JP3915478B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素系燃料の供給を受けて、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、改質ガスと酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、を備えた燃料電池システムに関し、特に、燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを改質部に供給する構成の燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池を発電装置として用いる場合、水素を燃料電池のアノードに供給する必要がある。水素の供給には、原料として用意されたガソリンやメタノールや天然ガスなどの炭化水素系燃料から改質反応により取り出された水素を利用していた。改質反応としては、種々の改質反応、例えば、水蒸気改質反応、部分酸化反応がある。一例として、ガソリンの一成分であるイソオクタン(C818)について、その改質反応を以下に示した。
【0003】
818+8H2O → 17H2+8CO …(1)
818+4O2 → 9H2+8CO …(2)
【0004】
上式(1)で表わされる反応は水蒸気改質反応であり、上式(2)で表わされる反応は部分酸化反応である。これら反応は、いずれか一方を採用することもできるが、双方を同時に1つの改質部内で起こすこともできる。水蒸気改質反応は吸熱反応であり、部分酸化反応は発熱反応であることから、上記のように水蒸気改質反応と部分酸化反応とを1つの改質部内で起こすことで、改質部での熱量の収支を釣り合わせることができる。これら反応は、上式(1),(2)で表わされるように、水蒸気改質反応は水を供給することで、部分酸化反応は酸素を供給することで促進される。
【0005】
従来より、上記改質部での水と酸素の供給を効率的に行なう技術として、例えば、特開2000−195534号公報に示すように、燃料電池の運転時にカソードら排出されるカソードオフガスを改質部に供給して循環させる技術が提案されている。この技術によれば、燃料電池の運転により、カソードで生成される水蒸気や未反応の酸素をカソードオフガスとして改質部に供給して再利用を図ることで、蒸発器や、水タンクや、外側から改質部へ酸素を供給するための導管などを不要とすることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような蒸発器など保有しない燃料電池システムにおいては、起動時において、蒸発器を利用した蒸気生成ができないため、システム内で必要な水分量を確保することができないという問題があった。
【0007】
すなわち、燃料電池においては、発電を行うため、電解質膜を適度に湿潤させる必要があり、また、改質部においては、水蒸気改質反応を起こさせるために、カソードオフガスに適度な水分を添加する必要があるが、蒸発器を保有しないため、起動時に、そのような水分を供給するための手段がなかった。
【0008】
また、起動時において、蒸発器を利用してシステム内の温度上昇を図ることができないため、改質部や燃料電池などの各構成要素の温度を、それぞれの目標温度まで上昇させるのに多大な時間を要し、燃料電池の発電開始が遅くなるという問題もあった。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、起動時に、システム内で必要な水分量を十分確保することができると共に、各構成要素の温度をそれぞれの目標温度までできるだけ早く上昇させることが可能な燃料電池システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1の燃料電池システムは、
炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
アノードに前記改質ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
を備え、
起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することを要旨とする。
【0011】
このように、第1の燃料電池システムでは、起動時に、改質部において、炭化水素系燃料をカソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させることにより、後述するごとく、水蒸気が生成されると共に、熱が生じる。
【0012】
従って、第1の燃料電池システムによれば、燃料電池のアノードに供給されるガスは、完全酸化により生成された水蒸気を含んだガスとなるため、燃料電池内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソードから排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0013】
また、完全酸化により生じる熱によって、改質部の温度を上昇させる他、改質部の後段に位置する種々の構成要素や燃料電池の各温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0014】
本発明の第2の燃料電池システムは、
炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
アノードに前記改質ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む第1の酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
を備え、
起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させ、得られた前記改質ガスを前記アノードに供給すると共に、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることを要旨とする。
【0015】
このように、第2の燃料電池システムでは、起動時に、改質部において、炭化水素系燃料をカソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させることにより、改質ガスが生成されると共に、熱が生じる。また、改質部からアノードに至る流路中に酸化ガスを供給して、生成した改質ガスに含まれる水素を酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることにより、後述するように、水蒸気が生成されると共に、熱が生じる。
【0016】
従って、第2の燃料電池システムによれば、燃料電池のアノードに供給される改質ガスは、水素酸化により生成された水蒸気を含んだガスとなるため、燃料電池内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソードから排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0017】
また、改質部において、部分酸化により生じる熱によって、改質部の温度を上昇させる他、改質部の後段に位置する種々の構成要素や燃料電池の各温度を上昇させ、さらには、水素酸化により生じる熱によっても、種々の構成要素や燃料電池の各温度をさらに上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記改質部から前記アノードに至る流路中には、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により除去するシフト部、および前記一酸化炭素を酸化反応により除去する一酸化炭素浄化部のうち、少なくとも一方が配置されると共に、
前記水素の酸化は、前記シフト部、一酸化炭素浄化部および燃料電池のうち、少なくとも1つの内部において生じることが好ましい。
【0019】
シフト部、一酸化炭素浄化部および燃料電池は、それぞれ、その内部に触媒を備えているため、水素酸化を行う際に、その触媒によって反応が促進されるからである。
【0020】
本発明の第3の燃料電池システムは、
炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
前記改質ガスが流れるフィード部と、パージガスが流れるパージ部と、前記フィード部とパージ部との間に配置される水素分離膜と、を有し、前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離して、前記パージ部を流れる前記パージガスに混合し、燃料ガスを得る水素分離部と、
アノードに前記燃料ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
を備え、
起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させ、得られたガスを前記水素分離膜を通過させることなく前記アノードに供給することを要旨とする。
【0021】
このように、第3の燃料電池システムでは、第1の燃料電池システムの場合と同様に、起動時に、改質部において、炭化水素系燃料をカソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させることにより、水蒸気が生成されると共に、熱が生じる。
【0022】
従って、第3の燃料電池システムによれば、燃料電池のアノードに供給されるガスは、完全酸化により生成された水蒸気を含んだガスとなるため、燃料電池内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソードから排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0023】
また、完全酸化により生じる熱によって、改質部の温度を上昇させる他、改質部の後段に位置する水素分離部や燃料電池の各温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0024】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、前記完全酸化の反応を停止させて、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させ、
その後、前記パージ部に前記パージガスとして酸素を含む第3の酸化ガスを流すと共に、前記改質部で生成されて前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離し、前記パージ部において、分離した前記水素を前記第3の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することが好ましい。
【0025】
このように、改質部における改質ガス生成開始後は、パージ部における水素酸化によって水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだガスをアノードに供給することにより、燃料電池内の電解質膜をさらに加湿することができる。また、水素酸化によって生じる熱によって、水素分離部および燃料電池の各温度を、適正な温度までさらに上昇させることができる。
