JP3925207B2 - 流量制御弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エア等の流体の流量を制御する流量制御弁、更に詳しくは電磁作動機構の出力に対して比例的に制御する流量制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁作動機構の出力に対して比例的に制御する流量制御弁は、一般にスリーブ内に摺動可能に配設されたスプールを電磁ソレノイドの吸引力とスプリングの反力とがバランスした位置に作動せしめるスプール弁が用いられている。
スプール弁は、側面にポートが形成されたスリーブの内周面に沿ってスプールが摺動する構成であるため
、両者間にはクリアランスを設ける必要があるとともに、ゴム等のシールが使用できないので、完全なシールが不可能である。スリーブとスプール間のシール性を高めるには、両者間のクリアランスを極小さくして摺動性を確保する必要がある。しかしながら、このような要求を満たすためには高精度な加工が必要となり、加工コストが増大する。また、スプール弁は、スリーブとスプールとの間に埃等が噛み込むと作動不良を起こす。このようなスプール弁式流量制御弁の問題を解消するために、本出願人はポペット弁式の流量制御弁を特開2000−55211として提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2000−55211にて提案した流量制御弁は、2ウエイバルブ式流量制御弁であって、給気と排気を切替えるための別のバルブと組み合わせて使用する必要があるため、流体回路構成が煩雑になるとともに、組み合わせた別のバルブの作動回数が非常に多くなるという問題がある。
【0004】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術課題はシール性が良好なポペット弁機構を用いて電磁作動機構の出力に対して比例的に制御することができる3ウエイバルブ式流量制御弁を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、「入力ポートと出力ポートおよび排出ポートを備えたバルブボディと、該バルブボディ内に配設され該各ポートの連通を制御する弁機構と、電磁コイルユニットを備え該弁機構を駆動する電磁作動機構を有する流量制御弁であって、
該バルブボディには該入力ポートと出力ポートとを連通する連通室と該連通室の両側に互いに対向して形成された2個の弁穴が設けられ、該連通室には環状の仕切り板が配設されており、
該弁機構は、一端部に設けられ該弁穴の一方に摺動可能に嵌合される摺動部と、中央部に設けられ該環状の仕切り板の内周に形成された着座部に着座するテーパ−面からなる第1の弁部と、他端部に設けられた第2の弁部と、軸方向に貫通して設けられ該排出ポートと連通する連通路とを備えた第1の弁体と、
該弁穴の他方に摺動可能に嵌合される摺動部と、一端部に設けられ該第1の弁体の第2の弁部と当接する弁部と、軸方向に貫通して設けられ該排出ポートと連通する連通路とを備えた第2の弁体と、
該第1の弁体の該摺動部と該一方の弁穴の内周面との間に配設された第1のシールと、
該第2の弁体の該摺動部と該他方の弁穴の内周面との間に配設された第2のシールと、
該一方の弁穴の内部で該バルブボディと該第1の弁体との間に配設され、該第1の弁体を該第1の弁部が該仕切り板の該着座部に着座する方向に付勢する第1のスプリングと、
該第1の弁体と該第2の弁体との間に配設された両者を離間する方向に付勢する第2のスプリングと、を具備し、
該第1のシールおよび該第2のシールの摺動面径と、該第1の弁体の該第1の弁部における該仕切り板の該着座部に着座する当接部の径と、該第2の弁体の弁部と該第1の弁体の該第2の弁部とが当接する当接部の径とが等しく設定されており、
該電磁作動機構は、該電磁コイルユニットに電圧を印加したときに該第2の弁体を該第1の弁体側に移動させるように構成されている、ことを特徴とする流量制御弁」が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された流量制御弁の好適な実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0007】
図1には、本発明に従って構成された流量制御弁の第1の実施形態が示されている。
