JP3924155B2 - 超電導複合材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導複合材の製造方法に関し、特に、高い臨界電流特性が得られるMgB2(二ほう化マグネシウム)系超電導複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨界温度が高く、線材への加工が可能な超電導構成材としてMgB2が注目を集めている。このMgB2による超電導線材を得るための標準的な製造方法としては、MgB2の粉末を金属パイプ内に充填したものに伸線あるいは圧延等を施し、これによって所定のサイズの超電導線材に減面加工したり、あるいは、さらにこれに、熱処理加工を付加する等の方法が一般的に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のこれらの製造方法によると、MgB2の粉末表面にMgO等の不純物相層(相)が存在するため、この層が減面加工およびその後の熱処理の後も残存することとなり、このため、MgB2の粒子間の導通性に悪影響を与えて充分な臨界電流特性が得られない問題を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の目的は、高い臨界電流特性が得られるMgB2系超電導複合材の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、粉末状のMgB2を金属管内に充填し、前記金属管に所定のサイズヘの減面加工を施す超電導複合材の製造方法において、前記減面加工を施す前の前記MgB2に対し、酸素濃度が0.1%以下の真空下あるいは不活性ガス雰囲気下でパルス通電して前記MgB 2 を200〜1500℃に昇温させる加熱処理を施すことを特徴とする超電導複合材の製造方法を提供するものである。
【0007】
上記のMgB2の形態としては、粉末状以外に焼結体のような粉末集合体あるいはその前駆体等が考えられる。MgB2に対して施されるパルス通電による加熱処理は、MgB2を金属管内に充填する前あるいは充填した後のいずれの段階において行ってもよい。前者の例としては、後述する実施の形態のようなダイボックス内での加熱処理が好適である。
【0008】
また、加熱処理の雰囲気としては、酸素濃度が0.1%以下の真空下あるいは不活性ガス下において行うことが好ましい。酸素濃度をこの水準を超えて設定することは、MgB2の表面のMgO等の不純物層を除去する効果に充分な結果が得られなくなるので避けるべきである。
【0009】
さらに、MgB2を加熱処理する際の密度としては、0.5g/cm3以上であることが好ましく、密度がこれを下廻ると、MgB2の粒子同士の接触が不足するため、パルス通電を実施しても、不純物層の除去が不充分なものとなる恐れがある。
【0010】
加熱処理温度としては、200〜1500℃の範囲内であることが好ましい。
加熱温度がこれより低くなると、不純物層が破壊されないため、パルス通電による効果を得にくく、一方、この範囲を超過すると、MgB2が分解するようになるので好ましくない。
【0011】
減面加工は、総加工度(総断面減少率)が99%以上となるように行うことが好ましい。これを下廻る減面加工では、組織の緻密化が不足する傾向となるため、臨界電流密度特性に充分なものを得にくく、さらに、減面加工による伸びが不充分となるため、長尺の複合材を得ることが難しくなる。
【0012】
加熱処理の際に圧力を加えること、あるいは加熱処理を繰り返し行うことは好ましい形態である。このようにするときには、不純物層に対する破壊効果が増すため、MgB2の粒子間の接合状態はより確実なものとなり、高度の超電導特性が得られるようになる。
【0013】
また、減面加工を施した複合材をさらに不活性ガスあるいは真空下で加熱することも好ましい形態であり、これによって、MgB2の粒子間の接合状態を良好にし、この接合に基づく高水準の超電導特性を確保することが可能となる。
【0014】
なお、本発明の製造方法を具現化するうえにおいて、所定のサイズへの減面加工の途中あるいはその後に500℃以上の熱処理を施す工程を含む場合には、超電導特性の劣化を防ぐために、MgB2と直接接触する金属部をNb、V、Fe、Ni、Moあるいはこれらの合金によって構成することが望ましい。
【0015】
しかし、製造過程に上記のような熱処理工程を含まない製造プロセスを採用する場合には、CuまたはAg等の金属、あるいは酸化物等のセラミックス類などによってMgB2との接触部を構成することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による超電導複合材の製造方法と、これより得られる超電導複合材の実施の形態を説明する。
【試験例】
図1は、この試験例に使用された装置の概要を示す。容器1内に、いずれもグラファイトより構成されるダイ2とパンチ3、4の組み合わせによるダイボックス5を配置し、パンチ3、4にそれぞれ電極6、7を取り付けた構成を有する。
【0017】
試験は、ダイボックス5内にMgB2の粉末8を収容し、パンチ3、4によって粉末8の密度が0.8g/cm3の密度となるように加圧した状態で容器1内を真空引きし、電極6、7からのパルス通電によって粉末8を300℃に加熱することによって行われた。
【0018】
以上の加熱処理を受けたMgB2粉末(試験例1)と処理を受けないMgB2粉末(試験例2)をそれぞれ準備し、これらのX線回折を実施したところ、試験例1の粉末がMgB2の回折ピークしか示さなかったのに比べ、試験例2の粉末からは、MgB2とMgOの双方のピークが確認された。
【0019】
図2は、両粉末の模式図を示したもので、(a)は試験例1、(b)は試験例2を示す。試験例1の粉末8の場合には、その表面がパルス通電による加熱によって清浄化されるのに対し、試験例2の場合には、MgB2粉末8の表面にMgO等の不純物層9が残存することになる。
【0020】
以下、本発明の実施例を示す。
【実施例1】
外径が12mm、内径が10mmおよび長さが300mmの鉄パイプを準備し、この中に試験例1と試験例2のMgB2粉末8を密度が0.9g/cm3となるように充填することにより、それぞれの複合ビレットを作製した。次に、これらの複合ビレットに外径が1mmとなるまで引き抜きによる減面加工を施した後、それぞれ30mmの長さに切断することによって所定の超電導複合材を製造した。
【0021】
次に、試験例1による複合材を実施例1とし、試験例2による複合材を比較例として、その臨界電流を1μV/cmの定義のもと液体ヘリウム中で測定したところ、実施例1が200A/mm2を示したのに対し、比較例は、90A/mm2と、実施例1よりも格段に低いレベルにとどまることが確認された。
この差は、図2に示されたMgO等の不純物層9の有無に起因するものである。
【0022】
図3は、以上により得られた超電導複合材の断面構成を示す模式図であり、(a)は実施例1の場合、(b)は比較例の場合を示す。(a)において、鉄パイプ10内に形成された粉末8に基づくMgB2の結晶粒11は、MgB2同士が密接に接触し合っているのに比べ、(b)の場合には、結晶粒11上に残された不純物層9がMgB2同士の接触を阻害しており、この結晶粒11の構成の違いが、上述したような臨界電流密度の差となって現れたものである。
【0023】
【実施例2、3】
図1の装置において、ダイボックス5内にMgB2の粉末8を20g収容し、真空中で20MPaの圧力を加えながらパルス通電を行うことによって50℃/minの昇温速度で900℃まで加熱昇温させた後、冷却した。
【0024】
次に、これによって得られた密度1.4g/cm3のMgB2の焼結体を外径が15mm、内径が12mmおよび長さが280mmの鉄パイプ内に充填することによって複合ビレットとした後、これに、外径が1.0mmとなるまで引き抜きによる減面加工を施すことによって所定の超電導複合材を製造した。
【0025】
次いで、得られた複合材を30mmの長さに切断し、そのうちの一部の切断片に対して、酸素濃度が0.01%以下のアルゴン雰囲気中での900℃×30分の熱処理を施し、これにより再熱処理のサンプル(実施例2)を準備するとともに、この熱処理を施さないサンプル(実施例3)をも併せて準備した。
【0026】
液体ヘリウム中および外磁場なしの状態において、これらのサンプルの臨界電流を1μV/cmの定義のもとで測定したところ、実施例2が550A/mm2、および実施例3が500A/mm2の結果が得られた。いずれも充分な特性であり、実施例2には、再熱処理による効果が認められた。
【0027】
以上に示される高い臨界電流は、MgB2粉末がパルス通電加熱によってその表面の不純物層を除去されるとともに、温度と圧力によって焼結体としての密度が高められ、その結果、表面清浄なMgB2の粒子同士が接触する図3の(a)の状態が、より強固に現出したことに起因しているものと思われる。
【0028】
なお、焼結体の前駆体をパルス通電によって作製するときには、パルス通電特有の高速昇温が熱負荷大のための粒成長を抑制するように作用することから、結晶粒界がピンニングのときに小結晶ほど高臨界電流となる超電導特有の性質を期待することでき、より高い超電導特性を確保することが可能となる。
【0029】
本発明が対象とする超電導複合材の形態としては、線材、導体あるいはそれらの集合体、さらには、これらの複合体等が考えられ、その応用例としては、マグネット、コイル、ケーブル、ブスバー、電流リード、磁気シールド、限流器あるいは永久電流スイッチ等が挙げられる。
【0030】
また、上記の線材の形態としては、丸線以外に、平角線あるいはテープ線等が考えられ、さらに、これらを単心線、多心線、直状線、スパイラル状線あるいは撚り線等にすることも可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、減面加工を施す前のMgB2に対して酸素の影響を抑制した状態のもとにパルス通電による加熱処理を施すため、MgB2表面の不純物層が除去されることになり、従って、MgB2間の接合状態が良好な、高い臨界電流特性を有する超電導複合材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験例に使用された装置の概要を示す説明図。
【図2】図1の試験例により得られたMgB2粉末の構成を示す模式図であり、(a)は本発明に基づくもの、(b)は本発明に基づかないものを示す。
【図3】超電導用複合材の断面を示す模式図であり、(a)は本発明の実施の形態により得られた複合材、(b)は比較例により得られた複合材を示す。
【符号の説明】
1 容器
2 ダイ
3、4 パンチ
5 ダイボックス
6、7 電極
8 MgB2の粉末
9 不純物層
10 鉄パイプ
11 MgB2の結晶粒
Claims (3)
- 粉末状のMgB2を金属管内に充填し、前記金属管に所定のサイズヘの減面加工を施す超電導複合材の製造方法において、
前記減面加工を施す前の前記MgB2に対し、酸素濃度が0.1%以下の真空下あるいは不活性ガス雰囲気下でパルス通電して前記MgB2を200〜1500℃に昇温させる加熱処理を施すことを特徴とする超電導複合材の製造方法。 - 前記加熱処理のステップは、前記MgB2の密度を0.5g/cm3以上に設定して行われることを特徴とする請求項1記載の超電導複合材の製造方法。
- 前記減面加工のステップは、総加工度(総断面減少率)が99%以上となるように行われることを特徴とする請求項1記載の超電導複合材の製造方法。
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