【0026】
また、酸化ガスであったパージガスは、パージ部の水素酸化による酸素の消費によって、例えば、不活性な窒素ガスへと変化するため、パージガスとして、特別に窒素ガスを供給するための窒素ガスボンベなどを用意する必要がない。
【0027】
本発明の第4の燃料電池システムは、
炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
前記改質ガスが流れるフィード部と、パージガスが流れるパージ部と、前記フィード部とパージ部との間に配置される水素分離膜と、を有し、前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離して、前記パージ部を流れる前記パージガスに混合し、燃料ガスを得る水素分離部と、
アノードに前記燃料ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む第1の酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
を備え、
起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させ、得られた前記改質ガスを前記水素分離膜を通過させることなく前記アノードに供給すると共に、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることを要旨とする。
【0028】
このように、第4の燃料電池システムでは、第2の燃料電池システムと同様に、起動時に、改質部において、炭化水素系燃料をカソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させることにより、改質ガスが生成されると共に、熱が生じる。また、改質部からアノードに至る流路中に酸化ガスを供給して、生成した改質ガスに含まれる水素を酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることにより、水蒸気が生成されると共に、熱が生じる。
【0029】
従って、第4の燃料電池システムによれば、燃料電池のアノードに供給される改質ガスは、水素酸化により生成された水蒸気を含んだガスとなるため、燃料電池内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソードから排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0030】
また、改質部において、部分酸化により生じる熱によって、改質部の温度を上昇させる他、改質部の後段に位置する水素分離部や燃料電池の各温度を上昇させ、さらには、水素酸化により生じる熱によっても、水素分離部や燃料電池の各温度をさらに上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0031】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記フィード部は、シフト触媒を備え、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により除去し得ると共に、
前記水素の酸化は、前記フィード部の内部において生じることもできる。
【0032】
このようにフィード部が、その内部にシフト触媒を備えることにより、水素酸化を行う際に、その触媒によって反応を促進させることもできる。
【0033】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行させ、
その後、前記パージ部に前記パージガスとして酸素を含む第3の酸化ガスを流すと共に、前記改質部において生成され前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離し、前記パージ部において、分離した前記水素を前記第3の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することが好ましい。
【0034】
このように、水素分離膜によって水素分離を開始した後は、パージ部における水素酸化によって水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだガスをアノードに供給することにより、燃料電池内の電解質膜をさらに加湿することができる。また、水素酸化によって生じる熱によって、水素分離部および燃料電池の各温度を、適正な温度までさらに上昇させることができる。また、パージ部の水素酸化による酸素の消費によって、パージガスは、例えば、不活性な窒素ガスへと変化するため、窒素ガスボンベなどを用意する必要がない。
【0035】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、前記完全酸化の反応を停止させて、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させることが好ましい。
【0036】
このように、切り換えることにより、燃料が無駄に消費されるのを防止することができる。
【0037】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記改質部において、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させた後、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質部から得られた前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることが好ましい。
【0038】
このように、改質部における改質ガス生成開始後においても、燃料電池のアノードに供給される改質ガスは、水素酸化により生成された水蒸気を含んだガスとなるため、燃料電池内の電解質膜を加湿することができ、カソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を確保することができる。また、水素酸化により生じる熱によって、改質部の後段に位置する種々の構成要素や燃料電池の各温度をさらに上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行させることが好ましい。
【0039】
このように、切り換えることにより、燃料を有効に利用して、改質ガスの生成を行うことができる。
【0040】
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることが好ましい。
【0041】
このように、一酸化炭素を酸化させ、除去することにより、アノードに供給される改質ガス中の一酸化炭素濃度を減少させることができるため、燃料電池における一酸化炭素被毒を抑えることができる。
【0042】
また、一酸化炭素酸化による発熱によって、改質部の後段に位置する各構成要素および燃料電池の各温度さらに上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間をさらに短縮することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A−1.第1の実施例の構成:
A−2.第1の実施例における起動時の動作:
B.第2の実施例:
B−1.第2の実施例の構成:
B−2.第2の実施例における起動時の動作:
C.第3の実施例:
C−1.第3の実施例の構成:
C−2.第3の実施例における起動時の動作:
D.第4の実施例:
D−1.第4の実施例の構成:
D−2.第4の実施例における起動時の動作:
E.変形例:
E−1.変形例1:
E−2.変形例2:
E−3.変形例3:
E−4.変形例4:
E−5.変形例5:
E−6.変形例6:
【0044】
A.第1の実施例:
A−1.第1の実施例の構成:
図1は本発明の第1の実施例として燃料電池システム100の全体構成を示すブロック図である。
【0045】
本実施例の燃料電池システム100は、主として、炭化水素系燃料を改質して、水素リッチな改質ガスを生成する改質部102と、生成された改質ガスから一酸化炭素(CO)を除去するための高温シフト部106、低温シフト部110およびCO浄化部112と、これらを経た改質ガスを燃料ガスとして利用し、エアポンプ134によって取り込まれた空気を酸化ガスとして利用して、電力を発生する燃料電池114と、を備えている。
【0046】
これら構成要素のうち、燃料電池114は、発電を行なう際に水(水蒸気)を生成する種類のものであればよく、具体的には、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池などである。本実施例では、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子膜型の燃料電池を適用した。燃料電池114は、電解質膜(図示せず)、アノード116、カソード118、およびセパレータ(図示せず)とから構成されるセル(図示せず)を複数積層して構成されている。電解質膜は、フッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノード116およびカソード118は、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されている。セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。アノード116およびカソード118との間に燃料ガス(改質ガス)および酸化ガスの流路を形成する。
【0047】
燃料電池114のアノード116では、燃料ガスが送り込まれると、この燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し(H2 → 2H++2e-)、カソード118は、酸化ガスが送り込まれると、この酸化ガス中の酸素から酸素イオンを生成し、燃料電池114内では電力が発生する。また、これと同時にカソード118において、上記の水素イオンと酸素イオンとから水が生成される((1/2)O2+2H++2e-→H2O)。この水のほとんどは、燃料電池114内で発生する熱を吸収して水蒸気として生成される。
【0048】
燃料電池114のカソード118と改質部102との間には、カソードオフガス流路が設けられている。従って、カソード118において上記の如く生成された水蒸気と、カソード118において反応に用いられなかった酸素は、カソードガスとして、改質部102に供給される。
【0049】
改質部102には、その他、燃料として、イソオクタン(C818)を一成分とするガソリンが供給される。燃料には、天然ガスなどの他の炭化水素燃料やアルコールなどの含酸素燃料など、種々の炭化水素系燃料を用いることもできる。また、その他、エーテル,アルデヒドなどを燃料として用いることもできる。
【0050】
