜硫酸パルプ蒸解法としては、酸性亜硫酸法、重亜硫酸法、微酸蒸解亜硫酸法、中性亜硫酸法、多段蒸解法などがあるが、本発明では、どの蒸解法で得られた蒸解排液でも、リグニンスルホン酸塩が得られれば、本発明に用いることができる。亜硫酸パルプ蒸解排液そのものを用いる場合、該排液の固形分濃度は、数%〜20%程度が一般的であるが、この範囲以外の濃度でも用いることができる。
【0016】
さらに、亜硫酸パルプ蒸解排液を、核酸やアルコ−ルを採取するための酵母培養の培地として使用した後の残渣液や、中和を行ったもの、含有されるリグニンスルホン酸のベ−ス置換を行ったもの、限外濾過処理によって分別された濃縮液や透過液を原料としたもの等も用いることができる。ベース置換とは、例えば、カルシウム塩からマグネシウム塩あるいはナトリウム塩にベース置換したり、マグネシウム塩からナトリウム塩などのように金属塩を置換することである。また一般にリグニンスルホン酸塩として市販されているものを用いることもできる。これらは複数種併用してもよい。
【0017】
本発明で用いるリグニンスルホン酸塩又はそれらを含有する亜硫酸パルプ蒸解排液は、pHが7以下である。好ましくは固形分5%に調製したときの水溶液のpHが6以下であることが望ましい。但し、使用時のpHが7以下であれば特に事前のpH調整は省くことができる。しかし、使用時のpHが7を超えると、悪臭物質の消臭効果が低下する。リグニンスルホン酸塩若しくはそれらを含有する亜硫酸パルプ蒸解排液は、経済性、取扱い上の安全性を考慮すると、好ましい範囲としては、pHが2.5以上5以下に事前に調整しておくことが使用時のpH調製の必要性が減少し、便利である。なお、リグニンスルホン酸塩はそれらを含有する亜硫酸パルプ蒸解排液のpHがこの範囲以外である場合は硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、蟻酸などの各種の鉱酸や有機酸で、また、苛性ソーダ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの各種のアルカリを用いて調整することができる。同様に、使用時のpHがアルカリ側である場合は、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、蟻酸などの各種の鉱酸や有機酸で、pH7以下に調整すれば良い。
【0018】
本発明のリグニンスルホン酸塩若しくはそれを含有する亜硫酸パルプ蒸解排液はリグニンスルホン酸塩を主成分としていれば、他に、還元性糖類、糖変成物、無機塩(硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム等)等が含まれていいても問題ない。リグニンスルホン酸は、亜硫酸パルプ蒸解排液の主成分で、スルホン基の他にフェノール性水酸基、カルボキシル基等を有する網目状の構造をした高分子電解質であり、分散性やキレート性、界面活性を示す。一般にリグニンの含有量の指標としては、通常メトキシル(OCH3)基量が用いられ、本発明においても、リグニンスルホン酸の含有量をメトキシル基の量で代用できる。本発明のメトキシル基の量としては針葉樹亜硫酸パルプ蒸解排液の場合で4.2〜11.5%(対固形分重量%)、広葉樹亜硫酸パルプ蒸解排液の場合は4.0〜16.0%(対固形分重量%)である。好ましくは針葉樹亜硫酸パルプ蒸解排液の場合で、5.0〜11.5%(対固形分重量%)、広葉樹亜硫酸パルプ蒸解排液の場合で8.0〜16.0%(対固形分重量%)である。メトキシル基の含有量が低すぎる、つまりリグニンスルホン酸塩の含有量が低すぎると消臭効果が低下するため好ましくない。針葉樹と広葉樹の亜硫酸パルプ蒸解排液で、好ましいメトキシル基含有量が異なる理由は、針葉樹と広葉樹の樹種の違いによって、リグニン当たりのメトキシル基の含有量が異なるためである。広葉樹のほうが一般的にメトキシル基の含有量が高いことが知られている。
【0019】
なお、本発明において、メトキシル基含有量は、ViebockおよびSchwappach法によるメトキシル基の定量法(「リグニン化学研究法」P.336〜340、平成6年 ユニ出版(株)発行、参照)によって測定した値である。
本発明において、リグニンスルホン酸塩の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩のいずれかまたは2種以上が使用できる。特に、取扱い性やコストを考えると、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩のいずれか、もしくはこれらの2種以上が最も好ましい。