図示の実施形態における流量制御弁2は、バルブボディ3と、該バルブボディ3内に配設された弁機構4と、該弁機構4を駆動する電磁作動機構5とを具備している。バルブボディ3は、図示の実施形態においては2個のボディピース3a、3bからなっている。このように2個のボディピース3a、3bからなるバルブボディ3には、入力ポート31と出力ポート32および排出ポート33が形成されている。バルブボディ3の中央部には、上記入力ポート31と出力ポート32を連通する連通室34が形成されている。また、バルブボディ3には、連通室34の両側に互いに対向して形成された2個の弁穴35aと35bが設けられている。一方の弁穴35aは一方のボディピース3aの中心部に設けられており、連通室34に開口するとともに上記排出ポート33に連通している。他方の弁穴35bは他方のボディピース3bの中心部に上記弁穴35aと同一軸線上に設けられており、上記連通室34に開口している。2個のボディピース3a、3bからなるバルブボディ3に形成された連通室34には、環状の仕切り板36が配設されており、この仕切り板36と後述する弁機構4によって連通室34が入力側室34aと出力側室34bに区画される。
【0008】
上記バルブボディ3内に配設される弁機構4は、上記一方の弁穴35aに摺動可能に配設された第1の弁体41と、上記他方の弁穴35bに摺動可能に配設された第2の弁体42を具備している。第1の弁体41は、一端部に設けられ弁穴35aに摺動可能に嵌合される摺動部411と、中央小径部412と、摺動部411と中央小径部412との間に形成され上記仕切り板36の内周に形成された着座部361に着座するテーパ−面からなる第1の弁部413と、他端部に設けられた第2の弁部414を備えている。なお、第1の弁体41を構成する摺動部411の外径(D1)と第2の弁部414の外径(D2)とは同径に形成されている。第1の弁体41には軸方向に貫通する連通路415が形成されており、この連通路415は第1の弁体41の一端側即ち図1において左端とボディピース3aとの間に形成された第1の圧力室37を通して上記排出ポート33に連通される。このように、第1の圧力室37は上記一方の弁穴35aの一部をなしている。なお、ボディピース3aに形成された弁穴35aの内周面の一部には上記摺動部411の外周面に摺接する第1のシール43が装着されている。この第1のシール43は、上記連通室34の入力側室34a即ち入力ポート31と第1の圧力室37即ち排出ポート33とを仕切っている。
【0009】
上記弁穴35bに摺動可能に配設された第2の弁体42は、弁穴35bに摺動可能に嵌合される摺動部421と、一端部即ち第1の弁体41と対向する側の端部に設けられ摺動部421より大径に形成された弁部422を備えている。第2の弁体42を構成する弁部422は、上記第1の弁体41の第2の弁部414と対向する端部に形成され第2の弁部414の外周縁が当接するテーパ−内周面からなる着座部422aを備えている。なお、弁部422の周囲には、軸方向に貫通して形成された連通溝422bが設けられている
。第2の弁体42には軸方向に貫通する連通路423が形成されている。この連通路423は、上記第1の弁体41に形成された連通路415および第1の圧力室37を通して排出ポート33に連通しているとともに、第2の弁体42の他端側即ち図1において右方に形成された第2の圧力室38に連通している、従って、第1の圧力室37と第2の圧力室38は、上記第1の弁体41に形成された連通路415と第2の弁体42に形成された連通路423を通して連通されている。なお、ボディピース3bに形成された弁穴35bの内周面の一部には上記摺動部411の外周面に摺接する第2のシール44が装着されている。この第2のシール44は、上記連通室34の出力側室34b即ち出力力ポート32と第2の圧力室38即ち排出ポート33とを仕切っている。なお、図示の実施形態においては、第1の弁体41の第2の弁部414と第2の弁体42の弁部422との関係において、第2の弁体42の弁部422に着座部422aを設けた例を示したが、第1の弁体41の第2の弁部414に着座部を設けてもよい。
【0010】
図示の実施形態においては、上記第1のシール43および第2のシール44と摺接する摺動面径、即ち第1の弁体41の摺動部411の外径(D1)および第2の弁体42の摺動部421の外径(D3)と、第1の弁部413のテーパ−面からなる第1の弁部413における上記仕切り板36の着座部361に着座する当接部の径(D4)(仕切り板36の着座部361の径)、第2の弁体42のテーパ−内周面からなる着座部422aにおける第1の弁体41の第2の弁部414の外周縁が当接する当接部の径(D5)(第2の弁部414の外径(D2))が全て等しく構成されている。なお、図示の実施形態においては第1のシール43および第2のシール44がバルブボディ3に装着されているのでシールと摺接する摺動面径は第1の弁体41の摺動部411の外径(D1)および第2の弁体42の摺動部421の外径(D3)となるが、第1のシール43および第2のシール44を第1の弁体41および第2の弁体42に装着した場合にはシールと摺接する摺動面径はバルブボディ3に形成された弁穴35aおよび弁穴35bの外径となる。