改質部102は、その内部に、改質反応を促進する改質用触媒(図示せず)を備えている。ガソリンや天然ガスを原料とする場合には、例えばニッケル触媒やロジウム貴金属を改質用触媒として用いることができ、メタノールを原料として用いる場合には、CuO−ZnO系触媒、Cu−ZnO系触媒などが有効であることが知られている。改質部102では、上記の如く、カソードオフガスとして水蒸気および酸素の供給を受けると共に、燃料としてガソリンの供給を受けて、先に式(1),(2)で示した水蒸気改質反応と部分酸化反応とが併せて起こり、改質用触媒がそれらの反応を促進して、ガソリンから水素リッチな改質ガスが生成される。
【0051】
シフト部は、反応温度の違いによって、高温シフト部106と低温シフト部110とに分かれており、それぞれ、改質部102で生成された改質ガス中のCOを水と反応させてCO2に変成させる。これらシフト部106,110の変成反応は、具体的には、CO+H2O→H2+CO2で示される反応である。なお、これらシフト部106,110における変成反応に必要な水も、カソードオフガスに含まれる水蒸気によって賄われる。
【0052】
CO浄化部112は、シフト部106,110において除去されなかったCOを酸化しCO2に変成させる。このCO浄化部112の変成反応(CO+(1/2)O2→CO2)には酸素が必要である。その酸素は、エアポンプ130によって取り込まれた空気によって賄われる。
【0053】
TGC(テールガスコンバスタ)144は、燃料電池114のアノード116から排出されたアノードオフガスの供給を受けて、その中に含まれるCOを燃焼させて除去すると共に、残存している水素を酸化させて、水に変成させる。こうして、COおよび水素の除去されたアノードオフガスは、後述する加湿ユニット136を介して大気中に放出される。
【0054】
加湿ユニット136は、TGC144からのアノードオフガスとエアポンプ134からの酸化ガスとしての空気の供給をそれぞれ受け、アノードオフガスから酸化ガスに水蒸気の受け渡しを行わせ、酸化ガスの加湿を行っている。なお、余分な水分は水回収ユニット146に回収される。
【0055】
外部冷却器138は、燃料電池114の外部に取り付けられており、114の冷却を行っている。
【0056】
熱交換器104,122は、改質部102からの改質ガスで得た熱を、熱交換器108,120は、高温シフト部106で得た熱を、熱交換器124はTGC144で得た熱を、それぞれ、カソードオフガスに伝達するように熱交換を行っている。また、熱交換器140は、外部冷却器138から得た熱を、熱交換器142はCO浄化部112で得た熱を、それぞれ、アノードオフガスに伝達するように熱交換を行っている。
【0057】
A−2.第1の実施例における起動時の動作:
以上説明したように、燃料電池114の運転時にカソード118から排出されるカソードオフガスを改質部102に供給して循環させる構成では、改質部102で生じる水蒸気改質反応に用いられる水は、供給するカソードオフガスによって賄われるため、蒸発器や水タンクなどは必要としない。
【0058】
しかしながら、起動時においては、蒸発器を利用した蒸気生成ができないため、このままでは、システム内において必要な水分量を確保することができない。
【0059】
そこで、本実施例においては、起動時に、改質部102において、供給された燃料を完全酸化させることによって、水蒸気を生成するようにしている。
【0060】
すなわち、システムの起動が開始されると、まず、エアポンプ134によって空気が取り込まれ、酸化ガスとして加湿ユニット136を介して燃料電池114のカソード118に供給される。燃料電池114では、まだ、発電が開始されていないので、供給された酸化ガスは、カソード118を素通りし、酸素を多量に含んだまま、カソードオフガスとして熱交換器120,122,124を介して改質部102に供給される。また、改質部102には、燃料としてガソリンも供給される。
【0061】
このとき、エアポンプ134は、改質部102において、ガソリンを完全酸化させるのに十分な空気量がカソードオフガスとして得られるように、その駆動が制御される。
【0062】
これにより、改質部102では、触媒燃焼(改質用触媒による燃焼)や気相燃焼(燃料と酸化ガスとの混合による燃焼)によって、供給されたガソリンは完全酸化されて、式(3)に示すように、水と二酸化炭素(CO2)になる。
【0063】
818+(25/2)O2 → 8CO2+9H2O …(3)
【0064】
この結果、完全酸化による発熱によって改質部102の温度は上昇すると共に、完全酸化によって水蒸気が生成される。
【0065】
なお、完全酸化による反応温度は、供給される空気量を理論空燃費の約4倍となるように、エアポンプ134の駆動を制御することによって、約800℃以下に調整することが好ましい。
【0066】
改質部102において、完全酸化によって得られたガス(水蒸気+CO2)は、熱交換器104,高温シフト部106,熱交換器108,低温シフト部110,CO浄化部112を介して、燃料電池114のアノード116に供給される。
【0067】
これらの各要素104〜112は、起動時、低温状態にあるため、改質部102からのガスが流通することにより、それらの温度は徐々に上昇するが、反対に、改質部102からのガスの温度は、各要素104〜112を介する毎に低下する。しかも、カソードオフガスも低温状態であるため、このカソードオフガスが通過する熱交換器122,120によって、改質部102からのガスは、熱交換器104,108において、さらに温度が低下する。
【0068】
このため、熱交換器104,108のそれぞれの後段にある高温シフト部106,低温シフト部110では、内部にある触媒の熱劣化を抑制することができる。
【0069】
また、改質部102からのガスは、水蒸気分圧が低いので、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112では、水蒸気による結露が生じない。
【0070】
さらにまた、改質部102からのガスの温度は、最終的に、燃料電池114のアノード116において、数十℃になる。そのため、ガス中の水蒸気は急速に凝縮して水となり、燃料電池114内の電解質膜に吸収されて、電解質膜を加湿する。
【0071】
なお、燃料電池114では、改質部102からのガスの供給により、その温度は時間経過と共に徐々に上昇するものの、燃料電池114自体、熱容量が大きく、しかも、燃料電池114の外部に取り付けられた外部冷却器138の働きによって、燃料電池114の温度が異常に急上昇することはない。
【0072】
燃料電池114のアノード116に供給されたガスは、電解質膜を湿潤させた後、そのままアノードオフガスとして排出され、熱交換器142を介して、TGC144に供給される。このとき、TGC144に供給されるアノードオフガスは、水蒸気とCO2であるため、TGC144は何ら機能せず、アノードオフガスはTGC144を素通りして、そのまま加湿ユニット136に供給される。
【0073】
加湿ユニット136では、アノードオフガスに残留している水蒸気を、エアポンプ134からの酸化ガスに添加することにより、燃料電池114のカソード118に供給される酸化ガスを加湿する。
【0074】
こうして、時間経過と共に、燃料電池114のアノード116において、改質部102からのガスに含まれる水蒸気の凝縮によって、電解質膜中の水分量が増加すると共に、改質部102からのガスより得られる熱によって、燃料電池114の温度が上昇する。これにより、電解質膜での水分の蒸発が進み、その水蒸気はカソード118側に流れて、カソード118から排出されるカソードオフガス中の水蒸気濃度を徐々に増加させる。
【0075】
また、加湿ユニット136において、時間経過と共に、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加するため、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。
【0076】
なお、起動開始直後は、燃料電池114は低温状態にあるため、改質部102で生成された水蒸気の大部分は、燃料電池114の内部で凝縮されるが、燃料電池114の温度が徐々に上昇すると、燃料電池114のアノード116から排出されるアノードオフガス中の水蒸気濃度も上昇するため、加湿ユニット136において、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加する。従って、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。また、アノードオフガス中の水蒸気濃度の上昇により、加湿ユニット136において、回収される水の量の増加も望むことができる。
【0077】
その後、カソードオフガス中の水蒸気濃度をセンサ148によって検出する。そして、検出の結果、その水蒸気濃度が予め設定された所定の濃度になったら、エアポンプ134の駆動を制御して、改質部102にカソードオフガスとして供給される空気量を、それまでのレベル(ガソリンを完全酸化させるのに十分なレベル)から通常の運転時のレベルまでステップ的に減少させる。これにより、改質部102では、完全酸化反応が停止し、それに代えて、上述した水蒸気改質反応と部分酸化反応が起こり、ガソリンから水素リッチな改質ガスの生成が開始される。
【0078】
その後、高温シフト部106および低温シフト部110では、各温度が上昇し、それぞれが適切な温度になると、上述したシフト部の変成反応(CO+H2O→H2+CO2)が開始される。また、CO浄化部112では、温度が上昇して適正な温度になると、エアポンプ130から酸化ガスが供給されて、上述したCO浄化部の変成反応(CO+(1/2)O2→CO2)が開始される。そして、エアポンプ130によるCO浄化部112への酸化ガスの吹き込み量は、最終的に燃料電池114のアノード116に供給される改質ガス(燃料ガス)中のCO濃度が、許容濃度(例えば、5ppm)以下になるように調整される。
【0079】
こうして、アノード116に供給される改質ガス(燃料ガス)中のCO濃度が、許容濃度以下になったら、燃料電池114は発電を開始する。
【0080】
その後、燃料電池114のカソード118における酸素消費を補うために、エアポンプ134によるカソード118への酸化ガスの供給量を調整する。こうして、カソード118への酸化ガスの供給量が安定すると共に、燃料電池システム100内の各部の温度が安定したら、起動時の動作を完了する。
【0081】
なお、以上の起動制御は、図示せざる制御部によって、全て実行されている。このことは、後述する他の実施例においても同様である。
【0082】
本実施例の燃料電池システム100によれば、起動時に、改質部102において、供給されたガソリンを完全酸化させて水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソード118から排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0083】
また、完全酸化により生じる熱によって、改質部102の温度を上昇させる他、改質部102の後段に位置する高温シフト部106,低温シフト部110,CO浄化部112および燃料電池114の各温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0084】
B.第2の実施例:
B−1.第2の実施例の構成:
図2は本発明の第2の実施例として燃料電池システム200の全体構成を示すブロック図である。図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