【0020】
本発明では、亜硫酸パルプ製造工程から副生する亜硫酸パルプ蒸解排液を、pH調整後そのまま消臭剤として用いることができる。また、必要に応じて適宜濃度調整(希釈、濃縮)してもよい。例えば、物流コスト、ハンドリング、腐敗防止の面から、該排液をエバポレータ等で濃縮(30〜60%程度)したり、スプレードライヤー等で粉末化したり、さらには固形化することもできる。上記のように本発明の消臭剤の剤型は特に制約されることはなくリグニンスルホン酸塩又は亜硫酸パルプ排液若しくははその固形分単独あるいは他の薬剤(抗菌剤、消臭剤、堆肥化促進微生物)と併用して、任意の基質液、基質剤、賦形剤等と併用して液状、スラリ−状、粉末、顆粒、粒状その他成型固形状等、任意の形態をとることができる。
【0021】
本発明の消臭剤の使用方法としては、公知の方法で用いればよく、例えば、家畜糞尿又は家畜舎内への直接散布・添加、又は糞尿発酵設備のチップ等を引き詰めた排気槽への直接散布・添加し、処理する方法などが挙げられる。また、家畜糞尿置場内に予めポリ容器を設置し、また糞尿上部にノズルを取り付け、簡易ポンプ等でノズルに消臭剤を移送させ、家畜糞尿に対して、定期的にまんべんなく吹きかけることにより消臭効果を高め、かつ作業の簡略化をはかるなどの方法もある。
【0022】
堆肥製造においては、堆肥製造に用いる家畜糞に予め本発明の消臭剤を添加、また、堆肥製造時に定期的に散布する等の方法で、悪臭の発生を抑制しつつ良好な堆肥の安定的な製造が可能となる。これは、本消臭剤が堆肥製造過程で生成するアンモニアを吸収し、堆肥過程での異常なアルカリ性への移行を抑制すると共に、堆肥において重要な窒素源であるアンモニアの空気中への放出抑え、堆肥内にとどめる効果を有するためと思われる。
【0023】
本発明の実施にあたっては、リグニンスルホン酸塩又は亜硫酸パルプ蒸解排液の他に、各種の殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、消臭物質等を任意に配合することに、より相乗的に消臭作用を高めることができる。リグニンスルホン酸塩又は亜硫酸パルプ蒸解排液の配合量は、その消臭作用に影響を与えない程度であれば良いが、消臭剤当たり好ましくは20%〜50wt%(固形分)以上配合されていれば十分である。既存の消臭または脱臭性物質としては活性炭、シリカゲル、塩素化合物(塩化アルミ等)、酸化物(亜鉛華)、エチレングリコ−ル類、ホウ素化合物、アミン系物質(ヘキサミン等)、金属イオン(銀、銅、鉄イオン等)、天然系(クロロフィル、植物抽出物、木酢液等)の併用が可能であるが、これらに限定されることはない。
【0024】
本発明の消臭剤は、鶏、豚、牛などの家畜の糞尿から発生するアンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン、スカト−ル等の悪臭成分に対して、顕著な消臭効果を有する。また、本消臭剤を家畜糞尿に添加し、通常の堆肥化処理を行うことで、屋内でも悪臭発生の少ない堆肥化方法及び悪臭が減少しアンモニア分の多い良質な堆肥を提供することができる。
【0025】
【作用】
本発明の消臭剤が優れた消臭効果をもつ理由については明らかではないが、スルホン基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等を有す網目状の構造をした高分子であるリグニンスルホン酸塩が大きく作用しており、酸性側で、その効果が発揮されるものと考えている。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[製造例1]
広葉樹Mgベース酸性亜硫酸蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を、エバポレーターで濃縮した後、苛性ソーダでpH2.5に調整し、固形分50%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0027】
[製造例2]
