JP3915866B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3915866B2 JP3915866B2 JP2000096375A JP2000096375A JP3915866B2 JP 3915866 B2 JP3915866 B2 JP 3915866B2 JP 2000096375 A JP2000096375 A JP 2000096375A JP 2000096375 A JP2000096375 A JP 2000096375A JP 3915866 B2 JP3915866 B2 JP 3915866B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wiping
- rack
- cam
- ink jet
- jet recording
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドの吐出特性を維持するためのヘッド吐出特性維持装置を有するインクジェット式記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドと、印刷用紙等の被記録材を副走査方向に間欠的に設定量ずつ送る被記録材送り手段を備え、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ該記録ヘッドからインク滴を対向する前記被記録材に吐出して記録を行うように構成されている。
【0003】
モノカラーのインクジェット式記録装置では、記録ヘッドは通常1つ搭載されている。フルカラーのインクジェット式記録装置では、ブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、イエロー、シアン、マゼンタ等の各色のインクを吐出するカラー用記録ヘッドとの複数が搭載されている(特開平7−132615号公報等)。
【0004】
インクジェット式記録装置は、前記記録ヘッドからインクを吐出する原理が、以下のように構成されている。すなわち公知のように圧力発生室でインクを所定圧で加圧し、その圧力に基づいてインクをノズル形成面にあるノズル開口から前記被記録材に向けてコントロールされた大きさのインク滴として吐出する。従って、記録ヘッドのノズル開口からのインク吐出特性は、一定に維持される必要があり、該インク吐出特性が変動すると記録品質の低下に繋がる。
【0005】
記録ヘッドのインク吐出特性は、ノズル開口におけるインクの蒸発乾燥による粘度上昇や、インク固化、目詰まり、更には塵埃の付着や気泡混入等が原因となって変動する。そのため、インクジェット式記録装置には、記録ヘッドのインク吐出特性を一定に維持するために前記したインク吐出特性の各変動原因を排除し、もって記録ヘッドの吐出特性を維持するヘッド吐出特性維持装置が設けられている。
【0006】
このヘッド吐出特性維持装置は、先ず第1に、キャッピング装置を備えている。非記録時には、このキャッピング装置でノズル形成面を封止して前記ノズル開口を外部と隔離しておくことにより、インクの乾燥を抑制し、インク粘度の上昇を押さえている。
【0007】
また、前記キャッピング装置でノズル形成面を封止していてもノズル開口の目詰まりや、インク流路内への気泡の混入等を完全には防止できない。そこで、該ヘッド吐出特性維持装置は、第2として前記ノズル開口の目詰まりや混入した気泡を除去するためにインクをノズル開口から強制的に吸引排出することのできる吸引ポンプを備えている。この吸引ポンプは、前記キャッピング装置で前記ノズル形成面を封止した状態で、該ノズル開口に負圧を作用させ、該ノズル開口からインクを強制的に吸引排出させて前記目詰まりや混入気泡を除去する。この吸引ポンプによるインクの強制的な吸引排出処理は、記録装置の長時間の休止後に記録動作を再開する場合や、ユーザーが記録画像の品質が低下したことを認識して操作パネルにある専用スイッチを操作した場合に通常は実行されるようになっている。
【0008】
上記のように吸引ポンプによるインクの強制的な吸引排出処理を行うと、記録ヘッドのノズル形成面にインクが飛び散って付着することがあると共に、各ノズル開口におけるインクのメニスカスが乱れる。また、記録ヘッドのノズル形成面には経時的に異物が付着しやすい。そこで、該ヘッド吐出特性維持装置は、第3として必要に応じてノズル形成面を払拭するワイピング装置を備えている。
【0009】
このワイピング装置は、一面側をゴム等の弾性板からなるワイピング用素材、他面側をフェルト等からなる同形状のラビング用素材で構成した複合材から成る板状のワイピング部材を有し、該ワイピング部材の基端側をホルダーで挟圧支持して成る。そして、ワイピング部材の先端側の縁部分を前記ノズル形成面に弾性的に押し付けつつ相対的に往動および復動させて該ノズル形成面を清掃するようになっている。例えば往動時又は復動時にワイピング用素材の方をノズル形成面に押し付け、復動時又は往動時にラビング用素材の方をノズル形成面に押し付けてノズル形成面を清掃するようになっている。
【0010】
ワイピング部材の前記ワイピング用素材による前記清掃動作は、「ワイピング動作」と言われている。この「ワイピング動作」は、ノズル形成面に付着したインクの払拭の他に、各ノズル開口におけるインクのメニスカスを一様に整える、即ち安定させるという重要な役割を担っている。そのため、ワイピング用素材の前記縁部分をノズル形成面に弾性的に押し付ける押し付け力は、前記メニスカスを確実に安定させることができる程度にソフトで且つ適切な強さに設定されなければならないという第1の技術的要求がある。
【0011】
また、ワイピング部材の前記ラビング用素材による前記清掃動作は、「ラビング動作」と言われている。この「ラビング動作」は、ノズル形成面に強固に固着した異物を擦り取る役割を有する。そのため、該ラビング用素材の縁部分をノズル形成面に押し付ける押し付け力は、ノズル形成面に強固に固着した前記異物を擦り取れる程度に大きく設定されなければならないという第2の技術的要求がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来は、ワイピング部材に要求される前記第1の技術的要求および第2の技術的要求に、曲がりやすいワイピング用素材と該ワイピング用素材より曲がりにくいラビング用素材との両素材の組み合わせだけで対応していたので、自ずと限界があり、両要求を充分に満たすことは簡単ではなかった。
【0013】
本発明の目的は、記録ヘッドの吐出特性を維持するためのヘッド吐出特性維持装置を有するインクジェット式記録装置であって、ヘッド吐出特性維持装置の1つであるワイピング装置のワイピング部の材部分に要求される前記第1の技術的要求および第2の技術的要求を、簡単且つ充分に満たすことのできるインクジェット式記録装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、インクジェット式の記録ヘッドと、該記録ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング装置とを備えたインクジェット式記録装置であって、前記ワイピング装置は、前記ノズル形成面に平行に往復移動するスライド部材と、 該スライド部材に支持され、該スライド部材の前記往復移動における一方向への移動時には前記ノズル形成面に対するワイピング動作として、該スライド部材の前記一方向と反対方向への移動時には前記ノズル形成面に対するラビング動作として、その自由端側が該ノズル形成面に押し付けられるワイピング部材と、該ワイピング部材の基端側を前記スライド部材に回動可能に支持する支持部と、前記ワイピング動作時に、ノズル形成面への前記押し付けに伴う反作用を該ノズル形成面から受けてその反作用力の方向に回動された当該ワイピング部材をその状態のまま前記押し付け方向に付勢して支えるバネと、前記ラビング動作時に、前記ワイピング部材の回動を規制して該ワイピング部材を剛的に支持された状態にする回動規制手段とを備えている。
【0015】
本構成によれば、ワイピング動作時には、ワイピング部材自体と前記バネの両方の弾性力を利用して当該ワイピング部材を記録ヘッドのノズル形成面に押し付けるので、ワイピング部材自体だけの弾性力で押し付ける従来構造に比して、ノズル開口におけるインクのメニスカスを確実に安定させることができる程度にソフトで且つ適切な強さでワイピング部材が前記ノズル形成面に押し付けられなければならないという第1の技術的要求を簡単且つ充分に満たすことができる。
【0016】
また、ラビング動作時には、前記回動規制手段により前記ワイピング部材の回動を規制して該ワイピング部材を剛的に支持された状態にするので、該ワイピング部材はノズル形成面に強く押し付けられ、もってノズル形成面に強固に固着した異物を確実に擦り取ることができ、第2の技術的要求を簡単且つ充分に満たすことができる。
【0017】
また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ワイピング部材は、弾性板から成るワイピング用素材と、該ワイピング用素材よりも曲げに対する抵抗の大きいフェルト等のラビング用素材とが接合された複合材から成る。
本構成によれば、ワイピング動作はワイピングに適したワイピング用素材で行い、ラビング動作はラビングに適したラビング用素材で行うので、当該バネとの併用により前記第1の技術的要求と第2の技術的要求を一層簡単且つ充分に満たすことができる。
【0018】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ワイピング部材の基端側を挟持すると共に前記スライド部材に前期支持部を介して回動可能に軸支されるホルダ部材と、該ホルダ部材の自由端側を支持すると共に、その他端部において所定ストロークの遊びをもって前記スライド部材に係止されるアーム部材とを備え、前記所定ストロークの遊びの範囲で前記ワイピング部材が前記バネの付勢力を受けるように構成されている。本構成によれば、構造簡単にして、前記第1の技術的要求を満たすことができる。
【0019】
また、本願請求項4に記載の発明は、請求項3に記載されたインクジェット式記録装置において、前記アーム部材の他端部に形成された長孔と、前記スライド部材に前記長孔に遊嵌するように配置された軸体とを備え、前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるように構成されている。
本構成によれば、前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるので、すなわちバネの作用する範囲を限定された範囲としたので当該バネの付勢力を所定の強さで安定して利用することができる。
【0020】
また、本願請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記回動規制手段は、前記ワイピング部材の回動可能範囲の一方の限界位置において前記ラビング動作が行われるように設定することで構成されている。
本構成によれば、ワイピング部材が一方の回動限界位置にあるときにラビング動作を行うので、ラビング動作時にワイピング部材は回動できず、もって強固な押し付け力を機械的に簡単な構造で得ることができる。
【0021】
また、本願請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記スライド部材には、その長手方向に沿ってメインラックが形成され、該メインラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動によりスライド部材が往復移動されるように構成されている。 本構成によれば、ラック−ピニオン機構によりスライド部材を往復移動させるので、構造簡単にして、その往復移動の安定性を高めることができる。
【0022】
また、本願請求項7に記載の発明は、請求項6に記載されたインクジェット式記録装置において、前記スライド部材の長手方向に摺動可能となるよう配置された差動ラックが更に具備され、前記差動ラックは該差動ラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動により、メインラックと同一歩調をもって往復移動されるように構成されると共に、前記スライド部材の往動方向への移動終端部において、前記ピニオンによって前記差動ラックだけが更に押し出されて往動方向に移動するように構成され、該差動ラックだけの移動によって前記ワイピング部材を往動方向に傾斜させるように構成されている。
【0023】
更に、本願請求項8に記載の発明は、請求項7に記載されたインクジェット式記録装置において、前記メインラックと差動ラックにおけるラックのピッチがほぼ同一に構成され、且つメインラックに形成されたラックの歯数に比較して差動ラックに形成されたラックの歯数が大きく構成されている。
【0024】
これらの構成によれば、差動ラックを用いたことで、ワイピング動作の終了後にワイピング部材を往動方向に傾斜させることを簡単に実現することができる。これにより、ワイピング動作の終了後に記録ヘッドのノズル形成面にワイピング部材を接触させずに元の位置に戻すことができる。
【0025】
また、本願請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ワイピング部材の基端側を挟持すると共に前記スライド部材に回動可能に軸支されるホルダ部材と、該ホルダ部材の自由端側を支持すると共に、その他端部において所定ストロークの遊びをもって前記差動ラックに係止されるアーム部材とを備え、前記所定ストロークの遊びの範囲で前記ワイピング部材が前記バネの付勢力を受けるように構成されている。
本構成によれば、差動ラックを利用した構造においても、構造簡単にして、前記第1の技術的要求を満たすことができる。
【0026】
また、本願請求項10に記載の発明は、請求項9に記載されたインクジェット式記録装置において、前記アーム部材の他端部に形成された長孔と、前記差動ラックに前記長孔に遊嵌するように配置された軸体とを備え、前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるように構成されている。
本構成によれば、差動ラックを利用した構造においても、前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるので、前記バネの付勢力を安定して利用することができる。
【0027】