【0085】
本実施例の燃料電池システム200では、図1に示した構成に、新たに、高温シフト部106の流入部に、取り込んだ空気を酸化ガスとして供給するためのエアポンプ126と、低温シフト部110の流入部に、同じく取り込んだ空気を酸化ガスとして供給するためのエアポンプ128と、がそれぞれ設けられている。
【0086】
B−2.第2の実施例における起動時の動作:
本実施例においては、起動時に、改質部102において、供給された燃料を完全酸化ではなく、部分酸化させることによって、改質ガスを生成し、その改質ガス中の水素を、後段の高温シフト部106,低温シフト部110,CO浄化部112などにおいて、酸化させることによって、水蒸気を生成するようにしている。
【0087】
すなわち、システムの起動が開始されると、まず、エアポンプ134によって空気が取り込まれ、酸化ガスとして加湿ユニット136を介して燃料電池114のカソード118に供給される。供給された酸化ガスは、カソード118を素通りし、カソードオフガスとして熱交換器120,122,124を介して改質部102に供給される。また、改質部102は、燃料としてガソリンも供給される。
【0088】
このとき、エアポンプ134は、改質部102において、ガソリンを部分酸化させるのに十分な空気量がカソードオフガスとして得られるように、その駆動が制御される。具体的には、改質部102において、著しい煤が生じない酸素/炭素比(すなわち、O/C比が1.0以上)となるように、制御される。
【0089】
これにより、改質部102では、供給されたガソリンを部分酸化されて、式(2)に示したように、水素とCOを含む改質ガスが生成される。また、部分酸化による発熱によって、改質部102の温度は上昇する。
【0090】
生成された改質ガスは、熱交換器104,高温シフト部106,熱交換器108,低温シフト部110,CO浄化部112を介して、燃料電池114のアノード116に供給される。
【0091】
これらの各要素104〜112は、起動時、低温状態にあるため、改質部102からの改質ガスが流通することにより、それらの温度は徐々に上昇するが、反対に、改質ガスの温度は、各要素104〜112を介する毎に低下する。しかも、カソードオフガスも低温状態であるため、熱交換器120,122,104,108によって、改質ガスはさらに温度が低下する。このため、高温シフト部106,低温シフト部110では、内部にある触媒の熱劣化を抑制することができる。
【0092】
また、本実施例においては、起動時に、エアポンプ126により高温シフト部106の流入部において、エアポンプ128により低温シフト部110の流入部において、エアポンプ130によりCO浄化部112において、それぞれ、改質ガスに酸化ガスを吹き込む。
【0093】
これにより、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112では、改質ガスに含まれる水素を、式(4)に示すように酸化して、水蒸気を生成する。
【0094】
2+(1/2)O2 → H2O …(4)
【0095】
また、改質ガスに含まれるCOを、式(5)に示すように酸化させることにより、除去する。
【0096】
CO+(1/2)O2 → CO2 …(5)
【0097】
特に、CO浄化部112では、エアポンプ130による酸化ガスの吹き込み量を、通常の運転時によりも、多くして、最終的に燃料電池114のアノード116に供給される改質ガス(燃料ガス)中のCO濃度が、ゼロとなるようにしている。
【0098】
さらにまた、このような水素酸化,CO酸化による発熱によって、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112の各温度は、それぞれ上昇する。当初、これら各部の温度が水蒸気が結露するような低い温度であったとしても、このように、各部の温度が上昇することにより、生成された水蒸気の結露を防止することができる。
【0099】
こうして、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112を経た改質ガスの温度は、最終的に、燃料電池114のアノード116において、数十℃になる。そのため、改質ガスに含まれる水蒸気は凝縮して水となり、燃料電池114内の電解質膜に吸収されて、電解質膜を加湿する。
【0100】
なお、燃料電池114のアノード116に供給される改質ガスは、上述したように、COが十分に除去されているので、アノード116にある触媒にCOが吸着されてしまう、いわゆるCO被毒の発生を抑えることができる。
【0101】
また、燃料電池114では、改質ガスの供給により、その温度は時間経過と共に徐々に上昇するものの、燃料電池114自体、熱容量が大きく、しかも、燃料電池114の外部に取り付けられた外部冷却器138の働きによって、燃料電池114の温度が異常に急上昇することはない。なお、起動開始直後は、燃料電池114の温度は低いため、上記したCO浄化部112での水素酸化,CO酸化による発熱により、熱交換器140,外部冷却器138を介して、燃料電池114を加熱し、燃料電池114の温度上昇を促進させることができる。
【0102】
燃料電池114のアノード116に供給された改質ガスは、電解質膜を湿潤させた後、そのままアノードオフガスとして排出され、熱交換器142を介して、TGC144に供給される。このとき、TGC144に供給されるアノードオフガスは、上述した水素酸化,CO酸化によって、水蒸気とCO2となっているため、TGC144は何ら機能せず、アノードオフガスはTGC144を素通りして、そのまま加湿ユニット136に供給される。
【0103】
加湿ユニット136では、アノードオフガスに残留している水蒸気を、エアポンプ134からの酸化ガスに添加することにより、燃料電池114のカソード118に供給される酸化ガスを加湿する。
【0104】
こうして、時間経過と共に、燃料電池114のアノード116において、改質ガスに含まれる水蒸気の凝縮によって、電解質膜中の水分量が増加すると共に、改質ガスより得られる熱によって、燃料電池114の温度が上昇する。これにより、電解質膜での水分の蒸発が進み、その水蒸気はカソード118側に流れて、カソードオフガス中の水蒸気濃度を徐々に増加させる。
【0105】
なお、燃料電池114の温度が徐々に上昇すると、燃料電池114のアノード116から排出されるアノードオフガス中の水蒸気濃度も上昇するため、加湿ユニット136において、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加する。従って、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。また、アノードオフガス中の水蒸気濃度の上昇により、加湿ユニット136において、回収される水の量の増加も望むことができる。
【0106】
その後、カソードオフガス中の水蒸気濃度を、センサ148によって検出する。そして、検出の結果、その水蒸気濃度が予め設定された所定の濃度になったら、エアポンプ134の駆動を制御して、改質部102にカソードオフガスとして供給される空気量を、それまでのレベル(ガソリンを部分酸化させるのに十分なレベル)から通常の運転時のレベルまでステップ的に減少させる。これにより、改質部102では、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行する。
【0107】
さらにその後、高温シフト部106および低温シフト部110の各温度が上昇するのに伴って、エアポンプ126および128の駆動を制御し、高温シフト部106の流入部および低温シフト部110の流入部への酸化ガスの吹き込み量を徐々に低減させる。そして、高温シフト部106および低温シフト部110の各温度が、それぞれ、シフト部の変成反応(CO+H2O→H2+CO2)を起こさせるのに適切な温度になったら、エアポンプ126および128の駆動を停止させ、酸化ガスの吹き込みを停止する。これにより、高温シフト部106および低温シフト部110では、水素酸化,CO酸化の各反応が停止し、それに代わって、上記変成反応(CO+H2O→H2+CO2)が開始される。
【0108】
また、CO浄化部112の温度が上昇するのに伴って、エアポンプ130の駆動を制御して、CO浄化部112に対する酸化ガスの吹き込み量を減少させる。これにより、CO浄化部112では、水素酸化,CO酸化の各反応が起きる状態から、CO浄化部の変成反応(CO+(1/2)O2→CO2)が起きる状態へと徐々に移行する。そして、エアポンプ130によるCO浄化部112への酸化ガスの吹き込み量は、最終的に燃料電池114のアノード116に供給される改質ガス(燃料ガス)中のCO濃度が、許容濃度(例えば、5ppm)以下になるように、調整される。
【0109】
こうして、アノード116に供給される改質ガス(燃料ガス)中のCO濃度が、許容濃度以下になったら、燃料電池114は発電を開始する。
【0110】
その後、燃料電池114のカソード118における酸素消費を補うために、エアポンプ134によるカソード118への酸化ガスの供給量を調整する。こうして、カソード118への酸化ガスの供給量が安定すると共に、燃料電池システム100内の各部の温度が安定したら、起動時の動作を完了する。
【0111】
本実施例の燃料電池システム200によれば、起動時に、改質部102において、供給されたガソリンを部分酸化させて改質ガスを生成し、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112において、その改質ガス中の水素を酸化させて、水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだ改質ガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソード118から排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0112】
また、改質部102において、部分酸化により生じる熱によって、改質部102の温度を上昇させる他、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112において、水素酸化,CO酸化により生じる熱によって、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112の各温度を上昇させ、それにより、燃料電池114の温度を、適正な温度まで徐々に上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0113】
C.第3の実施例:
C−1.第3の実施例の構成:
図3および図4は本発明の第3の実施例として燃料電池システム300の全体構成を示すブロック図である。これら図のうち、図3は起動開始時の接続状態を示しており、図4は水素生成開始後の接続状態を示している。これら図において、図1と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
【0114】