広葉樹Mgベース酸性亜硫酸蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を核酸製造における酵母の培養(パルプ排液中の糖分を酵母の栄養源として利用)に使用する。そして、酵母を分離した後の残渣(排液)を、エバポレーターで濃縮した後、水酸化マグネシウムでpH4.2に調整を行って、固形分40%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0028】
[製造例3]
針葉樹Caベース酸性亜硫酸法蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を、エバポレーターで濃縮した後、水酸化カルシウムでpH4.0に調整を行って、固形分50%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0029】
[製造例4]
針葉樹Caベース重亜硫酸法蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を用いて、これに炭酸ソーダ(Caの含有量に対して120mol.%)を添加して、85℃で5時間撹拌下で加熱してNaベースにベース置換した。次に分画分子量が1万の限外濾過膜で限外濾過処理(6倍濃縮処理)して得られた濃縮液をエバポレーターで更に濃縮した後硫酸でpH3.0に調整し、固形分30%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0030】
[製造例5]
広葉樹Mgベース酸性亜硫酸蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を核酸製造における酵母の培養(パルプ排液中の糖分を酵母の栄養源として利用)に使用する。そして、酵母を分離した後の残渣(排液)を用いて、分画分子量が1万の限外濾過膜で限外濾過処理(8倍濃縮処理)して得られた濃縮液をエバポレーターで濃縮した後、苛性ソーダでpH4.2に調整を行って、固形分30%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0031】
[製造例6]
針葉樹Naベース重亜硫酸法蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を用いて、これを分画分子量が10万の限外濾過膜で限外濾過処理(3倍濃縮処理)して得られた透過液をエバポレーターで濃縮後、水酸化カリウムでpH5.2に調整し、固形分52%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0032】
[製造例7]
広葉樹Mgベース酸性亜硫酸蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液(固形分12%濃度、pH1.4)。物性を表1に示す。
【0033】
[比較製造例1]
広葉樹Mgベース重亜硫酸蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を、エバポレーターで濃縮した後、苛性ソーダでpH8.8に調整を行って、固形分50%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
【0034】
[比較製造例2]
針葉樹Caベース酸性亜硫酸法蒸解法によって得られた亜硫酸パルプ蒸解排液を用い、これに炭酸ソーダ(Caの含有量に対して120mol.%)を添加し、85℃で5時間撹拌下で加熱してNaベースにベース置換した。次に分画分子量が1万の限外濾過膜で限外濾過処理して得られた通過液をエバポレーターで濃縮後、硫酸でpH4.2に調整を行って、固形分30%濃度とした。得られた濃縮液の物性を表1に示す。
[比較製造例3]
一般に市販されている木酢液((株)トヨチュー製 木酢液)を用いた。
【0035】
【表1】
表-1各製造例の物性一覧
【0036】
実施例1:鶏糞の消臭効果
鶏糞100gを三角フラスコに入れて、各製造例で得られた濃縮液を水で固形分10%に希釈した水溶液10gを、スプレーでまんべんなく散布した(比較製造例3は無希釈で10g散布した)。消臭剤の添加前と添加後において、フラスコ内のアンモニア濃度を検知管((株)ガステック製アンモニアガス検知管)で測定した。結果を表2に示す。ここから判るように、リグニンスルホン酸塩特にpH7以下に調整したリグニンスルホン酸塩に優れた効果があることが判る。
【0037】
【表2】
表2 鶏糞の消臭効果例
【0038】
実施例2:牛糞の消臭効果
