JP3925058B2 - 放射線画像処理方法および放射線画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像を処理する放射線画像処理方法および放射線画像処理装置に関し、さらに詳しくは、共通の被写体部分から生成された複数の部分放射線画像を扱うに適した放射線画像処理方法および放射線画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、放射線画像を直接デジタル画像として撮影できる装置が開発されている。たとえば、被写体に照射された放射線量を検出し、その検出量に対応して形成される放射線画像を電気信号として得る装置としては、輝尽性蛍光体ディテクタを用いる方法が特開昭55−12429号公報、特開昭63−189853号公報など、多数開示されている。
【0003】
このような装置では、シ−ト状の基板に輝尽性蛍光体を塗布、あるいは蒸着等によって固着したディテクタに、いったん被写体を透過した放射線を照射して輝尽性蛍光体に放射線を吸収させる。
【0004】
その後、この輝尽性蛍光体を光または熱エネルギ−で励起することにより、この輝尽性蛍光体が上記吸収によって蓄積している放射線エネルギ−を蛍光として放射させ、この蛍光を光電変換して画像信号を得るようにしている。
【0005】
ところで、医用放射線画像において、主に骨の計測を目的とした下肢全長撮影や全脊椎撮影にあたっては、被写体全体を把握する目的のために、いわゆる「長尺撮影」が行われる。
【0006】
この長尺撮影において、従来は、長尺フィルムを増感紙(スクリーン)と共に長尺カセッテに収納して撮影を行うようにしていた。
また、長尺フィルムを用いず、輝尽性蛍光体ディテクタ等を利用したディジタル放射線画像入力方式(ディジタル長尺撮影)も提案されている。このディジタル長尺撮影として、特開平11−244269号公報に提案されているものでは、輝尽性蛍光体ディテクタを格納した複数のカセッテを、互いに部分的に重なり合うように配列し、専用のカセッテホルダーに格納するようにしている。一方、特開平3−287249号公報に提案されているものでは、複数の輝尽性蛍光体ディテクタを、互いに部分的に重なり合うように配列し係止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の特開平11−244269号公報記載の手法では、画像生成時に、金属等の形状校正用の格子を被写体と同時に写し込む必要がある。この場合に、形状校正用の格子がカセッテホルダーと分離している場合には、位置合わせなどのために、撮影操作が煩雑になる問題がある。また、形状校正用の格子がカセッテホルダーに付属している場合には、カセッテホルダーの重量が大きくなり、取り扱いが不便になる問題を有している。さらに、形状校正用の格子が被写体に重なって写りこむ場合には、被写体内に情報の欠損部分が存在し、骨の計測などの診断に悪影響を与える可能性がある。
【0008】
また、特開平3−287249号公報記載の手法では、部分放射線画像を結合することにより被写体全体を表現する画像結合手段に関しては述べられていない。したがって、骨の計測などの診断に供するための具体的な方法が不明確であって、実用的な撮影を行うことが困難な問題がある。
【0009】
また、ディジタル長尺撮影の診断においては、通常の整形外科領域の診断環境で行われているように、画像生成時の被写体の実物大と等しいサイズでプリント出力することが求められている場合がある。しかし、ディジタル放射線画像を出力するためのレーザフィルムプリンタなどのハードコピー装置に関しては、現在のところ、35cm×43cm程度を越えるサイズの出力用フィルムが市場にでまわっていない。したがって、実物大の結合放射線画像を得るには、複数の部分放射線画像を別々のフィルムに出力し、それを操作者が手動で貼り合わせる必要がある。
【0010】
また、結合放射線画像を画像ファイリング装置などに電子的に保存する場合に、ファイリング装置の仕様によっては、画像の縦横の画素数に制限があり、通常のフィルムの規格外のサイズである結合放射線画像は、そのままでは保存できない場合がある。そのような場合には、複数の部分放射線画像を別々に保存せざるを得ない。
【0011】
以上述べたように、ディジタル長尺撮影の画像データを複数の部分放射線画像の形態で出力または保存する場合には、複数の輝尽性蛍光体ディテクタが重なった部分で生じる重複領域がいずれかの部分放射線画像に含まれていたり、傾いている部分放射線画像があったりして、複数の部分放射線画像をそのままの形で出力(プリント出力、画像データ出力)しても、出力結果を単純に組み合わせて元の状態の結合放射線画像の形にすることは容易にはできない。
【0012】
さらに、複数の輝尽性蛍光体ディテクタを用いる場合に、放射線源からの距離が異なることにより、生成される画像データの倍率が異なることもある。このため、複数の部分放射線画像の画像データやプリントを単純に並べても、元の状態の結合放射線画像を得ることはできない。
【0013】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであって、複数の輝尽性蛍光体ディテクタ(輝尽性蛍光体プレート等)を利用してディジタル長尺撮影を行って複数の部分放射線画像を生成した場合に、撮影時の状態を表す結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易な放射線画像処理方法および放射線画像処理装置を実現することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下の通りである。
