JP3922963B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性を有する金属等の部材からなる外装部材を用いたカメラに係り、特にカメラの内部機構を通じて外部から到来する電気的なノイズを電気回路の接地パターンに流し込むカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のカメラにおいて、その外観の良さや高級感などの印象をユーザーに与えるために、金属からなる外装部材でカメラ本体を覆っているカメラがある。また外装部材に金属を用いた場合、外装部材の内側の一部若しくは全面には、カメラ本体のフレキシブル基板に実装される回路部品や回路パターンとの短絡を防止するために、内側の絶縁処理や絶縁シートが貼り付けられている。
【0003】
このようなカメラは、外装部材が導電性を有しているため、静電気により帯電(放電)したり、また外装部材がアンテナとして機能し、周囲からノイズを拾い易くなり、このノイズにより発生した電流がカメラ内部の電気部品に悪影響を与える場合がある。これは外装部材をカメラの電気回路の接地パターンに電気的に接続して、外装部材の電位を接地電位に降下させた状態にしておけば、もしノイズを拾ったとしても、発生した電流が接地パターンに流れて、電気部品を保護することができる。
【0004】
その接地方法として、例えば、カメラ本体に弾性を有する金属切片の一端をリード線と共にビスなどにより固定し、そのリード線をカメラの電気回路の接地パターンに半田付けで接続させておき、カメラ本体に外装部材を組付けた際に、その金属接片の他端が、外装部材の金属表面が露呈した内側部分に付勢されつつ接触させて、電気的に接続する方法がある。
【0005】
また、外装部材の内側の一部分の金属表面を露呈させ、組付けた状態でカメラ本体のプリント基板の接地パターンとその一部分とが重ね合わせられるように加工しておき、組付けた際に、ビスで重ね合わせられた箇所を共締めして固定することにより外装部材を接地する方法もある。
【0006】
さらに、特開平11−15054号公報には、電池のマイナス側の切片と外装部材とが固定部材を介して電気的に導通される技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような金属切片を用いて接地パターンに電気的に接続する場合、金属切片の一端をビスで固定する作業や、リード線と電気回路の接地パターンとを接続するための半田付け作業などが必要となり、組み立て工数の増加を招き、部品コストも増加してしまう。
【0008】
またプリント基板の接地パターンと外装部材とを共締めする方法では、半田付け作業を省くことはできるが、一方、カメラ本体と外装部材をビス締めにより固定しているため、外部から衝撃が加わった場合、カメラ本体に直に衝撃が及ぶこととなり、ネジ止め部分が破損したり、カメラ本体が破壊される畏れがある。更に、ビス締めを行うための座面にある程度の面積が必要となるため、カメラの大型化を招いてしまう。また、ビスの取り付け位置が限定されるか設計の自由度が無くなる。特に、外装部材上のビスが目立ってしまった場合には、外観の良さや高級感などを持たせるために金属製の外装部材を用いても、その効果が半減しかねない。
【0009】
特開平11−15054号公報に開示された技術では、固定部材を必要とし、部品点数の増加を招き、またこの固定部材は外装部材の外部から取付けられるため、脱落などの畏れがある。
【0010】
そこで本発明は、品点数を増やすことなく、簡単な構成で導電性の外装部材を確実に接地することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、接地電位となるパターン部を有するプリント配線基板と、少なくとも一端部に座巻き部が形成された導電性を有するばねと、上記プリント配線基板の上記パターン部近傍に設けられ、上記バネを取り付けるための切り込み部と、上記プリント配線基板上に設けられ、上記ばねを位置決めするための位置決め孔と、上記座巻き部の端部が折り曲げて形成され、上記位置決め孔に挿入される位置決め突起と、上記ばねの他端部が圧接される少なくとも表面に導電性を有する導電部材とを備えて、上記ばねは、上記切り込み部と上記位置決め孔とにより上記プリント配線基板に対し位置決めされ、上記座巻き部にて上記パターン部の露呈部分を挟着し、上記他端部が上記導電部材に圧接して電気的接続を成し、上記導電部材の電位を上記接地電位に降下させるカメラを提供する。
