JP3919506B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法のごとき記録方法に用いるための画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性を有するトナー及び画像形成方法に関しては多くの提案がなされている。
【0003】
米国特許第3,909,258号明細書には電気的に導電性を有する磁性トナーを用いて現像する方法が提案されている。これは内部に磁性を有する円筒状の導電性スリーブ上に導電性磁性トナーを支持し、これを静電像に接触せしめ現像するものである。この際、現像部において、記録体表面とスリーブ表面の間にトナー粒子により導電路が形成され、この導電路を経てスリーブよりトナー粒子に電荷が導かれ、静電像の画像部との間のクーロン力によりトナー粒子が画像部に付着して現像される。この導電性磁性トナーを用いる現像方法は従来の二成分現像方法にまつわる問題点を回避した優れた方法であるが、反面トナーが導電性であるため、現像した画像を、記録体から普通紙等の最終的な支持部材へ静電的に転写することが困難であるという問題を有している。
【0004】
静電的に転写することが可能な高抵抗の磁性トナーを用いる現像方法として、トナー粒子の誘電分極を利用した現像方法がある。しかし、かかる方法は本質的に現像速度がおそく、また現像画像の濃度が十分に得られていない。
【0005】
高抵抗の絶縁性の磁性トナーを用いるその他の現像方法として、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒子と現像スリーブとの摩擦により磁性ナー粒子を摩擦帯電し、これを静電像保持部材に接触して現像する方法が知られている。しかしこの方法は、磁性トナー粒子と摩擦部材との接触回数が少なく、また、用いられる磁性トナーは磁性トナー粒子表面に磁性体が多く露出しているため、摩擦帯電が不十分となりやすく帯電不良になりやすかった。
【0006】
さらに、特開昭55−18656号公報において、ジャンピング現像方法が提案されている。これは現像スリーブ上に磁性トナーを薄く塗布し、これを摩擦帯電し、次いでこれを静電像に極めて近接して静電荷像を現像するものである。この方法は、磁性トナーを現像スリーブ上に薄く塗布することにより現像スリーブとトナーの接触する機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にしている点で優れた方法である。
【0007】
しかしながら、絶縁性磁性トナー粒子中には微粉体状の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部が磁性トナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響しやすい。
【0008】
従来の磁性体を含有する磁性トナー粒子を用いた場合に、磁性トナー粒子の表面に磁性体が露出していることが影響を与えると考えられる。磁性トナー粒子の表面に、磁性トナー粒子を構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒子が露出することにより、磁性トナー粒子の帯電性能の低下、磁性トナー粒子の流動性の低下、長期間の使用においては、磁性トナー粒子同士または規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画像濃度の低下や、スリーブゴーストと呼ばれる濃淡のムラ、が発生しやすい。
【0009】
懸濁重合法によるトナー(以後「重合トナー」と略す)は、トナー粒子の微粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナーの形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0010】
しかしながら、この重合トナー粒子中に磁性体を含有することにより、その流動性及び帯電特性は低下する。これは、磁性粒子は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいためであり、この問題を解決するためには磁性体の有する表面特性の改質が重要となる。
【0011】
重合トナー粒子中の磁性体の分散性、内包性向上のため、磁性体の表面改質に関しては数多くの提案がなされている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報、特開平10−239897号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0012】
しかしながら、これらの処理によりトナー粒子中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体粒子の発生を避けることができず、トナー粒子中の分散性をさらに改良する必要がある。
【0013】
また、これらの処理により磁性トナー粒子表面からの磁性酸化鉄粒子の露出はある程度抑制されるものの、磁性酸化鉄粒子表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性酸化鉄粒子同士の合一や疎水化されていない磁性酸化鉄粒子の発生を避けることができず、磁性酸化鉄粒子の露出を抑制するには不十分である。
【0014】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特公昭60−3181号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではなく、本発明の画像形成方法に適用するにはさらなる改良が必要である。さらに、処理剤を多量に使用したり、高粘性の処理剤を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一が生じて分散性は逆に悪化してしまう。このような磁性体を用いて製造されたトナーは、摩擦帯電性が不均一であり、それに起因してカブリや転写性が良くないものとなる。
【0015】
このように、従来の表面処理磁性体を用いた重合磁性トナーでは、疎水性と分散性の両立は必ずしも達成されておらず、このような重合磁性トナーを本発明のような接触帯電工程を含む画像形成方法に適用しても、高精細な画像を安定して得ることは難しい。
【0016】
特開平5−66608号公報、特開平4−9860号公報で疎水化処理を施した無機微粉末若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉末を添加、または特開昭61−249059号公報、特開平4−264453号公報、特開平5−346682号公報で疎水化処理無機微粉末とシリコーンオイル処理無機微粉末を併用添加する方法が知られている。
【0017】
また、外部添加剤として導電性微粒子を添加する方法が提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するため、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるための目的で、トナー表面に付着または固着するための外部添加剤として用いることが知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加することが開示されている。また、特開昭56−142540号公報では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立するトナーが提案されている。更に、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平02−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粒子をトナーに添加することが知られている。
【0018】
近年、潜像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0019】
接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラー型(帯電ローラー)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0020】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0021】
(1)放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。
放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンの如き活性イオンによる弊害は避けられない。
【0022】
(2)直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、または注入帯電、または電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材はより密な接触点を持つことが必要となる。
【0023】
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラー(帯電ローラー)を用いたローラー帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。従来のローラー帯電における帯電機構は前記(1)の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラーは、導電または中抵抗のゴム材または発泡体を用いて作成される。さらにこれらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0024】
帯電ローラーは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動または若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラー形状による接触ムラや被帯電体の付着物による帯電ムラが生じる場合がある。
【0025】
図1は電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にはその時得られた被帯電体(以下、感光体と記す)帯電電位を表すものである。ローラー帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、または、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0026】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラーを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0027】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0028】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0029】
このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0030】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0031】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合にはさらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0032】
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記(1)の放電帯電機構が支配的である。
【0033】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2 程度のものが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要がある。
【0034】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は図1のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、固定タイプ、ロールタイプのどちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し、放電現象を用いて帯電を行っている。
【0035】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構は前記(2)の直接注入帯電機構が支配的である。
【0036】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。図1の帯電特性グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。
【0037】
しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する場合がある等の弊害もある。
【0038】
ここで、これらの接触帯電方法を現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法に適用した場合を説明する。
【0039】
現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、付着または混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着または混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0040】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着または混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0041】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させるまたはカブリを増大させる。また、現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることが重要であり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行う。
【0042】
これについて具体的に一般的なレーザープリンターを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗値、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。
【0043】
しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像兼クリーニング、クリーナーレス画像形成方法が成立する。
【0044】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着または混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像部材によってトナーを回収することが困難となる。また、トナー担持体に摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0045】
現像兼クリーニング、クリーナーレス画像形成方法に於いては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0046】
帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラー)が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)であり、スコロトロンの如きコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラー帯電の場合と同様に依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナーレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行う効果が薄れてしまう。
【0047】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電または近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。
【0048】
更に、クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粉体及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粉体及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微粉体及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粉体が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0049】
また、近接帯電では、多量の導電性微粉体及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断または紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0050】
また、現像兼クリーニング画像形成方法に於いて、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像兼クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉末とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像兼クリーニング画像形成方法に於いて、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像兼クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0051】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラー部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助または制御する現像兼クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像兼クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像兼クリーニングの利点を損ねている。
【0052】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する導電性微粉体を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光または拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0053】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0054】
更に、特開平10−307455号公報では導電性微粉体の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉体の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0055】
特開平10−307457号公報では人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0056】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉体の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、または現像バイアスが導電性微粉体を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉体の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉体が埋め込まれ露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0057】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉体を外部添加し、少なくとも可撓性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粉体が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0058】
しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さな磁性トナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地があった。
【0059】
さらに前述の被帯電体となる、光導電物質で電子写真用感光体として用いられることが公知のものとしては、OPC(有機系感光体)、アモルファスシリコン(以後a−Siと呼ぶ。)がある。
【0060】
OPC感光体は、耐摩耗性、耐久性に決定的な欠点を有しているため、それへの対策が急務とされている。上述のように、現在、実用化され、画像形成装置に適用されている感光体は、感度、耐久性、画質、無公害性について満足されるものはなく、それぞれの感光体の持つ欠点を、トナーまたはプロセス的に補うことにより、画像形成装置として製品化され市場化されている。
【0061】
a−Siは可視領域全域にわたって高い感光度をもつため、半導体レーザーやカラー用にも対応できる。また表面硬度が高く、長寿命が期待でき、ビッカース硬度で1500〜2000Kgf/mm2を有し、50〜100万枚以上の耐刷性能を持っている。耐熱性に対しても、画像形成装置の実用レベルの範囲において十分使用できるものである。
【0062】
また、一般的にa−Si感光体の表面暗電位は、膜厚に対応するといわれている。現在、実用化されている感光体の表面暗電位は、CdS系感光体では最低でも500V、Se系感光体、OPC系感光体では、600〜800Vが必要である。この電位をa−Siで達成するためには膜厚を厚くする必要がある。
【0063】
このような問題に対し、a−Si感光体の量産性とコストの面、性能面の両面を満足しうるものとして、薄膜化が提案されている。けれども、この方法においては、低電位で現像できるトナーを選択しなければならない。a−Si膜の薄膜化は、コスト及び生産能力、感光特性を満足しうるものの、その一方で、表面電位がOPCに比べて低下してしまう。
【0064】
従って、a−Si感光体を実用的に使用しうるためには、高い現像能力を有したトナーを用いなければならない。また、高画質や高耐久性などの目的に応じて、薄膜a−Si感光体においては特に、表面性をコントロールする必要も出てくるのも事実である。
【0065】
a−Si感光体の例としては、a−Siに代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶質堆積膜として、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、塩素)を含む(例えば水素またはダングリングボンドを補償する)a−Siのアモルファス堆積膜が高性能、高耐久、無公害な感光体として提案され、その幾つかは実用化されている。特開昭54−86341号公報、USP4,265,991号には、光導電層を主としてa−Siで形成した電子写真感光体の技術が開示されている。また特開昭60−12554号公報には珪素原子を含有する非晶質シリコンからなる光導電層の表面に炭素及びハロゲン原子を含む表面層が開示されており、更に特開平2−111962号公報には、a−Si:H又は、a−C:H感光層上に表面保護潤滑層を設けた感光体が開示されているが、何れも撥水性や耐摩耗性を向上させる技術であり、電子写真プロセスと感光体の表面層との関係に関する記載はない。
【0067】
本発明の目的は、前述のような問題点を解決して、良好な現像兼クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0068】
また、本発明の目的は、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成方法を提供することにある。
【0069】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0071】
すなわち、本発明は、像担持体を帯電部材により帯電させる帯電工程と、帯電した像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させた磁性トナーを静電潜像に転移させて静電潜像を現像して磁性トナー像を形成する現像工程と、像担持体上に形成された磁性トナー像を転写材に中間転写体を介して、又は、介さずに静電転写させる転写工程とを少なくとも含み、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法において、帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加して絶対値で250乃至600Vに像担持体を帯電させる工程であり、像担持体は、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層とを有し、現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねており、磁性トナーは、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有する磁性トナー粒子と、磁性トナー粒子表面に存在する無機微粉末及び導電性微粉体を少なくとも有し、重量平均粒径が3〜10μmであり、平均円形度が0.950から0.995であり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00%であり、導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量が0.2〜10質量%であり、帯電工程において、当接部に導電性微粉体が介在することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0072】
本発明では、前記当接部に粒子が介在することが、帯電均一性を向上させ、かつ長期にわたって安定した帯電均一性を実現する上で好ましい。
【0073】
また、本発明では、前記像担持体が、絶対値で250乃至550Vに、好ましくは250乃至500Vに帯電されることが、画像不良の発生を防止する上で好ましい。
【0074】
また、本発明では、前記磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜50Am2/kgであることが、トナー飛散等を防止し、かつ高画質の画像を形成する上で好ましい。
【0075】
また、本発明では、前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から2.00%、より好ましくは0.05%から1.50%、さらに好ましくは0.05%から0.80%であることが、良好な帯電特性による画像形成を行う上で好ましい。
【0076】
また、本発明では、前記磁性トナーの平均円形度が好ましくは0.970から0.995であることが、磁性トナーの良好な転写性を実現する上で好ましい。
【0077】
また、本発明では、前記磁性トナーのモード円形度が0.99以上であることが、磁性トナーの良好な帯電特性や転写性等を実現する上で好ましい。
【0078】
また、本発明では、前記磁性酸化鉄が、水系媒体中でカップリング剤を加水分解することにより表面処理されたものであることが、磁性トナーの上記平均円形度を実現し、かつ磁性トナーの帯電特性をより向上させる上で好ましい。
【0079】
また、本発明では、前記磁性トナーは、一次平均粒径が4〜80nmの無機微粉末を有することが、磁性トナーの流動性を向上させるなどの観点から好ましく、一次平均粒径が4〜80nmのシリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも一種の無機微粉末またはその複酸化物を有することがより好ましい。
【0080】
また、本発明では、前記磁性トナーは、疎水化処理されている無機微粉末を有することが、環境等の条件による帯電特性の変動等を抑制する上で好ましく、無機微粉末は少なくともシリコーンオイルで、さらには少なくともシラン化合物及びシリコーンオイルで処理されていることがより好ましい。
【0081】
また、本発明では、前記磁性トナーは、抵抗値が109Ω・cm以下であり、トナーの体積平均粒径よりも小さい非磁性導電性微粉体を、磁性トナー全体に対し0.2〜10質量%有することが、長期にわたる安定した像担持体の帯電を実現する上で好ましい。
【0082】
また、本発明では、前記非磁性導電性微粉体の抵抗値が106Ω・cm以下であることが、磁性トナーの帯電と帯電手段による像担持体の帯電とを良好な範囲で行う上で好ましい。
【0083】
また、本発明では、前記磁性トナーが有する導電性微粉体は、少なくとも表面が金属酸化物であり、該金属酸化物の主金属に対し0.1〜5原子%の異原子を含有する金属酸化物であるか、または酸素欠損型の金属酸化物であることが、トナー等の帯電特性を調整する上で好ましい。
【0084】
また、本発明では、前記磁性トナーは、トナー全体に対し0.1〜20質量%のワックスを含有することが、トナーの耐オフセット性を向上させる上で好ましい。
【0085】
また、本発明では、前記ワックスの示差熱分析による融点の吸熱ピークが40〜110℃、より好ましくは45〜90℃であることが、耐高温オフセット性と耐低温オフセット性との両方を実現する上で好ましい。
【0086】
また、本発明では、前記像担持体を直接加温する手段を設けないことが、画像形成に要する消費電力の省力化を実現する上で好ましい。また、トナー融着を抑制する観点からも好ましい。
【0087】
また、本発明では、前記像担持体が、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層と、この光導電層とは組成の異なる非単結晶材料で構成された最表面層とを有し、該最表面層が非単結晶水素化炭素膜よりなることが、像担持体の長寿命化の観点から好ましい。
【0088】
また、本発明では、前記現像工程がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねていることが、エコロジー及び装置の小型化等の観点から好ましい。
【0089】
また、本発明では、前記帯電工程において、介在する粒子が導電性微粉体であることが、高画質画像を安定して形成する上で好ましく、帯電部材と像担持体との当接部に103個/mm2以上の導電性微粉体が介在した状態で像担持体を帯電する工程であることがより好ましい。