(1)請求項1記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、前記画像変形が施された部分放射線画像を出力する、ことを特徴とする放射線画像処理方法である。
【0015】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、当該結合位置を示すマークを付与し、マークを付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0017】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて部分放射線画像に画像変形を施し、画像変形が施された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0018】
(2)請求項2記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、前記複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、前記トリミングされた部分放射線画像を出力する、ことを特徴とする放射線画像処理方法である。
【0019】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、トリミングされた部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0020】
(3)請求項3記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、前記複数の部分放射線画像における前記トリミングされた重複領域に所定画素値を付与し、前記画像変形と前記トリミングと所定画素値付与とがなされた部分放射線画像を出力する、ことを特徴とする放射線画像処理方法である。
【0021】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像における重複領域に所定画素値を付与し、前記所定画素値を付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0022】
(4)請求項4記載の発明は、認識された結合位置同士に基づいて、前記画像変形もしくは前記トリミングもしくは前記所定画素値の付与がなされた前記複数の部分放射線画像のそれぞれに、結合位置を示すマークを付与し、前記マークを付与された部分放射線画像を出力する、ことを特徴とする。
【0024】
(5)請求項5記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、前記画像変形を施された部分放射線画像を出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする放射線画像処理装置である。
【0025】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、当該結合位置を示すマークを付与し、マークを付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0027】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて部分放射線画像に画像変形を施し、画像変形が施された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0028】
(6)請求項6記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、認識された結合位置に基づいて、前記画像変形を施された部分放射線画像における重複領域をトリミングする画像トリミング手段と、前記画像変形と前記トリミングとを施された部分放射線画像を出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする放射線画像処理装置である。
【0029】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、トリミングされた部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0030】
(7)請求項7記載の発明は、端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、認識された結合位置に基づいて、前記画像変形を施された部分放射線画像における重複領域をトリミングする画像トリミング手段と、認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像における前記トリミングされた重複領域に所定画素値を付与する所定画素値付与手段と、前記画像変形と前記トリミングと前記所定画素値付与とがなされた部分放射線画像を出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする放射線画像処理装置である。
【0031】