また、本願請求項11に記載の発明は、請求項7から10のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記回動規制手段は、前記両ラックとピニオンとの同時歯合により構成されている。
本構成によれば、ピニオンと、差動ラックおよびメインラックが同時に歯合している状態では、差動ラックとメインラックは該ピニオンによって、その移動は一体化されているため、ワイピング部材は、その往動方向への回動が規制される。従って、差動ラックを利用した構造においても、ラビング動作時の強固な押し付け力を簡単な構造で得ることができる。
【0028】
また、本願請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ワイピング装置が、記録ヘッドのノズル形成面を封止するキャッピング装置と共にユニットフレームに配置され、少なくともキャッピング装置が記録ヘッド側に進出してノズル形成面を封止するキャッピング状態およびキャッピング状態から退避して記録ヘッドのノズル形成面の封止を解く非キャッピング状態とを採り得るように構成され、前記キャッピング装置の退避状態における空間部に、前記ワイピング装置を構成するワイピング部材が往復移動されるように構成されている。
【0029】
本構成によれば、前記キャッピング装置の退避状態における空間部に、前記ワイピング装置を構成するワイピング部材が往復移動されるように構成されているので、装置をコンパクト化できる。
【0030】
また、本願請求項13に記載の発明は、請求項12に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ワイピング装置を構成するワイピング部材の往復移動が、スライド部材の長手方向に沿って配置されたメインラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動によりなされ、前記キャッピング装置の進出および退避動作がキャップ駆動カムの回転動作によってなされ、前記ピニオンに噛み合って当該ピニオンを回転駆動する駆動ギアと、前記キャップ駆動カムとが1つの支持軸上に配置されて前記ワイピング部材の往復移動および前記キャッピング装置の進出および退避動作のタイミングを図るように構成されている。
【0031】
本構成によれば、前記ピニオンに噛み合って当該ピニオンを回転駆動する駆動ギアと、前記キャップ駆動カムとが1つの支持軸上に配置されて前記ワイピング部材の往復移動および前記キャッピング装置の進出および退避動作のタイミングを図るので、制御を単純化することができる。
【0032】
また、本願請求項14に記載の発明は、請求項13に記載されたインクジェット式記録装置において、前記キャップ駆動カムに当接するフォロワが、前記ユニットフレームの一部に片持ち形式で係止されたサブフレーム側に取り付けられ、該サブフレームの回動自由端側に前記キャッピング装置を配置してなる。
本構成によれば、キャッピング装置の前記進出および退避動作を簡単なカム制御によって行うことができる。
【0033】
また、本願請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載されたインクジェット式記録装置において、前記キャッピング装置には、キャッピング装置の内部空間を開閉するバルブ部材と、当該バルブ部材の開閉弁動作を司るバルブ作動子が配置され、前記駆動ギアおよびキャップ駆動カムと共に1つの支持軸上に配置されたバルブ駆動カムによって、前記バルブ作動子が駆動されるように構成されている。
本構成によれば、キャッピング装置の内部空間を開閉するバルブ部材の開閉を構造簡単にして簡単なカム制御によって行うことができる。
【0034】
また、本願請求項16に記載の発明は、請求項13から15のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記ユニットフレームには、前記キャッピング装置の内部空間に負圧を与える吸引ポンプがさらに配置され、前記ワイピング装置、キャッピング装置と共にヘッドクリーニングユニットを構成してなる。
本構成によれば、吸引ポンプ、ワイピング装置及びキャッピング装置がヘッドクリーニングユニットを構成して一体化されているので、コンパクト化できると共に、組み付けも容易である。
【0035】
また、本願請求項17に記載の発明は、請求項1から16のいずれか1項に記載されたインクジェット式記録装置において、前記スライド部材の移動方向は、ノズル形成面に配列されているノズル列に平行な方向である。
本構成によれば、ワイピング部材は、主走査方向ではなく副走査方向に移動することになるため、主走査方向にワイピング動作に伴ってインクを飛散させる虞が少なく、またマルチノズルヘッドを採用した記録装置であっても、ワイピング動作によって、インクが混色する虞は少ない。
【0036】
また、本願請求項18に記載の発明は、請求項17に記載されたインクジェット式記録装置において、用紙搬送路は傾斜面に形成され、前記スライド部材の移動方向は、前記傾斜面に平行で且つ往動方向が斜め下方となるように構成されている。
これにより、ワイピング動作を重力に沿う向きの傾斜方向、すなわちワイピング部材を斜め下方に向かってスライドしつつ行えるので、ワイピングによって擦り取られたインク等が、斜め下方に向かって運ばれることになる。従って、ワイピング動作に重力を利用できるので、ワイピング性能を向上することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
以下、本願発明の実施の形態1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置を示す斜視図であり、図2は、本発明に係るユニット化されたヘッド吐出特性維持装置を示す斜視図であり、図3は、同ヘッド吐出特性維持装置の内部の一部は断面で示した概略側面図であり、図4は、同ヘッド吐出特性維持装置の内部の一部は断面で示した概略平面図である。
【0038】
このインクジェット式記録装置は、例えば用紙幅が594mm(JIS規格のA1判)や728mm(JIS規格のB1判)といった比較的大型のサイズの用紙にまで印刷できる大型のプリンタである。勿論、このような大型ではなく、標準的なサイズのものであっても本発明を適用できる。
【0039】
このインクジェット式プリンタは、図1に示したように上から斜め下の手前に向かって給紙部1、記録部2及び排紙部3と配置されている。被記録材である用紙は、前記給紙部1から記録部2、そして排紙部3に送られる過程で所定の印刷が実行され、外部に排出される。印刷時の用紙搬送路8は、水平面に対して65度の傾斜をもって形成されている。キャリッジ4に搭載され、ガイド軸6に沿って主走査方向に往復移動する記録ヘッド54のノズル形成面も、前記用紙搬送路8に平行となるように65度に傾斜して配設されている。なお、本発明は、このような傾斜構造の記録装置に限定されないことは勿論である。
【0040】
そして、キャリッジ4のホームポジションとなる部分に、記録ヘッド54の吐出特性を維持するためのヘッド吐出特性維持装置30が配設されている。そして、キャリッジ4がホームポジションに位置している状態のときに該ヘッド吐出特性維持装置30によって、記録ヘッド54の吐出特性を維持する処理が行われるようになっている。図1において、符号7はキャリッジ4を主走査方向に往復移動させるための駆動ベルト、符号9はインクカートリッジホルダ、符号10は開状態の前蓋を示す。
【0041】
図2に示したように、ヘッド吐出特性維持装置30は、両サイドフレーム32,33と上フレーム34等によってほぼ箱形に形成されたユニットフレーム31によってユニット化されている。即ちこのユニットフレーム31の中に、必要に応じてノズル形成面を払拭するワイピング装置35、非記録時に記録ヘッド54のノズル形成面に押し付けられてノズル開口を封止するためのキャッピング装置37、これらワイピング装置35およびキャッピング装置37を動作させるときの駆動機構部200、前記ノズル開口の目詰まりや混入した気泡を除去するためにインクを強制的に吸引排出する吸引ポンプ75、図2には現れていないインク除去部材55(図3及び図4)、及びセレクト装置300(図3)等が配設されている。ここで、インク除去部材55は、ワイピング装置35の能力を回復させるためのものであり、また、セレクト装置300は、マルチノズルヘッドの場合に必要なノズル列に対してだけワイピング動作等を行えるようにするためのものである。
【0042】
サイドフレーム32には、キャッピング装置37を作動させるための駆動用モータ43と、吸引ポンプ75を作動させるためのポンプ用モータ44が取り付けられている。符号45はポンプ用モータ44の動力を吸引ポンプ75に伝える歯車を示す。
【0043】
図3及び図4に基づいて、ユニットフレーム31の内部の構造を説明する。これらの図に示したように、ワイピング装置35と、キャッピング装置37およびインク除去部材55は、この順番に並んで配設されている。この並びの方向は、ワイピング装置35のスライド部材46が往復移動する方向であり、往動の終点部分に前記インク除去部材55が配置されている。また、本実施の形態におけるスライド部材46の往復移動の方向は、ノズル形成面94に対応すべく、斜めに構成されているが、特にスライド部材46の往動方向が前記ノズル形成面に平行であって、且つ斜め下向きとなるように構成されている。
【0044】
また、図3に示したように、ワイピング装置35の下に、吸引ポンプ75と駆動機構部200が設けられている。この駆動機構部200のおよその全体構造は、図21において、キャッピング装置37と共に、大きな要素単位に分解した状態で斜視図にて示されている。該駆動機構部200は、前記駆動用モータ43を動力源として、前記キャッピング装置37が記録ヘッド54側に進出してノズル形成面94を封止するキャッピング状態(図3の状態)と、キャッピング状態から退避して記録ヘッド54のノズル形成面94の封止を解く非キャッピング状態(図11及び図12の状態)とを採り得るようにするものである。更に、該駆動機構部200は、キャッピング装置37内のバルブ部材56の開閉の他に、ワイピング装置35のスライド部材46の往復移動を行い、また更にセレクト装置300のセレクト動作を司るようになっている。
【0045】
図4に示したように、本実施の形態では、マルチノズルヘッドに対応すべく、ワイピング装置35は、1つのワイピング部材36と、それに対応するスライド部材46との組を1つのワイピングユニットとして、3つのワイピングユニットを備えている。これら3つのワイピングユニットは、基端側を支点にしてワイピング部材36側が上下に揺動可能に配設され、さらに図示しない押さえ板バネにより、ワイピング部材36側が常時下方に向かって付勢されている。この押さえ板バネにより、該ワイピングユニットの下面に設けられる後述するラックと、ワイピングユニットとは別体のものであって、同じく後述するピニオン支持フレーム130に支持されるピニオンとが歯合する定位置に、当該ワイピングユニットは押されて保持されている。また、3つのワイピングユニットに対応してインク除去部材55も同じく3つ設けられ、さらにキャッピング装置37の封止用キャップ38も3つ設けられている。
【0046】
次に、図5乃至図8に基づいて、ワイピング装置35の構造を詳しく説明する。図5は、本発明に係るワイピング装置の斜視図であって、ワイピング部材36がスライド部材46の往復動方向に対して直交状態に支持されたものを示してある。ワイピング部材36は、ゴム等の弾性板から成るワイピング用素材47と、該ワイピング用素材47よりも曲げに対する抵抗の大きいフェルト等のラビング用素材48とが接合された複合材から成る。このワイピング部材36の基端側は、ホルダ部材80により強固に挟持されると共に該ホルダ部材80を介して前記スライド部材46の先端の支持部81に回動可能に取り付けられている。
【0047】
該ホルダ部材80の自由端側は、アーム部材77で支持され、該アーム部材77の他端部は、所定ストロークの遊びをもって別体の軸体82に係止されている。この係止構造は、アーム部材77の他端部に形成された長孔78を前記軸体82に遊嵌することで構成されている。従って、アーム部材77は、前記軸体82に対する前記長孔78の限られた移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持ち、これにより、当該ワイピング部材36は、前記軸体82に対する前記長孔78の移動可能量に対応する範囲において回動できるようになっている。尚、該ホルダ部材80の自由端側は、前記の如くアーム部材77で支持されているが、その支持部79は、ワイピング部材36を回動させて傾斜させることが可能なように、言うまでもなく回動可能に支持されている。
【0048】
該軸体82がスライド部材46に固定されている場合は、ワイピング部材36の回動できる範囲は、前記軸体82に対する前記長孔78の移動範囲に限られる。具体的には、ワイピング部材36は、図5に示したスライド部材46との直交状態より往動方向へは回動が機械的に規制されて傾斜できず、この位置が往動方向への回動限界となる。この状態が後述するラビング動作で利用される。
【0049】
そして、軸体82が固定されている基体84と、アーム部材77側の左右連結部83との間にコイルバネ49が縮設され、このコイルバネ49によって、前記軸体82に対する前記長孔78の移動範囲、すなわちワイピング部材36の回動できる範囲において当該ワイピング部材36が前記コイルバネ49の付勢力を受けるように構成されている。該コイルバネ49の強さは、ワイピング動作時に、ノズル形成面への押し付けに伴う反作用を該ノズル形成面から受けてその反作用力の方向に回動された当該ワイピング部材36をその状態のまま前記押し付け方向に付勢して、ワイピング部材36自体の弾性力と前記バネ49の弾性力の両方によって支えるように設定される。
【0050】
本実施の形態では、前記軸体82が取り付けられている基体84は、スライド部材46に固定されるのではなく、該スライド部材46に対して相対的に移動できる差動ラック86の基体50(図6)に固定されている。従って、差動ラック86がスライド部材46に対して移動できるため、ワイピング部材36はスライド部材46の往動方向に更に回動できるようになっている。図7は、軸体82に対する前記長孔78の移動範囲に対応するワイピング部材36の回動範囲を超えて更に大きく回動した状態を示している。すなわち、スライド部材46を停止したまま差動ラック86を更に移動させることによって、前記ワイピング部材36を往動方向に大きく傾斜させることができる。