【0090】
また、本発明では、前記帯電工程は、当接部を形成する前記帯電部材の表面の移動速度と前記像担持体の表面の移動速度が、相対的速度差を有しつつ像担持体を帯電する工程であることが、像担持体の均一帯電を実現する上で好ましく、帯電部材と像担持体が互いに逆方向に移動しつつ像担持体を帯電する工程であることがより好ましい。
【0091】
また、本発明では、前記帯電工程は、アスカーC硬度が50度以下のローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることが、像担持体と帯電部材との接触性を向上させ、より均一に像担持体を帯電させる上で好ましい。
【0092】
また、本発明では、前記帯電工程は、体積固有抵抗値が103Ω・cm〜108Ω・cmのローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることが好ましい。
【0093】
また、本発明では、前記帯電工程は、ローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、該ローラー部材は少なくとも表面に球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、該窪みを空隙部としたローラー部材表面の空隙率が15〜90%であることが好ましい。
【0094】
また、本発明では、前記帯電工程は、導電性を有するブラシ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であっても良い。
【0095】
また、本発明では、前記帯電工程は、帯電部材に直流電圧、または直流印加における放電開始電圧をVthとしたときに2×Vth未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることが、オゾンの発生を伴わない像担持体の帯電を実現する上で好ましく、帯電部材に直流電圧、または直流印加における放電開始電圧(Vth)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、実質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯電する工程であることが、さらに省力化を実現する上で好ましい。
【0096】
また、本発明では、前記帯電工程は、介在する粒子が磁性粒子であること、すなわち磁性粒子を磁気拘束し形成される磁気ブラシを該像担持体の表面に当接させ、該磁気ブラシに電圧を印加することにより該像担持体の表面を帯電させる磁気ブラシ帯電器により帯電する工程であることが、像担持体を均一に帯電し、かつ像担持体の帯電部材との摺擦による削れをより防止する上で好ましい。
【0097】
また、本発明では、前記磁性粒子の体積平均径は、10〜50μmであることが好ましく、前記磁性粒子の体積抵抗値は、1×104〜1×109Ωcmであることが好ましい。
【0098】
また、本発明では、前記静電潜像形成工程は、像露光により像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込むことが好ましい。
【0099】
また、本発明では、前記現像工程は、トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層からトナーを像担持体上に転移させ静電潜像を現像する工程であることが好ましく、前記現像工程において、該トナー担持体と対向して微小間隔をもって配設される強磁性金属ブレードによりトナー担持体上のトナー量を規制することが、トナーの劣化を抑制しつつ上記層厚を規制する上で好ましい。
【0100】
また、本発明では、前記現像工程は、像担持体とトナー担持体を対向させる間隙が100〜1000μmであることが好ましく、前記現像工程は、像担持体とトナー担持体との間隙よりも層厚が小さなトナー層をトナー担持体上に形成し、該トナー層からトナーを像担持体上に転移させ静電潜像を現像する工程であることが、像担持体の削れやトナーの劣化のより少ない画像形成を実現する上で好ましい。
【0101】
また、本発明では、前記現像工程は、トナーを担持するトナー担持体と像担持体の間に少なくとも交番電界を現像バイアスとして印加して像担持体の静電潜像を現像する工程であり、該交番電界はピークツーピークの電界強度で3×106〜1×107V/m、周波数100〜5000Hzであることが好ましい。
【0102】
また、本発明では、前記転写工程は、転写部材が転写時に転写材を介して像担持体に当接して、像担持体上のトナー像を転写材に転写する接触転写工程であることが好ましい。
【0103】
【発明の実施の形態】
本発明では、像担持体の帯電性を均一にし長期に亘り安定化させる上で、磁性トナーにおける鉄および鉄化合物の遊離率、像担持体の材質と帯電電位との関係が重要である。以下、その理由について述べる。
【0104】
本発明で使用される磁性トナー中で遊離している鉄および鉄化合物は、磁性酸化鉄粒子に由来するものであり、磁性トナー粒子に外添されている導電性微粉体と共に像担持体の帯電性を均一化および安定化する上で重要な働きをしている。
【0105】
遊離している磁性酸化鉄粒子は、低抵抗性、弱帯電性を示し、かつ硬度が高いために、接触する部材を削る性質を有する。
【0106】
一方、像担持体において、光導電層がシリコン原子を母体とする非単結晶物質で形成されているために表面自由エネルギーが高く、特に無機粒子又は無機微粒子との相互作用が強い傾向にある。像担持体表面に付着した磁性酸化鉄粒子は、帯電工程における注入帯電性を補助し、さらに、帯電部材と像担持体の接触面において像担持体を研磨し、像担持体表面をリフレッシュして、帯電均一性を長期に亘って維持することが可能になる。
【0107】
像担持体の帯電電位が250V乃至600Vであり、磁性酸化鉄粒子の遊離率が0.05〜3.00%の範囲であると、シリコン原子を母体とする非単結晶物質で形成されている光導電層の表面に磁性酸化鉄粒子及び導電性微粉体が適度に磁性トナーから供給され、また、光導電層の表面から磁性酸化鉄粒子及び導電性微粉体が除去されるので、光導電層の表面にある磁性酸化鉄粒子及び導電性微粉体の存在量が安定し、帯電工程における注入帯電がより安定化し、像担持体の表面の削れムラが抑制されて帯電性の不均一化が防止される。
【0108】
本発明に使用する磁性トナーについて説明する。
本発明において、トナーは少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有し、平均円形度が0.950〜0.995の範囲にあり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%の範囲にあり、且つ磁性トナー粒子表面に無機微粉末および導電性微粉体を有することが重要である。
【0109】
平均円形度が0.950以上となると、トナー表面の凹凸がある程度緩和された形状となり、本発明の磁性トナーの構成成分である無機微粉末および導電性微粉体の付着状態が均一になり電子写真プロセスに適用する上で必要な流動性が得られる。0.950未満であると所望の流動性が得られない場合があるため、好ましくない。
【0110】
本発明の画像形成方法において現像工程が像担持体上の残留トナーを回収する工程を兼ねている場合には、導電性微粉体が顕画粒子とは別に挙動し帯電工程へ供給されて像担持体を帯電させる作用をする。このときにトナーの平均円形度が0.950未満であると効率良く導電性微粉体を帯電工程へ供給できなくなる傾向があるため、あまり好ましくない。
【0111】
トナーの平均円形度が高くなると本発明の画像形成方法への適性がより良化する傾向があり、トナーの平均円形度は0.970以上がさらに好ましい。
【0112】
平均円形度が0.970以上のトナー(トナー粒子群で構成される粉体)から構成されるトナーは転写性に非常に優れている。これは磁性トナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡像力やファンデルワールス力に起因する磁性トナー粒子の感光体への付着力が低下するためと考えられる。従って、このような磁性トナーを用いれば転写率が高く、転写残トナーが非常に低減するため、帯電部材と感光体との圧接部における磁性トナーが非常に少なく、トナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考えられる。
【0113】
さらに、平均円形度が0.970以上の磁性トナー粒子は表面のエッジ部がほとんど無いため、帯電部材と感光体との圧接部において摩擦が低減され、感光体表面の削れが抑制されることも挙げられる。これらの効果は、転写中抜けの発生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕著となって現れる。平均円形度が高い場合でも主として存在する粒子の円形度が低いと効果が不十分な場合もあるため、特に、後に説明するモード円形度が0.99以上であると、円形度が0.990以上の粒子が主として存在することから、上記の効果が顕著に表れるので好ましい。
【0114】
また、本発明のトナーとして好ましい0.970以上の平均円形度、0.99以上のモード円形度を有することによって、トナー担持体上でのトナーの穂立ちが細かく密になることによって、帯電が均一化されさらにカブリが大幅に減少する。
【0115】
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式(1)によりそれぞれ求め、さらに下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(Ca)と定義する。
【0116】
【数1】
Figure 0003919506
【数2】
Figure 0003919506
【0117】
モード円形度は、円形度を0.40から1.00までを0.01毎に61分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度に応じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となるピークの円形度である。
【0118】
本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0119】
具体的な測定方法としては、界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlに磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調整し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径を有する粒子群の平均円形度及びモード円形度を求める。
【0120】
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いを表す指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0121】
本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群には磁性トナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響により磁性トナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0122】
また、磁性トナーの円形度分布において、モード円形度が0.99以上であると、磁性トナー粒子の多くが真球に近い形状を有することを意味しており、上記作用がより一層顕著になり、転写効率は非常に高いものとなる。
【0123】
従ってこのような磁性トナーを用いれば転写効率が高く、転写残トナーが非常に低減する為、帯電部材と感光体との圧接部における磁性トナーが非常に少なくなり、安定した帯電が行われると共にトナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考えられる。
【0124】
これらの効果は、転写中抜けの発生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕著となって現れる。
【0125】
さらに、従来では困難であった小粒径を呈する磁性トナーの転写性が大幅に改善されると共に低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特にデジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合に有効である。本発明の画像形成方法に必須のアモルファスシリコン感光体とのマッチングは極めて良好となる。
【0126】
平均円形度が0.950未満の場合、転写性が低下するばかりか、現像性が低下する場合がある。また、平均円形度が0.995を超えるとトナー表面の劣化が著しいものとなり耐久性等に問題を生じる様になる。
【0127】
次に、鉄及び鉄化合物の遊離率について説明する。遊離率とは、磁性トナー粒子から遊離した鉄又は鉄化合物(例えば磁性酸化鉄粒子)の個数の割合である。遊離率は走査型電子顕微鏡等での観察、測定も可能であるが、プラズマを利用した粒子の発光スペクトルから測定することができる。この測定法において、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式により求めたものと定義される。
【数3】
Figure 0003919506
【0128】
ここで、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。磁性トナー粒子には磁性酸化鉄微粒子が多く含まれる為、炭素原子と鉄原子が同時発光するという事は、トナー中に磁性酸化鉄粒子が分散している事を意味し、鉄原子のみの発光は、磁性酸化鉄粒子が磁性トナーから遊離している事を意味する。
【0129】
プラズマを利用する測定法によれば、トナー等の微粒子を一個ずつプラズマへ導入することにより、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知る事が出来る。このような測定には、例えばパーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)を測定装置として用いることができる。パーティクルアナライザーはJapan Hardcopy97論文集の65−68ページに記載の原理で測定を行う。
【0130】
具体的な測定方法としては、0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクターは3.3764を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1,000から1,400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10,000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。
【0131】
アゾ系の鉄化合物の如き鉄原子を含有する有機化合物がトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光するため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0132】
本発明者らが検討を行ったところ、鉄及び鉄化合物の遊離率と磁性酸化鉄粒子のトナー表面への露出量には深い関連があり、遊離の磁性酸化鉄粒子量が3.00%以下であれば、磁性酸化鉄粒子のトナー粒子表面への露出が抑制されるとともに、高い帯電量を有し得る。これは磁性酸化鉄粒子の粒度分布、磁性酸化鉄粒子の表面処理の均一性に依存するものである。一例として、磁性酸化鉄粒子の表面処理が不均一である場合、表面処理が充分に施されていない、親水性の高い磁性酸化鉄粒子はトナー粒子表層に存在し、表面に存在している磁性酸化鉄粒子の一部または全てが遊離してしまう。
【0133】
この為、鉄及び鉄化合物の遊離率が低い程磁性トナーの帯電量は高い傾向を示す一方、遊離率が3.00%より大きいと、チャージのリーク点が多くなりすぎてしまい、磁性トナーの帯電量が不十分となりやすい。この傾向は高温高湿下で特に顕著なものとなる。また、帯電量の低い磁性トナーはカブリの増加を招くと共に、転写効率が低く、帯電不良を引き起こしやすく好ましくない。さらに、平均円形度が高く、鉄及び鉄化合物の遊離率が低い磁性トナーであると、均一な高い帯電量を有することが出来るとともに、トナーの形状も相乗効果として働き、転写効率は非常に高いものとなる。
【0134】
一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%より少ないと、実質的に磁性酸化鉄粒子は磁性トナー粒子から遊離していないことを意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊離率が低い磁性トナーは高い帯電量を有するものの、多数枚画出し、特に低温低湿下における多数枚の画像出力時に、磁性トナーのチャージアップに起因する画像濃度の低下、及び、画像のがさつきが生じてしまうことがある。
【0135】
これは、次の様な理由であると考えている。
一般的に、トナー担持体上の磁性トナーは感光体上へ全て現像されることは無く、現像直後においてもトナー担持体上には磁性トナーは存在する。特に磁性トナーを用いたジャンピング現像においてはその傾向が強い。さらに円形度の高い磁性トナーは、現像部(現像領域)において、均一な細い穂を形成しており、穂の先端部に存在する磁性トナーから現像されてしまい、トナー担持体付近の磁性トナーはなかなか現像されないものと考えられる。
【0136】
そのため、トナー担持体付近の磁性トナーは繰り返し帯電部材による摩擦帯電を受け、チャージアップしてしまい、さらに現像されにくくなる。また、この様な状態では、磁性トナーの帯電均一性は損なわれ、画像のがさつきを生じてしまう。
【0137】
ここで、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%以上の磁性トナーを用いた場合、遊離の磁性酸化鉄粒子または磁性トナー粒子表面に存在している磁性酸化鉄粒子により磁性トナーのチャージアップが抑制されると共に、磁性トナーの帯電量の均一性が促され、がさつきは抑制される。
【0138】
このため、円形度が高く、帯電量の高い磁性トナーであっても、チャージのリークサイトである磁性酸化鉄粒子が存在すれば、長期使用でのチャージアップを抑制できるので、遊離の磁性酸化鉄粒子は0.05%以上であることが重要である。
【0139】
これらの理由により、高い帯電量を安定して得る為には、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00%であることが必要であり、さらに0.05%から2.00%であることが好ましく、0.05%から1.50%であることがより好ましく、0.05%から0.80%であることがより一層好ましい。
【0140】
本発明の磁性トナー粒子は重合法によって得られる磁性トナー粒子であるのが好ましい。
磁性トナー粒子は、粉砕法によって製造することも可能であるが、粉砕法で得られる磁性トナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明において磁性トナーの必須要件である平均円形度が0.950以上、さらに好ましい0.970以上(好ましくはモード円形度が0.99以上)という物性を得るためには機械的、熱的の如き処理を行うことが必要となる。
【0141】
本発明においては、磁性トナー粒子を懸濁重合法により製造することが好ましい。磁性トナー粒子の重合法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法が挙げられる。これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、特に懸濁重合法により製造することが好ましい。
【0142】
懸濁重合法においては重合性単量体および磁性粒子(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、分散した状態で重合反応を行わせ、所望の粒径を有する磁性トナー粒子を得るものである。
【0143】
この懸濁重合法で得られる磁性トナー粒子(以後「重合磁性トナー粒子」ともいう)は、個々の磁性トナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上という本発明において好適な物性要件を満たす磁性トナーが得られやすく、さらにこういった磁性トナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
【0144】
しかしながら、重合磁性トナー粒子中に通常の磁性体を含有させても、磁性トナー粒子表面からの磁性酸化鉄粒子の露出を抑えることは難しい。さらには磁性トナー粒子の流動性及び帯電特性が低下するだけでなく、重合磁性トナー粒子の製造時に磁性酸化鉄粒子と水との相互作用が強いことにより、所望の平均円形度の磁性トナーが得られ難い。これは、(1)磁性酸化鉄粒子は一般的に親水性であるために磁性トナー粒子表面に存在しやすいこと、(2)水系媒体中で撹拌時に磁性酸化鉄粒子が乱雑に動き、それに単量体組成物の粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいという原因が考えられる。こういった問題を解決するためには磁性体酸化鉄粒子の有する表面特性の改質が重要である。
【0145】
本発明の画像形成方法において、磁性トナーに使用される磁性酸化鉄においては、その粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性酸化鉄粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性酸化鉄粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性酸化鉄粒子間の帯電反発作用が働き、磁性酸化鉄粒子はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0146】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性酸化鉄粒子表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性酸化鉄粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は非常に大きい。
【0147】
磁性酸化鉄粒子の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記の一般式(I)
【化1】
m−Si−Yn (I)
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、及びメタクリル基から選択される炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]で示されるものである。
【0148】
このようなシランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0149】
特に、下記の一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して水系媒体中で磁性粒子を疎水化処理するのが良い。
【化2】
p2p+1−Si−(OCq2q+13 (II)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して水系媒体中で磁性酸化鉄粒子を疎水化処理するのが良い。
【0150】
上記式(II)におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性が低下し、磁性トナー粒子からの磁性酸化鉄粒子の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性酸化鉄粒子同士の合一が多くなりやすく、磁性酸化鉄粒子を十分に均一に分散させた磁性トナー粒子を生成することが困難になり、得られた磁性トナー粒子を使用する磁性トナーはカブリが発生しやすくや転写性が低下する傾向となる。
また、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が低下する。
【0151】
特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
その処理量は磁性酸化鉄粒子100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが良い。
【0152】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。
具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5wt%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノールが挙げられ、水に対して0〜500wt%添加するのが好ましい。
【0153】
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性酸化鉄粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0154】
こうして得られる磁性酸化鉄は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合磁性トナー用の材料として用いた場合、磁性トナー粒子を生成するための単量体組成物中への分散性が非常に良好である。しかも磁性トナー粒子表面からの露出が無く、ほぼ球形に近い重合磁性トナー粒子が得られる。従って、こういった磁性酸化鉄粒子を用いることにより、平均円形度が0.970以上、さらにはモード円形度が0.99以上、遊離率が1.50%以下という磁性トナーを得ることが可能となる。
この磁性トナーを本発明の画像形成方法で用いると、感光体の削れやトナー融着がより一層抑制され、低湿環境下においても高画質の安定化が達成できるのである。
【0155】
また、本発明に使用する磁性トナーは表面に遊離の磁性酸化鉄が少ないか存在しないため、高く均一な摩擦帯電量を有するが、導電性微粉体を磁性トナー粒子表面に有することにより、低温低湿化における多数枚画出しにおいても良好な画像を得ることが可能である。
【0156】
本発明で使用する磁性トナーは、磁性トナー全体に対し0.1〜20質量%のワックスを含有することも好ましい。後述するように、各種のワックスが例示できる。
【0157】
画像形成プロセスにおいて転写材上に転写された磁性トナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的定着画像が得られる。この際、熱ロール式定着の如き加熱加圧定着方式が一般に良く用いられる。
【0158】
前述のように、重量平均粒径が10μm以下の磁性トナー粒子を用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かい磁性トナー粒子は紙の如き転写材を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラーからの磁性トナーの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に係わる磁性トナーにおいて、離型剤として適正量のワックスを含有させることにより、高解像性と耐オフセット性を両立させつつ感光体の削れを防止することが可能となる。
【0159】
本発明に係わるトナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体が挙げられる。これらの誘導体には、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸化合物の如き脂肪酸、その酸アミドワックス、そのエステルワックス、そのケトン化合物;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスが挙げられる。
【0160】
これらのワックス成分の中では、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。該最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が低下する。一方、該最大吸熱ピークが110℃を越えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接磁性トナー粒子を得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと主に造粒中にワックス成分が析出するという問題を生じ好ましくない。
【0161】
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0162】
本発明の画像形成方法に係わる磁性トナーにおいて、これらのワックス成分の含有量としては、磁性トナー全体に対して0.1〜20質量%の範囲が好ましい。含有量が0.1質量%未満では低温オフセット抑制効果が低下し、20質量%を超えてしまうと長期間の保存性が低下すると共に、他のトナー材料の分散性が低下し、磁性トナーの流動性の低下や画像特性の低下につながる。
【0163】
本発明の画像形成方法に使用する磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、直接重合法を用いて磁性トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
【0164】
具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料またはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
【0165】
ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
【0166】
荷電制御剤を磁性トナーに含有させる方法としては、磁性トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めた磁性トナー粒子の製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0167】
本発明の磁性トナーをネガ帯電性磁性トナーとする際には、アゾ染料もしくはアゾ顔料の金属塩またはそれらの金属錯体が好ましく用いられる。
しかしながら、本発明の画像形成方法に使用する磁性トナーは、必ずしも荷電制御剤の添加は必須ではなく、磁性トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することで磁性トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0168】
次に、磁性トナー粒子に含まれる磁性酸化鉄粒子および結着樹脂について説明する。
磁性トナー粒子は、磁性体として少なくとも、マグネタイト粒子、マグヘマイト粒子、フェライト粒子の如き磁性酸化鉄粒子を含有する。