本実施例の燃料電池システム300では、図1における高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112の代わりに、図3および図4に示すように、改質部102で生成された改質ガスから水素を分離するための水素分離ユニット150が設けられている。
【0115】
この水素分離ユニット150は、燃料電池114の運転時において改質ガスが流れるフィード部152と、パージガスが流れるパージ部154と、フィード部152とパージ部154との間に配置される水素分離膜156と、を備えている。なお、このフィード部152には、シフト触媒が内蔵されている。シフト触媒は、図1における高温シフト部106,低温シフト部110と同様の機能を奏するもので、改質ガス中のCOを水と反応させてCO2に変成させる。水素分離膜156は、パラジウムなどの水素選択透過性を有する金属で構成された膜である。
【0116】
水素分離膜156は、パラジウム金属単体で構成することも可能であるが、本実施例では、セラミック微粒子で構成された多孔質支持体の細孔中にパラジウムの微粒子を担持させて形成された膜を用いた。なお、担持する金属としては、水素を選択的に透過する性質を有する種々の物質を適用でき、パラジウムと銀の合金や、バナジウムの合金などを用いることができる。また、セラミック微粒子としては、アルミナ、窒化珪素、シリカ等を用いることができる。かかる水素分離膜156は、予め形成された多孔質支持体にパラジウム微粒子を溶かした溶剤を含浸させて焼成する含浸担持法や、多孔質支持体を構成するセラミック微粒子とパラジウム微粒子を混合したポリマーを焼成する方法などによって製造することができる。
【0117】
C−2.第3の実施例における起動時の動作:
本実施例においては、起動時に、第1の実施例と同様に、改質部102において、供給された燃料を完全酸化させることによって、水蒸気を生成するようにしている。
【0118】
すなわち、システムの起動が開始されると、まず、図3において、エアポンプ134によって空気が取り込まれ、酸化ガスとして加湿ユニット136を介して燃料電池114のカソード118に供給される。燃料電池114では、まだ、発電が開始されていないので、供給された酸化ガスは、カソード118を素通りし、酸素を多量に含んだまま、カソードオフガスとして熱交換器122を介して改質部102に供給される。また、改質部102には、燃料としてガソリンも供給される。
【0119】
このとき、エアポンプ134は、改質部102において、ガソリンを完全酸化させるのに十分な空気量がカソードオフガスとして得られるように、その駆動が制御される。これにより、改質部102では、触媒燃焼や気相燃焼によって、供給されたガソリンは式(3)に示したように完全酸化されて、水蒸気とCO2が生成されると共に、完全酸化による発熱によって改質部102の温度が上昇する。
【0120】
なお、本実施例においても、完全酸化による反応温度は、供給される空気量を理論空燃費の約4倍となるように、エアポンプ134の駆動を制御することによって、約800℃以下に調整することが好ましい。
【0121】
改質部102において、完全酸化によって得られたガスは、熱交換器104を介して水素分離ユニット150のフィード部152に供給される。改質部102からのガスは、上記した如く水蒸気とCO2であるため、水素分離膜156は何ら機能せず、そのガスはフィード部152を素通りして、そのまま、燃料電池114のアノード116に供給される。
【0122】
熱交換器104,フィード部152は、起動時、低温状態にあるため、改質部102からのガスが流通することにより、それらの温度は徐々に上昇するが、反対に、改質部102からのガスの温度は、熱交換器104やフィード部152を介する毎に低下する。
【0123】
また、改質部102からのガスは、水蒸気分圧が低いので、フィード部152では、水蒸気による結露が生じない。
【0124】
さらにまた、改質部102からのガスの温度は、熱交換器104やフィード部152で低下することにより、最終的に、燃料電池114のアノード116において、数十℃になる。そのため、ガス中の水蒸気は急速に凝縮して水となり、燃料電池114内の電解質膜に吸収されて、電解質膜を加湿する。
【0125】
なお、燃料電池114では、改質部102からのガスの供給により、その温度は時間経過と共に徐々に上昇するものの、燃料電池114自体、熱容量が大きく、しかも、燃料電池114の外部に取り付けられた外部冷却器138の働きによって、燃料電池114の温度が異常に急上昇することはない。
【0126】
燃料電池114のアノード116に供給されたガスは、電解質膜を湿潤させた後、そのままアノードオフガスとして排出され、TGC144に供給される。このとき、TGC144に供給されるアノードオフガスは、水蒸気とCO2であるため、TGC144は何ら機能せず、アノードオフガスはTGC144を素通りして、そのまま加湿ユニット136に供給される。
【0127】
加湿ユニット136では、アノードオフガスに残留している水蒸気を、エアポンプ134からの酸化ガスに添加することにより、燃料電池114のカソード118に供給される酸化ガスを加湿する。
【0128】
こうして、時間経過と共に、燃料電池114のアノード116において、改質部102からのガスに含まれる水蒸気の凝縮によって、電解質膜中の水分量が増加すると共に、改質部102からのガスより得られる熱によって、燃料電池114の温度が上昇する。これにより、電解質膜での水分の蒸発が進み、その水蒸気はカソード118側に流れて、カソード118から排出されるカソードオフガス中の水蒸気濃度を徐々に増加させる。
【0129】
また、加湿ユニット136において、時間経過と共に、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加するため、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。
【0130】
なお、起動開始直後は、燃料電池114は低温状態にあるため、改質部102で生成された水蒸気の大部分は、燃料電池114の内部で凝縮されるが、燃料電池114の温度が徐々に上昇すると、燃料電池114のアノード116から排出されるアノードオフガス中の水蒸気濃度も上昇するため、加湿ユニット136において、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加する。従って、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。また、アノードオフガス中の水蒸気濃度の上昇により、加湿ユニット136において、回収される水の量の増加も望むことができる。
【0131】
その後、カソードオフガス中の水蒸気濃度をセンサ148によって検出する。そして、検出の結果、その水蒸気濃度が予め設定された所定の濃度になったら、エアポンプ134の駆動を制御して、改質部102にカソードオフガスとして供給される空気量を、それまでのレベル(ガソリンを完全酸化させるのに十分なレベル)から通常の運転時のレベルまでステップ的に減少させる。これにより、改質部102では、完全酸化反応が停止し、それに代えて、上述した水蒸気改質反応と部分酸化反応が起こり、ガソリンから水素リッチな改質ガスの生成が開始される。
【0132】
こうして、改質部102において、水素リッチな改質ガスの生成が開始されると、各構成要素の接続状態が図3から図4へと切り換わる。すなわち、燃料電池114のアノード116の流入部に接続されていた水素分離ユニット150のフィード部152の流出部を、TGC144の流入部に接続し、熱交換器158の流入部に接続されていた熱交換器160の流出部を、アノード116の流入部に接続し、TGC144の流入部に接続されていたアノード116の流出部を、熱交換器158の流入部に接続する。
【0133】
なお、このような接続の切り換えは、図示せざる切り換えバルブなどを用いることによって容易に実現することができる。
【0134】
一方、改質部102からのガスの流通による水素分離ユニット150におけるフィード部152の温度上昇に伴い、水素分離膜156の温度が上昇し、水素分離の機能を果たすのに適切な温度に近づいてきたら、パージポンプ162の駆動が開始される。起動開始時には、パージ部154や、熱交換器158,160や、それらを接続する配管内は、空気、すなわち、酸化ガスによって満たされている。従って、パージポンプ162の駆動が開始されると、その酸化ガスが、パージガスとして、パージ部154,熱交換器160,アノード116,熱交換器158を循環することになる。
【0135】
従って、改質部102で生成された改質ガスが、熱交換器104を介して水素分離ユニット150のフィード部152に供給されると、フィード部152を流れる改質ガスから水素分離膜156によって水素が分離されてパージ部154に供給される。
【0136】
なお、水素分離ユニット150では、フィード部152の圧力がパージ部154の圧力より高くなるように、水素分離ユニット150への改質ガス供給側の圧力を、水素分離ユニット150からのパージガス循環側の圧力よりも高くしてある。このため、フィード部152とパージ部154との水素分圧差によって、水素分離膜156において水素の透過が生じ、これにより、改質ガスから水素が分離される。
【0137】
こうして、水素が分離されてパージ部154に供給されると、その水素は、水素分離膜156のパージ部側の表面において、直ちに、パージ部154を流れる酸化ガスによって酸化され、式(4)に示したように、水蒸気が生成される。
【0138】
これにより、パージガスとしての酸化ガスは水蒸気を含み、燃料電池114のアノード116に送られて、電解質膜をさらに加湿する。また、このようなパージ部154における水素酸化による発熱によって、パージ部154の温度が上昇し、それに伴い、水素分離膜156の温度も上昇し、適切な温度にさらに近づく。また、パージガスが供給される燃料電池114の温度も上昇する。
【0139】
一方、フィード部152の温度が上昇すると、適切な温度になると、フィード部152に内蔵されたシフト触媒によって、上述したシフト部と同様の変成反応(CO+H2O→H2+CO2)が開始され、フィード部152に供給された改質ガス中のCOが除去される。
【0140】
さらに、フィード部152に供給された改質ガスのうち、水素分離膜156によって分離されなかった残りのガスは、フィード部152からTGC144に供給され、TGC144において、ガス中に残存しているCOを燃焼させて除去すると共に、残存している水素を酸化させて、水に変成させる。こうして、COおよび水素の除去されたガスは、加湿ユニット136を介して大気中に放出される。
【0141】
その後、上述したパージ部154における水素酸化によって、循環しているパージガス中の酸素は消費されて、徐々に減少する。そのため、パージガスは、酸化ガス(空気)から不活性な窒素ガスへと徐々に変化する。また、酸素の減少に伴い、水素酸化も徐々に行われなくなるため、水素の消費が減り、循環しているガス中の水素濃度は徐々に増加する。このため、循環しているガスはパージガスと水素とが混合した燃料ガスとなる。そして、その燃料ガス中の水素濃度が所定の濃度を超えた場合に、燃料電池114は発電を開始する。
【0142】