【0051】
図6は、図5の状態のワイピング装置35を裏側から見た状態の平面図である。前記スライド部材46には、その長手方向に沿ってメインラック85が形成され、前記メインラック85に噛み合うピニオン52a,52b,52c(図9参照)の正逆方向への回転駆動によりスライド部材46が往復移動されるように構成されている。
【0052】
そして、前記スライド部材46の長手方向に摺動可能となるよう前記差動ラック86を有する基体50が更に設けられている。該差動ラック86は、該差動ラック86に噛み合うピニオン52a,52b,52cの正逆方向への回転駆動により、メインラック85と同一歩調をもって往復移動されるように構成されている。そして、前記スライド部材46の往動方向への移動終端部において、メインラック85と前記ピニオン52a,52b,52cとの噛み合い状態が終わり、該スライド部材46が停止した後も、該差動ラック86は前記ピニオン52a,52b,52cとの噛み合い状態を維持し、当該差動ラック86だけが更に押し出されて往動方向に移動するように構成されている。
【0053】
具体的には、前記メインラック85と差動ラック86におけるラックのピッチは、図6に示したようにほぼ同一に構成され、且つメインラック85に形成されたラックの歯数に比較して差動ラック86に形成されたラックの歯数は、3個多く形成されている。図6は、差動ラック86がメインラック85に対して押し出されていない状態のものであり、差動ラック86側の最先端に位置する歯88は、メインラック85側の最先端に位置する歯と同じ位置に並んでいる。一方、差動ラック86側の最後端に位置する歯87は、メインラック85側の最後端に位置する歯よりも3ピッチ分だけ後方にはみ出している。これにより、メインラック85の最後端の歯と前記ピニオンとの噛み合いが外れる位置までスライド部材が移動して停止した後も、差動ラック86は更に終端部の3個の歯に相当する距離だけ、移動できる。そして、この差動ラック86だけの移動によりワイピング部材36は回動し、図7に示したように往動方向に大きく傾斜した状態にすることができる。
【0054】
図8は、図7の状態のワイピング装置35のワイピングユニットを裏側から見た状態の平面図である。差動ラック86がメインラック85に対して押し出されており、該差動ラック86側の最先端に位置する歯88は、メインラック85側の最先端に位置する歯より先方に3ピッチ分だけはみ出している。一方、差動ラック86側の最後端に位置する歯87は、メインラック85側の最後端に位置する歯と同じ位置で並んでいる。
【0055】
この状態で、前記ピニオンをメインラック85及び作動ラック86に歯合させて逆に回転すると、当該ワイピングユニットは、ワイピング部材36が図7に示した傾斜状態のまま復動される。そして、メインラック85の最先端の歯と前記ピニオンとの噛み合いが外れる位置までスライド部材が復動されて停止した後も、差動ラック86は、更に最先端の歯88を含む先端側にはみ出ている3個の歯(図8)に相当する距離だけ、移動できる。そして、この差動ラック86だけの復動によりワイピング部材36は復動方向に回動し、図5に示したようにワイピング部材36はスライド部材46と直交する状態に戻る。
【0056】
尚、前記軸体82が固定されている基体84が、前記差動ラック86の基体50に固定されている本実施例の構造において、図5すなわち図6に示した状態で、ピニオン52a,52b,52cが両ラック85,86に歯合していれば、ワイピング部材36は、図5に示した直交状態から更なる往動方向への回動が規制される。その理由は、両ラックとピニオンの同時歯合により、両ラックはその移動が一体化され、差動ラックだけが移動することはないからである。従って、この位置が往動方向への回動限界となる。この状態がラビング動作で利用される。
【0057】
図9は、ワイピング装置36がピニオンと歯合している状態を下方から見た斜視図である。3つのピニオン52a,52b,52cは、それぞれ、3つのワイピングユニット(図4参照)に対応している。
【0058】
次に、図3および図4に戻って、インク除去部材について説明する。ワイピング動作範囲の直後の位置にワイピング部材36からインクを除去するインク除去部材55が設けられている。該インク除去部材55は、ワイピング動作方向にそのままスライド部材46を移動させた時に、前記ワイピング部材36が徐々に接触を開始する形状の前面107と、該前面107に押し付けられることにより前記ワイピング部材36が移動方向と反対方向に曲げられた後、一気に外れる形状の後面108とを有する。
【0059】
前記インク除去部材55の前面107形状は、図4及び図22、図23に示した傾斜面の他に、図24に示した多数の凹凸を有する面109、更には、図25に示したように、ワイピング部材36の端縁部分と対向する位置に開口110が設けられたもの等が挙げられる。
【0060】
いずれの場合も後面108の形状は、ワイピング部材36の進行方向に直交する平面形状に形成されている。
【0061】
本インク除去部材55によってワイピング部材36からインク106が除去されるため、ワイピング部材36の能力を回復させることができる。この回復動作は各ワイピング動作毎に行われることが好ましい。また、該インク除去部材55は、前記ワイピング部材36が徐々に接触を開始する形状の前面107,109,110を有しているので、インク106の付いたワイピング部材36が衝当してもインク106の飛び散りを低減することができる。更に、インク除去部材55の該前面107,109,110に押し付けられることにより前記ワイピング部材36が移動方向と反対方向に曲げられ、その後に、一気に外れる形状の後面108を有しているので、この外れる瞬間にインク106をワイピング部材36から弾き飛ばすことができ、確実にワイピング部材36の能力を回復させることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、図3及び図4に示したように、前記インク除去部材55によりワイピング部材36から弾き飛ばされたインク滴を受けるインク吸収材41を備えている。該インク吸収材41はホルダ40に保持されている。本構成によれば、ワイピング部材36から瞬間的に弾き飛ばされたインクを他に漏らすことなく確実に捕獲することができる。
【0063】
次に、図3、図10乃至図12並びに図21を用いて、キャッピング装置37と、その駆動機構部200について説明する。
【0064】
先ずキャッピング装置37は、キャップ本体部141の上面に封止用キャップ38を備え、左右一対のガイド142(図21)が図2に示したようにサイドフレーム32,33に設けられた一対のガイド受け39にガイドされた状態で、記録ヘッド54に対して進退できるようになっている。また、キャッピング装置37はキャップ本体部141の内部空間を開閉するバルブ部材56を備え、キャップ本体部141の下面部に配置されたバルブ作動子57を本体下面から離れる方向に引くことで当該バルブ部材56が閉弁状態から開弁状態に変わるようになっている。そして、該バルブ作動子57は、後述するバルブ駆動カム62によって、駆動されるように構成されている。
【0065】
キャッピング装置37の前記記録ヘッド54への進退移動およびバルブ部材56の開閉を司る駆動機構部200は、図21に示したように、大きく分けてカム体143と、該カム体143の作用によって基端を支点にして上下に揺動するサブフレーム92とで構成されている。
【0066】
カム体143は、円筒形状の小径軸60の外周面61に、周長の短いバルブ駆動カム62と周長の長いキャップ駆動カム64が周方向に隣接して設けられている。バルブ駆動カム62とキャップ駆動カム64は、小径軸60の軸方向には、図21に示したように位置がずれて設けられている。尚、バルブ駆動カム62の終わりの位置からキャップ駆動カム64に連なる突曲面63も後述する一つの機能を有するカム面になっている。このカム体143は、小径軸60の外周面61上の位置であってバルブ駆動カム62の直前の位置が、カム制御の基準位置65として利用され、該基準位置65が図3に示した位置にあるときが、該カム体143の制御上の初期位置として設定されている。
【0067】
サブフレーム92は、その基端105において図2に示したユニットフレーム31の基端下部(矢印500で指した部分)に、両サイドフレーム32,33間に跨って、且つ該基端105側を支点として他端側が自由端140となって上下に揺動可能となるように取り付けられる。そして該サブフレーム92は、長尺なコイルスプリング42によって、図2に示したように自由端140が上方に付勢される。
【0068】
サブフレーム92の底面部の中央部分に、前記キャップ駆動カム64のカムフォロア91が設けられている。このカムフォロア91は、自由回転するローラ構造に形成されている。また、サブフレーム92の底面部の基端寄りの位置に支点67を有し、上下方向に回動自在なレバー66が設けられている。該レバー66の前記カムフォロア91と隣接する位置には前記バルブ駆動カム62のカムフォロア71が設けられている。更に、該レバー66の先端にはハンド部70が設けられている。
【0069】
キャッピング装置37は、その底部においてサブフレーム92の自由端140側に設けられた連結用枠体144に一体に連結され、これにより該サブフレーム92の揺動に追従して一緒に動き、前記記録ヘッド54に対して進出および退避するようになっている。また、この連結状態で前記レバー66のハンド部70をキャッピング装置37の前記バルブ作動子57に係止し、この状態で前記レバー66を押し下げて該バルブ作動子57の被作用部58に引き下げる力を作用することで、前記バルブ部材56が閉弁状態から開弁状態に変わる。符号68は前記レバー66の先端部を示し、該先端部68は基端側と連結部69により回動可能に連結されている。
【0070】
次に、ワイピング装置35とその駆動機構部200の関係を図3、図14、図21および図32を用いて説明する。該ワイピング装置35のスライド部材46は、上述したようにピニオン52a,52b,52cとメインラック85及び差動ラック86とのラック−ピニオン機構によって往復移動されるようになっている。本実施の形態では、ピニオン52a,52b,52cが駆動機構部200によって回転されるように構成されている。
【0071】
前記ピニオン52a,52b,52cは、駆動ホイール101の外周面上の一部に形成された駆動ギア100から回転動力が伝えられる。駆動ホイール101は、図3及び図14に示したように、前記カム体143と同軸にしてユニットフレーム31に取り付けられている。具体的には、図21に示したカム体143が図32に示した駆動ホイール101の軸129に嵌合して一体化され、両者が共通軸の回りに前記モータ43を動力源として一体的に回転するように形成されている。
【0072】
図3は駆動ギア100とピニオン52a,52b,52cとが噛み合っていない状態であり、図14は駆動ギア100とピニオン52a,52b,52cとが噛み合っている状態である。駆動ギア100とピニオン52a,52b,52cとが噛み合っている状態で該駆動ホイール101が回転すると、ワイピング装置35のスライド部材46が往復移動し、両者が噛み合っていない状態で駆動ホイール101が回転してもスライド部材46は停止している。
【0073】
本実施の形態では、カム体143と駆動ホイール101とは、前記の如く両者が一体化された状態における回転方向への位相が、図14に示したように、前記キャップ駆動カム64により前記サブフレーム91が下方に押し下げられ、キャッピング装置37が記録ヘッドから退避した状態のときに、駆動ギア100とピニオン52a,52b,52cとが噛み合うように構成されている。従って、キャッピング装置37が記録ヘッド54から退避して、記録ヘッド54のノズル形成面94の下にできる空間部93をワイピング動作のための空間として有効に利用することができる。
【0074】
また、図32に示したように、前記ピニオン52a,52b,52cは、軸35を共通にし、該軸35の両端をピニオン支持フレーム130で軸支することによって、当該ピニオン支持フレーム130に回転可能に支持されている。さらに該ピニオン支持フレーム130は、前記カム体134および駆動ホイール101と共通の軸の回りに、該カム体134および駆動ホイール101の回転に接触摩擦によって引きずられて少し回転できるように取り付けられている。ピニオン支持フレーム130の一側には、突起131が設けられ、該突起131がサイドフレーム33に設けられた図示しない孔に、当該ピニオン支持フレーム130の前記回転方向に少しのクリアランスをもって挿入係止されている。
【0075】
従って、ピニオン52a,52b,52cは、その支持フレーム130の少しの回転により、その位置を移動できるように構成されている。このように構成した理由は以下の通りである。前記ピニオン52a,52b,52cを前記メインラック85及び差動ラック86と噛み合わせて一方に送り出すときに、前記ラックの最後の歯まで使って送り出すと、送り出し終了時点でピニオンは前記ラックの最後の歯から外れてしまう。従って、そのままピニオンを逆転させてもラックとは噛み合えないため、復動させることができない。そこで、ピニオンを少し移動させて前記ラックの最後の歯部分と歯合できるようにしている。これにより、ラックの最後の歯まで使って送り出しをしても容易に復動させてもとに戻すことができる。
【0076】
次に、図3および図10乃至図20に基づいて、当該インクジェット式記録装置におけるワイピング動作とラビング動作を説明する。図3は、キャッピング装置37が、記録ヘッド54に向かって進出してノズル形成面94を封止した状態である。駆動機構部200は初期位置の状態にある。駆動用モータ43を駆動させてカム体143と駆動ホイール101を一体的に共通軸の回りに回す。
【0077】
図10は、最初のカム制御状態を示す。カム体143が初期位置から少し回転して、バルブ駆動カム62がカムフォロア71を介してレバー66を押し下げた状態である。これにより、バルブ部材56が閉弁状態から開弁状態に変わる。このとき、サブフレーム92は動かないので、キャッピング装置37は、記録ヘッド54のノズル形成面94を封止したままである。
【0078】
図11は、カム体143が更に少し回転してキャップ駆動カム64の手前にある突曲面63がカムフォロア91に押し当たり、これによりサブフレーム92を少し下げた状態である。これにより、キャッピング装置37は記録ヘッド54のノズル形成面94から離れる。この状態で記録部2において記録動作が行われる。このとき前記バルブ駆動カム62は、前記カムフォロア71を外れているので、バルブ部材56は閉弁状態に戻っている。