【0169】
これら磁性酸化粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、特に3〜28m2/g、更にモース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0170】
本発明で使用される磁性トナーに用いられる磁性酸化鉄粒子は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部乃至200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満では磁性トナーの着色力が乏しく、カブリを抑制しにくい。一方、200質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下してしまうことや、個々の磁性トナー粒子への磁性酸化鉄粒子の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまうことがある。
【0171】
本発明の画像形成方法に使用される磁性トナーに用いられる磁性酸化鉄粒子は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造することができる。
【0172】
まず、第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
【0173】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調製し、磁性酸化鉄粒子が一次粒子になるよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。
【0174】
また、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた磁性酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが好ましい。
【0175】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄が利用可能である。水溶液法による磁性酸化鉄粒子の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0176】
このようにして製造された疎水性磁性酸化鉄粒子を材料とした磁性トナーを使用することにより、感光体の削れ及びトナー融着が発生せず、高画質及び高安定性が可能となる。
【0177】
また、磁性酸化鉄粒子の形状としては、八面体、六面体、球状、針状、鱗片状があるが、八面体、六面体、球状の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁性酸化鉄粒子の形状はSEMなどによって確認することができる。
【0178】
磁性酸化鉄粒子の粒径としては、磁性酸化鉄粒子の磁気特性も考慮すると、体積平均粒径が0.1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.1μmの粒子の個数%が40%以下であることが好ましい。さらに、0.3μm以上の粒子が10個数%以下であるとより好ましい。
【0179】
平均粒径が0.1μm未満の磁性酸化鉄粒子を用いた磁性トナーから画像を得ると、画像の色味が赤味にシフトし、画像の黒色度が不足したり、ハーフトーン画像ではより赤味が強く感じられる傾向が強くなる。また、このようなトナーをカラー画像に用いた場合には、色再現性が得られにくくなったり、色空間の形状がいびつになる傾向があるため好ましくない。さらに、磁性酸化鉄粒子の表面積が増大するために分散性が低下し、製造時に要するエネルギーが増大し、効率的ではない。また、磁性酸化鉄粒子の添加量に比べ画像の濃度が不足することもあり好ましいものではない。
【0180】
一方、磁性酸化鉄粒子の平均粒径が0.3μmを越えると、一粒子あたりの質量が大きくなるため、製造時に重合性単量体との比重差の影響で磁性トナー粒子表面に露出する確率が高まったり、製造装置が摩耗しやすくなったり、水系媒体流での単量体組成物の粒子の安定性が低下する傾向が高まるため、あまり好ましくない。
【0181】
また、磁性トナー粒子中において該磁性酸化鉄粒子の0.1μm以下の粒子の個数%が40%を越えると、磁性酸化鉄粒子の表面積が増大して分散性が低下し、磁性トナー粒子中にて凝集塊を生じやすくなり磁性トナーの帯電性を損なったり、着色力が低下したりする可能性が高まるために40%以下が好ましい。
さらに、30%以下となると、その傾向はより小さくなるため、より好ましい。
【0182】
0.03μm未満の磁性酸化鉄は、粒子径が小さいことに起因して磁性トナー粒子製造時に受ける応力が小さいため、磁性トナー粒子の表面へ出る確率が低くなる。さらに、仮に磁性トナー粒子表面に露出してもリークサイトとして作用することはほとんど無く実質上問題とならない。そのため、本発明では、0.03〜0.1μmの粒子に注目し、その個数%を定義するものである。磁性酸化鉄粒子中の0.3μm以上の粒子が10個数%を超えると、着色力が低下し、画像濃度が低下する傾向にあるので好ましくない。より好ましくは5個数%以下とするのが良い。
【0183】
本発明においては、前述の粒度分布の条件を満たすよう、磁性酸化鉄粒子の製造条件を設定したり、予め粉砕及び分級の如き粒度分布の調整を行ったものを使用することが好ましい。分級方法としては、例えば、遠心分離やシックナーといった沈降分離を利用したものや例えばサイクロンを利用した湿式分級装置の如き手段が好適である。
【0184】
磁性酸化鉄粒子の体積平均粒径及び粒度分布の決定は、以下の測定方法によって行う。
粒子を十分に分散させた状態で、透過型電子顕微鏡(TEM)において3万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性酸化鉄粒子のそれぞれ投影面積を測定し、測定された各磁性酸化鉄粒子の投影面積に等しい円の相当径を各磁性酸化鉄粒子径として求めた。さらに、その結果を基に、体積平均粒径の算出ならびに0.03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個数%を計算した。
【0185】
磁性トナー粒子中の磁性酸化鉄粒子の体積平均粒径及び粒度分布を決定する場合には、以下の測定方法によって行う。
エポキシ樹脂中へ観察すべき磁性トナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍乃至4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性酸化鉄粒子のそれぞれ投影面積を測定し、測定された各磁性酸化鉄粒子の投影面積に等しい円の相当径(D)を各磁性酸化鉄粒子径として求めた。さらに、その結果を基に、下記式に示す体積平均粒径Dvを求め、また0.03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個数%を計算した。
【0186】
【数4】
Figure 0003919506
【0187】
これらの磁性酸化鉄粒子の磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/Kg、残留磁化が1〜100Am2/Kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが用いられる。
【0188】
また、本発明の磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)である磁性トナーであることが特に好ましい。
【0189】
本発明において磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定する理由は、磁性酸化鉄粒子の磁気特性を表す量としては、磁気飽和における磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明においては画像形成装置内で実際に磁性トナーに作用する磁場における磁性トナーの磁化の強さが重要であるためである。画像形成装置に磁性トナーが適用される場合、磁性トナーに作用する磁場は、画像装置外への磁場の漏洩を大きくしないためまたは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販されている多くの画像形成装置において数十から百数十kA/mであり、画像形成装置内で実際に磁性トナーに作用する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定した。
【0190】
現像装置内に磁気力発生手段を設けることで、磁性トナーでは磁性トナーの漏れを防止でき、磁性トナーの搬送性または撹拌性を高められるばかりでなく、トナー担持体上に磁力が作用するように磁気力発生手段を設けることで、現像兼回収システムにおいては転写残トナーの回収性がさらに向上し、又磁性トナーが穂立ちを形成するために磁性トナーの飛散を防止することが容易となる。
【0191】
しかし、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満であると、上記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作用させると磁性トナーの穂立ちが不安定となり、磁性トナーへの帯電付与が均一に行えないことによるカブリ、画像濃度ムラ、転写残トナーの回収不良等の画像不良を生じやすくなる。また、磁気力による磁性トナーのトナー担持体への搬送も不十分になりやすい。トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが50Am2/kgよりも大きいと、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナーの流動性が著しく低下し、転写性が低下することで転写残トナーが増加する。さらに磁化の強さを大きくするために磁性酸化鉄量を増量すると定着性が低下する。
【0192】
本発明において磁性トナーの磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定した。また、磁性酸化鉄粒子の磁気特性は、25℃の室温にて外部磁場769kA/mで測定した。
【0193】
さらにまた、磁性酸化鉄粒子以外に他の着色剤を併用しても良い。併用しうる着色材料としては、磁性または非磁性無機化合物、公知の染料および顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素を加えた合金、ヘマタイトの如き粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンが挙げられる。これらもまた、磁性酸化鉄粒子と同様に表面を処理して用いても良い。
【0194】
次に本発明の磁性トナー粒子を製造する重合方法の一つである懸濁重合法を説明する。
【0195】
磁性トナー粒子の結着樹脂を生成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如き単量体が挙げられる。
【0196】
これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、またはほかの単量体と混合して使用する事が磁性トナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0197】
重合磁性トナーの製造においては、単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基を有する単量体ユニットをトナー粒子中に導入したい時には、これらとスチレンまたはエチレンの如きビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体にして使用することができる。またはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体;ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加重合体の形で使用が可能となる。
【0198】
こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー粒子中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好な磁性トナーを得ることができる。
【0199】
このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その重量平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。分子量が5,000未満(特に4,000以下)では、重合体が磁性トナー粒子表面付近に集中し易い事から、現像性及び耐ブロッキング性が低下する。
【0200】
また、材料の分散性や定着性、または画像特性の改良を目的として上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加しても良い。用いられる樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独または混合して使用できる。
【0201】
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合磁性トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0202】
さらに、単量体を重合して得られる磁性トナー粒子の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高い磁性トナー粒子を得ることが出来る。
【0203】
重合磁性トナー粒子の製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得ることができ、磁性トナーに好ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
【0204】
重合開始剤例としては、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0205】
重合磁性トナー粒子を製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、0.001〜15質量%である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートの如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは、単独もしくは混合物として用いられる。
【0206】
重合トナーの製造方法では、重合性単量体中に磁性酸化鉄、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤(場合によって着色剤)の如き磁性トナー粒子として必要な成分及びその他の添加剤(例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤)を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、デゾルバー、超音波分散機の如き分散機に依って均一に溶解または分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。
【0207】
この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望の磁性トナー粒子のサイズとするほうが、得られる磁性トナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加すると同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体または溶媒に溶解した重合開始剤を加えても良い。
【0208】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、単量体組成物の粒子状態が維持され且つ該粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0209】
重合磁性トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。
【0210】
こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。
【0211】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用しても良く、平均粒径が5μm以下のトナー粒子を製造する際は、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0212】
前記界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
【0213】
無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
【0214】
重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸またはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0215】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべきワックスが、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げても良い。
【0216】
重合磁性トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行う。得られた磁性トナー粒子に無機微粉末及び導電性微粉体を外添して表面に付着させることで、磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の好ましい形態の一つである。
【0217】
次に、磁性トナー粒子の製造法の一つとしての粉砕法について以下説明する。
【0218】
磁性トナー粒子を粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられる。例えば、結着樹脂、磁性酸化鉄粒子、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤の如きトナーとして必要な成分及びその他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて熔融混練して樹脂類をお互いに相熔せしめた中に磁性酸化鉄粒子などの他のトナー材料を分散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行って磁性トナー粒子を得、無機微粉末及び導電性微粉体を添加混合することによって本発明に使用する磁性トナーを得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0219】
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式の如き公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。特定の円形度を有する磁性トナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的に機械的衝撃を加えたりする処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)された磁性トナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法を用いても良い。
【0220】
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルの如き機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムの如き装置のように、高速回転する羽根により磁性トナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力や摩擦力により磁性トナー粒子に機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0221】
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度を磁性トナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、磁性トナー粒子のガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0222】
磁性トナー粒子を粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独または混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性の点で好ましい。
【0223】
結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましく、50℃よりも低いとトナーの保存性が低下し易く、70℃よりも高いと定着性が低下する。
【0224】
次に、本発明に使用する磁性トナーに含まれる無機微粉末および導電性微粉体を説明する。
【0225】
本発明に使用する磁性トナーは以下に説明する無機微粉末を含有する。
本発明において、磁性トナーは、流動性向上剤として平均1次粒子径4〜80nmの無機微粉末が添加されるのが好ましい。無機微粉末は、磁性トナーの流動性改良及び磁性トナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉末を疎水化処理して磁性トナーの帯電量を調整し、環境安定性を向上させることが好ましい。
【0226】
無機微粉末の平均1次粒子径が80nmよりも大きい場合、または80nm以下の無機微粉末が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得にくい。また、良好な磁性トナーの流動性が得られず、磁性トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散を生じるおそれがある。
【0227】
無機微粉末の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末の凝集性が強まり、解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体または現像担持体を傷つけやすく、画像欠陥を生じ易くなる。磁性トナーの帯電分布をより均一とするためには無機微粉末の平均一次粒径は6〜35nmであることが更に好ましい。
【0228】
本発明において、無機微粉末の平均1次粒子径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した磁性トナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMAの如き元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされた磁性トナーの写真を対照しつつ、磁性トナー粒子表面に付着または遊離して存在している無機微粉末の1次粒子を100個以上測定し、個数平均径を求めることが出来る。
【0229】
本発明で用いられる無機微粉末としては、シリカ微粉末、アルミナ微粉末、チタニア微粉末などが使用できる。
【0230】
例えば、シリカ微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られた、シリカと他の金属酸化物との複酸化物を使用しても良い。
【0231】
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末の添加量は、磁性トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%以上では定着性が低下する。
【0232】
無機微粉末は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。磁性トナーに添加された無機微粉末が吸湿すると、磁性トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0233】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独でまたは併用して処理しても良い。
【0234】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉末をシラン化合物で疎水化処理すると同時または処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0235】
無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0236】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0237】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
【0238】
シリコーンオイルの処理の方法としては、シラン化合物で処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。
【0239】
または適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解または分散せしめた後、シリカ微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0240】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリが発生することがある。
【0241】
本発明で用いられる平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が20〜250m2/g範囲内のものが好ましく、40〜200m2/gのものが更に好ましい。
【0242】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0243】
また、本発明で使用する磁性トナーは以下に説明する導電性微粉体を含有する。
導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量は、0.2〜10質量%であることが好ましい。磁性トナー粒子は表面に磁性酸化鉄粒子が実質上露出していない為、帯電量が高く、導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量が0.2質量%よりも少ないと、現像性が低下する傾向にある。
【0244】
また、現像兼クリーニングを用いた画像形成方法に適用する際には、帯電用接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の導電性微粉体を、帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電性が低下し帯電不良を生じる傾向にある。
【0245】
また、含有量が10質量%よりも多い場合では、現像兼クリーニングによって回収される導電性微粉体が多くなりすぎることによる現像部での磁性トナーの帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生じやすい。導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量は、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
【0246】
また、導電性微粉体の抵抗値は、109Ω・cm以下であることが好ましい。導電性微粉体の抵抗値が109Ω・cmよりも大きいと、上記と同様に現像性が低下する傾向にある。また、現像兼クリーニングを用いた画像形成方法に適用する際には、導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導電性微粉体を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯電促進効果が得られないことがある。
【0247】
導電性微粉体の帯電促進効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体の抵抗値が、接触帯電部材の表面部または像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。更に、導電性微粉体の抵抗値が、106Ω・cm以下であることが、より好ましく良い。
【0248】
また、本発明に使用される磁性トナーに含まれる導電性微粉体は、磁性トナー粒子の体積平均粒径よりも小さい平均粒径のものを用いることが好ましく、体積平均粒子径(Dv)は0.3μm以上のものを用いることがより好ましく良い。
【0249】
導電性微粉体の平均粒子径が小さいと、現像性の低下を防ぐために導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を小さく設定しなければならない。導電性微粉体の平均粒子径が0.3μm未満では、導電性微粉体の有効量を確保できず、帯電工程において、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。この観点から、導電性微粉体の平均粒子径は好ましくは0.8μm以上、更に好ましくは1.1μm以上が良い。
【0250】
また、導電性微粉体の体積平均粒子径が磁性トナー粒子の平均粒径よりも大きいと、トナーと混合した際トナー粒子から遊離しやすく、現像工程において現像容器から像担持体への供給量が不足し、十分な帯電性が得られにくい。また、帯電部材から脱落した導電性微粉体は静電潜像を書き込む露光光を遮光または拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下させる傾向にある。
【0251】
更に、導電性微粉体の平均粒子径が大きいと、単位重量当たりの粒子数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉体の脱落による減少、劣化を考慮して導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に逐次に導電性微粉体が供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が導電性微粉体を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量を大きくしなければならない。しかし、導電性微粉体の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下での磁性トナー全体としての帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生じやすい。このような観点から、導電性微粉体の平均粒子径は好ましくは5μm以下が良い。
【0252】
また、導電性微粉体は、透明、白色または淡色の導電性微粉体であることが、転写材上に転写される導電性微粉体がカブリとして目立たないため好ましく良い。潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味でも導電性微粉体は、透明、白色または淡色の導電性微粉体であることがよく、より好ましくは、導電性微粉体の露光光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0253】
本発明においては、粒子の光透過性については以下の手順で測定した。片面に接着層を有する透明のフィルムの導電性微粉体を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定した。フィルムのみと粒子を付着したときの光量から正味の光量として粒子の透過率を算出した。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定した。
【0254】
本発明に使用される導電性微粉体としては、カーボンブラック、グラファイトの如き炭素微粉末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルの如き金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンの如き金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリの如き金属化合物、またはこれらの複合酸化物が使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタンの如き非磁性無機酸化物を少なくとも表面に有する微粒子が特に好ましい。
【0255】
また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御する目的で、該導電性無機酸化物の主金属元素と異なるアンチモン、アルミニウムの如き異原子を0.1〜5質量%含有した金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粒子も使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粒子、アンチモンでドープされた酸化第二スズ微粒子、または酸化第二スズ微粒子である。
【0256】
ここで、「酸化物の主金属元素」とは、酸化物が例えば、酸化チタン、酸化すずの場合、それぞれ、チタン、すずのように酸素と結合している主な金属元素を意味する。
【0257】
また、該無機酸化物を酸素欠損型としたものも好ましく用いられる。
【0258】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ETー300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)が挙げられる。
【0259】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)が、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)が挙げられる。特に好ましいのは、現像性の観点からアルミニウムを含有する金属酸化物及び/または酸素欠損型の金属酸化物である。
【0260】
本発明における導電性微粉体の体積平均粒径(Dv)及び粒度分布の測定には、コールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測定した。測定法としては、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定した。
【0261】
本発明において、導電性微粉体の粒度及び粒度分布の調整方法としては、導電性微粉体の一次粒子が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法または分級による方法が可能であり、更には、所望の粒度及び粒度分布の基材粒子の表面の一部もしくは全部に導電性粒子を付着または固定化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粉体を用いる方法も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉体の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0262】
導電性微粉体の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉体は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助または促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0263】
本発明において、導電性微粉体の抵抗値の測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。底面積2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0264】
また、潤滑性向上の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
【0265】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤を添加しても良い。例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤;逆極性の有機微粒子、及び無機微粉末を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0266】
前記の外添剤の粒径は、前述の無機微粉末と同様に走査型電子顕微鏡の観察によって決定される。
【0267】
次に本発明の画像形成方法および画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成方法は、像担持体を帯電する帯電工程と、像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む静潜像形成工程と、その静電潜像をトナー担持体上に担持させたトナーによりトナー像として可視化する現像工程と、そのトナー像を転写材に転写する転写工程を有し、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法において、現像工程は、上記の磁性トナーによって、像担持体の静電潜像を現像する工程であり、帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより絶対値で250乃至600Vに像担持体を帯電する工程であり、像担持体は導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有する画像形成方法に関する。
【0268】
更に、本発明は、現像工程がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した磁性トナーを回収するクリーニング工程を兼ねていることを特徴とする前記の画像形成方法および前記工程を実現する手段を有する装置に関する。
【0269】
まず、本発明の磁性トナーは現像兼クリーニング画像形成方法(またはクリーナレス画像形成方法)に、特に好ましく適用されるため、現像兼クリーニング画像形成方法について以下説明する。
【0270】
本発明における現像兼クリーニング画像形成方法は、詳しくは、像担持体を帯電する帯電工程と、像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む潜像形成工程と、その静電潜像をトナー担持体上に担持させたトナーによりトナー画像として可視化する現像工程と、そのトナー画像を転写材に転写する転写工程を有し、前記現像工程がトナー画像を転写材に転写した後に像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねており、像担持体上に繰り返して作像が行われる、現像兼クリーニング画像形成方法(またはクリーナーレス画像形成方法)と呼ばれる画像形成方法において、現像工程は、上記トナーによって像担持体の静電潜像を現像する工程であり、帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、かつ、少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、前記トナー中に含有の導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している画像形成方法である。
【0271】
現像兼クリーニング画像形成方法において、磁性トナー粒子に導電性微粉体を外部添加した場合の画像形成プロセス中での磁性トナー粒子及び導電性微粉体の挙動を説明する。
【0272】
トナーに含有させた導電性微粉体は、現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時に磁性トナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。
【0273】
像担持体上のトナー画像は転写工程において転写材側に転移する。像担持体上の導電性微粉体も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。磁性トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、磁性トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0274】
クリーナーを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて接触帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に導電性微粉体が介在した状態で像担持体の接触帯電が行われる。
【0275】
この導電性微粉体の存在により、接触帯電部材への転写残トナーの付着・混入による汚染にもかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行わせることができる。
【0276】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回収)される。
【0277】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナーに含有させてある導電性微粉体が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉体が供給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落で減少したり、劣化しても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0278】
像担持体と接触帯電部材との当接部に積極的に導電性微粉体を存在させ、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせるために必要量の導電性微粉体を磁性トナーに含有させた場合、トナー補給直前における現像器内で磁性トナーの量が少なくなる状態では画像濃度低下、または、カブリの増大により、良好な画像品位が保持できないことがある。
【0279】
従来のクリーニング機構を有する画像形成装置においても、磁性トナーに導電性微粉体を含有させた場合、現像工程において選択的に導電性微粉体が消費されること、または逆に選択的に導電性微粉体が残ってしまうことによる磁性トナー中での導電性微粉体の偏析により、現像器内の磁性トナーの量が少なくなるまで使用された際には、画像濃度低下、またはカブリの増大を生ずることがある。このため、磁性トナー粒子に導電性微粉体を固着させて、導電性微粉体の選択的な消費または偏析を低減し、画像濃度低下、カブリの増大等による画像性の低下を防止することが知られている。
【0280】
しかし、導電性微粉体を含有させたトナーを、現像兼クリーニング画像形成方法に適用した場合には、導電性微粉体の偏析がより大きな影響を画像特性に与えてしまう。前述のように、磁性トナーに含有させた導電性微粉体は、現像工程において磁性トナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行した後、転写工程において像担持体上の導電性微粉体も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。転写バイアスを印加することで転写を行う場合には、磁性トナー粒子は転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0281】
クリーニング機構を有しない画像形成方法では、クリーナーを用いないため転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は、接触帯電部材に付着・混入する。このとき、接触帯電部材に付着・混入する導電性微粉体の転写残トナーに対する量の比率は、導電性微粉体と磁性トナー粒子の転写性の差から、元の磁性トナー中での導電性微粉体の量比率よりも明らかに多くなる。この状態で接触帯電部材に付着・混入した導電性微粉体は、転写残トナーと共に接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出されて像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回収)される。すなわち、現像兼クリーニングによって、導電性微粉体の比率が多い磁性トナーが回収されることにより、導電性微粉体の偏析が大幅に加速され、著しい画像濃度低下による画像性の低下を招いてしまう。
【0282】
これに対して、従来のクリーニング機構を有する画像形成装置における場合と同様に、磁性トナー粒子に導電性微粉体を固着させて導電性微粉体の偏析を低減しようとすると、転写工程においても導電性微粉体が磁性トナー粒子とともに挙動するため、磁性トナー粒子とともに転写材側に転移してしまい、接触帯電部材に付着・混入して帯電部において導電性微粉体が介在することができず、また介在したとしても転写残トナー量に対して導電性微粉体の介在量が不十分となり、転写残トナーによる帯電性阻害に打ち勝って帯電性を維持することができず、更に、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できず、接触帯電部材による像担持体の帯電性が低下し、カブリ及び画像汚れを生じてしまう。接触帯電部材を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に導電性微粉体を含有させた磁性トナーを適用するには、上述のような困難があった。
【0283】
これに対し、本発明者らは、磁性トナーの平均円形度を0.950〜0.995にするとともに、磁性トナーの重量平均粒径を3μm〜10μmとすることで、オゾンの発生を低減できる接触帯電部材を用い、廃トナーを生じないクリーナーレス画像形成方法においても良好な帯電性を維持しつつ、導電性微粉体の偏析を大幅に緩和し、画像濃度低下等の画像性の低下を実用上問題無いレベルまで改良できることを解明した。
【0284】
磁性トナーの重量平均粒径が3μm未満の場合、磁性トナーとしての流動性が低下し、磁性トナー粒子と導電性微粉体がともに挙動する傾向が強まり、転写工程において導電性微粉体はより転写され易くなり、接触帯電部材に付着・混入して帯電部において介在する導電性微粉体が減少する。このため相対的に転写残トナーによる帯電性阻害が大きくなり、これに打ち勝って帯電性を維持することができず、カブリ及び画像汚れが生じやすくなる。
【0285】
また、磁性トナーの重量平均粒径が10μmを超える場合は、磁性トナー粒子の帯電量が導電性微粉体の含有量の増大によって大幅に低下し易くなり、帯電部において介在する導電性微粉体量を接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できる程度にまで磁性トナー中での導電性微粉体の含有量を設定すると、磁性トナー粒子の帯電量が低下することにより磁性トナー全体の現像性が低下し、現像兼クリーニングによって導電性微粉体の比率が多い磁性トナーが回収されることによる現像部での導電性微粉体の僅かな偏析によっても画像濃度低下等による画像性の低下を招きやすい。より安定した帯電性と現像性を維持するためには、磁性トナーの重量平均粒径が4.0μm〜8.0μmであることが好ましい。
【0286】
本発明において、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためにも、磁性トナーの重量平均粒径が3μm乃至10μmが重要であり、更には4μm以上8μm未満であることが好ましい。
【0287】
重量平均粒径が3μm未満の磁性トナーにおいては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、トナー融着や接触帯電工程においては感光体の削れの抑制が難しくなる。さらに、磁性トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々の磁性トナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリが発生しやすく、転写性が低下傾向となり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラの原因となりやすい。
【0288】
磁性トナーの重量平均粒径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと8μm以上の磁性トナーは1ドットの再現が低下する傾向にある。
【0289】
磁性トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型またはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、上記電解液としてはISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0290】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上の磁性トナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。
【0291】
それから、本発明に関わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(Dv)、個数分布から求めた個数平均粒径(D1)を求める。
【0292】
磁性トナー粒子の抵抗値は、1010Ω・cm以上であることが好ましく、1012Ω・cm以上であることがより好ましい。磁性トナー粒子が実質的に絶縁性を示さなければ、現像性と転写性を両立することが困難である。また、磁性トナー粒子への現像電界による電荷の注入を生じ易く、磁性トナーの帯電を乱しカブリが生じやすい。
【0293】
次に、本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。図2及び図3は、本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の一例を示す。
図2はクリーナーを有する場合、図3はクリーナーレスの場合である。ここでは、図2について説明する。
【0294】
図2において、1は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラー306、現像器307、転写帯電ローラー302、クリーナー312、搬送ローラー308a、308b等が設けられている。そして感光体1は一次帯電ローラー306によって帯電される。そして、レーザー発生装置(不図示)によりレーザー光Lを感光体1に照射する事によって露光される。感光体1上の静電潜像は現像器307によって乾式の一成分磁性トナーで現像され、転写材を介して感光体に当接された転写ローラー302により転写材上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は搬送ガイド311を経て定着器313へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残された磁性トナーはクリーニング手段312によりクリーニングされる。なお、クリーニング手段312は、上記のように、現像工程がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねている場合には、必要ではない。図3参照。
【0295】
図4は現像器の概略図を示す。
【0296】
現像器307は図4に示すように感光体1に近接してアルミニウム、ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体12(以下現像スリーブと称す)が配設され、感光体19と現像スリーブ12との間隙は図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により約200μmに維持されている。現像スリーブ内には固定磁石ローラー14が現像スリーブ12と同心的に固定、配設されている。現像スリーブ12は回転可能である。
【0297】
固定磁石ローラー14には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ12に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、磁性ブレード11aが配設され磁性ブレード11aの現像スリーブ12との間隙により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体19と現像スリーブ12との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブの磁性上トナーは静電潜像に応じて感光体19上に飛翔し磁性トナー像を形成する。
【0298】
次に、本発明の画像形成方法における帯電工程について以下説明する。
本発明における帯電工程では、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する。
【0299】
本発明の画像形成方法では、帯電部材と像担持体との間に当接部が設けられ、この当接部に粒子が介在することが好ましく、さらにこの粒子が前述した導電性微粉体であることがより好ましい。したがって帯電部材は、弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために導電性であることが好ましい。このため、帯電部材は弾性導電ローラー、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材または導電性繊維から構成されるブラシであることが好ましい。
【0300】
像担持体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに導電性微粉体を担持し直接注入帯電を優位に実行する上でも、接触帯電部材として可撓性部材である弾性導電性ローラー、または、回動可能な帯電ブラシロールを用いることが好ましい。
【0301】
接触帯電部材が可撓性を有していると、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させることができるからである。接触帯電部材が導電性微粉体を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する導電性微粉体が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は導電性微粉体の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラー帯電では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0302】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と、像担持体の表面の移動速度に相対的速度差を設けることは、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができるので、直接注入帯電性を向上させる点で好ましい。
【0303】
接触帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることにより、導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大や、接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れを伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0304】
速度差を設けるための構成としては、接触帯電部材を回転駆動して像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることが挙げられる。
【0305】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましい。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが好ましい。逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが可能だからである。
【0306】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ相対速度比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。
【0307】
相対速度差を示す指標としては、次式で表される相対移動速度比がある。
【数5】
相対移動速度比(%)=|(Vc−Vp)/Vp|×100
(式中、Vcは帯電部材表面の移動速度、Vpは像担持体表面の移動速度であり、Vcは、当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき、Vpと同符号の値とする。)
相対移動速度比は、通常には10〜500%である。
【0308】
また、帯電手段としては、帯電ローラー、帯電ブレード、導電性ブラシの如き帯電部材を用いる手段がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0309】
接触帯電手段に用いられる帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂が適用可能である。
【0310】
弾性導電性ローラーの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が低下し、更に、帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることで弾性導電性ローラー表層を削りまたは傷つけ、安定した帯電性が得られにくい。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電当接部を確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が低下するので、アスカーC硬度で50度以下が好ましく、25度〜50度がより好ましい。
【0311】
弾性導電性ローラーは弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では被帯電体にピンホールの如き欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、帯電部材の体積固有抵抗値が103〜108Ω・cmの抵抗値であることが良く、より好ましくは104〜107Ω・cmの抵抗値であることが良い。
【0312】
ローラーの抵抗値は、ローラーの芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラーを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測した抵抗値、計測時のニップ幅および弾性体の厚みから計算する。
【0313】
例えば、弾性導電性ローラーは芯金上に可撓性部材としてのゴムまたは発泡体の中抵抗層を形成することにより作製される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤により処方され、芯金の上にローラー状に形成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え弾性導電性ローラーを作成することができる。該ローラー表面は導電性微粉体を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0314】
また、ローラー部材は少なくとも表面に球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、該窪みを空隙部としたローラー部材表面の空隙率は15〜90%であることが好ましい。
【0315】
平均セル径が上記範囲よりも小さすぎると、導電性微粉体を用いる場合に帯電均一性が低下する可能性が高まる傾向にある。また、平均セル径が上記範囲よりも大きすぎるとローラー部材の耐久性が損なわれる可能性が高まる傾向にある。本発明において、平均セル径とは、ローラーの窪み部を球形換算した径をいい、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。その場合、画像解析装置を用いることも可能である。
【0316】
前記空隙率が上記範囲よりも小さすぎると、導電性微粉体を用いる場合には、担持される導電性微粉体量が不足し、帯電性に悪影響を及ぼす可能性が高くなる傾向にある。また、空隙率が上記範囲よりも大きすぎるとローラー部材の耐久性が損なわれる可能性が高まる傾向にある。
【0317】
導電性弾性ローラーの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴムに抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性物質を分散せずに、または導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0318】
導電性弾性ローラーは像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、導電性弾性ローラーと像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。この帯電当接部幅は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラーと像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0319】
また、接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能である。例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステルが挙げられる。
【0320】
導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能である。例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀の如き導電性金属または酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物、カーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。これら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0321】
接触帯電部材として帯電ブラシを用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシとしては、導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
【0322】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電当接部及びその近傍の導電性微粉体の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0323】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電性ローラーの場合と同様に十分な帯電性と耐リークを得るには、体積固有抵抗値が103〜108Ω・cmの抵抗値であることが良く、より好ましくは104〜107Ω・cmの抵抗値であることが良い。
【0324】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10;東レ(株)製のSA−7;日本蚕毛(株)製のサンダーロン;カネボウ製のベルトロン;クラレ(株)製のクラカーボ;レーヨンにカーボンを分散したもの;三菱レーヨン(株)製のローバルが挙げられる。環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく良い。
【0325】
次に、像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量について以下説明する。
【0326】
像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量は、少なすぎると、該粒子による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に速度差を持って回転駆動させることが困難である。導電性微粉体が少なすぎると駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れてしまう。更に導電性微粉体による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一方、介在量が多過ぎると、導電性微粉体の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出る。
【0327】
上記のような観点から、導電性微粉体の介在量は、103個/mm2以上が好ましく、103個/mm2〜5×105個/mm2がより好ましく、104個/mm2〜105個/mm2がより一層好ましい。103個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じる傾向にある。104個/mm2より低いと転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じる場合がある。
【0328】
導電性微粉体の存在密度範囲は、導電性微粉体をどれぐらいの密度で像担持体上に存在させることで均一帯電性の効果が得られるかでも決定される。帯電時は少なくともこの記録解像度よりは均一な接触帯電が必要である。しかしながら人間の目の視覚特性に関して、空間周波数が10cycles/mm以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていき、濃度ムラを識別できなくなる。この特性を積極的に利用すると、像担持体上に導電性微粉体を付着させた場合、少なくとも像担持体上で10cycles/mm以上の密度で導電性微粉体を存在させ、直接注入帯電を行えば良いことになる。
【0329】
たとえ導電性微粉体の存在しないところにミクロな帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上では問題は無いことになる。
【0330】
導電性微粉体の存在密度が変化したときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかについては、導電性微粉体をわずかにでも存在させれば(例えば10個/mm)、帯電ムラ発生の抑制に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとって許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分である。
【0331】
ところがその存在量を10個/mm以上にすると、画像の客観評価において急激に好ましい結果が得られるようになる。更に、存在量を10個/mm以上増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像上の問題点は、客観評価においてほぼ皆無となる。直接注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が感光体に確実に接触する事で帯電が行われている訳であるが、たとえ導電性微粉体を像担持体上に過剰に存在させたとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが本発明の人
間の視覚特性を積極的に利用した設定に基づき導電性微粉体を存在させることで、実用上この問題点を解決する。
【0332】
しかしながら、直接注入帯電方式を現像兼クリーニング画像形成における潜像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナーの帯電部材への付着または混入による帯電特性の低下が生ずる。転写残トナーの帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナーの帯電部材への付着または混入による帯電特性への悪影響に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量が104個/mm2以上であることが好ましく良い。
【0333】
また、導電性微粉体の存在量の上限値は、導電性微粉体が像担持体上に一層均一に存在するまでであり、それ以上存在しても効果が向上するわけではなく逆に、露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる場合がある。
【0334】
存在密度上限値は導電性微粉体の粒径によっても変わってくるために、一概にはいえないが、導電性微粉体が像担持体上に一層均一に存在する量が上限といえる。
【0335】
導電性微粉体の量は、5×105個/mm2を超えると、導電性微粉体の像担持体への脱落が増加し、粒子自体の光透過性を問わず、像担持体への露光量不足が生じやすく好ましくない。5×105個/mm2以下では脱落する粒子量も低く抑えられ露光の阻害を改善できる。導電性微粉体の介在量を、104〜5×105個/mm2として画像形成を行い、像担持体上に脱落した粒子の存在量を測定したところ、102〜105個/mm2であり、作像上の弊害はなかった。したがって、導電性微粉体の好ましい介在量の範囲は、104〜5×105個/mm2である。
【0336】
次に、帯電当接部での導電性微粉体の介在量及び潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉体の存在量の測定方法について述べる。導電性微粉体の介在量は接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが好ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量とした。
【0337】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び弾性導電性ローラーの回転を停止し、像担持体及び弾性導電性ローラーの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。
【0338】
弾性導電性ローラーについては、弾性導電性ローラーを像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測した。
【0339】
本発明の画像形成方法における帯電工程は、像担持体(被帯電体)に、ローラー型(帯電ローラー)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型の如き導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いる。接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは直流電圧のみでも良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。
【0340】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0341】
本発明においては帯電部材が感光体に当接されていることが好ましく、オゾンが発生しないことで環境保全上好ましい形態となっている。
【0342】
また、帯電工程では、帯電部材に直流電圧を印加することにより像担持体を帯電するか、または、直流印加における放電開始電圧をVth(V)としたときに帯電部材に2×Vth未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電することが好ましい。
【0343】
更に、帯電工程では、帯電部材に直流電圧を印加することにより、実質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯電するか、または、帯電部材に直流印加における放電開始電圧をVth(V)としたときにVth未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、実質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯電することが好ましい。
【0344】
本発明の一つの形態として帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVとする条件が好ましい。
【0345】
次に、帯電部材が像担持体と形成する当接部に磁性粒子が介在する帯電工程について説明する。
本発明の画像形成方法の帯電工程は、磁性粒子を磁気拘束し形成される磁気ブラシを該像担持体の表面に当接させ電圧を印加することにより該像担持体の表面を帯電させる磁気ブラシ帯電器による帯電方法を用いることが良い。
【0346】
具体的には、磁気ブラシ帯電器は、例えば磁力発生部材としてのマグネットローラーとマグネットローラーの外周を覆って回転可能に設けられた非磁性の導電性部材である電極スリーブ(アルミニウム製、ステンレス製及び導電性樹脂製等)と、電極スリーブの表面にマグネットロールの磁力により吸着されて保持される磁性粒子の層(磁気ブラシ)を備える。磁気ブラシは像担持体に接触するように設けられ、電極スリーブに電圧を印加することにより磁気ブラシを介して像担持体表面を帯電させる。
【0347】
以下、磁気ブラシを構成する磁性粒子について説明する。
磁気ブラシに用いられる磁性粒子は、フェライト、マグネタイトの如き導電性金属の単一または混晶の種々の材料が使用可能である。他に導電性及び磁性を有する微粒子をバインダーポリマーと混練し、粒状に成型することによって得られた導電性及び磁性を有する微粒子がバインダーポリマー中に分散された粒子や、上記の導電性磁性粒子を更に樹脂でコートする構成もとることができる。これらの構成の中でもフェライト粒子が好ましく用いられる。フェライトの組成としては、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、鉄、リチウム、ストロンチウム、バリウムの如き金属元素を含むものが好適に使用される。
【0348】
磁性粒子の飽和磁化は、15乃至70Am2/kgであることが好ましい。飽和磁化が70Am2 /kgを超える場合には、磁気拘束力が大きくなり、磁気ブラシの穂が硬くなり自由な動きが出来ず感光ドラムとの接触性が低下し帯電不良になったり、穂が硬いために感光ドラムを摩耗する傾向がある。飽和磁化が15Am2 /kg未満の場合には、磁気拘束力が小さくなり、磁性粒子が感光ドラムに転移したまま磁気ブラシにもどらなくなり粒子の減少による、帯電劣化や、現像、転写、定着、工程に悪影響を与えてしまったりする。
【0349】
本発明において飽和磁化の測定は、振動磁力計VSM−3S−15(東英工業製)により、1Kエルステッド下において行い、その磁化量を飽和磁化とした。
【0350】
磁性粒子は、体積平均粒径(Dv)において10〜50μmが好ましい。10μmより小さいと、感光体への磁気ブラシの付着が生じやすく、また磁気ブラシとした時の磁性粒子の搬送性に劣る傾向にある。50μmを越えると磁性粒子と感光体との接触点が減少し注入帯電方法の帯電一様性が劣化する傾向にある。さらに好ましくは、15〜30μmである。
【0351】
このように平均粒径とするには製造時の条件を変えることにより調整することも可能であるし、製造後の粒度分布を分級などの工程により調整することも可能である。
【0352】
磁性粒子の製造等に用いられる分級方法や装置は、特に限定されるものではないが、本発明において要求される粒度を効率良く得るためには、傾斜型慣性分級機であるエルボージェット、遠心分離機であるディスパージョンセパレータ(DS)やターボプレックス、その他、篩い分けを用いることが好ましい。
【0353】
本発明において磁性粒子の体積平均径及び粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置HELOS(日本電子製)に乾式分散ユニットRODOS(日本電子製)を組み合わせて用い、レンズ焦点距離200mm、分散圧300kPa、測定時間1〜2秒の測定条件で粒径0.5μm〜350.0μmの範囲を31チャンネルに分割して測定し、体積分布の50%粒径(メジアン径)を体積平均径として求めると共に、体積基準の頻度分布から各粒径範囲の粒子の体積%を求めた。
【0354】
本発明において粒度分布の測定に用いるレーザー回折式粒度分布測定装置HELOSは、フランホーファ回折原理を用いて測定を行う装置である。この測定原理を簡単に説明すれば、レーザー光源から測定粒子にレーザービームを照射すると、回折像がレーザー光源の反対側のレンズの焦点面にでき、その回折像を検出器によって検出して演算処理することにより、測定粒子の粒度分布を算出するものである。
【0355】
本発明に用いられる磁性粒子は、体積抵抗が、1×104乃至1×109Ωcmであることが好ましい。1×104Ωcmより低いと、ピンホールリークを起こす傾向にあり、1×109Ωcmを越えると、感光体の帯電が不十分となりやすい。磁性粒子漏れという意味では、帯電用磁性粒子の抵抗値は、1×106Ωcm以上が更に好ましく用いられる。
【0356】
磁性粒子の体積抵抗の測定方法は、セルに磁性粒子を充填し、該磁性粒子に接するよう電極を配し、該電極間に電圧を印加し、その時ながれる電流を測定することで得た。測定条件は、23℃、65%の環境で充填磁性粒子と電極との接触面積2cm2、厚み1mm、上部電極に10kg、印加電圧100Vである。
更に、本発明の好ましい抵抗分布は、比較的粒径の小さい粒子と、比較的粒径の大きな粒子の抵抗差が小さいことである。
【0357】
上記磁性粒子は、抵抗調整やトナーに対する摩擦帯電極性を制御する目的で表面層を有した形態が好ましい。表面層の形態は、磁性粒子の表面を蒸着膜、樹脂膜、導電性樹脂膜、導電剤を分散した樹脂膜、カップリング剤でコートしたものである。
【0358】
この表面層は必ずしも磁性粒子を完全に被覆する必要は無く、本発明の効果が得られる範囲で該磁性粒子が露出していても良い。つまり表面層が不連続に形成されていても良い。
【0359】
結着樹脂としては、スチレン、クロルスチレンの如きスチレン類;エチレンプロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルの如きビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きビニルケトンがモノマーとして挙げられ、これらのモノマーの単独重合体または共重合体が挙げられる。特に導電性微粒子の分散性やコート層としての成膜性、生産性という点から、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。更にポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドが好ましい。
【0360】
ここで、フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフロオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンと、他のモノマーが共重合した溶媒可溶の共重合体が挙げられる。
【0361】
結着樹脂に分散する導電剤としては、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀の如き金属;酸化鉄、フェライト、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き金属酸化物;カーボンブラックの如き電子伝導性の導電粉が挙げられる。さらにイオン導電剤として、過塩素酸リチウム、4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0362】
カップリング剤としては、イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセナト)チタンの如きチタネート系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートの如きアルミニウム系カップリング剤;ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、n−オクタデシルジメチルメメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランの如きシラン系カップリング剤が挙げられる。適宜アミノ基やフッ素の如き官能基を導入してもよい。カップリング剤の場合、極薄い被膜(分子レベルで)を磁性粒子表面に形成するので、磁性粒子の抵抗値に与える影響が少なく、磁性粒子であるコアの抵抗さえ調整すれば、被覆層への抵抗調整の処理は行わなくても構わない。
【0363】
本発明では、像担持体として導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層とを有する像担持体(すなわちa−Si感光層を有する感光体。以下、「a−Si系感光体」ともいう)を使用することを1つの特徴とする。
【0364】
本発明におけるa−Si系感光体は、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で形成された光導電層を有する感光層とから構成される感光体である。
【0365】
該a−Si感光体の構成として感光層の下部には、下部電荷注入防止層を設け、基板からの電荷の進入を防ぐこともできる。また、必要に応じて感光層の上部または下部に電荷注入阻止層(上部阻止層、下部阻止層)、干渉現象防止のための干渉防止層(反射防止層)、表面層を設けることができる。
【0366】
本発明に用いるa−Si系感光体は、これらの各層を必要に応じてその特性を実用に適合させるため、水素原子、及びホウ素、アルミニウム、ガリウムの如き周期律表第III族の原子;ゲルマニウム、スズの如き周期律表第IV族の原子;窒素、リン、ヒ素の如き周期律表第V族の原子;酸素、イオウ、セレンの如き周期律表第VI族の原子;フッ素、塩素、臭素の如きハロゲン原子を単独又は複合してa−Si形成時に導入して各層の各特性をコントロールする。各層の特性をコントロールすることにより負静電荷像担持体としてのa−Si感光体を構成することができる。例えば、感光層に水素化a−Siを、下部電荷注入防止層にリンをドープした水素化a−Siを、上部電荷注入防止層にホウ素をドープした水素化a−Siを設ければ、負電荷の静電荷像を保持する像担持体とすることができる。
【0367】
以下、本発明における像担持体の具体例について図5及び図6を用いて説明する。
【0368】
図5及び図6は本発明に用いられる像担持体の模式的な断面図の一例であり図5は光導電層が機能分離されていない単一層からなる単層型像担持体である。又図6は光導電層が電荷発生層と電荷輸送層とに分離された機能分離型像担持体である。
【0369】
図5に示すa−Si系感光体はアルミニウムの如き導電性支持体201と、導電性支持体201の表面に順次積層された電荷注入阻止層202と光導電層203及び表面層204からなる。ここで、電荷注入阻止層202は導電性支持体201から光導電層203への電荷の注入を阻止するものであり、必要に応じて設けられる。また、光導電層203は少なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成され、光導電性を示すものである。更に表面層204は、画像形成装置における顕像を保持する能力をもつ層であり、必要に応じて設けられる。
【0370】
以下では、電荷注入阻止層202、表面層204の有無により効果が異なる場合を除いては、電荷注入阻止層202、表面層204は有るものとして説明する。
図6に示すa−Si系感光体は、光導電層203が少なくともシリコン原子と炭素原子を含む非晶質材料で構成された電荷輸送層206と、少なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成された電荷発生層205が順次積層された構成の機能分離型とした像担持体である。この像担持体に光照射すると主として電荷発生層205で生成されたキャリアーが電荷輸送層206を通過して導電性支持体201に至る。
【0371】
表面層204の成膜ガスとしては、CH4、C26、C38、C410の如きガス、及びガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられる。又、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Neの如きガスにより希釈して使用してもよい。
【0372】
支持体の基材としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Feの如き金属、およびこれらの合金(例えばステンレス)が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミドの如き合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミックの如き電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0373】
また、導電性支持体201の形状は、平滑表面または凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの像担持体を形成し得るように適宜決定するが、導電性支持体201は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上である。
【0374】
特にレーザー光の如き可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現れる、干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するために、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲で導電性支持体201の表面に凹凸を設けてもよい。導電性支持体201の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、同60−178457号公報、同60−225854号公報、同61−231561号公報に記載された公知の方法により作製される。
【0375】
また、レーザー光の如き可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさらに別の方法として、感光層内または該層の下側に、光吸収層等の干渉防止層またはそれに準じた領域を設けても良い。
【0376】
さらに、導電性支持体の表面に微細なキズをつける事により像担持体表面の微細粗さを制御する事もできる。キズの作製は研磨材を使用しても良いし、化学反応によるエッチングやプラズマ中のいわゆるドライエッチング、スパッタリング法等を用いても良い。この際に該キズの深さ、大きさは光生成キャリアの減少が実質的にない範囲であれば良い。
【0377】
本発明において、その目的を効果的に達成するために導電性支持体201上、必要に応じて電荷注入阻止層202上に形成され、感光層の一部を構成する光導電層203は、真空堆積膜形成方法によって所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。
【0378】
具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、または直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからしてグロー放電法、特にRF帯、μW帯またはVHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0379】
グロー放電法によって光導電層203を形成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の導電性支持体201上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0380】
また、シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために、光導電層203中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが好ましい。
【0381】
そして、形成される光導電層203中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2および/またはHeまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0382】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、ハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7の如きハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0383】
ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si26の如き弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0384】
光導電層203中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば導電性支持体201の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力を制御すればよい。
【0385】
本発明においては、光導電層203には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層203中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、または層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0386】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)を用いることができる。
【0387】
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)があり、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)があり、特にP、Asが好適である。
【0388】
光導電層203に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppmとされるのが好ましい。
【0389】
伝導性を制御する原子として、第IIIb族原子または第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質または第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層203を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質または第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが好ましい。
【0390】
そのような第IIIb族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B26、B410、B59、B511、B610、B612、B614の如き水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3の如きハロゲン化硼素が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3が挙げられる。
【0391】
第Vb族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P24の如き水素化燐;PH4I、PF3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3 の如きハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3が第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2及び/又はHeにより希釈して使用してもよい。
【0392】
さらに本発明においては、光導電層203に炭素原子及び/または酸素原子及び/又は窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子、及び/又は酸素原子、及び/又は窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して、好ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が好ましい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0393】
本発明において、光導電層203の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜45μm、最適には10〜40μmとされるのが好ましい。
【0394】
さらに、導電性支持体201の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜310℃とするのが好ましい。
【0395】
光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧の条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが好ましい。
【0396】
本発明においては、上述のようにして導電性支持体201上に形成された光導電層203の表面に、更に非単結晶材料からなる表面層(最表面層)204を形成することが好ましい。この表面層204は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0397】
表面層204は、非単結晶材料であればいずれの材質でも可能である。例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,X」と表記する)の材料が好適に用いられる。
【0398】
該表面層204は、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、または直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法の如き薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0399】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xよりなる表面層204を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得る、Si供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層203を形成した導電性支持体201上にa−SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0400】
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30%から90%の範囲が好ましい。特に表面層内の水素含有量を30原子%以上70%以下に制御することで電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向上を図り、表面層の高い硬度を確保できる。
【0401】
表面層中の水素含有量は、H2ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。また、表面層204中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば導電性支持体201の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0402】
炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0403】
さらに本発明においては、表面層204には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層204中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、または層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0404】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、「第IIIb族原子」または「第Vb族原子」を用いることができる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、Neのガスにより希釈して使用してもよい。
【0405】
本発明における表面層204の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが好ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまう傾向にあり、3μmを越えると残留電位の増加という電子写真特性の低下がみられることがある。
【0406】
本発明の目的を達成するのに好適な特性を有する表面層204を形成するには、導電性支持体201の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。
【0407】
表面層を形成するための支持体温度、ガス圧の条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが好ましい。
【0408】
さらに本発明においては、光導電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らしたバッファ層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効である。
【0409】
また表面層204と光導電層203との間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層203に向かって減少するように変化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0410】
本発明では、表面層として非単結晶水素化炭素膜として、炭素を主体とする非晶質炭素膜(以下「a−C:H」と表記する)を使用することが、さらに好ましい。
【0411】
a−C:Hもまた、高硬度で耐久性に優れている。また、低摩擦であり、撥水性にも優れ、環境対策ヒーターを除去した状態においても高湿環境下での画像のぼけを防止する効果がある。また、導電性微粉体やその他の粒子の、機械的な摩擦による感光体への移動を低減できる。
【0412】
本発明においては、a−C:Hからなる表面層は、膜中に含まれる水素量はH/(C+H)で41%〜60%、好適には45%〜55%が適している。水素量が40%以下だと像担持体としての感度が不足し画像形成装置に適さない場合がある。また60%を越えると膜の緻密化が損なわれ、機械的強度が損なわれる傾向にある。
【0413】
さらに本発明に用いられる像担持体の表面層の膜厚としては表面層の磨耗量と画像形成装置の寿命との関係から最適な膜厚が決定できるが、一般的には0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜1μmの範囲が好ましい。表面層の膜厚が0.01μm以下だと機械的強度が損なわれ、10μm以上になると残留電位が高くなる場合がある。また、本発明において、表面層の屈折率は1.8〜2.8程度であれば好適に用いられる。
【0414】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4、C26、C38、C410のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、炭素供給効率の良さ等の点でCH4、C26が好ましいものとして挙げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Neのガスにより希釈して使用してもよい。
【0415】
また、基板(導電性支持体)温度は室温から350℃までに調整されるが、あまり基板温度が高過ぎるとバンドギャップが低下して透明度が低下するため低めの温度設定が好ましい。高周波電力については、出来るだけ高い方が炭化水素の分解が充分に進むため好ましく、具体的には炭化水素の原料ガスに対して5×10-6J/(sec/m3)以上が好ましいが、あまり高くなると異常放電が発生してしまい、像担持体の特性を劣化させるので、異常放電が発生しない程度の電力に抑える必要がある。放電空間の圧力については通常のRF(代表的には13.56MHz)電力を用いる場合には1.33×10-2〜1.33kPa、VHF帯(代表的には50〜450MHz)を用いる場合には1.33×10-5〜1.33×10-3kPaに保たれる。
【0416】
また、本発明に用いられるa−C:Hからなる表面層には、必要に応じてハロゲン原子が含まれていても良い。その中でも、表面層として炭素を主体として、内部且つ/又は最表面にフッ素との結合を有する非晶質炭素膜(以下「a−C:H:F」と表記する)は、フッ素の作用により、更に撥水性に優れ、低摩擦であり、環境対策ヒーターを除去した状態においても高湿環境下での画像のぼけを防止する効果がある。
【0417】
このような表面層の製造については、a−C:H膜の製造方法に準ずるが、ハロゲン原子供給用ガスを使用する。前記ハロゲン原子供給用ガスとなり得る物質としては、たとえばF2、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7のハロゲン間化合物を挙げることができる。さらにフッ素原子を導入する際には、CF4、CHF3、C26、ClF3、CHClF2、F2、C38、C410のフッ素含有ガスが好適に用いられる。
【0418】
また、光導電層と表面層の間に、像担持体としての機能を向上させる目的で非晶質材料からなる層を設けることも好適に用いられる。その一例としては、非単結晶珪素、非単結晶炭化珪素、非単結晶水素化炭素が挙げられる。
【0419】
本発明に用いられる画像形成装置用感光体においては、導電性支持体と光導電層との間に、支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0420】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、または層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0421】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、「第III族原子」または「第V族原子」を用いることができる。
【0422】
本発明において、電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが好ましい。
【0423】
本発明においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の好ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが好ましい。
【0424】
また、本発明に用いられる画像形成装置用感光体においては、導電性支持体201と光導電層203または電荷注入阻止層202との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si34、SiO2、SiO、またはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、前述のごとく、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0425】
本発明に用いられる像担持体は、帯電部材によって帯電せしめられるが、像担持体上の電位は絶対値で250乃至600Vに一次帯電されなければならない。像担持体上の電位が250V未満であると、画像部の濃度とバックグラウンド部のカブリのバランスをとることが極めて困難になる。一方、600Vを越えると像担持体を所望の一次電位に帯電させるために必要な電流量が多くなり、またそれに起因してリークの発生による画像不良が極めて起こりやすくなる。また、同様な理由により帯電した像担持体上の電位は250乃至550Vが好ましく、250乃至500Vがより好ましい。この一次帯電電位の正負については、画像形成方法・装置その他の現像・帯電・静電潜像形成・転写のプロセスに合わせて適宜使い分ければ良い。
【0426】
本発明では、得られる画像に影響を与えない限り、像担持体を直接加温する手段を設けない構成が好ましい。その理由としては、加温手段により消費される電力が減少することが挙げられる。しかし、必要に応じて加温手段を設けることは何ら差し支えない。
【0427】
次に、本発明における潜像形成工程について説明する。本発明の画像形成方法では、像露光により像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む潜像形成工程を用いるのが好ましい。像担持体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段は、像露光手段であることが好ましい。
【0428】
静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDの如き他の発光素子でも構わないし、蛍光燈の如き発光素子と液晶シャッターの組み合わせによるものが挙げられる。
【0429】
次に、現像工程について以下説明する。本発明の画像形成方法の現像工程では、特定の磁性トナーによって、像担持体の静電潜像を現像する。現像で使用するトナー担持体について説明する。
【0430】
本発明に使用されるトナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチールの如き金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラー)が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムローラーを用いても良い。また、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0431】
本発明においては、トナー担持体上に5〜50g/m2の磁性トナー層を形成することが好ましい。トナー担持体上の磁性トナー量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られにくく、磁性トナーの帯電が過剰になることによる磁性トナー層のムラを生じ易くなる。トナー担持体上の磁性トナー量が50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易くなる。
【0432】
また、本発明に使用されるトナー担持体の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。
Raが0.2μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となる。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上の磁性トナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0433】
トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0434】
さらに、本発明に係わる磁性トナーは高い帯電能力を有するために、現像に際しては磁性トナーの総帯電量をコントロールすることが好ましく、本発明に係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0435】
トナー担持体の被覆層において、樹脂材料に含まれる導電性微粒子は、120kg/cm2で加圧した後の抵抗値が0.5Ω・cm以下であるものが好ましい。
導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒径が0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0436】
樹脂材料は、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を使用することができる。
【0437】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、またはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0438】
導電性微粒子は、樹脂成分10質量部当たり、3〜20質量部使用するのが好ましい。カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当たり、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ましい。導電性微粉体が分散されているスリーブの樹脂コート層の体積抵抗は10-6〜106Ω・cmが好ましく、10-1〜106Ω・cmが更に好ましい。
【0439】
また本発明においては、トナー担持体と対向して微小間隔をもって配設されている強磁性金属ブレードによりトナー担持体上の磁性トナーを規制されることが磁性トナーの粉体特性や帯電特性を長期にわたり維持し、かつ温湿度環境の影響を受けにくく、トナー飛散の起こりにくい均一な帯電を得る観点から特に好ましい。
【0440】
また、本発明の画像形成方法においては、現像工程でトナーを担持して現像部に搬送するトナー担持体の移動速度を、像担持体の移動速度に対して速度差をもたせることにより、トナー担持体側から像担持体側へ磁性トナー粒子および導電性微粉体を十分に供給することができるため、良好な画像を得ることができる。
【0441】
磁性トナーを担持するトナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に対して、比で100%以上であることが好ましい。100%未満であると、画像品質が悪くなることがある。
【0442】
移動速度比が高まれば高まるほど、現像部位に供給される磁性トナーの量は多く、潜像に対し磁性トナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。速度比は、以下の式により求めた値である。
【数6】
速度比(%)=(トナー担持体速度/像担持体速度)×100
【0443】
具体的には、トナー担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0444】
本発明において、非接触型現像方法を適用するために、トナー担持体の像担持体に対する離間距離よりも現像領域に入る前のトナー担持体上の磁性トナー層を薄く形成することが好ましい。現像工程は像担持体に対して磁性トナー層を非接触として、像担持体の静電潜像をトナー画像として可視化する非接触型現像方法を適用することで、電気抵抗値が低い導電性微粉体を磁性トナー中に添加しても、現像バイアスが像担持体へ注入することによる現像かぶりが発生しない。そのため、良好な画像を得ることができる。
【0445】
また、本発明の画像形成方法においては、カブリの無い高画質を得るためにトナー担持体上に、トナー担持体−像担持体(例えば感光体)の最近接距離(S−D間)よりも小さい層厚で、磁性トナーを塗布し、交番電界を印加して現像を行う現像工程で現像される。トナー担持体上の磁性トナーを規制する層圧規制部材によってトナー担持体上の磁性トナー層厚よりも感光体とトナー担持体の最近接間隙が広くなるように設定して用いるが、トナー担持体上の磁性トナーを規制する層厚規制部材がトナー担持体と対向して微小間隔をもって配設されている強磁性金属ブレードによりトナー担持体上のトナーを規制されることがトナーの粉体特性や帯電特性を長期にわたり維持し、かつ温湿度環境の影響を受けにくく、トナー飛散の起こりにくい均一な帯電を得る観点から特に好ましい。
【0446】
また、トナー担持体は像担持体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましく、120〜500μmの離間距離を有して対向して設置されることが更に好ましい。トナー担持体の像担持体に対する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに対する磁性トナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。トナー担持体の像担持体に対する離間距離が1000μmよりも大きいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、像担持体上の潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招いてしまう。
【0447】
本発明において、トナー担持体に対して交番電界を印加して現像を行う現像工程で現像されることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。
【0448】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0449】
トナーを担持をするトナー担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度が3×106〜1×107V/mであり、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましい。
【0450】
トナー担持体と像担持体との間に印加される現像バイアスの電界強度が3×106V/mよりも小さいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。一方、現像バイアスの電界強度が1×107V/mよりも大きいと現像力が大き過ぎることによる細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低下を生じ易く、現像バイアスの像担持体へのリークによる画像欠陥を生じ易くなる。
【0451】
また、トナー担持体と像担持体との間に印加される現像バイアスのAC成分の周波数が100Hzよりも小さいと、潜像に対する磁性トナーの脱着頻度が少なくなり、現像装置への転写残トナーの回収性が低下しやすく、画像品質も低下し易い。現像バイアスのAC成分の周波数が5000Hzよりも大きいと、電界の変化に追従できる磁性トナーが少なくなるために、転写残トナーの回収性が低下し、現像性が低下し易くなる。
【0452】
交番電界を現像バイアスとして印加する等によって、トナー担持体と像担持体間に高電位差がある場合でも、現像部による像担持体への電荷注入が生じないため、トナー担持体側の磁性トナー中に添加された導電性微粉体が均等に像担持体側に移行されやすく、均一に導電性微粉体を像担持体に存在させ、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来る。
【0453】
次に、本発明の画像形成方法に好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。本発明において、像担持体からトナー画像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙の如き転写材に再度転写することでトナー画像が得られる。
【0454】
接触転写工程とは、感光体と転写材を介して転写手段を当接しながら現像画像を転写材に静電転写するものであるが、転写手段の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0455】
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラーまたは転写ベルトの如き転写帯電用部材を有する装置が使用される。図7に転写ローラーの構成の一例を示す。転写ローラー34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層はカーボンの如き導電材を分散させたウレタンやEPDMの、体積抵抗106〜1010Ωcmの弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0456】
次に、本発明の一態様である現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)の画像形成方法を、以下具体的に説明する。
図3は本発明に従うローラーによる注入帯電方式の画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
【0457】
この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)の画像形成装置である。クリーニングブレードのようにクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去した画像形成方法を有し、トナーとしては磁性一成分系トナーを使用し、トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の例を示す。
【0458】
1は像担持体としての回転ドラム型a−Si像担持体であり、矢印の時計方向に一定速度の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0459】
306は接触帯電部材としての帯電ローラーである。帯電ローラー306は像担持体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。像担持体1と帯電ローラー306は当接部が存在し、帯電当接部である。帯電ローラー306は像担持体1との接触面である帯電当接部において対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に回転駆動される。接触帯電部材としての帯電ローラー306の表面は像担持体1の表面に対して速度差を持たせてある。帯電ローラー306の表面には、存在量が均一になるように前記導電性微粉体を存在させてある
【0460】
帯電ローラー306の芯金(不図示)には帯電バイアス印加電源から直流電圧を帯電バイアスとして印加してある。ここで、像担持体1の表面は帯電ローラー306に対する印加電圧とほぼ等しい電位に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。
【0461】
Lはレーザー光である。このレーザー光により像担持体1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。307は現像装置である。像担持体1の表面の静電潜像はこの現像装置によりトナー画像として現像される。
【0462】
この現像装置307は、非接触型の反転現像装置(図4)である。また、像担持体1との対向部である現像部(現像領域部)にて像担持体1の回転方向と順方向に一定速度の周速で回転させる。この現像スリーブ12に磁性ブレード11aでトナーが薄層にコートされる。トナーは磁性ブレード11aで現像スリーブ12に対する層厚が規制され、また電荷が付与される。現像スリーブ12にコートされたトナーはスリーブ12の回転により、像担持体1とスリーブ12の対向部である現像部に搬送される。また、スリーブ12には現像バイアス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。そして、現像スリーブ12と像担持体1の間で一成分ジャンピング現像を行わせる。
【0463】
302は接触転写手段としての転写ローラーであり、感光体1に一定の線圧で圧接させて転写当接部を形成させてある。この転写当接部に搬送ローラー308a、308bから所定のタイミングで転写材としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラー302に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、像担持体1側のトナー像が転写当接部に給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。そして、一定のローラー抵抗値のものを用いDC電圧を印加して転写を行う。転写当接部に導入された転写材Pはこの転写当接部を挟持搬送されて、その表面側に像担持体1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0464】
313は熱定着方式等の定着装置である。転写当接部に給紙されて像担持体1側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体1の表面から分離されてこの定着装置313に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0465】
この画像形成装置はクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の像担持体1の表面に残留の転写残トナーはクリーナーで除去されることなく、像担持体1の回転にともない帯電部を経由して現像部に至り、現像装置307において現像兼クリーニング(回収)される。
【0466】
次に、上記現像兼クリーニングプロセスにおける導電性微粉体の挙動について以下説明する。
【0467】
現像装置307のトナーTに混入させた導電性微粉体は、現像装置307による像担持体1側の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が像担持体1側に移行する。
【0468】
像担持体1上のトナー画像は転写部において転写バイアスの影響で転写材である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、像担持体1上の導電性微粉体は導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、像担持体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0469】
本発明の一態様においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の像担持体1の表面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は像担持体1と接触帯電部材である帯電ローラー306の当接部である帯電部に像担持体1面の移動でそのまま持ち運ばれて、帯電ローラー306に付着または混入する。したがって、像担持体1と帯電ローラー306との当接部にこの導電性微粉体が存在した状態で像担持体1の直接注入帯電が行われる。
【0470】
この導電性微粉体の存在により、帯電ローラー306にトナーが付着・混入した場合でも、帯電ローラー306の像担持体1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラー306による像担持体1の直接注入帯電を行わせることができる。
【0471】
