JP3916101B2 - 撓み噛み合い式歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撓み噛み合い式歯車装置に関し、特に、負荷トルクを高めることの可能な新規な形状をした可撓性外歯歯車を備えた撓み噛み合い式歯車装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
撓み噛み合い式歯車装置は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された環状の可撓性外歯歯車と、この可撓性外歯歯車を楕円形に撓めて剛性内歯歯車に直径方向の２ヵ所の位置で噛み合わせると共にこれらの噛み合わせ位置を円周方向に移動させる波動発生器を備えている。可撓性外歯歯車の外歯の歯数は、剛性内歯歯車の内歯の歯数よりも２ｎ枚、一般には２枚少ない数に設定されており、波動発生器により両歯車の噛み合い位置を移動させると、両歯車の歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。通常は、剛性内歯歯車の側が固定され、可撓性外歯歯車の回転を減速出力回転として取り出すようになっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
撓み噛み合い式歯車装置では、可撓性外歯歯車を介して負荷トルクが伝達されるので、その断面形状を改善する等の方法によって負荷トルクを高める試み等がなされている。
【０００４】
本発明は、新しい形状の可撓性外歯歯車を採用することにより、撓み噛み合い式歯車装置の負荷トルクを高めることを主要課題としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の撓み噛み合い式歯車装置の基本的な構成は一般的に使用されている撓み噛み合い式歯車装置と同様であり、剛性内歯歯車と、この内側に配置され当該剛性内歯歯車の内歯に噛み合い可能な外歯を備えた可撓性外歯歯車と、この可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて前記外歯を前記内歯に対して部分的に噛み合わせると共に当該噛み合わせ位置を円周方向に移動させる波動発生器とを有している。
【０００６】
しかるに、本発明の撓み噛み合い式歯車装置１では、図１に示すように、可撓性外歯歯車３は、円筒状の胴部３１と、この胴部３１の外周面の軸線方向の中程の位置から半径方向の外側に延びている環状のダイヤフラム３２と、このダイヤフラム３２の外周縁に連続している環状ボス３３とを備えた形状をしている。また、外歯として、胴部３１の両端部分の外周面にそれぞれ形成された第１の外歯３４および第２の外歯３５を備えている。
【０００７】
本発明では、剛性内歯車として、第１の外歯３４に対峙している環状の第１の剛性内歯車２１と、第２の外歯３５に対峙している環状の第２の剛性内歯歯車２２を備えている。第１の剛性内歯歯車２１の内周面には第１の外歯３４に噛み合い可能な第１の内歯２１１が形成され、第２の剛性内歯歯車２２の内周面には第２の外歯３５に噛み合い可能な第２の内歯２２１が形成されている。
【０００８】
次に、本発明では、波動発生器として、可撓性外歯歯車３の胴部３１における第１の外歯３４が形成されている部分の内側に配置され、当該第１の外歯３４が形成されている部分を半径方向に撓める第１の波動発生器４１と、胴部３１における第２の外歯３５が形成されている部分の内側に配置され、当該第２の外歯３５が形成されている部分を半径方向に撓める第２の波動発生器４２とを備えている。
【０００９】
図１は典型的な本発明の撓み噛み合い式歯車装置の半断面図であり、図２はその端面の上半部分を示す部分端面図である。これらの図に示すように、第１および第２の波動発生器４１、４２は楕円形の輪郭形状をした構成とされる。この場合には、可撓性外歯歯車３の両端に形成されている第１および第２の外歯が形成されている部分の半径方向への変形によってダイヤフラム３２等の部分に無理な応力が発生することが無いように、第１の波動発生器４１による第１の外歯３４が形成されている部分の楕円形状と、第２の波動発生器４２による第２の外歯３５が形成されている部分の楕円形状との位相を９０度ずらすことが望ましい。
【００１０】
このように構成した本発明の撓み噛み合い式歯車装置１においては、可撓性外歯歯車３の両端に形成されている第１および第２の外歯３４、３５を介してトルクが伝達されるので、２個の独立した可撓性外歯歯車を用いる場合に比べて、装置の大型化、装置コストの高騰を招くことなく、装置の負荷トルクを高めることができる。
【００１１】
波動発生器４１、４２は、典型的な構成では、入力軸５に連結された楕円形輪郭のカム板４１１と、その外周面に嵌めたウエーブベアリング（ラジアル玉軸受け）４１２から構成される。可撓性外歯歯車の胴部３１の両端部分の弾性変形に伴うダイヤフラム３２の変形による応力は、両側の波動発生器４１、４２によって分担されので、ウエーブベアリングの耐久性、各外歯の歯底部分の耐久性等を高めることもできる。
【００１２】
特に、本発明の撓み噛み合い式歯車装置では、好ましくは、ダイヤフラム３２を中心に左右対称の形状をした可撓性外歯歯車３が、その両端において波動発生器４１、４２によって両持ち状態に支持される。従って、可撓性外歯歯車にロボットアーム６等の被駆動部材を取り付けた場合には、その支持剛性が高いという利点もある。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１に示す撓み噛み合い式歯車装置１において、左右の剛性内歯歯車２１、２２には、環状の支持部材７、８が取り付けられ、これらの支持部材７、８の外周面は、軸受け１１、１２を介して被駆動部材であるロボットアーム６を回転自在に支持している。ロボットアーム６は、両側が軸受け１１、１２によって支持されている環状フランジ６１と、この環状フランジ６１の内周面の中央の位置から内側に突出している環状突起６２と、環状フランジ６１の外周面の中央から延びているアーム本体６３とを備えており、環状突起６２が可撓性外歯歯車３のボス３３に連結されている。