【0079】
図12は、カム体143が更に少し回転して、キャップ駆動カム64の先端がカムフォロア91に押し当たり、これにより、サブフレーム92を更に押し下げた状態である。これにより、キャッピング装置37は大きく記録ヘッド54から退避してノズル形成面94の下にワイピング動作に利用できる空間部93ができる。
【0080】
図13は、駆動ホイール101の駆動ギア100がピニオン52a,52b,52cと噛み合いを開始し、スライド部材46が往動方向へ移動を始めた状態を示す。
【0081】
図14は、駆動ホイール101がさらに回転されて、スライド部材46が更に移動し、記録ヘッド54のノズル形成面94に対してワイピング動作を行っている状態を示す。このとき、既に説明したように(図5乃至図8)、ワイピング部材36は、該ワイピング部材36自体と前記バネ49の両方の弾性力を利用して当該ワイピング部材36を記録ヘッド54のノズル形成面94に押し付けられるので、ワイピング部材自体だけの弾性力で押し付ける従来構造に比して、ノズル開口におけるインクのメニスカスを確実に安定させることができる程度にソフトで且つ適切な強さで該ワイピング部材36を押し付けることができる。
【0082】
図15は、ワイピング動作が終了し、更にワイピング部材36がインク除去部材55によって、その能力を回復された状態を示す。インク除去部材55によるワイピング部材36の能力回復動作については、図22乃至図25に対応する説明部分で既に説明した。
【0083】
図16は、図15に示した状態から駆動ギア100を逆転させてスライド部材46を復動させ、ノズル形成面94に対してラビング動作をしている状態を示す。このとき、既に説明したように(図5乃至図8)、前記回動規制手段により前記ワイピング部材36の回動を規制して該ワイピング部材36を剛的に支持された状態にするので、該ワイピング部材36は垂直状態でその先端縁部分がノズル形成面94に強く押し付けられ、もってノズル形成面94に強固に固着した異物を確実に擦り取ることができる。尚、このラビング動作は、ワイピング動作に続いて常に行われるものではなく、必要なときに行えるように構成されている。
【0084】
図17は、図15の状態から更に駆動ギア100を正転させ、スライド部材46が、その有するメインラック85とピニオンとの歯合状態が終わる位置まで送り出されて停止した後も前記差動ラック86と前記ピニオンとの噛み合いによって該差動ラック86だけを往動させ、ワイピング部材36を往動方向に大きく回動させて傾斜させた状態を示す。
【0085】
図18は、駆動ホイール101を更に少し正転させ、後述するセレクト装置300のセレクトカムをリセットした状態を示す。
【0086】
図19は、図18の状態から駆動ホイール101を逆転させ、駆動ギア10をピニオンと噛み合わせて更に逆転を続けることで、ワイピング部材36を図のように傾斜させたままスライド部材46を復動させている状態を示す。このようにワイピング部材36を傾斜させた状態のまま復動させることが可能なのは、図6および図8に示したように差動ラック86の歯数をメインラック85の歯数より多くしたことに因る。すなわち、図8に示したように、差動ラック86がメインラック85より先方に送り出された状態でピニオンを逆転させると、両ラック86,85がそのままの関係で共通のピニオンにより一緒に送り戻されるので、前期ワイピング部材36は、前期傾斜状態を維持したまま復動される。この傾斜状態のまま復動させることにより、ワイピング動作の終了したノズル形成面94にワイピング部材36を接触させることなく、当該ワイピング動作を終了させることができる。
【0087】
図20は、ワイピング部材36が記録ヘッド54の下を通り過ぎ、ワイピング部材36が再び元の前記スライド部材46との直交状態に戻りつつある状態を示す。図19に示したように、スライド部材46および差動ラック86は、一緒に復動されるが、スライド部材46がメインラック85の全長分だけ移動し、該メインラック85の終端がピニオンとの歯合を終了すると、スライド部材46はその移動を停止する。しかし、この時点では図8から明らかなように、差動ラック86は未だピニオンと歯合状態にある。従って、スライド部材46は停止したまま差動ラック86だけが復動を継続する。この差動ラック86だけの復動により、傾斜状態にあったワイピング部材86が、支持部81を支点にして回動して前記直交状態に戻る。ワイピング部材36が前記直交状態に戻り切る時点で、差動ラック86は、その終端の歯88とピニオンとの歯合が終了し、その移動を停止する。また、この時点で駆動ギア100とピニオンとの歯合状態も終わるようになっており、この後は、駆動ホイール101は回転するがピニオンは回転しない状態となる。駆動ホイール101と一体にカム体134も回転しているため、既に図10ないし図13で説明したカム動作の逆をたどり、この後、図13の状態から図10の状態へと逆に進んで、最終的に図3に示した初期状態に戻る。
【0088】
次に、セレクト装置300と駆動機構部200の関係を図26乃至図31および図33乃至図36に基づいて説明する。既に説明したように、本実施の形態では、図4に示したようにマルチノズルヘッドに対応すべく、ワイピング装置35は、1つのワイピング部材36と、それに対応するスライド部材46との組を1つのワイピングユニットとして、3つのワイピングユニットを備えている。この3つのワイピングユニットの吐出特性の変動は、通常一様ではないため、ワイピング動作が必要となるタイミングは異なる。従って、マルチノズルヘッドの内、ワイピング動作が必要なノズル列のヘッドに対応するワイピング部材36を有するワイピングユニットだけを往復動させて、他は停止させておくようにすれば無駄がない。
【0089】
当該セレクト装置300は、このように必要なワイピングユニットだけ選択して駆動させることができるようにするためのものであり、1つ以上から全数の3つまでの、総ての組み合わせで、駆動させるべきワイピングユニットを選択可能に構成されている。
【0090】
当該セレクト装置300は、図28の分解斜視図に示したように、前記した構造の駆動ホイール101と、該駆動ホイール101の軸129(図32)に回転可能に軸支されるセレクトカム111と、該セレクトカム111に対応するカムフォロアを有する3つのセレクトレバー72,172,272と、該セレクトレバー72,172,272をリセットさせるためのリセットレバー122を備えている。図28においては、軸129は図示を省略されている。
【0091】
セレクトカム111は、図29に示したように、円筒形状の外周面が機能的に周方向に3分割された第1カム部126、第2カム部127及び第3カム部128を有している。第1カム部126は、図28に示したように、セレクトレバー72に対応し、第2カム部127はセレクトレバー172に対応し、第3カム部128はセレクトレバー272に対応している。
【0092】
第1カム部126は、3つのカム溝112,113,114を周方向に離間して有している。第2カム部127は、カム溝124,123を周方向に離間して有している。第3カム部128はカム溝125を有している。カム溝124は、カム溝112と周方向の一端側を一部同位置にして形成されていると共に、他端側をカム溝125の一端側と一部同位置にして形成されている。カム溝125の周方向の中央部は、カム溝113と同位置に形成され、該カム溝125の他端部は、他のカム溝と同一位置にならずに単独で形成されている。カム溝114及びカム溝123も、図29に示したように、他のカム溝と同一位置にならずに単独で形成されている。このように各カム溝を配置することにより、後述するカムフォロアとの組み合わせで、ワイピングユニットをどれか1つ、又は任意の組み合わせで2つ、更に全数の3つまで、総ての選択ができ、これにより駆動させるべきワイピングユニットを適宜選択できるように構成されている。
【0093】
セレクトカム111は、駆動ホイール101の軸129(図32)に回転可能に軸支されるが、該駆動ホイール101と前記カム体134の間に位置する状態で配設されている。図3においては、該セレクトカム111はカム体143の後方に隠れて見えない位置に在る。
【0094】
図28に示したように、該セレクトカム111の駆動ホイール101と対向する面には、係止用のリブ115が突設され、駆動ホイール101側には突起117が突設されている。そして、該セレクトカム111は、駆動ホイール101の図28及び図26における反時計方向への回転により、その突起117が前記リブ115に係止して該リブ115を押し、これにより駆動ホイール101と一緒に回転するように組み付けられている。
【0095】
また、セレクトカム111の外周面上には、係止用突起116が突設されている。サイドフレーム33の内面に固定された図示しないアームの先端部に設けられたストッパ119が、図26に示した位置に設けられている。そして、該セレクトカム111が、図26における時計方向へ回転したときに、前記係止用突起116が前記ストッパ119に係止し、当該セレクトカム111は、時計方向については、このストッパ119への係止位置で停止するように組み付けられている。
【0096】
また、セレクトカム111の第1カム部126、第2カム部127及び第3カム部128に設けられた前記各カム溝は、いずれも該セレクトカム111が前記反時計方向に回転するときは、後述する各セレクトレバー72,172,272の各カムフォロア120,220,320の係止部が、当該セレクトカム111のカム溝および外周面に順次当接係合しつつ回転できるが、該セレクトカム111が前記時計方向に回転するときは、前記各カムフォロア120,220,320の係止部が前記カム溝に係合している状態では、当該セレクトカム111は回転が規制される形状に構成されている。このときは、セレクトカム111は停止状態で、駆動ホイール101だけが前記時計方向に回転する。
【0097】
さらに、該セレクトカム111は、図示しないリターンバネを具備し、該リターンバネのバネ力により、図26における時計方向への付勢力を受けた状態で組み付けられている。従って、セレクトカム111は、駆動ホール101の前記突起117からの回転力や、後述するセレクトレバー72,172,272側のカムフォロアによって、その回転位置に拘束する力から開放されたとき、前記リターンバネのバネ力により、図26における時計方向へ回転して、前記係止用突起116が前記ストッパ119に係止し、その状態に保たれるように構成されている。図26は、この状態を示しており、セレクトカム111が、その係止用突起116を前記ストッパ119に係止した状態で、且つ駆動ホイール101の前記突起117がセレクトカム111側のリブ115に係止している状態は、該セレクトカム111の動作制御上の基準位置すなわち初期位置とされている。
【0098】
図28ないし図30に示したように、セレクトレバー72,172,272は、前記セレクトカム111の第1カム部126,第2カム部127および第3カム部128の各カム溝に、それぞれ対応して係合する第1カムフォロア120,第2カムフォロア220及び第3カムフォロア320を備えている。また、セレクトレバー72,172,272は、前記サイドフレーム32,33間に架設された支点軸73の回りに揺動可能に形成され、基端側に設けられたバネ76の付勢力により先端作用部74が上方に向かう力を受けるように形成されている。
【0099】
図26は、セレクトレバー72,172,272の第1カムフォロア120,第2カムフォロア220及び第3カムフォロア320の各係止部の総てが、セレクトカム111の前記カム溝から外れて一様な外周面と当接係合している状態である。この状態は、セレクトレバー72,172,272の各先端作用部74を前記バネ76の付勢力に抗して、下方に退避させた状態である。この退避状態は、前記先端作用部74が、ワイピング装置35の各ワイピングユニットの下面、本実施の形態ではスライド部材の下面と非当接状態となることに対応する。
【0100】
従って、この状態では、各ワイピングユニットは、前記ワイピング部材36側が図示しない押さえ板バネにより下方の規制位置まで下げられた状態となるため、当該ワイピングユニットの前記メインラック85および差動ラック86は、前記ピニオン52a,52b,52cと歯合状態を維持する。これは、ワイピング動作の観点からは、図4に示した3つのワイピングユニットを全部作動させる状態に対応する。
【0101】
図27は、セレクトレバー72の第1カムフォロア120の係止部121およびセレクトレバー172の第2カムフォロア220の係止部(図27においては係止部121と重なって見えない)を、第1カム部126のカム溝112および第2カム部127の前記カム溝112と同位置にあるカム溝124にそれぞれ同時に係合させ、これによりセレクトレバー72,172の各先端作用部74を前記バネ76の付勢力によって上方に進出移動させた状態を示す。この進出量は、前記係止部121がカム溝に入り込む量に対応する。一方、セレクトレバー272は、その係止部321がセレクトカム111のカム溝内ではなく外周面に係合しているため、該セレクトレバー272に対応する先端作用部74は、前記の如く対応するワイピングユニットの下面とは非当接状態にある。
【0102】
この状態では、セレクトレバー72,172に対応する各ワイピングユニットの前記メインラック85および差動ラック86は、前記ピニオン52a,52bとは噛み合わない状態、すなわち非歯合状態となっているため、ワイピング動作の観点からは、前記セレクトレバー272に対応するワイピングユニットだけが動作して往復移動し、他は非作動状態となることに対応する。
【0103】
該第1カムフォロア120,第2カムフォロア220及び第3カムフォロア320は、その位置が、各セレクトレバー72,172,272の相対位置とは異なって、図30に示したように、駆動ホイール101寄りに局在化されて並設されている。この局在化位置は、セレクトカム111の第1カム部126,第2カム部127および第3カム部128の占める幅に相当し、これによりセレクトカム111の前記幅を小さく設計することを可能にしている。
【0104】