【0011】
上記一方の弁穴35aの一部をなす上記第1の圧力室37には、第1の弁体41の一端とバルブボディ(ボディピース3a)との間に第1の圧縮コイルスプリング45が配設されており、この第1の圧縮コイルスプリング45は、第1の弁体41を図1において右方、即ち第1の弁体41の第1の弁部413を仕切り板36の着座部361に着座する方向に付勢している。また、第1の弁体41と第2の弁体42の間には第2の圧縮コイルスプリング46が配設されており、この第2の圧縮コイルスプリング46は両弁体を互いに離間する方向に付勢している。ここで、第1の圧縮コイルスプリング45および第2の圧縮コイルスプリング46のスプリング特性およびセット圧について、図2を参照して説明する。第1の圧縮コイルスプリング45は、自由長においてL1の長さを有しており、セット時には第1のセット位置S1まで圧縮されてセットされ、この時のセット荷重はF1である。このようにセットされた第1の圧縮コイルスプリング45は、第1のセット位置S1から圧縮終端位置S0まで第1コイルスプリング荷重線SL1に沿って直線的に荷重が変化する。また、第2の圧縮コイルスプリング46は、自由長においてL2の長さを有しており、セット時には第2のセット位置S2まで圧縮されてセットされる。この時のセット荷重はF2である。このようにセットされた第2の圧縮コイルスプリング46は、第2のセット位置S2から第2の弁体42が第1の弁体41に当接する第1のセット位置S1まで第2コイルスプリング荷重線SL2に沿って直線的に荷重が変化する。この第2の圧縮コイルスプリング46が第1のセット位置S1まで圧縮された状態のスプリング荷重、即ち第2の圧縮コイルスプリング46のフルストローク時の荷重はF21であり、上記第1の圧縮コイルスプリング45のセット荷重F1より低い。なお、第1の圧縮コイルスプリング45の第1コイルスプリング荷重線SL1と第2の圧縮コイルスプリング46の第2コイルスプリング荷重線SL2は、その傾斜角即ちばね定数が同一に設定されている。
【0012】
上述したばね定数を有する第1の圧縮コイルスプリング45および第2の圧縮コイルスプリング46が図1に示すように配設されると、第1の弁体41の第1の弁部413は第1の圧縮コイルスプリング45のスプリング荷重よって仕切り板36の着座部361に着座し、第2の弁体42を構成する弁部422の図において右端がボディピース3bにおける弁穴35bの図において左端側に形成された段部301bに当接せしめられる。従って、第2の弁体42の弁座部422を構成するテーパ−内周面からなる着座部422aと第1の弁体41を構成する第2の弁部414の外周縁との間には、セット状態においては図1に示すように隙間が形成される。
【0013】
次に、上述した弁機構4を駆動する電磁作動機構5について説明する。
図示の実施形態における電磁作動機構5は、上記バルブボディ3を構成するボディピース3bの図において右端部に装着されたケーシッグ51と、該ケーシッグ51内に配設された電磁コイルユニット52と、該電磁コイルユニット52によって発生する磁路を形成する固定ヨーク53と、電磁コイルユニット52内において固定ヨーク53に発生する磁力により吸引される可動ヨーク54と、該可動ヨーク54と連結される作動ロッド55とを具備している。電磁コイルユニット52は、適宜の合成樹脂によって形成された環状のボビン521と、該ボビン521に巻き付けられたコイル522と、第コイル522に電力を供給するリード線523とからなっている。
【0014】
上記固定ヨーク53は磁性材によって形成されており、筒状部531と該筒状部531の軸方向中間部に径方向に形成された環状部532とからなっており、環状部532がボディピース3bと電磁コイルユニット52との間に挟持される。また、固定ヨーク53を構成する筒状部531は、環状部532より図において左側の部分がボディピース3bに形成された嵌合穴302bに嵌合され、環状部532より図において右側の部分が電磁コイルユニット52を構成する環状のボビン521の中央穴521aに嵌合される。固定ヨーク53を構成する筒状部531には、中心部に軸方向に貫通する挿通穴531aが形成されているとともに、該挿通穴531aの径方向外側に軸方向に貫通する複数個の連通穴531bが形成されている。なお、固定ヨーク53を構成する筒状部531の環状部532より図において左側の部分の外周にはシール533が装着され、ボディピース3bの嵌合穴302bの内周面との間をシールしている。また、固定ヨーク53を構成する筒状部531の環状部532より図において右側の部分の外周にはシール534が装着され、環状のボビン521の中央穴521aの内周面との間をシールしている。