また、発電が開始されると、熱交換器158は、熱交換器160は、パージ部154から排出される燃料ガスの温度を燃料電池114の運転に適した温度まで低下させるように、熱交換器158は、アノード116から排出されるアノードオフガスの温度を水素分離ユニット150に適した温度まで上昇させるように、両者の間で熱交換を行なっている。
【0143】
その後、燃料電池114のカソード118における酸素消費を補うために、エアポンプ134によるカソード118への酸化ガスの供給量を調整する。こうして、カソード118への酸化ガスの供給量が安定すると共に、燃料電池システム100内の各部の温度が安定したら、起動時の動作を完了する。
【0144】
本実施例の燃料電池システム300によれば、起動時に、改質部102において、供給されたガソリンを完全酸化させて水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソード118から排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0145】
また、完全酸化により生じる熱によって、改質部102の温度を上昇させる他、水素分離ユニット150および燃料電池114の各温度を、適正な温度まで徐々に上昇させることができる。
【0146】
また、改質部102における改質ガス生成開始後は、水素分離ユニット150のパージ部154における水素酸化によって水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだパージガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜をさらに加湿することができる。また、水素酸化によって生じる熱によって水素分離ユニット150および燃料電池114の各温度を、適正な温度までさらに上昇させることができる。
【0147】
従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0148】
さらにまた、起動開始時には酸化ガス(空気)であったパージガスが、パージ部154の水素酸化による酸素の消費によって、不活性な窒素ガスへと変化するため、パージガスとして、特別に窒素ガスを供給するための窒素ガスボンベなどを用意する必要がない。
【0149】
D.第4の実施例:
D−1.第4の実施例の構成:
図5および図6は本発明の第4の実施例として燃料電池システム400の全体構成を示すブロック図である。これら図のうち、図5は起動開始時の接続状態を示しており、図6は水素生成開始後の接続状態を示している。これら図において、図3および4と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
【0150】
本実施例の燃料電池システム400では、図3および4に示した構成に、新たに、水素分離ユニット150におけるフィード部152の流入部に、取り込んだ空気を酸化ガスとして供給するためのエアポンプ164が設けられている。
【0151】
D−2.第4の実施例における起動時の動作:
本実施例においては、起動時に、第2の実施例と同様に、改質部102において、供給された燃料を完全酸化ではなく、部分酸化させることによって、改質ガスを生成し、その改質ガス中の水素を、後段の水素分離ユニット150におけるフィード部152において、内蔵されたシフト触媒を利用して酸化させることによって、水蒸気を生成するようにしている。
【0152】
すなわち、システムの起動が開始されると、まず、図5において、エアポンプ134によって空気が取り込まれ、酸化ガスとして加湿ユニット136を介して燃料電池114のカソード118に供給される。供給された酸化ガスは、カソード118を素通りし、カソードオフガスとして熱交換器122を介して改質部102に供給される。また、改質部102は、燃料としてガソリンも供給される。
【0153】
このとき、エアポンプ134は、改質部102において、ガソリンを部分酸化させるのに十分な空気量がカソードオフガスとして得られるように、その駆動が制御される。具体的には、改質部102において、著しい煤が生じない酸素/炭素比(すなわち、1.0以上)となるように、制御される。
【0154】
これにより、改質部102では、供給されたガソリンを部分酸化されて、式(2)に示したように、水素とCOを含む改質ガスが生成される。また、部分酸化による発熱によって、改質部102の温度は上昇する。
【0155】
生成された改質ガスは、熱交換器104を介して、水素分離ユニット150のフィード部152に供給される。
【0156】
熱交換器104,フィード部152は、起動時、低温状態にあるため、改質部102からのガスが流通することにより、それらの温度は徐々に上昇するが、反対に、改質部102からのガスの温度は、熱交換器104やフィード部152を介する毎に低下する。しかも、カソードオフガスも低温状態であるため、熱交換器122,104によって、改質ガスはさらに温度が低下する。このため、フィード部152では、内蔵されるシフト触媒の熱劣化を抑制することができる。
【0157】
また、本実施例においては、起動時に、エアポンプ164によりフィード部152の流入部において、改質ガスに酸化ガスを吹き込む。
【0158】
これにより、フィード部152では、改質ガスに含まれる水素を、式(4)に示したように酸化して、水蒸気を生成する。
【0159】
また、改質ガスに含まれるCOを、式(5)に示したように酸化させることにより、除去する。
【0160】
さらにまた、このような水素酸化,CO酸化による発熱によって、フィード部152の温度は、さらに上昇する。当初、フィード部152の温度が水蒸気が結露するような低い温度であったとしても、このように、フィード部152の温度が上昇することにより、生成された水蒸気の結露を防止することができる。
【0161】
こうして、水素分離ユニット150におけるフィード部152の温度が上昇すると、それに伴い、水素分離膜156の温度も上昇し始める。
【0162】
一方、フィード部152において、水素酸化,CO酸化により、水蒸気とCO2になった改質ガスは、そのまま、燃料電池114のアノード116に供給される。このとき、改質ガスの温度は、温度低下により、最終的に数十℃になって、アノード116に供給される。そのため、改質ガスに含まれる水蒸気は凝縮して水となり、燃料電池114内の電解質膜に吸収されて、電解質膜を加湿する。
【0163】
なお、燃料電池114のアノード116に供給される改質ガスは、上述したように、COが十分に除去されているので、CO被毒の発生を抑えることができる。
【0164】
また、燃料電池114では、改質ガスの供給により、その温度は時間経過と共に徐々に上昇するものの、燃料電池114自体、熱容量が大きく、しかも、燃料電池114の外部に取り付けられた外部冷却器138の働きによって、燃料電池114の温度が異常に急上昇することはない。
【0165】
燃料電池114のアノード116に供給された改質ガスは、電解質膜を湿潤させた後、そのままアノードオフガスとして排出され、TGC144に供給される。このとき、TGC144に供給されるアノードオフガスは、上述した水素酸化,CO酸化によって、水蒸気とCO2となっているため、TGC144は何ら機能せず、アノードオフガスはTGC144を素通りして、そのまま加湿ユニット136に供給される。
【0166】
加湿ユニット136では、アノードオフガスに残留している水蒸気を、エアポンプ134からの酸化ガスに添加することにより、燃料電池114のカソード118に供給される酸化ガスを加湿する。
【0167】
こうして、時間経過と共に、燃料電池114のアノード116において、改質ガスに含まれる水蒸気の凝縮によって、電解質膜中の水分量が増加すると共に、改質ガスより得られる熱によって、燃料電池114の温度が上昇する。これにより、電解質膜での水分の蒸発が進み、その水蒸気はカソード118側に流れて、カソードオフガス中の水蒸気濃度を徐々に増加させる。
【0168】
なお、燃料電池114の温度が徐々に上昇すると、燃料電池114のアノード116から排出されるアノードオフガス中の水蒸気濃度も上昇するため、加湿ユニット136において、アノードオフガスから酸化ガスに添加される水蒸気の量も増加し、カソード118に供給される酸化ガス中の水蒸気濃度が増加する。従って、これによっても、カソードオフガス中の水蒸気濃度をさらに増加させることになる。また、アノードオフガス中の水蒸気濃度の上昇により、加湿ユニット136において、回収される水の量の増加も望むことができる。
【0169】
その後、カソードオフガス中の水蒸気濃度を、センサ148によって検出する。そして、検出の結果、その水蒸気濃度が予め設定された所定の濃度になったら、エアポンプ134の駆動を制御して、改質部102にカソードオフガスとして供給される空気量を、それまでのレベル(ガソリンを部分酸化させるのに十分なレベル)から通常の運転時のレベルまでステップ的に減少させる。これにより、改質部102では、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行する。
【0170】
こうして、改質部102において、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行すると、各構成要素の接続状態が、第3の実施例の場合と土曜に、図5から図6へと切り換わる。すなわち、燃料電池114のアノード116の流入部に接続されていた水素分離ユニット150のフィード部152の流出部を、TGC144の流入部に接続し、熱交換器158の流入部に接続されていた熱交換器160の流出部を、アノード116の流入部に接続し、TGC144の流入部に接続されていたアノード116の流出部を、熱交換器158の流入部に接続する。
【0171】
なお、このような接続の切り換えは、図示せざる切り換えバルブなどを用いることによって容易に実現することができる。
【0172】
また、エアポンプ164の駆動を制御し、フィード部152の流入部への酸化ガスの吹き込み量を徐々に低減させる。その後、フィード部152の温度が、内蔵するシフト触媒によるシフト部の変成反応(CO+H2O→H2+CO2)を起こさせるのに適切な温度になったら、エアポンプ164の駆動を停止させ、酸化ガスの吹き込みを停止する。これにより、フィード部152では、水素酸化,CO酸化の各反応が停止し、それに代わって、上記変成反応(CO+H2O→H2+CO2)が開始される。
【0173】
一方、フィード部152の温度上昇に伴い、水素分離膜156の温度が上昇し、水素分離の機能を果たすのに適切な温度に近づいてきたら、パージポンプ162の駆動が開始される。起動開始時には、パージガス循環側の配管内は、空気(酸化ガス)によって満たされている。従って、パージポンプ162の駆動が開始されると、その酸化ガスが、パージガスとして、パージ部154,熱交換器160,アノード116,熱交換器158を循環することになる。
【0174】
従って、改質部102で生成された改質ガスが、熱交換器104を介して水素分離ユニット150のフィード部152に供給されると、フィード部152を流れる改質ガスから水素分離膜156によって水素が分離されてパージ部154に供給される。
【0175】
パージ部154に供給された水素は、水素分離膜156のパージ部側の表面において、直ちに、パージ部154を流れる酸化ガスによって酸化され、式(4)に示したように、水蒸気が生成される。