また、最も駆動ホイール101側の位置には、図30に示したように、更にリセットレバー122が前記支点軸73に回動自在に設けられている。このリセットレバー122は、前記セレクトレバー72,172,272のセレクト状態をリセットするためのものである。この実施の形態では、リセット状態は、第1カムフォロア120,第2カムフォロア220及び第3カムフォロア320が、総てセレクトカム111の前記カム溝から外れて一様な外周面と当接係合している前記図26に示した状態である。従って、このリセット状態は、ワイピング動作の観点からは、3つのワイピングユニットを全部作動させるセレクト状態に対応する。
【0105】
当該セレクト装置300によるセレクト動作の初期位置は、前記の如く、セレクトカム111及び駆動ホイール101が、図26に示した状態あるときとして設定されている。すなわち、セレクトカム111が、その係止用突起116を前記ストッパ119に係止した状態で、且つ駆動ホイール101の前記突起117がセレクトカム111側のリブ115に係止している状態が、該セレクトカム111によるセレクト動作制御上の初期位置とされている。
【0106】
そして、図26に示した初期位置の状態にある当該セレクト装置300が、図3に示した初期位置の状態にある前記駆動機構部200の前記カム体143の後方に、当該セレクトカム111を位置させて、当該駆動機構部200に組み付けられている。このようにセレクト装置300を駆動機構部200に組み付けることにより、図3に示された前記カム体143の初期位置から、当該カム体143を前記バルブ駆動カム62およびキャップ駆動カム64を作動させる正転方向(前記時計方向)とは逆方向に回転させると、当該セレクトカム111が前記駆動ホイール101の前記突起117によって押されて連動回転する。このとき前記バルブ駆動カム62およびキャップ駆動カム64は、前記各カムフォロア71,91とは当接係合しないため、非作動状態となる。
【0107】
従って、1つのカム体143の前記バルブ駆動カム62およびキャップ駆動カム64が設けられている部分以外の部分を無駄なく利用し、且つ前記バルブ駆動カム62およびキャップ駆動カム64を作動させずに、当該セレクトカム111だけ作動させてワイピングユニットのセレクト動作を実行することができる。
【0108】
具体的には、図3および図26の初期位置の状態は、3つのワイピングユニットがワイピング動作する状態であり、この状態でカム体143を前記時計方向に回転させれば、図3および図10乃至図20に基づいて既に説明したように3つのワイピングユニットがキャッピング装置37の退避動作等に続いてワイピング動作を開始する。一方、図3および図26の初期位置状態から、先ずカム体143を反時計方向に回転させれば、前記ワイピング動作に先だって、セレクト動作が実行されることになる。
【0109】
そして、該セレクトカム111によって所定のセレクト動作が行われた後、カム体143を時計方向に正転させる。このときセレクトカム111は、前記セレクトレバー72,172,272の各カムフォロア120,220,320のいずれか1つ又は2つとの前記係合によって時計方向への回転は規制されるため、そのセレクト状態が維持される。このようにしてセレクトされたワイピングユニットだけが前記ワイピング動作を実行される。
【0110】
次に、図31および図32乃至図36に基づいて、当該セレクト装置300の作用を説明する。図31は、図26と同じ初期位置の状態にある当該セレクト装置300を示す。当該セレクト装置300は、前記カム体143との関係では、図3に示した前記カム体143のワイピング動作に対する初期位置の状態に対応する。
【0111】
この状態で、カム体143を反時計方向に回転させると、該カム体143と一体的に回転する駆動ホイール101の突起117が、セレクトカム111側のリブ115を押して、該セレクトカム111を、図示しない前記リターンバネの付勢力に抗して反時計方向に回転する。これにより、セレクトカム111の前記カム溝に、予め選ばれたセレクトレバー72,172,272の各カムフォロア120,220,320のいずれか1つ又は2つが係合する。
【0112】
図33は、セレクトレバー72,172の各カムフォロア120,220がカム溝112およびカム溝124に同時に係合し、セレクトレバー272のカムフォロア320だけ、セレクトカム111の外周面に当接係合している状態を示す。このように係合したセレクトレバー72,172の各先端作用部74は、上昇し、対応するワイピングユニットのワイピング部材36側を押し上げる。これにより、前記ラック−ピニオンの歯合状態が解除されるため、該ピニオンが回転しても対応するワイピングユニットは非作動状態となる。
【0113】
一方、図33において、セレクトカム111の前記カム溝に係合しないカムフォロア320を有するセレクトレバー272に対応するワイピングユニットだけは、前記ラック−ピニオンの歯合状態を維持されるため、前記ワイピング動作が実行される対象である。
【0114】
前記セレクト動作が終わると、カム体134および駆動ホイール101は時計方向に回転される。図34は、この状態を示している。これにより、カム体143が図3に示した初期位置に戻り、更に時計方向に回転させることにより、図3および図10乃至図20に示したバルブ部材56の開閉、吸引ポンプ75による吸引動作、キャッピング装置37の記録ヘッド54からの退避動作、ワイピング動作、インク除去部材55によるワイピング部材36からのインク除去動作、更に必要に応じてラビング動作が実行される。
【0115】
この実施の形態では、前記リセットレバー122によるセレクトレバー72,172のリセットは、図35に示したように、以下の構成で行われるようになっている。駆動ホイール101には図28に示したようにリセット用カム118が設けられている。該リセット用カム118は、ワイピング動作により、ワイピングユニットが往動し、前記ワイピング部材36を往動方向に傾斜させた前記図17に示した状態から、更にカム体143と一緒に駆動ホイール101をそのまま時計方向に回転すると、当該リセット用カム118が前記リセットレバー122を押して回動するように構成されている。
【0116】
このリセット用カム118によるリセットレバー122の回動により、各カムフォロア120,220は、前記カム溝との係止状態を解除される。これにより、セレクトカム111は、図示しないリターンバネの付勢力132によって、その係止用突起116が前記ストッパ119に当接する位置まで瞬時に戻される。図35は、この状態を示している。
【0117】
この後、駆動ホイール101は、反時計方向に回転され、その突起117を元の位置に戻っているセレクトカム111側のリブ115に当接させて停止される。図36は、この状態を示している。これにより、当該駆動機構部200およびセレクト装置300は、図3および図26に示した初期位置の状態に戻る。
【0118】
[実施の形態2]
続いて、本発明の実施の形態2に係るインクジェット式記録装置について、図37乃至図48に基づいて説明する。なお、インクジェット式記録装置の基本構成は、前記した実施の形態1に示されたものとほぼ同様であり、したがって、以下においてはワイピング手段(装置)、キャッピング手段(装置)、負圧発生手段(装置)としての吸引ポンプ等をユニット化したクリーニングユニットの全体構成と、前記した各手段(装置)の具体的な構成について説明する。
【0119】
図37はクリーニングユニットの全体構成と、これに対向するキャリッジの構成とを主走査方向と直交する方向から透視状態で示したものである。図37に示す実施の形態においては、キャリッジに搭載された記録ヘッドのノズル形成面が水平線に対して65度の傾斜を持って配置されており、これに対応してクリーニングユニットも同角度を持って配置されている。
【0120】
まずキャリッジ501は、その外郭がほぼ偏平形状に構成され、その二辺にガイド受け部502a,502bが形成されている。そして、互いに軸芯が水平方向に対して65度の関係を持って平行状態に配置された2本キャリッジガイド軸503a,503bを前記ガイド受け部502a,502bが摺動可能に支承しており、これによりキャリッジ501は、2本のガイド軸503a,503bに沿って主走査方向に往復移動されるように構成されている。
【0121】
キャリッジ501のほぼ中央部には記録ヘッド504が搭載されており、周知のとおりこの記録ヘッド504によって、副走査方向に順次送られる記録用紙(図示せず)に対して印字記録が実行される。なお、図37は、後述するキャッピング手段によって、記録ヘッド504のノズル形成面504aをキャッピングした状態を示している。
【0122】
クリーニングユニット507の主要部は、鎖線でその一部を示したユニットフレーム508によって一体に保持されており、このクリーニングユニット507は記録装置の一端部における印字領域外(ホームポジション)に配置されている。
【0123】
ユニットフレーム508のほぼ中央部には、後述する駆動ギヤ、キャップ駆動カム、バルブ駆動カムなどを備えた駆動部509がユニットフレーム508に軸支された1つの支持軸510上に回転可能に支持されている。そしてこの駆動部509は、図には現れていないがユニットフレーム508の内側壁に取り付けられた駆動モータの動力を受けて、往復方向に回転駆動されるように構成されている。
【0124】
前記ユニットフレーム508における上部のガイド軸503aに対向する部分には、後述するワイピング手段511が配置されており、また前記駆動部509の上部には後述するキャッピング手段514の内部空間を吸引して負圧状態を実現する吸引ポンプ512が配置されている。そして、これらワイピング手段511および吸引ポンプ512は、共に前記ユニットフレーム508に取り付けられている。
【0125】
なお、前記吸引ポンプ512は、一対のローラ512aによって円弧状に配置された可撓性チューブ512bを順次押しつぶす動作をなすことで、ポンプ作用を実現するいわゆるチューブポンプが用いられている。
【0126】
一方、ユニットフレーム508の上端部には、係止突起508aが形成されており、この係止突起508aには、その端部に鉤状の係止部513aを備えた鎖線で示すサブフレーム513が、片持ち形式で回動可能となるように係止されている。そして前記サブフレーム513の回動自由端側には、記録ヘッド504のノズル形成面504aをキャッピングするキャッピング手段514が取り付けられている。
【0127】
また、ユニットフレーム508に保持された前記駆動部509、ワイピング手段511および吸引ポンプ512に囲まれた空間には、セレクト機構515が配置されており、このセレクト機構515はフレーム508に取り付けられた支軸516を介して駆動されるように配置されている。
【0128】
さらに、ユニットフレーム508には、前記ワイピング手段511の動作によりノズル形成面を払拭したワイピング部材より、インクを掻き取るインク除去部材517が一体に形成されており、またユニットフレーム508の端部には、前記インク除去部材517との接触が解かれた際に、ワイピング部材より飛翔するインク滴を受け止めるインク吸収材518も配置されている。
【0129】
図48は、前記キャッピング手段514の外観構成と、このキャッピング手段514を保持してキャッピング手段514を記録ヘッド504側に進退可能に駆動するサブフレーム513を含む駆動機構の構成を示している。前記サブフレーム513には、上部に向かって延出された一対の腕状部521が形成されており、この腕状部521の先端部には、それぞれ牽引バネ522の一端が係止され、また牽引バネ522のそれぞれの他端は前記ユニットフレーム508に係止されている。したがってサブフレーム513は鉤状係止部513aを支点として牽引バネ522の作用により、サブフレーム513の自由端側が記録ヘッド504側に付勢されるようになされている。
【0130】
サブフレーム513の自由端側に形成された一対の窓孔部523には、キャッピング手段514の両外側に向けて形成された一対の円柱状突起524が嵌め込まれ、サブフレーム513に対してキャッピング手段514が取り付けられている。
【0131】
また、ユニットフレーム508の内側面には、対向するように一対のガイドレール525が取り付けられており、このガイドレール525には、凹陥状のガイド部525aがそれぞれ形成されている。また前記キャッピング手段514の両外側に向けて函状突起526がそれぞれ形成されており、この一対の函状突起526が前記ガイドレール525に形成されたガイド部525aに入り込んだ形で組み上げられている。
【0132】
したがって、前記サブフレーム513が鉤状係止部513aを支点として回動した場合において、キャッピング手段514はガイドレール525に形成されたガイド部525aに沿って移動し、キャッピング手段514を記録ヘッド504に向かって進退する動作がなされる。
【0133】
一方、サブフレーム513の内底部のほぼ中央には、図37にも示すように長手方向に沿ってフォロワホルダ531が取り付けられており、このフォロワホルダ531には円柱状に形成されたフォロワ532が回転可能に取り付けられている。また、前記フォロワホルダ531の端部において、支点533を介してバルブレバー534が回動可能に取り付けられており、このバルブレバー534のほぼ中間部には、駆動部509に配置された後述するバルブカム539によって押し下げられる突起部535が形成されている。なお図には示されていないが、前記バルブレバー534は、バネ圧によってその自由端側がキャッピング手段514側に付勢されるように構成されている。
【0134】
また、前記バルブレバー534は二つの部材により構成されており、その自由端側の部材536における先端部はL字状に形成されて、このL字状部537によって後述するバルブ作動子を牽引できるように構成されている。
【0135】
図48に示すように駆動部509には、キャップ駆動カム538およびバルブ駆動カム539が軸方向に隣接するようにして配置されており、前記キャップ駆動カム538は、その回転駆動によってフォロワホルダ531に取り付けられたフォロワ532に当接し、またバルブ駆動カム539は、その回転駆動によってバルブレバー534のほぼ中間部に形成された突起部535に当接するように構成されている。
【0136】
よって、前記駆動部509が回転駆動されることで、キャップ駆動カム538の外径形状にしたがってフォロワ532が押し下げられ、これに伴いサブフレーム513も鉤状係止部513aを支点として押し下げられる。これにより、キャッピング手段514による記録ヘッド504のノズル形成面504aの封止が解かれ、キャッピング手段514は退避する動作がなされる。またキャップ駆動カム538が回転移動して、そのカム面が小径部の位置に達した場合には、前記した牽引バネ522の作用により、サブフレーム513の自由端側が記録ヘッド504側に戻され、これによりキャッピング手段514は記録ヘッド504側に進出して、記録ヘッド504のノズル形成面504aを封止するように作用する。