【0012】
以上のような構成のカメラは、導電性材料からなる外装部材をカメラ本体に組み付けた際に、切り込み部に設けられたプリント配線基板の接地電位のパターン部に掛かるように嵌められ、パターン部上又は近傍に設けられた位置決め孔に位置決め突起を挿入させて取り付けられた導電性を有するばねと、その外装部材の内側とが圧接してパターン部と電気的に接続され、上記導電部材でノイズを拾ったり静電気により電荷が帯電した際に、そのノイズや電荷による電流は電気回路の接地電位のパターンに流し込まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカメラの構成例を示す。
【0015】
このカメラは、カメラ本体1が前面から外装部材2に覆われるように構成される。
【0016】
この外装部材2は、導電体材料、例えば金属により全体が形成されるが、内側は、カメラ本体のフレキシブル基板(プリント配線基板)に実装された回路部品や回路パターンとの短絡を防止させるために、アルマイト処理や絶縁シートの貼り付け等を行い、内側表面に絶縁性を持たせている。この実施形態では、外装部材2は、カメラの後面(後蓋側)を除く、前面(撮影レンズ側)、上下面及び両側面を覆うようなボックス型形状であり、レンズ鏡筒が挿嵌される撮影レンズ用開口部3が開口され、ファインダ窓4及び測距・測光用窓5、ストロボ用窓6が設けられている。また、レリーズボタン7は、外装部材2の上面に取り付けられている。勿論、外装部材2は、このBOX形状に限定されるものではなく、また窓は、これ以外にも必要に応じて適宜開口される。
【0017】
カメラ本体1は、前面中央にレンズ鏡筒8が配置され、カメラの前方向から見て右側にフィルムの巻き取りを行うためのスプール軸9が設けられたスプール室10が配置され、図示していないが同左側には、フィルムパトローネを装填するためのパトローネ室が配置されている。また、カメラ本体上面には、ファインダ及び測距・測光ユニット11が設けられる。その上方及びカメラ本体前面の左側に掛かり、カメラの各構成部位の制御や演算等を行うための電気回路が形成されるメインフレキシブル基板12が配置される。このメインフレキシブル基板12の前面側は、折り畳まれて二重となっており、制御や演算処理を行うための主制御部(CPU)13と、各構成部と信号のやり取りを行うためのインターフェイスIC(IFIC)14等が実装されている。このメインフレキシブル基板12の前面側の上端には接地用ばねを取り付けるためのV字形状の切り込み部12aが形成され、接地用のばね15が差し込まれた接地部を設けている。
【0018】
図2(a)は、外装部材を接地させるための接地部の構成を示し、図2(b)は、この接地部をカメラに組み付けた状態を示す断面図である。
【0019】
メインフレキシブル基板12の前面側の上端には、V字形状の切り込み部12aが形成される。尚、この切り込み部12aは、図2(a)に示すX方向へのばね15の移動を規制するためのものであり、切り込みの測定部にて、ばね15の移動が規制される。よって、その形状はV字形状に限定されるものではなく、U字形状、半円形状及び矩形形状でもよく、切り込む深さと共に、カメラのよる設計条件により適宜設定されるものである。即ち、ばね15は、接地パターン12bに当接した位置内にいる必要があるが、必ずしも精密に位置を決める必要はないのでばね15が移動したとしても接地パターン12bとの当接状態が維持できるように、接地パターン12bの大きさなどを勘定して切り込み形状を適宜変更することができる。
【0020】
そして、この切り込み部12aの下方にその一部が掛かるように、メインフレキシブル基板12上に円形の接地パターン12bを形成する。そして接地パターン12b上に、もしくはその近傍に位置決め孔12cを開口する。この接地パターン12bの表面は、表面上の絶縁被覆が除去されて露呈された状態となっている。
【0021】
図2(b)に示すように、この接地用のばね15は、例えば円錐形状を成した円錐コイルばねであり、縮んだ際には、素線が重ならないように巻かれている。この円錐形状の底辺側の座巻き部15cの端部15aが折り曲げられており、メインフレキシブル基板12に設けられた切り込み部12aの位置決め孔12cに挿入されるようになっている。
【0022】
ばね15は、切り込み部12aに差し込まれた際には、この端部15aが位置決め孔12cに挿入され、その位置が決められる。そして、座巻き部15cにて、メインフレキシブル基板12上の接地パターン12bを弾性的に挟持することにより、ばね15と接地パターン12bとが電気的に接続される。この際、端部15aを位置決め孔12cに挿入したのみでは、この端部15aを中心としてばね15が回動する虞があるが、上述のような切り込み部12aによりばね15のX方向の移動が規制されているため、ばね15が接地パターン12bから外れることがない。
【0023】
尚、座巻き部15cは密着巻きにて形成されるため、ばね15の座巻き部15cを差し込むだけで、座巻き部15cが接地パターン12bを弾性的に挟持するために組付けが簡素化される。一方、外装部材2のばね15と対向する位置は、絶縁シート16が削除されており、金属表面からなる導電部2aが露呈される。
【0024】
従って、カメラ本体1に外装部材2を組み付けた場合には、図2(b)に示すように、ばね15は縮んだ状態となり、ばねの付勢力が加わった状態で上部15bが外装部材2の内側表面の導電部2aに圧接して、外装部材2とメインフレキシブル基板12における接地パターンとが導通状態になる。この導通状態により、外装部材2の電位は、接地パターンの電位、即ち、接地電位に降下されることとなる。
【0025】
以上のことから本実施形態によれば、導電性を持つ導電材料からなるカメラの外装部材は、カメラ本体に組み付けられた際に、導電性のコイルばねによりカメラ本体のプリント配線基板の接地パターンと電気的に導通状態となり、カメラの周囲からのノイズによる電流や静電気による電荷を外装部材から電気回路の接地パターンに流すことができ、カメラ内の電機部品に悪影響が及ぶことを防止することができる。
【0026】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0027】
図3は、第2の実施形態に接地部の構成例を示す。これは、前述した第1の実施形態における接地部の変形例であり、接地部以外の構成部位は同等であり、それらの説明は省略する。
【0028】
前述した第1の実施形態では、メインフレキシブル基板12における接地パタン12b上にもしくはその近傍に位置決め孔12cを開口したが、本実施形態では切り込み部12aの下方(底部)がほぼ中心となる接地パターン12bを形成し、その面積を大きくする。端部15aの折り曲げ部を有さない以外は第1の実施形態と同様なばね15をメインフレキシブル基板12の二重折りの間に挟まり、切り込み部12aの下方まで座巻き部15cを挟み込む。
【0029】
この第2の実施形態によれば、メインフレキシブル基板12に設けた切り込み部12aによる、ばね15の位置規制範囲内にわたって接地パターン12bを設けているため、ばね15に屈曲して形成する端部15cを設ける必要がなく、部品形状の簡素化を図ることができると共に、組み付け作業が容易になる。
【0030】
また、前述した各実施形態では、全体が導電体、例えば金属により形成された外装部材を一例として説明したが、これに限定されることはなく、金属製の板材を絞り加工して、カメラの外観面の一部若しくは全体となる金属製カバーを作成し、その内側に樹脂により成形された樹脂製カバーが一体的に固定された構成の外装部材でもよい。この樹脂カバーの内側には、カメラ本体の各種操作部材を取付けるための突起部やネジ穴等の取り付け部が設けられている。カメラ本体へ組み付けた際に、コイルばね15の上部15bが当接する樹脂カバー部分は除去されて、金属表面が露呈された状態となっている。
【0031】
さらに、本実施形態では、外装部材と接地パターンとの電気的な接続に円錐コイルばねを使用したが、密着巻き部で設置パターンを弾性的に挟持するように形成されているのならば、他にも、円筒形コイルばね(密着巻きも含む)、薄板ばね等も利用できる。また、ばねに限定されず、例えば、金属製のクリップの一端が曲げられた様な形状のクリップタイプでもよい。
【0032】
そして、前述した各実施形態では、接地部をカメラの前面側に配置したが、これに限定されるものではなく、上面側のメインフレキシブル基板上に設けてもよい。また、接地部を配置するに際して、外装部材に設けられた操作スイッチを利用したり、カメラ本体に設けられた操作スイッチやレンズ鏡筒のために開口部の周囲や近傍に配置してもよい。例えば、外装部材上面に設けられたレリーズボタン(レリーズスイッチ)が円筒形を成していたならば、そのレリーズボタン外周に円筒コイルばねを嵌め込み、メインフレキシブル基板上のレリーズボタンが配置される近傍で組み付けた状態の時に、該円筒コイルばねの端部が当接する箇所に接地パターンを形成することにより、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0033】
尚、上述した各実施形態において、ばね15の位置を規制するために切り込み部や位置決め孔を設けているが、これらを無くして部品形状の簡素化を図るために、ばねの固定に粘着テープを用いてもよいし、ばね力を大きくすることにより、ばねの移動を防止するようにしてもよい。
【0034】
以上の実施形態について説明したが、本明細書には以下のような発明も含まれている。
【0035】
1.グランドパターンが露呈したパターン部を有するプリント配線基板と、
少なくとも一端部に密着巻き部が形成された導電性を有するばねと、
金属体からなる外装部材と、
上記外装部材に設けられ、上記ばねの他端部が当接される当接部と、
を具備し、
上記ばねは上記密着巻き部にて上記パターン部を挟着し、上記プリント配線基板と上記外装部材とは上記ばねを介して電気的に導通されることを特徴とするカメラ。
【0036】
2.上記外装部材は、表面をアルマイト処理されたアルミニウムからなり、上記当接部は、このアルマイト層を除去した領域であることを特徴とする上記1項に記載のカメラ。
【0037】
3.上記外装部材に配される絶縁体を有し、この絶縁体は上記当接部にて外装部材の金属部を露呈させる開口部を有することを特徴とする上記1項に記載のカメラ。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、品点数を増やすことなく、簡単な構成で所定の導電性の外装部材を確実に接地することが可能なカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカメラの構成例を示す図である。
【図2】図2(a)は、外装部材を接地させるための接地部の構成を示し、図2(b)は、この接地部をカメラに組み付けた状態を示す断面図である。
【図3】第2の実施形態に接地部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…カメラ本体
2…外装部材
2a…導電部
3…撮影レンズ用開口部
4…ファインダ窓
5…測距・測光用窓
6…ストロボ発光窓
7…レリーズボタン
8…レンズ鏡筒
9…スプール軸
10…スプール室
11…測距・測光ユニット
12…メインフレキシブル基板
12a…切り込み部
12b…接地パターン
12c…位置決め孔
13…主制御部(CPU)
14…インターフェイスIC(IFIC)
15…ばね
15a…位置決め突起
15b…圧接部
15c…座巻き部
16…絶縁シート
Claims (3)
- 接地電位となるパターン部を有するプリント配線基板と、
少なくとも一端部に座巻き部が形成された導電性を有するばねと、
上記プリント配線基板の上記パターン部近傍に設けられ、上記バネを取り付けるための切り込み部と、
上記プリント配線基板上に設けられ、上記ばねを位置決めするための位置決め孔と、
上記座巻き部の端部が折り曲げて形成され、上記位置決め孔に挿入される位置決め突起と、
上記ばねの他端部が圧接される少なくとも表面に導電性を有する導電部材と、
を具備し、
上記ばねは、上記切り込み部と上記位置決め孔とにより上記プリント配線基板に対し位置決めされ、上記座巻き部にて上記パターン部の露呈部分を挟着し、上記他端部が上記導電部材に圧接して電気的接続を成し、上記導電部材の電位を上記接地電位に降下させることを特徴とするカメラ。 - 上記ばねは円錐状のコイルばねであって、
大径側に形成された上記座巻き部にて上記パターン部を挟着することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。 - 上記ばねは、上記導電部材に圧接した状態で、それぞれの素線がその径方向で重なることなく圧縮されることを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
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