【0015】
上記可動ヨーク54は磁性材によって形成されており、上記固定ヨーク53の図1において右側に接離可能に配設されている。なお、可動ヨーク54には、中心部に軸方向に貫通する嵌合穴54aが形成されているとともに、該嵌合穴54aの径方向外側に軸方向に貫通する連通穴54bが形成されている。作動ロッド55はステンレス鋼等の非磁性材によって形成されており、上記固定ヨーク53を構成する筒状部531の中心部に形成された挿通穴531aを挿通して配設されており、挿通穴531aの内周面に装着されたブッシュ535によって軸方向に摺動可能に支持される。作動ロッド55は、その図1において右端部が可動ヨーク54の嵌合穴54aに嵌合され、可動ヨーク54と軸方向に一体的に作動するように構成されている。この作動ロッド55の図1において左端即ち先端は、上記第2の弁体42の図1において右端に当接するように構成されている。
【0016】
上記ケーシッグ51内には、上記作動ロッド55の図1において右端部即ち後端部を支持するための支持部材56が配設されている。この支持部材56は、円筒部561と該円筒部561の図1において右端に設けられた底部562を有しており、円筒部561の図1において左端部が上記電磁コイルユニット52を構成する環状のボビン521の中央穴521aに嵌合され、底部562がケーシッグ51の底部511に当接して配設される。支持部材56の円筒部561におけるボビン521との嵌合部の図1において右側外周には段部561aが設けられており、この段部561aとボビン521が当接することによりボビン521を位置決めしている。また、段部561aには環状の挟持部材57が嵌合されており、上記固定ヨーク53を構成する環状部532との間にコイルユニット52を挟持している。なお、支持部材56を構成する円筒部561におけるボビン521との嵌合部外周にはシール563が装着され、環状のボビン521の中央穴521aの内周面との間をシールしている。
【0017】
上記支持部材56内には支持リング58が配設されており、この支持リング58の内周にブッシュ59が嵌合されている。このブッシュ59に上記作動ロッド55の後端部が軸方向に摺動可能に支持される。なお
、支持リング58には軸方向に貫通する連通穴581が形成されている。上記作動ロッド55の後端側即ち支持リング58およびブッシュ59と支持部材56の底部562との間には第3の圧力室60が形成されている。この第3の圧力室60は、支持リング58に設けられた連通穴581を通して上記可動ヨーク54の作動室61と連通される。従って、上記第2の圧力室38と第3の圧力室60は、固定ヨーク53を構成する筒状部に形成された連通穴531b、可動ヨーク54に形成された連通穴54b、上記作動室61および支持リング58に形成された連通穴581を通して互いに連通されている。なお、第2の圧力室38と上記第1の圧力室37とは第2の弁体42に形成された連通路423および第1の弁体41に形成された連通路415を通して連通されているので、上記第1の圧力室37と第2の圧力室38および第3の圧力室60は互いに連通されている。
【0018】
第1の実施形態における流量制御弁2は以上のように構成されており、以下その作用について図3および図4を参照して説明する。図1は電磁作動機構5を構成する電磁コイルユニット52のコイル522に電圧が印加されていない状態を示すものである。この状態では上述したように、第1の弁体41の第1の弁部413が仕切り板36の着座部361に着座し、第2の弁体42の着座部422aと第1の弁体41を構成する第2の弁部414の外周縁との間には隙間が形成される。従って、入力ポート31と出力ポート32の連通が遮断され、出力ポート32が連通室34の出力側室34b、第2の弁体42の着座部422aと第1の弁体41を構成する第2の弁部414との隙間、第1の弁体41に形成された連通路415、第1の圧力室37を通して排出ポート33に連通される。この結果、出力ポート32に図示しない配管によって接続された図示しないアクチュエータの作動室が排出ポート33に連通されるので、アクチュエータは非作動状態に維持される。
【0019】
ここで、図1に示す状態における第1の弁体41の圧力バランスについて説明する。
第1の弁体41には入力ポート31の圧力が作用するが、第1のシール43と摺接する摺動面径である第1の弁体41の摺動部411の外径(D1)と第1の弁部413の第1の弁部413における上記仕切り板36との当接部の径(D4)とが等しいため、第1の弁体41には入力ポート31の圧力による推力は発生しない。
また、第1の弁体41には出力ポート32の圧力が作用するが、第2の弁体42の着座部422aにおける第1の弁体41の第2の弁部414の外周縁が当接する当接部の径(D5)(第2の弁部414の外径(D2))と第1の弁部413の第1の弁部413における上記仕切り板36との当接部の径(D4)とが等しいため、第1の弁体41には出力ポート32の圧力による推力は発生しない。更に、第1の弁体41には排出ポート33の圧力が作用するが、上記摺動部411の外径(D1)と当接部の径(D4)とが等しいため、第1の弁体41には排出ポート33の圧力による推力は発生しない。
【0020】
次に、図1に示す状態における第2の弁体42の圧力バランスについて説明する。
第2の弁体42には出力ポート32の圧力が作用するが、第2の弁体42の着座部422aにおける第1の弁体41の第2の弁部414の外周縁が当接する当接部の径(D5)と第2のシール44と摺接する摺動面径である第2の弁体42の摺動部421の外径(D3)とが等しいため、第2の弁体42には出力ポート32の圧力による推力は発生しない。
また、第2の弁体42には排出ポート33の圧力が作用するが、上記当接部の径(D5)と上記摺動部421の外径(D3)とが等しいため、第2の弁体42には排出ポート33の圧力による推力は発生しない。
このため、第2の弁体42には電磁作動機構5と第2の圧縮コイルスプリング46の力のみが作用する。従って、第2の弁体42は電磁作動機構5の駆動力と第2の圧縮コイルスプリング46の反力のバランス点で静止する。
【0021】
図1の状態から電磁コイルユニット52のコイル522に電圧が印加されると、固定ヨーク53を通じて磁路が形成され、可動ヨーク54が固定ヨーク53に吸引されて図1において左方に移動せしめられる。この可動ヨーク54の移動に伴って作動ロッド55が左方に移動し、第2の弁体42を第2の圧縮コイルスプリング46のスプリング力に抗して左方に移動する。この結果、第2の弁体42の着座面422aが第1の弁体41を構成する第2の弁部414の外周縁に当接し、更に図3に示すように第1の圧縮コイルスプリング45のスプリング力に抗して第1の弁体41を左方に移動する。従って、第1の弁体41の第1の弁部413が仕切り板36の着座部361から離れて開弁し、入力ポート31に供給される流体は連通室34の入力側室34aおよび出力側室34bを通して出力ポート32から図示しないアクチュエータに供給される。
【0022】
ところで、上述したように弁機構4を構成する第1のシール43および第2のシール44と摺接する摺動面径である第1の弁体41の摺動部411の外径(D1)および第2の弁体42の摺動部421の外径(D3)と、第1の弁部413テーパ−面からなる第1の弁部413における上記仕切り板36の着座部361に着座する当接部の径(D4)(仕切り板36の着座部361の径)と、第2の弁体42のテーパ−内周面からなる着座部422aにおける第1の弁体41の第2の弁部414の外周縁が当接する当接部の径(D5)(第2の弁部414の外径(D2))が全て等しく構成されているので、第1の弁体41および第2の弁体42には流体圧力による推力は発生しない。このため、第2の弁体42には電磁作動機構5と第1の弁体41を介して作用する第1の圧縮コイルスプリング45の力のみが作用する。従って、第2の弁体42と第1の弁体41は一体となり第2の弁体42の着座面422aが第1の弁体41を構成する第2の弁部414の外周縁に当接した状態で電磁作動機構5の駆動力と第2の圧縮コイルスプリング46の反力のバランス点で静止する。
【0023】
上記のようにして流量制御弁2を作動して入力ポート31に供給される流体を出力ポート32から図示しないアクチュエータに供給して該アクチュエータを駆動した後、アクチュエータを所定の作動位置で停止したい場合について説明する。
即ち、上述した図3に示す状態から電磁コイルユニット52のコイル522に印加する電圧を低減し、電磁作動機構5の駆動力即ち電磁ソレノイドの吸引力を第1の圧縮コイルスプリング45のセット荷重F1以下で第2の圧縮コイルスプリング46のフルストローク時の荷重F21以上の範囲にする。この結果、第1の弁体41および第2の弁体42は第1の圧縮コイルスプリング45のスプリング力によって図において右方に移動し、図4に示すように第1の弁体41の第1の弁部413が仕切り板36の着座部361に着座した位置で停止する。従って、入力ポート31と出力ポート32の連通が遮断されるので、図示しないアクチュエータは所定の作動位置で停止される。
【0024】
次に、図示しないアクチュエータを作動開始位置に戻す場合には、電磁コイルユニット52のコイル522への電力の供給を遮断して電磁ソレノイドを除勢する。この結果、流量制御弁2の各部材は図1に示す状態の戻る。図1に示す状態においては、上述したように第1の弁体41の第1の弁部413が仕切り板36の着座部361に着座し、第2の弁体42の着座部422aと第1の弁体41を構成する第2の弁部414との間には隙間が形成されるので、入力ポート31と出力ポート32の連通が遮断され、出力ポート32が連通室34の出力側室34b、第2の弁体42の着座部422aと第1の弁体41を構成する第2の弁部414との隙間、第1の弁体41に形成された連通路415、第1の圧力室37を通して排出ポート33に連通されるため、出力ポート32に接続された図示しないアクチュエータの作動室の作動流体が排出ポート33から排出されて作動開始位置に戻る。
【0025】
以上のように、図示の実施形態における流量制御弁2は、入力ポート31と出力ポート32および排出ポート33を第1の弁体41および第2の弁体42を有する弁機構4によって制御する3ウエイバルブであるため、給気と排気の切替えがこの流量制御弁2一つで行うことができる。給気と排気を切替えるための別のバルブと組み合わせて使用する必要がないため、流体回路構成が簡単となる。また、第1の弁体41および第2の弁体42を有する弁機構4はポペット弁式であるため、シールが確実であるとともに、着座部に埃等の異物が付着しても作動流体によって流すことができるので作動不良を起こすことはない。
【0026】
次に、本発明による流量制御弁の第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、図5に示す第2の実施形態における流量制御弁2aにおいては、上記第1の実施形態における流量制御弁2の構成部材と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
第1の実施形態における流量制御弁2と第2の実施形態における流量制御弁2aとの相違点は、第1の実施形態における流量制御弁2が第1の圧力室37と排出ポート33とを連通しているのに対し、第2の実施形態における流量制御弁2aは第2の圧力室38と排出ポート33とを連通していることである。上述したように上記第1の圧力室37と第2の圧力室38とは第1の弁体41に形成された連通路415および第2の弁体42に形成された連通路423を通して連通されているので、機能的には実質的に同一であり、第2の実施形態における流量制御弁2aも第1の実施形態における流量制御弁2と同様の作用効果を奏する。
【0027】
次に、本発明による流量制御弁の第3の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、図6に示す第3の実施形態における流量制御弁2bにおいては、上記第1の実施形態における流量制御弁2および第2の実施形態における流量制御弁2aの構成部材と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。第3の実施形態における流量制御弁2bの特徴は、弁機構4の第2の弁体42をプルタイプの電磁作動機構5bによって作動するようにしたものである。つまり、電磁作動機構5bの電磁コイルユニットに電圧を印加したときに第2の弁体に引張力を加え第1の弁体側に移動させるもので、図示の流量制御弁2bにおいては、電磁作動機構5bは弁機構4の図において左側に配設されている。電磁作動機構5bを構成する作動ロッド55は、第1の弁体41に形成された連通路415および第2の弁体42に形成された連通路423を挿通して配設されており、その先端(図6において右端)をカシメることによって第2の弁体42と連結している。このように構成された第3の実施形態における流量制御弁2bは、電磁作動機構5bの電磁コイルユニットに電圧を印加して作動ロッド55を図6において左方に作動することにより、第2の弁体42を第2の圧縮コイルスプリング46のスプリング力に抗して左方に移動するとともに、第1の弁体41を第1の圧縮コイルスプリング45のスプリング力に抗して左方に移動する。なお、第1の弁体41および第2の弁体42からなる弁機構4の作動形態については、上記第1の実施形態における流量制御弁2および第2の実施形態における流量制御弁2aと同様であり、上記各実施形態を同様の作用効果を奏する。
【0028】
【発明の効果】
本発明による流量制御弁は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0029】
即ち、本発明による流量制御弁は、第1の弁体の摺動部と一方の弁穴の内周面との間に配設され第1のシールおよび第2の弁体の摺動部と他方の弁穴の内周面との間に配設され第2のシールの摺動面径と、第1の弁体の第1の弁部における仕切り板の着座部に着座する当接部の径と、第2の弁体の着座部における第1の弁体の第2の弁部が着座する当接部の径とが等しく設定されているので、第1の弁体および第2の弁体には入力ポートから連通室を通して出力ポートに流れる作動流体の圧力が作用しても流体圧による軸方向の駆動力は発生しない。従って、第1の弁体および第2の弁体のストローク量(弁の開口面積)即ち流量が電磁作動機構の作動力に比例する比例弁として機能することとなる。ちなみに、電磁作動機構の作動力は、上記第1の実施形態のように押圧力としてもよく、第3の実施形態のように引張力とすることもできる。また、本発明による流量制御弁は、入力ポートと出力ポートおよび排出ポートを第1の弁体および第2の弁体を有する弁機構によって制御する3ウエイバルブであるため、給気と排気の切替えがこの流量制御弁一つで行うことができる。給気と排気を切替えるための別のバルブと組み合わせて使用する必要がないため、流体回路構成が簡単となる。また、第1の弁体および第2の弁体を有する弁機構はポペット弁式であるため、シールが確実であるとともに、着座部に埃等の異物が付着しても作動流体によって流すことができるので作動不良を起こすことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された流量制御弁の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】図1に示す流量制御弁を構成する第1および第2のスプリングのスプリング特性を示す説明図。
【図3】図1に示す流量制御弁の第1の作動状態を示す断面図
【図4】図1に示す流量制御弁の第2の作動状態を示す断面図
【図5】本発明に従って構成された流量制御弁の第2の実施形態を示す断面図。
【図6】本発明に従って構成された流量制御弁の第3の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
2:流量制御弁(第1の実施形態)
2a:流量制御弁(第2の実施形態)
2b:流量制御弁(第3の実施形態)
3:バルブボディ
31:入力ポート
32:出力ポート
33:排出ポート
34:連通室
35a:一方の弁穴
35b:他方の弁穴
36:仕切り板
37:第1の圧力室
38:第2の圧力室
4:弁機構
41:第1の弁体
411:摺動部
413:第1の弁部
414:第2の弁部
42:第2の弁体
421:摺動部
422:弁部
43:第2のシール
44:第2のシール
45:第1の圧縮コイルスプリング
46:第2の圧縮コイルスプリング
5:電磁作動機構
51:ケーシッグ
52:電磁コイルユニット
521:ボビン
522:コイル
523:リード線
53:固定ヨーク
54:可動ヨーク
55:作動ロッド
56:支持部材
58:支持リング
60:第3の圧力室
Claims (1)
- 入力ポートと出力ポートおよび排出ポートを備えたバルブボディと、該バルブボディ内に配設され該各ポートの連通を制御する弁機構と、電磁コイルユニットを備え該弁機構を駆動する電磁作動機構を有する流量制御弁であって、
該バルブボディには該入力ポートと出力ポートとを連通する連通室と該連通室の両側に互いに対向して形成された2個の弁穴が設けられ、該連通室には環状の仕切り板が配設されており、
該弁機構は、一端部に設けられ該弁穴の一方に摺動可能に嵌合される摺動部と、中央部に設けられ該環状の仕切り板の内周に形成された着座部に着座するテーパ−面からなる第1の弁部と、他端部に設けられた第2の弁部と、軸方向に貫通して設けられ該排出ポートと連通する連通路とを備えた第1の弁体と、
該弁穴の他方に摺動可能に嵌合される摺動部と、一端部に設けられ該第1の弁体の第2の弁部と当接する弁部と、軸方向に貫通して設けられ該排出ポートと連通する連通路とを備えた第2の弁体と、
該第1の弁体の該摺動部と該一方の弁穴の内周面との間に配設された第1のシールと、
該第2の弁体の該摺動部と該他方の弁穴の内周面との間に配設された第2のシールと、
該一方の弁穴の内部で該バルブボディと該第1の弁体との間に配設され、該第1の弁体を該第1の弁部が該仕切り板の該着座部に着座する方向に付勢する第1のスプリングと、
該第1の弁体と該第2の弁体との間に配設された両者を離間する方向に付勢する第2のスプリングと、を具備し、
該第1のシールおよび該第2のシールの摺動面径と、該第1の弁体の該第1の弁部における該仕切り板の該着座部に着座する当接部の径と、該第2の弁体の弁部と該第1の弁体の該第2の弁部とが当接する当接部の径とが等しく設定されており、
該電磁作動機構は、該電磁コイルユニットに電圧を印加したときに該第2の弁体を該第1の弁体側に移動させるように構成されている、ことを特徴とする流量制御弁。
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