【0137】
また同様に、前記駆動部509が回転駆動されることで、バルブ駆動カム539の外径形状にしたがってバルブレバー534が押し下げられ、これに伴い前記L字状部537は後述するバルブ作動子を牽引し、キャッピング手段514内に配置された後述するバルブ部材を開弁させるように作用する。また、バルブ駆動カム539が回転移動して、そのカム面が小径部の位置に達した場合には、バルブレバー534は後述するバルブ作動子の牽引を停止し、キャッピング手段514内に配置された後述するバルブ部材を閉弁させるように作用する。
【0138】
次に、図39はキャッピング手段514の構成を分解状態で示したものである。図39に示すようにキャッピング手段514には、上部が開放された直方体状のキャップフレーム541が具備され、このフレーム541の両外側に前記した函状突起526がそれぞれ一体に形成されている。フレーム541内には同様に上部が開放された直方体状のスライダ542が、いわゆる入れ籠状態に配置されている。
【0139】
そして、フレーム541の各四隅近傍にそれぞれ垂直方向に開口された窓孔541aに、スライダ542の各四隅近傍にそれぞれ水平方向に突出するように形成された係止体542aが入り込んで、フレーム541に対してスライダ542が分離されずに、かつ上下方向に移動できるように構成されている。なお、フレーム541とスライダ542との間には図には示されていないが、若干のバネ力が働かされてフレーム541に対してスライダ542が突出するように付勢されている。
【0140】
また、スライダ542内には3つのバルブ保持部材543が収納されており、このバルブ保持部材543に形成された中空円筒部543a内に、頭部が偏平状に成形されたバルブ部材544がそれぞれ摺動可能となるように収納されている。前記各バルブ部材544の下端部にはネック部が形成され、バルブ保持部材543の下面側においてリンク部材545に形成された狭窄部545aに、このネック部がそれぞれ嵌め込まれて取り付けられている。
【0141】
前記リンク部材545には、それぞれ対向するようにして三対の支点突部545bが形成されており、この一対ごとの支点突部545bが各バルブ保持部材543の下面側で回動可能に支承されている。したがって、リンク部材545を支点突部545bにおいて回動動作させることで、バルブ部材544は、バルブ保持部材543に形成された中空円筒部543a内を上下に移動するように動作する。
【0142】
前記リンク部材545の自由端側には、バルブ作動子546が支軸546cを介して取り付けられている。このバルブ作動子546は、二段の梯子状に構成されており、上部の水平部材546aおよび下部の水平部材546bは、前記スライダ542およびフレーム541を貫通してフレーム541の下底部側に突出した状態に構成されている。
【0143】
そして図37に示したように、各水平部材546a,546bの間にバルブレバー534におけるL字状部537の先端部が入り込んだ構成とされている。これによりバルブレバー534の動作によって、バルブ作動子546が牽引され、前記バルブ部材544を引き下げることで、後述するようにキャッピング手段の内部空間を大気に開放することができるように構成されている。
【0144】
また、前記バルブ保持部材543は、それぞれキャップ部材547の下底面に嵌め込まれて一体に構成され、各キャップ部材547の上部には、そのシール部が方形状に形成された軟質ゴム性のシール部材548が嵌め込み手段により取り付けられている。そして、各キャップ部材547は、前記シール部材548が上部に臨むように窓孔549aが配置され、前記スライダ542に嵌め込み手段によって結合されたキャップ保持体549によって保持された構成とされている。
【0145】
なお、前記各キャップ部材547の下底部には、図には現れていないが大気開放口が形成されており、前記バルブ部材544の偏平状の頭部が前記大気開放口を閉塞した状態で閉弁状態とされ、また前記したようにバルブレバー534の作動によりバルブ作動子546が牽引されることによって開弁され、キャッピング手段の内部空間が大気開放される。
【0146】
また、前記各キャップ部材547の下底部には、図には現れていないがそれぞれ吸引口が形成されており、この各吸引口には図1に示した吸引ポンプ512に、図示せぬチューブを介して接続されており、前記吸引ポンプ512の作動によってキャッピング手段の内部空間が負圧に吸引されるように構成されている。
【0147】
次に、図40および図41は、ワイピング手段511とその駆動構成を、一部分解した状態で斜視図によって示している。このワイピング手段511は、外郭が偏平状の直方体形状になされたフレーム555内に、それぞれ同一構成になされたワイピングユニット556が並列状態に3組配列されている。なお、図40においては、1つのワイピングユニット556をフレーム555から抜き出し、一部を分解した状態で示している。
【0148】
このワイピングユニット556には、キャリッジの移動方向に直交する副走査方向に移動するスライド部材557が具備されており、図41に示すように、このスライド部材557には、その長手方向に沿ってメインラック558が配置されている。
【0149】
スライド部材557の長手方向に摺動可能となるように、前記メインラック558と同一ピッチに形成された差動ラック559が、メインラック558に隣接するように配置されており、この差動ラック559は、メインラック558に形成されたラックの歯数に比較して若干その歯数が多く形成されている。すなわち、前記メインラック558に形成された歯数が、例えば16個であるとすれば、差動ラック559の歯数は19個具備されており、図5に示すように差動ラック559には、メインラック558のラック歯に比較して3つの歯数が余分に配置されている。
【0150】
一方、前記スライド部材557の先端部には、一対のホルダ支軸部が557a,557bが形成されており、このホルダ支軸部557a,557bには、短冊状に形成されたワイピング部材560を保持したホルダ部材561が回動可能に軸支されている。なお、前記ワイピング部材560は、一側面がゴムなどのワイピング用素材560aにより構成され、他側面がフェルトなどのラビング用素材560bにより構成され、これらが貼り合わせて一体に構成されている。
【0151】
そして、前記ホルダ部材561の自由端側には、アーム部材562の一端が軸支されており、このアーム部材562の他端には、アーム部材562の長手方向に沿って長孔562aが形成されている。
【0152】
図41に示すように、前記長孔562a内には、前記差動ラック559の先端部に形成された軸体559aが、長孔562aに遊嵌するように挿入されている。また、差動ラック559の先端部に形成された前記軸体559aの基部と、アーム部材562の長手方向のほぼ中央部に形成されたバネ受け部562bとの間には、その両端を拡開方向に付勢するコイル状の加重バネ563が配置されている。
【0153】
すなわち、前記アーム部材562は長孔562aの長手方向のストロークの遊びを持って前記差動ラック559に係止されており、このストロークの遊びの範囲で前記ワイピング部材560が加重バネ563の付勢力を受けるように構成されている。
【0154】
なお、図40および図41に示す状態においては、ホルダ部材561の自由端側がアーム部材562によって牽引され、ワイピング部材560が記録ヘッドのノズル形成面に直交するよう規制されており、前記メインラック558、差動ラック559、ホルダ部材561およびアーム部材562の組み合わせにより、ワイパ角度制御機構を構成している。
【0155】
また、フレーム555の上部には、三ツ又状に形成されたリーフ状の押さえバネ564が配置されており、この押さえバネ564によって各ワイピングユニット556は押し下げられた状態に保持されている。
【0156】
一方、図40に示すように、前記駆動部509には、ほぼ90度の角度の範囲を持って駆動ギヤ567が形成された駆動ホイール568が具備されており、この駆動ホイール568に摺動して摩擦クラッチ機構を構成したピニオン群の支持フレーム569が具備されている。すなわち支持フレーム569は、摩擦クラッチ機構の作用により駆動ホイール568の回転方向に引きずられるように作用し、支持フレーム569の一部に設けられたストッパ569aが、前記ユニットフレーム508の一部に形成された窓孔(図示せず)内に臨むように配置されている。そして、前記窓孔にストッパ569aが当接してその回動が規制されるわずかな回動範囲において、支持フレーム569がホイール568の回転方向に引きずられ回動できるように構成されている。これにより、支持フレーム569は遊星機構を構成している。
【0157】
前記ホイール568の回転駆動により、支持フレーム569に支持されたピニオンギヤ570が駆動ギヤ567に噛み合って回転駆動され、このピニオンギヤ570と同軸上に配置された3つのピニオンギヤ571a,571b,571cも同方向に回転駆動される。この場合、3つのピニオンギヤ571a〜571cのそれぞれは、3組配列されている前記したそれぞれのワイピングユニット556を駆動するものであり、これによりワイピングユニット556によって、記録ヘッドのワイピング動作等が実行される。
【0158】
なお、図37に示したセレクト機構515には、支軸516の長手方向に3組のセレクトレバー515aが配置されており、支軸516を介したそれぞれのセレクトレバー515aの回動動作によって、3組のワイピングユニット556のいずれかが、前記押さえバネ564の付勢力に抗して選択的に押し上げられるように構成されている。
【0159】
このセレクトレバー515aによる押し上げ作用を受けたワイピングユニット556におけるメインラック558および差動ラック559は、それぞれに対向するピニオンギヤ571a,571b,571cとの噛み合いが解かれ、ワイピングユニット556の往復動作は実行されないようになされる。換言すれば、セレクト機構515における各セレクトレバー515aの状態を選択することにより、3組のワイピングユニット556のいずれか1つまたは2つ或いは全部を同時に駆動するように選択することができる。
【0160】
図42乃至図48は、前記のように構成されたクリーニングユニットにおける主にワイピング手段511の作用を順をおって示している。なお図42乃至図48は、図37に示した状態に対して主走査方向において反対方向から視た状態で示している。
【0161】
まず図42は、キャッピング手段514によって記録ヘッド504のノズル形成面504aをキャッピングしたキャッピング状態を示している。このキャッピング状態においては、サブフレーム513の鉤状係止部513aを支点として牽引バネ522の作用により、サブフレーム513の自由端側に配置されたキャッピング手段514が記録ヘッド504側に付勢される。これによりキャッピング手段514に配置された軟質ゴム性のシール部材548が記録ヘッド504のノズル形成面504aに密着した状態になされ、キャッピング手段514は前記牽引バネ522の作用により、図42にFとして示した適正な押圧力を受けた状態とされる。
【0162】
このキャッピング状態における前記キャッピング手段514は、記録装置の休止期間中における記録ヘッドのノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する他、前記吸引ポンプ512による負圧を記録ヘッド504に作用させて、記録ヘッドからインクを吸引するクリーニング手段としての機能を備えている。
【0163】
ここで、例えばクリーニング動作のシーケンスによって、ユニットフレーム508に配置された前記駆動部509が駆動モータの動力を受けて一方向に回転すると、駆動部509に配置されたバルブ駆動カム539が、バルブレバー534に配置された突起部535に当接し、バルブレバー534を押し下げる。これによりバルブレバー534に取り付けられた部材536に形成されたL字状部537が、図43に示すようにバルブ作動子546を同図中T方向に牽引する。したがって、キャッピング手段514内に配置されたバルブ部材544はそれぞれ引下げられて、キャッピング手段514の内部空間は大気開放される。
【0164】
そして、前記シーケンスに基づいて大気解放後に再び吸引ポンプ512を動作させることによって、キャッピング手段内に排出されたインクは、吸引ポンプ512を介して排出される。
【0165】
前記駆動部509が駆動モータの動力を受けてなおも同方向に回転すると、駆動部509に配置されたキャップ駆動カム538がフォロワホルダ531に取り付けられたフォロワ532に当接する。この結果、片持ち形式で回動可能となるようにユニットフレーム508に係止されたサブフレーム513の自由端側を押し出し、したがって、図44に示すようにキャッピング手段514は、記録ヘッド504から後退して、前記ワイピングユニット556が往復移動できるクリアランスが形成される。
【0166】
続いて、前記駆動部509が駆動モータの動力を受けてなおも同方向に回転すると、駆動部509に備えられた駆動ホイール568における駆動ギヤ567が、支持フレーム569に軸支されたピニオンギヤ570に噛み合ってこれを回転駆動する。したがって同軸上に配置された3つのピニオンギヤ571a,571b,571cも同方向に回転駆動される。
【0167】
ここで、前記セレクト機構515を構成するセレクトレバー515aにより、ワイピングユニット556が動作状態となるように選択されていると、例えば第1のピニオンギヤ571aにおいては、図40に示す左端に配置されたワイピングユニット556における互いに隣接するメインラック558および差動ラック559に同時に噛み合い、メインラック558および差動ラック559を同一歩調をもって往動させる。
【0168】
この時、メインラック558および差動ラック559は同一歩調をもって往動するため、差動ラック559の先端部に形成された軸体559aが、アーム部材562を手前方向に牽引した状態を保持し、この結果、ホルダ部材561に保持されたワイピング部材560は図40に示したように、アーム部材562の長手方向と直交した状態を保持する。
【0169】