鶏糞のかわりに牛糞100gを用いて、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表3に示す。牛糞に対しても、リグニンスルホン酸塩特にpH7以下に調整したリグニンスルホン酸塩に優れた効果があることが判る。
【0039】
【表3】
表3 牛糞の消臭効果例
【0040】
実施例3:豚糞発酵排気設備排気槽の消臭
豚糞発酵設備(溶液10m3、フジ化成株式会社製)排気用チップ槽(表面積100m2×高さ1m)に、各製造例で得られた濃縮液を水で固形分5%に希釈した水溶液100kgを動力噴霧器でまんべんなく散布した(比較製造例3は、木酢液を無希釈で100kg散布した)。消臭剤の添加前と添加後において、チップ槽から5cm上にて10カ所、フラスコ内のアンモニア濃度を検知管((株)ガステック製 アンモニアガス検知管)で測定し、平均値を算出した。結果を表4に示す。ここから判るように、リグニンスルホン酸塩特にpH7以下に調整したリグニンスルホン酸塩は豚糞発酵設備でも優れた消臭効果があることが判る。
【0041】
【表4】
表4 豚糞発酵設備排気槽の消臭効果例
【0042】
実施例4:養豚用の豚舎における消臭効果
養豚用の豚舎6棟(生後3ヶ月〜6ヶ月の肥育用豚1000頭肥育)に実施例1、3、5比較例1で得られた濃縮液を水で固形分2%に希釈した水溶液250kgを動力噴霧器でまんべんなく散布した(比較製造例3は、木酢液を5倍に希釈し250kg散布した)。消臭剤の添加前と添加後(添加1時間後、1日後、3日後、7日後)において、悪臭の強さを8人のパネラ−による6段階臭気強度法による官能試験で判定した。ここからわかるように、豚舎においても、リグニンスルホン酸塩特にpH7以下に調整したリグニンスルホン酸塩は豚舎でも優れた消臭効果があることが判る。
なお、評価基準を以下に示す。
6段階臭気強度
0:無臭
1:やっと感知できるニオイ
2:何のニオイであるかがわかる弱いニオイ
3:らくに感知できるニオイ
4:強いニオイ
5:強烈なニオイ
【0043】
【表5】
表5 豚舎の消臭効果
【0044】
実施例5
製造例1により調製した消臭剤100kgを含水率80%の豚糞1tに混合し開放・無通気・回行型堆肥発酵装置に30日間対流させ、堆肥化処理を行った(試験区)。対照として、消臭剤を添加せず同様の処理を行った(対照区)。これらの堆肥化において、アンモニアの最も発生する期間中期にアンモニア発生濃度を測定し、得られた堆肥についてコマツナの発芽率を観察した。結果を、表5に示す。ここから判るように、リグニンスルホン塩を用いることにより優れた堆肥化効果があることが判る。
【0045】
【表6】
表6 堆肥化試験
【0046】
【発明の効果】
本発明の消臭剤を、家畜及び家畜糞尿から発生する悪臭(アンモニア、アミン等が含まれる悪臭)に対する消臭剤として使用することで、十分な消臭効果とその持続性を得ることができる。また、本発明によって、木材成分由来であることから環境に優しく、より安価で効果の高い家畜糞尿用及び家畜舎用消臭剤及びそれを用いた消臭方法並びに家畜糞尿の良好な堆肥化方法を提供できる。
Claims (5)
- pHを7以下に調整した、メトキシル基含有率が、リグニンスルホン酸固形分当たり4.2〜11.5%の針葉樹由来のリグニンスルホン酸もしくはその塩を含有することを特徴とする家畜およびその糞尿由来の悪臭に効果を有する消臭剤。
- pHを7以下に調整した、メトキシル基含有率が、リグニンスルホン酸固形分当たり4.0〜16.0%の広葉樹由来のリグニンスルホン酸もしくはその塩を含有することを特徴とする家畜およびその糞尿由来の悪臭に効果を有する消臭剤。
- pHを7以下に調整した、メトキシル基含有率が、リグニンスルホン酸固形分当たり4.2〜11.5%の針葉樹由来のリグニンスルホン酸もしくはその塩を含有する亜硫酸パルプ蒸解排液を主成分とする家畜およびその糞尿由来悪臭用の消臭剤。
- pHを7以下に調整した、メトキシル基含有率が、リグニンスルホン酸固形分当たり4.0〜16.0%の広葉樹由来のリグニンスルホン酸もしくはその塩を含有する亜硫酸パルプ蒸解排液を主成分とする家畜およびその糞尿由来悪臭用の消臭剤。
- 請求項1から4のいずれか1項記載の消臭剤を使用することを特徴とする家畜糞尿の堆肥化方法。
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