【0176】
これにより、パージガスとしての酸化ガスは水蒸気を含み、燃料電池114のアノード116に送られて、電解質膜をさらに加湿する。また、このようなパージ部154における水素酸化による発熱によって、パージ部154の温度が上昇し、それに伴い、水素分離膜156の温度も上昇し、適切な温度にさらに近づく。また、パージガスが供給される燃料電池114の温度も上昇する。
【0177】
さらに、フィード部152に供給された改質ガスのうち、水素分離膜156によって分離されなかった残りのガスは、フィード部152からTGC144に供給され、TGC144において、ガス中に残存しているCOを燃焼させて除去すると共に、残存している水素を酸化させて、水に変成させる。こうして、COおよび水素の除去されたガスは、加湿ユニット136を介して大気中に放出される。
【0178】
その後、上述したパージ部154における水素酸化によって、循環しているパージガス中の酸素は消費されて、徐々に減少し、パージガスは、酸化ガス(空気)から窒素ガスへと徐々に変化する。また、酸素の減少に伴い、水素酸化も徐々に行われなくなるため、水素の消費が減り、循環しているガス中の水素濃度は徐々に増加し、循環しているガスはパージガスと水素とが混合した燃料ガスとなる。そして、その燃料ガス中の水素濃度が所定の濃度を超えた場合に、燃料電池114は発電を開始する。
【0179】
さらにその後、燃料電池114のカソード118における酸素消費を補うために、エアポンプ134によるカソード118への酸化ガスの供給量を調整する。こうして、カソード118への酸化ガスの供給量が安定すると共に、燃料電池システム100内の各部の温度が安定したら、起動時の動作を完了する。
【0180】
本実施例の燃料電池システム400によれば、起動時に、改質部102において、供給されたガソリンを完全酸化させて水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜を加湿することができ、延いては、カソード118から排出されるカソードオフガスの水蒸気濃度を上昇させることができ、システム内で必要な水分量を十分確保することができる。
【0181】
また、改質部102において、部分酸化により生じる熱によって、改質部102の温度を上昇させる他、水素分離ユニット150のフィード部152において、水素酸化,CO酸化により生じる熱によって、水素分離ユニット150の温度を上昇させ、それにより、燃料電池114の温度を、適正な温度まで徐々に上昇させることができる。
【0182】
また、水素分離ユニット150の水素分離膜156において、水素分離を開始した後は、水素分離ユニット150のパージ部154における水素酸化によって水蒸気を生成し、その水蒸気を含んだパージガスを燃料電池114のアノード116に供給することにより、燃料電池114内の電解質膜をさらに加湿することができる。また、水素酸化によって生じる熱によって水素分離ユニット150および燃料電池114の各温度を、適正な温度までさらに上昇させることができる。従って、システム内の各構成要素の温度を、それぞれの目標温度までできる限り早く上昇させることができるので、燃料電池の発電開始までの時間を短縮することができる。
【0183】
さらにまた、起動開始時には酸化ガス(空気)であったパージガスが、パージ部154の水素酸化による酸素の消費によって、不活性な窒素ガスへと変化するため、パージガスとして、特別に窒素ガスを供給するための窒素ガスボンベなどを用意する必要がない。
【0184】
E.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0185】
E−1.変形例1:
上記した第1および第3の実施例では、高温シフト部106の流入部や低温シフト部110の流入部に空気を酸化ガスとして供給するためのエアポンプ126,128を備えていなかったが、第2および第4の実施例と同様に、これらエアポンプ126,128を備えるようにしても良い。
【0186】
このようにエアポンプ126,128を備えた場合、改質部102において、完全酸化反応を停止させ、水蒸気改質反応と部分酸化反応を生じさせた後に、エアポンプ126により高温シフト部106の流入部において、エアポンプ128により低温シフト部110の流入部において、それぞれ、改質ガスに酸化ガスを吹き込むことにより、改質ガスに含まれる水素を式(4)に示したように酸化して水蒸気を生成したり、COを式(5)に示すように酸化して除去したりすることができる。また、これらと併せて、CO浄化部112において、エアポンプ130による酸化ガスの吹き込み量を多くして、最終的に燃料電池114のアノード116に供給される改質ガス中のCO濃度を5ppm以下となるようにしても良い。
【0187】
以上のようにして、水素酸化によって生成された水蒸気により、燃料電池114内の電解質膜に対する加湿をさらに促進させることができると共に、水素酸化,CO酸化による発熱により、高温シフト部106,低温シフト部110およびCO浄化部112の各温度を、それぞれさらに上昇させ、延いては、燃料電池114の温度も上昇させることができる。
【0188】
このような変形例1の動作を図7を用いて簡単に説明する。図7は本発明の変形例1としての燃料電池システムにおける主要部の濃度、量、温度及び状態の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0189】
図7は、図1に示す燃料電池システム(第1の実施例)においてエアポンプ126,128を備えた場合の変形例に対応している。図7において、(a)は、燃料電池114のカソードの流出部におけるカソードオフガス中の酸素濃度を示し、(b)は同じくカソードオフガス中の水蒸気濃度を示し、(c)は改質部102に対する燃料の供給量を示し、(d)は改質部102の温度を示し、(e)は熱交換器104の温度を示し、(f)は高温シフト部106の温度を示し、(g)は熱交換器108の温度を示し、(h)は低温シフト部110の温度を示し、(i)はCO浄化部112の温度を示し、(j)は燃料電池114の温度を示し、(k)は114の含水分量を示し、(l)はTGC144の燃焼状態を示す。また、三角印は主要な変化タイミングを示す。
【0190】
起動時において、図7(a)に示すように、エアポンプ134により燃料電池114のカソードに酸化ガスの供給が開始されると、燃料電池114はまだ発電が開始されていないので、酸化ガスはそのまま燃料電池114のカソードを素通りして、改質部102に供給される。その後、図7(c)に示すように、改質部102に燃料(ガソリン)の供給が開始されると、改質部102では、触媒燃焼や気相燃焼によって、供給された燃料は完全酸化されて、水とCO2が生成される。これにより、改質部102の温度は図7(d)に示すように上昇を開始する。各要素104〜112は、起動時、低温状態にあるため、改質部102からのガスが流通することにより、それらの温度は図7(e)〜(i)に示すように徐々に上昇するが、反対に、改質部102からのガスの温度は、各要素104〜112を介する毎に低下する。そのため、燃料電池114のアノード116に供給された際、図7(j),(k)に示すように、ガス中の水蒸気は急速に凝縮して水となり、燃料電池114内の電解質膜に吸収されて、電解質膜を加湿する。なお、カソードオフガスも低温状態であるため、このカソードオフガスが通過する熱交換器122,120によって、各要素104〜112の温度が異常に急上昇することを抑制している。
【0191】
その後、図7(b)に示すように、カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定の濃度になったら、エアポンプ134の駆動を制御して、改質部102にカソードオフガスとして供給される空気量を、図7(a)に示すように、ステップ的に減少させる。これにより、改質部102では、完全酸化反応が停止し、それに代えて、水蒸気改質反応と部分酸化反応が起こり、燃料から改質ガスの生成が開始される。
【0192】
さらにその後、図7(f),(h)に示すように、エアポンプ126により高温シフト部106の流入部において、エアポンプ128により低温シフト部110の流入部において、改質ガスに酸化ガスの吹き込みを開始すると共に、図7(i)に示すように、CO浄化部112において、エアポンプ130による酸化ガスの吹き込み量を増加する。これにより、各要素106,110,112において、改質ガスに含まれる水素の酸化が開始され、水蒸気が生成されると共に、酸化による発熱により温度が上昇する。さらに、図7(l)に示すように、TGC144において、アノードオフガスの供給を受けて、その中に含まれるCOの燃焼を開始する。そうして、図7(i),(j)に示すように、アノード116に供給される改質ガス中のCO濃度が、5ppm以下になったら、燃料電池114は発電を開始する。
【0193】
E−2.変形例2:
上記した第1および第2の実施例において、CO浄化部112と燃料電池114のアノード116との間にCO吸着部を配置し、CO浄化部112等の温度がCO浄化を行うための適正な温度(目標温度)になるまでの間、CO浄化部112からの改質ガスをこのCO吸着部に供給し、その後、CO浄化部112等の温度が目標温度になったら、このCO吸着部をバイパスさせるようにしても良い。このCO吸着部には、CO吸着物質(熱可逆的にCO吸・脱を行う物質)が配備されており、改質ガスが供給されると、その改質ガスに含まれるCOがCO吸着物質によって吸着される。従って、CO浄化部112等が十分機能しない期間においても、CO濃度の低下した改質ガスを燃料電池114のアノード116に供給することができる。
【0194】
なお、CO吸着部の配設位置は、CO浄化部112とアノード116との間に限るものではなく、改質部102とアノード116との間であれば、どこでも良い。また、このような接続の切り換えは、切り換えバルブなどを用いることによって容易に実現することができる。
【0195】
E−3.変形例3:
上記した第1〜第4の実施例において、エアポンプをさらに用意して、燃料電池114のアノード116の流入部において、アノード116に供給される改質ガスに酸化ガスを吹き込むようにしても良い。
【0196】
このように構成することにより、アノード116に供給される改質ガスのCO濃度が許容濃度以上であったとしても、燃料電池114の内部において、発電と同時に、改質ガスに含まれるCOを式(5)に示したように酸化して除去することができるため、CO被毒の発生を抑えることができる。また、CO酸化による発熱により、燃料電池114の温度を上昇させることもできる。
【0197】
E−4.変形例4:
上記した第1〜第4の実施例において、改質部102における改質触媒の近くか、あるいは、改質部102における燃料と酸化ガスとが混合される部分に、電気ヒータや点火プラグなどの着火源を設けるようにしても良い。
【0198】
このような着火源を設けることにより、改質部102において、完全酸化や部分酸化をより起こしやすくすることができる。
【0199】
E−5.変形例5:
上記した第1〜第4の実施例において、例えば、熱交換器122,124として加湿水供給型熱交換器を用い、水回収ユニット146に回収された水を、その加湿水供給型熱交換器によって、改質部102に供給されるカソードオフガスに付加して、システム内を循環するガスに含まれる水分量を増加させるようにしても良い。
