JP3917362B2 - 精密成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、精密成形品の成形用装置及び成形方法に関するものであり、成形金型内キャビティの内圧の均一化を容易に促進して、精密成形品の品質を向上させることができるものであって、光学素子などの精密成形品、高精度な機能部品一般の製造にきわめて有効なものである。
【0002】
【従来の技術】
光学素子などの精密部品は生産性やコストなどの面からプラスチック化が進展し、近年ますます高精度化が求められてきている。そのため従来の射出圧縮成形などでは必要な成形精度が得られにくくなってきており、樹脂ブランクの一部または全体をガラス転移点以上に加熱した後圧縮する成形方法(特開平8−127077号公報、特開平11−221834号公報)などが光学素子等の精密成形品の成形法として開発・利用されてきている。
上記特開平8−127077号公報に記載されたものは、上型と下型とで形成されるキャビティで加熱加圧成形する方法において、光学素材の温度・変形速度を規定(Tg+15〜Tg+40℃の温度範囲で、1.5〜15kg/cm2の圧力。Tg:ガラス転移点)して加圧変形させるものであり、また、特開平11−221834号公報に記載されたものは、光学プリズムのプレスモールド成形方法において、予備成形体の形状及びプレスモールド時の成形温度及び圧力範囲を規定(Tg+20〜Tg+90℃の温度範囲で、10〜200kg/cm2の圧力)してプレスモールドするものである。
【0003】
これらの成形法は、1)キャビティ内に樹脂ブランクを供給して型を閉じ、型を高温にして樹脂を溶融・流動させた状態で圧縮しキャビティ形状を転写する成形法であるが、これには以下のような不具合があり、また、キャビティが完全に閉じた空間であるので樹脂量のばらつきがそのまま成形品の形状差となって現れるため、使用ブランクの重量許容幅が小さくコストアップを招きやすく、さらに、長尺成形品などでは圧力分布が生じて形状精度が悪化しやすいので、これを低減するのに樹脂をかなり高温まで加熱して流動性を増す必要が生じるため、バリ等の不具合が発生しやすく、また高温にする分だけ成形サイクルが長くなってしまう。
他に、特公平6−20782号公報(プレス成形機のプレス力保持工程制御方法)に記載されたものがあり、このものは、溶融樹脂をプレスする成形方法において、プレス力保持工程後に圧力制御弁を制御してプレス保持力を減衰させるものであり、また特開平9−104025号公報(熱可塑性樹脂のプレス成形方法)に記載されたものは、可塑性樹脂のプレス成形方法において、圧縮動作の速度を規定しているものである。さらに、特開2000−61969号公報(塑性流動体を利用した積層成形方法及びその金型構造体)に記載されているものは、積層成形品をプレス成形する成形用金型において、塑性流動体のオーバーフロー通路を金型の外側面に通じるように設けたものであり、また、特開平9−267344号公報(プレス成形方法およびプレス成形用金型)に記載されているものは、スタンパブルシートのプレス成形において、雄型と雌型の所定の隙間(オーバーフロー部)から樹脂を漏れ出させ、漏れ出た樹脂を型が締め切られるときに挟んで切断するものである。そして、上記公報に、その従来技術として、0.05〜0.3mmの隙間を全周にわたって設け、ガス及び余分な樹脂を押し出す方法が記載されている。
さらにまた、特公平1−39337号公報(プラスチックレンズの製造方法)に記載されたものは、射出成形法によるレンズ素材を、金型内で表面近傍のみ溶融流動化させて後、圧縮成形するものである。
【0004】
他方、高い精度が得られ難い長尺成形品のような精密成形品の成形用ブランクの重量・形状にばらつきがある程度あっても、高精度の成形品が得られるようにするための成形法として、圧縮成形において加熱工程終了後からガラス転移点以下に冷却される間に樹脂の一部を金型に非接触な状態にする成形法を開発してきた(特願2000−47574号)。
これは樹脂と金型が非接触な部分を大きく設けて樹脂圧力を開放させることで、長尺成形品のように圧力ばらつきが生じやすい形状でも圧力分布を均一化して成形することができ、その結果、形状精度が良く内部ひずみの少ない精密成形品が得られるものである。また、この工法の場合樹脂ブランクの形状ばらつきに対する感度が鈍いため、樹脂ブランクの形状ばらつきあるいは重量ばらつきの許容幅が上記従来法よりも格段に大きいことが特長である。従来の常識では、このように非接触部を大きく設けると成形時の圧力損失が大きすぎて、形状転写が出来ないように考えられるが、実際に成形を行ってみると複雑な形状でなければ面転写に必要なレベルの圧力は十分発生させることが出来るのである。
【0005】
しかし、この成形法の適用対象品を様々な形状のものに拡大してゆくにつれて、以下のようにその効果が不十分な場合があることが判明してきた。
特に非機能面がキャビティ内で金型に非接触状態である場合、圧力分布はかなり低減できるが、機能面部の形状が複雑であるものや小断面積の精密成形品などにおいては面転写に必要な圧力を全域で確保できない場合がある。