【００１４】
図示の例では、可撓性外歯歯車３はダイヤフラム３２を中心として左右対称の形状をしている。また、第１および第２の外歯３４、３５は相互に同一であり、第１および第２の内歯２１、２２も相互に同一である。さらに、第１および第２の波動発生器４１、４２も同一構造、寸法であるが、第１の波動発生器４１のカム板４１１は、第２の波動発生器４２のカム板４１１に対して９０度位相がずれた状態で入力軸５に固定されている。
【００１５】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撓み噛み合い式歯車装置では、円筒状の胴部の両端に外歯を備えた可撓性外歯歯車を採用し、その胴部の両端部分を波動発生器によって支持して、剛性内歯歯車に噛み合わせるようにしてある。従って、２個の可撓性外歯歯車を組み込む場合に比べて装置を小型でコンパクトに構成できると共に装置の負荷トルクを高めることができる。また、可撓性外歯歯車は左右の波動発生器によって両持ち状態で支持されているので、ロボットアーム等の被駆動部材の支持剛性も高めることができる。さらには、可撓性外歯歯車のダイヤフラムの弾性変形に伴って発生する応力は左右の波動発生器が負担するので、各波動発生器に作用する応力を低減でき、よって、ウエーブベアリングの耐久性、外歯の歯底部分の耐久性等を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用した撓み噛み合い式歯車装置の半断面図である。
【図２】図１の装置の端面の上半部分を示す部分端面図である。
【符号の説明】
１ 撓み噛み合い式歯車装置
２１ 第１の剛性内歯歯車
２２ 第２の剛性内歯歯車
２１１，２２１ 内歯
３ 可撓性外歯歯車
３１ 胴部
３２ ダイヤフラム
３３ ボス
３４ 第１の外歯
３５ 第２の外歯
４１ 第１の波動発生器
４２ 第２の波動発生器
５ 入力軸
６ アーム
Claims (3)
- 剛性内歯歯車と、この内側に配置され当該剛性内歯歯車の内歯に噛み合い可能な外歯を備えた可撓性外歯歯車と、この可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて前記外歯を前記内歯に対して部分的に噛み合わせると共に当該噛み合わせ位置を円周方向に移動させる波動発生器とを有する撓み噛み合い式歯車装置において、
前記可撓性外歯歯車は、円筒状の胴部と、この胴部の外周面の軸線方向の中程の位置から半径方向の外側に延びている環状のダイヤフラムと、このダイヤフラムの外周縁に連続している環状ボスとを備え、前記外歯は、前記胴部の両端部分の外周面にそれぞれ形成された第１および第２の外歯を含んでおり、
前記剛性内歯歯車は、前記第１の外歯に対峙した環状の第１の剛性内歯歯車と、前記第２の外歯に対峙した環状の第２の剛性内歯歯車を含んでおり、
前記波動発生器は、前記可撓性外歯歯車の前記胴部における前記第１の外歯が形成されている部分の内側に配置され、当該第１の外歯が形成されている部分を半径方向に撓める第１の波動発生器と、前記胴部における前記第２の外歯が形成されている部分の内側に配置され、当該第２の外歯が形成されている部分を半径方向に撓める第２の波動発生器とを含んでいることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置。 - 請求項１において、前記第１および第２の波動発生器は楕円形の輪郭形状をしており、
前記第１の波動発生器による前記第１の外歯が形成されている部分の楕円形状と、前記第２の波動発生器による前記第２の外歯が形成されている部分の楕円形状とは、９０度位相がずれるように設定されていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置。 - 請求項２に記載の撓み噛み合い式歯車装置に用いる可撓性外歯歯車であって、
円筒状の胴部と、この胴部の外周面の軸線方向の中程の位置から半径方向の外側に延びている環状のダイヤフラムと、このダイヤフラムの外周縁に連続している環状ボスとを備え、前記外歯は、前記胴部の両端部分の外周面にそれぞれ形成された第１および第２の外歯を含んでいることを特徴とする可撓性外歯歯車。
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| JP24373497A JP3916101B2 (ja) | 1997-09-09 | 1997-09-09 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24373497A JP3916101B2 (ja) | 1997-09-09 | 1997-09-09 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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| JPH1182641A JPH1182641A (ja) | 1999-03-26 |
| JP3916101B2 true JP3916101B2 (ja) | 2007-05-16 |
Family
ID=17108205
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24373497A Expired - Lifetime JP3916101B2 (ja) | 1997-09-09 | 1997-09-09 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
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-
1997
- 1997-09-09 JP JP24373497A patent/JP3916101B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1182641A (ja) | 1999-03-26 |
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