【0200】
また、このような加湿水供給型熱交換器を採用することによって、シフト反応に寄与する水蒸気濃度を調整することができるので、改質ガスに含まれるCOの量をシフト反応により大幅に低減することができる。
【0201】
E−6.変形例6:
上記した第1および第2の実施例において、改質ガス中のCO濃度を検出するCOセンサを、高温シフト部106,低温シフト部110またはCO浄化部112などに配置して、起動制御中に、5ppm以上のCO濃度を検出したら、CO浄化部112からの改質ガスを燃料電池114のアノード116に供給せずに、TGC144の流入部に直接供給するようにして、燃料電池114をバイパスするようにしても良い。または、高温シフト部106,低温シフト部110の流入部や、CO浄化部112に吹き込む空気量を一時的に増大させ、その部分でのCO酸化を促進するようにして良い。
【0202】
以上のように構成することにより、燃料電池114におけるCO被毒の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例として燃料電池システム100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例として燃料電池システム200の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施例として燃料電池システム300の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施例として燃料電池システム300の全体構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施例として燃料電池システム400の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施例として燃料電池システム400の全体構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の変形例1としての燃料電池システムにおける主要部の濃度、量、温度及び状態の時間変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
100…燃料電池システム
102…改質部
104…熱交換器
106…高温シフト部
108…熱交換器
110…低温シフト部
112…CO浄化部
114…燃料電池
116…アノード
118…カソード
120,122,124…熱交換器
126,128,130,134…エアポンプ
136…加湿ユニット
138…外部冷却器
140,142…熱交換器
144…TGC
146…水回収ユニット
148…センサ
150…水素分離ユニット
152…フィード部
154…パージ部
156…水素分離膜
158,160…熱交換器
162…パージポンプ
164…エアポンプ
200…燃料電池システム
300…燃料電池システム
400…燃料電池システム

Claims (13)

  1. 燃料電池システムであって、
    炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
    アノードに前記改質ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
    を備え、
    起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 燃料電池システムであって、
    炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
    アノードに前記改質ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む第1の酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
    を備え、
    起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させ、得られた前記改質ガスを前記アノードに供給すると共に、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させ
    前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行させることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記改質部から前記アノードに至る流路中には、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により除去するシフト部、および前記一酸化炭素を酸化反応により除去する一酸化炭素浄化部のうち、少なくとも一方が配置されると共に、
    前記水素の酸化は、前記シフト部、一酸化炭素浄化部および燃料電池のうち、少なくとも1つの内部において生じることを特徴とする燃料電池システム。
  4. 燃料電池システムであって、
    炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
    前記改質ガスが流れるフィード部と、パージガスが流れるパージ部と、前記フィード部とパージ部との間に配置される水素分離膜と、を有し、前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離して、前記パージ部を流れる前記パージガスに混合し、燃料ガスを得る水素分離部と、
    アノードに前記燃料ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
    を備え、
    起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によってほぼ完全酸化させ、得られたガスを前記水素分離膜を通過させることなく前記アノードに供給することを特徴とする燃料電池システム。
  5. 請求項4に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、前記完全酸化の反応を停止させて、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させ、
    その後、前記パージ部に前記パージガスとして酸素を含む第3の酸化ガスを流すと共に、前記改質部で生成されて前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離し、前記パージ部において、分離した前記水素を前記第3の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することを特徴とする燃料電池システム。
  6. 燃料電池システムであって、
    炭化水素系燃料の供給を受け、水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を利用して、水素を含む改質ガスを生成する改質部と、
    前記改質ガスが流れるフィード部と、パージガスが流れるパージ部と、前記フィード部とパージ部との間に配置される水素分離膜と、を有し、前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離して、前記パージ部を流れる前記パージガスに混合し、燃料ガスを得る水素分離部と、
    アノードに前記燃料ガスの供給を受けると共に、カソードに酸素を含む第1の酸化ガスの供給を受けて、電力を発生する燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部に供給するカソードオフガス流路と、
    を備え、
    起動時に、前記改質部において、前記炭化水素系燃料を前記カソードオフガスに含まれる酸素によって部分酸化させ、得られた前記改質ガスを前記水素分離膜を通過させることなく前記アノードに供給すると共に、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることを特徴とする燃料電池システム。
  7. 請求項6に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記フィード部は、シフト触媒を備え、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により除去し得ると共に、
    前記水素の酸化は、前記フィード部の内部において生じることを特徴とする燃料電池システム。
  8. 請求項6に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行させ、
    その後、前記パージ部に前記パージガスとして酸素を含む第3の酸化ガスを流すと共に、前記改質部において生成され前記フィード部を流れる前記改質ガスから前記水素分離膜によって水素を分離し、前記パージ部において、分離した前記水素を前記第3の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させ、得られたガスを前記アノードに供給することを特徴とする燃料電池システム。
  9. 請求項1または請求項4に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、前記完全酸化の反応を停止させて、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させることを特徴とする燃料電池システム。
  10. 請求項9に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記改質部において、前記水蒸気改質反応及び部分酸化反応のうち、少なくとも一方の反応を開始させた後、前記改質部から前記アノードに至る流路中に酸素を含む第2の酸化ガスを供給して、前記改質部から得られた前記改質ガスに含まれる水素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることを特徴とする燃料電池システム。
  11. 求項6に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記カソードオフガス中の水蒸気濃度が所定値以上になった場合に、前記改質部において、部分酸化反応のみ起きる状態から、部分酸化反応と水蒸気改質反応が共に起きる状態へと移行させることを特徴とする燃料電池システム。
  12. 請求項2、請求項6または請求項10に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を前記第2の酸化ガスに含まれる酸素によって酸化させることを特徴とする燃料電池システム。
  13. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池は、固体高分子型であることを特徴とする燃料電池システム。
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