帯電ローラー306が導電性微粉体を介して密に像担持体1に接触して、帯電ローラー306と像担持体1の相互接触面に存在する導電性微粉体が像担持体1表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラー306による像担持体1の帯電は導電性微粉体の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラー帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラー306に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体1に与えることができる。
【0472】
帯電ローラー306に付着または混入した転写残トナーは帯電ローラー306から徐々に像担持体1上に吐き出されて像担持体1面の移動とともに現像部に至り、現像手段において現像兼クリーニング(回収)される。
【0473】
現像兼クリーニングは、転写後に像担持体1上に残留した磁性トナーを、引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、〔現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差(Vback)〕によって回収するものである。上記のプリンターのように反転現像の場合では、この現像兼クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブに磁性トナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へ磁性トナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0474】
また、画像形成装置が稼働することで、現像装置307の磁性トナーTに混入させてある導電性微粉体が現像部で像担持体1面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に新しい導電性微粉体が逐次に供給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落で減少したり、該粉体が劣化しても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0475】
このように、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラー306を用いて、該帯電ローラー306の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0476】
また、前述のように導電性微粉体は帯電性を損なわないために、電気抵抗値が1×109Ω・cm以下である必要がある。そのため、現像部において磁性トナーが直接像担持体1に接触する接触現像装置を用いた場合には、磁性トナー中の導電性微粉体を通じて、現像バイアスにより像担持体1に電荷注入され、画像かぶりが発生してしまう。
【0477】
しかし、上記の例では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが像担持体1に注入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。また、現像部aにおいて像担持体1への電荷注入が生じないため、ACのバイアスにより現像スリーブ12と像担持体1(19)との間に高電位差を持たせることが可能であり、導電性微粉体が均等に供給されやすく、均一に導電性微粉体を像担持体1表面に存在させ、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来、良好な画像を得ることが可能となる。
【0478】
帯電ローラー306と像担持体1との接触面(当接部)に導電性微粉体を介在させることにより、該導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラー306と像担持体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。帯電ローラー306と像担持体1との間に速度差を設けることにより、帯電ローラー306と像担持体1の相互接触面部において導電性微粉体が像担持体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができ、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0479】
上記の例では、帯電ローラー306を回転駆動し、その回転方向は像担持体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる像担持体1上の転写残トナーを帯電ローラー306に一時的に回収し均す効果を得ている。即ち、逆方向回転で感光体1上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが可能である。
【0480】
更に、この例では像担持体1と接触帯電部材としての帯電ローラー306との帯電当接部における適当な量の導電性微粉体の介在によって、該粒子による潤滑効果により帯電ローラー306と像担持体1との摩擦を低減し、帯電ローラー306を像担持体1に速度差を持って回転駆動させることが容易である。つまり、駆動トルクが低減し、帯電ローラー306や像担持体1の表面の削れまたは傷を防止できる。更に該粒子による接触機会増加により十分な帯電性能が得られる。また、導電性微粉体の帯電ローラー306からの脱落よる作像上に悪影響もない。
【0481】
また、本発明の画像形成装置は、前述した本発明の画像形成方法における各工程を実現する手段を含む構成とされていれば良く、従来より知られている装置等の手段を用いることができる。
【0482】
本発明に係わる各種物性データの測定法を以下に詳述する。
(1)定着画像のカブリの測定方法
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。
フィルターとしてはグリーンフィルターを用い、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ない。
【数7】
Figure 0003919506
【0483】
(2)像担持体の一次帯電電位
像担持体の一次帯電電位は、像担持体の帯電器により帯電された部位が所定の周速度で所定の方向に回転し、現像器のスリーブの最近接位置に到達したときに測定される表面電位を電位計から読み取った値の3点平均値であり、測定部位は像担持体の両端部からそれぞれ50mm±10mm中央側の範囲(2点)と像担持体の中央部の左右10mmの範囲(1点)として定義される。具体的な電位測定装置としては、TRek社製の非接触電位計344などが挙げられる。
【0484】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0485】
<表面処理磁性体の製造例1>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0486】
水溶液のpHを9前後に維持しながら空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0487】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を磁性酸化鉄100質量部に対し1.9質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して、表面処理磁性体1を得た。
【0488】
<表面処理磁性体の製造例2>
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C613Si(OCH33)とする以外は同様にして表面処理磁性体2を得た。
【0489】
<表面処理磁性体の製造例3>
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C1837Si(OCH33)とする以外は同様にして表面処理磁性体3を得た。
【0490】
<表面処理磁性体の製造例4>
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を1.0質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体4を得た。
【0491】
<表面処理磁性体の製造例5>
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を0.7質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体5を得た。
【0492】
<表面処理磁性体の製造例6>
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を0.3質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体6を得た。上記表面処理磁性体の表面処理剤及びその添加量を表1に示す。
【0493】
【表1】
Figure 0003919506
【0494】
<磁性体の製造例1>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0495】
水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0496】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出し、生成した酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して、磁性体1を得た。
【0497】
<導電性微粉体1>
体積平均粒径3.6μm、粒度分布における0.5μm以下が6.4体積%、5μm以上が7個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗1400Ω・cm、一次粒子径0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子を圧力により造粒して得られたもの、白色)を導電性微粉体1とする。
【0498】
この導電性微粉体1は、走査型電子顕微鏡にて3000倍及び3万倍で観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体とから主に形成されていた。
【0499】
実施例の画像形成装置で画像露光に用いられるレーザービームスキャナの露光光波長675nmにあわせて、波長675nmの光源を用いて、この波長域における透過率をX−Rite社製310T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微粉体1の透過率はおよそ36%であった。
【0500】
<導電性微粉体2>
導電性微粉体1を風力分級して得られた、体積平均粒径2.2μm、粒度分布における0.5μm以下の割合が4.2体積%で、5μm以上の割合が1個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗値1400Ω・cm、透過率36%)を導電性微粉体2とする。
【0501】
この導電性微粉体2は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体とが主成分であり、導電性微粉体1と比較すると、一次粒子は減少していた。
【0502】
<導電性微粉体3>
導電性微粉体1を風力分級して得られた、体積平均粒径1.3μm、粒度分布における0.5μm以下の割合が30体積%で、5μm以上の割合が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗値1400Ω・cm、透過率36%)を導電性微粉体3とする。
【0503】
この導電性微粉体3は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜4μmの凝集体とが主成分であり、導電性微粉体1と比較すると、一次粒子は増加していた。
【0504】
<導電性微粉体4>
体積平均粒径0.3μm、粒度分布における0.5μm以下の割合が81体積%で、5μm以上の割合が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗値100Ω・cm、純度99%以上、透過率36%)を導電性微粉体4とする。
【0505】
この導電性微粉体4は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、凝集体の少ない0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子からなっていた。
【0506】
<導電性微粉体5>
酸化スズ・アンチモンで表面処理された体積平均粒径2.5μmのホウ酸アルミニウムを風力分級によって粗粒子を除いた後に、水系に分散しての濾過を繰り返し行うことで微粒子を除き、体積平均粒径3.1μm、粒度分布における0.5μm以下が0.7体積%、5μm以上が1個数%の灰白色の導電性粒子を得た(抵抗40Ω・cm)。これを導電性微粉体5とする。
【0507】
<磁性トナーの製造例1>
イオン交換水709質量部に0.1M−Na3PO4水溶液451質量部を投入し60℃に加温した後、塩化カルシウム添加後のpHが6.0になるように塩酸を投入し、次に1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加してリン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0508】
Figure 0003919506
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
【0509】
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)4.5部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2=140分、60℃条件下]5質量部を溶解した。
【0510】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2 雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてリン酸カルシウム塩を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.1μmの黒色の磁性トナー粒子1を得た。
【0511】
この磁性トナー粒子100部と、ヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が200m2/gの疎水性シリカ微粉体0.9部と、表2に示す導電性微粉体とをヘンシェルミキサーで混合して、磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表2に示す。
【0512】
<磁性トナーの製造例2>
表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体2を用い、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に磁性トナー2を得た。磁性トナー2の物性を表2に示す。
【0513】
<磁性トナーの製造例3>
表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体3を用い、pH調整をしないこと以外は磁性トナー1の製造例と同様に磁性トナー3を得た。このときの水系媒体のpHは、10.3であった。磁性トナー3の物性を表2に示す。
【0514】
<磁性トナーの製造例4>
表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体4を用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に磁性トナー4を得た。磁性トナー4の物性を表2に示す。
【0515】
<磁性トナーの製造例5>
表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体5を用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に磁性トナー5を得た。磁性トナー5の物性を表2に示す。
【0516】
<磁性トナーの製造例6>
磁性トナーの製造例1で得た黒色粒子1を100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が250m2/gの疎水性シリカ微粉体0.8質量部と、表2に示す導電性微粉体とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、磁性トナー6を調製した。磁性トナー6の物性を表2に示す。
【0517】
<磁性トナーの製造例7>
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物)1質量部に代えてニグロシン1.5質量部を用い、BET値が200m2/gの疎水性シリカ微粉体0.9質量部に代えて、BET値が200m2/gの正荷電性疎水性乾式シリカ微粉体0.9質量部を用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に磁性トナー7を得た。磁性トナー7の物性を表2に示す。
【0518】
<磁性トナーの製造例8>
エステルワックスの量を1.2質量部とする以外は磁性トナーの製造例1と同様に磁性トナー8を得た。磁性トナー8の物性を表2に示す。
【0519】
<磁性トナーの製造例9>
エステルワックスの量を54質量部とする以外は磁性トナーの製造例1と同様に磁性トナー9を得た。磁性トナー9の物性を表2に示す。
【0520】
<磁性トナーの製造例10>
エステルワックスに代えてポリエチレンワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値100℃)とする以外は磁性トナーの製造例1と同様に磁性トナー10を得た。磁性トナー10の物性を表2に示す。
【0521】
<磁性トナーの製造例11>
表面処理磁性体1の量を40質量部とする以外は磁性トナーの製造例1と同様に磁性トナー11を得た。磁性トナー11の物性を表2に示す。
【0522】
<磁性トナーの製造例12>
表面処理磁性体の量を150質量部とする以外は磁性トナーの製造例1と同様に磁性トナー12を得た。磁性トナー12の物性を表2に示す。
【0523】
Figure 0003919506
上記材料をブレンダーにて混合し、105℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級し、その後衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて重量平均粒径9.3μmの磁性トナー粒子13を得た。この磁性トナー粒子13の100質量部に対して磁性トナーの製造例1で使用した疎水性シリカ微粉体1.2質量部と、表2に示す導電性微粉体とを加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し磁性トナー13を得た。磁性トナー13の物性を表2に示す。
【0524】
<磁性トナーの製造例14>
磁性トナーの製造例13において、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕する以外は同様の手法により、磁性トナー粒子を得、その後衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて重量平均粒径8.6μmの球形化された磁性トナー粒子14を得た。
【0525】
次に、得られた球形化された磁性トナー粒子14と、この磁性トナー粒子14に対して100質量部に対して磁性トナーの製造例6で使用した疎水性コロイダルシリカ1.0質量部と、表2に示す導電性微粉体とを加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し磁性トナー14を調製した。磁性トナー14の物性を表2に示す。
【0526】
<磁性トナーの製造例15〜17>
磁性トナーの製造例1において、得られた磁性トナー粒子1と、製造例1で使用した疎水性コロイダルシリカ0.9質量部と、表2に示す導電性微粉体とを加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し磁性トナー15〜17を調製した。磁性トナー15〜17の物性を表2及び表3に示す。
【0527】
得られた磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、磁性トナー11は17.3、磁性トナー12は37.2であり、他の磁性トナーはいずれも26〜30Am2/kgであった。
【0528】
<磁性トナーの比較製造例1>
表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体6を用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に比較用磁性トナー1を得た。比較用磁性トナー1の物性を表3に示す。
【0529】
<磁性トナーの比較製造例2>
表面処理磁性体1に代えて磁性体1を用いること以外は磁性トナー1の製造例と同様に比較用磁性トナー2を得た。比較用磁性トナー2の物性を表3に示す。
【0530】
<磁性トナーの比較製造例3>
磁性トナーの製造例1において、Na3PO4水溶液とCaCl2水溶液の投入量を増やし、重量平均粒径2.9μmの比較用磁性トナー粒子3を得た。この比較用磁性トナー粒子3の100質量部と、磁性トナーの製造例1で使用した疎水性シリカ微粉体2.2質量部と、表3に示す導電性微粉体とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、比較用磁性トナー3を調製した。比較用磁性トナー3の物性を表3に示す。
【0531】
<磁性トナーの比較製造例4>
磁性トナーの製造例1において、Na3PO4水溶液とCaCl2水溶液の投入量を減らし、重量平均粒径10.4μmの比較用磁性トナー粒子4を得た。この比較用磁性トナー粒子4の100質量部と、磁性トナーの製造例1で使用した疎水性シリカ微粉体0.6質量部と、表3に示す導電性微粉体とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、比較用磁性トナー4を調製した。比較用磁性トナー4の物性を表3に示す。
【0532】
Figure 0003919506
上記材料をブレンダーにて混合し、105℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径8.7μmの比較用磁性トナー粒子5を得た。この比較用磁性トナー粒子5と、この比較用磁性トナー粒子5の100質量部に対して磁性トナーの製造例1で使用した疎水性シリカ微粉体1.5質量部と、表3に示す導電性微粉体とを加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し比較用磁性トナー5を得た。比較用磁性トナー5の物性を表3に示す。
【0533】
【表2】
Figure 0003919506
【0534】
【表3】
Figure 0003919506
【0535】
<像担持体製造例1>
プラズマCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mm、外径30mm、長さ357mmのアルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、下記の条件での表面層を0.5μm堆積し光受容部材を製造した。これを像担持体1とする。なお、以下の像担持体製造例において「normal」とは、298K、105Paの条件であることを意味する。
【0536】
Figure 0003919506
【0537】
(像担持体1の表面層の製造条件)
SiH4 20ml/min(normal)
CH4 500ml/min(normal)
パワー 300W(13.56MHz)
内圧 40.0Pa
基板温度 250℃
【0538】
<像担持体製造例2>
プラズマCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mmのアルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、下記の条件での表面層を0.2μm堆積し光受容部材を製造した。これを像担持体2とする。
【0539】
Figure 0003919506
【0540】
(像担持体2の表面層の製造条件)
CH4 500ml/min(normal)
パワー 1000W(105MHz)
内圧 0.27Pa
基板温度 100℃
【0541】
<像担持体製造例3>
プラズマCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mmのアルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を積層した後、下記の条件での表面層を0.5μm堆積し光受容部材を製造した。これを像担持体3とする。
【0542】
Figure 0003919506
【0543】
(像担持体3の表面層の製造条件)
SiH4 10ml/min(normal)
CH4 500ml/min(normal)
パワー 300W(13.56MHz)
内圧 66.7Pa
基板温度 290℃
【0544】
<比較用像担持体製造例1>
感光体としては直径30mmのAlシリンダーを基体とした。これに、図8に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体を作製した。
【0545】
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン、及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であった。
接触角は、純水を用い、協和界面科学(株)製の接触角計CA−X型装置を用いて測定した。これを比較用像担持体1とする。
【0546】
<帯電部材の製造例1>
直径9mm、長さ346mmのSUSローラーを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラー状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材として直径16mm、長さ318mmの帯電ローラーを作製した。
【0547】
得られた帯電ローラーは、抵抗値が105Ω・cmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。また、この帯電ローラー表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均セル径は約100μmで、空隙率は65%であった。これを帯電部材1とする。
【0548】
<帯電部材の製造例2>
直径9mm、長さ346mmのSUSローラーを芯金とし、芯金上に導電性ナイロン繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロール状帯電ブラシを作製した。このブラシはナイロン繊維にカーボンブラックを分散させて抵抗調整されたものであり、繊維の太さが6デニール(300デニール/50フィラメント)、ブラシの繊維の長さは3mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり10万本で植毛された物を用いた。得られた帯電ブラシロールの抵抗値は1×107Ω・cmであった。これを帯電部材2とする。
【0549】
<帯電部材の製造例3>
Fe2350モル%、CuO25モル%、ZnO25モル%にリンを0.05質量%添加し、分散剤および結着剤と水を加えボールミルにて分散混合し、スプレードライヤーにより造粒成形を行った。次いで、1150℃の条件下6時間の焼成を行った。焼成物を解粉後、分級(ディスパージョンセパレータ)を行い体積平均径35μmの球状のフェライト粒子を得た。
【0550】
上記磁性粒子100質量部に対してチタンカップリング剤(イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート)0.10質量部をトルエン溶媒を用いて混合させた後、湿式コートし、電気オーブンで170℃でキュアした。本磁性粒子の体積抵抗値は3.5×107Ωcmであった。
【0551】
次いで、磁気ブラシ(帯電部材)として穂立ちさせるための、外径16mmのアルミニウム製円筒体と、これに内包される磁束密度0.1T(テスラ)のマグネットロールから構成される電極スリーブを作製した。該導電スリーブと像担持体との間隙は約500μmとし、前記磁性粒子を、電極スリーブ上のコート量として170mg/cm2となるように該スリーブ上にコートした。これを帯電部材3とする。
【0552】
例1
画像形成装置として、GP405(図2:キヤノン製)を改造したものを用いた。
【0553】
静電荷像担持体としては像担持体1を用いた。この像担持体に、一次帯電部材として帯電部材1を、像担持体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧設させて配設し、直流電圧を帯電バイアスとして芯金から−440Vを印加し、像担持体との帯電当接部において対向方向(像担持体の移動方向と逆方向)に100%の周速で回転駆動して像担持体を一様に帯電させた。接触帯電部材としての帯電ローラーの表面は、像担持体の表面に対して相対移動速度比200%の相対速度差を有していた。帯電ローラーの表面には、塗布量が1×104個/mm2で均一になるように導電性微粉体3を塗布し、導電性微粉体の供給量が安定するように導電性微粉体塗布機構314を設けた。一次帯電に次いで、675nmの波長を有するレーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成した。この時、現像器のスリーブ位置(本体手前、中央部、本体奥の3点平均)の暗部電位Vd=−400V、明部電位VL=−20Vとした。
【0554】
像担持体(感光ドラム)と現像スリーブとの間隙は200μmとし、トナー担持体としては、表面をガラスビーズによりブラスト処理した直径20mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約10μm塗工して、JIS中心線平均粗さ(Ra)0.85μmとなるように樹脂層を形成した現像スリーブを使用し、現像磁極95mT(950ガウス)、トナー規制部材としてドラム側を削ったナイフエッジ型の強磁性ブレード(鉄−ニッケル合金)をスリーブとの間隙を210μmで配設させた。
フェノール樹脂 100部
グラファイト(粒径約7μm) 36部
カーボンブラック 4部
【0555】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−270V、重畳する交流バイアス成分Vp−p=800V、f=1900Hzを用いた。現像スリーブの周速は感光体周速(210mm/sec)に対して順方向に180%のスピード(378mm/sec)とした。また、転写装置はコロナ転写装置に改造した。