そして、アーム部材562がなおも往動方向に移動して、図45に示すようにワイピング部材560の先端部が記録ヘッド504のノズル形成面504aに接すると、ワイピング部材560は前記加重バネ563を収縮させた状態で傾斜状態になされる。すなわち、加重バネ563によりノズル形成面に対するワイピング部材560の押圧力が適正に制御される。
【0170】
この状態でアーム部材562が往動方向に進行すると、図41に拡大して示したように、ノズル形成面504aに付着しているインクは、ゴム部材により形成されたワイピング用素材560aにより掻き取られる。
【0171】
このワイピング動作の終了後に、前記駆動部509が同方向に回転駆動すると、前記メインラック558に形成されたラック歯の終端に至る。したがって、ピニオンギヤ571aとメインラック558との噛み合いが外れ、同時に図には示されていないがスライド部材557がストッパーに当接して往動方向への移動が停止される。
【0172】
しかしながら、前記したように差動ラック559のラック歯は、メインラック558のラック歯に比較して3つの歯数が余分に配置されており、差動ラック559はピニオンギヤ571aによってなおも前進して押し出される。
【0173】
これにより、差動ラック559の先端部に配置された軸体559aは前進し、加重バネ563を介してアーム部材562も一体になって前進する。このアーム部材562の前進により前記ホルダ部材561がその下端を支点にして回動する。この回動により、図10に示したように、ワイピング部材560が往動方向に傾斜する。
【0174】
ワイピング部材560が前記記録ヘッド4のノズル形成面4aに押し付けられた状態で往動するワイピング動作が終了し、該ワイピング部材560が、前記ノズル形成面4aを通過してそれから離れてから、図10に示した傾斜状態に至る前の段階で、以下の処理がなされる。すなわち、ユニットフレーム508に一体に形成されたリブ状のインク除去部材517に、ワイピング部材560の先端部が当接し、ワイピング部材560に付着しているインクが、このインク除去部材517によって掻き取られるが、この時、インク除去部材517との接触が解かれる瞬間に当該ワイピング部材560の先端部は、加重バネ563の作用によって、往動方向へ弾かれる。これにより、ワイピング部材560に付着しているインクは、ワイピング部材560より弾き飛ばされてインク吸収材518に向かって飛翔し、インク吸収材518によって吸収される。
【0175】
この後、駆動部509には逆方向の回転運動が与えられ、各ピニオンギヤ571a〜571cを支持する支持フレーム569は前記した遊星機構によって、若干回動する。これにより各ピニオンギヤ571a〜571cは、前記メインラック558と差動ラック559におけるラックの端部に噛み合うように前進し、そのまま両ラック558、559を復動方向に駆動する。この場合、メインラック558と差動ラック559とは3つの歯数に相当する分のズレを持ったまま、両ラック558、559は同一歩調をもって復動方向に移動するので、前記ワイピング部材560は図47に示すように往動方向に傾斜した状態で記録ヘッド504上を通過する。このため、ワイピング部材560の先端部は、そのノズル形成面504aに接触することなく、またはわずかに接触しつつスライド部材557はフレーム555内に収納される。
【0176】
そして、駆動部509がなおも同方向に回転駆動することにより、前記メインラック558に形成されたラック歯の始端に至る。したがって、ピニオンギヤ571aとメインラック558との噛み合いが外れ、同時に図には示されていないがスライド部材557がストッパーに当接して復動方向への移動が停止される。しかしながら、前記したように差動ラック559のラック歯は、メインラック558のラック歯に比較して3つの歯数が余分に配置されており、差動ラック559はピニオンギヤ571aによってなおも3つの歯数に相当する分後退する。
【0177】
これにより、差動ラック559の先端部に配置された軸体559aは後退し、ホルダ561はアーム部材562によって牽引されるため、ワイピング部材560は記録ヘッドのノズル形成面に直交する方向に戻された状態で初期状態とされる。
【0178】
なお、以上はワイピング部材560の一側面を構成するゴムなどのワイピング用素材560aを用い、ノズル形成面のインクを払拭する一連のワイピング動作について説明したが、ワイピング部材560の他側面を構成するフェルトなどのラビング用素材560bを用いてラビング動作を実行させる場合には、次のようになされる。
【0179】
すなわち、前記した図45に示すワイピング動作の終了時点、換言すればスライド部材557が往動方向終端部の若干手前に至った時に、前記駆動部509に逆方向の回転運動を与えると、ワイピング部材560を取り付けたホルダ部材561は、アーム部材562により牽引された状態を保持しつつ復動方向に移動する。したがって、ワイピング部材560を構成するラビング用素材560bの端面は、記録ヘッドのノズル形成面に直交した状態で当該ノズル形成面に当接して摺動される。
【0180】
この様子を図48に示しており、前記ラビング用素材560bは、該ラビング用素材560bが有するこしの強さによって、記録ヘッド504のノズル形成面504aに強く擦り付けられる。このため、ノズル形成面504aに固着した異物等を容易に除去することができる。
【0181】
【発明の効果】
本発明によれば、ワイピング動作時には、ワイピング部材自体と前記バネの両方の弾性力を利用して当該ワイピング部材を記録ヘッドのノズル形成面に押し付けるので、ワイピング部材自体だけの弾性力で押し付ける従来構造に比して、ノズル開口におけるインクのメニスカスを確実に安定させることができる程度にソフトで且つ適切な強さでワイピング部材が前記ノズル形成面に押し付けられなければならないという第1の技術的要求を簡単且つ充分に満たすことができる。 また、ラビング動作時には、前記回動規制手段により前記ワイピング部材の回動を規制して該ワイピング部材を剛的に支持された状態にするので、該ワイピング部材はノズル形成面に強く押し付けられ、もってノズル形成面に強固に固着した異物を確実に擦り取ることができ、第2の技術的要求を簡単且つ充分に満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット式記録装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るユニット化されたヘッド吐出特性維持装置を示す斜視図である。
【図3】同ヘッド吐出特性維持装置の内部の概略側面図で一部は断面で示してあり、更にカムがホームポジションの基準位置にある状態を示す。
【図4】同ヘッド吐出特性維持装置の内部の概略平面図で一部は断面で示してある。
【図5】本発明に係るワイピング装置の斜視図であって、ワイピング部材が垂直状態にあるものを示してある。
【図6】図5の状態の同ワイピング装置を裏側から見た状態の平面図である。
【図7】本発明に係るワイピング装置の斜視図であって、ワイピング部材が往動方向に回動して傾斜状態にあるものを示してある。
【図8】図7の状態の同ワイピング装置を裏側から見た状態の平面図である。
【図9】同ワイピング装置がピニオンと歯合している状態を下方から見た斜視図である。
【図10】図3と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が基準位置から少し回転した状態を示す。
【図11】図10と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が更に少し回転した状態を示す。
【図12】図11と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が更に少し回転した状態を示す。
【図13】図12と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が更に少し回転した状態を示す。
【図14】図13と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が更に少し回転した状態を示す。
【図15】図14と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が更に少し回転した状態を示す。
【図16】図15と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が少し逆に回転した状態を示す。
【図17】図15と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が終点近くまで回転した状態を示す。
【図18】図17と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が終点まで回転した状態を示す。
【図19】図18と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が図18の状態から少し逆に回転した状態を示す。
【図20】図19と同じヘッド吐出特性維持装置の内部の側面図で、カム軸が図19の状態から更に逆に回転した状態を示す。
【図21】本発明に係る駆動機構部とキャッピング装置の部分の分解斜視図である。
【図22】本発明に係るインク除去部材の要部側面図である。
【図23】本発明に係るインク除去部材の要部横断面図である。
【図24】本発明に係る他のインク除去部材の要部横断面図である。
【図25】本発明に係る他のインク除去部材の要部側面図である。
【図26】本発明に係るセレクト装置を示す概略の側面図である。
【図27】本発明に係るセレクト装置を示し、セレクトカムが更に回転した状態の概略の側面図である。
【図28】本発明に係るセレクト装置を示す分解斜視図である。
【図29】本発明に係るセレクトカムの斜視図であって、図28の矢印方向から見た斜視図である。
【図30】本発明に係るセレクト装置の背面図である。
【図31】本発明に係るセレクト装置の要部側面図である。
【図32】本発明に係る駆動ギアおよびピニオンの部分を示す斜視図である。
【図33】本発明に係るセレクト装置の要部側面図である。
【図34】本発明に係るセレクト装置の要部側面図である。
【図35】本発明に係るセレクト装置の要部側面図である。
【図36】本発明に係るセレクト装置の要部側面図である。
【図37】本発明の他の実施の形態に係るインクジェット式記録装置に搭載されたクリーニングユニットの全体構成と、これに対向するキャリッジの構成とを透視状態で示した側面図である。
【図38】図37に示すクリーニングユニットに搭載されたキャッピング手段の外観構成と、これを記録ヘッド側に進退可能に駆動する駆動機構の構成を示した分解斜視図である。
【図39】図38に示すキャッピング手段の構成を示した分解斜視図である。
【図40】図37に示すクリーニングユニットに搭載されたワイピング手段と、その駆動構成を示した分解斜視図である。
【図41】図40に示すワイピング手段の詳細な構成を示した側面図である。
【図42】図40に示すワイピング手段が退避し、キャッピング状態を示した側面図である。
【図43】図42に示すキャッピング手段内に配置されたバルブ部材が開弁された大気開放状態を示した側面図である。
【図44】図43に示すキャッピング手段が後退した状態を示した側面図である。
【図45】図44に示す記録ヘッドのワイピング動作状態を示した側面図である。
【図46】図45に示すワイピング部材よりインクを除去する状態を示した側面図である。
【図47】図46に示すワイピング部材の復動動作状態を示した側面図である。
【図48】図45の工程に続いて行われた記録ヘッドのラビング動作状態を示した側面図である。
【符号の説明】
35 ワイピング装置
36 ワイピング部材
46 スライド部材
47 ワイピング用素材
48 ラビング用素材
49 バネ
50 基体
77 アーム部材
78 長孔
80 ホルダ部材
81 支持部
82 軸体
85 メインラック
86 差動ラック
Claims (18)
- インクジェット式の記録ヘッドと、該記録ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング装置とを備えたインクジェット式記録装置であって、
前記ワイピング装置は、
前記ノズル形成面に平行に往復移動するスライド部材と、
該スライド部材に支持され、該スライド部材の前記往復移動における一方向への移動時には前記ノズル形成面に対するワイピング動作として、該スライド部材の前記一方向と反対方向への移動時には前記ノズル形成面に対するラビング動作として、その自由端側が該ノズル形成面に押し付けられるワイピング部材と、
該ワイピング部材の基端側を前記スライド部材に回動可能に支持する支持部と、
前記ワイピング動作時に、ノズル形成面への前記押し付けに伴う反作用を該ノズル形成面から受けてその反作用力の方向に回動された当該ワイピング部材をその状態のまま前記押し付け方向に付勢して支えるバネと、
前記ラビング動作時に、前記ワイピング部材の回動を規制して該ワイピング部材を剛的に支持された状態にする回動規制手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項1において、前記ワイピング部材は、弾性板から成るワイピング用素材と、該ワイピング用素材よりも曲げに対する抵抗の大きいフェルト等のラビング用素材とが接合された複合材から成ることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項2において、前記ワイピング部材の基端側を挟持すると共に前記スライド部材に前期支持部を介して回動可能に軸支されるホルダ部材と、
該ホルダ部材の自由端側を支持すると共に、その他端部において所定ストロークの遊びをもって前記スライド部材に係止されるアーム部材とを備え、
前記所定ストロークの遊びの範囲で前記ワイピング部材が前記バネの付勢力を受けるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項3において、前記アーム部材の他端部に形成された長孔と、
前記スライド部材に前記長孔に遊嵌するように配置された軸体とを備え、