また、薄肉、小断面積な精密成形品ではブランクの密度分布あるいは形状ばらつきが圧力分布に大きく影響するので、圧力分布の均一化が不十分な場合がある。したがって、その分だけブランクの精度を高める必要があり、コスト高となってしまう。また、圧力分布均一化のため圧縮時の金型温を高くすると圧力損失が大きく、形状転写に必要な圧力が確保できなかったり、また、成形サイクルが長くなる等の問題がある。
さらに、プレス成形方法において、金型の一部に設けたオーバーフロー部から余分な溶融樹脂を逃がすもの(例えば、特開平9−267344号公報、特開2000−61969号公報)があることは上記のとおりであるが、こうした成形法はいずれも供給した樹脂のうち余分な樹脂を成形中に除去できる効果を有するが、高精度な精密成形品を成形する方法として確立されておらず、また長尺精密成形品等において圧力分布を均一化させるには以下の問題点が存在し、また、一部から樹脂を逃がすため、オーバーフロー部に近い部分と遠い部分で圧力差が生じ、均一化が不十分になりやすく、これを解消するにはオーバーフロー部を細くし、かつ金型温をあげて樹脂の流動性を高くする必要があるが、このようにすると、成形サイクルが非常に長くなってしまうことになる。さらに、樹脂を逃がす部分が広範囲であるので、圧力分布を均一化しやすいが、隙間が薄いのでやはり圧力均一化のためには型を高温にする必要があり、それだけ成形時間が長くなってしまう。また、広範囲に非常に大きなバリが発生するので、バリ取り加工が大変で成形コスト増となるという問題もある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、上記の問題点を解決し、精密成形品の中でも全域にわたっての形状精度を確保するのが困難な長尺成形品、小断面積成形品、薄肉成形品あるいは形状が複雑な成形品や非常に高い形状精度が求められる精密成形品を、短い成形サイクルで得るための成形装置及び成形方法を工夫することをその課題とするものであり、さらに具体的には、単に樹脂表面が溶融した状態で圧縮して形状を転写させるだけでなく、(1)いかに樹脂の圧力分布を均一化するか、(2)いかに均一に形状転写に必要な圧力を発生させるか、(3)いかに内部応力を低減して離型後の変形を抑えるかを、その課題とするものである。
【0007】
【課題解決のために講じた手段】
【解決手段1】
解決手段1は、いかに樹脂の圧力分布を均一化するかの課題の解決手段であり、
一対の金型あるいは複数の金駒からキャビティが構成され、可動型あるいは可動金駒が移動することによりキャビティ内樹脂を圧縮可能な構造であり、成形最終時点(成形品離型時)のキャビティ構成を備えた精密成形品の成形装置を前提として、
上記キャビティ縁部の少なくとも50%以上の範囲に少なくとも0.3mm以上の隙間を介在させ、該隙間から成形中樹脂がはみ出し可能にしたことである。
なお、上記隙間は、望ましくは0.5mm以上である。
【0008】
【作用】
キャビティ縁部の上記範囲に隙間を介在させ、該隙間から成形中樹脂がはみ出し可能にした成形装置であるため、樹脂に一定時間以上圧縮力を加えた際に樹脂ブランクの仕様値より厚い部分又は高密度な部分は仕様値より薄い部分または低密度な部分よりも一時的に高圧が発生してより多くの樹脂がはみ出すことになり、その結果、自動的に樹脂内の圧力分布が均一化される。そして圧力分布が均一化された後にさらに高い圧縮力を加えて均一に高圧を発生させて形状を転写するため、高精度な形状精度を有する精密成形品を製造することができる。
なお、実際に全体の圧力分布を均一化させるためには、隙間を介在させる範囲をできるだけ広範囲にし、また、一定量以上の樹脂をはみ出させる必要があるため、キャビティ縁部の少なくとも50%以上の範囲に少なくとも0.3mm以上隙間が必要となる。
【0009】
【実施態様】
この実施態様は、上記成形最終時点のキャビティ構成において、成形品機能面に対応する該キャビティ表面のいずれの位置においても少なくとも30mm以内の距離に樹脂がはみ出し可能なキャビティ隙間を存在させたことである。
なお、上記距離は、望ましくは20mm以内である。
【0010】
【解決手段2】
(請求項1及び請求項3に対応)
解決手段2は、いかに均一に形状転写に必要な圧力を発生させるかの課題の解決手段であり、上記解決手段1による精密成形品の成形装置による成形方法を前提として、次の工 程(1)〜(3)または(1)〜(4)によって構成されるものである。
(1)上記キャビティ内に存在する樹脂の少なくとも一部を該樹脂のガラス転移点以下からガラス転移点以上に昇温した後、再びガラス転移点以下に冷却すること。
(2)該昇温工程中またはそれ以降に、可動型あるいは可動金駒を移動させることによりキャビティ内樹脂に圧縮力を加えて一定時間保持し、該キャビティ隙間から樹脂をはみ出させること(圧力分布均一化)。
(3)上記(2)の工程の後に、さらに高い圧縮力を加えて機能面を転写すること(形状転写精度確保)。
(4)上記(3)の工程の後に、圧縮力を低減すること(圧力低減及び内部応力開放)。
【0011】
【作用】
上記(1)〜(4)の工程の作用は以下の通りとなる。
(1)樹脂を一度粘性の低いガラス転移点以上に加熱して圧縮力を加えることで、実際に樹脂の変形、はみ出しが可能であり、圧力分布均一化及び形状転写が行われる。また、最終的にガラス転移点以下に十分冷却してから離型することにより離型時の変形を抑え高精度な成形品を得ることが出来る。