【0556】
さらに、クリーニング部材と帯電部材の間に前露光装置(波長660nm)を配設した。定着方法としてはGP405の熱ローラー定着装置をそのまま用いた。
【0557】
磁性トナー1を使用し、後述する常温常湿環境下において磁性トナー1を逐次補給しながら画出し試験を行った。転写材としては64g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜け及び定着オフセットによる裏汚れもなく、非画像部へのカブリもない良好な画像が得られた。
【0558】
次に、印字面積比率約5%のTC−A1チャート(キヤノン製テストチャート:FY9−9045−000)を使用してA4横サイズの画像を連続モードで2万枚複写して画像評価を行った。画像評価は以下のように行った。
【0559】
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(64g/m2)の画像濃度により評価した。尚、画像濃度については「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、0.00の白地部分と画像との相対濃度を測定した。
A:非常に良好 1.40以上
B:良好 1.35以上1.40未満
C:実用上問題なし 1.00以上1.35未満
D:やや難あり 1.00未満
【0560】
(2)画像カブリ
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。
A:非常に良好 1.0%未満
B:良好 1.0%以上2.0%未満
C:実用上問題なし 2.0%以上3.0%未満
D:やや難あり 3.0%以上
【0561】
(3)転写性(転写効率)
転写効率は、ベタ黒画像(原稿にキヤノン製テストチャート:FY9−9073−000を使用)転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【数8】
転写効率(%)={(D−C)/(D−E)}×100
(評価ランク)
A:97%以上(非常に良好)
B:94%以上97%未満(良好)
C:90%以上94%未満(普通)
D:90%未満(悪い)
【0562】
(4)がさつき
がさつきの評価には、各環境下で、サンプルとなる磁性トナーと像担持体を投入した画像形成装置を、各環境に72時間以上の適宜な時間放置して、機内を該環境に安定させた。その後、2万枚の複写を行い、その後装置の電源をOFFにして24時間放置した。放置後に下記のチャートを使用して、画像出しを連続100枚行い、その時の画像をもって判断した。
【0563】
評価画像を複写原稿には、画像濃度0.3と0.4のハーフトーンチャートの2種類(キヤノン製テストチャート:FY9−9042−000及びFY9−9098−000)を使用した。
【0564】
がさつきについては、二種のチャートを複写した画像において画像ムラを目視にて判定した。
【0565】
判定基準は、下記の通りである
A:ハーフトーンの濃度ムラが目視で判別不可能
B:ハーフトーンの濃度ムラが目視でほぼ判別不可能
C:ハーフトーンの濃度ムラが目視で判別可能
D:ハーフトーンの濃度ムラが目視で明確に判別可
【0566】
各環境の温度および湿度条件は次のとおりである。
30±2℃、80±10%RHの環境(以下、単に高温高湿環境という)
25±2℃、50± 5%RHの環境(以下、単に常温常湿環境という)
25±2℃、10± 5%RHの環境(以下、単に常温低湿環境という)
15±2℃、10± 5%RHの環境(以下、単に低温低湿環境という)
【0567】
(5)平均トナー消費量
平均トナー消費量については、初期から2万枚までの画出しに際して消費した磁性トナーの総量から1枚当たりのトナーの消費量を算出した。
【0568】
評価(1)〜(3)及び(5)は常温常湿環境にて、評価(4)はすべての環境にて実施した。なお、上記の各評価に際して、環境対策ヒーター(ドラムヒーター)等を排除した状態で行った。また、通紙耐久は、印字面積比率約5%の原稿〔TC−A1(キヤノン製テストチャート:FY9−9045−000)〕を使用して行った。その際、適宜な枚数毎に上記の各テストチャートの画像を複写した。
評価(1)〜(5)について初期の画像と2万枚複写後の画像の評価結果を表4に示す。
【0569】
以下のにおいては、現像剤に用いている導電性微粉体と同じものを帯電部材に塗布・供給している。
例2
像担持体1を像担持体2に、磁性トナー1を磁性トナー2に変える以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0570】
例3
転写装置をコロナ転写装置に改造をしないで、磁性トナー1を磁性トナー3に変える以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0571】
例4〜6>
磁性トナー1を、各において表4に示す磁性トナーに変える以外は、例1と同様に評
価した。評価結果を表4に示す。
【0572】
例7
像担持体1を正帯電性像担持体である像担持体3に、磁性トナー1を正帯電性磁性トナーである磁性トナー7に変え、帯電バイアス、現像バイアスの直流成分、転写バイアスの極性を例1とは逆極性となるよう印加する以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0573】
例8〜17>
磁性トナー1を、各において表4に示す磁性トナーに変える以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0574】
例18
像担持体の暗部電位を−590Vに、明部電位を−140Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−440Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4示す。
【0575】
例19
像担持体の暗部電位を−540Vに、明部電位を−100Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−400Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0576】
例20
像担持体の暗部電位を−490Vに、明部電位を−80Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−360Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0577】
例21
像担持体の暗部電位を−310Vに、明部電位を−10Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−200Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0578】
例22
像担持体の暗部電位を−290Vに、明部電位を−5Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−190Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0579】
例23
画像形成装置の像担持体の周速を263mm/sec、帯電ローラーの周速はそのままで、現像スリーブの表面粗さRaを1.10μmとし、周速を426mm/secとする以外は例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0580】
例24
帯電部材1に変えて帯電部材2を配設し、像担持体の表面に対して当接部において逆方向に相対移動速度比200%の相対速度差で駆動するよう改造し、芯金から−450Vの帯電バイアスを供給して像担持体を帯電させる以外は、例1と同様に評価した。評価結果
を表4に示す。
【0581】
例25
帯電部材1に変えて、導電性微粉体の塗布機構は使用せずに、帯電部材3を使用した。帯電部材3は、マグネットロールを固定、スリーブ表面を感光体表面の周速に対して150%の速さで対向箇所において逆方向に回転させ、スリーブ上に前述した磁性粒子により磁気ブラシを形成させ、像担持体と該磁気ブラシがそれぞれ回転しながら均一に接触するようにした。このとき、像担持体の表面に対して相対移動速度比150%の相対速度差で駆動させ、スリーブから直流バイアス成分−450V、重畳する交流バイアス成分0.5kVp−pの帯電バイアスを供給して像担持体を帯電させる以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0582】
<比較例1>
磁性トナー1に変えて比較用磁性トナー1を用いる以外は例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0583】
<比較例2>
磁性トナー1に変えて比較用磁性トナー2を用いる以外は例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0584】
<比較例3>
像担持体1を比較用像担持体1に変え、像担持体上の電位を例1と同様にするために回転方向は変えずに帯電ローラーの相対移動速度比を150%にする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0585】
<比較例4>
帯電部材として改造前のGP405の帯電ローラを使用し、印加バイアスとしてACバイアス(Vpp800V、1900Hz)及びDCバイアス(−400V)を使用したところ、オゾンの発生が例1よりも多く、帯電効率が例1よりも劣っていた。
【0586】
<比較例5>
像担持体の暗部電位を−650Vに、明部電位を−150Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−480Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0587】
<比較例6>
像担持体の暗部電位を−240Vに、明部電位を0Vになるよう帯電させ、現像バイアスの直流バイアス成分を−170Vとする以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0588】
<比較例7〜9>
磁性トナー1のかわりに比較用磁性トナー3〜5を使用する以外は、例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0589】
【表4】
Figure 0003919506
【0590】
【表5】
Figure 0003919506
【0591】
比較例3は、複写試験をはじめて15000枚後に帯電ムラに起因する画像不良が発生したため評価をするに至らなかった。比較例5は、複写試験をはじめて100枚後に像担持体のリークが発生し評価を中止した。
【0592】
また、例8および10を除いてはいずれの磁性トナーにおいてもゴースト・複写画像の裏面汚れもなく、像担持体、転写装置、定着装置の汚れもなく本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とのマッチングに優れるものであった。例8および10においては、定着装置の加圧ローラーにトナーが僅かに付着していたが、いずれも画像の裏面汚れは認められなかった。
【0593】
さらに、上記のの画像形成方法(装置)においてオゾン臭は認められなかった。
【0594】
<実施例26>
例1の画像形成装置におけるクリーナー、および導電性微粉体の塗布機構をはずした画像形成装置(いわゆるクリーナーレス)により、磁性トナー1を用いて例1と同様の評価を5万枚まで実施した。評価を開始するにあたり、帯電ローラーの表面に、塗布量がおよそ1×10個/mmで均一になるように前記導電性微粉体3を塗布した。また、そのときに像担持体と帯電方法のマッチングを評価するために、初期と5万枚複写後の像担持体上の電位の絶対値変化も評価した。
【0595】
さらに、5万枚複写後、帯電ローラー上で像担持体との当接部に対応する部分をテーピングし、観察したところ、微量の転写残トナーが確認されるものの、ほぼ白色の酸化亜鉛粒子(導電性微粉体1)で覆われており、介在量はおよそ2×105個/mm2であった。帯電部材と像担持体との当接部に介在している転写残トナーを走査型顕微鏡で観察したところ、表面を非常に粒径の細かい導電性微粉体が固着しているように覆われたような転写残トナーは観察されなかった。これらの結果を表6に示す。
【0596】
以下の実施例においては、現像剤に用いている導電性微粉体と同じものを帯電部材に塗布(評価開始時)・供給している。
<実施例27〜31>
実施例26において、磁性トナー1を各実施例において表6に示す磁性トナーに変える以外は、実施例26と同様に評価した。評価結果を表6に示す。
【0597】
<実施例32>
例7において、クリーナーおよび導電性微粉体塗布機構をはずした画像形成装置を用いる以外は、例7と同様に評価した。評価結果を表6に示す。
【0598】
<実施例33〜42>
実施例26において、磁性トナー1を各実施例において表6に示す磁性トナーに変える以外は、実施例26と同様に評価した。評価結果を表6に示す。
【0599】
<実施例43〜49>
実施例26の画像形成装置を用いて、設定を例18〜24の条件に変える以外は、実施例26と同様に評価した。評価結果を表6に示す。
【0600】
<比較例10〜14>
実施例26において、磁性トナー1を各比較例において表7に示す磁性トナーに変える以外は、実施例26と同様に評価した。評価結果を表7に示す。なお、比較例11においては、1000枚複写後に帯電不良が発生し悪化したため評価することが出来なかった。
【0601】
【表6】
Figure 0003919506
【0602】
【表7】
Figure 0003919506
【0603】
【発明の効果】
以上のように本発明の磁性トナーは、高濃度で転写性に優れ、像担持体上の電位が低い領域でも忠実に高精細な画像を与え、スリーブ、像担持体等への汚染も少ないものである。また、現像工程が像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねている画像形成方法、装置にも高度に適用される。
【0604】
本発明によれば、無機微粉末と導電性微粉体とを磁性トナー粒子の表面に有し、磁性体の遊離が少なく、平均円形度が0.950以上、より好ましくは0.970以上であり、所定の粒径を有する特殊な現像剤をアモルファスシリコン系の像担持体と組み合わせて用いることにより、高品位で解像性の高く、カブリや転写性の優れる画像が得られる。
【0605】
また、本発明の現像剤を用いて接触帯電方法及び磁性一成分現像方法から成る画像形成方法、及び接触帯電方式、当接転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材への転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせ、長期にわたる繰り返し使用においても、良好な画像を安定して得ることができる。
【0606】
また、接触帯電部材として簡易な部材を用いて、接触帯電部材の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期にわたり安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0607】
更に、長期の繰り返し使用にわたり、導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部に介在させることによる像担持体上の傷を大幅に減少でき、画像上の画像欠陥を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯電方式の違いによる感光帯電電位の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の一例である。
【図3】本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の他の一例である。
【図4】本発明の画像形成方法を実施するのに適した現像装置の一例を示す概略的説明図である。
【図5】本発明に用いられる像担持体の一例を示す模式的断面図である。
【図6】本発明に用いられる像担持体の他の一例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明に好適に用いられる接触転写部材の一例を示す図である。
【図8】本発明との比較用としての感光体の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体(像担持体)
T トナー(磁性トナー)
302 転写ローラー(転写手段)
306 一次帯電ローラー(帯電手段)
307 現像器(現像手段)
308a、308b 搬送ローラー
309a、309b 転写入り口ガイド
310 除電針
311 搬送ガイド
312 クリーナー
312a クリーニングブレード
312b スクリュー
313 定着器
313a 定着ローラー
313b 加圧ローラー
313c 定着ローラーの加熱部材
313d 定着ローラー表面温度検知素子
313e 定着ローラーバイアス印加電源
313f 定着分離爪
314 導電性微粉体塗布機構
L レーザー光
P 転写材
11a 磁性ブレード(層厚規制部材)
12 スリーブ(トナー担持体)
13 塗布磁性トナー
14 固定磁石ローラー
17 現像容器
19 感光ドラム(像担持体)
20 磁性トナー
21 交番電圧電源
201 導電性支持体
202 電荷注入阻止層
203 光導電層
204 表面層
205 電荷発生層
206 電荷輸送層
34a 芯金
34b 導電性弾性層
35 転写バイアス電源
100 感光ドラム(像担持体)

Claims (44)

  1. 像担持体を帯電部材により帯電させる帯電工程と、
    帯電した像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
    トナー担持体上に担持させた磁性トナーを前記静電潜像に転移させて静電潜像を現像して磁性トナー像を形成する現像工程と、
    像担持体上に形成された磁性トナー像を転写材に中間転写体を介して、又は、介さずに静電転写させる転写工程とを少なくとも含み、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法において、
    前記帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加して絶対値で250乃至600Vに像担持体を帯電させる工程であり、
    前記像担持体は、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層とを有し、
    前記現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねており、
    前記磁性トナーは、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有する磁性トナー粒子と、前記磁性トナー粒子表面に存在する無機微粉末及び導電性微粉体を少なくとも有し、重量平均粒径が3〜10μmであり、平均円形度が0.950から0.995であり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00%であり、
    前記導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量が0.2〜10質量%であり、
    前記磁性トナーが有する導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、転写工程の後もその一部が像担持体上に残留し、帯電部材と像担持体の当接部まで運ばれて、前記当接部に前記導電性微粉体が介在した状態で帯電工程が行われることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記像担持体が、絶対値で250乃至550Vに一次帯電されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記像担持体が、絶対値で250乃至500Vに一次帯電されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜50Am/kgであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から2.00%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から1.50%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から0.80%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  8. 前記磁性トナーの平均円形度が0.970から0.995であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. 前記磁性トナーのモード円形度が0.99以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  10. 前記磁性酸化鉄が、水系媒体中でカップリング剤を加水分解することにより表面処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  11. 前記磁性トナーは、一次平均粒径が4〜80nmの無機微粉末を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  12. 前記磁性トナーは、一次平均粒径が4〜80nmのシリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも一種の無機微粉末またはその複酸化物を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  13. 前記磁性トナーは、疎水化処理されている無機微粉末を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  14. 前記無機微粉末は少なくともシリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  15. 前記無機微粉末は少なくともシラン化合物及びシリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  16. 前記磁性トナーは、抵抗値が10Ω・cm以下であり、トナーの体積平均粒径よりも小さい非磁性導電性微粉体を、磁性トナー全体に対し0.2〜10質量%有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  17. 前記非磁性導電性微粉体の抵抗値が10Ω・cm以下であることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
  18. 前記磁性トナーが有する導電性微粉体は、少なくとも表面が金属酸化物であり、該金属酸化物の主金属に対し0.1〜5原子%の異原子を含有する金属酸化物であるか、または酸素欠損型の金属酸化物であることを特徴とする請求項16又は17に記載の画像形成方法。
  19. 前記磁性トナーは、トナー全体に対し0.1〜20質量%のワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  20. 前記ワックスの示差熱分析による融点の吸熱ピークが40〜110℃であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
  21. 前記ワックスの示差熱分析による融点の吸熱ピークが45〜90℃であることを特徴とする請求項19又は20に記載の画像形成方法。
  22. 前記像担持体を直接加温する手段を設けないことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  23. 前記像担持体が、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層と、この光導電層とは組成の異なる非単結晶材料で構成された最表面層とを有することを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  24. 前記像担持体の最表面層において、該最表面層が非単結晶水素化炭素膜よりなることを特徴とする請求項23に記載の画像形成方法。
  25. 前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体との当接部に10個/mm以上の導電性微粉体が介在した状態で像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項23又は24に記載の画像形成方法。
  26. 前記帯電工程は、当接部を形成する前記帯電部材の表面の移動速度と前記像担持体の表面の移動速度が、相対的速度差を有しつつ像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至25のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  27. 前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体が互いに逆方向に移動しつつ像担持体を帯電する工程であること特徴とする請求項1乃至26のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  28. 前記帯電工程は、アスカーC硬度が50度以下のローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至27のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  29. 前記帯電工程は、体積固有抵抗値が10Ω・cm〜10Ω・cmのローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至28のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  30. 前記帯電工程は、ローラー部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、該ローラー部材は少なくとも表面に球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、該窪みを空隙部としたローラー部材表面の空隙率が15〜90%であることを特徴とする請求項1乃至29のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  31. 前記帯電工程は、導電性を有するブラシ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  32. 前記帯電工程は、帯電部材に直流電圧、または直流印加における放電開始電圧をVthとしたときに2×Vth未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至31のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  33. 前記帯電工程は、帯電部材に直流電圧、または直流印加における放電開始電圧(Vth)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、実質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項1乃至32のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  34. 前記帯電工程は、介在する粒子が磁性粒子であることを特徴とする請求項26又は27に記載の画像形成方法。
  35. 前記帯電工程は、磁性粒子を磁気拘束し形成される磁気ブラシを該像担持体の表面に当接させ、該磁気ブラシに電圧を印加することにより該像担持体の表面を帯電させる磁気ブラシ帯電器により帯電する工程であることを特徴とする請求項26、27及び34のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  36. 前記磁性粒子の体積平均径は、10〜50μmであることを特徴とする請求項34または35に記載の画像形成方法。
  37. 前記磁性粒子の体積抵抗値は、1×10〜1×10Ωcmであることを特徴とする請求項34乃至36のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  38. 前記静電潜像形成工程は、像露光により像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込むことを特徴とする請求項1乃至37のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  39. 前記現像工程は、トナー担持体上に5〜50g/mのトナー層を形成し、トナー層からトナーを像担持体上に転移させ静電潜像を現像する工程であることを特徴とする請求項1乃至38のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  40. 前記現像工程において、該トナー担持体と対向して微小間隔をもって配設される強磁性金属ブレードによりトナー担持体上のトナー量を規制することを特徴とする請求項1乃至39のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  41. 前記現像工程は、像担持体とトナー担持体を対向させる間隙が100〜1000μmであることを特徴とする請求項1乃至40のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  42. 前記現像工程は、像担持体とトナー担持体との間隙よりも層厚が小さなトナー層をトナー担持体上に形成し、該トナー層からトナーを像担持体上に転移させ静電潜像を現像する工程であることを特徴とする請求項1乃至41のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  43. 前記現像工程は、トナーを担持するトナー担持体と像担持体の間に少なくとも交番電界を現像バイアスとして印加して像担持体の静電潜像を現像する工程であり、該交番電界はピークツーピークの電界強度で3×10〜1×10V/m、周波数100〜5000Hzであることを特徴とする請求項1乃至42のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  44. 前記転写工程は、転写部材が転写時に転写材を介して像担持体に当接して、像担持体上のトナー像を転写材に転写する工程であることを特徴とする請求項1乃至43のいずれか一項に記載の画像形成方法
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