この発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像における重複領域に所定画素値を付与し、前記所定画素値を付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0032】
(8)請求項8記載の発明は、認識された結合位置同士に基づいて、前記画像変形もしくは前記トリミングもしくは前記所定画素値の付与がなされた前記複数の部分放射線画像のそれぞれに、結合位置を示すマークを付与する結合位置マーク付与手段を備え、前記画像出力手段は、前記マークを付与された部分放射線画像を出力する、ことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
以下、放射線画像処理装置の構成を、図1を用いて大まかなブロックに従って説明する。なお、本実施の形態例の放射線画像処理装置の各手段は、ハードウェアやファームウェア、またはソフトウェアで構成することが可能である。このため、各手段の処理手順に沿った機能ブロック図を示す。
【0035】
[A]画像情報入力:
図1に示すように、画像入力手段10に、照射された放射線量の対数に比例した信号値を有する部分放射線画像についての放射線画像情報が入力される。このため、画像入力手段10は、部分放射線画像が入力される輝尽性蛍光体を用いたディジタル画像入力システムあるいはレーザーディジタイザなどで構成される。
【0036】
この実施の形態例では、長尺フィルムを用いずに、複数の輝尽性蛍光体ディテクタ(輝尽性蛍光体プレート等)を利用するディジタル長尺撮影によって得た複数の部分放射線画像が入力されることを特徴としている。すなわち、部分放射線画像を取得する方式として、輝尽性蛍光体プレートを用いたシステムを用いることができる。また、スクリーン/フィルム系により撮影した部分放射線写真をレーザーディジタイザを用いてディジタル化するシステムであってもよい。
【0037】
また、本実施の形態例のディジタル長尺撮影の方法としては、図2および図3に示すように、長尺カセッテ200の内部で複数の輝尽性蛍光体プレート201〜203を部分的に重ね合わせるようにして、ディジタル長尺撮影を実行することが好ましい。
【0038】
この図2に代わる方法として、輝尽性蛍光体プレートの格納されたカセッテ同士を部分的に重ね合わせる方法と、スクリーン/フィルムの格納されたカセッテ同士を部分的に重ね合わせる方法とが考えられる。
【0039】
[B]結合位置認識:
結合位置認識手段20では、画像入力手段10より送信されてきた部分放射線画像を解析する。なお、図示していないが、結合位置認識処理に必要な時間を短縮するため、縮小画像生成手段により、元の部分放射線画像からサンプリングをして画素数を縮小させた間引き放射線画像を作成し、結合位置認識を行ってもよい。
【0040】
(B−1)結合ラインの認識:
隣接する2枚の部分放射線画像のうち1枚の重複領域は、輝尽性蛍光体プレートまたはカセッテの重なりの前後により、画像信号値が相対的に低くなる。この様子を図4に示す。ここでは、図4(b)の画像#2が被写体の手前側で、図4(a)の画像#1と図4(c)の画像#3が被写体の奥側に位置している。
【0041】
このような場合、画像信号値のプロファイルを計算することにより(図5(a)→図5(b))、画像辺縁付近で信号値の低い領域を注目領域設定手段20により認識する。
【0042】
この場合、カラム方向のプロファイル信号に基づき、プロファイル値が画像辺縁付近で所定のしきい値より小さくなるラインを検出し、重複領域端とみなすことができる。また、カラム方向のプロファイル信号の微分値に基づき、プロファイル値が画像辺縁付近で画像端に向かって急激に小さくなるラインを検出し、重複領域端とみなすこともできる。さらに、複数のプロファイル信号に対して重複領域端のラインを検出し、その結果を総合して重複領域を定めることも可能である(図6参照)。ここで、図6の破線が重複領域端を示すライン(以下、「結合ライン」)である。なお、重複領域を有しない図4の画像#2では部分放射線画像の上端と下端とが結合ラインとなる。
【0043】
(B−2)結合位置認識:
まず、複数の部分放射線画像のそれぞれの画像辺縁付近(結合ライン近傍)に定められた注目領域の信号値のプロファイル情報や頻度情報を解析し、相互のパターンが一致するものを画像生成時の部分放射線画像の接続箇所であるとして認識する。
【0044】
(B−3)テンプレートマッチング処理:
2枚の部分放射線画像の画像処理条件を決定するための手法として、「コンピュータ画像処理入門」(田村秀行監修、株式会社星雲社1985年発行)に記述されている「テンプレートマッチング処理」を用いることができる。
【0045】
ここで、結合しようとする2枚の部分放射線画像のうちの一方の画像に設定した注目領域をテンプレートとする。他方の画像にテンプレートより大きい注目領域を設定し、参照領域とする。テンプレートを参照領域内で平行移動、回転、または拡大縮小させながら、テンプレートとそれに重なり合う参照領域内の部分領域との類似度が最大になるような平行移動、回転、または拡大縮小条件を求める。
【0046】
なお、以上の類似度を評価する手段としては、公知のSSDA法や相互相関法を用いることができる。その場合、重複領域における信号値低下の影響を受けにくいように、各領域内の平均値および標準偏差値を用いて規格化した類似度を使用することが好ましい。
【0047】
(B−4)結合位置の表示・修正:
なお、結合位置認識手段20により認識された結合位置を表示する結合位置表示手段30と、結合位置をオペレータが修正して修正情報を入力するための修正情報入力手段40とを設け、結合位置修正手段50が修正情報に基づいて結合位置を修正することが望ましい。この場合、結合位置として、部分放射線画像が他の部分放射線画像とどの様に隣接するかの状態、複数の部分放射線画像の配置順序の状態、部分放射線画像の配置方向の状態、などが該当する。すなわち、これら結合位置の様子を表示し、修正を受け付けるようにする。すなわち、前記のような結合位置表示手段30と修正情報入力手段40とを組み合わせることにより、インタラクティブに画像結合位置を修正することが可能である。具体的には、CRTモニタや液晶モニタなどの表示手段と、タッチスクリーンやトラックパッド、マウスなどのポインティングデバイスを用いた修正情報入力手段を設ける。
【0048】
[C]画像処理:
(C−1)画像処理条件:
部分放射線画像を結合して被写体全体を正確に表現する結合放射線画像を作成するために、部分放射線画像に対して変形(平行移動、回転、または拡大縮小)、トリミング、画素値付与に関する画像処理条件を決定する。
【0049】
(C−1−▲1▼)
撮影時のディテクタ端(輝尽性蛍光体プレート端)の角度が、相対的に異なる場合、回転が必要となる。また、撮影時の被写体−ディテクタ間距離が部分放射線画像の間で相対的に異なる場合、拡大縮小が必要となる。
【0050】
そこで、画像処理条件決定手段60が以上の画像処理条件の決定を行う。結合位置認識手段20または結合位置修正手段50により決定された結合位置が、例えば図7(a)の2枚の部分放射線画像の結合位置を代表する各2点 A1, B1, A2, B2 の座標値として与えられている場合には、図7(b)に基づいて平行移動、回転、および拡大縮小の量が画像処理条件として定められる。また、撮影時の被写体−ディテクタ間距離の差異がその絶対値に比較して非常に小さい場合には、拡大率の差は無視できる程度とみなして、拡大縮小処理を省略してもよい。また、撮影時のディテクタ端の角度の差異が非常に小さい場合には、回転処理を省略してもよい。また、この図7の場合には、部分放射線画像#1を回転処理するような例を示しているが、いずれの側の部分放射線画像を回転,移動,拡大縮小するようにしてもよい。
【0051】
(C−1−▲2▼)
また、重複領域については結合する際に不要になるのでトリミング処理により除去しておくことが望ましい。このようなトリミング処理についての条件を画像処理条件決定手段60が決定する。
【0052】
(C−1−▲3▼)
また、画像の出力機器において縦横の画素数に制限がある場合には、トリミング処理により画素数を変更することは不都合である。この場合には、不要となった領域の画素に画素値付与処理により予め定められた画素値を付与しておくことが望ましい。このような画素値付与処理についての条件を画像処理条件決定手段60が決定する。
【0053】
(C−2)画像処理:
以上のようにして決定された変形(平行移動、回転、または拡大縮小)、トリミング、画素値付与に関する画像処理の条件に従って、画像処理手段70が対応する部分放射線画像に画像処理を施す。
【0054】
上記の画像処理に加えて、階調処理または周波数処理を施してもよい。周波数処理には、周波数強調処理およびダイナミックレンジ圧縮処理を含む。階調処理としては、たとえば、持公平6−44796号公報、持公平5−69347公報に記載されている。また、周波数強調処理は、特公昭62−62373号公報、特公昭62−62376号公報に記載されている。さらに、ダイナミックレンジ圧縮処理は、特許登録266318号公報に記載されている。
【0055】
[D]画像結合:
以上のようにして決定された結合位置に基づき、複数の部分放射線画像を結合する処理を画像結合手段70が実行する。なお、結合位置の修正があった場合には、画像結合手段70は、結合位置修正手段50により修正された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像を結合して、結合放射線画像を生成する。
【0056】
なお、上記[C]において、部分放射線画像に対して階調処理または周波数処理を施す例を説明したが、結合放射線画像を作成してから結合放射線画像全体に対して階調処理または周波数処理を施すようにしてもよい。
【0057】
[E]マーク付与:
マーク付与手段90は、以上のようにして画像処理が施された部分放射線画像について、結合ライン上であって、隣接する部分放射線画像の結合される位置に所定のマークとなる画像をインポーズして付与する。このマークは、被写体領域外であることが望ましい。また、容易に識別できる形状であることが好ましい。図8ではマークとして矢印を例示しており、矢の向きが隣接する画像の方向を示している。すなわち、この矢の先端同士を合わせることで、容易かつ正確に結合放射線画像を生成することができる。
【0058】
マークの形状は図8に示すものに限られず、たとえば長尺撮影の長手方向に伸びたスケール(物差し)形状のマークとし、スケールの目盛りを基準にして合わせることで正確に結合放射線画像を生成することができるようにしてもよい。この場合、スケールの目盛りの数値を、画像生成時の被写体の実物大に対応する長さ数値とすることが好ましい。
【0059】
マーク付与手段90は、処理の対象となる画像のマーク部分の画素値をマークの画素値に置き換える処理を行ってもよいし、画像の画素値データとは別にオーバレイ用の画像データとしてマーク画像の座標値を記憶し、画像データに付帯させてもよい。
【0060】
[F]画像出力:
画像情報手段100が、部分放射線画像の結合によって生成された結合放射線画像、または、マークが付与された部分放射線画像を、外部の機器などに対して出力する。出力先としては、レーザフィルムプリンタなどのハードコピー装置や、画像読影装置、画像ファイリング装置などを用いることができる。
【0061】
マークが付された部分放射線画像としては図8のようなものを出力する。一方、結合放射線画像としては、図9のようなものを出力する。
結合放射線画像に対して結合位置に対応するマークを付与してもよい。図9は、結合位置に破線マークをインポーズして付与した例である。これにより、操作者が結合位置を容易に確認でき、画像のどの領域が元の部分放射線画像のどれに含まれるかが明らかになる。また、画像データの出力機器が2種類以上(たとえば、レーザフィルムプリンタと画像ファイリング装置など)存在して、その一方に複数の部分放射線画像の形態で出力し、他方に結合放射線画像の形態で出力するような場合に、後者に図9のようなマークを付与することにより、前者の出力先で得られた画像との対応が理解しやすくなる。
【0062】
結合放射線画像をレーザフィルムプリンタなどのハードコピー装置に出力する際に、画像生成時の被写体の実物大と等しいサイズで出力すると、フィルムサイズを超えてしまう場合には、結合放射線画像をフィルムサイズに合わせて再分割し、複数のフィルムに出力してもよい。
【0063】
部分放射線画像または結合放射線画像を出力する際に、画像データと対応づけて画像属性情報を出力し、該画像属性情報の中に、結合位置や画像処理条件に関する情報を格納してもよい。
【0064】
[G]その他の実施の形態例:
以上の説明における部分放射線画像の入力、部分放射線画像または結合放射線画像の出力については、各種入出力機器との間で直接入出力を行ってもよいし、ネットワーク上の機器との間でデータの授受を行うようにしてもよい。
【0065】
なお、本発明の放射線画像処理装置に複数の出力機器(たとえば、レーザフィルムプリンタと画像ファイリング装置など)が接続されている場合には、上記に述べた画像処理、画像結合、またはマーク付与の種々の実施の形態例のうちのいずれを採用するかを、前記複数の出力機器の各々に対して割り当てられる構成とすることが好ましい。
【0066】
【発明の効果】
以上、詳細に説明してきたように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0068】
(1)請求項1と請求項5に記載の発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、認識された結合位置に基づいて部分放射線画像に画像変形を施し、画像変形が施された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0069】
(2)請求項2と請求項6に記載の発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、画像変形を施してから、認識された結合位置に基づいて複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、トリミングされた部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0070】
(3)請求項3と請求項7に記載の発明では、複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、画像変形を施し、重複領域にトリミングを施してから、重複領域に所定画素値を付与し、前記所定画素値を付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像を出力することが容易になる。
【0071】
(4)請求項4と請求項8に記載の発明では、認識された結合位置同士に基づいて、画像変形もしくはトリミングもしくは所定画素値の付与がなされた複数の部分放射線画像のそれぞれに、結合位置を示すマークを付与し、結合位置マークを付与された部分放射線画像を出力するようにしているので、ディジタル長尺撮影の場合に結合放射線画像を得やすい状態で複数の部分放射線画像の出力が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例の放射線画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例で用いる複数の部分放射線画像を得る様子を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態例で用いる複数の部分放射線画像を得る様子を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態例で用いる複数の部分放射線画像の重なりの様子を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態例における重複領域の認識の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態例における重複領域の認識の様子を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態例における結合放射線画像の生成の様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態例における部分放射線画像のマーク付与の様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態例における結合放射線画像の出力の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10 画像入力手段
20 結合位置認識手段
30 結合位置表示手段
40 修正情報入力手段
50 結合位置修正手段
60 画像処理条件決定手段
70 画像処理手段
80 画像結合手段
90 マーク付与手段
100 画像情報手段
Claims (8)
- 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、
認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、
前記画像変形が施された部分放射線画像を出力する、
ことを特徴とする放射線画像処理方法。 - 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、
認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、
認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、
前記画像変形と前記トリミングが施された部分放射線画像を出力する、
ことを特徴とする放射線画像処理方法。 - 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理方法において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像の結合位置を認識し、
認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像に対して拡大・縮小・回転の少なくとも一つの画像変形を施し、
認識された結合位置同士に基づいて、前記複数の部分放射線画像における重複領域をトリミングし、
前記複数の部分放射線画像における前記トリミングされた重複領域に所定画素値を付与し、
前記所定画素値を付与された部分放射線画像を出力する、
ことを特徴とする放射線画像処理方法。 - 認識された結合位置同士に基づいて、前記画像変形もしくは前記トリミングもしくは前記所定画素値の付与がなされた前記複数の部分放射線画像のそれぞれに、結合位置を示すマークを付与し、
前記マークを付与された部分放射線画像を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の放射線画像処理方法。 - 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、
前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、
前記画像変形が施された部分放射線画像を出力する画像出力手段と、
を有することを特徴とする放射線画像処理装置。 - 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、
前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記画像変形を施された部分放射線画像における重複領域をトリミングする画像トリミング手段と、
前記画像変形と前記トリミングとを施された部分放射線画像を出力する画像出力手段と、
を有することを特徴とする放射線画像処理装置。 - 端部が部分的に重ね合わされた複数の輝尽性蛍光体ディテクタに亘って、同一被写体を透過した放射線による放射線画像を記録し、前記複数の輝尽性蛍光体ディテクタのそれぞれから個別に前記放射線画像を読み取り、当該読み取られた放射線画像を前記被写体に対応させて相互に結合位置を合わせた後、各放射線画像を結合する放射線画像処理装置において、
同一被写体を透過した放射線によって生成された複数の部分放射線画像を入力する画像入力手段と、
前記複数の部分放射線画像の結合位置を認識する結合位置認識手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像に画像変形を施す画像変形手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記画像変形を施された部分放射線画像における重複領域をトリミングする画像トリミング手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記複数の部分放射線画像における前記トリミングされた重複領域に所定画素値を付与する所定画素値付与手段と、
認識された結合位置に基づいて、前記画像変形と前記トリミングと前記所定画素値付与とがなされた部分放射線画像を出力する画像出力手段と、
を有することを特徴とする放射線画像処理装置。 - 認識された結合位置同士に基づいて、前記画像変形もしくは前記トリミングもしくは前記所定画素値の付与がなされた前記複数の部分放射線画像のそれぞれに、結合位置を示すマークを付与する結合位置マーク付与手段を備え、
前記画像出力手段は、前記マークを付与された部分放射線画像を出力する、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の放射線画像処理装置。
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