(2)可動型あるいは可動金駒を移動させることにより実際に樹脂に圧縮力を加えることが可能となる。そして、これにより樹脂がはみ出し可能な成形装置において該昇温工程中またはそれ以降に一定時間圧縮力を加えることで、樹脂ブランクの仕様値より厚い部分または高密度な部分は、仕様値より薄い部分または低密度な部分よりも一時的に高圧が発生してより多くの樹脂がはみ出すので、樹脂のはみ出し量が多い部分の圧力がより低下して自動的に樹脂内の圧力分布が均一化される。
(3)圧力分布が均一化された後にさらに高い圧縮力を加えるので、形状転写に必要な圧力を均一発生させることが出来て、高精度に形状が転写される。
(4)上記(3)の工程の後に圧縮力を低減することにより、冷却速度を上げた場合にも離型時の圧力を一定圧力以下に抑えられ、内部応力も少ない状態で離型されるため、離型時及び離型後の変形が少なく内部応力の少ない成形品が短い成形サイクルで安定して得られる。
【0012】
【実施態様1】
(請求項4に対応)
この実施態様1は、解決手段2の上記(2)乃至(4)の工程における該キャビティ内樹脂の最高温度を樹脂のガラス転移点に対して3℃から25℃高い温度にしたことである。
なお、上記キャビティ内樹脂の最高温度は、樹脂のガラス転移点に対して望ましくは、5℃から15℃高い温度である。
【0013】
【実施態様2】
(請求項5に対応)
実施態様2は、解決手段2の上記(2)の工程において、1MPa以上20MPa以下の圧縮力を10秒以上維持することである。
【0014】
【実施態様3】
(請求項6に対応)
実施態様3は、解決手段2の上記(3)の工程において、3MPa以上30MPa以下でかつ上記(2)の工程での最高圧力よりも少なくとも2MPa以上高い圧力を5秒以上維持することである。
【0015】
【実施態様4】
(請求項7に対応)
実施態様4は、解決手段2の上記(4)の工程において、1MPa以上20MPa以下で、かつ上記(3)の工程での最高圧力よりも少なくとも2MPa以上低い圧力まで低減することである。
【0016】
【実施態様5】
(請求項8に対応)
実施態様5は、解決手段2の上記(2)乃至(4)の工程中に該キャビティ隙間から樹脂のはみ出す量が、成形最終時点でのキャビティ体積の1%以上40%以下になるようにすることである。
なお、上記該キャビティ隙間から樹脂のはみ出す量は、望ましくは成形最終時点でのキャビティ体積の3〜20%である。
【0017】
【実施態様6】
(請求項9に対応)
実施態様6は、解決手段2による成形方法について、上記可動型または可動金駒を予め設定された条件に基づきその位置または速度を制御して前進させることで上記キャビティ内樹脂に圧縮力を加えることである。
【0018】
【実施態様7】
(請求項10に対応)
実施態様7は、解決手段2による成形方法について、上記キャビティ内の樹脂圧力、または上記可動型あるいは可動金駒に加わる力を検知して、その検知した情報及び予め設定された圧力条件に基づき該可動型または可動金駒を前進または後退させることで、上記キャビティ内樹脂に圧縮力を加えることである。
【0019】
【解決手段3】
(請求項11に対応)
解決手段3は、いかに内部応力を低減して離型後の変形を抑えるかの課題の解決手段であり、上記解決手段2を前提として、上記(4)の工程において上記可動型あるいは可動金駒を10秒以上停止させ、キャビティ隙間から樹脂をさらにはみ出させてキャビティ内樹脂圧力を低減させることである。
【0020】
【作用】
樹脂に高圧を発生させて形状転写させた後、まだ樹脂温度が高い段階で可動型または可動駒を一定時間停止させることで、さらにキャビティ隙間全体から樹脂がはみ出し圧力分布はほぼ均一に保たれた状態で全体の圧力が自動的に低下する。その結果、内部応力が低減し、離型時の圧力を抑え離型時及び離型後の変形の少ない高精度な成形品を得ることが出来る。また停止時間の増減により圧力降下幅が変わるので離型時の圧力を調整することが出来る。ただし、実際に樹脂をはみ出させて圧力降下の効果を得るには10秒以上必要となる。
【0021】
【解決手段4】
(請求項12に対応)
解決手段4は、いかに内部応力を低減して離型後の変形を抑えるかの課題の解決手段であり、上記解決手段2を前提として、上記(4)の工程において上記可動型あるいは可動金駒を後退させてキャビティ内樹脂圧力を低下させることである。
【0022】
【作用】
樹脂に高圧を発生させて形状転写させた後、まだ樹脂温度が高く樹脂の粘性が低く型または駒の動きに追随出来る段階で可動型または可動駒を後退させることで、樹脂全体の圧力が速やかに低減される。その結果、内部応力が低減し、離型時の圧力を抑え離型時及び離型後の変形の少ない高精度な成形品が得られる。
【0023】
(削 除)
【0024】
(削 除)
【0025】
【実施態様1】
(請求項13に対応)
この実施態様1は、解決手段2乃至解決手段4の成形方法の実施態様であり、離型時のキャビティ内樹脂圧力の最大値を0.3MPa〜10MPaにしたことである。
なお、上記キャビティ内樹脂圧力の最大値は、望ましくは0.5MPa〜5MPaである。
【0026】
【実施態様2】
(請求項14に対応)
この実施態様2は、解決手段2乃至解決手段4の成形方法の実施態様であり、離型時のキャビティ内樹脂の最高温度を樹脂のガラス転移温度に対して3℃〜30℃低い温度にしたことである。
なお、離型時のキャビティ内樹脂の最高温度は、樹脂のガラス転移温度に対して、望ましくは5℃乃至20℃低い温度である。
【0027】
【実施態様3】
(請求項15に対応)
この実施態様3は、解決手段2乃至解決手段4の成形方法の実施態様であり、略最終成形品形状の樹脂ブランクを上記キャビティ内に挿入して圧縮成形を行うことである。
【0028】
【実施態様4】
(請求項16に対応)
この実施態様4は、解決手段2乃至解決手段4の成形方法の実施態様であり、溶融された樹脂を開放状態のキャビティ上または閉鎖状態のキャビティ内に供給した後に圧縮成形を行うことである。
【0029】
【実施の形態】
次いで、図1、図2を参照しつつ、実施例1、実施例2について説明する。
この実施例1、実施例2による成形対象は、図1に示す長尺レンズ1であり、そのサイズは5mm×5mm×80mmであり、その樹脂材料は、ポリオレフィン樹脂(ガラス転移点:140℃)である。図1に示す長尺レンズ1は図2(a)に示す成形装置で成形されて取り出されたままのものである。この成形装置2の固定金駒3と可動金駒4によって形成されたキャビティ5の縁部には、成形品の長手方向両端部を除いた全範囲にキャビティ隙間6が存在しており(全体のうちの90%以上)、成形最終時のキャビティ隙間が0.9mmになるまで可動金駒4が押し下げられて圧縮される。したがって、成形品の両側面部に約0.9mmの厚さの樹脂はみ出し部7が形成されることになる。成形品の機能面(レンズ面)の転写加工は可動金駒を移動による上記圧縮動作によって行われる。また、成形装置の加熱は装置内に設置したヒーター(図示せず)によって行われる。
【0030】
【実施例1】
〔方法〕
予め射出成形により成形した略最終形状のブランクを成形装置に挿入して型を閉じ、樹脂表面をガラス転移点(Tg)以上に加熱した後冷却し、樹脂がガラス転移点以下の温度まで十分に冷却された時点で成形品を離型して取り出す。ここではキャビティ5を最大152℃(Tg+12℃)まで昇温させ、離型は128℃(Tg−12℃)で行った。また昇温速度は約15℃/分、冷却速度は4℃/分とした。
昇温がほぼ完了した時点で可動金駒を移動して樹脂圧縮を開始する。それ以降は以下の順で可動金駒を移動させて樹脂の圧縮及び圧力調整を行う。なお、可動金駒の圧力制御は装置内に埋め込まれた圧力センサーで検知した樹脂圧力情報をフィードバックすることにより行う。
1)キャビティ内に圧力が発生する位置まで金駒を前進させた後、圧力制御して3MPaの圧力を20秒間保持する。比較的低圧で一定時間保持することにより、キャビティ全体に樹脂を確実に充填させ、圧力分布を均一化させる。ブランクに形状ばらつきが存在した場合も他より厚い部分は他に比べて一時的に強く加圧され、その樹脂が多く押し出されるため自動的に圧力分布が均一化される。なお、キャビティ隙間6の幅は樹脂がはみ出すにつれ徐々に小さくなっていくがこの時点で約1.5mmである。
2)次いで圧力制御して10MPaの圧力を10秒間保持する。樹脂内圧力分布がほぼ均一化された時点で機能面に対して均一に高圧が係るので、局所的な歪みのない状態で確実に光学面の転写がなされる。
3)次いで圧力制御して6MPaに圧力を低下させた状態を15秒間保持する。離型時に残圧が所定の圧力範囲になるように、ここで圧力を低減しておくとともに、ガラス転移点以下に冷却する前に低圧にすることで、全体的な内部応力を小さくしておく。
4)次いで位置制御して、成形品形状仕様と使用樹脂の収縮率及び離型時キャビティ温度から算出される規定の位置まで該可動型あるいは可動金駒を移動させる。ここでは結果的に若干の前進となり、最終的なキャビティ隙間は0.9mmとなった。
5)この後,樹脂の冷却による収縮とキャビティ隙間からの若干の樹脂はみ出しにより圧力が自然に低下し、離型時の圧力は約1MPaとなった。
そして、最終的な樹脂のはみ出し量はキャビティ体積に対して約5%となった。
なお比較例として、金駒形状を変更した図2(b)に示すような成形用装置を使用して、キャビティ隙間の生じない完全に閉じたキャビティ空間の中で圧縮成形実験を行った。基本的な温度及び圧力パターンは図2(a)に示す実施例1と同じであるが、この場合、同じ成形温度パターンでは圧力分布がほとんど低減されなかったので、成形中の最高温度を170℃(Tg+30℃)まで上げて成形を行った。
【0031】
〔結果〕
大きなキャビティ隙間から樹脂をはみ出させて圧力均一化を行い、均一な圧力で形状転写し、さらに圧力を適切にコントロールして内部応力が小さくかつ十分に冷却された状態で離型することで、高精度で安定した品質の成形品が得られた。
具体的には、離型後の変形も少なく、成形品端部まで確実に形状精度が得られた。これに対して、比較例では特に端部で精度が安定しにくく、歩留まりが悪かった。
また、厚さが5%程度異なるブランクを用いて成形を行ってもほぼ同精度の成形品が得られ、ブランク精度の許容範囲が従来法に比べ格段に広い(比較例では0.5%程度であった)。
また、成形品は高精度であり、ばらつきが非常に少ない。これは樹脂圧力及び金駒位置を共に制御しているためと考えられる(因みに、従来例では金駒または可動型の最終位置制御はもっとも前進した位置に突き当てて行っていたか、あるいは規定の圧力になるように圧力制御していた。したがって、前者では離型時の残圧が大きく、かつ成形ごとに残圧が変動するため離型後の収縮または変形にばらつきを生じて、成形品高さにもばらつきが生じていた。また後者についても残圧は一定となるものの最終的な可動金型または可動金駒の位置自体が使用ブランクにより変動するために成形品の精度にもばらつきが生じていた)。
また、成形品は内部応力が小さく、複屈折が少ない。
また、成形時の樹脂の最高温度がTg+12℃と従来例(特開平8−127077号公報、特開平11−221834号公報の従来例)に比べ低い温度で成形できた。これは成形サイクル短縮につながると同時に予期せぬ部分でのバリの発生を抑えて成形装置の寿命を延ばすことができる。
また、最高温度をTgからTg+30℃まで変えて成形実験を試みたところ、Tg+5℃からTg+20℃の範囲では安定して高精度な成形品を得ることができ、また、Tg+3℃以下では面転写性の悪化が見られ、またTg+25℃以上では樹脂はみ出しによる圧力損失が大きすぎて形状転写に必要な圧力を全面にわたって確保することができなかった。ただし、成形温度を上げるほど樹脂の流動性が増して圧力損失が大きくなるため、より厚いブランクを使用して実験を行った。
上記従来例では特開平8−127077号公報のものでTg+15℃〜Tg+40℃、特開平11−221834号公報のものでTg+20℃〜Tg+90℃とされており、これらの成形法よりも成形温度を下げ成形サイクルを短くできると同時に予期せぬ部分でのバリの発生を抑えて成形装置の寿命が伸びる効果がある。
離型時の樹脂温度については、余りガラス転移点に近い温度であると、樹脂がまだ軟らかい離型時に若干の変形が生じ、また余りに低い温度まで型内で冷却すると成形サイクルが長くなってしまうのと、かえって内部歪が生じて複屈折や変形の原因になるため、少なくともガラス転移温度より3℃から30℃低い温度範囲が必要であり、安定した成形を行うにはガラス転移点より5℃から20℃低い温度範囲が望ましいことを確認した。
圧力範囲についても変更して実験を行った。圧力分布均一化工程(請求項1の工程(2))での圧縮力を2MPa〜15MPaにすることにより、樹脂をはみ出させて安定して全体の圧力分布を均一化できることが確認された。1MPa以下では樹脂のはみ出し量が少ないため、ブランクの形状ばらつきが大きいと対応できず、また20MPa以上であると必要以上に樹脂のはみ出し量が多くコストアップ要因になることと、高圧に耐えるよう装置を大型化する必要が生じてコストアップ要因になること、そして内部応力が大きくなることなどから条件として適さない。
また、形状転写工程(請求項1の工程(3))では安定して転写するのに3MPa以上必要であり、また圧力分布均一化工程よりも高圧にする必要があることが確認された。少なくとも2MPa程度の増圧が必要であり、これによって形状転写と同時にさらなる圧力分布低減効果が得られる。なお、成形品の形状が複雑であるほど高圧にし、あるいは高温にして、転写しやすくする必要があるが、30MPa以上にすることは先述した理由と同様にはみ出し樹脂量の低減及び成形装置の小型化、耐久性向上及び内部応力低減の観点から適当ではない。
なお、離型後の変形を防ぎ、内部ひずみも少ない成形品を得るために離型時の残圧として0.5MPaから5MPa程度、少なくとも0.3MPa以上10MPa以下の範囲が適当であることが確認された。そこで、形状転写工程で比較的高圧を発生させ、かつ冷却時間を長くすることなく離型時の残圧を上記範囲にし、同時に内部応力を全体的に低減するため、形状転写工程直後の圧力低減工程(請求項3の工程(4))では、樹脂圧力を2MPaから15MPa以下の範囲に下げることが適当であることが確認された。冷却中も圧力は徐々に低下するので圧力条件は冷却時間や成形品形状によっても若干変わるが、少なくとも1MPa以下にすると離型時の残圧が上記範囲から外れてヒケが発生しやすくなり、また20MPa以上であると離型時残圧が大きくなり残留応力により離型後に変形が生じやすく、複屈折が大きくなるなどの不具合が生じ、また、冷却時間を延ばすことにより成形サイクルが大幅に長くなるという問題が生じる。
また圧力を付加する時間についても条件を振って成形を行ったが、上記の作用効果を確実に発揮させるには形状転写工程で最低5秒以上、圧力均一化工程で最低10秒以上が必要であることが判明された。
キャビティ隙間についてもその影響を調べる成形実験を、最初の圧力均一化工程で同程度の圧力が発生するようにブランク厚みも同時に変化させながら実施したところ、少なくとも0.3mm以下の幅にすると薄いバリが大きく伸びてしまい、カットせざるを得なくなって、コストアップにつながること、圧力開放がし難いため、内部応力が大きく発生し残ってしまうこと、あるいはそのための対策として成形温度を上げる必要が生じ成形サイクルが長くなることなどの不具合が発生するため、少なくとも0.3mm以上、望ましくは0.5mm以上の幅を確保するのが適当であることがわかった。
【0032】
【実施例2】
〔方法〕
実施例2は実施例1と同じ成形装置、同じ温度条件で同じ成形品を成形したものである。ただし、実施例1に対し、可動金駒の移動は位置及び速度を制御しての段階制御で行い、圧縮工程を以下のように実施した。
1)キャビティ内に圧力が発生する位置まで金駒を前進させた後、速度を約半分に落とし規定位置まで前進させ、3秒停止させる。具体的にはこの間2.5〜3.5MPaの圧力で20秒間保持できるように位置及び速度を調節している。
これにより実施例1の工程1)と同様に圧力分布が均一化される。
2)次いで次の規定位置まで速度を制御して前進させ、3秒停止させる。ここでもこの間に9.5〜10.5MPaの圧力を10秒間保持できるようにあらかじめ位置及び速度条件を規定した。これにより、実施例1の工程2)と同様に局所的な歪みのない状態で確実に形状が転写される。
3)次いで上記2)の最終位置で20秒間保持する。高温状態でキャビティ隙間が0.7mm程度の樹脂がはみ出して圧力開放できる状態で一定時間保持することで、圧力を8MPaまで低減し、全体的な内部応力を低減している。
4)次いで位置制御して、成形品形状仕様と使用樹脂の収縮率及び離型時キャビティ温度から算出される規定の位置まで該可動型あるいは可動金駒を移動させる。ここでは後退させているため、同時に樹脂圧力を2MPa程度低減し6MPa程度にしている。このように金駒を後退させて樹脂圧力を低減することは上記3)の工程のように樹脂を高温ではみ出させて圧力を低減する方法及び冷却時間を延長して離型時までの圧力低下幅を増やす方法よりも直接的に速く圧力を低減できるため、成形サイクルを犠牲にすることなく形状転写工程で高圧を発生させかつ離型時の残圧を低減して、高精度な成形品を成形することが可能になる。
ただし、余り急激に金駒を後退させると樹脂が追随できず、かえって圧力分布や内部応力が生じて成形品精度の悪化を招く場合があるので条件設定には注意が必要である。
5)この後、樹脂の冷却による収縮とキャビティ隙間からの若干の樹脂はみ出しにより圧力が自然に低下し、離型時の圧力は実施例1と同様に約1MPaとなった。
最終的な樹脂のはみ出し量はキャビティ体積に対して実施例1と同様に約5%となった。
【0033】
〔結果〕
大きなキャビティ隙間から樹脂をはみ出させ圧力均一化を行い、均一な圧力で形状転写し、さらに圧力を適切にコントロールして内部応力の小さい状態で離型することで、実施例1と同様に従来例に比べて高精度で安定した品質の成形品が得られた。
基本的には可動金駒移動の制御方法を圧力制御から位置及び速度の段階制御に変更しただけであり、あらかじめ所望の圧力パターンになるように金駒移動のプログラムを組むことにより、同様の圧縮効果を得ることができるので、得られる成形品の精度もほぼ同等となる。
また、実施例2では実施例1と異なり、高温状態で金駒位置を停止し、樹脂をはみ出させて圧力を低減する工程を実施しているが、この工程は樹脂にとって自然な状態で圧力を低減しているので同時に内部応力が低減でき、内部歪や複屈折の少ない精密成形品を得る工程として有効である。
ただし、この工程だけで圧力を低減しようとすると成形時間が長くなってしまうので、金駒位置を後退させて圧力を直接的に低減する方法と併用すると成形サイクルを犠牲にすることなく効果的に離型時の圧力を最適化できる。
【0034】
【実施例3】
この実施例1、実施例2による成形対象は、図5に示す2次元レンズアレーである。この2次元レンズアレー51は、直径3mmのレンズが5mmピッチで15面×15面並んだものである。ただし、図5、図6には簡略化のため3面×3面で図示してある。このレンズアレー51の樹脂材料はポリオレフィン樹脂(ガラス転移点Tg:140℃)である。
実施例3による成形装置を模式的に図6に示してあるが、図示のように樹脂逃げ部が各レンズキャビティ周囲に縦横に溝状に設定されて、格子状になっており、良好にガスが逃げるように溝は外部に連通している。また溝幅は1mm、上下金型52,53間で形成される成形最終時のキャビティ隙間も1mmである。
成形装置の加熱は装置内に設置したヒーター(図示せず)により行う。
【0035】
〔成形方法〕
温度条件、圧力条件を実施例1とほぼ同様とし、可動型移動は最終位置停止を除き圧力制御で行った。離型時の最終圧力は約2MPaとなり、最終的な樹脂はみ出し量はキャビティ体積に対し約6%であった。
【0036】
〔結果〕
特に2次元レンズアレーの成形では各レンズの形状精度ばらつきを極力抑える必要があり、これまで安定して高精度に成形するのは困難であったが、大きなキャビティ隙間から樹脂をはみ出させて圧力均一化を行い、均一な圧力で形状転写し、さらに圧力を適切にコントロールして内部応力が小さい状態で離型することで、高精度で安定した品質の成形品が得られた。
シートをプレスし、結果的にシート端部の樹脂をはみ出させる成形法はこれまでも存在するが、特に2次元レンズアレーのような高精度精密成形品において内部の圧力分布を十分に均一化させて高精度な成形を行うには本発明のように各々の機能面の近傍に樹脂逃げ部を設け、かつ本発明のような温度及び圧力工程を経ることが、高精度精密成形のためにきわめて有効である。
以上、実施例1、実施例2、実施例3では、それぞれ特定の成形方法で成形を行っているが、樹脂表面に金型との非接触部を設けて、本発明の成形方法を実現できればよいのであるから、いずれの場合も溶融樹脂充填成形でも、ブランクを使用した加熱圧縮成形でも良い。
また、樹脂もポリオレフィン樹脂に限らず本成形方法が応用できるものならば熱可塑性樹脂あるいはその他の樹脂でも良い。
さらに、対象精密成形品、成形品形状についても、本成形法が適用可能なものであれば、光学部品には限られない。
【0037】
【発明の効果】
この発明の作用効果を、主な請求項に係る発明毎に整理すれば次のとおりである。
【0038】
(削 除)
【0039】
(削 除)
【0040】
1.請求項1及び請求項2の精密成形品の成形方法は、キャビティ隙間から樹脂をはみ出させてキャビティ内の圧力分布を均一化したのち、均一に機能面に高圧を発生させて確実に形状を転写し、十分に冷却された後に離型するので、従来高精度化が困難であった形状の精密成形品においても、形状精度の良い高精度な成形品を安定して製造することができ、また樹脂ブランクを使用する成形において、ブランクに形状及び重量ばらつきが存在した場合も、他より厚い部分は他に比べて一時的に強く加圧され、樹脂が多く押し出されて自動的に圧力分布が均一化されるため、樹脂ブランクの重量及び形状ばらつきに対する許容幅を広げ生産性を向上させることができるという作用効果を発揮することができる。
【0041】
2.請求項3の精密成形品の成形方法は、機能面に高圧を発生させて確実に形状を転写した後に、樹脂内の内部応力を低減して十分に冷却されてから離型するので、従来高精度化が困難であった形状の精密成形品においても内部応力が小さく、形状精度の良い高精度成形品を短いサイクルで安定して製造することができる。
【0042】
3.請求項4の温度条件で成形することにより、樹脂の流動性とキャビティ隙間のバランスが最適となるため、実際に上記作用効果を発揮することができる。
【0043】
4.請求項5の圧力条件で成形することにより、キャビティ隙間から樹脂がはみ出してキャビティ内の圧力分布が均一化され、実際に上記作用効果を発揮することができる。
【0044】
5.請求項6の圧力条件で成形することにより、確実に機能面の形状が転写され、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0045】
6.請求項7の圧力条件で成形することにより、樹脂内の内部応力が全体として低減され、かつ成形サイクルを犠牲にすることなく離型時の圧力を最適化できるので、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0046】
7.請求項8の条件で成形することにより、実際にキャビティ内の樹脂圧力分布が低減され、上記の作用効果を発揮することができる。
【0047】
8.請求項9の制御方法でキャビティ内樹脂に圧縮力を加えることにより、キャビティ内樹脂に最適なパターンで圧力を加えることができ、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0048】
9.請求項10の制御方法でキャビティ内樹脂に圧縮力を加えることにより、単純な制御装置でキャビティ内樹脂に最適なパターンで圧力を加えることができ、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0049】
10.請求項11の条件で成形することにより、実際にキャビティ内の樹脂圧力分布及び全体的な内部応力が低減され、上記の作用効果を発揮することができる。
【0050】
11.請求項12の制御条件で成形することにより、実際にキャビティ内の樹脂圧力分布及び全体的な内部応力が低減され、上記の作用効果を発揮することができる。
【0051】
(削 除)
【0052】
(削 除)
【0053】
12.請求項13の圧力条件で成形することにより、離型時及び離型後の変形を少なくし、樹脂内の内部応力を低減できるので、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0054】
13.請求項14の温度条件で成形することにより、離型時及び離型後の変形を少なくし、樹脂内の内部応力を低減できるため、実際に上記の作用効果を発揮することができる。
【0055】
14.請求項15の成形方法で成形することにより、供給される樹脂があらかじめ最終成形品形状に近いので圧力分布均一化が容易であり、短い成形サイクルで上記の作用効果を発揮することができる。
【0056】
15.請求項16の成形方法で成形することにより、1つの成形工程のみで高精度な精密成形品を得ることができ、生産性をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1、実施例2の長尺レンズの斜視図である。
【図2】(a)は、実施例1、実施例2の成形装置におけるキャビティの周辺を模式的に示す断面図であり、(b)は比較例(従来例)の同断面図である。
【図3】は、実施例1の成形方法における、圧力制御での温度・圧力及び金駒位置制御パターンのグラフを示す図である。
【図4】は、実施例2の成形方法における、位置及び速度制御での温度・圧力及び金駒位置制御パターンのグラフを示す図である。
【図5】は、実施例3の2次元レンズアレーの斜視図である。
【図6】は、実施例3の2次元レンズアレー成形装置の模式的な解斜視図である。
【符号の説明】
1:長尺レンズ
2:長尺レンズの成形装置
3:固定金駒
4:可動金駒
5:キャビティ
6:キャビティ隙間
7:樹脂はみ出し部
51:2次元レンズアレー
52:可動金駒
53:固定金駒
54:樹脂はみ出し部
Claims (16)
- 一対の金型あるいは複数の金駒からキャビティが構成され、可動型あるいは可動金駒が移動することによりキャビティ内樹脂を圧縮可能な構造であり、成形最終時点(成形品離型時)のキャビティ構成において、
キャビティ縁部の少なくとも50%以上の範囲に少なくとも0.3mm以上のキャビティ隙間が存在し、該キャビティ隙間から成形中樹脂がはみ出し可能である成形装置による成形方法であって、次の( 1 ) 乃至 ( 3 ) の工程を有することを特徴とする精密成形品の成形方法。
(1) 上記キャビティ内に存在する樹脂の少なくとも一部を該樹脂のガラス転移点以下からガラス転移点以上に昇温した後、再びガラス転移点以下に冷却すること。
(2) 上記昇温工程中またはそれ以降に、可動型あるいは可動金駒を移動させることによりキャビティ内樹脂に圧縮力を加えて一定時間保持し、上記キャビティ隙間から樹脂をはみ出させること。
(3) 上記(2)の工程の後、さらに高い圧縮力を加えて機能面を転写すること。 - 上記 ( 2 ) の工程における一定時間を数10秒とすることを特徴とする請求項1の精密成形品の成形方法。
- 次の ( 4 ) の工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2の精密成形品の成形方法。
(4) 上記(3)の工程の後、圧縮力を低減すること。 - 上記 ( 2 ) 乃至 ( 3 ) の工程、又は ( 2 ) 乃至 ( 4 )の工程における上記キャビティ内樹脂の最高温度は、樹脂のガラス転移点に対して3℃から25℃高い温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記(2)の工程において、1MPa以上20MPa以下の圧縮力を10秒以上維持することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記(3)の工程において、3MPa以上30MPa以下で、かつ上記(2)の工程での最高圧力よりも少なくとも2MPa以上高い圧力を5秒以上維持することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記(4)の工程において、1MPa以上20MPa以下で、かつ上記(3)の工程での最高圧力よりも少なくとも2MPa以上低い圧力まで低減することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記 ( 2 ) 乃至 ( 3 ) の工程、又は ( 2 ) 乃至 ( 4 )の工程中に上記キャビティ隙間から樹脂のはみ出す量が、成形最終時点でのキャビティ体積の1%以上40%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかの精密成形品成形方法。
- 上記可動型または可動金駒を予め設定された条件に基づき、その位置または速度を制御して前進させることで上記キャビティ内樹脂に圧縮力を加えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記キャビティ内の樹脂圧力、または上記可動型あるいは可動金駒に加わる力を検知して、その検知した情報及び予め設定された圧力条件に基づき、該可動型または可動金駒を前進または後退させることで、上記キャビティ内樹脂に圧縮力を加えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記(4)の工程にて上記可動型あるいは可動金駒を10秒以上停止させ、キャビティ隙間から樹脂をさらにはみ出させてキャビティ内樹脂圧力を低減させることを特徴とする請求項3乃至請求項10のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 上記(4)の工程にて上記可動型あるいは可動金駒を後退させてキャビティ内樹脂圧力を低下させることを特徴とする請求項3乃至請求項10いずれかの精密成形品の成形方法。
- 離型時のキャビティ内樹脂圧力の最大値が0.3MPa以上、10MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 離型時のキャビティ内樹脂の最高温度が樹脂のガラス転移温度に対して3℃から30℃低い温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 略最終成形品形状の樹脂ブランクを上記キャビティ内に挿入して圧縮成形を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかの精密成形品の成形方法。
- 溶融された樹脂を開放状態のキャビティ上または閉鎖状態のキャビティ内に供給した後に圧縮成形を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかの精密成形品の成形方法。
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