前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項1から4のいずれか1項において、前記回動規制手段は、前記ワイピング部材の回動可能範囲の一方の限界位置において前記ラビング動作が行われるように設定することで構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項1から4のいずれか1項において、前記スライド部材には、その長手方向に沿ってメインラックが形成され、前記メインラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動によりスライド部材が往復移動されるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項6において、前記スライド部材の長手方向に摺動可能となるよう配置された差動ラックがさらに具備され、前記差動ラックは該差動ラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動により、メインラックと同一歩調をもって往復移動されるように構成されると共に、前記スライド部材の往動方向への移動終端部において、前記ピニオンによって前記差動ラックだけが更に押し出されて往動方向に移動するように構成され、該差動ラックだけの移動によって前記ワイピング部材を往動方向に傾斜させるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項7において、前記メインラックと差動ラックにおけるラックのピッチがほぼ同一に構成され、且つメインラックに形成されたラックの歯数に比較して差動ラックに形成されたラックの歯数を大きく構成したことを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項7又は8において、前記ワイピング部材の基端側を挟持すると共に前記スライド部材に回動可能に軸支されるホルダ部材と、
該ホルダ部材の自由端側を支持すると共に、その他端部において所定ストロークの遊びをもって前記差動ラックに係止されるアーム部材とを備え、
前記所定ストロークの遊びの範囲で前記ワイピング部材が前記バネの付勢力を受けるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項9において、前記アーム部材の他端部に形成された長孔と、
前記差動ラックに前記長孔に遊嵌するように配置された軸体とを備え、
前記軸体に対する前記長孔の移動範囲において前記所定ストロークの遊びを持たせるように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項7から10のいずれか1項において、前記回動規制手段は、前記差動ラックとピニオンとの歯合により構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項1から11のいずれか1項において、前記ワイピング装置が、記録ヘッドのノズル形成面を封止するキャッピング装置と共にユニットフレームに配置され、少なくともキャッピング装置が記録ヘッド側に進出してノズル形成面を封止するキャッピング状態およびキャッピング状態から退避して記録ヘッドのノズル形成面の封止を解く非キャッピング状態とを採り得るように構成され、前記キャッピング装置の退避状態における空間部に、前記ワイピング装置を構成するワイピング部材が往復移動されるように構成されたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項12において、前記ワイピング装置を構成するワイピング部材の往復移動が、スライド部材の長手方向に沿って配置されたメインラックに噛み合うピニオンの正逆方向への回転駆動によりなされ、前記キャッピング装置の進出および退避動作がキャップ駆動カムの回転動作によってなされ、前記ピニオンに噛み合って当該ピニオンを回転駆動する駆動ギアと、前記キャップ駆動カムとが1つの支持軸上に配置されて前記ワイピング部材の往復移動および前記キャッピング装置の進出および退避動作のタイミングを図るように構成されたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項13において、前記キャップ駆動カムに当接するフォロワが、前記ユニットフレームの一部に片持ち形式で係止されたサブフレーム側に取り付けられ、該サブフレームの回動自由端側に前記キャッピング装置を配置してなることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項13又は14において、前記キャッピング装置には、キャッピング装置の内部空間を開閉するバルブ部材と、当該バルブ部材の開閉弁動作を司るバルブ作動子が配置され、前記駆動ギアおよびキャップ駆動カムと共に1つの支持軸上に配置されたバルブ駆動カムによって、前記バルブ作動子が駆動されるように構成されたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項13から15のいずれか1項において、前記ユニットフレームには、前記キャッピング装置の内部空間に負圧を与える吸引ポンプがさらに配置され、前記ワイピング装置、キャッピング装置と共にヘッドクリーニングユニットを構成してなることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項1から16のいずれか1項において、前記スライド部材の移動方向は、ノズル形成面に配列されているノズル列に平行な方向であることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 請求項17において、用紙搬送路は傾斜面に形成され、前記スライド部材の移動方向は、前記傾斜面に平行で且つ往動方向が斜め下方となるように構成されている特徴とするインクジェット式記録装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
AT00107018T ATE336378T1 (de) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | Tintenstrahlaufzeichnungsgerät |
DE60030022T DE60030022T2 (de) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | Tintenstrahlaufzeichnungsgerät |
US09/541,006 US6340219B1 (en) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | Ink jet recording apparatus |
EP00107018A EP1040924B1 (en) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | Ink jet recording apparatus |
JP2000096375A JP3915866B2 (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | インクジェット式記録装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11-94058 | 1999-03-31 | ||
JP9405899 | 1999-03-31 | ||
JP2000096375A JP3915866B2 (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | インクジェット式記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000343717A JP2000343717A (ja) | 2000-12-12 |
JP3915866B2 true JP3915866B2 (ja) | 2007-05-16 |
Family
ID=26435368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000096375A Expired - Fee Related JP3915866B2 (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-31 | インクジェット式記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3915866B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4277156B2 (ja) * | 1999-03-31 | 2009-06-10 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット式記録装置の差動型ワイピング装置 |
JP2005074767A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-03-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | インクジェット式記録装置 |
JP5675221B2 (ja) | 2010-08-31 | 2015-02-25 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録装置 |
-
2000
- 2000-03-31 JP JP2000096375A patent/JP3915866B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000343717A (ja) | 2000-12-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1251007B1 (en) | Ink jet printer with maintenance device and maintenance method for the printer | |
JP4366175B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP3827302B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
US9168753B2 (en) | Maintenance device for a fluid ejection head, a fluid ejection device, and a printer | |
JP2002307698A (ja) | ヘッド吐出特性維持装置及びそれを備えたインクジェット式プリンタ | |
US6340219B1 (en) | Ink jet recording apparatus | |
JP2011056889A (ja) | 液体吐出ヘッドのノズル面クリーニング機構およびインクジェットプリンター | |
JP4277156B2 (ja) | インクジェット式記録装置の差動型ワイピング装置 | |
JP4277155B2 (ja) | インクジェット式記録装置及びワイピング能力回復装置 | |
JP2009241366A (ja) | 液体吐出装置及びそのクリーニング方法 | |
JP4048344B2 (ja) | インクジェット式記録装置及びセレクト装置 | |
JP3915866B2 (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JP2882478B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP4207143B2 (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JPH1120187A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP3832272B2 (ja) | ヘッド吐出特性維持装置及びそれを備えたインクジェット式プリンタ | |
JP2006315269A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2004142190A (ja) | キャップユニットおよびこのキャップユニットを備えたインクジェット式記録装置 | |
JP2002234188A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP4035756B2 (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JP4794780B2 (ja) | インクジェット記録装置及び該装置の回復方法 | |
JP2001018417A (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JP4442177B2 (ja) | 液体噴射装置 | |
JP2001018418A (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JP3820928B2 (ja) | インクジェット式記録装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050330 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061018 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061218 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070117 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070130 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110216 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110216 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120216 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130216 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130216 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |